JP2005210766A - 過電流保護システム - Google Patents

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Abstract

【課題】分散電源が連系された配電系統などにおける保護リレーの適切な保護協調を図り、過電流保護リレーシステムの適用範囲を拡大する。
【解決手段】系統電流の大きさが所定値を超えたことから系統事故の発生を検出する事故判定手段401と、系統電流の波形を逐次記憶する電流波形記憶手段402と、事故判定手段401により系統事故の発生を検出した時に事故発生後の電流波形と前記電流波形記憶手段402により記憶された事故発生前の電流波形との位相関係を判定する位相判定手段403と、この位相判定手段403による判定結果に基づいて保護リレーの動作時間を制御する手段としての整定値制御手段404と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、送配電系統やこの系統に接続された各種の機器を保護するための過電流保護システムに関し、詳しくは、系統電流の位相判定に基づいて保護リレーの動作時間(動作時限)を制御可能とした過電流保護システムに関する。
図3は、一般的な配電系統の構成図を示している。図3において、100は配電用変電所、101は電源(図示されていない上位系統に接続される電力用変圧器を示す)、102は母線、Ry1は保護リレー、CB1は遮断器、200は配電線(フィーダ)、201は需要家300の受電点近くの母線、Ry2は過電流保護リレー、CB2は遮断器、300は需要家、301は需要家300内の自家用発電設備である。
配電用変電所100では、上位系統(66[kV]〜110[kV])から受電し、変電所100内の電源101としての電力用変圧器により降圧して配電線200に供給している。電力用変圧器は複数台あり、母線102を介して変圧器1台当たり4〜12の配電線200に配電しているが、図3ではこれらをまとめて一つのインピーダンスとして表してある。
典型的な例では、配電用変電所100内の電力用変圧器の1次側の電圧は66[kV](77[kV]のこともあり、地域によって異なる)であり、2次側は6.6[kV]系統となっている。なお、通常、6.6[kV]以下の系統を、配電系統と呼んでいる。
この配電系統は非接地系統であり、地絡を検出するためだけに図示されていない接地トランス(GPT)の2次側に零相抵抗を挿入し、地絡時に発生する零相電圧及び零相電流を検出して地絡保護リレーにより保護動作を行うようになっている。
このような配電系統は、需要家300に配電するのが目的であり、通常、需要家側には大きな電源(短絡電源)は設けられていない。仮に電源を備えていたとしても、図3に示す如く自家用発電設備301があるだけであり、需要家300から配電系統側に電流が供給されることはなく、また、形態としては放射状系統であって末端で配電線に連系されることはない。すなわち、需要家300内の自家用発電設備301は、配電線200に連系可能な系統構成になっているが、この種の発電設備301は保守や異常事態の時に使用するべく設けられている。
配電系統の保護や制御システムはこのような系統条件を考慮した上で設計されており、需要家300の構内の電気設備も含めて以下のような保護システムになっている。
(1)短絡事故時の保護
3相の配電線において、3相のうち2線または3線が接触した場合を短絡事故という。通常、このような短絡事故には、反限時特性の過電流保護リレーが使用される。周知のように、反限時特性の過電流保護リレーは、配電線に定格電流以上の大きさの電流が流れた時に、その電流値と動作するまでの時間とが反比例するような特性を持った保護リレーである。
いま、図3において、需要家300の構内の地点F3で短絡事故が発生した場合、配電用変電所100から短絡電流が流れる。図示例では、途中で分岐等がないため、リレーRy1,Ry2には同じ値の短絡電流が流れる。配電用変電所100と需要家300との間には、通常、別の需要家も接続されているので、この事故のように特定の需要家300内での事故では当該需要家300近傍の遮断器CB2のみを遮断することが望ましく、そうすれば他の需要家は停電することがないため影響は少なくなる。
このため、配電用変電所100内のリレーRy1と需要家300側のリレーRy2との間には、その動作時間に意図的に差が設けられており、リレーRy1はRy2に比べて0.2〜0.5秒程度遅れて動作するように設定されている。この時間は、地点F3における短絡事故が発生した時に、これをリレーRy2が検出して遮断器CB2を動作させ、短絡電流が流れなくなるまでの時間に多少余裕を見た数値となっている(なお、リレーが動作して遮断器が開放されるまでには、少なくとも150[ms]程度必要とする)。
このようにリレーRy1,Ry2の動作時間にある程度の差を設けておけば、変電所100側の遮断器CB1よりも需要家300側の遮断器CB2が必ず先に動作して短絡事故が解消するため、遮断器CB1が動作するには至らない。このことは、配電線200や母線201に接続されているどの需要家内で短絡事故が発生した場合も同様である。
ここで、図4は、反限時特性の過電流保護リレーの動作時間特性及び動作時間精度の一例を示す図である。動作時間と入力電流値(一般には定格電流との比)との関係は相似形であるが、動作時間の絶対値は標準値を1として10まで0.1ステップ(程度)で設定できるようになっており、これをレバーと称している。
図3に示したリレーRy1,Ry2は同じ特性のリレーであり、上記レバーの設定を変えることで動作時間を調整している。すなわち、図3の配電系統において完全短絡時(短絡点での抵抗が零の時)の入力電流を500%とすると、この電流値でリレーRy1,Ry2の動作時間差が0.5秒程度になるようにレバーの設定を変えている。
なお、図4の動作時間特性における右側の縦軸nは、動作時間の整定値を示している。
(2)電圧制御
近年、電力自由化の動向、環境問題への意識の高まりから再生可能エネルギーによる分散電源が普及している。現状の配電系統で大きな容量の分散電源が連系された場合、その発電電力量によって配電線に流れる電流(以下、潮流という)が大きく変化した場合は、特定の地点の電圧を規定値内に入れることは可能であるが、配電系統全般にわたって電圧値を規定の101±6[V]に維持することは困難になりつつある。
亘長の長い配電線では、負荷だけが接続されている時でも配電線のインピーダンスによる電圧降下で末端の電圧を規定の101±6[V]に維持することは困難なため、配電線の途中にSVRと称する自動電圧調整器が設置されており、変圧器のタップ制御により負荷側の電圧を上昇させて電圧値を規定範囲内に維持している。この電圧調整器は、電源側(配電用変電所側)の電圧を検出して負荷側の電圧を制御するものであり、逆側すなわち電源側の電圧を制御する機能はない。
例えば、電圧が目標値よりも高くなった場合、変圧器のタップを制御して電圧値を変えようとするが、電圧はほとんど変化しないため下限値になったままになる。逆に電圧が目標電圧より低くなると電圧を上昇させる方に制御して上限値になったままとなる。
このような電圧制御システムのもとで、上記のような分散電源が負荷側に接続されると、配電系統全般にわたって適正な電圧値を維持するのは困難になってきている。
上記の経緯により配電系統における電圧値の維持が困難になっているが、その対応策として、配電線の容量を増加させて分散電源の影響を低減するべく、2つの配電線を末端で連系する運用が検討されている。
図5は、この種の連系系統(ループ系統)の例を示しており、需要家の受電点にある母線を経由して2つの配電線を連系させる構成となっている。
図5において、図3と異なる部分を中心に説明すると、120は配電用変電所、121は電源(電力用変圧器)、122は母線、Ry3は過電流保護リレー、CB3は遮断器、220は配電線、221は母線、Ry4は連系用の過電流保護リレー、CB4は遮断器であり、配電線200側の母線201と配電線220側の母線221とは前記遮断器CB4を介して連系されている。なお、501は連系線を示す。
このような連系系統では、配電線1本当たりの電流が減るため、線路の電圧降下が小さくなり、配電線における電圧の維持が容易になる。
しかし、上記連系系統では、保護システム上、以下に示すような問題がある。
まず、この種の系統を従来の保護システムによって保護する場合、リレーRy2の動作時間は通常0.2秒程度である(需要家300構内の系統構成に応じた時間協調のため、動作時間は概ね0.5〜0.2秒程度であるが、以下では0.2秒と仮定する)。
これに対して、配電用変電所100,120内のリレーRy1,Ry3の動作時間は0.5〜1秒程度(以下では0.5秒と仮定する)に設定されていると共に、リレーRy4は負荷側にあるためリレーRy2と同様に0.2秒に設定されているとする。
いま、需要家300構内の地点F3における短絡事故時には、近傍の遮断器CB2が動作して他の遮断器は不動作であることが要求される。この時、リレーRy2は0.2秒程度で動作し、遮断器CB2がOFFした時点で事故は消滅する。また、リレーRy1,Ry3は前述のように動作時間が長く(0.5秒)、遮断器CB1,CB3が動作することはない。
更に、リレーRy4の動作時間は0.2秒であるため、リレーRy2と時間的には余り差がなく動作する(リレーRy2を流れる電流値はRy4よりも大きいため、反限時特性のリレーであれば、リレーRy4はRy2より遅れて動作する可能性が高い)。
このリレーRy4を確実に動作させないようにするには、事故時の電流値などを考慮して、リレーRy2に対して確実に0.2秒程度の時間差を確保できるようにしなければならない。また、このリレーRy4と他のリレーRy1,Ry3との間でも時間協調をとる必要があり、結果的にリレーRy1,Ry3の動作時間は現状より長くなる。
一方、配電線220上の地点F2で短絡事故が発生した場合には、リレーRy3,Ry4及び遮断器CB3,CB4が動作し、その他のリレーは不動作であるべきである。しかし、現状の時間設定では、まずリレーRy4,Ry2の動作後、約0.2秒で遮断器CB4,2が動作(OFF)し、その後(約0.5秒後)にリレーRy3及び遮断器CB3が動作(OFF)する。従って、遮断器CB2は不要に動作することになる。
これを避けるためには、遮断器CB4をCB2よりも早く動作させる必要があるが、前述したように需要家300構内の地点F3における事故では、遮断器CB2をCB4よりも優先的に動作させることとしているため、何れの事故点F2,F3に対しても最適となるような動作時間の整定は困難である。
なお、他の従来技術として、保護リレー固有の特性の相違等に起因して保護協調がとれない複数の過電流保護リレーを対象とし、その保護協調を実現するようにした過電流継電器協調装置が下記の特許文献1に記載されている。
この協調装置では、上流側保護リレー及び下流側保護リレーの通電電流を検出し、これらの検出値と設定値との大小関係を判別することにより事故点を推定すると共に、上記大小関係に応じて上流側保護リレーのトリップ時間を遅延させ、下流側保護リレーを優先的に動作させている。
特開2000−175346号公報([0027]〜[0036]、図1等)
前述した如く、分散電源の影響を低減するために2つの配電線が連系される図5のような系統構成では、多様な事故点に対する適切な保護協調が図れないという問題があった。
また、前記特許文献1に記載された過電流継電器協調装置では、比較回路、遅延回路等を多数必要とするため、回路構成が複雑になってコスト高を招くという問題があった。
そこで本発明は、上述した課題をいわゆるディジタルリレーの機能により解決するものである。
従来の反限時特性の過電流保護リレーは電磁型であり、コイルに通流される電流値が大きい時は可動子が早く回転し、電流値が小さい時はゆっくり回転する原理に基づいており、可動子の回転時間を機構的に調整して様々な特性を実現している。
これに対し、最近の保護リレー技術では、電流入力をA/D(アナログ/ディジタル)変換して得たディジタルデータをマイクロコンピュータ等のデータ処理装置により加工し、所望の機能を実現するためのプログラムを組んで所定の性能を得るようしたディジタルリレーがかなり普及してきており、量産化によって次第に安価に供給されつつある。
図5において、事故点によっては適切な保護協調が図れないという課題は、保護リレーの動作時間を変えられないことにあり、これを解決するには、事故の発生地点に応じて動作時間の整定値を柔軟に制御できる機能があれば良い。
このため、例えば、配電線200に接続された需要家300近傍のリレーRy2については、流れる電流の大きさが設定値を超えて事故が発生したと判断された場合、事故発生前の電流に対して事故発生後の電流が同位相の時は需要家300構内の事故(例えば事故点F3)と判断して0.2秒程度の短時限で瞬時に動作させ、逆位相の時(例えば事故点F2)は外部の事故と判断して0.7秒程度の長時限で動作させるようにする。また、上記配電線200と他方の配電線220との間に設けられたリレーRy4(遮断器CB4)の動作時間は、上記短時限と長時限との中間(0.4〜0.5秒程度)に設定する。
これにより、リレーRy2と、リレーRy4と、配電用変電所100,120側のリレーRy1,Ry3という3段階で時限協調が必要になるため、リレーRy1,Ry3の動作時間はやや長くなる(0.5秒→0.7秒程度)。
需要家300構内の系統では、需要家300から配電系統に電流が供給される潮流(逆潮流という)はなく、電流は常に需要家300側に向かって流れている。なお、需要家300が特定規模電気事業者等に登録している場合は売電が目的のため逆潮流になるが、この場合には特別な保護・制御システムが必要とされるため、本発明の適用対象外とする。
本発明では、もっぱら系統の電流入力を導入するのに対し、電圧入力を導入して事故点を判別することも可能であるが、従来系統ではこのような短絡事故の保護には電流入力のみを使っており、電圧入力を用いるには配電盤にその配線をする必要がある。また、保護リレーの端子にもそのような割付はなく、結局、保護リレー盤全体を作り替える必要があると共に、電圧入力をディジタル信号に変換するためのA/D変換器等がコスト上昇の要因になるなど、種々の不都合がある。
すなわち、本発明は、系統の電流入力に基づいて保護リレーの動作時間を制御することを基本としており、請求項1に記載した発明は、系統電流の大きさが所定値を超えたことから系統事故の発生を検出する事故判定手段と、系統電流の波形を逐次記憶する電流波形記憶手段と、事故判定手段により系統事故の発生を検出した時に事故発生後の電流波形と前記電流波形記憶手段により記憶された事故発生前の電流波形との位相関係を判定する位相判定手段と、この位相判定手段による判定結果に基づいて保護リレーの動作時間を制御する動作時間制御手段と、を備えたものである。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した過電流保護システムにおいて、事故発生前後の電流波形が同位相の時には保護リレーを瞬時に動作させ、逆位相の時には一定値以上の大きさの電流が一定時間継続した際に保護リレーを動作させるものである。
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した過電流保護システムにおいて、事故発生前後の電流波形が逆位相の時には保護リレーを瞬時に動作させ、同位相の時には一定値以上の大きさの電流が一定時間継続した際に保護リレーを動作させるものである。
請求項4に記載した発明は、請求項1に記載した過電流保護システムにおいて、事故発生前後の電流波形が同位相及び逆位相の何れの時にも、それぞれ所定の大きさの電流が所定時間継続した際に保護リレーを動作させるものである。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載した過電流保護システムにおいて、前記保護リレーが反限時特性を有するものである。
本発明によれば、系統電流の大きさが設定値を超えて系統事故と判定されたときに、事故前後の電流の位相関係に応じて保護リレーの動作時間を制御することにより、分散電源が連系された配電系統等において、需要家側のリレーを含めた過電流保護システムの適切な保護協調を図ることができ、その適用範囲を大幅に拡大することができる。特に、最近の電子化技術の進歩により、このような判断機能を備えた保護システムは比較的安価に実現可能である。
また、本発明では、分散電源が連系された既存のシステムを大きく変えることなく、単体の保護リレー単体のみの交換によって対応でき、環境に優しい分散電源の普及にも寄与することができる。
更に、本発明の主たる機能はソフトウェアにより実現可能であり、前記特許文献1の従来技術のように回路構成の複雑化を招くおそれもない。
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1はこの実施形態が適用される配電系統の構成図であり、系統構成自体は実質的に図5と同一である。
但し、配電線200,220の長さとしては、標準的な日本の配電系統を想定し、その平均値である3[km]程度とした。配電用変電所100,120の電源インピーダンスはほとんどωL(ω=2πf,f:電源周波数、L:インダクタンス)とし、0.33[Ω]とした。また、配電線200,220のインピーダンスはωLのみの値であって1.2[Ω]とし、実際に存在する抵抗分は無視してある。
なお、配電線の短絡事故において完全短絡はまれであり、アーク抵抗を伴うことが多い。また、事故の様相や電流値、気象条件などでインピーダンスは様々な値となり、かつ時間的にも変化する。従って通常の故障計算はωLのみで行い、抵抗の最大値を考慮して設定値を決めている。
更に、需要家300内に設けられて配電線200に連系される自家用発電設備301のインピーダンスXd’は、過渡インピーダンス事故時の数10[ms]から1秒未満における値であり、約7.5[Ω]程度となる。この値は時間と共に大きくなり、定常状態まで時間が経過すると、Xd(80[Ω])程度になる。従って、短絡電流の試算には、Xd’(約7.5[Ω])を使用した。
需要家300構内の系統インピーダンスは、0.1[Ω]とした。
このような前提で故障電流を計算すると、以下のようになる。なお、配電線200,220の定格電流は400[A]、需要家300の引込線は定格電流100[A]で電圧階級は6.6[kV]とする。
(1)需要家構内事故
需要家300の構内における3線短絡事故(事故点F3)では、配電線200,220から短絡電流が流入し、1相分ではおおよそ数式1のような電流が事故点F3に流入する。
[数式1]
(6,600[V]/√3)/{(電源インピーダンス+配電線インピーダンス)/2+(構内系統インピーダンス)}≒4.4[kA]
このため、保護リレーRy1,Ry3,Ry4の設置地点での電流はいずれも約2.2[kA]であり、定格電流に対する比率では550%となる。また、保護リレーRy2の設置地点での電流は4.4[kA](定格電流の4400%)となる。
通常、定格の20倍を越える領域ではリレーの瞬時要素が数10[ms]で動作する(構内機器の短絡電流に対する過電流強度との関係で決める)。従ってこの場合は、リレーRy2が最先に動作し、他のリレーRy1,Ry3,Ry4については0.5秒程度の動作時間を確保すれば良い。
上記の場合、事故電流値が大きいためリレーRy2は瞬時に動作するが、事故点F3に2[Ω]程度の事故点抵抗(アーク抵抗)rが入ると、電流は数式2のようになる。なお、数式2における左辺分母の合成インピーダンスは、約2.18[Ω]である。
[数式2]
(6,600[V]/√3)/{(電源インピーダンス+配電線インピーダンス)/2+(構内系統インピーダンス+r)}≒1.75kA
このとき、リレーRy1,Ry3,Ry4の設置地点における電流はいずれも約0.82[kA]であり、定格電流に対する比率では205%になると共に、リレーRy2の設置点の電流は1750%となり、その瞬時要素は動作しない。
ここで、図4に示した反限時特性のディジタル形過電流保護リレーにおいて整定値n=1の時は、リレーRy1,Ry3,Ry4は約1秒程度で動作し、需要家300側のリレーRy2は0.25秒程度で動作する。
構内事故(事故点F3)の時はこれで時間協調がとれるが、配電線220上の地点F2の事故では、リレーRy1,Ry3よりRy4の方が早く動作する必要があり、この動作時間差も最低で0.2秒は必要となる。
このような系統では、基本的にリレーRy1,Ry4またはRy3,Ry4には同じ値の電流が流れるので、リレーRy4はリレーRy1,Ry3のどちらに対しても協調がとれる必要がある。配電線200,220の他の制御機器との関係では5秒程度の時間的な余裕があるため、リレーRy1,Ry3とRy4とは動作時間の整定値nを変えて調整することになる。
例えば、リレーRy1,Ry3は、図4における動作時間の整定値n=2、Ry4はn=1にするようなことが考えられる。
(2)上記の需要家構内事故を考慮した保護リレーの整定において、配電線220上の地点F2での短絡事故について検討する。この場合の電流値は下記のようになる。
・配電線200,220の電流:(6,600[V]/√3)/(電源インピーダンス+配電線インピーダンス)≒2.49[kA]
・需要家300の自家用発電設備301からの電流:
(6,600V/√3)/(構内系統インピーダンス+電源インピーダンス(自家用発電設備301のインピーダンスXd’))≒0.50[kA]
すなわち、事故点F2(事故点抵抗はなし)では、配電線200,220から流れる短絡電流が何れも約2.49[kA]であり、需要家300の自家用発電機301による短絡電流は約0.5[kA]であるため、これらの合計は約5.48[kA]となる。つまり、リレーRy1,Ry3には何れも約2.49[kA](623%)が流れ、リレーRy4には約2.99(=2.49+0.5)[kA](748%)、リレーRy2には0.5[kA](500%)の電流が流れることになる。
この場合、前述した図4の特性を有する過電流保護リレーの動作時間は、リレーRy1,Ry3については前述のように整定値n=2の場合に0.75秒、Ry4については整定値n=1の場合に0.35秒、Ry2は0.42秒程度となり、リレーRy2(遮断器CB2)の不要な動作を回避するためにリレーRy2とRy4との間の時間協調をとるのは困難になる。
そこで本発明では、配電線220上の地点F2での短絡事故では、リレーRy2に事故発生前とは逆位相の電流が流れることに着目し、このような場合には、需要家300構内の事故のように事故発生前後の電流が同位相の時とは異なる整定値を用いるようにしたものである。
すなわち、リレーRy2を流れる電流が事故発生前後で逆位相になったときには、一定値以上の大きさの電流が一定時間以上継続して流れた場合にリレーRy2を動作させるように整定値nを制御することとした。
具体的には、リレーRy2の動作時間を、リレーRy4の動作時間の0.35秒と必要最小限の時間差である0.2秒との和である0.55秒以上にすれば、協調がとれるようになる。例えば、リレーRy2については動作時間の整定値nを1.5にすると、図4からその動作時間は約0.6秒になり、リレーRy4との間で協調がとれることになる。
一方、リレーRy1,Ry3の動作時間はリレーRy4より常に長いため、リレーRy2についてはRy4との間だけで協調がとれれば良いとも考えられる。しかし、仮に配電線200上の地点F1で事故が発生しても各部で同じような電流が流れ、この場合にはリレーRy2が早期に動作した方が需要家300内の機器に対する損傷等が少ないため、上述したように例えば動作時間を約0.6秒程度にすることが適切であるといえる。
また、事故点にアーク抵抗が入った場合は各地点の電流値の差が少なくなり、時間協調をとるのが困難になる。前記同様に、事故点抵抗rとして2[Ω]が入った時について以下に検討する。
配電線220上の地点F2で事故が発生した時(事故点抵抗r=2[Ω])の電流値は、下記のようになる。
・配電線200,220の電流:
(6,600[V]/√3)/(電源インピーダンス+配電線インピーダンス+r)≒1.51[kA]
・需要家300の自家用発電設備301からの電流:
(6,600[V]/√3)/(構内系統インピーダンス+電源インピーダンス(自家用発電設備301のインピーダンスXd’)+r)≒0.48[kA]
この時、リレーRy1,Ry3には約1.51[kA](378%)、リレーRy4には約1.9[kA](475%)(位相が異なるため加算にはならない)、リレーRy2には約0.48[kA](480%)の電流が流れる。
各リレーの動作時間は、Ry1,Ry3(n=2):1.05秒、Ry4(n=1):0.44秒となり、また、Ry2はn=1のままであれば0.44秒で動作するが、前記の例のようにn=1.5とすると約0.6秒程度になり、協調がとれるようになる。
上記のように本発明において、各リレーの具体的な整定値は系統条件や機器の構成で異なるが、受電用の保護システムとして幅広い選択肢を提供することができる。
次に、図2は、例えばリレーRy2の主要部を示す機能ブロック図であり、いわゆるディジタルリレーのソフトウェアによって実現される機能である。図2において、図1の配電線200から変流器を介して入力された系統電流(瞬時値)は、事故判定手段401及び電流波形記憶手段402に入力されている。
事故判定手段401は、電流の大きさが設定値を超えたことから系統事故が発生したと判定し、事故判定信号を出力する。また、電流波形記憶手段402は、系統電流波形を逐次記憶している。
位相判定手段403には、現在の系統電流(瞬時値)が入力されており、前記事故判定信号が入力されると現在の電流波形と電流波形記憶手段402に記憶されている数サイクル前の電流波形とを比較し、事故発生前後の電流位相が同一か逆かを判定する。
そして、電流位相が同一である場合には、前述した如く需要家300の構内事故と判断し、この場合にはリレーRy2を瞬時に動作させるように整定値制御手段404を介して整定値nを制御する。
また、電流位相が逆である場合には、前述した如く、例えば連系配電線220における事故と考えられるため、この場合には一定値以上の大きさの電流が一定時間以上継続した場合にリレーRy2を動作させるように整定値制御手段404を介して整定値nを制御する。
なお、上記整定値制御手段404は、請求項1における動作時間制御手段に相当している。
ここで、本実施形態では、もっぱら反限時特性を有する保護リレーの整定値nを変更する場合を説明したが、保護リレーの動作時間を制御する手段としては、位相判定手段403の判定結果に基づいて、例えば動作時間の異なる保護リレーを切り替えて動作させたり、反限時特性の保護リレーの後段に設置した時限の異なるタイマを切り替えて動作させる等の手段であっても良い。何れにしても、実施形態の如く単に整定値nを変更する方法に限定されるものではない。
なお、リレーの設置地点に応じて、事故発生前後の電流位相が逆である場合に瞬時に動作させ、電流位相が同一である場合には、一定値以上の大きさの電流が一定時間以上継続した場合に動作させることが必要なリレーもあるため、図2における整定値制御手段404の動作は各リレーごとに異なるものである。
また、事故発生前後の電流位相に応じて一定時間以上経過後にリレーを動作させる場合、その動作時間は電流の大きさに反比例するように変化させるが、動作時間を任意の値に設定可能としても良い。
更に、事故発生前後の電流位相が同一の場合、逆の場合の何れも、それぞれ所定の大きさの電流が所定時間継続した際に保護リレーを動作させるように各設定値や特性を変化させても良い。
本発明の実施形態が適用される配電系統の構成図である。 本発明の実施形態に係る保護リレーの主要部を示す機能ブロック図である。 一般的な配電系統の構成図である。 反限時特性の過電流保護リレーの動作時間特性及び動作時間精度を示す図である。 2つの配電線の連系系統の構成図である。
符号の説明
100,120:配電用変電所
101,121:電源
102,122:母線
200,220:配電線
201,221:母線
300:需要家
301:自家用発電設備
401:事故判定手段
402:電流波形記憶手段
403:位相判定手段
404:整定値制御手段
501:連系線
Ry1,Ry2,Ry3,Ry4:保護リレー
CB1,CB2,CB3,CB4:遮断器
F1,F2,F3:事故点

Claims (5)

  1. 系統電流の大きさが所定値を超えたことから系統事故の発生を検出する事故判定手段と、
    系統電流の波形を逐次記憶する電流波形記憶手段と、
    前記事故判定手段により系統事故の発生を検出した時に事故発生後の電流波形と前記電流波形記憶手段により記憶された事故発生前の電流波形との位相関係を判定する位相判定手段と、
    この位相判定手段による判定結果に基づいて保護リレーの動作時間を制御する動作時間制御手段と、
    を備えたことを特徴とする過電流保護システム。
  2. 請求項1に記載した過電流保護システムにおいて、
    事故発生前後の電流波形が同位相の時には保護リレーを瞬時に動作させ、逆位相の時には一定値以上の大きさの電流が一定時間継続した際に保護リレーを動作させることを特徴とする過電流保護システム。
  3. 請求項1に記載した過電流保護システムにおいて、
    事故発生前後の電流波形が逆位相の時には保護リレーを瞬時に動作させ、同位相の時には一定値以上の大きさの電流が一定時間継続した際に保護リレーを動作させることを特徴とする過電流保護システム。
  4. 請求項1に記載した過電流保護システムにおいて、
    事故発生前後の電流波形が同位相及び逆位相の何れの時にも、それぞれ所定の大きさの電流が所定時間継続した際に保護リレーを動作させることを特徴とする過電流保護システム。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載した過電流保護ステムにおいて、
    前記保護リレーは、反限時特性を有することを特徴とする過電流保護システム。
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