JP2005208257A - 光弾性複屈折性を減殺した光学樹脂材料 - Google Patents

光弾性複屈折性を減殺した光学樹脂材料 Download PDF

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康博 小池
Akihiro Takaya
明広 多加谷
Hisanori Okita
尚紀 大喜田
Kazunori Sano
和則 佐野
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Abstract

【課題】 光弾性複屈折性が示現し難い光学樹脂材料の提供。
【解決手段】 高分子樹脂に無機物質を共存させて光弾性複屈折性が減殺された光学樹脂材料を提供する。無機微粒子としては、高分子樹脂が有する光弾性複屈折性の符号とは逆符号の光弾性複屈折性と、光学材料に入力される光の波長よりも小さい粒径(100nm以下、特に30nm以下)とを有しているものを採用する。高分子樹脂は重合過程を経て形成することができ、多数の無機微粒子は重合過程の終了前、終了後のいずれに添加されても良い。光弾性複屈折性が減殺された光学樹脂材料を成形等により光学デバイス、光学部品を形成すれば、高分子樹脂のみで構成されるものに比べて光弾性複屈折性が低くなる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、レンズその他種々の光学要素の材料として好適に用いられる光弾性複屈折性を減殺した光学樹脂材料に関し、特に、なんらかの要因で応力がかかるような条件で使用される光学要素の材料に適した高分子樹脂材料に関する。
光弾性複屈折は物質固有の性質であり、光弾性複屈折をほとんど発現しない物質はむしろまれである。例えば高分子樹脂の多くは、外部応力や熱応力により複屈折性を発現する。また、無機物質も、外部応力や熱応力により複屈折性を発現するものが殆どである。このような複屈折を一般に光弾性複屈折と呼んでいる。また、高分子樹脂においては、モノマーからの重合過程において、粘度が高まりながら体積が収縮するため、高分子樹脂固体内部に応力が残留することが多い。このような残留応力により発生する複屈折も光弾性複屈折と考えることができる。光弾性複屈折には、印加される応力の方向に関連して符号を定義することができる。即ち、図1中に矢印で示したように、媒体(高分子樹脂、無機物質等)に引っ張り応力を加えた場合、引っ張り応力と平行な方向に偏光面を有する偏光に対する屈折率nparaと、それに直交する方向に偏光面を有する偏光に対する屈折率nperpに対して、下記(1)式で表わされるΔnの正負で光弾性複屈折の符号が表現される。
Δn=npara−nperp ・・・・・(1)
つまり、nparaの方がnperpよりも大きい場合に光弾性複屈折値は正、小さい場合は負となる。
光弾性複屈折は物質固有の性質であり、まれに光弾性複屈折をほとんど発現しない物質も存在するが、殆どの物質は正の光弾性複屈折を示すものと負の光弾性複屈折を示すものに大別できる。
ところで、光学用の用途で用いられる高分子樹脂は、種々のレンズや光学フィルムなどを代表とするさまざまな光学デバイス・部品に用いられているが、これらの光学デバイス・部品は、通常、何らかの方法で機器に固定された状態で使用されるため、外部からある程度以上の力が加わり内部に応力が生じることが避けられない。なぜならば、何の物体にも接触せずに空間に浮かんでいるような状況でない限り、必ず何かに接触することにより、有限の力が媒体にかかり、応力が生じるからである。そして、応力が生じれば、ほとんどの場合、高分子樹脂中に光弾性複屈折が発現する。
また、上記したような使用中にかかるような外力に起因する応力とは別に、高分子樹脂には熱応力がかかり易い。熱応力は、例えば射出成形や押出成形などのように、一般に、高温の溶融した状態を経て高分子樹脂を成形する場合に生じる。即ち、溶融状態から室温まで成形品の温度が下がり、全体の体積が収縮する時に、温度が下がるにつれて粘度も上昇するため、高分子樹脂が全体の収縮率に応じて動くことが困難になり、応力が発生する。これが熱応力である。
更に、成形後の高分子樹脂に対し、不均一に熱が加えられた場合にも、加熱の度合いにより各部分の体積膨張率が異なるために、同様に熱応力が発生する。この熱応力によっても光弾性複屈折が発現する。具体的には、ある光学デバイス・部品の一方の面に、加熱しながら何らかの加工を施したり、この光学デバイス・部品を取り付けた機器の使用時に不均一に熱がかかることにより、熱応力が発生する場合が多い。後者の場合、機器の電源投入後数分〜数十分の過渡的な現象である場合もある。これらの外部応力や熱応力により発現する光弾性複屈折は、デバイスの性能を制限する。また、前述のような過渡的な場合でも、安定した性能を発揮するためには、電源投入後のウォームアップ時間が長くするような不都合を生じる。
光学樹脂材料の複屈折性を低減させることについて、下記の特許文献1〜3に開示がある。
先ず特許文献1は、透明性の高分子樹脂材料中に、使用する光の波長より小さいサイズを有する分子配向抑制粒体を混入した状態で配向処理することで、複屈折性を低減した光学樹脂材料を得ることを開示している。分子配向抑制粒体としては、分極に関して等方性を有する物質よりなる粒体または形状に関して等方性を有する粒体が用いられている。即ち、この技術は、分子配向抑制粒体の存在により、高分子樹脂材料のポリマー鎖に生ずる配向の程度を抑制することで、配向処理によって発現する複屈折性を低減したものである。用途としては、液晶素子や光ディスクが挙げられている。
次に特許文献2は、透明性の高分子樹脂中に、使用する光の波長より小さいサイズを有する複屈折性補償用粒体を混入することで、複屈折性を低減した光学樹脂材料を得ることを開示している。複屈折性補償用粒体としては、分極に関して等方性を有する物質よりなる粒体または形状に関して等方性を有する粒体を用いている。この技術では、高分子樹脂のポリマー鎖が配向されている場合には、複屈折性補償用粒体の分布が、ポリマー鎖の配向方向に疎で、配向方向と交差する方向に密とされ、これにより、高分子樹脂における配向複屈折性が、複屈折性補償用粒体による分布複屈折性により補償される。用途としては、液晶素子や光ディスクが挙げられている。
そして、特許文献3には、透明な高分子樹脂に、同高分子樹脂の配向複屈折性を打ち消す複屈折性を有する無機物質を添加することで、配向複屈折性を低減した光学樹脂材料を得る技術が開示されている。ここで添加される無機物質には、高分子樹脂の成形時に結合鎖が外力により配向するのに伴って同結合鎖の配向方向と同じ方向に配向する性質と、そのような同方向の配向により、高分子樹脂が持つ配向複屈折性を打ち消すことができるような複屈折性を持つものが選ばれる。つまり、添加される無機物質には、応力を印加していない状態で複屈折性を持ち、且つ、高分子樹脂の結合鎖の配向方向と同方向へ配向する性質が求められている。
特開2001−208901号公報 特開2000−313816号公報 国際公開 WO 01/25364号公報
しかし、上記従来技術では、光学樹脂に示現する光弾性複屈折の問題の十分な解決手段とはなっていない。
先ず上記特許文献1に記載された技術は、使用する光の波長より小さいサイズを有する分子配向抑制粒体を添加することで、成形過程での高分子樹脂鎖の配向を抑制するもので、光弾性複屈折性を解決する手段を提供するものではない。特許文献2に記載された技術は、複屈折性補償用粒体を混入することで、高分子樹脂マトリックスが持っている複屈折性を打ち消すものであるが、ここで打ち消そうとしているのは、外力印加や熱応力で示現される光弾性複屈折性ではない。
また、添加される無機微粒子の複屈折性(特に光弾性複屈折性)は全く関係無い。特許文献2に開示された手法は、基本的に高分子樹脂の配向による複屈折を、無機物質微粒子の分布複屈折効果により相殺しようとするもので、印加される外力や熱応力の大きさに応じて示現する光弾性複屈折性を抑止するものではない。
特許文献3に記載された技術の特徴は、上述の通り、応力を印加していない状態でも複屈折性を有する複屈折性結晶を添加し、その複屈折性により、成形過程で生じる高分子樹脂鎖の配向複屈折を相殺する点にあり、光弾性複屈折性を減殺する目的に叶っていない。また、それを可能にするためには複屈折性結晶が、高分子鎖の配向とともに配向する必要がある。従って、応力の印加されていない状態では殆ど複屈折を発現しないアモルファスあるいは等方性の結晶は使用できない。
そこで本発明の目的は、外力印加や熱応力によって光弾性複屈折性が示現し難い光学樹脂材料を提供することにある。また、そのことを通して、本発明は、なんらかの要因で応力がかかるような条件で使用される光学要素について、光弾性複屈折性の示現により性能低下を起こすことを防止しようとするものである。
本発明は、互いに逆符号の光弾性複屈折性を示す高分子樹脂と無機物質を共存させることで、光弾性複屈折性が減殺された光学樹脂材料を提供し、上記課題を解決するものである。
即ち、本発明によれば、光弾性複屈折性を有する透明な高分子樹脂からなるマトリックスと、前記マトリックス中に分散された多数の無機微粒子とを含む、光弾性複屈折性を減殺した光学樹脂材料が提供される。前記無機微粒子としては、前記高分子樹脂が有する光弾性複屈折性の符号とは逆符号の光弾性複屈折性と、前記光学材料に入力される光の波長よりも小さい粒径とを有しているものが採用される。
無機微粒子の粒径の実際的な数値としては、100nm以下であることが好ましく、30nm以下であることが更に好ましい。多くの場合、アモルファス物質の微粒子または幾何学的に等方性の結晶微粒子は、応力が印加されていない状態では、ほとんど複屈折性を示さない。完全なアモルファス状態であれば複屈折を発現しない。前記高分子樹脂は重合過程を経て形成することができ、前記多数の前記無機微粒子は、前記重合過程の終了前、終了後のいずれに添加されても良い。以上が発明の要点であるがいくつかの点について補足しておく。
一般に、光学用途に多用されている高分子樹脂はアモルファス(無定形)であり、完全なアモルファス状態であれば複屈折を発現しない。しかし、射出成形や押出成形などの成形において、高分子樹脂鎖が配向し、最終的に得られる成形品において外力が印加されていないにも関わらず、複屈折を発現する場合がある。本発明は、外部応力や熱応力が印加されていない状態で、上述のような複屈折を示す高分子樹脂成形品においても効果があり、もちろんそのような状態で複屈折を示さない高分子樹脂成形品においても効果がある。また、熱可塑性の高分子樹脂に対しても有効であり、熱硬化性の高分子樹脂に対しても有効である。添加する無機物質は、石英ガラス微粒子(シリカ微粒子)のようなアモルファス物質または幾何学的に等方性の結晶が適しているが、微粒子の幾何学的形状について本質的な制限はない。例えば球状、棒状、針状、板状、円盤状、立方体状、直方体状、錘状、金平糖状、不定形状等、特に許容されない形状はない。
これらの材料を微粒子化し、高分子樹脂中に添加する。粒子径は、上述の通り、使用する光の波長より小さいものを用いる。望ましくは100nm以下、更に望ましくは30nm以下である。
物質の光弾性複屈折性は光弾性定数cにより表わすことができる。前述の式(1)で表わされる光弾性複屈折をΔn、応力の大きさをδ(≧0)とすれば、それらの関係は下記(2)式で表わされる。
Δn=cδ ・・・・・(2)
前述したことから、光弾性定数cが正の物質は正の光弾性複屈折性を示し、負の物質は負の光弾性複屈折を示す。例えば、代表的な光学用途で用いられる代表的な透明樹脂であるポリカーボネート、ポリスチレンは正の光弾性複屈折性を示す一方、負のものとしてはポリメチルメタクリレート、エポキシ樹脂などが知られている。
なお、物質の中には光弾性複屈折性について異方性を示すもの、即ち、粒子の特定の方向(例えば棒状粒子の長軸方向)を基準(z軸方向とする)とした時、z方向、x方向、y方向について実質的に異なる光弾性定数を持つものがある。本明細書では、そのような物質についても、z方向、x方向、y方向のすべて(cz,cx,cy )が正である場合には、「光弾性の符号」を「正」と定義し、すべてが負である場合には、「光弾性の符号」を「負」と定義するものとする。更に、正負混合の光弾性定数の方向成分を持つものについては、「符号の定義不能な物質」として、本発明で用いる微粒子材料から排除するものとする。即ち、本発明ではそのような「光弾性異方性を有し、且つ、異符号の光弾性方向成分を持つ微粒子」は使用しない。
本発明は、学術的に化学構造と光弾性定数が明らかにされているような高分子樹脂に対して有効であるが、もちろんアートン(登録商標;JSR株式会社製)、ゼオノア(登録商標;日本ゼオン株式会社製)、アペル(登録商標;三井化学株式会社製)などのようにさまざまなグレードが販売されており、それぞれの化学構造と光弾性定数が明確に公表されていないような高分子樹脂に対しても有効である。また、非常に高耐熱性の光学樹脂であるポリエーテルサルフォンやポリイミドに対しても有効である。基本的には、正負いずれかの光弾性複屈折性を示すあらゆる光学用高分子樹脂に対し有効であり、特定の化学構造のものに限定されるわけではない。
一方、無機物質にも光弾性定数が正のもの、負のものいずれも容易に入手可能である。例えば石英ガラス(シリカ)、ホウ珪酸ガラスなどが正の光弾性定数を持つ無機物質として知られている。負のものとしては、フリントガラス(SF59)、特殊ガラスPBH71などがある。本発明で使用できる無機物質はこれらに限定されるものではなく、高分子樹脂が有する光弾性複屈折性の符号とは逆符号の光弾性複屈折性を有し、使用する光の波長よりも小さい粒径とを有する限り、アモルファス物質、等方性の結晶等を含む多様な物質の微粒子が採用可能である。但し、本発明は光学樹脂材料を提供するものである以上、無機物質(微粒子)は、使用波長において、デバイスの特性に悪影響を及ぼすような光吸収を示すものでないことが望ましい。
無機物質を高分子樹脂に添加する方法としては、重合開始前、または重合開始後から重合終了前までにモノマー溶液に添加する方法や、重合終了後のポリマーへ添加する方法がある。前者の方法では、粉末状の無機物質微粒子をそのままモノマー溶液に添加しても良いし、有機溶剤などの溶媒に無機物質微粒子を分散させた状態でモノマー溶液と混合し、その後、有機溶剤を取り除くことにより高分子樹脂中へ導入しても良い。後者の方法では、粉末状の無機物質微粒子を高分子樹脂へ混練することにより添加しても良いし、高分子樹脂を有機溶媒へ溶かした高分子樹脂溶液中へ粉末状の無機物質微粒子を添加するか、あるいは有機溶剤等に分散させた状態で添加し、その後、有機溶剤を取り除くことにより高分子樹脂中へ導入しても良い。
更に、無機物質微粒子は、その表面をさまざまな種類の表面処理剤により、さまざまな方法により表面処理されていても構わない。本発明が提供する無機物質微粒子含有高分子樹脂は、種々の光学レンズ、液晶プラスチック基板、光学フィルムなどの様々な光学部品に使用することができる。また、種々の光学部品に薄膜状のコーティング材料や、接着材として用いることもできる。また、LEDなどの様々な発光素子のモールディング材料、封止剤として使用することも可能である。
本発明が提供する光学樹脂材料を、上記のような光学部品へ成形する方法については、様々な方法を選ぶことが可能である。例えば本発明が提供する光学樹脂材料からなるペレットを用いて、射出成形、押出成形などにより成形することができる。また、上述の方法などによりモノマー溶液に無機微粒子を分散させた状態で、所望の形状の型へ流し込み、型中で重合を行うことにより成形することも可能である。さらには、無機微粒子を分散させたモノマー溶液、あるいはある程度予備重合を行い、粘度を調整したモノマー溶液(つまり厳密にはポリマーやオリゴマーを含んだもの)を、様々な光学部品の隙間、表面に塗布し、重合させても良い。
一般的な封止剤の使用方法もこの方法に含まれる。これらの重合は、熱重合による方法も、光重合による方法も可能であり、重合方法に依存しない。また、高分子樹脂を有機溶媒へ溶かした高分子樹脂溶液中に無機物質微粒子を分散させたものを、薄く広げ、有機溶剤を取り除くことにより光学フィルムを作製することも可能である。また、光学フィルムやその他の光学部品表面に塗布し、有機溶剤を取り除くことにより、薄膜層とすることも可能である。
これらの方法により成形し、得られた光学デバイスおよび光学部品、もしくはそれ以外の方法によるものであっても、本願で開示するような組み合わせで無機物質を高分子樹脂中に導入することにより得られた光学デバイスおよび光学部品は、高分子樹脂のみに比べて光弾性複屈折性を低減することができる。
本発明によれば、外力印加や熱応力によって光弾性複屈折性が示現し難い光学樹脂材料を提供することができる。また、なんらかの要因で応力がかかるような条件で使用される光学要素に本発明に係る光学樹脂材料を用いることで、光弾性複屈折性の示現による性能低下を効果的に防止することが可能になる。
先ず、本発明に従った光弾性複屈折性減殺型の樹脂材料の具体例とその製造方法の例を、実施例1〜実施例5として説明する。
イソプロピルアルコールに分散した平均粒径約20nmのほぼ球状のシリカ(石英、SiO )を、メチルメタクリレートへいくつかの濃度で添加・分散させた。この分散液からエバポレーターを用い、イソプロピルアルコールを取り除くことによって得られた(シリカ/メチルメタクリレート)分散液を重合した。重合は、重合開始剤としてt−Butyl peroxy−2−ethylhexanoateを0.5wt%、連鎖移動剤としてn−Butyl mercaptanを0.3wt%を用い、70℃で24時間行った。
その後、減圧下、90℃で24時間、110℃で24時間熱処理を行った。得られた試料を溶融させ、ペレット化した。ペレットをさらに減圧下、130℃で24時間熱処理した。このようにして得られたペレットを用いて、射出成形を行い、円柱状試料を作製した。円柱状試料に応力を印加して光弾性複屈折を測定したところ、下記表1に示すように、それらのすべてにおいて光弾性定数の低減が確認された。低減の効果は、シリカの添加量に比例して大きくなった。なお、PMMAの光弾性定数は−4.334×10−12 Pa−1であり、シリカの光弾性定数は+3.50×10−12 Pa−1である。即ち、光弾性定数は正と負の組み合わせとなっている。
Figure 2005208257
平均粒径約20nmのほぼ球状のシリカ(石英、SiO )を、メチルメタクリレートへ15wt%の濃度で添加・分散させた。この(シリカ/メチルメタクリレート)分散液を重合型へ流し込み、重合し、円柱状試料を作製した。重合は、重合開始剤としてt−Butyl peroxy−2−ethylhexanoateを0.5wt%、連鎖移動剤としてn−Butyl mercaptanを0.3wt%を用い、70℃で24時間行った。その後、減圧下、90℃で24時間、110℃で24時間熱処理を行った。得られた円柱状試料に応力を印加して光弾性定数を測定したところ、−2.6×10−12 Pa−1となり、光弾性定数の低減が確認された。
なお、PMMAの光弾性定数は −4.334 (×10−12Pa−1)であり、シリカの光弾性定数は3.50×10−12 Pa−1であり、正と負の組み合わせである。これと同一の組成になるように型中で重合反応を行い、レンズを作製したところ、外力を印加しても発現する光弾性複屈折のより小さいものが得られた。
平均粒径約20nmのほぼ球状のシリカ(石英、SiO )を、メチルメタクリレートへ15wt%の濃度で添加・分散させた。この(シリカ/メチルメタクリレート)分散液を重合型へ流し込み、重合し、平板状(30mm×30mm×2mm)試料を作製した。重合は、重合開始剤としてt−Butyl peroxy−2−ethylhexanoateを0.5wt%、連鎖移動剤としてn−Butyl mercaptanを0.3wt%を用い、70℃で24時間行った。比較のため、シリカを添加していないポリメチルメタクリレートの平板試料も、同様に作製した。厚さ2mmの平板試料の厚さ方向にレーザーを透過させ、そのレーザー光の位相変化を光ヘテロダイン法で解析することにより、リタデーション(複屈折値×光路長)を求めた。測定は板状試料の周辺から5mm内側を、5mm間隔で25点について行い、その平均値を比較することにより行った。
リタデーションは、シリカを添加しないポリメチルメタクリレートでは23nmであったのに対し、シリカを添加した場合では7nmとなった。これにより、重合過程に生じる残留応力による複屈折を低減する効果があることが確認できた。PMMAの光弾性定数は −4.334×10−12 Pa−1であり、シリカの光弾性定数は3.50×10−12 Pa−1であり、正と負の組み合わせとなっている。
平均粒径約20nmのほぼ球状のシリカをエポキシ樹脂へ5 wt%、10 wt%、 15wt%の濃度で添加・分散させ、重合型内で重合し、円柱状試料を作製した。応力を印加して光弾性複屈折を測定したところ、それらのすべてにおいて光弾性複屈折の低減が確認された。これらの試料の光弾性定数を下記表2に示す。いずれの濃度においても、光弾性定数が低減されていることがわかる。エポキシ樹脂の光弾性定数は −52×10−12 Pa−1、シリカの光弾性定数は3.50×10−12 Pa−1であり、正と負の組み合わせとなっている。
Figure 2005208257
平均粒径約20nmのほぼ球状のシリカをエポキシ樹脂へ5 wt%、10wt%、 15wt%の濃度で添加・分散させ、重合型内で重合し、板状(30mm×30mm×2mm)試料を作製した。比較のため、シリカを添加していないエポキシ樹脂の平板試料も、同様に作製した。厚さ2mmの平板試料の厚さ方向にレーザーを透過させ、そのレーザー光の位相変化を光ヘテロダイン法で解析することにより、リタデーション(複屈折値×光路長)を求めた。測定は板状試料の周辺から5mm内側を、5mm間隔で25点について行い、その平均値を比較することにより行った。リタデーションは、シリカを添加しないエポキシ樹脂では53nmであったのに対し、シリカを添加した場合では19nmとなった。
これにより、重合過程に生じる残留応力による複屈折を低減する効果があることが確認できた。エポキシ樹脂の光弾性定数は −52 (10−12Pa−1)であり、シリカの光弾性定数は3.50 (10−12Pa−1)であり、正と負の組み合わせである。
以上説明したように、本発明によって得られる光弾性複屈折性減殺型の光学樹脂材料は、その低い光弾性複屈折性非複屈折性と樹脂材料特有の成形のし易さ、量産に適していることなどを生かして、各種の用途の光学部材の材料に採用し得る。特に、低い光弾性複屈折性が望まれる例として、液晶表示素子への適用がある。
図2は、本発明によって得られる光学樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の例を断面図で示したものである。同図において、符号10は液晶層で、基板11a、11bの間に封入されている。基板11a、11bの両側には、1対の偏光板ユニット12a、12bが設けられる。偏光板ユニット12a、12bは、それぞれ偏光板13を樹脂シート14ではさんだ構造を有している。そのため、樹脂シート14には応力がかかるが、この樹脂シート14を本発明に従った光学樹脂材料で構成すれば、偏光板13を保護するとともに、光弾性複屈折による光線分離を伴わない光透過を可能にする。
図3は、本発明によって得られる光学樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の別の例を断面図で示したものである。同図において、符号10は液晶層で、基板15a、15bの間に封入されている。基板15a、15bの両側には、1対の偏光板ユニット16a、16bが設けられる。偏光板ユニット16a、16bは、それぞれ偏光板13をその外側から樹脂シート14で覆った構造を有している。そのため、樹脂シート14には応力がかかるが、この樹脂シート14を本発明に従った光学樹脂材料で構成すれば、偏光板13を保護するとともに、光弾性複屈折による光線分離を伴わない光透過を可能にする。
光弾性複屈折性の符号について説明する図である。 本発明によって得られる光弾性複屈折性減殺樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の例を断面図で示したものである。 本発明によって得られる光弾性複屈折性減殺樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の別の例を断面図で示したものである。
符号の説明
10 液晶層
11a、11b、15a、15b 基板
12a、12b、16a、16b 偏光板ユニット
14 樹脂シート

Claims (4)

  1. 光弾性複屈折性を有する透明な高分子樹脂からなるマトリックスと、前記マトリックス中に分散された多数の無機微粒子とを含む、光弾性複屈折性を減殺した光学樹脂材料であって:
    前記無機微粒子は、前記高分子樹脂が有する光弾性複屈折性の符号とは逆符号の光弾性複屈折性と、前記光学材料に入力される光の波長よりも小さい粒径とを有している、前記光学材料。
  2. 前記無機微粒子の粒径が100nm以下である、請求項1に記載された光学材料。
  3. 前記高分子樹脂は重合過程を経て形成されたものであり、
    前記多数の前記無機微粒子は、前記重合過程の終了前に添加されたものである、請求項1または請求項2に記載された光学材料。
  4. 前記高分子樹脂は重合過程を経て形成されたものであり、
    前記多数の前記無機微粒子は、前記重合過程の終了後に添加されたものである、請求項1または請求項2に記載された光学材料。
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