JP5074956B2 - 低複屈折性光学樹脂材料及び光学部材 - Google Patents
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Description
ところで、ガラス転移温度未満では、弾性的な変形があっても、一般的な光学ポリマーの主鎖の動きはほぼ凍結されており、主鎖の配向状態自体は実質的に不変であることが知られている。従って、光弾性複屈折は、分子レベルのミクロな視点で見ても前述の配向複屈折とは異なるメカニズムで発現していると考えられる。
以上、3つの手法についてまとめると、非特許文献1、特許文献1及び非特許文献2で開示されているように、配向複屈折性がそれぞれ異符号の関係にある2成分を共重合あるいは一方に他方を添加することにより配向複屈折をほぼ消去する方法、同様に光弾性複屈折性がそれぞれ異符号の関係にある2成分を共重合あるいは一方に他方を添加することにより、光弾性複屈折をほぼ消去する方法は知られている。
別の云い方をすれば、それ以外の要素は、第1成分及び第2成分と比べて無視できる微量(例えば低複屈折性光学樹脂材料中の重量百分率で1.0wt%未満)しか含まれていないということある。
先ず、上記(i)を採用する場合について、組成比の具体的な定め方について例を記す。
[1]先ず、モノマー1及びモノマー2を用意し、各モノマーの重合反応によりホモポリマーを合成する。ここでは、モノマー1の重合反応で得られたホモポリマーをホモポリマー1、モノマー2の重合反応で得られたホモポリマーをホモポリマー2と呼ぶことにする。
[2]各ホモポリマー1、2について円柱状試料を作製し、周知の方法に従って光弾性定数を測定する。即ち、各試料にガラス転移温度より十分低い温度(例えば室温20度)の下で外部応力を印加し、それによって生じる光弾性複屈折を測定する。
[5]一軸延伸機を用いて各フィルム1、2に一軸延伸処理を施す。なお、延伸に際しては、各フィルム1、2内のポリマー主鎖の配向度を適当な範囲(例えば配向度f=0.01〜0.1)になるように延伸の度合を調整する。
Δnor=f×Δn0 ・・・(1)
ここでΔn0は固有複屈折で、光学樹脂材料毎に配向複屈折の起し易さを表わす指標であり、ホモポリマー、コポリマー(共重合体)いずれを基材とする光学樹脂材料にも定義され得る。また、配向度fはポリマー主鎖の配向の程度を表わす指標で、ポリマーが完全に一方向に配向した状態をf=1で表わす。この時の配向複屈折の大きさ(±符号付)が、固有複屈折Δn0に対応する。
Δnor(1)=[0.03/f(1)]×Δn0(1) ・・・(2)
Δnor(2)=[0.03/f(2)]×Δn0(2) ・・・(3)
ここで、Δnor(1)、Δnor(2)、f(1)、f(2)、Δn0(1)、Δn0(2)の定義は次の通りである。
Δnor(2);フィルム2(ホモポリマー2)の換算後の複屈折
f(1);上記[6]の測定を行った際のフィルム1の配向度
f(2);上記[6]の測定を行った際のフィルム2の配向度
Δn0(1);ホモポリマー1の固有複屈折
Δn0(2);ホモポリマー2の固有複屈折
・・・(4)
また、共重合体の配向複屈折Δnor(×10-4)は次式(5)で表わされる。
Δnor=c×(x/100)+d×[(100−x)/100]
・・・(5)
‖式(5)の右辺‖<δor ・・・(※2)
そこで、上記(※1)及び(※2)を同時に満たすx(wt%)の値(一般にはx(wt%)の値の範囲)を、0<x<100の範囲内で見つけて、定めなければならない。この要求が達成され得る条件及びx(wt%)の値(範囲)の求め方については、後述する。なお、記号‖‖は絶対値を表わす記号である。
上記した(i)−1の方法では、2元系共重合体の構成元たるポリマー1、2の各成分について、固有配向複屈折Δnor(1)、Δnor(2)を知る過程で、延伸後のフィルム1(ホモポリマー1製)及びフィルム2(ホモポリマー2製)の配向度fのデータを用いている。しかし、ポリマーの種類によっては、ホモポリマーの主鎖の配向度を分析により求めることが困難な場合がある。
[1]先ず、いくつかの共重合組成比のモノマー1とモノマー2からなる共重合体を合成する。
[2]得られた各共重合体からなる円柱状試料を作製する。
[4]その結果から、各共重合組成における光弾性定数を求める。周知のように、一般に、モノマー1、2を構成元とする共重合体の光弾性定数ΔnEと、モノマー1の共重合組成比CM1(wt%)との間には、次式(6)の関係が近似的に成立する。
ΔnE=A×CM1+B ・・・(6)
a=A×100+B ・・・(7)
b=B ・・・(8)
となる。
[7]各フィルムを一軸延伸し、生じた配向複屈折を測定する。その際、フィルム内での共重合体分子の主鎖の配向度を適当な範囲の値(例えば配向度f=0.01〜0.1)になるように延伸の度合を調整する。
[8]各フィルム(延伸後)について得られた配向複屈折値を、前出の式(1)の関係に基づいて、配向度0.03の値に換算する。換算法については既述の通りである。
Δnor=C×CM1+D ・・・(9)
ここで、C及びDは定数であり、それらの値(最適値)を、上記[7]の測定結果から定めることができる。例えば、CM1を横軸にとり、配向複屈折のf=0.03における換算値を縦軸にとって、上記[7]で得られた換算値(f=0.03)をプロットする。そして、プロット点列が表わしている直線を定める。プロット点が3点以上の場合は、この直線の決定に周知の最小2乗法が利用できる。得られた直線の勾配がCであり、ゼロ切片がDである。
c=C×100+D ・・・(10)
d=D ・・・(11)
・・・(12)
また、共重合体の配向複屈折(固有配向複屈折)Δnor(×10-4)は次式(13)で表わされる。
Δnor=c×(x/100)+d×[(100−x)/100]
・・・(13)
‖式(13)の右辺‖<δor ・・・(※4)
そして、(i)−1の場合と同様に、上記(※3)及び(※4)を同時に満たすx(wt%)の値(一般にはx(wt%)の値の範囲)を、0<x<100の範囲内で見つけて、定めなければならない。この要求が達成され得る条件及びx(wt%)の値(範囲)の求め方については、後述する。
この方法では、1種類の低分子有機化合物が添加されたホモポリマーを合成する。2成分系を構成する第1成分及び第2成分については下記のように考えることができる。
・第1成分=ホモポリマー(より厳密に云えば、そのホモポリマーの構成元であるモノマーに由来するポリマー成分)
・第2成分=添加される低分子有機化合物
[2]得られた各ホモポリマー1からなる円柱状試料を作製する。
[3]各円柱状試料について、ガラス転移温度より十分低い温度(例えば室温20度)の下で外部応力を印加し、それにより生じる光弾性複屈折を測定する。
[4]その結果から、各添加濃度における光弾性定数を求める。周知のように、一般に、低分子有機化合物を添加濃度CAMで添加したホモポリマーの光弾性定数ΔnEと、添加濃度CAM(wt%)との間には、次式(14)の関係が近似的に成立する。
ΔnE=H×CAM+G ・・・(14)
g=G ・・・(15)
h=100×H+G ・・・(16)
となる。
[7]各フィルムを一軸延伸し、生じた配向複屈折を測定する。その際、フィルム内でのホモポリマー分子の主鎖の配向度を適当な範囲の値(例えば配向度f=0.01〜0.1)になるように延伸の度合を調整する。
[8]各フィルム(延伸後)について得られた配向複屈折値を、前出の式(1)の関係に基づいて、配向度0.03の値に換算する。換算法については既述の通りである。
Δnor=J×CAM+I ・・・(17)
ここで、I及びJは定数であり、それらの値(最適値)を、既述の手法で定めることができる。例えば、CAMを横軸にとり、配向複屈折のf=0.03における換算値を縦軸にとって、上記[7]で得られた換算値(f=0.03)をプロットする。そして、プロット点列が表わしている直線を定める。プロット点が3点以上の場合は、この直線の決定に周知の最小2乗法が利用できる。得られた直線の勾配がJであり、ゼロ切片がIである。
i=I ・・・(18)
j=100×J+I ・・・(19)
ΔnE=h×(y/100)+g[(100−y)/100]
・・・(20)
また、添加濃度yのホモポリマー1の配向複屈折Δnor(×10-4)は次式(21)で表わされる。
Δnor=j×(y/100)+i×[(100−y)/100]
・・・(21)
ΔnE=g×(x/100)+h[(100−x)/100]
・・・(22)
Δnor=i×(x/100)+j×[(100−x)/100]
・・・(23)
‖式(23)の右辺‖<δor ・・・(※6)
そして、(i)−1あるいは(i)−2の場合と同様に、上記(※5)及び(※6)を同時に満たすx(wt%)の値(一般にはx(wt%)の値の範囲)を、0<x<100の範囲内で見つけて、定めなければならない。この要求が達成され得る条件及びx(wt%)の値(範囲)の求め方については、後述する。なお、本ケースでは、x=100−yであるから、0<x<100は、0<y<100と等価である。
・・・(4)
ΔnE=a×(x/100)+b×[(100−x)/100]
・・・(12)
ΔnE=g×(x/100)+h[(100−x)/100]
・・・(22)
ΔnE=α×(x/100)+β×[(100−x)/100]
・・・(24)
・・・(5)
Δnor=c×(x/100)+d×[(100−x)/100]
・・・(13)
Δnor=i×(x/100)+j×[(100−x)/100]
・・・(23)
Δnor=γ×(x/100)+η×[(100−x)/100]
・・・(25)
・(i)−1のケース;
α=a
β=b
γ=c
η=d
・(i)−2のケース;
α=a
β=b
γ=c
・(ii)のケース;
α=g
β=h
γ=i
η=j
‖式(24)の右辺‖<δE ・・・(※7)
‖式(25)の右辺‖<δor ・・・(※8)
xE=式(24)の右辺=0となるx(wt%)の値
xor=式(25)の右辺=0となるx(wt%)の値
すると、先ず式(24)の右辺はxに関する1次式であるから、式(※7)を満たすxの範囲は、次のように書ける。
xE−ΔxE<x<xE+ΔxE ・・・(26)
xor−Δxor<x<xor+Δxor ・・・(27)
ここで、Δxorは正値(Δxor>0)で、式(※8)の条件下で許容される「xorからの偏差の臨界値」を表わしている。これを模式的にグラフ表示すれば、図1(b)のようになる。このグラフにおいて、横軸は第1成分の成分比(組成比)xの値(wt%)の値を表わし、縦軸は配向複屈折の値(×10-4)を表わしている。なお、直線の勾配は負として描かれているが、これも例示である。一般には、xの係数の符号に応じて正負いずれもあり得る。また、同グラフにおいて、配向複屈折絶対値の上限をF、下限を−Fで表わしている。云うまでもなく、F=δor>0である。以下の説明では、便宜上、δorに代えてこのFを使用する。
x1=xE−ΔxE
x2=xE+ΔxE
x3=xor−Δxor
x4=xor+Δxor
そして、これらx1〜x4を用いて、xについて範囲1及び範囲2を次のように定める。
範囲1;x1<x<x2
範囲2;x3<x<x4
すると、範囲1は上記式(※7)を満たすxの範囲となり、範囲2は上記式(※8)を満たすxの範囲となる。
●条件2;上記範囲3内に、0<x<100となる少なくとも1つのxが存在すること。
すると、この範囲4は求めるべきxの範囲に他ならない。即ち、範囲4に属するxを第1成分の成分比として採用すれば、配向複屈折の大きさ(絶対値)と光弾性複屈折の大きさ(絶対値)とをそれぞれF(=δor)未満及びE(=δE)未満に抑えた2成分系を得ることができる。
●ケース1;図2(a)に示したように、x2とx3の間に空白範囲BL1が存在するケース。このケースは、xE(範囲1の中央値)<xor(範囲2の中央値)の時にのみ生じる可能性がある。換言すれば、xE>xorの時には生じ得ない。
●ケース3;図2(c)に示したように、x2=x3のケース。このケースは、xE(範囲1の中央値)<xor(範囲2の中央値)の時にのみ生じる可能性がある。換言すれば、xor<xEの時には生じ得ない。
●ケース4;図2(d)に示したように、x4=x1のケース。このケースは、xor(範囲2の中央値)<xE(範囲1の中央値)の時にのみ生じる可能性がある。換言すれば、xor>xEの時には生じ得ない。
‖xE−xor‖<ΔxE+Δxor ・・・(※9)
つまり、この(※9)式が、条件1が満たされるか否かの判別式となる。そこで、この判別式(※9)を前出の諸パラメータα、β、γ、η、E(=δE)、F(=δor)を用いて書き直すことを考える。
ここで、xの係数(α−β)/100は、図1(a)に示した直線の勾配を表わし、βはx=0とした時のΔnEの値を表わしている。
また、式(25)は、右辺を整理して次の式(29)に書き直すことができる。 Δnor=[(γ−η)/100]x+η ・・・(29)
ここで、xの係数(γ−η)/100は、図1(b)に示した直線の勾配を表わし、ηはx=0とした時のΔnorの値を表わしている。
xE=−[β/(α−β)]×100 ・・・(30)
となる。
また、上記式(29)において、右辺=0とすれば、
xor=−[η/(γ−η)]×100 ・・・(31)
となる。
ΔxE=‖100/(α−β)]‖E ・・・(32)
また、Δxorは、‖上記式(29)の右辺‖=Fとするxとxorとの差の絶対値として、下記(33)のように求められる。
Δxor=‖100/(γ−η)]‖F ・・・(33)
‖−[β/(α−β)]+[η/(γ−η)]‖<‖[E/(α−β)]‖+‖[F/(γ−η)]‖ ・・・(※10)
結局、この不等式(※10)は、前記条件1が満たされるための必要十分条件を与える。そして、この不等式(※10)が満たされる場合、ΔnE<E且つΔnor<Fとなるxの範囲(即ち、範囲3)が存在し得る。従って、(※10)は、範囲3が存在するか否かを判別する判別不等式であると云える。
Max(x1,x3)<x<Min(x2,x4) ・・・(※11)
前出の式(30)〜(33)を使えば、x1〜x4は次のように表わされる。
x1=−[β/(α−β)]×100−‖100/(α−β)]‖E
・・・(34)
x2=−[β/(α−β)]×100+‖100/(α−β)]‖E
・・・(35)
x3=−[η/(γ−η)]×100−‖100/(γ−η)]‖F
・・・(36)
x4=−[η/(γ−η)]×100+‖100/(γ−η)]‖F
・・・(37)
Max(x1,x3,0)<x<Min(x2,x4,100)
・・・(※12)
・E=4.0(×10-12/Pa)
・F=1.0(×10-4)
以下、これらのしきい値を「基準しきい値」と呼ぶことにする。
・(例1);E=2.0(×10-12/Pa)、F=0.5(×10-4)
・(例2);E=1.0(×10-12/Pa)、F=0.1(×10-4)
・(例3);E=1.0(×10-12/Pa)、F=0.1(×10-4)
・(例4);E=0.5(×10-12/Pa)、F=0.1(×10-4)
(c)不等式(※10)が満たされたら、前出の式(34)〜(37)を使って(※11)の範囲(範囲3)を求める。なお、不等式(※10)が満たされない場合は、別の組み合わせを探す必要がある。
例えば範囲4の中央値をxct4=(範囲4の下限+範囲4の上限)/2とした時、この中央値xct4)を第1成分の成分比とし、第2成分の成分比を(100−xct4)とする。
β=b’
γ=c’
η=d’
α、β、γ、ηが求まれば、既述の通り、光弾性複屈折と配向複屈折を同時にほぼ消失させる第1成分の成分比xの範囲(範囲3)の存在を判別式(※9)でチェックする。そして、範囲3中で適値を0<x<100の範囲で定める(詳細については繰り返さない)。
実施例でも後述する通り、低複屈折性光学樹脂材料を実際に製造する際には、ポリマーを合成するための重合開始剤および連鎖移動剤が通常用いられる。従って、これらが光弾性複屈折や配向複屈折に影響を及ぼすように思わる。しかし、そのような影響は、次のような理由で無視できる。
[実施例1];
本実施例は、光弾性複屈折と配向複屈折をいずれも実質的に発現しない2元系共重合体を設計し、作成した一例である。2元系共重合体(2成分系)の第1成分、第2成分は下記の通りである。なお、本実施例は前出の(i)−1に対応している。
・第1成分=メチルメタクリレート(MMA=モノマー1)に由来する繰り返し構造の成分=ポリメチルメタクリレート(PMMA=ポリマー1)
・第2成分=ペンタフルオロベンジルメタクリレート(PFBzMA=モノマー2)に由来する繰り返し構造の成分=ポリペンタフルオロベンジルメタクリレート(PPFBzMA=ポリマー2)
・E=4.0(×10-12/Pa)
・F=1.0(×10-4)
もう一方のポリマーは、重量比で5倍量の塩化メチレン(和光純薬工業(株))とともにガラス製のサンプル管に入れ、攪拌し、十分に溶解させた。
このグラフにおいて、横軸は第1成分の成分比(組成比)CM1の値CM1(wt%)を表わし、縦軸(右側)は光弾性複屈折のを光弾性定数(×10-12/Pa)で表わしている。また、縦軸(左側)は配向複屈折の値を(×10-4)で表わしている。また、■マークは光弾性定数について得られた実測点を表わし、◆マークは配向複屈折について得られた実測点を表わしている。配向複屈折は、得られたデータより、配向度0.03における値となるように換算した。換算法については、(i)で説明したのでここでは説明を省略する。
ΔnE=-0.32745×CM1+28.52 ・・・(38)
Δnor=-0.10693×CM1+9.539 ・・・(39)
ここで、CM1は第1成分(PMMA)の成分比であるから、CM1=xとできる。そして、式(38)は前出の一般式(28)に対応し、式(39)は前出の一般式(29)に対応している。そこで、式(38)と式(28)の比較から、
[(α−β)/100]=-0.32745 ・・・(40)
β=28.52 ・・・(41)
となる。
また、式(39)と式(29)の比較から、
[(γ−η)/100]=-0.10693 ・・・(42)
η=9.539 ・・・(43)
となる。
α=-4.225
β=28.52
γ=-1.154
η=9.539
・・・(※13)
‖[β/(α−β)]−[η/(γ−η)]‖<‖E/(α−β)]‖+‖F/(γ−η)]‖ ・・・(※10)
上記数値をこの判別不等式中のα、β、γ、ηに代入すると、下記のようになる。
‖[28.52/-32.745]−[9.539/-10.693]‖<‖[E/-32.745]‖+‖[F/-10.693]‖ ・・・(44)
これから、下記不等式(45)を得る。
0.02111<‖[E/-32.745]‖+‖[F/-10.693]‖ ・・・(45)
‖[4.0/-32.745]‖+‖[1.0/-10.693]‖=0.1221560+0.0935191=0.2156751
この値は式(45)の左辺の値0.02111より遥かに大きい。従って、本実施例において、範囲3(光弾性定数<E且つ配向複屈折<Fとできるxの範囲;x≦0、x≧100を排除しない)が存在すると判断される。
先ず、xE、xorについては、前出の式(30)、(31)から、
・xE=−[β/(α−β)]×100=[-28.52/-32.745]×100=87.10(wt%)
・xor=−[η/(γ−η)]×100=(9.539/10.693)×100=89.21(wt%)
・ΔxE=‖[100/(α−β)]‖E=(100/32.745)×4.0=12.22(wt%)
・Δxor=‖[100/(γ−η)]‖F=(100/10.693)×1.0=9.352(wt%)
・x1=xE−ΔxE=87.10−12.22=74.9(wt%)
・x2=xE+ΔxE=87.10+12.22=99.3(wt%)
・x3=xor−Δxor=89.21−9.352=79.9(wt%)
・x4=xor+Δxor=89.21+9.352=98.6(wt%)
79.9(wt%)<x<98.6(wt%)
この範囲はかなり広いので、E、Fの値をより小さい値(厳しい条件)に設定して同様の計算を行ない、x1〜x4の値を求めた。それら計算で得た結果を上記のケース(E=4.0(×10-12/Pa);F=1.0(×10-4)における値とともに図4に表でまとめて記した。
88.3(wt%)<x<90.1(wt%)
即ち、この範囲内に成分比xを選び(例えば成分比x=範囲4の中央値=89.2(wt%)として)、メチルメタクリレート(第1成分)とペンタフルオロベンジルメタクリレート(第2成分)からなる2成分系共重合体を合成すれば、光弾性定数が1.0(×10-12/Pa)未満で、且つ、配向複屈折(配向度0.03における換算値)を0.1(×10-4)未満とした光学樹脂材料が得られる。実際にこの範囲内の組成比、x=89.0 (wt%)、すなわちメチルメタクリレート(第1成分)とペンタフルオロベンジルメタクリレート(第2成分)の組成比を[89.0 (wt%) / 11.0 (wt%)]として2元系共重合体を合成し、光弾性定数及び配向複屈折を測定したところ、光弾性定数は−0.72(×10-12/Pa)とななり、配向度0.03における配向複屈折は−0.025(×10-4)となった。
メチルメタクリレートMMA(第1成分)とベンジルメタクリレートBzMA(第2成分)の共重合体;
・α=-4.225
・β=48.39
・γ=-1.154
・η=4.584
このケースにおいて、基準しきい値E=4.0(×10-12/Pa)、F=1.0(×10-4)の条件下で、範囲3、範囲4は存在しない。
メチルメタクリレートMMA(第1成分)と2,2,2-trifluoroethyl methacrylate (3FMA;第2成分);
・α=-4.225
・β=-1.7313
・γ=-1.154
・η=0.9349
このケースにおいても、基準しきい値E=4.0(×10-12/Pa)、F=1.0(×10-4)の条件下で、範囲3、範囲4は存在しない。
メチルメタクリレートMMA(第1成分)とtrans-stilbene(第21成分);
・α=-4.225
・β=137.8
・γ=-1.154
・η=29.82
このケースにおいても、基準しきい値E=4.0(×10-12/Pa)、F=1.0(×10-4)の条件下で、範囲3、範囲4は存在しない。
11a、11b、15a、15b 基板
12a、12b、16a、16b 偏光板ユニット
13 偏光板
14 樹脂シート
Claims (7)
- 第1成分と、第2成分からなる2成分系を主たる構成要素として含み、少なくとも前記第1成分は第1のモノマーに由来する第1のポリマー成分である、低複屈折性光学樹脂材料であって、
前記2成分系における前記第1成分の成分比をx(wt%)とした時、
xの値は、0<x<100であり、且つ、
前記2成分系の光弾性定数の絶対値が予め定められたしきい値E未満とするxの範囲である第1の範囲と、前記2成分系の配向複屈折の絶対値を予め定められたしきい値F未満とするxの範囲である第2の範囲の双方に間するように定められており、
前記しきい値Eは、4.0(×10-12/Pa)未満であり、前記しきい値Fは、配向度0.03における換算値で、1.0(×10-4)未満であるように定められており、
前記第2成分は、第2のモノマーに由来する、前記第1のポリマー成分とは異なる第2のポリマー成分、あるいは、分子量が2000である低分子有機化合物である、前記低複屈折性光学樹脂材料。 - 前記しきい値Eは、2.0(×10-12/Pa)未満であることを特徴とする、請求項1に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
- 前記しきい値Eは、1.0×(×10-12/Pa)未満であるように定めらていることを特徴とする、請求項1に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
- 前記しきい値Eは、0.5×(×10-12/Pa)未満であるように定めらていることを特徴とする、請求項1に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
- 前記しきい値Fは、配向度0.03における換算値で、0.5(×10-4)未満であることを特徴とする、請求項1〜請求項4の内のいずれか1項に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
- 前記しきい値Fは、配向度0.03における換算値で、0.1(×10-4)未満であることを特徴とする、請求項1〜請求項4の内のいずれか1項に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
- 光学樹脂を成形して得られる光学部材であって、前記光学樹脂は、請求項1〜請求項6の内、いずれか1項に記載された低複屈折性光学樹脂である、前記光学部材。
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