JP5074956B2 - 低複屈折性光学樹脂材料及び光学部材 - Google Patents

低複屈折性光学樹脂材料及び光学部材 Download PDF

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本発明は、光学樹脂(光学ポリマー)が示す配向複屈折と光弾性複屈折の両方を減殺するための技術に関し、更に詳しく云えば、配向複屈折と光弾性複屈折の双方ともに非常に小さい光学樹脂(光学ポリマー)並びに同樹脂の光学部材(光学素子、光学部品等)への応用に関する。
各種の光学関連機器で用いられるフィルム状、板状、レンズ状等の光学部材(例えば、液晶表示装置で用いられるフィルムや基板、プリズムシート等;光ディスクの信号読み取り用レンズ系中のレンズ、プロジェクションスクリーン用フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等)を構成する材料として、光透過性の樹脂が汎用されており、一般に「光学樹脂」あるいは「光学ポリマー」と呼ばれている。
光学樹脂で光学部材を構成する場合に考慮しなければならない重要な光学的特性の1つに複屈折性がある。即ち、光学樹脂が大きな複屈折性を持つことは、多くの場合好ましくない。特に、上記の例示した用途(液晶表示装置、光ディスク装置、プロジェクションスクリーン等)においては、複屈折性を持つフィルム、レンズ等が光路中に存在すると、像質や信号読み取り性能への悪影響を及ぼすため、複屈折性をできるだけ小さく抑えた光学樹脂で構成された光学部材の使用が望まれる。また、カメラ用のレンズ、眼鏡レンズ等においても、複屈折性は小さい方が望ましいことも言うまでもないことである。
ところで、当技術分野において良く知られているように、光学ポリマー(以下、単に「ポリマー」と適宜略称)が示す複屈折には、その主因が主鎖の配向にある「配向複屈折」と、応力に起因する「光弾性複屈折」(通常、“光弾性”と略称される)がある。配向複屈折及び光弾性の符号は、ポリマーの化学構造に由来し、それぞれのポリマーに固有の性質である。
即ち、配向複屈折は、一般に鎖状のポリマー(ポリマー鎖)の主鎖が配向することにより発現する複屈折であり、この主鎖の配向は、例えばポリマーフィルム製造時の押出成形や延伸のプロセス、あるいは、各種形状の光学部材の製造時に多用されている射出成形のプロセスなど、材料の流動を伴うプロセスで生じ、それが光学部材に固定されて残る。
一方、光弾性複屈折は、ポリマーの弾性的な変形(歪み)に伴って引き起こされる複屈折である。ポリマーを用いた光学部材においては、例えばそのポリマーのガラス転移温度付近からそれ未満の温度に冷却された際に生じる体積収縮により、弾性的な変形(歪み)が材料中に生じて残存し、それが光弾性複屈折の原因となる。また、例えば光学部材が通常温度(ガラス転移温度未満)で使用される機器に固定した状態で受ける外力によっても、材料は弾性的に変形し、それが光弾性複屈折を引き起こす。
ところで、ガラス転移温度未満では、弾性的な変形があっても、一般的な光学ポリマーの主鎖の動きはほぼ凍結されており、主鎖の配向状態自体は実質的に不変であることが知られている。従って、光弾性複屈折は、分子レベルのミクロな視点で見ても前述の配向複屈折とは異なるメカニズムで発現していると考えられる。
周知のように、配向複屈折と光弾性複屈折のいずれにも符号があり、ポリマーの中には、配向複屈折の符号と光弾性複屈折の符号が逆(配向複屈折の符号は正で光弾性複屈折の符号は負、あるいは、配向複屈折の符号は負で光弾性複屈折の符号は正)というものも存在し、これは配向複屈折と光弾性複屈折の発現メカニズムの相違を示唆している。
このように、配向複屈折と光弾性複屈折は異なるメカニズムにより発現する複屈折であり、従来より使用されている光学樹脂の示す配向複屈折及び光弾性複屈折も様々であるが、両複屈折共に十分に小さく実際の使用に適した光学樹脂はあまり見当らない。例えば、ポリカーボネートやポリスチレンなどの樹脂は、安価で、高い透明性、高い屈折率をもつ優れた樹脂であるが、配向複屈折、光弾性複屈折ともに大きな値を示すことが難点となっている。
原理的に言えば、光学樹脂の成形過程を経て光学部材を製造する際に、配向自体が起らないようにすれば配向複屈折は発現しないことになる。実際に、種々のレンズ、フィルムなどを成形する場合に、従来は種々の成形方法の工夫により、極力ポリマーの配向を抑制することにより、配向複屈折を低減していた。例えば射出成形においてはポリマーの溶融温度を上げる、金型内部で比較的高い温度で保つ時間を長くする、などの方法が採られている。また、フィルムの作製においては、ポリマーを溶媒に溶かし、得られたポリマー溶液を基板上に展開し、溶媒を乾燥除去するなどの方法も行われている。このように、ポリマーの配向を抑制することはある程度可能であるが、配向を抑制せずに作製する方法に比べ、一般に作製速度が低下する。
また、光弾性複屈折を発現しないように工夫することも行われている。例えば、射出成形や押出成形などのように、溶融状態から光学部材を作製する場合、溶融状態から室温まで冷却される過程でポリマーの体積が収縮し、応力による歪が生じるため、光弾性複屈折が生じる。そこで、例えば種々のレンズなどでは、従来は成形後にある温度下で数時間〜数十時間加熱処理し、歪を取り除くなどの工程を追加している。このような工程の追加は、当然、生産効率を低下させ、経済的にも不利である。また、歪が取り除かれていても、使用時に外部から応力が加われば光弾性複屈折は発現するという欠点は解消できない。
添加物の添加により光学樹脂の複屈折を低減する技術も研究され、そのいくつかが報告されているが、それらはいずれも基材となっているポリマーの配向複屈折あるいは光弾性複屈折の一方を、添加物が持つ逆符号の配向複屈折性あるいは光弾性複屈折性で相殺してほぼゼロにしようとするものである。配向複屈折を相殺する方法では、正・負それぞれの複屈折性を示すモノマーを共重合する方法、低分子量の有機化合物(低分子有機化合物)を添加する方法などがある。また、これらの方法が光弾性複屈折の相殺にも利用可能であることが学術論文で報告されている。
しかし、上記の2つの方法では配向複屈折を相殺し、消去するための低分子有機化合物の添加濃度あるいは共重合体の共重合組成が、光弾性複屈折を相殺し、消去するときのものと大きく異なる値となってしまい、同時に両方をほぼ消去することができなかった。
具体的にみてみると、先ず下記非特許文献1には、「共重合により複屈折性を相殺する方法」が記載されている。これは正の配向複屈折を示すホモポリマーを構成するモノマー(正の配向複屈折性モノマー)と、負の配向複屈折を示すホモポリマーを構成するモノマー(負の配向複屈折性モノマー)を、適切な比率でランダムに共重合することにより、ポリマー鎖の複屈折性を相殺する方法である。この非特許文献1中では、正の配向複屈折性モノマーとしてベンジルメタクリレート、負の配向複屈折性モノマーとしてメチルメタクリレートをそれぞれ選び、ランダムに共重合させている。そして、重量比でメチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート=82/18の時に配向複屈折がほぼ消去され、92/8の時に光弾性複屈折がほぼ消去されることが示されている。しかし、配向複屈折と光弾性複屈折を同時にほぼ消去できるような重量比の値は存在しない。
また、下記特許文献1には、「低分子有機化合物を添加することにより複屈折性を相殺する方法」に係る発明が開示さている。この発明では、符号が正または負の配向複屈折性を示す高分子樹脂に、高分子樹脂とは逆符号の配向複屈折性を示す低分子化合物を添加し、この低分子有機化合物の配向複屈折性によりポリマーの配向複屈折性を相殺させて低複屈折性の光学樹脂材料を得ようとしている。実施例においては、ポリメチルメタクリレートにトランス−スチルベン(trans-stilbene)を添加して、ポリメチルメタクリレートの複屈折を消去している。ここで、trans-stilbene添加ポリメチルメタクリレートにおける配向複屈折がほぼ消去されるtrans-stilbeneの添加濃度は3.0wt%となっている。
次に、下記非特許文献2には、上記特許文献1と同様に、「低分子有機化合物を添加することによりポリマーの光弾性複屈折を相殺する方法」が記載されている。実験例としては、上記特許文献1における実施例の場合と同じく、添加物質としてtrans-stilbeneをポリメチルメタクリレートに添加した例が報告されている。この例において、ポリメチルメタクリレートの光弾性複屈折をほぼ消去できるtrans-stilbeneの添加濃度は2.2wt%である一方、ポリメチルメタクリレートの配向複屈折をほぼ消去できるtrans-stilbeneの添加濃度は3.0wt%となっており、両添加濃度の値の間には大きな隔たりがある。
更に、下記特許文献2では、「3成分以上の複合成分系において、配向複屈折と光弾性複屈折を同時にほぼ消去する方法」が開示されている。この方法は、配向複屈折と光弾性複屈折を同時にほぼ消去することを可能にした点で画期的なものといえるが、少なくとも3成分を要するという点で問題を残している。
以上、3つの手法についてまとめると、非特許文献1、特許文献1及び非特許文献2で開示されているように、配向複屈折性がそれぞれ異符号の関係にある2成分を共重合あるいは一方に他方を添加することにより配向複屈折をほぼ消去する方法、同様に光弾性複屈折性がそれぞれ異符号の関係にある2成分を共重合あるいは一方に他方を添加することにより、光弾性複屈折をほぼ消去する方法は知られている。
これらの場合においても配向複屈折を消去する組成と光弾性複屈折を消去する組成はそれぞれ異なっており、配向複屈折と光弾性複屈折を同時に消去することはできなかった。そして、この状況を克服したのが特許文献2に記載された発明で、3成分以上の複合成分系で成分の種類、組成を調整することにより、配向複屈折と光弾性複屈折を同時にほぼ消去できるようになった。なお、本明細書では、便宜上、この特許文献2に開示された方法を「3成分法」と呼ぶことにする。
また、後述するように、本発明に関連して、共重合体分子の主鎖やホモポリマーの主鎖の配向度の測定方法として利用される周知の赤外二色法については、例えば下記非特許文献3で説明されている。
Shuichi Iwata, Hisashi Tsukahara, Eisuke Nihei, and Yasuhiro Koike, Applied Optics, vol. 36, p. 4549-4555 (1997) 特開平8−110402号公報 H. Ohkita, K. Ishibashi, D. Tsurumoto, A. Tagaya, and Y. Koike, Applied Physics A, vol. 81, p. 617-620 (2005) 特開2006−308682号公報 Akihiro Tagaya, Shuichi Iwata, Eriko Kawanami, Hisashi Tsukahara, and Yasuhiro Koike, Jpn. J. Appl. Phys. vol. 40, p. 6117-6123 (2001)
上述したように、光透過性のポリマーへの添加物とその添加濃度の選択、あるいは、共重合の組み合わせと組成比の選択により、配向複屈折及び光弾性複屈折の内の一方をほぼ消去することは一般に困難とされていたが、上記3成分法の提案により、この問題は克服されたと云って良い。しかし、この3成分法にも問題がない訳ではない。
即ち、この方法は、「3成分以上の複合成分系において、配向複屈折と光弾性複屈折を同時にほぼ消去する方法」であり、2成分系を用いて配向複屈折と光弾性複屈折を同時にほぼ消去することを可能にしてはいない。そこで、本発明の目的は、2成分系を用いて配向複屈折と光弾性複屈折が同時にほぼ消去された光学樹脂材料、並びに同材料を用いた光学部材を提供することにある。
発明に係る低複屈折性光学樹脂材料は、第1成分と、第2成分からなる2成分系を主たる構成要素として含み、少なくとも前記第1成分は第1のモノマーに由来する第1のポリマー成分である低複屈折性光学樹脂材料であって、次の基本的特徴を有する。ここで、「主たる構成要素」とは、低複屈折性光学樹脂材料が実質的にその「主たる構成要素」(即ち、第1成分と第2成分からなる2成分系)から構成されているということである。
別の云い方をすれば、それ以外の要素は、第1成分及び第2成分と比べて無視できる微量(例えば低複屈折性光学樹脂材料中の重量百分率で1.0wt%未満)しか含まれていないということある。
そして、前記2成分系における前記第1成分の成分比をx(wt%)とした時、xの値は、0<x<100であり、且つ、前記2成分系の光弾性定数の絶対値が予め定められたしきい値E未満とするxの範囲である第1の範囲と、前記2成分系の光弾性定数の絶対値が、配向度0.03における換算値で、予め定められたしきい値F未満とするxの範囲である第2の範囲の双方に間するように定められている。ここで、「配向度」は、2成分系に含まれるすべてのポリマー成分についての配向度のことである。また、前記第2成分には、第2のモノマーに由来する、前記第1のポリマー成分とは異なる第2のポリマー成分、あるいは、分子量が2000以下である低分子有機化合物を用いる。
前記しきい値Eは、4.0(×10-12/Pa)未満であり、前記しきい値Fは、1.0(×10-4)未満であるように定めらている。ここで、前記しきい値Eは、2.0(×10-12/Pa)未満であることが望ましく、1.0×(×10-12/Pa)未満であることが更に望ましく、0.5×(×10-12/Pa)未満であるように定めらていることが尚一層望ましい。
また、前記しきい値Fは、0.5(×10-4)未満であることが望ましく、0.1(×10-4)未満であることが特に望ましい
次に、本発明に係る光学部材は、これら光学樹脂を成形して得られるシート状またはレンズ状の光学部材としたものである。成形には、押出成形、延伸成形、射出成形等がある。本発明に係る光学部材は、配向複屈折、光弾性複屈折を殆ど発現しない樹脂で構成されているため、それら成形過程に起因した配向複屈折を起こさず、且つ、弾性変形があっても光弾性複屈折が殆ど現出しない。
本発明によれば、3成分系あるいは4成分を越える成分からなる系の成分比(組成比)の調整を要することなく、2成分系の成分比を適正に選ぶことで、光学樹脂材料の配向複屈折性と光弾性複屈折性が同時に減殺され、ほぼ消去された光学樹脂材料が提供される。また、この光学部材の構成材料に用いることにより、製造工程に押出成形、延伸成形、射出成形等、ポリマー主鎖の配向が起るようなプロセスが含まれていても配向複屈折を殆ど示さず、且つ、外力等により弾性変形があっても光弾性複屈折が殆ど現出しない光学部材を提供することができる。
更に、本発明に係る光学樹脂は、光学用接着剤あるいは粘着剤の構成成分に用いることで、光学用接着剤あるいは粘着剤が光路中に存在する状態となっても(例えばレンズ同士を光学用接着剤で貼り合わせた場合)、配向複屈折や光弾性複屈折により光路あるいは偏光状態を乱すことがない。
既述の通り、本発明は、2成分系を利用して、配向複屈折と光弾性複屈折を同時に減殺するものであるが、両複屈折減殺に関与する「2成分系」は、次のケース(i)、(ii)のいずれかである。なお、以下に説明するいずれのケースにおいても、「両複屈折減殺に利用される2成分系」を構成する2つの成分を、「第1成分」及び「第2成分」と呼ぶことにする。
(i)2種類のモノマーの共重合で得られる共重合体。なお、本明細書ではこのタイプの共重合を「2成分共重合体」と呼ぶことにする。また、2成分共重合体の2つの構成元(2種類のモノマー)を「モノマー1、モノマー2」と一般標記する。このケースでは、「第1の成分は「モノマー1に由来するポリマー成分」であり、第2の成分は「モノマー2に由来するポリマー成分」である」と云うことができる。なお、このことをより厳密に云い直せば、「第1の成分は、モノマー1に由来する繰り返し単位構造であり、第2の成分は、モノマー2に由来する繰り返し単位構造である」ということになる。また、使用されるモノマー1及びモノマー2の具体例については後述する。
(ii)1種類の低分子有機化合物が添加されたホモポリマー。このケースでは、「第1の成分はホモポリマーであり、第2の成分は低分子有機化合物である」と云うことができる。また、使用されるホモポリマー及び低分子有機化合物の具体例については後述する。
先ず、上記(i)を採用する場合について、組成比の具体的な定め方について例を記す。
●(i)−1;
[1]先ず、モノマー1及びモノマー2を用意し、各モノマーの重合反応によりホモポリマーを合成する。ここでは、モノマー1の重合反応で得られたホモポリマーをホモポリマー1、モノマー2の重合反応で得られたホモポリマーをホモポリマー2と呼ぶことにする。
[2]各ホモポリマー1、2について円柱状試料を作製し、周知の方法に従って光弾性定数を測定する。即ち、各試料にガラス転移温度より十分低い温度(例えば室温20度)の下で外部応力を印加し、それによって生じる光弾性複屈折を測定する。
[3]測定結果から、ホモポリマー1、2の光弾性定数を求める。ここで、「ホモポリマー1の光弾性定数」とは、“モノマー1に由来するポリマー成分の繰り返し単位構造(第1成分)の光弾性複屈折性を表わす定数”のことである。同様に、「ホモポリマー2の光弾性定数」とは、“モノマー2に由来するポリマー成分の繰り返し単位構造(第2成分)の光弾性複屈折性を表わす定数”のことである。
なお、既述のように、「モノマー1に由来するポリマー成分」とは、「モノマー1に由来する繰り返し単位構造の成分」のことであり、「モノマー2に由来するポリマー成分」とは、「モノマー2に由来する繰り返し単位構造の成分」のことである。今、ホモポリマー1の光弾性定数をa[×10-12/ Pa]、ホモポリマー2の光弾性定数をb[×10-12/ Pa]とする。
[4]上記[1]で得られた各ホモポリマー1、2を用いてフィルムを作製する。ホモポリマー1からなるフィルムをフィルム1とし、ホモポリマー2からなるフィルムをフィルム2とする。
[5]一軸延伸機を用いて各フィルム1、2に一軸延伸処理を施す。なお、延伸に際しては、各フィルム1、2内のポリマー主鎖の配向度を適当な範囲(例えば配向度f=0.01〜0.1)になるように延伸の度合を調整する。
[6]延伸処理後の各フィルム1、2について、延伸により生じた配向複屈折を周知の方法に従って測定する。一般に、ポリマーの配向複屈折Δnorは、ポリマー主鎖の配向度fと次式のような関係にあることが知られている。
Δnor=f×Δn0 ・・・(1)
ここでΔn0は固有複屈折で、光学樹脂材料毎に配向複屈折の起し易さを表わす指標であり、ホモポリマー、コポリマー(共重合体)いずれを基材とする光学樹脂材料にも定義され得る。また、配向度fはポリマー主鎖の配向の程度を表わす指標で、ポリマーが完全に一方向に配向した状態をf=1で表わす。この時の配向複屈折の大きさ(±符号付)が、固有複屈折Δn0に対応する。
[7]さて、式(1)の形から判るように、[3]の測定で得られる配向複屈折の値は、試料(フィルム1、2)の配向度fに比例して変化する。そこで、ホモポリマー1(フィルム1)とホモポリマー2(フィルム2)の配向複屈折を公平な尺度で扱うために、適当な配向度値を1つ定め、基準配向度とし、この基準配向度の下で現出するであろう配向複屈折を計算で求める。
基準配向度として、ここではf=0.03を採用する。そして、上記[6]の測定で得られたホモポリマー1、2の各複屈折値をf=0.03の下での値に換算する。換算式は次のようになる。
Δnor(1)=[0.03/f(1)]×Δn0(1) ・・・(2)
Δnor(2)=[0.03/f(2)]×Δn0(2) ・・・(3)
ここで、Δnor(1)、Δnor(2)、f(1)、f(2)、Δn0(1)、Δn0(2)の定義は次の通りである。
Δnor(1);フィルム1(ホモポリマー1)の換算後の複屈折
Δnor(2);フィルム2(ホモポリマー2)の換算後の複屈折
f(1);上記[6]の測定を行った際のフィルム1の配向度
f(2);上記[6]の測定を行った際のフィルム2の配向度
Δn0(1);ホモポリマー1の固有複屈折
Δn0(2);ホモポリマー2の固有複屈折
ここで、Δnor(1)は、モノマー1に由来する繰り返し単位構造によって生じる配向複屈折性を表わす指標と考えることができる。便宜上、Δnor(1)=cとする。同様に、Δnor(2)は、モノマー2に由来する繰り返し単位構造によって生じる配向複屈折性を表わす指標と考えることができる。便宜上、Δnor(2)=dとおく。
今、モノマー1の組成比(モノマー1に由来する繰り返し単位構造の組成比;以下、同様)をx(wt%)とすると、モノマー2の組成比(モノマー2に由来する繰り返し単位構造の組成比;以下、同様)は、100−x(wt%)となる。すると、モノマー1とモノマー2の共重合体の光弾性複屈折ΔnE(×10-12/Pa)は次式(4)で表わされる。
ΔnE=a×(x/100)+b×[(100−x)/100]
・・・(4)
また、共重合体の配向複屈折Δnor(×10-4)は次式(5)で表わされる。
Δnor=c×(x/100)+d×[(100−x)/100]
・・・(5)
[8](4)式の右辺=0とするxの値をx(4)と記し、式(5)の右辺=0とするxの値をx(5)と記す。もしもx(4)=x(5)であれば状況は理想的で、配向複屈折と光弾性複屈折を同時に消すことは、簡単である。即ち、モノマー1の組成比x=x(4)=x(5)として、共重合を実行し、2成分系共重合体を得れば、この2成分系共重合体は、配向複屈折と光弾性複屈折のいずれも示さない。しかし、実際にそのような理想的な状況を与える成分の組み合わせ(ホモポリマー1、2の組み合わせ乃至モノマー1、2の組み合わせ)を見い出すことは困難である。
そこで、本発明では、配向複屈折の大きさ(絶対値)と光弾性複屈折の大き(光弾性定数の絶対値)が共に十分小さくなるようにx(第1成分の組成比)を定める。具体的には、配向複屈折(配向度0.03における換算値)の大きさ(絶対値)に上限δorを設定し、光弾性定数(光弾性複屈折)の大きさ(絶対値)に上限δEを設定する。δorとδEはいずれも非常に小さな値で、適値の例については後述する。本ケースの場合、満たされるべき条件は、下記(※1)及び(※2)が共に成立することである。
‖式(4)の右辺‖<δE ・・・(※1)
‖式(5)の右辺‖<δor ・・・(※2)
そこで、上記(※1)及び(※2)を同時に満たすx(wt%)の値(一般にはx(wt%)の値の範囲)を、0<x<100の範囲内で見つけて、定めなければならない。この要求が達成され得る条件及びx(wt%)の値(範囲)の求め方については、後述する。なお、記号‖‖は絶対値を表わす記号である。
●(i)−2;
上記した(i)−1の方法では、2元系共重合体の構成元たるポリマー1、2の各成分について、固有配向複屈折Δnor(1)、Δnor(2)を知る過程で、延伸後のフィルム1(ホモポリマー1製)及びフィルム2(ホモポリマー2製)の配向度fのデータを用いている。しかし、ポリマーの種類によっては、ホモポリマーの主鎖の配向度を分析により求めることが困難な場合がある。
また、ある種のホモポリマーにおいては、機械強度が低いなどの理由により、複屈折を測定することが困難な場合がある。更に、種々の特性から、ホモポリマーの合成・評価が困難である場合もある。これらのケースにおいては、上記した(i)−の方法で、配向複屈折と光弾性複屈折を同時にほぼ消去できるように2元系共重合体の組成比を設計することは困難であるため、別の方法を採用する。
即ち、この(i)−の方法では、2元系共重合体の構成元たるモノマー1、2の各々からのホモポリマー合成を行わず、モノマー1、2からなる共重合体を合成する。手順の一例を記せば、次のようになる。
[1]先ず、いくつかの共重合組成比のモノマー1とモノマー2からなる共重合体を合成する。
[2]得られた各共重合体からなる円柱状試料を作製する。
[3]各円柱状試料について、ガラス転移温度より十分低い温度(例えば室温20度)の下で外部応力を印加し、それにより生じる光弾性複屈折を測定する。
[4]その結果から、各共重合組成における光弾性定数を求める。周知のように、一般に、モノマー1、2を構成元とする共重合体の光弾性定数ΔnEと、モノマー1の共重合組成比CM1(wt%)との間には、次式(6)の関係が近似的に成立する。
ΔnE=A×CM1+B ・・・(6)
ここでA、Bは定数であり、それらの値(最適値)を、上記[3]の測定結果から定めることができる。例えば、上記[3]の測定結果を横軸にCM1、縦軸に光弾性定数をとってプロットする。そして、プロット点列が表わしている直線を定める。プロット点が3点以上の場合は、この直線の決定に周知の最小2乗法が利用できる。得られた直線の勾配がAであり、ゼロ切片がBである。
[5]ここで、上記式(6)において、CM1=100(wt%)とした場合、左辺は、第1成分(即ち、モノマー1に由来するポリマー成分の成分)の光弾性複屈折を表わす定数(光弾性定数)aを与える。また、上記式(6)において、CM1=0(wt%)とした場合、左辺は、第2成分(即ち、モノマー2に由来するポリマー成分)の光弾性複屈折を表わす定数(光弾性定数)bを与える。かくして、
a=A×100+B ・・・(7)
b=B ・・・(8)
となる。
[6]上記[1]で得られた各共重合体からなるフィルムを作製する。
[7]各フィルムを一軸延伸し、生じた配向複屈折を測定する。その際、フィルム内での共重合体分子の主鎖の配向度を適当な範囲の値(例えば配向度f=0.01〜0.1)になるように延伸の度合を調整する。
[8]各フィルム(延伸後)について得られた配向複屈折値を、前出の式(1)の関係に基づいて、配向度0.03の値に換算する。換算法については既述の通りである。
[9]モノマー1、2を構成元とする2元系共重合体の配向複屈折と、モノマー1の共重合組成比CM1(wt%)との関係は、次式(9)で近似できる。
Δnor=C×CM1+D ・・・(9)
ここで、C及びDは定数であり、それらの値(最適値)を、上記[7]の測定結果から定めることができる。例えば、CM1を横軸にとり、配向複屈折のf=0.03における換算値を縦軸にとって、上記[7]で得られた換算値(f=0.03)をプロットする。そして、プロット点列が表わしている直線を定める。プロット点が3点以上の場合は、この直線の決定に周知の最小2乗法が利用できる。得られた直線の勾配がCであり、ゼロ切片がDである。
上記[5]で説明したと同様の考え方に従って、上記式(9)において、CM1(wt%)=100及び0CM1(wt%)=0とし、第1成分(即ち、モノマー1に由来するポリマー成分)の配向複屈折性cと第2成分(即ち、モノマー2に由来するポリマー成分の配向複屈折性dを求めれば、次式(10)、(11)のようになる。
c=C×100+D ・・・(10)
d=D ・・・(11)
[10]ここから先の議論は、前述した(i)−1の場合と同様である。即ち、モノマー1の組成比(モノマー1に由来するポリマー成分の組成比=第1成分の成分比;以下、同様)をx(wt%)とすると、モノマー2の組成比(モノマー2に由来するポリマー成分の組成比=第2成分の成分比;以下、同様)は、100−x(wt%)となる。すると、モノマー1とモノマー2の共重合体の光弾性複屈折ΔnE(×10-12/Pa)は次式(12)で表わされる。
ΔnE=a×(x/100)+b×[(100−x)/100]
・・・(12)
また、共重合体の配向複屈折(固有配向複屈折)Δnor(×10-4)は次式(13)で表わされる。
Δnor=c×(x/100)+d×[(100−x)/100]
・・・(13)
[11](12)式の右辺=0とするxの値をx(12)と記し、式(13)の右辺=0とするxの値をx(13)と記す。もしもx(12)=x(13)であれば状況は理想的で、配向複屈折と光弾性複屈折を同時に消すことは、簡単である。即ち、モノマー1の組成比x=x(12)=x(13)として、共重合を実行し、2成分系共重合体を得れば、この2成分系共重合体は、配向複屈折と光弾性複屈折のいずれも示さない。しかしながら、既述の通り、実際にそのような理想的な状況を与える成分の組み合わせ(ホモポリマー1、2の組み合わせ乃至モノマー1、2の組み合わせ)を見い出すことは困難である。
そこで、(i)−1で説明した手法を採用する。即ち、配向複屈折の大きさ(絶対値)と光弾性定数(光弾性複屈折)の大きさ(絶対値)が共に十分小さくなるようにx(第1成分の組成比)を定める。具体的には、配向複屈折(配向度0.03における換算値)の大きさ(絶対値)に上限δorを設定し、光弾性複屈折の大きさ(光弾性定数の絶対値)に上限δEを設定する。δorとδEはいずれも非常に小さな値で、適値の例については後述する。本ケースの場合、満たされるべき条件は、下記(※3)及び(※4)が共に成立することである。
‖式(12)の右辺‖<δE ・・・(※3)
‖式(13)の右辺‖<δor ・・・(※4)
そして、(i)−1の場合と同様に、上記(※3)及び(※4)を同時に満たすx(wt%)の値(一般にはx(wt%)の値の範囲)を、0<x<100の範囲内で見つけて、定めなければならない。この要求が達成され得る条件及びx(wt%)の値(範囲)の求め方については、後述する。
●(ii);
この方法では、1種類の低分子有機化合物が添加されたホモポリマーを合成する。2成分系を構成する第1成分及び第2成分については下記のように考えることができる。
・第1成分=ホモポリマー(より厳密に云えば、そのホモポリマーの構成元であるモノマーに由来するポリマー成分)
・第2成分=添加される低分子有機化合物
低分子有機化合物には、分子量が2000以下、望ましくは1500以下のもので、分極率の異方性を有し、更にポリマー中で配向可能な有機化合物を選ぶ。具体的な手順は、(i)−2における「共重合」を「添加」、「モノマー2」を「低分子有機化合物」、「モノマー2の共重合組成比」を「低分子有機化合物の添加濃度」にそれぞれ読み替えたものに相当している。以下、簡単に説明する。なお、以下の説明では適宜、「低分子有機化合物(第2成分)の添加濃度」のことを単に、「添加濃度」と云う。また、ここで使用するホモポリマーは、構成元をモノマー1とするホモポリマー1とする。
[1]先ず、いくつかの添加濃度を持つホモポリマー1を合成する。ここで、添加濃度の1つは、ゼロ(無添加)とすることができる。
[2]得られた各ホモポリマー1からなる円柱状試料を作製する。
[3]各円柱状試料について、ガラス転移温度より十分低い温度(例えば室温20度)の下で外部応力を印加し、それにより生じる光弾性複屈折を測定する。
[4]その結果から、各添加濃度における光弾性定数を求める。周知のように、一般に、低分子有機化合物を添加濃度CAMで添加したホモポリマーの光弾性定数ΔnEと、添加濃度CAM(wt%)との間には、次式(14)の関係が近似的に成立する。
ΔnE=H×CAM+G ・・・(14)
ここでG、Hは定数であり、それらの値(最適値)を、上記[3]の測定結果から定めることができる。例えば、上記[3]の測定結果を横軸にCAM、縦軸に光弾性定数をとってプロットする。そして、プロット点列が表わしている直線を定める。プロット点が3点以上の場合は、この直線の決定に周知の最小2乗法が利用できる。得られた直線の勾配がHであり、ゼロ切片がGである。
[5]ここで、上記式(14)において、CAM=0(wt%)とした場合、左辺は、モノマー1に由来するポリマー成分(第1成分)の光弾性複屈折を表わす定数(光弾性定数)gを与える。また、上記式(14)において、CAM=100(wt%)とした場合、左辺は、低分子有機化合物(第2成分)に由来する光弾性複屈折を表わす定数(光弾性定数)hを与える。即ち、
g=G ・・・(15)
h=100×H+G ・・・(16)
となる。
[6]上記[1]で得られた各ホモポリマー1からなるフィルムを作製する。
[7]各フィルムを一軸延伸し、生じた配向複屈折を測定する。その際、フィルム内でのホモポリマー分子の主鎖の配向度を適当な範囲の値(例えば配向度f=0.01〜0.1)になるように延伸の度合を調整する。
[8]各フィルム(延伸後)について得られた配向複屈折値を、前出の式(1)の関係に基づいて、配向度0.03の値に換算する。換算法については既述の通りである。
[9]添加濃度CAM(wt%)のホモポリマー1の配向複屈折と、添加濃度CAM(wt%)との関係は、次式(17)で近似できる。
Δnor=J×CAM+I ・・・(17)
ここで、I及びJは定数であり、それらの値(最適値)を、既述の手法で定めることができる。例えば、CAMを横軸にとり、配向複屈折のf=0.03における換算値を縦軸にとって、上記[7]で得られた換算値(f=0.03)をプロットする。そして、プロット点列が表わしている直線を定める。プロット点が3点以上の場合は、この直線の決定に周知の最小2乗法が利用できる。得られた直線の勾配がJであり、ゼロ切片がIである。
上記[5]で説明したと同様の考え方に従って、上記式(17)において、CAM(wt%)=0及びCAM(wt%)=100とし、モノマー1に由来するポリマー成分(第1成分)の配向複屈折性iと低分子有機化合物(第2成分)に由来する繰り返し単位構造の配向複屈折性jを求めれば、次式(18)、(19)のようになる。
i=I ・・・(18)
j=100×J+I ・・・(19)
[10]今、ホモポリマー1中の低分子有機化合物の添加濃度をy(wt%)とすると、モノマー1の組成比は、100−y(wt%)となる。すると、添加濃度yのホモポリマー1の光弾性複屈折ΔnE(×10-12/Pa)は次式(20)で表すことができる。
ΔnE=h×(y/100)+g[(100−y)/100]
・・・(20)
また、添加濃度yのホモポリマー1の配向複屈折Δnor(×10-4)は次式(21)で表わされる。
Δnor=j×(y/100)+i×[(100−y)/100]
・・・(21)
ここから、前述した(i)−1あるいは(i)−2の場合と同様の議論に導くことができる。即ち、(100−y)が第1成分の組成比であるから、上記式(20)、(21)は下記の(22)、(23)のように書き直せる。
ΔnE=g×(x/100)+h[(100−x)/100]
・・・(22)
Δnor=i×(x/100)+j×[(100−x)/100]
・・・(23)
[11](22)式の右辺=0とするx(=100−y)の値をx(22)と記し、式(23)の右辺=0とするxの値をx(23)と記す。前述した(i)−1あるいは(i)−2の場合と同様に、配向複屈折の大きさ(絶対値)と光弾性複屈折の大きさ(光弾性定数の絶対値)が共に十分小さくなるようにx(第1成分の組成比)を定める。具体的には、配向複屈折(配向度0.03における換算値)の大きさ(絶対値)に上限δorを設定し、光弾性複屈折の大きさ(光弾性定数の絶対値)に上限δEを設定する。δorとδEはいずれも非常に小さな値で、適値の例については後述する。本ケースの場合、満たされるべき条件は、下記(※5)及び(※6)が共に成立することである。
‖式(22)の右辺‖<δE ・・・(※5)
‖式(23)の右辺‖<δor ・・・(※6)
そして、(i)−1あるいは(i)−2の場合と同様に、上記(※5)及び(※6)を同時に満たすx(wt%)の値(一般にはx(wt%)の値の範囲)を、0<x<100の範囲内で見つけて、定めなければならない。この要求が達成され得る条件及びx(wt%)の値(範囲)の求め方については、後述する。なお、本ケースでは、x=100−yであるから、0<x<100は、0<y<100と等価である。
以上、3つのケース(i)−1、(i)−2及び(ii)について説明したが、各ケースの説明の末尾部分で、それぞれ1つの「中間的な結論」が得られている。即ち、ケース(i)−1では、前出の式(※1)及び(※2)を同時に満たすxを0<x<100の範囲で見い出すことが求められている。同様に、ケース(i)−2では、前出の式(※3)及び(※4)を同時に満たすxを0<x<100の範囲で見い出すことが求められ、ケース(ii)では、前出の式(※5)及び(※6)を同時に満たすxを0<x<100の範囲で見い出すことが求められている。
そこで、これら要求について検討する。先ず、前出の式(※1)、(※3)、(※5)はいずれも、「光弾性複屈折(光弾性定数)」の大きさ(絶対値)がしきい値δE未満であることを表わしている。そして、「光弾性複屈折(光弾性定数)」は、式(※1)内では式(4)の右辺で与えられ、式(※3)内では式(12)の右辺で与えられ、式(※5)内では式(22)の右辺で与えられている。式(4)、(12)及び(22)を再記すれば下記の通りである。
ΔnE=a×(x/100)+b×[(100−x)/100]
・・・(4)
ΔnE=a×(x/100)+b×[(100−x)/100]
・・・(12)
ΔnE=g×(x/100)+h[(100−x)/100]
・・・(22)
これら3つの式は、いずれもxに関する同形の1次式である。従って、これらの式を統一的に表わす下記の式(24)を、「2成分系の光弾性複屈折(光弾性定数)を表わす一般式乃至代表式」ととして採用することができる。
ΔnE=α×(x/100)+β×[(100−x)/100]
・・・(24)
ここで、x(wt%)は2成分系における第1成分の成分比(組成比)であり、(100−x)(wt%)は2成分系における第2成分の成分比(組成比)である。従って、式(24)において、右辺の第1項α×(x/100)は、「光弾性複屈折に関する第1成分の寄与」を表わし、右辺の第2項β×[(100−x)/100]は、「光弾性複屈折に関する第2成分の寄与」を表わしていると云うことができる。また、αは「光弾性複屈折への第1成分の寄与率(即ち、単位百分率当りの光弾性複屈折への寄与)を表わすパラメータ」であると云うことができる。同様に、βは「光弾性複屈折への第2成分の寄与率(即ち、単位百分率当りの光弾性複屈折への寄与)を表わすパラメータ」であると云うことができる。
次に、前出の式(※2)、(※4)、(※6)はいずれも、「配向複屈折」の大きさ(絶対値)がしきい値δor未満であることを表わしている。そして、「配向複屈折」は、式(※2)内では式(5)の右辺で与えられ、式(※4)内では式(13)の右辺で与えられ、式(※6)内では式(23)の右辺で与えられている。式(5)、(13)及び(23)を再記すれば下記の通りである。
Δnor=c×(x/100)+d×[(100−x)/100]
・・・(5)
Δnor=c×(x/100)+d×[(100−x)/100]
・・・(13)
Δnor=i×(x/100)+j×[(100−x)/100]
・・・(23)
これら3つの式は、いずれもxに関する同形の1次式である。従って、これらの式を統一的に表わす下記の式(25)を、「2成分系の配向複屈折を表わす一般式乃至代表式」ととして採用することができる。
Δnor=γ×(x/100)+η×[(100−x)/100]
・・・(25)
式(24)の場合と同様に、式(25)の右辺の第1項γ×(x/100)は、「配向複屈折に関する第1成分の寄与」を表わし、右辺の第2項η×[(100−x)/100]は、「配向複屈折に関する第2成分の寄与」を表わしていると云うことができる。また、γは「配向複屈折への第1成分の寄与率(即ち、単位百分率当りの配向複屈折への寄与)を表わすパラメータ」であると云うことができる。同様に、ηは「配向複屈折への第2成分の寄与率(即ち、単位百分率当りの配向複屈折への寄与)を表わすパラメータ」であると云うことができる。
なお、前出のa、b、c、d、g、h、i、jとα、β、γ、ηとの間の対応関係は次の通りとなる。
・(i)−1のケース;
α=a
β=b
γ=c
η=d
・(i)−2のケース;
α=a
β=b
γ=c
・(ii)のケース;
α=g
β=h
γ=i
η=j
上記議論から、結局、下記の式(※7)及び式(※8)を同時に満たすxを見い出せば、配向複屈折の大きさをδor未満とするとともに光弾性複屈折(光弾性定数)の大きさをδE未満にできる2成分系の組成比(一般には組成比の範囲)を定めることができる。
‖式(24)の右辺‖<δE ・・・(※7)
‖式(25)の右辺‖<δor ・・・(※8)
今、ここで、xor、xEを次のように定義する。
E=式(24)の右辺=0となるx(wt%)の値
or=式(25)の右辺=0となるx(wt%)の値
すると、先ず式(24)の右辺はxに関する1次式であるから、式(※7)を満たすxの範囲は、次のように書ける。
E−ΔxE<x<xE+ΔxE ・・・(26)
ここで、ΔxEは正値(ΔxE>0)で、式(※7)の条件下で許容される「xEからの偏差の臨界値」を表わしている。これを模式的にグラフ表示すれば、図1(a)のようになる。このグラフにおいて、横軸は第1成分の成分比(組成比)xの値(wt%)の値を表わし、縦軸は光弾性複屈折の値を光弾性定数(×10-12/Pa)を表わしている。
なお、図1(a)において直線の勾配は負として描かれている。しかし、これは例示に過ぎない。一般には、xの係数の符号に応じて正負いずれもあり得る。また、同グラフにおいて、光弾性定数の上限値をE、下限値を−Eで表わしている。云うまでもなく、E=δE>0である。以下の説明では、便宜上、δEに代えてこのEを適宜使用する。
同様に、式(25)の右辺もxに関する1次式であるから、式(※8)を満たすxの範囲は、次のように書ける。
or−Δxor<x<xor+Δxor ・・・(27)
ここで、Δxorは正値(Δxor>0)で、式(※8)の条件下で許容される「xorからの偏差の臨界値」を表わしている。これを模式的にグラフ表示すれば、図1(b)のようになる。このグラフにおいて、横軸は第1成分の成分比(組成比)xの値(wt%)の値を表わし、縦軸は配向複屈折の値(×10-4)を表わしている。なお、直線の勾配は負として描かれているが、これも例示である。一般には、xの係数の符号に応じて正負いずれもあり得る。また、同グラフにおいて、配向複屈折絶対値の上限をF、下限を−Fで表わしている。云うまでもなく、F=δor>0である。以下の説明では、便宜上、δorに代えてこのFを使用する。
更に、説明の便宜上、x1〜x4を次のように定義する。
1=xE−ΔxE
2=xE+ΔxE
3=xor−Δxor
4=xor+Δxor
そして、これらx1〜x4を用いて、xについて範囲1及び範囲2を次のように定める。
範囲1;x1<x<x2
範囲2;x3<x<x4
すると、範囲1は上記式(※7)を満たすxの範囲となり、範囲2は上記式(※8)を満たすxの範囲となる。
従って、2成分系について、配向複屈折に関する式(※7)を満たすとともに光弾性複屈折(光弾性定数)に関する式(※8)を満たすxの値(一般にはxの範囲)を実際に見い出すための必要十分条件は、下記の条件1及び条件2が共に満たされることである。
●条件1;範囲1と範囲2の両方に属するxの範囲が存在すること。換言すれば、範囲1と範囲2は「互いに重なり合う範囲」を持つこと。なお、以下この「互いに重なり合う範囲」を範囲3と呼ぶことにする。
●条件2;上記範囲3内に、0<x<100となる少なくとも1つのxが存在すること。
なお、これら条件1、2を共に満たす範囲を範囲4と呼ぶことにする。ここで、範囲4は唯一のx値で構成されていても良いものとする。
すると、この範囲4は求めるべきxの範囲に他ならない。即ち、範囲4に属するxを第1成分の成分比として採用すれば、配向複屈折の大きさ(絶対値)と光弾性複屈折の大きさ(絶対値)とをそれぞれF(=δor)未満及びE(=δE)未満に抑えた2成分系を得ることができる。
そこで、先ず上記条件1について考察する。条件1は、xor(範囲1の中点)と、xE(範囲2の中点)の間の大小関係に応じて、図2(a)〜(d)、に示した4つのケース(ケース1〜ケース4)のいずれかに必ず該当する。
●ケース1;図2(a)に示したように、x2とx3の間に空白範囲BL1が存在するケース。このケースは、xE(範囲1の中央値)<xor(範囲2の中央値)の時にのみ生じる可能性がある。換言すれば、xE>xorの時には生じ得ない。
●ケース2;図2(b)に示したように、x4とx1の間に空白範囲BL2が存在するケース。このケースは、xor(範囲2の中央値)<xE(範囲1の中央値)の時にのみ生じる可能性がある。換言すれば、xor>xEの時には生じ得ない。
●ケース3;図2(c)に示したように、x2=x3のケース。このケースは、xE(範囲1の中央値)<xor(範囲2の中央値)の時にのみ生じる可能性がある。換言すれば、xor<xEの時には生じ得ない。
●ケース4;図2(d)に示したように、x4=x1のケース。このケースは、xor(範囲2の中央値)<xE(範囲1の中央値)の時にのみ生じる可能性がある。換言すれば、xor>xEの時には生じ得ない。
ここで注目すべきことは、図2(a)〜(d)いずれの場合でも、‖xE−xor‖(範囲1の中央値と範囲2の中央値の差の絶対値)が、Δxor(>0)とΔxE(>0)の和よりも小さくないといういうことである。逆に、‖xE−xor‖がΔxorとΔxEの和よりも小さければ、必ず範囲1、2に重なりが生じる。このことは、下記不等式(※9)で表わされる。
‖xE−xor‖<ΔxE+Δxor ・・・(※9)
つまり、この(※9)式が、条件1が満たされるか否かの判別式となる。そこで、この判別式(※9)を前出の諸パラメータα、β、γ、η、E(=δE)、F(=δor)を用いて書き直すことを考える。
先ず、式(24)は、右辺を整理して次の式(28)に書き直すことができる。 ΔnE=[(α−β)/100]x+β ・・・(28)
ここで、xの係数(α−β)/100は、図1(a)に示した直線の勾配を表わし、βはx=0とした時のΔnEの値を表わしている。
また、式(25)は、右辺を整理して次の式(29)に書き直すことができる。 Δnor=[(γ−η)/100]x+η ・・・(29)
ここで、xの係数(γ−η)/100は、図1(b)に示した直線の勾配を表わし、ηはx=0とした時のΔnorの値を表わしている。
上記式(28)において、右辺=0とすれば、
E=−[β/(α−β)]×100 ・・・(30)
となる。
また、上記式(29)において、右辺=0とすれば、
or=−[η/(γ−η)]×100 ・・・(31)
となる。
次に、ΔxEは、‖上記式(28)の右辺‖=EとするxとxEとの差の絶対値として、下記(32)のように求められる。
ΔxE=‖100/(α−β)]‖E ・・・(32)
また、Δxorは、‖上記式(29)の右辺‖=Fとするxとxorとの差の絶対値として、下記(33)のように求められる。
Δxor=‖100/(γ−η)]‖F ・・・(33)
従って、前出の判別式(※9)は、パラメータα、β、γ、η、E(=δE)、F(=δor)を用いて、次のように書き直すことができる。
‖−[β/(α−β)]+[η/(γ−η)]‖<‖[E/(α−β)]‖+‖[F/(γ−η)]‖ ・・・(※10)
結局、この不等式(※10)は、前記条件1が満たされるための必要十分条件を与える。そして、この不等式(※10)が満たされる場合、ΔnE<E且つΔnor<Fとなるxの範囲(即ち、範囲3)が存在し得る。従って、(※10)は、範囲3が存在するか否かを判別する判別不等式であると云える。
次に、範囲3を表わす式を求めることを考える。範囲3は、範囲1(x1<x<x2)と範囲2(x3<x<x4)の重なり範囲である。従って、範囲3の上限は「x2とx4の内の大きくない方の値」となる。この値をMin(x2,x4)と書く。また、範囲3の下限は「x1とx3の内の小さくない方の値」となる。この値をMax(x1,x3)と書く。すると、範囲3は、次のように表記できる。
Max(x1,x3)<x<Min(x2,x4) ・・・(※11)
前出の式(30)〜(33)を使えば、x1〜x4は次のように表わされる。
1=−[β/(α−β)]×100−‖100/(α−β)]‖E
・・・(34)
2=−[β/(α−β)]×100+‖100/(α−β)]‖E
・・・(35)
3=−[η/(γ−η)]×100−‖100/(γ−η)]‖F
・・・(36)
4=−[η/(γ−η)]×100+‖100/(γ−η)]‖F
・・・(37)
範囲4は、範囲3の内で、0<x<100となる範囲のことである。換言すれば、範囲3からx≦0及びx≧100を除外した範囲が範囲4となる。範囲4を前出の記号Min、Maxを用いて表わせば、範囲4は、次のように表記できる。
Max(x1,x3,0)<x<Min(x2,x4,100)
・・・(※12)
以上のことから、結局、本発明を実施する場合には、例えば次のようにする。(a)E、Fを設定する。E、Fは、実用上、光弾性複屈折と配向複屈折の両方を実用上無視できるように設定する。具体的に云えば、本発明では、少なくとも下記の要件を待たすように決める。なお、Fの値は配向度0.03における換算値である。
・E=4.0(×10-12/Pa)
・F=1.0(×10-4
以下、これらのしきい値を「基準しきい値」と呼ぶことにする。
但し、これらよりも厳しい条件を課しても良い。その例をいくつか記す。
・(例1);E=2.0(×10-12/Pa)、F=0.5(×10-4
・(例2);E=1.0(×10-12/Pa)、F=0.1(×10-4
・(例3);E=1.0(×10-12/Pa)、F=0.1(×10-4
・(例4);E=0.5(×10-12/Pa)、F=0.1(×10-4
(b)不等式(※10)を満たす第1成分及び第2成分の組み合わせを採用可能候補とする。不等式(※10)の計算に必要なα、β、γ、ηの定め方は、既述の通りである。また、E、Fの値には、上記(a)で設定した値を採用する。
(c)不等式(※10)が満たされたら、前出の式(34)〜(37)を使って(※11)の範囲(範囲3)を求める。なお、不等式(※10)が満たされない場合は、別の組み合わせを探す必要がある。
(d)範囲3が求められたら、その範囲3内で、0<x<100である適値を第1成分の成分比として、2成分系(共重合体または低分子有機化合物を添加したポリマー)を製造する。云うまでもないことであるが、第2成分の成分比は(100−x)とする。例えば範囲3の中央値をxct3=(範囲3の下限+範囲3の上限)/2とした時、0<xct3<100であれば、その中央値xct3)を第1成分の成分比とし、第2成分の成分比を(100−xct3)とする。
あるいは、範囲3の内、0<x<100と重なる範囲を範囲4とする。範囲4の下限と上限は、式(※12)で与えられる。(※12)中のx1〜x4の数値は、式(34)〜(37)により計算できる。そして、範囲4中の適値を第1成分の成分比とし、2成分系(共重合体または低分子有機化合物を添加したポリマー)を製造する。第2成分の成分比は(100−x)とする。
例えば範囲4の中央値をxct4=(範囲4の下限+範囲4の上限)/2とした時、この中央値xct4)を第1成分の成分比とし、第2成分の成分比を(100−xct4)とする。
なお、上記(i)−1、(i)−2及び(ii)で述べた方法においては、着目する2成分(第1成分及び第2成分)について、各成分(第1成分及び第2成分)の光弾性複屈折(前出のa、bあるいはg、h)及び配向複屈折(前出のc、dあるいはi、j)を実験的に求めるために、それら第1成分及び第2成分自身を利用している。しかし、各成分の光弾性複屈折と配向複屈折を他の方法で求めても良い。
つまり、最終的に設計・合成したい2成分を当初から用いなくとも、第1、第2成分以外の成分との組み合わせによって光弾性複屈折と配向複屈折の解析は可能である。例えば、第1成分、第2成分のいずれとも異なる第3成分及び第4成分を用意する。そして、前述の(i)−1、(i)−2あるいは(ii)において、第2成分を第3成分で代替して、第1成分の光弾性複屈折a’と配向複屈折c’を求める一方、同様に、第1成分を第4成分で代替して、第2成分の光弾性複屈折b’と配向複屈折d’を求めても良い。なお、第3成分及び第4成分の光弾性複屈折と配向複屈折も求め得るが、最終的には不要となるデータである。
ここで、前述の式(24)、(25)は、第1成分と第2成分からなる2成分系について、第1成分の成分比xの下での光弾性複屈折と配向複屈折(配向度0.03の下での換算値)を表わしている。従って、前出の式(24)、(25)中のα、β、γ、ηを次の対応関係で上記のa’、b’、c’、d’で表わすことができる、
α=a’
β=b’
γ=c’
η=d’
α、β、γ、ηが求まれば、既述の通り、光弾性複屈折と配向複屈折を同時にほぼ消失させる第1成分の成分比xの範囲(範囲3)の存在を判別式(※9)でチェックする。そして、範囲3中で適値を0<x<100の範囲で定める(詳細については繰り返さない)。
次に、本発明に従った低複屈折性光学樹脂材料において、「2成分系が主構成要素であること」について補足説明する。
実施例でも後述する通り、低複屈折性光学樹脂材料を実際に製造する際には、ポリマーを合成するための重合開始剤および連鎖移動剤が通常用いられる。従って、これらが光弾性複屈折や配向複屈折に影響を及ぼすように思わる。しかし、そのような影響は、次のような理由で無視できる。
一般に、ホモポリマー、二元系共重合体と呼ばれるものも、ポリマー分子鎖の末端に重合開始剤残基あるいは連鎖移動剤の残基が組み込まれている。これらは主たる構成要素(主成分)である第1の成分及び第2の成分及に比べれば、その含有比率は低く、ポリマーの複屈折性に与える影響も無視できる程小さい。また、ポリマー合成時に含まれる不純物、何らかの目的のために添加される有機化合物、無機物質などについても、それらの濃度はきわめて低く、ポリマーの複屈折性に与える影響は無視できる。このような理由から、本発明に係る低複屈折性樹脂材料は、実質的に2成分系によって構成されているとみなすことができる。
次に、実施例について説明する。
[実施例1];
本実施例は、光弾性複屈折と配向複屈折をいずれも実質的に発現しない2元系共重合体を設計し、作成した一例である。2元系共重合体(2成分系)の第1成分、第2成分は下記の通りである。なお、本実施例は前出の(i)−1に対応している。
・第1成分=メチルメタクリレート(MMA=モノマー1)に由来する繰り返し構造の成分=ポリメチルメタクリレート(PMMA=ポリマー1)
・第2成分=ペンタフルオロベンジルメタクリレート(PFBzMA=モノマー2)に由来する繰り返し構造の成分=ポリペンタフルオロベンジルメタクリレート(PPFBzMA=ポリマー2)
本実施例では前出の(i)−1で説明した手順に従って、メチルメタクリレート(methyl methacrylate)とペンタフルオロベンジルメタクリレート(pentafluorobenzyl methacrylate)の2種類のモノマーの共重合体について、先ず、光弾性複屈折性と配向複屈折性を評価した。そして、それらの評価結果から光弾性複屈折と配向複屈折をいずれもほぼ発現しない2元共重合体が存在し得るか、前述の判別法に基づいて判定した。各複屈折の発現のしきい値E、Fとしては次の値を採用した。なお、既述の通り、「配向複屈折率」の値は「配向度0.03における換算値」で表わすものとする。また、諸数値は適宜四捨五入されたものである。
・E=4.0(×10-12/Pa)
・F=1.0(×10-4
本実施例では、後記しきい値E、Fの下で、両複屈折をほぼゼロにできる成分比(共重合組成比)の範囲が存在することが確認された。そこで、同範囲に属する成分比のコポリマーを合成した。以下、より詳細に述べる。なお、本実施形例における2元系共重合体を、適宜、p(PMMA/PFzMA)と略記する。
先ず、ガラス製のサンプル管にMMA(三菱ガス化学(株))とPFBzMA(大阪有機化学工業株式会社)を合計10g、重合開始剤としてパーブチルO(日本油脂(株))をモノマーに対し0.5wt%、連鎖移動剤としてn-ブチルメルカプタン(和光純薬工業(株))をモノマーに対し0.3wt%を入れた。モノマーの比率(重量比)は、MMA/PFBzMA=100/0、85/15、70/30のものをそれぞれ調製した。これらを攪拌し、溶解させ、十分に均一にさせた後、孔径0.2μmのPTFE製メンブランフィルター(東洋濾紙(株))を通してろ過し、各モノマー比率のものについてそれぞれ2本の試験管に移した。
これらの試験管を65℃の水浴中に設置し、48時間重合した。続いて90℃の乾燥機中で24時間熱処理を行った。得られた円柱状のポリマーの内、一方の円柱両端面を研磨した。この円柱状ポリマー(直径18mm、長さ10mm)に側面から荷重を印加し、自動複屈折測定装置ABR-10A(ユニオプト(株))を用いて、円柱の軸に沿ってレーザー光を入射させ、光弾性複屈折を測定した。更に測定結果から各組成比の共重合体の光弾性定数を求めた。
もう一方のポリマーは、重量比で5倍量の塩化メチレン(和光純薬工業(株))とともにガラス製のサンプル管に入れ、攪拌し、十分に溶解させた。
得られたポリマー溶液を、ガラス板状にナイフコーターを用いて展開し、1日室温で放置し、乾燥させた。MMA/PFBzMAを70/30の割合で共重合したフィルムは脆かったため、MMA/PFBzMAを85/15で共重合したサンプルのみ、ガラス板から剥がし90℃の減圧乾燥機内で更に48時間乾燥させた。得られた厚さ約40μmのフィルムをダンベル状に加工し、テンシロン汎用試験機((株)オリエンテック)により一軸延伸を行った。
この時、共重合体の主鎖が配向度f=0.01〜0.1程度の範囲内で様々な配向度を示すように延伸温度や延伸速度などを調整した。その後、このフィルムの配向度を赤外吸収二色法により測定した(赤外吸収二色法による共重合体分子の主鎖やホモポリマーの主鎖の配向度の測定方法については、前掲の非特許文献3を参照)。更に、延伸後のフィルムの複屈折を自動複屈折測定装置ABR-10A(ユニオプト(株))を用いて測定した。
上述のようにして測定された光弾性定数と配向複屈折を図3にグラフで示した。
このグラフにおいて、横軸は第1成分の成分比(組成比)CM1の値CM1(wt%)を表わし、縦軸(右側)は光弾性複屈折のを光弾性定数(×10-12/Pa)で表わしている。また、縦軸(左側)は配向複屈折の値を(×10-4)で表わしている。また、■マークは光弾性定数について得られた実測点を表わし、◆マークは配向複屈折について得られた実測点を表わしている。配向複屈折は、得られたデータより、配向度0.03における値となるように換算した。換算法については、(i)で説明したのでここでは説明を省略する。
図3に示された結果を式で表現すれば、次のようになる。
ΔnE=-0.32745×CM1+28.52 ・・・(38)
Δnor=-0.10693×CM1+9.539 ・・・(39)
ここで、CM1は第1成分(PMMA)の成分比であるから、CM1=xとできる。そして、式(38)は前出の一般式(28)に対応し、式(39)は前出の一般式(29)に対応している。そこで、式(38)と式(28)の比較から、
[(α−β)/100]=-0.32745 ・・・(40)
β=28.52 ・・・(41)
となる。
また、式(39)と式(29)の比較から、
[(γ−η)/100]=-0.10693 ・・・(42)
η=9.539 ・・・(43)
となる。
これらの式から、本実施例におけるα、β、γ、ηの値は結局次のようになる。
α=-4.225
β=28.52
γ=-1.154
η=9.539
・・・(※13)
ここで、前出の範囲3の存否判断のための判別不等式(※10)を再記すると次の通りである。
‖[β/(α−β)]−[η/(γ−η)]‖<‖E/(α−β)]‖+‖F/(γ−η)]‖ ・・・(※10)
上記数値をこの判別不等式中のα、β、γ、ηに代入すると、下記のようになる。
‖[28.52/-32.745]−[9.539/-10.693]‖<‖[E/-32.745]‖+‖[F/-10.693]‖ ・・・(44)
これから、下記不等式(45)を得る。
0.02111<‖[E/-32.745]‖+‖[F/-10.693]‖ ・・・(45)
前述した基準しきい値E=4.0(×10-12/Pa)、F=1.0(×10-4)を用いて右辺を計算する。但し、ここでは、10-12/PaをEの単位、10-4)をFの単位にそれぞれ用いているので、代入する数値はE=4.0、F=1.0である。結果は、次のようになる。
‖[4.0/-32.745]‖+‖[1.0/-10.693]‖=0.1221560+0.0935191=0.2156751
この値は式(45)の左辺の値0.02111より遥かに大きい。従って、本実施例において、範囲3(光弾性定数<E且つ配向複屈折<Fとできるxの範囲;x≦0、x≧100を排除しない)が存在すると判断される。
次に、xE、xor、ΔxE、Δxor、x1〜x4の値は次のようになる。
先ず、xE、xorについては、前出の式(30)、(31)から、
・xE=−[β/(α−β)]×100=[-28.52/-32.745]×100=87.10(wt%)
・xor=−[η/(γ−η)]×100=(9.539/10.693)×100=89.21(wt%)
・ΔxE=‖[100/(α−β)]‖E=(100/32.745)×4.0=12.22(wt%)
・Δxor=‖[100/(γ−η)]‖F=(100/10.693)×1.0=9.352(wt%)
・x1=xE−ΔxE=87.10−12.22=74.9(wt%)
・x2=xE+ΔxE=87.10+12.22=99.3(wt%)
・x3=xor−Δxor=89.21−9.352=79.9(wt%)
・x4=xor+Δxor=89.21+9.352=98.6(wt%)
従って、本実施形態で、E=4.0(×10-12/Pa)、F=1.0(×10-4)とした場合の範囲4(光弾性定数<E且つ配向複屈折<Fとでき、且つ、0<x<100であるxの範囲)は、x3<x<x4であり、数値で示せば下記の範囲である。
79.9(wt%)<x<98.6(wt%)
この範囲はかなり広いので、E、Fの値をより小さい値(厳しい条件)に設定して同様の計算を行ない、x1〜x4の値を求めた。それら計算で得た結果を上記のケース(E=4.0(×10-12/Pa);F=1.0(×10-4)における値とともに図4に表でまとめて記した。
この表から、例えばE=1.0(×10-12/Pa);F=0.1(×10-4)に設定した場合でも、範囲4が次のように決まる。
88.3(wt%)<x<90.1(wt%)
即ち、この範囲内に成分比xを選び(例えば成分比x=範囲4の中央値=89.2(wt%)として)、メチルメタクリレート(第1成分)とペンタフルオロベンジルメタクリレート(第2成分)からなる2成分系共重合体を合成すれば、光弾性定数が1.0(×10-12/Pa)未満で、且つ、配向複屈折(配向度0.03における換算値)を0.1(×10-4)未満とした光学樹脂材料が得られる。実際にこの範囲内の組成比、x=89.0 (wt%)、すなわちメチルメタクリレート(第1成分)とペンタフルオロベンジルメタクリレート(第2成分)の組成比を[89.0 (wt%) / 11.0 (wt%)]として2元系共重合体を合成し、光弾性定数及び配向複屈折を測定したところ、光弾性定数は−0.72(×10-12/Pa)とななり、配向度0.03における配向複屈折は−0.025(×10-4)となった。
以上説明した実施例1では2成分系は2元系共重合体において、光弾性複屈折と配向複屈折の各しきい値E、Fを設定し、両複屈折性を同時にE未満、F未満とする範囲(範囲4)の存在を確認し、範囲4を求めた。云うまでもなく、これは一例である。即ち、既に詳しく説明したように、他の2元系共重合体あるいは低分子有機化合物を添加したホモポリマーのケースであっても、同様のやり方で両複屈折性を同時にE未満、F未満とする範囲(範囲4)の存否を確認することができる。そして、範囲4が存在する場合には、その範囲4を求めることができる。更に、この範囲4内の適値をxの値に採用して、2元系共重合体の合成あるいは低分子有機化合物添加ポリマーの合成を行えば、目的とする低複屈折性の樹脂材料を得ることができる。
なお、第1成分と第2成分の組み合わせによっては、両復屈折を同時に消去できる範囲4が実質的に存在しない場合がある。一般には、第1成分と第2成分(候補)について、前述した方法でα、β、γ、ηを求め、前述した判別不等式(※10)によるチェック等により、範囲4の存否を確認すれば良い。下記の参考例の組み合わせでは、括弧内に記したα、β、γ、ηが得られるが、いずれも範囲4が存在しない例である。
(参考例1)
メチルメタクリレートMMA(第1成分)とベンジルメタクリレートBzMA(第2成分)の共重合体;
・α=-4.225
・β=48.39
・γ=-1.154
・η=4.584
このケースにおいて、基準しきい値E=4.0(×10-12/Pa)、F=1.0(×10-4)の条件下で、範囲3、範囲4は存在しない。
(参考例2)
メチルメタクリレートMMA(第1成分)と2,2,2-trifluoroethyl methacrylate (3FMA;第2成分);
・α=-4.225
・β=-1.7313
・γ=-1.154
・η=0.9349
このケースにおいても、基準しきい値E=4.0(×10-12/Pa)、F=1.0(×10-4)の条件下で、範囲3、範囲4は存在しない。
(参考例3)
メチルメタクリレートMMA(第1成分)とtrans-stilbene(第21成分);
・α=-4.225
・β=137.8
・γ=-1.154
・η=29.82
このケースにおいても、基準しきい値E=4.0(×10-12/Pa)、F=1.0(×10-4)の条件下で、範囲3、範囲4は存在しない。
最後に、光学部材への適用について簡単に説明する。以上のようにして範囲4内の成分比xを選んで作成された光学樹脂材料を用いて、周知の製造工程により所望の形状と寸法を持つ光学部材を製造すれば、従来技術の説明で述べたような、配向自体が起らないようにするための追加工程や、熱歪みを除去するための処理などを要せずに、配向複屈折、光弾性複屈折のいずれも殆ど示さない非屈折性の光学部材が得られる。例えば、延伸成形により液晶表示装置用の透光シートやプリズムシートの基板部分を製造した場合、それらを液晶表示装置に組み込んだ状態で外力(圧縮応力、曲げの応力等)がかかっても、光弾性複屈折は殆ど現れない。配向複屈折も、殆ど現れない。
また、例えばレンズ形状に対応した金型を用いた射出成形により、光ディスク読み取り光学系用のレンズを製造した場合、やはり、従来技術の説明で述べたような、配向自体が起らないようにするための追加工程や、熱歪みを除去するための処理などを要せずに、それを読み取り光学系に組み込んだ状態で外力(圧縮応力、曲げの応力等)がかかっても、光弾性複屈折が殆ど現れないようにすることができる。また、配向複屈折も殆ど現れない。
押出成形を使用して製造される任意形状の光学部材についても、上記手法で配向複屈折と光弾性複屈折を同時に減殺した樹脂を用いれば、やはり、配向複屈折と光弾性複屈折のいずれも殆ど現れない。このような諸利点は、従来技術に係る光学樹脂材料では得られなかったものである。
以上述べてきたことをまとめると、光学部材ではその製造工程で配向複屈折が発現し易く、それは冷却されて固化した後にはそのまま残留する。また、光弾性複屈折は溶融状態から冷却される過程で生じる場合と、冷却後に光学部材として使用する際に外部から加わる応力により生じる場合があるが、公知の方法では配向複屈折と光弾性複屈折のどちらか一方のみを消去することができたが、両方を同時に消去することができず、どちらかの複屈折が光学部材に残留することが多かった。
ところが本願が提供する光学樹脂を用いれば、公知の方法により、配向複屈折と光弾性複屈折がほとんど生じない光学部材を効率良く作製することができる。従って、これらの光学部材は、従来の光学樹脂によるものよりも高い性能を実現できることは言うまでもない。
最後に、図5、図6を参照して、光学部材の例として、本発明によって得られる低複屈折性樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子について説明しておく。図5において、符号10は液晶層で、基板11a、11bの間に封入されている。基板11a、11bの両側には、1対の偏光板ユニット12a、12bが設けられる。偏光板ユニット12a、12bは、それぞれ偏光板13を樹脂シート14ではさんだ構造を有している。この樹脂シート14に、例えば上記実施例で得られる材料が使用可能である。樹脂シート14は、偏光板13を保護しており、マウント状態でなんらかの力(圧縮応力、曲げ応力等)を外部から受けるが、複屈折による光線分離を伴わない光透過を可能にする。
図6は、同様に樹脂シートの別の使用例を断面図で示したものである。同図において、符号10は液晶層で、基板15a、15bの間に封入されている。基板15a、15bの両側には、1対の偏光板ユニット16a、16bが設けられる。偏光板ユニット16a、16bは、それぞれ偏光板13をその外側から樹脂シート14で覆った構造を有している。この樹脂シート14に、例えば上記実施例で得られる材料が使用可能である。樹脂シート14は、偏光板13を保護しており、マウント状態でなんらかの力(圧縮応力、曲げ応力等)を外部から受けるが、複屈折による光線分離を伴わない光透過を可能にする。
本発明の光学部品への適用は、このような樹脂シートに限らず、各種の光学関連機器で用いられるフィルム状、板状、レンズ状等の光学部材(例えば、各種基板、プリズムシート等;光ディスクの信号読み取り用レンズ系中のレンズ、プロジェクションスクリーン用フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等)に対しても可能であることは、特に説明を要しないであろう。
しきい値E、Fについて説明するグラフである。 範囲3が存在しない4つのケース(a)〜(d)について説明する図である。 実施例において実測された光弾性定数と配向複屈折をグラフで示したものである。 実施例において、しきい値E、Fと、x1〜x4の計算値を示した表である。 本発明によって得られる低複屈折性樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の例について説明する断面図である。 本発明によって得られる低複屈折性樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の別の例について説明する断面図である。
符号の説明
10 液晶層
11a、11b、15a、15b 基板
12a、12b、16a、16b 偏光板ユニット
13 偏光板
14 樹脂シート

Claims (7)

  1. 第1成分と、第2成分からなる2成分系を主たる構成要素として含み、少なくとも前記第1成分は第1のモノマーに由来する第1のポリマー成分である、低複屈折性光学樹脂材料であって、
    前記2成分系における前記第1成分の成分比をx(wt%)とした時、
    xの値は、0<x<100であり、且つ、
    前記2成分系の光弾性定数の絶対値が予め定められたしきい値E未満とするxの範囲である第1の範囲と、前記2成分系の配向複屈折の絶対値を予め定められたしきい値F未満とするxの範囲である第2の範囲の双方に間するように定められており、
    前記しきい値Eは、4.0(×10-12/Pa)未満であり、前記しきい値Fは、配向度0.03における換算値で、1.0(×10-4)未満であるように定められており
    前記第2成分は、第2のモノマーに由来する、前記第1のポリマー成分とは異なる第2のポリマー成分、あるいは、分子量が2000である低分子有機化合物である、前記低複屈折性光学樹脂材料。
  2. 前記しきい値Eは、2.0(×10-12/Pa)未満であることを特徴とする、請求項1に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
  3. 前記しきい値Eは、1.0×(×10-12/Pa)未満であるように定めらていることを特徴とする、請求項1に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
  4. 前記しきい値Eは、0.5×(×10-12/Pa)未満であるように定めらていることを特徴とする、請求項1に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
  5. 前記しきい値Fは、配向度0.03における換算値で、0.5(×10-4)未満であることを特徴とする、請求項1〜請求項4の内のいずれか1項に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
  6. 前記しきい値Fは、配向度0.03における換算値で、0.1(×10-4)未満であることを特徴とする、請求項1〜請求項4の内のいずれか1項に記載の低複屈折性光学樹脂材料。
  7. 光学樹脂を成形して得られる光学部材であって、前記光学樹脂は、請求項1〜請求項6の内、いずれか1項に記載された低複屈折性光学樹脂である、前記光学部材
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