JP2005204194A - ループアンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】広帯域で整合する略平面形状で小形のアンテナを実現し、かつ、その金属配線の太さを細くしたり、そのループ数を小さくしたりすること。
【解決手段】2次元領域P10を囲むワイヤーp10は開曲線を構成しており、その2つの端点は給電部O10の所で互いに接近している。p10の部分pp10は、2次元領域Q10,R10の各周を形成するワイヤーq10、ワイヤーr10とをつないでいる。ワイヤーp10とワイヤーq10とは、互いに一部分s10を共有している。共有部s10の一部分ss10と共有部t10の一部分tt10とは、略平行に対峙部している。ワイヤーp10は給電部O10を備えたフォールデッドダイポールを形成している。また、上記のワイヤーp10、ワイヤーq10、ワイヤーr10から、上記の共有部s10,共有部t10を除いた残りの部位は、目的のループアンテナにおけるループを構成している。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属配線から構成された略平面形状のループアンテナに関する。
このアンテナは、電波を受信或いは送信するための、略平面状の小形アンテナを構成する場合に大いに有用なものである。
図9、図10に、配線パターンが略平面上に展開された従来のループアンテナの平面図を例示する。図9のループアンテナ110は、金属配線L111 ,L112 ,L113 ,L114 を用いて、アンテナのループを4重にすることにより、利用可能な通信帯域を広帯域化したものである。
また、図10のループアンテナ120は、この様な多線化構成と略同様の効果を得るために、配線パターン(金属配線L121 )の配線幅を広く確保したものである。
また、これらの広帯域化技法を組み合わせて利用した従来のループアンテナとしては、例えば下記の特許文献1に記載されているものなどが一般にも広く知られている。この特許文献1には、板状の絶縁体の表面に幅広の帯状の金属線を多重のループ状に配置して固定したループアンテナが開示されている。
特開2000−269724
しかしながら、上記の様な多重ループ化や配線パターンの幅広化などによる従来の広帯域化技法を採用すれば、以下の問題が回避し難くなる。
(問題点1)例えばガラスや樹脂などの透光性の絶縁体に、目的のループアンテナを固定する場合に、その絶縁体の透光性が阻害される。
(問題点2)特に、上記の絶縁体が車両の窓ガラスなどである場合には、乗員の視界の確保や、車両の美観などの点で不利になる。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、広帯域で整合する略平面形状で小形のアンテナを実現し、かつ、その金属配線の太さを細くしたり、そのループ数を小さくしたりすることである。
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、略平面上に展開された金属配線から構成されるループアンテナにおいて、2点1組の給電点からなる1つの給電部Oと、この給電部Oを備えた最外周ループZと、略平行形状の金属配線を有して成るフォールデッドダイポールとを備え、このフォールデッドダイポールと最外周ループZとに、互いに一部分の金属配線を共有させ、最外周ループZに共有されないフォールデッドダイポールの他の金属配線を、最外周ループZの内側に配置された、互いの交点や接点を持たない2本の線路s,tから構成し、フォールデッドダイポールの共振周波数f2 と最外周ループZの共振周波数f1 とを包括する一連の周波数帯域で整合させることである。
また、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段によって構成されるループアンテナを、互いに接近した2つの端点を有する1本の開曲線を形成する金属配線pと、1本の単純閉曲線を形成する金属配線qと、1本の単純閉曲線を形成する金属配線rとから形成し、金属配線pと金属配線qとに互いに線路sを共有させ、金属配線pと金属配線rとに互いに線路tを共有させ、金属配線qと金属配線rを互いに離して配置し、上記の2つの端点で給電部Oを構成し、金属配線qと金属配線rの間に位置する金属配線pの部分ppに給電部Oを備え、かつ、この部分ppにより給電部Oを介して金属配線qと金属配線rとをつなぎ、金属配線pでフォールデッドダイポールを形成し、金属配線p,q,rから線路sと線路tとを除いた残りの部分で最外周ループZを形成することである。
また、本発明の第3の手段は、上記の第1または第2の手段において、給電部O寄りに位置する線路sの一部分ssと、給電部O寄りに位置する線路tの一部分ttとを距離D1 だけ離して互いに対峙させて配置することである。
また、本発明の第4の手段は、上記の第3の手段において、共振周波数f2 に対応する波長λ2 に対して、0.005λ2 ≦D1 ≦0.05λ2 が成立する様に、距離D1 を設定することである。
また、本発明の第5の手段は、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段において、ループアンテナを構成する金属配線を何れも、給電部Oを通る1本の中心線に対して略線対称形に形成することである。
また、本発明の第6の手段は、上記の第1乃至第5の何れか1つの手段において、上記の共振周波数f2 を共振周波数f1 よりも大きくすることである。
また、本発明の第7の手段は、上記の第1乃至第6の何れか1つの手段において、最外周ループZに、内側に凹んだ迂回路を設けることである。
また、本発明の第8の手段は、上記の第1乃至第7の何れか1つの手段において、フォールデッドダイポールを形成する略平行形状の金属配線の間隔D2 を、共振周波数f2 に対応する波長λ2 に対して、0.01λ2 ≦D2 ≦0.2λ2 が成り立つ様に設定することである。
また、本発明の第9の手段は、上記の第1乃至第8の何れか1つの手段を用いて形成される上記のループアンテナを車両の窓ガラスに対して、埋め込み、嵌め込み、貼り付け、溶着、または塗布によって固定することである。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の第1の手段によれば、従来よりも短い金属配線で、広帯域で整合する略平面形状の小形アンテナを構成することが可能となる。
ループアンテナとダイポールアンテナとでは共振モードが異なるため、本発明の構成に従えば、上記の共振周波数f1 とf2 とを独立に制御することができる。即ち、上記の各共振周波数f1 、f2 に関連するアンテナの各部の形状や長さなどの設計パラメータを独立に設けることができる。したがって、本発明の構成に従えば、広帯域にわたって整合するループアンテナを構成することができる。
更に、上記の構成に従えば、ループアンテナを構成する上記の1本のループに対して、上記の線路s,tを付加しただけの構成でアンテナ全体を形成することができる。
これらの事情により、同一幅の受信帯域(又は送信帯域)を有するアンテナを金属配線などで形成する時、上記の構成では、上記の線路sと線路tの長さの和は、同一の周波数帯域で略同等レベルの特性を与える従来の多重ループ構造において最外周のループよりも内側に配置する必要があったループのループ長の和よりも短くすることができる。
したがって、本発明によれば、従来よりも少ないループ数又はより短い配線長で、広帯域で整合する略平面形状の小形アンテナを構成することができるので、前述の問題点1や問題点2の何れをも解決することができる。
即ち、本発明により以下の効果をも同時に得ることができる。
(1)透光性の絶縁体に、目的のループアンテナを固定する場合には、その絶縁体の透光性が阻害されにくい。
(2)特に、上記の絶縁体が車両の窓ガラスなどである場合には、乗員の視界の確保や、車両の美観などの点で有利となる。
また、本発明の構成に従えば、ループアンテナの固定形態の如何に係わらず、金属線の材料コストを効果的に抑制することができる。
また、本発明の第2の手段によれば、本発明のループアンテナを更に具体的かつ確実に構成することができる。
ただし、ここで言う開曲線や単純閉曲線は、金属配線の中心線などと解釈すれば良い。この金属配線は、実際には金属ワイヤー等の周知の金属導体で形成するものであるので、勿論、厳密に言及すれば太さや体積を有する。
この第2の手段は、上記の第1の手段を、周知の開曲線や単純閉曲線等の既成概念(イメージ)を利用して、より具体的に分かり易く説明(再定義)するものである。
また、本発明の第3の手段によれば、距離D1 の調整によって、上記のフォールデッドダイポールの入力インピーダンスを調整することができる。したがって、上記の構成に従えば、距離D1 の調整によって、上記のフォールデッドダイポールの共振周波数f2 における電圧定在波比(VSWR)を容易に抑制(最小化)することができる。
この時の距離D1 の適正範囲は、0.005λ2 ≦D1 ≦0.05λ2 である(本発明の第4の手段)。
上記のアンテナ構造は、必ずしも線対称形に形成する必要はない。しかしながら、本発明の第5の手段によれば、アンテナ配線の形状の自由度を小さくできるので、アンテナの配線パターンの設計作業を簡潔にすることができる。即ち、本発明のループアンテナは、左右非対称形にすることによって受信特性(又は送信特性)における特段の効果が期待できるものではなく、逆に、配線パターンを左右対称とすることにより設計時の受信特性(又は送信特性)の予測などが実施し易くなる。
ただし、ループアンテナの配線パターンは、最終的には、設置場所の形状や面積や、更には視覚的な効果などをも総合的に考慮して決定することがより望ましい。
また、本発明の第6の手段によれば、受信帯域(又は送信帯域)の帯域幅を効果的に広く確保することができる。
共振周波数の差(f2 −f1 >0)を受信帯域(又は送信帯域)が2つに分離されない範囲内においてできるだけ大きく設定すれば、目的の受信帯域(又は送信帯域)の帯域幅を効果的に広く確保することができる。この差は、受信帯域(又は送信帯域)が2つに分離されない範囲内においてできるだけ大き方が望ましい。
また、本発明の第7の手段によれば、より小さな設置面積で、より長いループ長を確保することができる。このことは、アンテナの小型化と広い受信帯域幅(又は送信帯域幅)の確保の少なくとも何れか一方に効果的に寄与する。
また、本発明の第8の手段によれば、距離D2 の調整によって、上記のフォールデッドダイポールの入力インピーダンスを調整することができる。したがって、上記の構成に従えば、距離D2 の調整によって、上記のフォールデッドダイポールの共振周波数f2 における電圧定在波比(VSWR)を容易に抑制(最小化)することができる。この時の距離D2 の適正範囲は、0.01λ2 ≦D2 ≦0.2λ2 である。
また、本発明のループアンテナでは、使用する金属配線の配線長を従来よりも短く抑制したり、或いは細くしたりすることができるので、このループアンテナを自動車の窓ガラスに配設した場合には、乗員の視野の確保や車両の美観の点で有利である(本発明の第9の手段)。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。また、以下の各実施例では、受信用のアンテナを中心に具体的な実施例を開示するが、本発明のループアンテナが送信用のアンテナとしても利用できることは言うまでもない。
図1に本実施例1のループアンテナ10の平面図を示す。ワイヤーpp10とは、図1の右下の拡大図中に図示されている給電部O10の右側に位置して端点αと図1の略中央に図示されている点kとをつなぐ金属配線部分(pp10右部)と、給電部O10の左側に位置して端点βと点hとをつなぐ金属配線部分(pp10左部)との総称である。この端点αから出発して、左回りに順次角部a,b,c,dを巡回し、最後に上記のpp10左部の端点βに戻る順路上に、最外周ループZが金属ワイヤーで形成されている。また、線路s10は、この最外周ループZで囲まれた矩形の内部領域上のみを通って、最外周ループZ上の図示する2点g,hをつなぐ線路であり、最外周ループZ上には位置しない。同様に線路t10は、最外周ループZの内側(矩形の内部領域上)を通って、この最外周ループZ上の2点j,kをつなぐ線路である。線路s10と線路t10とは、互いに交点も接点も有していない。
上記のワイヤーpp10の左右両端点α,βをつないだ線分と上記の最外周ループZとで囲まれる2次元領域をUとする。即ち、この2次元領域Uは、点a,b,c,dを各頂点とする上記の矩形の内部領域と一致する。したがって、2次元領域Uを点の集合と考えれば、例えばU⊃s10,t10と書くことができる。線路s10,t10は上記の通り、最外周ループZで囲まれた矩形の内部領域上を通る金属配線だからである。
更に詳しく説明すると、この2次元領域Uは、図1に図示された3つの2次元領域P10,Q10,R10の和領域と、上記の2本の線路s10,t10から構成される。ただし、P10,Q10,R10,s10,t10は何れも互いに交わらない。即ち、U=P10∪Q10∪R10∪s10∪t10であり、かつ、「∀A∈{P10,Q10,R10,s10,t10},∀B∈{P10,Q10,R10,s10,t10}、かつ、A≠B」⇒「A∩B=φ」である。
そして、この2次元領域P10を囲む開曲線を形成する金属配線(:ワイヤーp10)と、2次元領域Q10の周(:単純閉曲線)を成す金属配線(:ワイヤーq10)とは、一部の金属配線(:線路s10)を共有している。同様に、2次元領域P10を囲む金属配線(:ワイヤーp10)と、2次元領域R10の周(:単純閉曲線)を成す金属配線(:ワイヤーr10)とは、一部の金属配線(:線路t10)を共有している。
ワイヤーp10とは、上記の点α,βを2つの端点とし、図1中の略T字型の2次元領域P10を過不足なくちょうど囲む金属配線の部分を言い、このワイヤーp10は、給電部O10を備えた略T字型のフォールデッドダイポールを形成している。
符号D2 は、このフォールデッドダイポールの略平行形状の2線の間隔を表している。即ち、このフォールデッドダイポールは、横手方向(:x軸方向)に長手方向を有しており、縦軸方向(:y軸方向)よりも3〜4倍程度横手方向に長い。T字の左側の端部は、点cよりも先の部分がy軸方向の負の向きに直角に折り曲げられており、T字の右側の端部は、点bよりも先の部分がy軸方向の負の向きに直角に折り曲げられている。また、給電部O10はこのT字の足(:最下部)の略中央に設けられている。
言い換えれば、この略T字型の2次元領域P10を囲むワイヤーp10は開曲線を構成しており、この開曲線の2つの端点が上記の給電部O10(図1の拡大図)に置かれた上記のワイヤーpp10の左右両端点α,βに相当する。即ち、2次元領域P10を囲む開曲線を形成するワイヤーp10の2つの端点α,βは、給電部O10の所で互いに対峙して接近している。そして、この給電部O10を備えたワイヤーp10の部分pp10は、2次元領域Q10の周(:単純閉曲線)を形成するワイヤーq10上の点hと、2次元領域R10の周(:単純閉曲線)を形成するワイヤーr10上の点kとを、給電部O10を介してつないでいる。
また、上記のワイヤーp10、ワイヤーq10、ワイヤーr10から、上記の線路s10,線路t10を除いた残りの部位は、3つの2次元領域P10,Q10,R10の和領域を囲んだ、略長方形の開曲線を形成している。勿論、この開曲線が上記の最外周ループZに相当する部位であり、これにより、目的のループアンテナにおけるループの部分が形成されている。
線路s10の一部分ss10は、線路t10の一部分tt10と平行に対峙している。言い換えれば、線路s10の部分で、線路t10の一部と平行に対峙する部位をss10と呼び、線路t10の部分で、線路s10の一部と平行に対峙する部位をtt10と呼ぶ。
これらの部分を以下、対峙部ss10、tt10、或いは根元部ss10、tt10などと呼ぶことがある。また、この対峙部ss10と対峙部tt10とを合わせて、以下、スタブ(ss10,tt10)と呼ぶことがある。距離D1 は、ss10とtt10との間隔を表しており、この距離D1 を以下、スタブ(ss10,tt10)の幅などと言う。このスタブ(根元部ss10,tt10)は、給電に寄与する。
上記のスタブの幅D1 (:ワイヤーss10とtt10との間隔)の適正範囲は、0.005λ2 ≦D1 ≦0.05λ2 であり、スタブの幅D1 はこの適正範囲で、共振周波数f2 における給電点O10での電圧定在波比(VSWR)が最小化される様に、或いは電圧定在波比(VSWR)が2以下となる受信帯域(又は送信帯域)の幅が最大化される様に、最適化されている。
また、上記のフォールデッドダイポールの2線の間隔D2 の適正範囲は、0.01λ2 ≦D2 ≦0.2λ2 であり、間隔D2 はこの適正範囲で、共振周波数f2 における電圧定在波比(VSWR)が最小化される様に、或いは電圧定在波比(VSWR)が2以下となる受信帯域(又は送信帯域)の幅が最大化される様に、最適化されている。
図2に、本実施例1のループアンテナ10の給電点O10における反射特性(VSWR)を例示する。周波数f1 は、上記の目的のループアンテナにおけるループの共振周波数であり、周波数f2 は、上記のフォールデッドダイポールの共振周波数である。ループによって最も感度よく受信される電波の波長λ1 は、ループの一周の長さL1 に略一致する。したがって、共振周波数f1 とループ長L1 との積は、光速cに略一致する。また、フォールデッドダイポールによって最も感度よく受信される電波の波長λ2 は、フォールデッドダイポールの全長の倍の長さ2L2 に略一致する。したがって、共振周波数f2 とフォールデッドダイポールの全長L2 との積は、光速cの半値に略一致する。
ただし、図2では、周波数f1 ,f2 は、両者の間にある適当な周波数f0 を用いて規格化して表現してある。本図2の周波数f0 は、電圧定在波比(VSWR)が2以下となる周波数帯域(受信帯域又は送信帯域)における中心周波数に略一致している。
本図2からも判る様に、本実施例1のループアンテナ10は、最外周ループZに線路s10と線路t10とを付け加えただけの簡単な配線構造によって形成されており、かつ、使用しているワイヤーの長さの総和は、上記の波長λ1 ,λ2 に対して比較的短いにも係わらず、ループアンテナ10の受信帯域又は送信帯域(:電圧定在波比が2以下となる周波数帯域)は非常に広くなっている。この帯域幅は、中心周波数f0 の約41%(0.80〜1.21)にも達している。
したがって、例えば上記のループアンテナ10のy軸方向の全長を6cm,x軸方向の全長を23cmとすれば、λ1 ≒58cm,f1 ≒520MHz,f0 ≒590MHzとなり、受信帯域の帯域幅は約242MHzとなる。即ち、この場合、上記のループアンテナ10を用いれば、469MHz〜711MHzの周波数帯域のテレビ放送が受信可能となる。即ち、本発明に基づく上記の構成に従えば、1台のアンテナ(上記のループアンテナ10)で、我が国における地上波デジタルテレビ放送の合計40チャンネルを全て受信することができる。
図3−A,B,Cは、ループアンテナ10の各周波数(f=0.8f0 /f0 /1.2f0 )での受信感度(放射パターン)を例示するグラフである。この図3からも判る様に、ループアンテナ10は、受信帯域内(0.8f0 〜1.21f0 )の何れの周波数においても、y軸方向に略8の字型の指向性を示す。
また、本実施例1のループアンテナ10では、配線が少ない或いは短いので、埋め込み、嵌め込み、又は張り付けなどによって、このアンテナを窓ガラスなどに固定した場合には、従来の多重ループのループアンテナの場合よりも、透光性をより良好に確保することができる。
このため、本実施例1のループアンテナ10は、特に、車両等の窓ガラスに配設する場合などに、乗員の視界の確保や車両の美観の点などで非常に有利である。また、この優位性は、車両などにおける移動体通信をアダプティブ受信、或いはダイバーシチ受信により実施する場合に、アンテナを複数用意しなければならないことなどから、特に顕著となる。
図4は、本実施例2のループアンテナ20の平面図である。このループアンテナ20は、前述の実施例1のループアンテナ10の最外周ループZに対して、迂回路を設けることにより、ループアンテナ10を変形したものである。したがって、その他の構成は、実施例1のループアンテナ10によく似ている。
即ち、線路s20は最外周ループZの内側(内部領域上)においてこの最外周ループZ上の2点g,hをつなぐ線路であり、同様に、線路t20は最外周ループZの内側においてこの最外周ループZ上の2点j,kをつなぐ線路である。
また、実施例1と同様に、給電部O20上に配置されているワイヤーpp20の2つの端点をつなぐ線分と、上記の最外周ループZとで囲まれる2次元領域をUとする。この時、この2次元領域Uは、図示する3つの2次元領域P20,Q20,R20の和領域と、上記の2本の線路s20,t20から構成される。ただし、P20,Q20,R20,s20,t20は何れも互いに交わらない。
更に、ループアンテナ20においては、2次元領域P20を囲むワイヤーp20の長さは、ループアンテナ10のワイヤーp10の長さと略一致し、2次元領域Q20を囲むのワイヤーq20の長さは、ループアンテナ10のワイヤーq10の長さと略一致し、2次元領域R20を囲むのワイヤーr20の長さは、ループアンテナ10のワイヤーr10の長さと略一致している。
また、ループアンテナ20のスタブ(ss20,tt20)の幅は、ループアンテナ10のスタブ(ss10,tt10)の幅D1 に略一致しており、更に、ループアンテナ20の略平行形状のフォールデッドダイポールの2線の間隔も、ループアンテナ10の略平行形状のフォールデッドダイポールの2線の間隔D2 に略一致している。
このため、本実施例2のループアンテナ20の整合/放射特性は、図2、図3に例示したループアンテナ10の整合/放射特性に略一致している。
しかしながら、2次元領域Q20の周を形成しているワイヤーq20の一部分であるワイヤーqq20は、その2次元領域Q20の周を内側に凹ますことにより最外周ループZを迂回させる迂回路を形成している。同様に、2次元領域R20の周を形成しているワイヤーr20の一部分であるワイヤーrr20は、その2次元領域R20の周を内側に凹ますことにより最外周ループZを迂回させる迂回路を形成している。そして、これらの2つの迂回路(qq20,rr20)の設置は、ループアンテナ20の小型化に寄与している。即ち、この様な迂回路を設けることにより、ループアンテナ20は、実施例1のループアンテナ10の整合/放射特性を概ね維持したまま、更にその設置面積を縮小させている。
この様に、ループを内側に凹ませて迂回路を形成すれば、ループアンテナの設置面積を効果的に縮小させることができる。
図5は、本実施例3のループアンテナ30の平面図である。このループアンテナ30は、実施例1のループアンテナ10を変形したもので、このループアンテナ30の最外周ループZは、略楕円形になっており、略T字型の2次元領域P30を囲む金属ワイヤーp30(⊃(s30∪pp30∪t30))で形成された略T字型のフォールデッドダイポールは、この楕円形に沿って湾曲した形状に変形されている。
即ち、線路s30は最外周ループZの内側において図中の最外周ループZ上の2点g,hをつなぐ線路であり、同様に、線路t30は最外周ループZの内側において最外周ループZ上の2点j,kをつなぐ線路である。また、実施例1と同様に、給電部O30上に配置されているワイヤーpp30の2つの端点を線分でつなぐ時、この線分と最外周ループZとで囲まれる2次元領域をUとする。この時、この2次元領域Uは、図示する3つの2次元領域P30,Q30,R30の和領域と、上記の2本の線路s30,t30から構成される。ただし、P30,Q30,R30は何れも互いに交わらない。
そして、このループアンテナ30においても、略T字型の2次元領域P30を囲むワイヤーp30の長さは、ループアンテナ10のワイヤーp10の長さと略一致し、2次元領域Q30を囲むのワイヤーq30の長さは、ループアンテナ10のワイヤーq10の長さと略一致し、2次元領域R30を囲むのワイヤーr30の長さは、ループアンテナ10のワイヤーr10の長さと略一致している。
また、このループアンテナ30のスタブ(ss30,tt30)の幅は、ループアンテナ10のスタブ(ss10,tt10)の幅D1 に略一致しており、更に、ループアンテナ30の略平行形状のフォールデッドダイポールの2線の間隔も、ループアンテナ10の略平行形状のフォールデッドダイポールの2線の間隔D2 に略一致している。
このため、本実施例3のループアンテナ30の整合/放射特性は、図2、図3に例示したループアンテナ10の整合/放射特性に略一致している。
そして、図5にその形状を具体的に例示する様に、本発明のループアンテナの配線パターン(ワイヤーp30,q30,r30)の任意の部分は、曲線で構成することも可能である。図形の角張った部位は、視覚的に人の注意を引き易く、目立ち易いが、アンテナの配線形状に極力曲線を取り入れることにより、角張った部分の箇所数を削減することができるので、これにより、視覚的により無視し易い形状のループアンテナを形成することが可能となる。したがって、この様なループアンテナを例えば車両の窓ガラス等に配設すれば、乗員の視界をより良好に確保し易くしたり、車両の美観が損なわれ難くしたりすることができる。
〔その他の変形例〕
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記の実施例1〜3では、給電部O10の位置を、フォールデッドダイポールの共振部分(:略平行で距離D2 だけ離れた2線)から最も離れた所(下部)に選んだが、給電部O10の位置は、アンテナの下部、中央、上部の何れにも選ぶことができる。
図6−Aは、本発明に基づいて形成されたループアンテナ41の平面図である。このループアンテナ41では、線路s41と線路t41とがワイヤーpp41でつながれており、かつ、これらのワイヤー(s41,t41,pp41)は、一直線上に配置されている。このため、ループアンテナ41においては、その給電部O41は、アンテナのループ内の上部に配置されている。また、ワイヤーpp41は、ループの迂回路の一部を形成しており、給電部O41は、その迂回路の中間点に位置している。また、線路s41,t41はそれぞれ何れも対峙部を有していない。
図6−Bは、本発明に基づいて形成されたループアンテナ42の平面図である。このループアンテナ42では、対峙部ss42と対峙部tt42とが非平行に対峙している。また、ワイヤーpp42はその右側が給電部O42よりも下方に曲がっている。また、ワイヤーp42で形成されるフォールデッドダイポールの左右両端の形状も左右非対称になっている。即ち、ループアンテナ42のフォールデッドダイポールの右端には屈曲部が設けられていない。
図6−Cは、本発明に基づいて形成されたループアンテナ43の平面図である。このループアンテナ43においても、対峙部ss43と対峙部tt43とが非平行に対峙している。また、単純閉曲線を形成するワイヤーq43では、左下の部分が閉曲線の内側へ凹んでいるが、この様な窪みの形成によってもループ長を維持したまま、アンテナの占有面積を小さくすることができる。
また、上記のループアンテナ41〜43には何れも、ループアンテナのループ上に、給電部を通過する迂回路が形成されている。
(変形例2)
図7−A,B,Cのループアンテナ51〜53は、ループ長を増大させる迂回路を2つ以上有し、かつ、給電部近傍のワイヤー(pp51/pp52/pp53)の形状が左右非対称に変形されている例である。また、ループ長を増大させる各迂回路の位置又は形状も、ループアンテナ51〜53では、左右非対称に形成されている。
(変形例3)
図8−A,B,Cのループアンテナ61〜63は、ループ長を増大させる迂回路をループの側方から設けたものである。各迂回路(qq61,rr61/qq62,rr62/qq63,rr63)は、何れも左右対称に形成されている。
また、ループアンテナ63では、ループ長を増大させる迂回路を計5箇所に設けているが、この様な迂回路の数は任意である。また、ループアンテナ63では、ワイヤーp63によって形成されるフォールデッドダイポールの左右両端に屈曲部を設けていないが、屈曲部の有無や長さは任意で良い。
例えば以上の様な任意の変形を実施した場合においても、本発明の構成に基づいて、本発明の作用・効果を得ることができる。
また、配線パターン(金属配線)のループ数や線幅などの減少、削減に伴って必然的に生じる配線パターン(金属配線)の材料コストの抑制効果は、例えばそのアンテナを透光性の絶縁体に固定する等々の、本発明のループアンテナの固定形態の如何に係わらず、本発明の手段に基づいて得られる基本的な効果である。
本発明のループアンテナは、例えば窓ガラス等の透明な絶縁体に配設すると、その優位性が特に顕著となる構成を有するが、しかしながら、本発明のループアンテナは、上記の用途や使用形態(例えば固定形態など)に何ら限定されることなく、通信に使用可能な任意の周波数の電波の送受信に、任意の使用形態で利用することができるものである。
実施例1のループアンテナ10の平面図 実施例1のループアンテナ10の反射特性を例示するグラフ ループアンテナ10のf=0.8f0 での受信感度を例示するグラフ ループアンテナ10のf=1f0 での受信感度を例示するグラフ ループアンテナ10のf=1.2f0 での受信感度を例示するグラフ 実施例2のループアンテナ20の平面図 実施例3のループアンテナ30の平面図 その他の変形例(ループアンテナ41)の平面図 その他の変形例(ループアンテナ42)の平面図 その他の変形例(ループアンテナ43)の平面図 その他の変形例(ループアンテナ51)の平面図 その他の変形例(ループアンテナ52)の平面図 その他の変形例(ループアンテナ53)の平面図 その他の変形例(ループアンテナ61)の平面図 その他の変形例(ループアンテナ62)の平面図 その他の変形例(ループアンテナ63)の平面図 従来のループアンテナ110の平面図 従来のループアンテナ120の平面図
符号の説明
10,20,
30 : ループアンテナ
O : 給電部
p : ワイヤー(開曲線を形成する)
q : ワイヤー(単純閉曲線を形成する)
r : ワイヤー(単純閉曲線を形成する)
s : pとqとの共有部
t : pとrとの共有部
pp : pの部分(給電部Oの近傍)
ss : sの一部分(ttとの対峙部)
tt : tの一部分(ssとの対峙部)
1 : ssとttとの距離
2 : 略平行形状のフォールデッドダイポールの2線の間隔

Claims (9)

  1. 略平面上に展開された金属配線から構成されるループアンテナであって、
    2点1組の給電点からなる1つの給電部Oと、
    前記給電部Oを備えた最外周ループZと、
    略平行形状の金属配線を有して成るフォールデッドダイポールと
    を有し、
    前記フォールデッドダイポールと前記最外周ループZとは、
    互いに一部分の金属配線を共有し、
    前記最外周ループZに共有されない前記フォールデッドダイポールの他の金属配線は、
    前記最外周ループZの内側に配置された、互いの交点や接点を持たない2本の線路s,tから成り、
    前記フォールデッドダイポールの共振周波数f2 と前記最外周ループZの共振周波数f1 とを包括する一連の周波数帯域で整合する
    ことを特徴とするループアンテナ。
  2. 互いに接近した2つの端点を有する1本の開曲線を形成する金属配線pと、
    1本の単純閉曲線を形成する金属配線qと、
    1本の単純閉曲線を形成する金属配線rと
    から成り、
    前記金属配線pと前記金属配線qは、互いに前記線路sを共有し、
    前記金属配線pと前記金属配線rは、互いに前記線路tを共有し、
    前記金属配線qと前記金属配線rは、互いに離れて配置され、
    2つの前記端点は、前記給電部Oを構成し、
    前記金属配線qと前記金属配線rの間に位置する前記金属配線pの部分ppは、
    前記給電部Oを備え、かつ、
    前記給電部Oを介して、前記金属配線qと前記金属配線rとをつなぎ、
    前記金属配線pは、
    前記フォールデッドダイポールを形成し、
    前記金属配線p,q,rから前記線路sと前記線路tとを除いた残りの部分は、
    前記最外周ループZを形成している
    ことを特徴とする請求項1に記載のループアンテナ。
  3. 前記給電部O寄りに位置する前記線路sの一部分ssと、
    前記給電部O寄りに位置する前記線路tの一部分ttは、
    距離D1 だけ離れて互いに対峙させて配置されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のループアンテナ。
  4. 前記距離D1 は、
    前記共振周波数f2 に対応する波長λ2 に対して、
    0.005λ2 ≦D1 ≦0.05λ2
    を満たす様に設定されている
    ことを特徴とする請求項3に記載のループアンテナ。
  5. 前記ループアンテナを構成する金属配線は何れも、
    前記給電部Oを通る1本の中心線に対して略線対称形に形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のループアンテナ。
  6. 前記共振周波数f2 は、
    前記共振周波数f1 よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のループアンテナ。
  7. 前記最外周ループZは、
    内側に凹んだ迂回路を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のループアンテナ。
  8. 前記フォールデッドダイポールを形成する略平行形状の金属配線の間隔D2 は、
    前記共振周波数f2 に対応する波長λ2 に対して、
    0.01λ2 ≦D2 ≦0.2λ2
    を満たす様に設定されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のループアンテナ。
  9. 車両の窓ガラスに対して、埋め込み、嵌め込み、貼り付け、溶着、または塗布によって固定されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のループアンテナ。
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