JP2005200719A - 非焼成塊成鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 操業状態に応じて必要量の高強度塊成鉱を効率良く製造することのできる方法を提供する。
【解決手段】 高炉装入用非焼成塊成鉱を製造する方法において、酸化鉄原料、粘土および水硬性バインダーを含む塊成鉱組成物に水を加えて混練した後、真空脱気しつつ押出成形し、得られた成形物を養生する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非焼成塊成鉱の製造方法に関するものであり、殊に、操業状態に応じて高強度の非焼成塊成鉱を効率良く製造できる方法に関するものである。
製鉄用の高炉では、取扱い性や操業性等の観点から、粉状の製鉄用原料を予め粒状化し、さらにこれを焼結して粒状の焼結鉱に成形したり、ペレット化したものが用いられている。例えば上記焼結鉱は、鉄鉱石などの酸化鉄原料を主原料とし、これに粉状の石灰石や珪石等を副原料として配合し、焼結して得られるのが一般的である。
しかし、これら焼結鉱やペレットは、製造に多量のエネルギーを必要とし、CO排出量が多い等の問題がある。また近年では、良質鉱石の産出量が減少してくるにつれて、品質の異なる様々な鉱石を製鉄用原料として使用する場合があるが、焼結性が低い鉱石やペレット化の難しい鉱石を使用する場合には、成形が難しいといった問題や、意図する強度レベルのものが得られ難いといった問題も生じてくる。
上記焼結鉱やペレット以外の製鉄用装入原料として、セメント等をバインダーとして用いて酸化物原料や副原料を結合させた非焼成塊成鉱が提案されている(例えば特許文献1)。また、コスト削減や有価物廃材の有効活用の観点から、高炉ダストをバインダーとして使用し、押出成形して塊成鉱を製造する方法も提案されている(例えば特許文献2)。しかし、これらの方法では養生に長時間を要するため、広い養生ヤードを確保する必要がある。また製造に時間を要し、製銑操業の状況に合わせて製鉄用装入原料を随時用意することが難しい。
この様な問題を解消すべく、養生温度を高めて短時間で養生を行う塊成鉱の製造方法も提案されている(例えば特許文献3)。しかし該方法では、加熱のための設備が必要であり、また、加熱時に生塊成鉱同士がくっつき易いため、形状の均一な塊成鉱を効率良く製造することが難しい。
特開2003−342646号公報 特開2002−235122号公報 特開平12−119760号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高強度の塊成鉱を、焼成することなく、操業状態に応じて効率良く製造することのできる方法を提供することにある。
本発明にかかる非焼成塊成鉱の製造方法とは、高炉装入用非焼成塊成鉱を製造する方法において、酸化鉄原料、粘土および水硬性バインダーを含む塊成鉱組成物に水を加えて混練した後、真空脱気しつつ押出成形し、得られた成形物を養生するところに特徴を有する。
尚、上記「塊成鉱組成物」とは、水を添加する前の「酸化鉄原料、粘土および水硬性バインダーを含む塊成鉱製造原料を配合した状態のもの」をいい、下記に示す「質量%」は、この塊成鉱組成物全体に対する質量割合をいうものとする。
前記水硬性バインダーとしては、セメントおよび/または高炉スラグを使用することができる。また、前記酸化鉄原料の配合量は、塊成鉱組成物全体の60質量%以上とするのがよく、前記粘土の配合量は、塊成鉱組成物全体の5〜30質量%とするのがよい。
本発明によれば、広い養生ヤードを確保せずとも、操業状況に応じて、必要量の塊成鉱を随時製造することができる。また、鉱石の品質を考慮することなく高強度の塊成鉱を効率良く製造できる。
本発明者らは、上述の通り、操業状況に応じて必要量の高強度塊成鉱を効率良く製造できる方法の確立を期して、鋭意研究を行ってきた。その結果、特に、押出成形を真空吸引により脱気しつつ行えば、高強度塊成鉱を短期間で製造できることを見出し、本発明に想到した。
この様に真空脱気しつつ押出成形することによって、焼結性や成形性の悪い鉱石を使用した場合でも良好に成形することができ、かつ得られた生塊成鉱を短時間養生するだけで、高強度の非焼成塊成鉱が得られるのである。
上記真空脱気は、原料が装入される押出成形装置内の圧力を、MPa絶対基準で0.016MPa以下まで吸引して減圧するのがよく、より好ましくは0.005MPa以下である。また上記押出成形には、後述する実施例で使用するスクリュータイプの二軸式押出成形機の他、スクリュータイプの単軸式押出成形機や、ローラータイプの押出成形機を使用することができる。
成形方法として、下記実施例では、押し出された連続成形物をカッティングして円柱状の塊成鉱を得ているが、塊成鉱の形状はこれに限定されず、上記連続成形物をカッティング後、更にプレス成形するなどして、球状、砂利状等の様々な形状に成形することができる。
本発明では、上記成形後に下記の通り養生すればよく、従来のペレット製造方法の様に造粒する必要がない。また水を加えることで室温で硬化する水硬性バインダーを使用するため、焼成する必要もない。
本発明では、酸化鉄原料、粘土および水硬性バインダーを含む塊成鉱組成物を塊成鉱の製造原料として用いる。
上記酸化鉄原料としては、製鉄用原料として一般的に汎用されている鉄鉱石の他、酸化鉄を主成分として含む高炉ダストや転炉ダスト、ミルスケール等を使用することができる。鉄鉱石としては、様々な銘柄のものを用いることができ、例えば赤鉄鉱(ヘマタイト:Fe23 )や磁鉄鉱(マグネタイト:Fe34 )、ゲーサイト(Fe23 ・H2 O)を多く含有する褐鉄鉱系鉱石、MgO含有物質としてドロマイト鉱石を使用してもよい。また焼結性の低いマラマンバ鉱石等を使用することもできる。
前記酸化鉄原料の配合量は、塊成鉱組成物全体に占める比率で60質量%以上とするのがよい。酸化鉄原料の配合量が高く、鉄分含量の高い塊成鉱の方が、製銑において多量の金属鉄を効率良く製造できるからであり、より好ましくは配合原料全体の70質量%以上とするのがよい。尚、酸化鉄原料の配合量の上限は、成形性を高めるために配合する粘土や強度向上のために配合する水硬性バインダーの配合量を考慮して決定すればよい。
使用する酸化鉄原料のサイズ(粒径)は特に限定されないが、次の様な傾向を考慮して決定するのがよい。
即ち、後述する実施例でも明らかにする通り、酸化鉄原料(鉱石)の粒径が大きくなるほど、該酸化鉄原料(鉱石)そのものの強度が塊成鉱の強度に反映されて、塊成鉱の高強度化を達成し易くなると思われる。しかしその反面、流動性が悪くなり、いわゆる可塑性が低下して成形し難くなり、結果として、酸化鉄原料(鉱石)の配合量の低減を余儀なくされるか、バインダー等に工夫が必要となる。
一方、微細な酸化鉄原料を使用することによっても、相対的に高強度の塊成鉱を得ることができ、この場合には粘土や水硬性バインダーの配合量を多少低減しても良好な成形性を確保できる。しかし、微細化のための粉砕等の予備処理工程が必要となる。
したがって、意図する強度レベルや塊成鉱中の鉄分(T.Fe)と成形性とを考慮して、使用する酸化鉄原料の最適サイズ(粒径)を決定することが必要と思われる。入手容易であることや高炉操業性を考慮すると、平均粒径が約5mm以下のものを使用することが望ましい。但し、場合によっては、粗粒と細粒の併用も有効であると思われる。
本発明では原料成分の一つとして粘土を必須とする。粘土を配合することによって成形時の可塑性を確保でき、良好に成形加工できるからである。本発明における粘土とは、微細な含水アルミニウムケイ酸塩物質を主体とする可塑性の強い土壌物質であって、カオリン、ハロイ石、ダイアスポア、石英、絹雲母、葉ロウ石等を主構成鉱物とするものをいうが、具体的な粘土の種類については特に限定されず、採石廃土や製陶用の廃土等を使用することができる。
上記粘土の配合量は、塊成鉱組成物全体に占める比率で5〜30質量%の範囲内とすることが好ましい。後述する通り、粘土の適正配合量は、使用する酸化鉄原料の量やサイズにもよるが、少なすぎると混練物が可塑性不足となって良好に成形できなくなるので、塊成鉱組成物全体の5質量%以上となるよう配合するのがよい。より好ましくは10質量%以上である。一方、粘土の配合量が多過ぎると、塊成鉱中の鉄分含量が少なくなり、高炉の生産性を低下させる原因になる他、塊成鉱が強度不足になる等の不具合が生じるので、塊成鉱組成物全体の30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは25質量%以下である。
また本発明では、水を加えることで時効的に硬化する水硬性バインダーを使用する。該水硬性バインダーを混合して養生することで、焼成せずとも高強度の塊成鉱を得ることができる。水硬性バインダーとしては、例えばセメントや、ベントナイト、高炉スラグ等を使用することができる。
セメントとしては、市販されている通常のいわゆるポルトランドセメントや、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントの他、高炉スラグを含む高炉セメント、ポルトランドセメントにシリカが含まれるシリカセメント、フライアッシュが含まれるフライアッシュセメントやアルミナの混入したアルミナセメント等を使用することができる。
また水硬性バインダーの他の例として、SiO、CaO、Alを主構成成分として含む高炉スラグや転炉スラグを使用することができる。
更に、ベントナイト(火山が噴火したときに海底などに堆積した火山灰等の鉱石が変質してできたものであり、極めて大きな吸水性能を有し、吸水すると糊状になって膨張するという性質を有する)を水硬性バインダーとして使用してもよく、とくに銘柄を限定することなく、ナトリウム系のものやカルシウム系のものを使用することができる。
これらの水硬性バインダーは、主に単独で使用されるが、必要により2種以上を併用することができる。
尚、上記水硬性バインダーの配合量は、塊成鉱に求められる強度や成形性、養生時間等を考慮しつつ適宜決定すればよいが、その際には、塊成鉱に占める鉄分量(T.Fe)の観点から鉱石量を、また押出成形性の観点から粘土量も併せて考慮するのがよい。
尚、下記実施例では、鉱石(酸化物原料)、粘土およびセメント(水硬性バインダー)からなる塊成鉱組成物を塊成鉱の原料に用いているが、本発明の塊成鉱組成物は、主組成物であるこれら酸化物原料、粘土および水硬性バインダー以外に添加剤を含んでいてもよく、例えば養生時間調整のために無機金属元素を主体とする硬化剤等を含んでいてもよい。
本発明では、上記酸化鉄原料、粘土および水硬性バインダーを含む塊成鉱組成物に水を加えて混練するが、このときに添加する水は、含水率が14質量%±5質量%となるように調整するのがよい。
上記混練は、一般的に使用されている方法で行えばよく、ミキサーやニーダー、二軸式または単軸式の混練機を使用することができる。この様にして得られた混練物を上述の押出成形に供する。
そして押出成形して得られた成形物(生塊成鉱)の養生を、養生ヤード(好ましくは屋内の養生ヤード)で行えばよい。養生は、成形物(生塊成鉱)を整列して配置した状態で行う他、生産性の観点から多少乱雑に積み重ねた状態で行ってもよい。
尚、本発明でいう養生とは、空中(湿空中)で放置して生塊成鉱を硬化させることをいう。
本発明の方法によれば、押出成形直後や養生時に成形物同士がくっつき合うことがなく、個々の成形物の間隔を十分に設ける必要がないので、広い養生ヤードを確保する必要がなく、また、上記の通り成形物を積み重ねて養生しても、養生以後の取扱作業性が極めて良好である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
図1に概略的に示す通り、酸化鉄原料として表1に示す組成の鉄鉱石1(焼結返鉱;製品焼結鉱の篩下)、セメント2(普通ポルトランドセメント)および粘土3(採石廃土)からなる塊成鉱組成物を、コンベア4で混練機5まで運搬し、混練機5で水6を加えて含水率が約14質量%となるように調整しながら混練した。そして混練物を真空押出成形機7に装入して、真空脱気(MPa絶対基準で0.016MPa)しつつ押出成形し、得られた連続成形物8をカッター9で切断して、直径:約50mmで高さ:約100mmの円柱状の成形物(生塊成鉱)10を得た。
そして、上記生塊成鉱10を屋内の養生ヤード11へ移し、常温で24時間、168時間、192時間または672時間養生して塊成鉱を得た。この様にして得られた塊成鉱の圧縮強度を、下記に示す市販の圧縮強度試験機を用いて測定した。これらの結果を表1に併記する。
<圧縮強度試験機>
製造会社名:(株)森試験機製作所
形式:アムスラー式
適用規格:JIS B 7721
Figure 2005200719
以下、表1の結果について考察する。まず予備試験として、良好に押出成形できるかを確認するため、表1に示すNo.1の原料を用いて塊成鉱の製造を行った。その結果、No.1では、1日の養生で20N/mmを超える十分高い強度のものが得られており、製鉄用原料として使用できる塊成鉱が1日の養生で得られることを確認した。尚、No.1において、更に養生時間を長く(1週間、または1ヶ月)すれば、塊成鉱を更に高強度化できることもわかった。
次に、製鉄用原料として塊成鉱に占める鉄分(T.Fe)含量を高めた場合について検討した。即ち、No.1の組成における粘土とセメントの配合量を減少させ、鉱石の配合量を高めて塊成鉱を製造する実験を行った。その結果をNo.2および3に示す。
このNo.2およびNo.3の結果から、鉱石として粒径約5mm以下のものを使用し、粘土および/またはセメントの配合量をNo.1より減少させた場合には、成形性が不十分になることが判明した。
そこで、粒径の微細な鉱石(粒径約0.25mm以下)を使用し、粘土とセメントの混合量は上記No.2およびNo.3と同様にして塊成鉱を製造した。その結果をNo.4およびNo.5に示す。このNo.4およびNo.5の結果から、粒径の微細な鉱石を使用すれば、粘土および/またはセメントの混合量を低減させても十分成形できることがわかる。
尚、塊成鉱の高強度化は、No.4およびNo.5よりも、粒径の大きな鉱石を使用した場合(No.1)の方が短期間(1日間)で達成できているが、No.4,5についても、養生時間を168時間(7日間)にすることで、No.1より高強度の塊成鉱が得られることがわかる。またNo.4,5について、更に養生時間を延ばしても(672時間)、強度は飛躍的に上昇せず、7日間の養生で十分に目的を達成できると思われる。
No.6およびNo.7は、比較的大きなサイズの鉱石(粒径上限:5mm,No.1〜3で使用)と、微細サイズの鉱石(粒径上限:0.25mm,No.4,5で使用)の中間サイズの鉱石を用いて、鉱石の粒径が、養生時間と強度との関係や成形性に及ぼす影響を調べた結果であり、No.6は粒径上限:0.5mmの鉱石、またNo.7は粒径上限:1.0mmの鉱石を用いた実験例である。
これらNo.6およびNo.7のデータについては、十分に解明できたわけではないが、No.6とNo.7を比較すると、サイズの大きな鉱石を使用した方が、同じ養生時間でより高強度のものが得られると思われる。但し、No.2やNo.3に示す通り、鉱石サイズがより大きくなると、成形性が悪くなるおそれがあると思われる。
また、No.6とNo.7の比較からは、サイズの大きな鉱石を使用したNo.7の方がより高強度の塊成鉱が得られているが、これらNo.6,7と前記No.4とを比較すると、鉱石として極微細のものを使用することによっても、同じ養生時間で上記No.7と同レベルまたはそれ以上の強度のものが得られると思われる。
これらの実験結果をグラフ化してまとめたものを図2に示す。この図2から、次の様に考察することができる。
通常の方法でペレット状に成形したものの強度は、一般的に15〜18N/mm程度であるが、本発明の方法によれば、約20N/mmの塊成鉱が、No.1の組成・鉱石サイズの原料を用いれば約1日で得られ、またNo.4の組成・鉱石サイズの原料を用いれば約100時間(約4日強)程度の養生で得られる。また、No.1の組成・鉱石サイズの原料を用いれば、約50時間(約2日強)で約30N/mmの塊成鉱が得られ、No.4の組成・鉱石サイズの原料を用いれば、同レベル程度のものが約7日間の養生で得られることがわかる。
本発明の実施態様を概略的に示した工程図である。 各試料の養生時間と成品(塊成鉱)の圧縮密度との関係を示したグラフである。
符号の説明
1 酸化鉄原料(鉱石)
2 セメント
3 粘土
4 コンベア
5 混練機
6 水
7 真空押出成形機
8 連続成形物
9 カッター
10 成形物(生塊成鉱)
11 養生ヤード

Claims (4)

  1. 高炉装入用非焼成塊成鉱を製造する方法において、酸化鉄原料、粘土および水硬性バインダーを含む塊成鉱組成物に水を加えて混練した後、真空脱気しつつ押出成形し、得られた成形物を養生することを特徴とする非焼成塊成鉱の製造方法。
  2. 前記水硬性バインダーとして、セメントおよび/または高炉スラグを使用する請求項1に記載の非焼成塊成鉱の製造方法。
  3. 前記酸化鉄原料の配合量が、塊成鉱組成物全体の60質量%以上である請求項1または2に記載の非焼成塊成鉱の製造方法。
  4. 前記粘土の配合量が、塊成鉱組成物全体の5〜30質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の非焼成塊成鉱の製造方法。
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