JP2005199209A - 汚染土壌のファイトレメディエーションと有用資源化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚染された工場近郊地域の環境浄化や工場跡地の有効利用および有価金属の再利用のための一連のゼロエミッション型ファイトレメディエーションシステム技術の提供を目的とする。
【解決手段】重金属等を吸収する植物(ヨウシュヤマゴボウ、ナズナ、ブタクサ、マリーゴールド、ブライダルベール、ヘビノネゴザなど)を用いて汚染土壌を浄化した後、水蒸気爆砕と抽出分離操作から成る環境保全型技術を用いて植物から有価金属を分離・回収し、さらに植物の構成成分(セルロース・ヘミセルロース・リグニンなど)を資源化する。
【選択図】 図1
【解決手段】重金属等を吸収する植物(ヨウシュヤマゴボウ、ナズナ、ブタクサ、マリーゴールド、ブライダルベール、ヘビノネゴザなど)を用いて汚染土壌を浄化した後、水蒸気爆砕と抽出分離操作から成る環境保全型技術を用いて植物から有価金属を分離・回収し、さらに植物の構成成分(セルロース・ヘミセルロース・リグニンなど)を資源化する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、事業所跡地、鉱山、あるいは河川・沿岸流域の金属、放射性物質等の汚染土壌や、有機塩素系農薬、有機リン系農薬等の汚染土壌を省力的かつ安全に浄化・修復する方法に関し、特に、金属汚染土壌からは植物によって吸収・蓄積された有価金属のリサイクルを可能にし、水蒸気爆砕と抽出分離操作から成る環境保全型技術による植物のゼロエミッション型有効利用技術に係る。
植物による汚染土壌浄化技術、いわゆるファイトレメディエーションは低環境負荷・低コスト型土壌浄化技術の一つとして注目されており、欧米では実用化の段階に近づいているが、わが国ではまだ研究の領域を出ていない。
ファイトレメディエーション(Phytoremediation)とは、植物の環境汚染物質を蓄積・分解する能力を利用する汚染浄化・修復技術(レメディエーション)である。
なお、ファイト(Phyto)とは、植物のことを言う。
この技術は、従来のような土壌を掘り返して加熱するようなエネルギー消費がないために二酸化炭素放出など環境負荷がほとんどない。
従って、汚染対策としてのファイトレメディエーションは、従来までの汚染土壌の除去や埋め立てなどの物理的な方法に比べ、費用、労力および環境に対する影響などが軽度に抑えられるなどの理由により優れた技術として注目されている。
ファイトレメディエーション(Phytoremediation)とは、植物の環境汚染物質を蓄積・分解する能力を利用する汚染浄化・修復技術(レメディエーション)である。
なお、ファイト(Phyto)とは、植物のことを言う。
この技術は、従来のような土壌を掘り返して加熱するようなエネルギー消費がないために二酸化炭素放出など環境負荷がほとんどない。
従って、汚染対策としてのファイトレメディエーションは、従来までの汚染土壌の除去や埋め立てなどの物理的な方法に比べ、費用、労力および環境に対する影響などが軽度に抑えられるなどの理由により優れた技術として注目されている。
しかしながら、ファイトレメディエーションに用いられた植物体に蓄積した有価金属を回収するための従来の燃焼法は、植物の構成成分であるセルロース等の有用有機物質を無駄にするばかりでなく、二酸化炭素の発生を伴い地球温暖化の原因にもなり、実際の汚染土壌浄化システムとして大きな問題がある。
そこで、例えば、特開2002−273407号公報には、汚染物質を吸収した植物体をパルプ原料または炭化物とする技術が開示されている。
しかし、上記公報に記載されている、例えば、クラフト蒸解プロセスを用いる方法では、木材中に含まれる30〜50%のセルロースがパルプに転換し、残りの50〜70%のヘミセルロースやリグニンなどの有用な物質が廃液になる。
従って、有用なヘミセルロースやリグニンが廃液として放出されるのは、未利用有用資源の有効利用の面から望ましくないばかりか、パルプ廃液中には多種類の有機物質および化学薬品が含まれているので、環境汚染を引き起こさないようにパルプ廃液を処理しなければならない。
そのためには、多大のエネルギーやコストを必要とするので、廃液を排出しない方法のパルプ化が望まれる。
そこで、例えば、特開2002−273407号公報には、汚染物質を吸収した植物体をパルプ原料または炭化物とする技術が開示されている。
しかし、上記公報に記載されている、例えば、クラフト蒸解プロセスを用いる方法では、木材中に含まれる30〜50%のセルロースがパルプに転換し、残りの50〜70%のヘミセルロースやリグニンなどの有用な物質が廃液になる。
従って、有用なヘミセルロースやリグニンが廃液として放出されるのは、未利用有用資源の有効利用の面から望ましくないばかりか、パルプ廃液中には多種類の有機物質および化学薬品が含まれているので、環境汚染を引き起こさないようにパルプ廃液を処理しなければならない。
そのためには、多大のエネルギーやコストを必要とするので、廃液を排出しない方法のパルプ化が望まれる。
本発明は、事業所跡地、鉱山、あるいは河川・沿岸流域等の汚染土壌を省力的かつ安全に浄化・修復する方法のみならず、金属を吸収・蓄積させた植物に水蒸気爆砕処理と抽出分離を施すことによって容易に金属を回収・リサイクルでき、さらに金属以外の植物の構成成分(セルロース・ヘミセルロース・リグニン)を有用資源化できる汚染土壌の浄化・修復システム及びその方法に用いる材料を提供することを目的とする。
前期課題を解決するために、本発明者らは必要な要素技術として、次の技術を検討し、本発明に至ったものである。
(1)汚染土壌の浄化・修復技術、
(2)植物によって吸収・蓄積された有価金属のリサイクル技術、
(3) 水蒸気爆砕と抽出分離操作から成る環境保全型技術、
(4)植物のゼロエミッション型有効利用技術、すなわち、エネルギーを消費しないばかりかメタンあるいはアルコールなどのエネルギー物質を生産する。
まず、上記(1)汚染土壌の浄化・修復技術は、低環境負荷・低コスト型土壌浄化技術としてのファイトレメディエーション方法を活用し、上記(2)〜(4)の技術は、水蒸気爆砕法の活用を検討した。
水蒸気爆砕法は、素材を高圧の水蒸気によって短時間蒸煮し、活性な水による化学反応を起こした後に、瞬時に圧力を解放し、凝縮水の気化に伴う爆発的体積膨張と高速噴射による機械的な破壊による粉砕方法を言う。
すなわち、植物体を水蒸気爆砕すると、植物体を構成するセルロース、ヘミセルロース、リグニン等に容易に分離しやすくなり、その後の抽出分離や、糖化、発酵が可能になった。
(1)汚染土壌の浄化・修復技術、
(2)植物によって吸収・蓄積された有価金属のリサイクル技術、
(3) 水蒸気爆砕と抽出分離操作から成る環境保全型技術、
(4)植物のゼロエミッション型有効利用技術、すなわち、エネルギーを消費しないばかりかメタンあるいはアルコールなどのエネルギー物質を生産する。
まず、上記(1)汚染土壌の浄化・修復技術は、低環境負荷・低コスト型土壌浄化技術としてのファイトレメディエーション方法を活用し、上記(2)〜(4)の技術は、水蒸気爆砕法の活用を検討した。
水蒸気爆砕法は、素材を高圧の水蒸気によって短時間蒸煮し、活性な水による化学反応を起こした後に、瞬時に圧力を解放し、凝縮水の気化に伴う爆発的体積膨張と高速噴射による機械的な破壊による粉砕方法を言う。
すなわち、植物体を水蒸気爆砕すると、植物体を構成するセルロース、ヘミセルロース、リグニン等に容易に分離しやすくなり、その後の抽出分離や、糖化、発酵が可能になった。
以上の観点から本発明の第一の要旨は、汚染物質を吸収する植物を用いて汚染土壌を浄化した後、当該植物を水蒸気爆砕し、有価金属を分離・回収することを特徴とする。
汚染物質を吸収した植物体を水蒸気爆砕することにより、有用成分の抽出操作が容易になり、金属回収も容易になる。
第二の要旨は、汚染土壌から汚染物質を吸収した植物を水蒸気爆砕し、爆砕生成物を有用資源化することを特徴とする。
ここで、植物体を構成するセルロース・ヘミセルロースは糖化または発酵により有用資源化することが例として挙げられる。
植物体を構成するリグニン成分は、例として樹脂化により有用資源化することが挙げられる。
汚染物質を吸収した植物体を水蒸気爆砕することにより、有用成分の抽出操作が容易になり、金属回収も容易になる。
第二の要旨は、汚染土壌から汚染物質を吸収した植物を水蒸気爆砕し、爆砕生成物を有用資源化することを特徴とする。
ここで、植物体を構成するセルロース・ヘミセルロースは糖化または発酵により有用資源化することが例として挙げられる。
植物体を構成するリグニン成分は、例として樹脂化により有用資源化することが挙げられる。
本発明による汚染土壌のファイトレメディエーションと環境保全型有価金属回収技術を用いれば、事業所後や鉱山などの金属汚染土壌を省力的かつ安全に植物に吸収・蓄積させることによって、汚染土壌を浄化・修復することができる。
さらに、その植物を回収し、環境保全型技術である水蒸気爆砕・抽出によって吸収・蓄積された金属を回収しリサイクルすることができる。
その上、本発明は金属の回収ばかりでなく、ファイトレメディエーションに用いられた植物体中に含まれるすべての構成成分を有用物質に変換できるプロセスであるので、セルロースばかりでなくヘミセルロースやリグニンなどの資源の無駄を無くしたゼロエミッション型ファイトレメディエーション技術と言える。
また、ここで得られたエネルギー資源はそのまま本発明のシステムに還元でき、エネルギーのいらない浄化・修復システムとなる。
さらに、その植物を回収し、環境保全型技術である水蒸気爆砕・抽出によって吸収・蓄積された金属を回収しリサイクルすることができる。
その上、本発明は金属の回収ばかりでなく、ファイトレメディエーションに用いられた植物体中に含まれるすべての構成成分を有用物質に変換できるプロセスであるので、セルロースばかりでなくヘミセルロースやリグニンなどの資源の無駄を無くしたゼロエミッション型ファイトレメディエーション技術と言える。
また、ここで得られたエネルギー資源はそのまま本発明のシステムに還元でき、エネルギーのいらない浄化・修復システムとなる。
さらに、従来までの物理的あるいは化学的な環境修復技術と比較してファイトレメディエーション技術の利点は、(1)低コストである、(2)付近住民の同意が得やすい、(3)比較的 低濃度・長期間あるいは広範囲に渡る環境の「修復・保全・維持」に有効である等が考えられる。
たとえば、広範囲にわたる水や空気や土の中に含まれる汚染物質の分解、除去には、植物を利用した汚染(化学)物質分解除去は、時間はかかるが安価で確実、さらに付近住民の同意が得やすいばかりか植物自身が美的環境を創造するので、今後益々期待される方法といえる。
また、100年単位で広範囲の土、水、空気の環境の保全・維持(環境悪化の防止)には、再生産可能でありCO2を吸収して地球温暖化の防止にも繋がる植物は必須であり植物利用なしには環境保全は語れない。
たとえば、広範囲にわたる水や空気や土の中に含まれる汚染物質の分解、除去には、植物を利用した汚染(化学)物質分解除去は、時間はかかるが安価で確実、さらに付近住民の同意が得やすいばかりか植物自身が美的環境を創造するので、今後益々期待される方法といえる。
また、100年単位で広範囲の土、水、空気の環境の保全・維持(環境悪化の防止)には、再生産可能でありCO2を吸収して地球温暖化の防止にも繋がる植物は必須であり植物利用なしには環境保全は語れない。
本発明に係る一連のファイトレメディエーションシステムは、重金属等で汚染された土壌の修復と有価金属回収および植物体の総合的有効利用だけでなく、石油、有機塩素系農薬、有機リン系農薬等で汚染された土壌の浄化と浄化後の植物体の有用資源化にも適用可能と期待される。
汚染土壌から汚染物質を吸収する植物としては、ヨウシュヤマゴボウ(phyolacca americana)、ナズナ(Thlaspi calaminareなど)、ブタクサ(Alpine pennycressやAmbrosia artemisiaefolia var. elatiorなど)、マリーゴールド(Tagetes erectaやTagetes patulaなど)、ブライダルベール(Gibasis geniculata)、ヘビノネゴザ(Athrium yokoscense)など、重金属、放射性物質、有機塩素系農薬、有機リン系農薬等の浄化・修復対象となる汚染物質を土壌から吸収・蓄積する植物(Hyperaccumulator)の全てに適応できる。
また、回収する有価金属についても、例として鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)と銅(Cu)等が挙げられるが、放射性物質を含めて金属種に関しても何ら限定されるものではない。
水蒸気爆砕装置は水蒸気発生器、高圧反応器、生成物受器、凝縮器からなり、温度、圧力等が被爆砕物に合わせて設定される。
植物体を爆砕して分離されるセルロース・ヘミセルロース成分の有用資源化の例としてはメタン発酵の他に糖化、食品添加剤の製造、エタノール資源化、パルプ化などが挙げられるが、本発明の特徴は、植物体を水蒸気爆砕したことにより、繊維質高分子であるセルロースや、このセルロースを取り囲むように植物体内に分布するヘミセルロースの有用資源化が容易になった点にあり、上記例に限定されるものではない。
植物体を爆砕後に抽出分離されるリグニン成分は、分子量の大きさによっても資源化の方法が各種検討され、例として、低分子リグニンは接着剤や樹脂材料に、高分子リグニンは活性炭や、土壌改良剤等に変換使用ができる。
植物体を爆砕後に抽出分離されるリグニン成分は、分子量の大きさによっても資源化の方法が各種検討され、例として、低分子リグニンは接着剤や樹脂材料に、高分子リグニンは活性炭や、土壌改良剤等に変換使用ができる。
本発明の実施例を図1のシステムフローチャートに示す。
本実施例では、Hyperaccumulatorとしてヨウシュヤマゴボウ(phyolacca americana)を用いた。
ヨウシュヤマゴボウは発明者の現住所付近の道端に植生しているものを採取し用いた。
そのままでは重金属を吸収・蓄積していないため、一般の土壌に2,000g/m3の酸化鉄、500g/m3の硫酸亜鉛七水和物、500g/m3の硫酸マグネシウム、500g/m3の硫酸銅を混合した重金属汚染モデル土壌を含む鉢植えに植え替え、2ヶ月間(60日間)毎日水をやり育てた。
その後、ヨウシュヤマゴボウを採取、水洗してサンプルとした。
本実施例では、Hyperaccumulatorとしてヨウシュヤマゴボウ(phyolacca americana)を用いた。
ヨウシュヤマゴボウは発明者の現住所付近の道端に植生しているものを採取し用いた。
そのままでは重金属を吸収・蓄積していないため、一般の土壌に2,000g/m3の酸化鉄、500g/m3の硫酸亜鉛七水和物、500g/m3の硫酸マグネシウム、500g/m3の硫酸銅を混合した重金属汚染モデル土壌を含む鉢植えに植え替え、2ヶ月間(60日間)毎日水をやり育てた。
その後、ヨウシュヤマゴボウを採取、水洗してサンプルとした。
ヨウシュヤマゴボウを物理的粉砕効果と化学的加水分解効果のある水蒸気爆砕法によって粉砕・分解した。
水蒸気爆砕装置は水蒸気発生器、高圧反応器、生成物受器、凝縮器からなり、最高使用温度275℃、最高使用圧力6.0MPaである。
実施例として、温度225℃、圧力2.55MPaの水蒸気を用いて行った。
また、爆砕生成物:セルロース・ヘミセルロース成分の資源化例としてメタン発酵によってメタンに資源化した。
水蒸気爆砕装置は水蒸気発生器、高圧反応器、生成物受器、凝縮器からなり、最高使用温度275℃、最高使用圧力6.0MPaである。
実施例として、温度225℃、圧力2.55MPaの水蒸気を用いて行った。
また、爆砕生成物:セルロース・ヘミセルロース成分の資源化例としてメタン発酵によってメタンに資源化した。
次に、メタン化された後の残渣をメタノール抽出し、メタノール可溶性成分からリグニン樹脂を製造した。
さらに、メタノール抽出後の残渣物から金属を回収した。
以下、その結果を順次説明する。
さらに、メタノール抽出後の残渣物から金属を回収した。
以下、その結果を順次説明する。
1.成分抽出比
重金属等を吸収・蓄積したヨウシュヤマゴボウの水可溶性ヘミセルロース、ホロセルロース、メタノール可溶性リグニン(低分子リグニン)とKlasonリグニン(高分子リグニン)の各成分抽出比を検討した。
凍結乾燥後の爆砕生成物5gに蒸留水300mLを加え、室温で12時間浸透しながら抽出した。
ろ液は乾燥後その残渣の重量を測定して水可溶性成分(水可溶性ヘミセルロース)とした。
水で抽出した残渣はすばやく乾燥し、乾燥残渣1gは100mLのメタノールを用いたソックスレー抽出器で12時間抽出した。
メタノールで抽出された成分の乾燥重量を測定し、メタノール可溶性リグニン量とした。
メタノール抽出後の残渣中にはメタノール不溶性リグニン(Klasonリグニン)とホロセルロース(多糖成分)が含まれる。
残渣中のリグニン量は硫酸を用いたKlason法によって定量し、ホロセルロース量は残渣量からKlasonリグニン量を差し引くことによって求めた。
図2(表1)に、以上の方法で金属を吸収・蓄積したヨウシュヤマゴボウの各成分抽出比を示す。
重金属等を吸収・蓄積したヨウシュヤマゴボウの水可溶性ヘミセルロース、ホロセルロース、メタノール可溶性リグニン(低分子リグニン)とKlasonリグニン(高分子リグニン)の各成分抽出比を検討した。
凍結乾燥後の爆砕生成物5gに蒸留水300mLを加え、室温で12時間浸透しながら抽出した。
ろ液は乾燥後その残渣の重量を測定して水可溶性成分(水可溶性ヘミセルロース)とした。
水で抽出した残渣はすばやく乾燥し、乾燥残渣1gは100mLのメタノールを用いたソックスレー抽出器で12時間抽出した。
メタノールで抽出された成分の乾燥重量を測定し、メタノール可溶性リグニン量とした。
メタノール抽出後の残渣中にはメタノール不溶性リグニン(Klasonリグニン)とホロセルロース(多糖成分)が含まれる。
残渣中のリグニン量は硫酸を用いたKlason法によって定量し、ホロセルロース量は残渣量からKlasonリグニン量を差し引くことによって求めた。
図2(表1)に、以上の方法で金属を吸収・蓄積したヨウシュヤマゴボウの各成分抽出比を示す。
2.セルロース・ヘミセルロースのメタン化
凍結乾燥後のヨウシュヤマゴボウ爆砕生成物5gを500mL容量三角フラスコに入れ、下水処理汚泥500mLを加え、pH7、温度37℃で培養した。
フラスコ内の気相は予めアルゴンガスで置換した。
発生したガスは塩化ビニル管によりアクリル樹脂製のガス収集管に導き、飽和食塩水中で水上置換により捕集した。メタンはガスクロマトグラフィーによって測定した。
ヨウシュヤマゴボウ爆砕生成物5gから15日後に約550mLのメタンが生成された。
なお、水蒸気爆砕処理しなかったヨウシュヤマゴボウから同様の実験を行ったが、メタンはほとんど生成されなかった。
凍結乾燥後のヨウシュヤマゴボウ爆砕生成物5gを500mL容量三角フラスコに入れ、下水処理汚泥500mLを加え、pH7、温度37℃で培養した。
フラスコ内の気相は予めアルゴンガスで置換した。
発生したガスは塩化ビニル管によりアクリル樹脂製のガス収集管に導き、飽和食塩水中で水上置換により捕集した。メタンはガスクロマトグラフィーによって測定した。
ヨウシュヤマゴボウ爆砕生成物5gから15日後に約550mLのメタンが生成された。
なお、水蒸気爆砕処理しなかったヨウシュヤマゴボウから同様の実験を行ったが、メタンはほとんど生成されなかった。
3.メタノール可溶性リグニンの樹脂化
メタン発酵後の残渣物を凍結乾燥した。
乾燥残渣はの100mLメタノールを用いたソックスレー抽出器で12時間抽出した。
メタノールで抽出された成分の乾燥物をエポキシ樹脂化の原料として用いた。
エポキシ反応は試料2gをエポクロルヒドリン100mLに溶解させ、10NのNaOH水溶液10mLを110℃でゆっくり滴下し、水を除去しながら3時間反応させた。
反応終了後、生成したNaClを取り除くために蒸留水で洗浄した後、溶媒をエバポレートしてエポキシ化リグニンを得た。
エポキシ化リグニンからエポキシ化リグニン樹脂を作成するためのゲル化反応には硬化剤としてジエチレントリアミンを用いた。
その結果、約5gのエポキシ化リグニン樹脂が得られた。
メタン発酵後の残渣物を凍結乾燥した。
乾燥残渣はの100mLメタノールを用いたソックスレー抽出器で12時間抽出した。
メタノールで抽出された成分の乾燥物をエポキシ樹脂化の原料として用いた。
エポキシ反応は試料2gをエポクロルヒドリン100mLに溶解させ、10NのNaOH水溶液10mLを110℃でゆっくり滴下し、水を除去しながら3時間反応させた。
反応終了後、生成したNaClを取り除くために蒸留水で洗浄した後、溶媒をエバポレートしてエポキシ化リグニンを得た。
エポキシ化リグニンからエポキシ化リグニン樹脂を作成するためのゲル化反応には硬化剤としてジエチレントリアミンを用いた。
その結果、約5gのエポキシ化リグニン樹脂が得られた。
4.残渣物からの重金属回収
前記、メタノール可溶性リグニンの樹脂化において用いなかった残渣物(Klasonリグニン)から有価金属を回収した。
残渣物約600mgをるつぼにとり、90℃、12時間乾固させた。
さらに、500℃、6時間加熱し、炭素を二酸化炭素にして取り除いた。
処理した試料をるつぼ内で10%硝酸水溶液10mLに溶解させ、金属回収溶液とした。
図3(表2)に、この溶液に含まれる金属含有量を示す。
前記、メタノール可溶性リグニンの樹脂化において用いなかった残渣物(Klasonリグニン)から有価金属を回収した。
残渣物約600mgをるつぼにとり、90℃、12時間乾固させた。
さらに、500℃、6時間加熱し、炭素を二酸化炭素にして取り除いた。
処理した試料をるつぼ内で10%硝酸水溶液10mLに溶解させ、金属回収溶液とした。
図3(表2)に、この溶液に含まれる金属含有量を示す。
以上の結果から本発明によって、鉄、亜鉛、マグネシウム、銅に汚染された土壌に生育したヨウシュヤマゴボウ約1Kgあたりに換算すると、メタン:約110L、エポキシ化リグニン樹脂:約380g、鉄:約700mg、亜鉛:約120mg、マグネシウム:約300g、銅:約1.6gが生産・回収できたことになる。
本発明は、ファイトレメディエーション、爆砕、抽出処理による有価金属回収と同時に、構成成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンからメタンやエポキシ化リグニン樹脂などの有用物質を製造できるゼロエミッション型の浄化及び回収システムであることが明らかになった。
Claims (4)
- 汚染物質を吸収する植物を用いて汚染土壌を浄化した後、当該植物を水蒸気爆砕し、有価金属を分離・回収することを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
- 汚染土壌から汚染物質を吸収した植物を水蒸気爆砕し、爆砕生成物を有用資源化することを特徴とする汚染土壌の浄化及び当該植物体の有用資源化方法。
- 汚染物質を吸収した植物を水蒸気爆砕し、植物体を構成するセルロース・ヘミセルロースを糖化または発酵により有用資源化することを特徴とする請求項2記載の汚染土壌の浄化及び当該植物体の有用資源化方法。
- 汚染物質を吸収した植物を水蒸気爆砕し、植物体を構成するリグニン成分を樹脂化により有用資源化することを特徴とする請求項2記載の汚染土壌の浄化及び当該植物体の有用資源化方法。
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