JP2005198559A - 遺伝子導入方法及び遺伝子導入装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】培養液中の宿主細胞から特定の標的細胞を選択して遺伝子導入を行うことができる遺伝子導入方法の提供を目的とする。
【解決手段】ウィルスベクターを用いて培養液中の宿主細胞2へ組み換え遺伝子を導入する遺伝子導入方法であって、細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積に設定された吐出口45を備えている分注プローブ42を用い、温度及び湿度が培養環境に維持された細胞保持チャンバ内の宿主細胞2から選択した標的細胞に向けて、吐出口45を培養液3中に浸漬した後、吐出口45からウィルスベクター含有溶液4を吐出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ウィルスをベクターとして宿主細胞に組み換え遺伝子を導入する遺伝子導入方法及び遺伝子導入装置に関するものである。
従来より、生命科学の一環として、組み換え遺伝子を有するウィルス(ベクター)と遺伝子を導入する標的の細胞(宿主細胞)とをウィルス感染培養地中で培養し、細胞中に遺伝子を導入することが行われている。このような遺伝子導入は、ウィルスが細胞に感染すると自分の遺伝子を宿主細胞の核内にもぐり込ませて自己増殖を行うという性質を利用したものである。すなわち、有用な遺伝子だけを取り出して遺伝子組み換え技術等により人工的にウィルスの遺伝子中に予め組み込んでおき、このウィルスを宿主細胞に感染させると、有用な遺伝子を宿主細胞に導入することができる。このようにして遺伝子が導入された宿主細胞は有用な生体物質を産出するので、たとえば治療剤として動物や人間に適用することもできる。
なお、以下の説明では、組み換え遺伝子を組み込んだウィルスを「ウィルスベクター」と呼ぶことにする。
従来の遺伝子導入方法及び装置では、培養液を入れた培養ディッシュの培地中に宿主細胞を共存させておき、培養液の液面上からウィルスベクターを含んだ所定量の液体をピペット等で注入して感染させる。このようにして感染処理した後、培地中の宿主細胞を適切な条件で培養することにより、ウィルスベクターの遺伝子が宿主細胞の核内にもぐり込んで自己増殖するので、遺伝子にコードされているタンパク質を発現させることができる。(たとえば、特許文献1参照)
特開平8−308573号公報
しかしながら、上述した従来の遺伝子導入では、培養液の液面上からウィルスベクターを含んだ液体(ウィルスベクター含有溶液)を注入するものであるから、注入された液体が培地全体に広がってしまい、個々の細胞をターゲットとして遺伝子を導入することはできなかった。すなわち、培地中に存在する多数の宿主細胞から特定の一つを標的細胞として選択したり、あるいは、特定の細胞を中心にして隣接する細胞群だけを標的細胞として選択するというように、遺伝子導入場所を限定的に選択した遺伝子導入を行うことはできなかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、培養液中の宿主細胞から特定の標的細胞を選択して遺伝子導入を行うことができる遺伝子導入方法及び遺伝子導入装置の提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明の遺伝子導入方法は、ウィルスベクターを用いて培養液中の宿主細胞へ組み換え遺伝子を導入する遺伝子導入方法であって、ウィルスベクターを用いて培養液中の宿主細胞へ組み換え遺伝子を導入する遺伝子導入方法であって、細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積に設定された吐出口を備えている分注プローブを用い、温度及び湿度が培養環境に維持された細胞保持チャンバ内の前記宿主細胞の中から選択した標的細胞に向けて、前記吐出口を前記培養液中に浸漬した後、前記吐出口からウィルスベクター含有溶液を吐出することを特徴とするものである。
なお、このような遺伝子導入を行う際、多数の細胞から特定の宿主細胞を選択するためには、たとえば顕微鏡等の拡大手段を使用すればよい。
このような遺伝子導入方法によれば、細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積に設定された吐出口を備えている分注プローブを用い、温度及び湿度が培養環境に維持された細胞保持チャンバ内の前記細胞の中から選択した標的細胞に向けて、前記吐出口を培養液中に浸漬した後、前記吐出口からウィルスベクター含有溶液を吐出するので、ウイルスベクター含有溶液は、細胞単体の大きさと略同程度の微小面積から非常に細い流れとなって微少量が培養液中を標的細胞へ向けて直進する。また、吐出口から培養液中に吐出されるウィルスベクター含有溶液は細く微少量の流れであるから、培養液全体に流れが発生してウィルスベクターを周囲に拡散させるようなことはない。
また、本発明の遺伝子導入装置は、ウィルスベクターを用いて培養液中の宿主細胞へ組み換え遺伝子を導入する遺伝子導入装置であって、前記宿主細胞を温度及び湿度が培養環境に維持するための細胞保持チャンバと、前記細胞保持チャンバ内の宿主細胞を前記培養液中に保持する保持部材と、細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積の吐出口を設けた分注プローブとを具備し、前記吐出口を前記培養液中に浸漬した状態とし、前記宿主細胞の中から選択した標的細胞に向けてウィルスベクター含有溶液を吐出するように構成したことを特徴とするものである。
なお、このような遺伝子導入を行う際、特定の宿主細胞を選択するためには、たとえば顕微鏡等の拡大手段を使用すればよい。
このような遺伝子導入装置によれば、前記宿主細胞を温度及び湿度が培養環境に維持するための細胞保持チャンバと、前記細胞保持チャンバ内の宿主細胞を前記培養液中に保持する保持部材と、細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積の吐出口を設けた分注プローブとを具備し、前記吐出口を前記培養液中に浸漬した状態とし、前記宿主細胞の中から選択した標的細胞に向けてウィルスベクター含有溶液を吐出するように構成したので、細胞単体の大きさと略同程度の微小面積に設定された吐出口から培養液中に、非常に細い流れのウイルスベクター含有溶液が微少量だけ、培養液中に保持された特定の宿主細胞に向けて直線的に吐出される。
上記の遺伝子導入装置においては、前記ウィルスベクター含有溶液が、前記ウィルスベクターまたは遺伝子を表面に付着させた粒子を含んでいることが好ましく、これにより、培養液中に吐出された粒子の自重で直進性を増すと共に、粒子の自重により細胞膜を突き破ってウィルスベクターが宿主細胞内に侵入しやすくなる。
上記の遺伝子導入装置においては、前記標的細胞の近傍に磁界を発生させる磁界発生手段を設けると共に、前記ウィルスベクターまたは遺伝子を表面に保持させた磁気粒子を前記吐出口から標的細胞に向けて吐出した後、前記磁界発生手段によって前記標的細胞の周辺に吐出された磁気粒子を前記標的細胞近傍に凝集させることが好ましく、これにより、磁気粒子の自重で直進性が増すと共に、磁界発生手段の磁力を受けて引き寄せられる磁気粒子は、標的細胞に向けて確実に凝集する。また、磁界発生手段で適度な強さの磁界を与えれば、磁力によって磁気粒子が細胞膜を突き破るので、ウィルスベクターが宿主細胞内に侵入しやすくなる。
本発明の遺伝子導入方法によれば、ウイルスベクター含有溶液は、細胞単体の大きさと略同程度の微小面積から非常に細い流れとなって微少量だけ吐出され、培養液中を標的細胞へ向けて直進するので、すなわち、培養液全体に流れが発生してウィルスベクターを周囲に拡散させることなく直線状に吐出されるため、培養液中の多数の宿主細胞から選択した特定の標的細胞に対して正確にウイルスベクターを導き、確実な遺伝子導入を行うことができる。
本発明の遺伝子導入装置によれば、細胞単体の大きさと略同程度の微小面積に設定された吐出口から培養液中に、非常に細い流れのウイルスベクター含有溶液を微少量だけ特定の宿主細胞へ向けて直線的に吐出することができるので、ウィルスベクターを培養液中に拡散させることなく正確に目的の標的細胞まで導いて、確実な遺伝子導入を行うことができる。
この場合、ウイルスベクターまたは遺伝子を付着させた粒子、あるいは、ウイルスベクターまたは遺伝子を付着させた磁気粒子を含むウィルスベクター含有溶液とすれば、粒子の重力や磁力の作用によって、特定の標的細胞に対しより一層確実な遺伝子導入を行うことができる。
以下、本発明に係る遺伝子導入方法及び遺伝子導入装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明による遺伝子導入方法及び遺伝子導入装置の適用例として、遺伝子導入装置を備えた細胞培養装置10の構成図を示したものである。この細胞培養装置10は、たとえば培地中に存在する宿主細胞の核内に適当な遺伝子を導入して所望の培養環境に保ち、これを培養することにより自己増殖させて遺伝子にコードされているタンパク質を発現させるものである。
図2に示す細胞培養装置10は、細胞等を拡大して観察するための倒立顕微鏡20と、内部を所望の培養環境に維持できる細胞保持チャンバ30と、遺伝子導入装置の構成要素(後述するノズル部43)を含み、特定の宿主細胞に遺伝子を導入するための分注ヘッドユニット40と、各種の制御や画像データの保存等を行うパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と呼ぶ)50とを主な構成要素とする。
倒立顕微鏡20は、上面に細胞保持チャンバ30を設置して水平2軸方向(前後・左右)に移動可能なXYステージ21と、このXYステージ21を支持する主架台22と、細胞保持チャンバ30内の観察対象を下方から観察するための対物レンズ23と、観察に必要な光を照射する光源24と、対物レンズ23で観察された画像を撮像する撮像部25とを具備して構成される拡大手段である。また、主架台22は、上下方向及び左右方向の移動が可能なZYステージ26を支持している。
細胞保持チャンバ30は、本体31に超音波加湿器32が組み込まれた一体構造とされる。本体31は、蓋33を有する箱状に形成されており、内部に培養ディッシュ1を収納可能であると共に、温度センサ34及びヒータ35が配設されている。また、本実施形態では、PC50が、温度センサ34の検出値に基づいてヒータ35の出力を調整している。すなわち、温度センサ34、ヒータ35及びPC50は、本体31内部を最適な培養温度近傍、たとえば37℃±0.5℃に保つための温度保持機構を構成している。
また、本体31には、分注ヘッドユニット40を内部に挿入するための開口部36が形成されている。この開口部36には、開閉部材のシャッタをスライドさせて開口部36を開閉するシャッタ機構37が設けられており、PC50の作動制御により適宜開閉可能となっている。
なお、本体31の蓋33及びシャッタ機構37のシャッタは、透明プラスチック等の透明材料で形成されている。
超音波加湿器32の振動子32aは、図示しない駆動回路から駆動電圧が印加されるようになっている。この駆動回路は、インターフェースを介してPC50に接続されているので、PC50による振動子32aの可変制御が可能となっている。すなわち、超音波加湿器32で発生される霧状液滴の発生量は、PC50によって制御が可能とされ、超音波加湿器32及びPC50により、液量調整機構を構成している。
また、超音波加湿器32は、内部に純水が貯留されると共に、この純水温度を培養温度近傍に調整するための図示しない温調ヒータを備えている。この超音波加湿器32で発生した霧状液滴は、エア導入口を介して気流発生部60から送られてくる空気と共に、エア排出口を通って本体31の内部空間Sに供給される。
気流発生部60は、たとえば二酸化炭素濃度が5%に調整された空気を圧縮して貯蔵する気流供給源の圧縮空気ボンベ61と、圧縮空気ボンベ61内の空気を所定の圧力に調整する圧力調整レギュレータ62と、所定圧力に調整された空気の供給量を制御する流量調整バルブ63と、圧縮空気ボンベ61と超音波発生器32との間を連結して空気流路を形成する配管64と、超音波加湿器32に供給する空気温度を所定の値(たとえば培養温度近傍)に調整する配管温調器65とを具備して構成される。
分注ヘッドユニット40は、上述したZYステージ26に取り付けられて一体に上下方向及び左右方向の移動が可能である。この分注ヘッドユニット40は、培養ディッシュ1に保持されている宿主細胞に向けてウィルスベクター含有溶液等を吐出するものであり、たとえばシリンジポンプ部41、ウィルスベクター含有溶液を吐出する吐出口が形成された流路先端部を備えている分注プローブ42及び図示しない温調ヒータ等を具備して構成される。
吐出ヘッド部42は、たとえば図1に示すように、中空円筒形状としたノズル部43の先端部側に流路径を徐々に狭めた絞り部44を設け、その最先端部に吐出口45が開口した構成とされる。この吐出口45は、宿主細胞2となる細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積に設定されている。ちなみに、使用する細胞の種類にもよるが、宿主細胞2の大きさはおおよそ10μm程度とかなり小さく、また、宿主細胞2の核2aは5μm程度とさらに小さなものであるから、吐出口45の直径については、宿主細胞2の大きさと略同じ10μm程度に設定するのが好ましい。なお、吐出口45の開口面積については、宿主細胞2の大きさに応じて適宜変更可能であるが、一般的な細胞の大きさから判断して、おおよそ10〜50μm程度の範囲内で設定するとよい。
なお、図2において、図中の符号11はウィルスベクター含有溶液を入れてある細胞懸濁液保管容器、12はマイクロタイタープレート、13は分注ヘッドユニット40の交換部品である分注プローブ42を複数保管しておくヘッド部保管容器を示しており、いずれもXYステージ21上に設置されている。
さて、ウィルスベクターを用いて培養液中の宿主細胞2に組み換え遺伝子を導入するための遺伝子導入装置GDは、上述した宿主細胞2を培養液3の中に保持する手段の培養ディッシュ1と、上述したヘッド部42とを具備して構成される。
上述した細胞培養装置10において、遺伝子導入装置GDを用いて宿主細胞2に組み換え遺伝子を導入し、これを培養する手順(方法)について、図1及び図2を参照して以下に説明する。
まず、細胞保持チャンバ30の本体31内に培養温度近傍、すなわち37℃±0.5℃の霧状液滴を充満させると共に、ヒータ35等により内部を37℃±0.5℃の状態に維持させる。また、細胞懸濁液保管容器11、マイクロタイタープレート12、ヘッド部保管容器13についても、37℃±0.5℃の温度に加温する。
このように細胞培養装置10を初期状態にした後、PC50によりXYステージ21及びZYステージ26を作動させて、分注ヘッドユニット40を、ヘッド部保管容器13内の所望する分注プローブ42の上方に位置させる。そして、分注ヘッドユニット40を下降させ、分注プローブ42を所定位置に挿入して固定する。
分注プローブ42の固定終了後、XYステージ21及びZYステージ26を作動させて、分注ヘッドユニット40のノズル部43を細胞懸濁液容器11の内部に挿入する。次に、シリンジポンプ部41を作動させ、吐出口45からノズル部43内にウィルスベクター含有溶液4を吸引する。
吸引完了後には、XYステージ21及びZYステージ26を作動させて、分注ヘッドユニット40を細胞保持チャンバ30の開口部36上方に位置させる。続いて、シャッタ機構37を駆動させて開口部36を開状態にすると共に、ZYステージ26を作動させて分注ヘッドユニット40を下降させ、開口部36から分注プローブ42を細胞保持チャンバ30内に挿入する。
ところで、上述した吐出口45を培養液3内に浸漬させる前には、倒立顕微鏡20により培養ディッシュ1内の細胞を拡大しながら観察し、宿主細胞2として遺伝子を導入する特定の細胞単体(あるいは隣接する複数の細胞集合体)を選択して特定する。ここで特定された宿主細胞2は、対応するXYステージ21の座標としてPC50に記憶される。
この後、記憶された宿主細胞2のXY座標が吐出口45のXY座標と一致するように、PC50の制御によりXYステージ21及び/またはZYステージ26を作動させて微調整する。この結果、図1(a)に示すように、細胞保持チャンバ30内に下降した分注ヘッドユニット40の吐出口45が遺伝子導入の標的とする特定の宿主細胞2の真上に位置するようになる。
次に、PC50は、吐出口45が培養ディッシュ1内の培養液3内に侵入し、培養ディッシュ1の面から所定の離間距離になった時点で、実際には所定のZY座標に到達した時点で分注ヘッドユニット40の下降を停止させる。
この結果、ノズル部43の吐出口45は、図1(b)に示すように、遺伝子導入の標的となる宿主細胞2の真上に、略所定の離間距離をもって位置することとなる。
続いて、吐出口45と培養ディッシュ1との距離を一定に保ったまま、ノズル部43の先端に位置する吐出口45から所定量のウィルスベクター含有溶液4を標的の宿主細胞2に向けて吐出する。この場合、図1(c)に示すように、ウィルスベクター含有溶液4を液滴状溶液4aとして培養ディッシュ1上に保持されている標的の宿主細胞2に吐出する。
この時、ウィルスベクター含有溶液の吐出流速、吐出口45の径(ノズル径)、標的となる宿主細胞2の大きさと吐出量との関係等が重要な制御パラメータとなるので、十分な配慮をして適宜最適値を設定する必要がある。
このようにして吐出口45からウィルスベクター含有溶液4の液滴状溶液4aを吐出すると、宿主細胞2となる細胞単体の大きさに応じて適宜定まる微小開口面積の吐出口45から微少量が標的の宿主細胞に向けて、真下に直進することになる。特に、ノズル部43の先端を徐々に絞る絞り部44を設けてあるので、この部分で流速を増して液滴状溶液4aの直進性を増すことができる。
このため、液滴状溶液4aは非常に細い微少量の流れとなり、周囲の培養液3にほとんど影響を及ぼすことなく、すなわち、液滴状溶液4aの流れが培養液3を撹拌したり、この流れ自体が培養液3内に拡散したりすることなく、標的とした宿主細胞2に確実に到達する。
こうして宿主細胞2に到達した液滴状溶液4aは、図1(d)に示すように、宿主細胞2を取り囲むようにして滞留する。
最後に、吐出が終了した後には、ZYステージ26を作動させてノズル部43を培養液3内から引き上げる。この時、培養液3内に生じる流動を最小限に抑えて液滴状溶液4aの移動を防止することが重要になるため、ノズル部43の待避速度を低く抑えるように十分な配慮が必要である。
この後、分注ヘッドユニット40を細胞保持チャンバ30の内部から退避させると共に、シャッタ機構37を作動させて開口部36を閉状態にする。
なお、ウィルスベクター含有溶液4の吐出完了後には、分注プローブ42をヘッド部保管容器13の所定位置に戻して保管する。
このように、細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積に設定された吐出口45を備えている分注プローブ42を用い、吐出口45を培養液3の中に浸漬した後、宿主細胞2の中から選択した標的細胞に向けて吐出口45からウィルスベクター含有溶液4を吐出するので、ウイルスベクター含有溶液4は、宿主細胞2の単体と略同程度の大きさとなる微小面積から非常に細い流れとなって、微少量の液滴状溶液4aが培養液3の中を標的細胞へ向けて直進する。また、吐出口45から培養液3の中に吐出されるウィルスベクター含有溶液4の液滴状溶液4aは細く微少量の流れであるから、培養液3の全体に流れが発生してウィルスベクターを周囲に拡散させるようなこともない。
なお、遺伝子導入がなされた宿主細胞2は、培養ディッシュ1内に保持された状態で、培養ディッシュごと細胞保持チャンバ30内に設置され、最適な培養環境を維持した培養がなされる。
続いて、本発明の第2の実施形態を図3及び図4に示して説明する。なお、上述した第1の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、図3に示すように、表面にウィルスベクター5を付着させた粒子6をウイルスベクター含有溶液4に含ませて使用する点が異なっている。ここで使用する粒子6は、ノズル部43の吐出口45よりも小さなものとする必要があり、吐出口45の直径が10μm程度とすれば粒径が1μm以下の粒子を使用するのが好ましい。
また、ここで使用する粒子6については、適度な自重を有する粒径のばらつきが少ないもので、培養液3に影響を与えることがなく、かつウィルスベクター5が付着しやすいものであればよい(たとえばシリカ粒子、ガラス粒子など)。なお、ウィルスベクター5は、粒子6の表面にまぶすようにして付着させる。
なお、ウィルスベクター5の代わりに、粒子6の表面に導入する遺伝子を直接付着させてもよく、以下の説明では、両方の粒子を総称してベクター粒子7と呼ぶことにする。
図4(a)に示す遺伝子導入装置GDでは、ベクター粒子7を含んだウィルスベクター含有溶液4′が吐出口45から標的とする宿主細胞2に向けて、非常に細い微少量の流れとなって直線的に吐出される。こうして宿主細胞2の周囲に到達したベクター粒子7は、その自重により細胞膜を破って細胞内に侵入し、核2aに遺伝子を導入する。また、適度な自重を有している粒子6を構成要素とするベクター粒子7は、吐出時の直進性を増すことができるので、特定の宿主細胞2に対してより一層正確に到達する。
また、粒子6として鉄粉や磁気ビーズのような磁気粒子を採用すれば、図4(b)に示すように、吐出後に培養液3内でベクター粒子7が分散した場合であっても、磁界を発生させることで標的の宿主細胞2の周囲に凝集させることができる。
すなわち、培養ディッシュ1の底面に磁界発生手段の電磁石8を設置し、この電磁石8を標的とする宿主細胞2の真下に位置させて磁界を発生させれば、磁気粒子である粒子6が磁石に引きつけられて凝集する。従って、特定の宿主細胞2に対して、より確実に遺伝子導入を行うことができる。
また、上述した磁気粒子について、粒径がナノオーダーの微粒子を採用したベクター粒子7′とすれば、図5に示す変形例のように、電磁石8が形成する磁界を適度な強さとすることにより、電磁石8に引きつけられたベクター粒子7′が細胞膜を突き破って細胞内部まで侵入し、核2aに確実に遺伝子導入を行うことも可能である。
なお、この場合の磁気粒子には、たとえばプラスミド等のようなウィルス以外のベクターを使用することも可能である。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、たとえば細胞培養装置の構成が図2に示したものに限定されないなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
本発明に係る遺伝子導入方法及び遺伝子導入装置の第1の実施形態を示す図で、(a)は遺伝子導入前の状態、(b)はノズル部が培養液中に浸漬した状態、(c)はウィルスベクター含有溶液を吐出した状態、(d)はウィルスベクター含有溶液の吐出が完了した状態を示している。 本発明に係る遺伝子導入装置を適用した細胞培養装置の構成例を示す図である。 粒子または磁気粒子の表面にウィルスベクターを付着させた状態例を示す図である。 本発明に係る遺伝子導入方法及び遺伝子導入装置の第2の実施形態を示す図で、(a)はノズル部を培養液中に浸漬してウィルスベクター含有溶液を吐出した状態、(b)はウィルスベクター含有溶液の吐出が完了した状態、(c)は磁界をかけた状態を示している。 図4に示した第2の実施形態の変形例を示す図で、磁界により磁気粒子が細胞膜を突き破る様子を示している。
符号の説明
GD 遺伝子導入装置
1 培養ディッシュ
2 宿主細胞
3 培養液
4、4′ ウィルスベクター含有溶液
4a 液滴状溶液
5 ウィルスベクター
6 粒子
7、7′ ベクター粒子
8 電磁石(磁界発生手段)
10 細胞培養装置
11 細胞懸濁液保管容器
20 倒立顕微鏡
21 XYステージ
22 主架台
23 対物レンズ
26 ZYステージ
30 細胞保持チャンバ
31 本体
32 超音波加湿器
36 開口部
37 シャッタ機構
40 分注ヘッドユニット
42 分注プローブ
43 ノズル部
44 絞り部
45 吐出口
50 パーソナルコンピュータ(PC)
60 気流発生部
61 圧縮空気ボンベ

Claims (4)

  1. ウィルスベクターを用いて培養液中の宿主細胞へ組み換え遺伝子を導入する遺伝子導入方法であって、
    細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積に設定された吐出口を備えている分注プローブを用い、温度及び湿度が培養環境に維持された細胞保持チャンバ内の前記宿主細胞の中から選択した標的細胞に向けて、前記吐出口を前記培養液中に浸漬した後、前記吐出口からウィルスベクター含有溶液を吐出することを特徴とする遺伝子導入方法。
  2. ウィルスベクターを用いて培養液中の宿主細胞へ組み換え遺伝子を導入する遺伝子導入装置であって、
    前記宿主細胞を温度及び湿度が培養環境に維持するための細胞保持チャンバと、前記細胞保持チャンバ内の宿主細胞を前記培養液中に保持する保持部材と、細胞単体の大きさに応じて定まる微小開口面積の吐出口を設けた分注プローブとを具備し、
    前記吐出口を前記培養液中に浸漬した状態とし、前記宿主細胞の中から選択した標的細胞に向けてウィルスベクター含有溶液を吐出するように構成したことを特徴とする遺伝子導入装置。
  3. 前記ウィルスベクター含有溶液が、前記ウィルスベクターまたは遺伝子を表面に付着させた粒子を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の遺伝子導入装置。
  4. 前記標的細胞の近傍に磁界を発生させる磁界発生手段を設けると共に、前記ウィルスベクターまたは遺伝子を表面に保持させた磁気粒子を前記吐出口から標的細胞に向けて吐出した後、前記磁界発生手段によって前記標的細胞の周辺に吐出された磁気粒子を前記標的細胞近傍に凝集させることを特徴とする請求項2に記載の遺伝子導入装置。
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