JP2005198253A - 半同軸共振器型測定治具及び誘電体薄膜の電気的物性値測定方法 - Google Patents

半同軸共振器型測定治具及び誘電体薄膜の電気的物性値測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロ波帯やミリ波帯において、誘電体薄膜の比誘電率、誘電正接などの誘電定数や、抵抗率といった電気的物性値を高精度で測定することが可能な半同軸共振器型測定治具及び誘電体薄膜の電気的物性値測定方法を提供する。
【解決手段】円筒外部導体1と、前記円筒外部導体1の一端面を閉じるための、取り外し可能な導体薄膜7と、前記円筒外部導体1の他端面に接続された蓋と、前記蓋の内面に接続され、円筒の中心軸に沿って延びる中心内部導体3とを備え、前記中心内部導体3の先端は、導体薄膜7に設置された誘電体薄膜8に接触可能であり、前記中心内部導体3の先端が先細り形状である。
【選択図】図1

Description

本発明は半同軸共振器型測定治具及び誘電体薄膜の電気的物性値測定方法並びに硬度測定方法に関するものであり、特に厚みが1×10-5m(10μm)以下の誘電体薄膜の比誘電率、誘電正接などの誘電定数や、抵抗率といった電気的物性値を測定するための半同軸共振器型測定治具及び誘電体薄膜の電気的物性値測定方法に関するものである。
現在、マイクロ波帯、ミリ波帯において誘電体薄膜を用いたデバイスの開発が盛んに行われており、その誘電体薄膜の誘電定数、抵抗率などの電気的物性値測定方法が求められている。
従来、導体上に形成された誘電体薄膜の、マイクロ波帯、ミリ波帯における誘電体薄膜の電気的物性値測定方法としては大きく分けて2通りの方法が知られている。一つは誘電体薄膜上にストリップ線路等を構成して、その伝送特性を測定することにより電気的物性値を求める方法であり、もう一つは誘電体薄膜上にリング導体からなるリング共振器を構成して、その共振特性より求める方法がある。
特開平11-298213号公報
しかしながら、ストリップ線路等の伝送特性から求める場合には、ストリップ線路を構成する導体の導体損を分離して、誘電体薄膜の誘電正接等の電気的物性値を正確に得ることが困難であるという問題があった。
また、リング共振器等を用いた場合でも、導体損が大きく、共振器のQ値が大幅に劣化することから、誘電正接等の電気的物性値の測定が困難であるという問題があった。
従って、本発明は、マイクロ波帯やミリ波帯、特に1GHz以上の周波数帯において、誘電体薄膜の比誘電率、誘電正接などの誘電定数や、抵抗率といった電気的物性値を高精度で測定することが可能な半同軸共振器型測定治具及び誘電体薄膜の電気的物性値測定方法並びに硬度測定方法を提供することを目的とするものである。
本発明の半同軸共振器型測定治具は、円筒外部導体と、前記円筒外部導体の一端面を閉じるための、取り外し可能な第1の導体と、前記円筒外部導体の他端面に接続された第2の導体と、前記第2の導体の内面に接続され、円筒の中心軸に沿って延びる中心内部導体とを備え、前記中心内部導体の先端は、前記円筒外部導体の一端面を構成する第1の導体に設置される誘電体薄膜に接触可能に構成され、前記中心内部導体の先端が先細形状であるものである。
前記中心内部導体の先端は、球の一部を構成し、球の先端が誘電体薄膜に接触されるものであってもよい。
また、本発明の半同軸共振器型測定治具は、前記中心内部導体の、誘電体薄膜に接触する先端面の面積が1×10-82以下であるものである。
これらの半同軸共振器型測定治具を用いて、第1の導体上に誘電体薄膜試料を設置し(この誘電体薄膜試料は第1の導体上にあらかじめ設置形成されているものでもよい)、前記誘電体薄膜試料に中心内部導体の先端を接触させることで、TEMモードの共振周波数(1GHz以上に高められている)と無負荷Qを測定し、これらの測定値に基づいて、誘電体薄膜試料の比誘電率や誘電正接等の電気的物性値を高精度で測定することができる。これにより、マイクロ波やミリ波、特に1GHz以上の周波数で使用する誘電体材料の開発や、これらの材料を用いた高周波電子部品の設計が容易にできる。
また、本発明の半同軸共振器型測定治具は、円筒外部導体と、前記円筒外部導体の一端面を閉じるための、取り外し可能な第1の導体と、前記円筒外部導体の他端面に接続された第2の導体と、前記第2の導体の内面に接続され、円筒の中心軸に沿って延びる中心内部導体とを備え、前記中心内部導体の先端面は、前記円筒外部導体の一端面を構成する第1の導体に設置された誘電体薄膜に接触することなく、前記誘電体薄膜上に設けられる第3の導体に接触可能に構成され、前記中心内部導体の先端面の面積が前記第3の導体の先端面の面積より大きいものであってもよい。
前記第3の導体は、誘電体薄膜に設けられる面積が1×10-82以下である。
これらの半同軸共振器型測定治具を用いて、第1の導体上に誘電体薄膜試料を設置し(この誘電体薄膜試料は第1の導体上にあらかじめ設置形成されているものでもよい)、前記誘電体薄膜試料に接触させることなく、中心内部導体の先端を前記誘電体薄膜上に設けられる第3の導体に接触させることで、TEMモードの共振周波数(1GHz以上に高められている)と無負荷Qを測定し、これらの測定値に基づいて、誘電体薄膜試料の比誘電率や誘電正接等の電気的物性値を高精度で測定することができる。これにより、マイクロ波やミリ波、特に1GHz以上の周波数で使用する誘電体材料の開発や、これらの材料を用いた高周波電子部品の設計が容易にできる。
また、このように誘電体薄膜試料に接触させることなく、中心内部導体の先端を第3の導体に接触させる上で、前記第3の導体の高さは1×10-5m以上であることが望ましい。
前記第2の導体が、前記円筒外部導体に対して軸方向に挿通可能であり、前記第2の導体の重力によって、誘電体薄膜を押圧する構造をとれば、中心内部導体の先端を誘電体薄膜試料又は第3の導体に一定の圧力で接触させることができ、安定した測定が行える。
前記第2の導体が、前記円筒外部導体に対して軸方向に挿通可能であり、前記第2の導体に印加される外力によって、誘電体薄膜を押圧する構造をとれば、外力(例えば螺子の締結力)を調節することによって、中心内部導体の先端を任意の圧力で誘電体薄膜試料又は第3の導体に押圧することができる。
また、前記第2の導体が、前記円筒外部導体に対して固定されており、前記中心内部導体が前記第2の導体に対して軸方向に挿通可能であり、前記中心内部導体の重力又はそれに印加される外力によって、誘電体薄膜又は第3の導体を押圧する構造をとっても、同様の効果が得られる。
また、本発明の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法は、前記半同軸共振器型測定治具の第1の導体上に誘電体薄膜試料を設置し、この第1の導体上に、前記第2の導体と中心内部導体とを含む円筒外部導体を被せることにより、前記誘電体薄膜試料又は誘電体薄膜試料上に設けられた第3の導体に前記中心内部導体の先端を接触させ、TEMモードの共振周波数と無負荷Qとを測定し、測定された共振周波数と無負荷Qとから、前記誘電体薄膜試料の電気的物性値を求める方法である。
また、本発明の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法は、電気的物性値の温度依存性を求めることを特徴とする。このような電気的物性値測定法では、誘電体薄膜を有する測定用治具の温度を変化させ、この測定用治具の共振周波数と無負荷Qの温度依存性を測定することで、より簡単に誘電体薄膜の電気的物性値の温度依存性を求めることができる。
また、本発明の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法は、電気的物性値の面内ばらつきを求めることを特徴とする。このような電気的物性値測定法では、測定用治具に対する誘電体薄膜の位置を移動させ、この誘電体薄膜を有する測定用治具の共振周波数と無負荷Qを測定することで、より簡単に誘電体薄膜の電気的物性値の面内ばらつきを求めることができる。
前記誘電体薄膜の電気的物性値測定方法では、比誘電率や誘電正接等の電気的物性値を高精度で測定する上で、誘電体薄膜試料の厚みは1×10-5m以下であることが望ましい。
さらに、本発明の誘電体薄膜の硬度測定方法は、前記半同軸共振器型測定治具の第1の導体上に誘電体薄膜試料を設置し、誘電体薄膜試料が設置された第1の導体上に、前記第2の導体と中心内部導体とを含む円筒外部導体を被せることにより、前記誘電体薄膜試料に前記中心内部導体の先端を接触させ、TEMモードの共振周波数を測定し、該共振周波数から前記中心内部導体の先端と前記誘電体薄膜試料との接触面積(A)を求め、該接触面積(A)及び前記中心内部導体によって前記誘電体薄膜試料に印加される荷重(P)から、前記誘電体薄膜試料の硬度(H)を、H=P/Aにより求める方法である。
従来、誘電体試料の硬度は、押し込み法により測定されている。この方法は、圧子を誘電体試料表面に押し付けて荷重を準静的に変化させたときの荷重と圧子の位置(変位)を正確に測定することにより硬度を求めるものである。押し込み法においては、硬度(H)は、H=P/Aで定義される。ここで、Pは誘電体試料に加わる荷重、Aは圧子と誘電体試料との接触面積を示す。
この場合、上記式において圧子と誘電体試料との接触面積(A)を求めることができれば、誘電体試料に加えた荷重(P)から誘電体試料の硬度を測定することができる。このため、従来から圧子と誘電体試料との接触面積を求める幾つかの方法が提案されている。
例えば、(a)誘電体試料表面の圧子による圧痕から求める方法、(b)圧子の荷重除荷曲線から求める方法等が挙げられるが、(a)の方法では、誘電体試料の弾性回復を無視しており、押し込み時の接触面積を過小評価してしまうという問題があり、(b)の方法では、理論的に摩擦のない接触が前提となっており、圧子の形状に制約があるという問題がある。また、何れの方法においても荷重の大きさに制約があるという問題がある。
本発明によれば、誘電体試料に荷重(P)を加えているときの圧子と誘電体試料との接触面積(A)を圧子の変位を介さずに直接求めることができるので、正確で汎用性に優れた誘電体試料の硬度測定方法を提供できる。
以下、本発明の、誘電体薄膜のマイクロ波帯における比誘電率、誘電正接、導電率等の電気的物性値を測定するための、半同軸共振器型測定治具の構造を説明する。誘電体薄膜は、導体上に形成され、厚みが1×10-5m以下のものを想定する。
図1は、本発明の半同軸共振器型測定治具を示す断面図である。
この半同軸共振器型測定治具は、図1に示すように、支持基板6上に導体薄膜7を設置し、その上に、片端面開放円筒外部導体1を、その開放端が下になるように設置している。片端面開放円筒外部導体1の閉鎖端の内部中心には、先端が先細り形状の中心内部導体3が突出している。なお、前記支持基板6の材質は、金属、半導体、誘電体など何でもよい。
支持基板6上の導体薄膜7には、誘電体薄膜試料8が形成されている。したがって、この誘電体薄膜試料8は、導体薄膜7と中心内部導体3の先端との間に挟まれた構造となっている。
図2は、本発明の半同軸共振器型測定治具の他の構造を示す断面図である。この半同軸共振器型測定治具が、図1の半同軸共振器型測定治具と相違するところは、図1のモデルでは、中心内部導体3の先端が円錐テーパ状となっていたのに対して、図2のモデルでは、中心内部導体3の先端が球状となっていることである。中心内部導体3の球の先端部が、誘電体薄膜試料8に接触している。
図3は、本発明の半同軸共振器型測定治具のさらに他の構造を示す断面図である。この構造では、中心内部導体3の先端が、細い導体線9からなる。導体線9は、中心に穴の開いた導体線支持用誘電体円柱10を挿通している。この導体線支持用誘電体円柱10によって、導体線9は曲がらないように支持される。そして、この導体線9の先端が、誘電体薄膜試料8に接触している。導体線9は、1×10-82以下の断面積を有するものを採用する。
以上の本発明の半同軸共振器型測定治具は、その立体構造に起因して導体上を流れる表面電流密度が比較的小さく、導体Qが高いという半同軸共振器型測定治具の特長を有すると共に、中心内部導体3が誘電体薄膜試料8に接触する面積が小さいことから、誘電体薄膜試料内に蓄積される電界エネルギーの総量を低減することができる。したがって、共振周波数の低下を防ぐことができ、共振周波数をマイクロ波帯の所望の周波数に維持することができる。
したがって、この半同軸共振器型測定治具を用いることで、マイクロ波帯、特に1GHz以上の周波数帯において導体上に形成された厚みが1×10-5m以下の誘電体薄膜の比誘電率及び誘電正接を正確に測定することが可能となる。
図4は、本発明の半同軸共振器型測定治具のさらに他の構造を示す断面図である。この半同軸共振器型測定治具が、図1〜図3の半同軸共振器型測定治具と相違するところは、図1〜図3の半同軸共振器型測定治具では、中心内部導体3の先端が誘電体薄膜試料8に接触していたのに対して、図4の半同軸共振器型測定治具では、中心内部導体3の先端が誘電体薄膜試料8上に接合された導体バンプ16(第3の導体)に接触していることである。この導体バンプ16の、誘電体薄膜試料8に接合された面積が1×10-82以下であることによって、図1〜図3の半同軸共振器型測定治具と同様に、共振周波数の低下を防ぐことができる。
また、図4の半同軸共振器型測定治具では、中心内部導体3の先端面の面積が導体バンプ16の先端面の面積より大きい。即ち、導体バンプ16が中心内部導体3に当接する面積は、中心内部導体3の先端面の面積の一部とされている。これによって、中心内部導体3の先端面を導体バンプ16に、容易に接触させることが可能となると共に、中心内部導体3と導体バンプ16との接触抵抗の増大による導体Qの低下を抑えることができる。
したがって、この半同軸共振器型測定治具を用いることでも、マイクロ波帯、特に1GHz以上の周波数帯において導体上に形成された厚みが1×10-5m以下の誘電体薄膜の比誘電率及び誘電正接を正確に測定することが可能である。
また、図1〜図3の半同軸共振器型測定治具では、誘電体薄膜試料8と接触するであろう中心内部導体3の先端の面積、すなわち接触面積を予め決定しておくことが必要であったのに対して、図4の半同軸共振器型測定治具では、中心内部導体3が誘電体薄膜試料8に接触していないため、導体バンプ16と誘電体薄膜試料8との接合面積を測定するだけでよい。
図20及び図21に、比較例としての半同軸共振器型測定治具の一例を示す。図20及び図21では、円柱状の中心内部導体3の先端面と導体板2との間に誘電体薄膜試料4または誘電体薄膜試料5が挟まれた構造となっている。図20、図21とも、中心内部導体3の断面積Sは一定であり、その先端は細くなっていない。このような半同軸共振器型測定治具では、誘電体薄膜試料4または誘電体薄膜試料5が1×10-5m以下の厚みとなった場合、リング共振器等の平面回路を用いた共振器に比べて導体上を流れる表面電流密度が小さく、導体Qが高いという特長がある。しかしながら、この半同軸共振器型測定治具を前記1×10-5m以下の厚みの誘電体薄膜試料へ適応すると、誘電体薄膜試料内に電界エネルギーが多量に蓄積され、共振周波数が、デバイスの動作周波数であるマイクロ波帯を大幅に下回ってしまうという問題がある。
本発明の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法では、比誘電率と誘電正接が既知の誘電体薄膜標準試料を用いることによって、誘電体薄膜試料と接触するであろう中心内部導体3の先端の面積、すなわち接触面積(図4の半同軸共振器型測定治具では不要)と導体の導電率を予め決定しておくことが必要である。この接触面積は、共振周波数の測定結果に寄与する。このときの導体の導電率に応じた導体損を用いることで、得られた無負荷Qから、誘電体薄膜の誘電正接に伴う誘電体損を分離できるため、誘電体薄膜の正味の誘電正接を計算することができる。
また、本発明の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法で得られる誘電体薄膜の誘電率と誘電正接より、誘電体薄膜の抵抗率又は導電率を計算することができるため、誘電体薄膜の抵抗率又は導電率の測定もできる。
総合すれば、本発明の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法は、共振周波数と無負荷Qの測定結果に寄与する値、誘電体薄膜試料に関しては、比誘電率、誘電正接、抵抗率、寸法(直径、厚み)、硬度等が測定できる。また、導体に関しては、導電率、抵抗率、表皮抵抗、表皮深さ、接触抵抗、表面粗さ、酸化度、寸法(直径、厚み)、硬度等が測定できる。導体と誘電体薄膜試料との組み合わせに関しては、接触面積、エアーギャップ等が測定できる。すなわち、本発明の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法は、共振周波数と無負荷Qより、前記群から選ばれる1種あるいは2種以上を測定することが可能である。
図6は、本発明の半同軸共振器型測定治具における励振及び検波方法の一例を説明するための断面図である。
図6では、片端面開放円筒外部導体1の側面に2つの貫通孔が形成され、外部から内部に向けて一対の同軸ケーブル11a、11bが挿通されており、その内部の先端に励振及び検波のための一対のループアンテナ12a、12bが形成された構造となっている。ループアンテナ12a、12bの共振器への挿入深さはTEMモードの共振周波数における挿入損失が30dB程度になるように調整される。
発振器、例えばシンセサイズドスイーパーから、周波数が掃引された信号を片方の同軸ケーブルからループアンテナを通して共振器に注入することで、TEMモードの電磁界が励振される。他方のループアンテナから同軸ケーブルを通して、共振器の透過信号がネットワークアナライザー等の測定機器に入力することで、この半同軸共振器型測定治具の共振周波数、無負荷Qを測定する。
比誘電率及び誘電正接は、前記共振周波数及び無負荷Qの測定値から有限要素法等による数値解析を行うことで、算出することができる。特に、本発明で使用するような軸対称形状の半同軸共振器型測定治具に対しては、軸対称の有限要素法を用いることができるため、寸法、比誘電率、誘電正接等から共振電磁界分布、共振周波数、無負荷Q等を高精度、かつ短時間で計算できる。従って、これを応用すれば共振周波数や無負荷Qに基づいて、厚みが1×10-5m以下の誘電体薄膜の比誘電率や誘電正接を求めることができる。
特に、本発明の半同軸共振器型測定治具においては、誘電体薄膜の厚みが極めて薄くなった場合でも、誘電体薄膜試料内に蓄積される電界エネルギーの体積分率(共振器内の全電界エネルギーに対する)が高くなる傾向にあるため、中心内部導体の先端と誘電体薄膜との接触面積を小さくしつつ、誘電体薄膜の比誘電率及び誘電正接を高精度で測定することが可能となる。
より具体的な計算方法として、以下のような方法があげられる。まず、誘電体薄膜の比誘電率εrを少なくとも3点以上変化させたときの共振周波数f0を、軸対称の有限要素法により計算しておく。このとき得られる共振周波数fの計算値は共振周波数 の測定値とそのバラツキの範囲内であることが望ましい。次に、線形最小二乗法により共振周波数f0 と比誘電率εrの線形近似式、f0 =a×εr+bの係数a、bを求める。これによって、共振周波数f0の測定値から比誘電率εrが計算できる。
また、この比誘電率εrの計算値を用いることで導体Q(Qc)、誘電体薄膜内の電界エネルギー比率(Pe)を軸対称の有限要素法により計算する。このとき得られるQc、Peの計算値と、無負荷Q(Qu)、誘電正接tanδとには Qu-1=Qc-1+Pe×tanδという関係式が成り立つ。従って、この式に無負荷Qの測定値を代入することによって、誘電正接が計算できる。
また、中心内部導体の先端と誘電体薄膜との接触面積と、第3の導体(導体バンプ)と誘電体薄膜との接合面積を1×10-82以下に限定した理由は、1×10-82より大きくなると、共振周波数が低くなる傾向にあり、さらに導体Qも低くなる傾向にあるためである。同様に、誘電体薄膜の厚みが薄くなると、共振周波数が低くなる傾向にあり、さらに導体Qも低くなる傾向にあることから、前記接触面積の指標である接触面の径は誘電体薄膜の厚みと同程度に小さいことが望ましい。
誘電体薄膜上に接合される導体バンプの形成方法としては、誘電体薄膜が形成される温度以下のものであれば何でもよい。例えば、めっき、蒸着、印刷、エッチング、リフローなどがあげられる。また、これらを組み合わせた方法でもよい。さらに、導体バンプの材質は、金、銀、銅、はんだなどで形成される。
また、本発明の半同軸共振器型測定治具からの電磁波の放射を抑制するために、半同軸共振器型測定治具の一部あるいは全部を遮蔽する導体を設けても良い。
本発明の誘電体薄膜の硬度測定方法を説明する。本発明の硬度測定方法は、図8および図9では、円筒外部導体1の第2の導体を形成する底面の挿入孔内に、重石32による荷重調整機能のある中心内部導体3を挿入し、円筒外部導体1が設けられた支持基板と前記中心内部導体3の先端との間に誘電体試料8が挟まれた構造となっている。なお、図8では、導体支持基板7(第1の導体)上に載置された誘電体基板8が測定試料であり、図9では、支持基板6上に形成された導体膜3(第1の導体)上の誘電体膜7が測定試料である。
図8および図9に示したような半同軸共振器を用いる場合、図9の誘電体膜のように誘電体試料の厚みが薄い場合でもQ値が高く、共振周波数を高分解能で測定できるという特長がある。また、誘電体試料への電界集中率が高く、中心内部導体の先端と誘電体試料との接触面積の変化に対する共振周波数の変動が大きいため、接触面積を高精度で測定できるという特長がある。特に、中心内部導体の先端と誘電体試料との接触面積が大きい程、あるいは誘電体試料の厚みが薄い程、誘電体試料の比誘電率が高い程、この特長は顕著なものとなる。
なお、共振周波数を測定する上では、共振電磁界であるTEMモードの励振及び検波が必要である。図8および図9では、円筒外部導体1に貫通孔が形成され、外部から内部に向けて一対の同軸ケーブル11a、11bが挿通されており、その内部側の先端に励振及び検波のための一対のループアンテナ12a、12bが形成された構造となっている。ループアンテナ12a、12bの共振器への挿入深さはTEMモードの共振周波数における挿入損失が30dB程度になるように調整される。
発信器、例えばシンセサイズドスイーパーから周波数が掃引された信号を片方の同軸ケーブルからループアンテナを通して共振器に注入することで、TEMモードの共振電磁界が励振される。他方のループアンテナから同軸ケーブルを通して、共振器の透過信号がネットワークアナライザー等の測定機器に入力されることで、共振器の共振周波数が測定される。
接触面積は、上記共振周波数の測定値から有限要素法等による数値解析を行うことで、計算される。特に、本発明で使用するような軸対称形状の半同軸共振器に対しては、軸対称の有限要素法を用いることができるため、寸法、比誘電率等から共振電磁界分布、共振周波数等を高精度且つ短時間で計算できる。従って、これを応用すれば共振周波数から中心内部導体の先端と誘電体試料との接触面積を求めることができる。
より具体的な計算方法として、以下のような方法が考えられる。まず、中心内部導体の先端と誘電体試料との接触面積(A)を少なくとも3点以上変化させたときの共振周波数(f)を軸対称の有限要素法により計算しておく。このとき得られる共振周波数の計算値は共振周波数の測定値とそのバラツキの範囲内であることが望ましい。次に、線形最小二乗法により共振周波数と接触面積の線形近似式、f=a×A+bの係数a、bを求める。これによって、共振周波数の測定値から中心内部導体の先端と誘電体試料との接触面積が計算できる。
なお、接触面積を計算する際は、誘電体試料の厚みと比誘電率が予め明らかとなっている必要がある。誘電体試料の厚み、あるいは比誘電率の何れかが未知であるような場合であって、誘電体試料の硬度が既知である場合は、硬度(H)を、式H=P/Aに代入することで接触面積を求め、前記計算と同様の方法によって誘電体試料の厚み、あるいは比誘電率の何れかを測定することができる。
押し込み法における圧子に対し、本発明で用いられる中心内部導体は、形状等において特に制約を受けるものではない。但し、材質については、少なくとも表面が導体である必要があり、接触面積を計算する上で、押し込み法における圧子と同様、測定試料よりも硬く、押し込み時に変形しない材質であることがより望ましい。
また、本発明で用いられる中心内部導体は、重石等を取り付けることにより荷重(自重)を容易に制御できるという特長がある。この荷重(P)と前記計算方法で得られた接触面積(A)を上記式に代入することによって、正確で汎用性に優れた誘電体試料の硬度測定が可能となる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
<実施例1>
本発明の半同軸共振器型測定治具モデルを2種類作製し、軸対称有限要素法による解析を行った。図7及び図12に、このとき用いた半同軸共振器型測定治具の構造を示す。
図7の構造では、片端面開放円筒外部導体1の内径D4=15mm,中心内部導体3の直径D2=4mm,中心内部導体3の直径不変部分の長さH3=6mm,中心内部導体3のテーパ状部分の長さH2=2mm,中心内部導体3の先端の直径D1=10μm,誘電体薄膜試料8の直径D3=10mm,誘電体薄膜試料8の厚さH1=0.3μmとしている。
図10に、誘電体薄膜の比誘電率εrに対する共振周波数の計算結果を示す。この図から、比誘電率εrの変化に対する共振周波数の変化は十分大きな傾きを持っていることがわかる。実際の測定を想定した場合、共振周波数の測定誤差は通常±1MHz程度であることから、共振周波数の測定値より、図10のチャートを用いることで比誘電率εrを高精度に決定できることがわかる。
ただし、図10より、誘電体薄膜の比誘電率εrの変化に対する共振周波数の変化があまりにも大きいことによって、共振周波数の制御が困難であると予想される。このような場合、例えば、図7及び図12のような種々の半同軸共振器型測定治具モデルを用意することで、共振周波数を制御することができる。また、上述したように、中心内部導体3の先端と誘電体薄膜8との接触面積を調整することによっても、同様に共振周波数を制御することができる。
図11に、誘電体薄膜の比誘電率εrを100と仮定した場合の、誘電体薄膜の誘電正接に対するQ値の計算結果を示す。ここで、Qcは導体損に関するQ値を表し、Qdは誘電体損に関するQ値を表し、Quは無負荷Qを表す。但し、Qcの計算に際しては導体の導電率として、5.8×107[S/m]を用いた。図11より、実際の測定を想定した場合、無負荷Qの測定誤差は通常±5%程度であることから、無負荷Qの測定値より、図11のチャートを用いることで誘電正接を高精度に決定できることがわかる。
図12は、半同軸共振器型測定治具の他の構造を示す。この構造では、片端面開放円筒外部導体1の内径D4=16mm,中心内部導体3の直径D5=12mm,中心内部導体3の直径不変部分の長さH3=2.5mm,中心内部導体3のテーパ状部分の長さH2=0.5mm,中心内部導体3のテーパ状部分の基端の直径D2=2mm,中心内部導体3の先端の直径D1=10μm,誘電体薄膜試料8の直径D3=10mm,誘電体薄膜試料8の厚さH1=0.3μmとしている。
図13に、誘電体薄膜の比誘電率εrに対する共振周波数の計算結果を示す。この図から、比誘電率εrの変化に対する共振周波数の変化は十分大きな傾きを持っていることがわかる。実際の測定を想定した場合、共振周波数の測定誤差は通常±1MHz程度であることから、共振周波数の測定値より、図13のチャートを用いることで比誘電率εrを高精度に決定できることがわかる。
ただし、図13より、誘電体薄膜の比誘電率εrの変化に対する共振周波数の変化があまりにも大きいことによって、共振周波数の制御が困難であると予想される。このような場合、例えば、図7及び図12のような種々の半同軸共振器型測定治具モデルを用意することで、共振周波数を制御することができる。また、上述したように、中心内部導体3の先端と誘電体薄膜8との接触面積を調整することによっても、同様に共振周波数を制御することができる。
図14は、誘電体薄膜の比誘電率εrを100と仮定した場合の、誘電体薄膜の誘電正接に対するQ値の計算結果を示すグラフである。Qc,Qd,Quは図11において説明したとおりであり、導体の導電率として、5.8×107[S/m]を用いた。図14より、実際の測定を想定した場合、無負荷Qの測定誤差は通常±5%程度であることから、無負荷Qの測定値より、図14のチャートを用いることで誘電正接を高精度に決定できることがわかる。
<実施例2>
本発明の薄膜試料測定用治具である半同軸共振器型測定治具を作製し、誘電体薄膜の誘電定数を評価した。図15に、このとき用いた半同軸共振器型測定治具の構造を示す。
この構造では、実施例1のモデルを改良し、誘電体薄膜試料8の厚みにかかわらず、中心内部導体3の先端と誘電体薄膜試料8との接触面積の再現性を向上させる構造としている。具体的には、両端面開放円筒外部導体13(材質:無酸素銅)内に、この内径よりもわずかに小さな直径の円柱状の端面導体14(材質:無酸素銅)をスライド可能に挿入している。端面導体14の下端面には、中心内部導体3(材質:スチール/銅めっき)が接続されている。この端面導体14の可動構造によって、端面導体14と中心内部導体3の重量に比例した一定荷重を、誘電体薄膜試料8上に与えることができるため、接触面積の再現性が向上する。
誘電体薄膜試料8は支持基板6上に形成された導体薄膜7(材質:Pt、厚み:1.00μm)上に形成されている。
図15の構造において、両端面開放円筒外部導体13の内径D4=16mm,中心内部導体3の直径D2=1.5mm,中心内部導体3の直径不変部分の長さH3=8.5mm,中心内部導体3のテーパ状部分の長さH2=1.5mm,中心内部導体3の先端の直径D1=3μm,誘電体薄膜試料8の直径D3=10mm,誘電体薄膜試料8の厚さH1=1μm(以上設計値)としている。
誘電定数の評価にあたり、まず、測定顕微鏡、マイクロメーターを用いて、半同軸共振器型測定治具の実際の寸法を評価した。その結果は、D2=1.513mm、D3=10.11mm、D4=16.017mm、H2=1.580mm、H3=8.334mmであった。
次に、前記半同軸共振器型測定治具の誘電体薄膜8の代わりに円柱状サファイア標準試料(厚み:85μm、直径:10mm、比誘電率εr:11.54、Qf:106GHz)を挿入し、共振周波数と無負荷Qを測定し、その測定値から軸対称有限要素法による数値解析を行って、中心内部導体3の先端と誘電体薄膜試料8との接触面積(D1)と中心内部導体3の導電率(σr)を決定した。その結果は、D1=3.2μm、σr=1.7%であった。
なお、接触面積の測定精度を向上させる上では、前記標準試料8として、より電界の集中しやすい薄い誘電体薄膜試料を用いる方が良い。但し、この場合、誘電体薄膜の比誘電率εrを予め決定しておく必要があり、その方法としては、先に従来技術として挙げた、ストリップ線路等による伝送特性より求める方法、リング共振器等による共振特性より求める方法等が用いられる。
さらに、中心内部導体3の先端と誘電体薄膜試料8とに介在するエアーギャップ等による系統誤差を小さくする上では、前記標準試料の比誘電率εrが誘電体薄膜試料8の比誘電率εrと近似している方が良い。これにより、エアーギャップに存在する電界に対するエアーギャップ直下の標準試料に存在する電界の比がエアーギャップに存在する電界に対するエアーギャップ直下の誘電体薄膜試料8に存在する電界とエアーギャップに存在する電界の比と近似するため、中心内部導体3の先端と標準試料との実効的な接触面積が中心内部導体3の先端と誘電体薄膜試料8との実効的な接触面積と近似する。
また、標準試料を用いて測定した中心内部導体3の実効的な導電率を誘電体薄膜試料8測定時の実効的な導電率と近似させるためには、前記標準試料として、誘電体薄膜試料8測定時と同程度に電界の集中しやすい誘電体試料を用いる方が良い。そのためには、導体薄膜7と中心内部導体3の先端との間の形成される標準試料のキャパシタンスが誘電体薄膜試料8のキャパシタンスと同程度に大きくなるよう、標準試料を薄くするか比誘電率を高くする必要がある。これにより、誘電体薄膜試料8測定時と同程度に中心内部導体の先端に電流が集中し、中心内部導体の導電率の面内ばらつきによる系統誤差を小さくできる。
最後に、誘電体薄膜試料を含む上述の半同軸共振器型測定治具により、共振周波数f0と無負荷Q(Qu)を測定し、透過電子顕微鏡を用いて、誘電体薄膜試料の厚み(H1)を測定した。その結果は、f0=2.04GHz、Qu=43、H1=0.99μmであった。
以上の測定値から軸対称有限要素法による数値解析を行うことで、誘電体薄膜試料の比誘電率εrと誘電正接tanδを算出した。その結果は、εr=3.3×102、tanδ=2.2×10-2であった。
この図15の構造以外にも、図16に示すように、両端面開放円筒外部導体13と端面導体14とを螺子によって接合し、トルク調整設定機能のあるドライバー等によって、端面導体14上に固定された螺子頭15を一定トルクで締め付け、誘電体薄膜試料8上に与える荷重を制御する方法が挙げられる。
また、図17に示すように、両端面開放円筒外部導体13の代わりに、中心内部導体3の挿入口を設けた片端面開放円筒外部導体1を用いてもよい。
<実施例3>
本発明の薄膜試料測定用治具である半同軸共振器型測定治具を作製し、誘電体薄膜の誘電定数を評価した。図5に、このとき用いた半同軸共振器型測定治具の構造を示す。
この構造では、実施例2のモデルを改良し、誘電体薄膜試料8上に導体バンプ16を接合した構造としている。導体バンプ16は粒子サイズが3〜7μmの銀ナノペースト(主成分:銀/熱硬化性樹脂/デカノール)を直径D1が40μm、厚さH2が50μm程度になるようにスクリーン印刷と滴下にて誘電体薄膜試料8上に塗布し、恒温大気炉にて250℃×1時間で硬化形成した。
誘電体薄膜試料8は支持基板6上に形成された導体薄膜7(材質:Pt、厚み:1.00μm)上に形成されている。
図5の構造において、両端面開放円筒外部導体13の内径D4=12mm,中心内部導体3の直径D2=0.5mm,中心内部導体3の長さH3=0.5mm,導体バンプ16の厚さH2=50μm,導体バンプ16と誘電体薄膜試料8との接合面の直径D1=40μm,誘電体薄膜試料8の直径D3=1mm,誘電体薄膜試料8の厚さH1=0.3μm(以上設計値)としている。
誘電定数の評価にあたり、まず、測定顕微鏡、マイクロメーターを用いて、半同軸共振器型測定治具の実際の寸法を評価した。その結果は、D2=0.519mm、D3=0.984mm、D4=12.028mm、H2=0.0520mm、H3=0.517mmであった。
次に、前記半同軸共振器型測定治具の導体バンプ16を接合した誘電体薄膜8の代わりに円柱状サファイア標準試料(厚み:85μm、直径:10mm、比誘電率εr:11.54、Qf:106GHz)を挿入し、共振周波数と無負荷Qを測定し、その測定値から軸対称有限要素法による数値解析を行って、円柱状サファイア標準試料と導体薄膜7とのエアーギャップ(G)と中心内部導体3の導電率(σr)を決定した。その結果は、G=4.9μm、σr=0.72%であった。
さらに、この円柱状サファイア標準試料上に図15と同様の方法にて導体バンプ(厚み:0.32mm、直径:1.1mm)を形成したものを用いて、共振周波数と無負荷Qを測定し、その測定値から軸対称有限要素法による数値解析を行って、円柱状サファイア標準試料と導体薄膜7とのエアーギャップ(G)と導体バンプ16の導電率(σr)を決定した。その結果は、G=4.1μm、σr=0.096%であった。
最後に、導体バンプを接合した誘電体薄膜試料を含む上述の半同軸共振器型測定治具により、共振周波数f0と無負荷Q(Qu)を測定し、透過電子顕微鏡を用いて、誘電体薄膜試料の厚み(H1)を測定した。その結果は、f0=1.46GHz、Qu=13、H1=0.29μmであった。
以上の測定値から軸対称有限要素法による数値解析を行うことで、誘電体薄膜試料の比誘電率εrと誘電正接tanδを算出した。その結果は、εr=8.9×102、tanδ=9.3×10-3であった。
<実施例4>
実施例として、図18に示す半同軸共振器モデルを作製し、軸対称有限要素法による解析を行った。なお、誘電体試料の厚みH1は1μm、比誘電率は100とした。
図19に、中心内部導体3の先端と誘電体試料との接触面積(A)に対する共振周波数(f)の計算結果を示す。図19より、接触面積の変化に対する共振周波数の変化は十分な傾きを持っていることがわかる。実際の測定を想定した場合、共振周波数の測定誤差は通常±1MHz程度であることから、共振周波数の測定値より、図19のチャートを用いることで接触面積を高精度に決定できることがわかる。
従って、この接触面積の計算値(A)と荷重(P)を上記式に代入すれば、誘電体試料の硬度を高精度に決定できる。
本発明の半同軸共振器型測定治具の構造を説明するための断面図である。 本発明の半同軸共振器型測定治具の他の構造を説明するための断面図である。 本発明の半同軸共振器型測定治具のさらに他の構造を説明するための断面図である。 本発明の半同軸共振器型測定治具のさらに他の構造を説明するための断面図である。 誘電定数評価に用いた本発明の半同軸共振器型測定治具の構造とその寸法の設計値を説明するための断面図である。 本発明の薄膜試料測定用治具における励振及び検波方法の一例を説明するたもの断面図である。 数値計算に用いた半同軸共振器型測定治具の構造を示す断面図である。 本発明の誘電体試料の硬度を測定する方法を説明するための断面図である。 本発明の他の誘電体試料の硬度を測定する方法を説明するための断面図である。 図7のモデルにおける誘電体薄膜の比誘電率εrに対する共振周波数の計算結果を表すグラフである。 図7のモデルにおける誘電体薄膜の誘電正接に対するQ値の計算結果を表すグラフである。 数値計算に用いた半同軸共振器型測定治具の構造を示す断面図である。 図12のモデルにおける誘電体薄膜の比誘電率εrに対する共振周波数の計算結果を表すグラフである。 図12のモデルにおける誘電体薄膜の誘電正接に対するQ値の計算結果を表すグラフである。 誘電定数評価に用いた本発明の半同軸共振器型測定治具の構造とその寸法の設計値を説明するための断面図である。 本発明の具体的な半同軸共振器型測定治具の構造を説明するための断面図である。 本発明の具体的な半同軸共振器型測定治具の構造を説明するための断面図である。 誘電体試料の硬度評価に用いた本発明の半同軸共振器型測定治具の構造とその寸法の設計値を説明するための断面図である。 接触面積と共振周波数の関係を示すグラフである。 半同軸共振器型測定治具の比較例を説明するための断面図である。 半同軸共振器型測定治具の比較例を説明するための断面図である。
符号の説明
1 片端面開放円筒外部導体
2 導体支持基板
3 中心内部導体
4 誘電体基板(試料)
5 誘電体円柱(試料)
6 支持基板
7 導体薄膜
8 誘電体薄膜(試料)
9 中心内部導体(導体線)
10 導体線支持用誘電体円柱
11a、11b 同軸ケーブル
12a、12b ループアンテナ
13 両端面開放円筒外部導体
14 端面導体
15 螺子頭
16 導体バンプ

Claims (16)

  1. 円筒外部導体と、
    前記円筒外部導体の一端面を閉じるための、取り外し可能な第1の導体と、
    前記円筒外部導体の他端面に接続された第2の導体と、
    前記第2の導体の内面に接続され、円筒の中心軸に沿って延びる中心内部導体とを備え、
    前記中心内部導体の先端は、前記円筒外部導体の一端面を構成する第1の導体に設置される誘電体薄膜に接触可能に構成され、
    前記中心内部導体の先端が先細形状であることを特徴とする半同軸共振器型測定治具。
  2. 前記中心内部導体の先端が球の一部を構成し、球の先端が誘電体薄膜に接触される請求項1記載の半同軸共振器型測定治具。
  3. 円筒外部導体と、
    前記円筒外部導体の一端面を閉じるための、取り外し可能な第1の導体と、
    前記円筒外部導体の他端面に接続された第2の導体と、
    前記第2の導体の内面に接続され、円筒の中心軸に沿って延びる中心内部導体とを備え、
    前記中心内部導体の先端は、前記円筒外部導体の一端面を構成する第1の導体に設置される誘電体薄膜に接触可能に構成され、
    前記中心内部導体の、誘電体薄膜に接触する先端面の面積が1×10-82以下であることを特徴とする半同軸共振器型測定治具。
  4. 円筒外部導体と、
    前記円筒外部導体の一端面を閉じるための、取り外し可能な第1の導体と、
    前記円筒外部導体の他端面に接続された第2の導体と、
    前記第2の導体の内面に接続され、円筒の中心軸に沿って延びる中心内部導体とを備え、
    前記中心内部導体の先端面は、前記円筒外部導体の一端面を構成する第1の導体に設置される誘電体薄膜に接触することなく、前記誘電体薄膜上に設けられる第3の導体に接触可能に構成され、
    前記中心内部導体の先端面の面積が前記第3の導体の先端面の面積より大きいことを特徴とする半同軸共振器型測定治具。
  5. 前記第3の導体の、誘電体薄膜に設けられる面積が1×10-82以下である請求項4記載の半同軸共振器型測定治具。
  6. 前記第3の導体の高さが1×10-5m以上である請求項4又は請求項5記載の半同軸共振器型測定治具。
  7. 前記第2の導体が、前記円筒外部導体に対して軸方向に挿通可能であり、前記第2の導体の重力によって、誘電体薄膜又は第3の導体を押圧可能な構成とされている請求項1から請求項6のいずれかに記載の半同軸共振器型測定治具。
  8. 前記第2の導体が、前記円筒外部導体に対して軸方向に挿通可能であり、前記第2の導体に印加される外力によって、誘電体薄膜又は第3の導体を押圧可能な構成とされている請求項1から請求項6のいずれかに記載の半同軸共振器型測定治具。
  9. 前記第2の導体が、前記円筒外部導体に対して固定されており、前記中心内部導体が前記第2の導体に対して軸方向に挿通可能であり、前記中心内部導体の重力又はそれに印加される外力によって、誘電体薄膜又は第3の導体を押圧可能な構成とされている請求項1から請求項6のいずれかに記載の半同軸共振器型測定治具。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の半同軸共振器型測定治具の第1の導体上に誘電体薄膜試料を設置し、
    誘電体薄膜試料が設置された第1の導体上に、前記第2の導体と中心内部導体とを含む円筒外部導体を被せることにより、前記誘電体薄膜試料又は誘電体薄膜試料上に設けられた第3の導体に前記中心内部導体の先端を接触させ、
    TEMモードの共振周波数と無負荷Qとを測定し、
    測定された共振周波数と無負荷Qとから、前記誘電体薄膜試料の電気的物性値を求めることを特徴とする誘電体薄膜の電気的物性値測定方法。
  11. 電気的物性値の温度依存性を求めることを特徴とする請求項10記載の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法。
  12. 電気的物性値の面内ばらつきを求めることを特徴とする請求項10記載の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法。
  13. 前記共振周波数が1GHz以上である請求項10から請求項12のいずれかに記載の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法。
  14. 前記誘電体薄膜試料の厚みが1×10-5m以下である請求項10から請求項13のいずれかに記載の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法。
  15. 前記電気的物性値が誘電体薄膜の比誘電率及び誘電正接である請求項10から請求項14のいずれかに記載の誘電体薄膜の電気的物性値測定方法。
  16. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の半同軸共振器型測定治具の第1の導体上に誘電体薄膜試料を設置し、
    誘電体薄膜試料が設置された第1の導体上に、前記第2の導体と中心内部導体とを含む円筒外部導体を被せることにより、前記誘電体薄膜試料に前記中心内部導体の先端を接触させ、
    TEMモードの共振周波数を測定し、該共振周波数から前記中心内部導体の先端と前記誘電体薄膜試料との接触面積(A)を求め、該接触面積(A)及び前記中心内部導体によって前記誘電体薄膜試料に印加される荷重(P)から、前記誘電体薄膜試料の硬度(H)を、H=P/Aにより求めることを特徴とする誘電体薄膜の硬度測定方法。
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