JP2005197484A - 露光装置、露光方法及び該露光装置を使用したデバイスの製造方法 - Google Patents

露光装置、露光方法及び該露光装置を使用したデバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 メンテナンス、停電等の後の運転再開までの時間を短縮して、停止時間を可及的に短くすることが出来る露光装置及び露光方法を提供すること。
【解決手段】 露光装置精度判定機40に、温度センサ30、レチクル顕微鏡15、干渉計17、センサ18、ウエハアライメント顕微鏡19、流量計F及びキーボードKから情報が送れる。キーボードKからは環境チャンバ20の開口部23の開き時間、位置、開放時における作業内容、開放時における環境チャンバ20の外の空気の温度、或いは環境チャンバ20の運転停止時間等の外乱情報が送られる。露光装置精度判定機40は、これら情報や予めメモリにストアした各種データ等に基づいて、露光動作の停止、補正動作を伴った露光動作又は通常の露光動作の何れかを選択して、露光動作制御器50に制御信号を送る。露光動作制御器50は、露光装置精度判定機40からの制御信号に基づいて露光装置10の動作を制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、メンテナンスのためにチャンバを開放したり、或いはチャンバの空調設備の故障が生じたりした場合等において、露光運転可能な状態に復帰するまでの時間を明確にした上で、該復帰時間を可及的に早くするようにした、半導体基板、液晶基板等に微細な回路パターン等を露光転写するための露光装置、露光方法及び該露光装置を使用したデバイスの製造方法に関する。
半導体デバイスや液晶表示デバイスを、リソグラフィ技術を用いて製造する際には、パターンが形成されたマスクとしてのレチクルに露光用照明光(露光光)を照射し、このレチクルのパターンの像を、投影光学系を介してフォトレジスト等の感光剤が塗布された半導体ウエハやガラステンプレート等の感光性基板上に投影露光する露光装置が使用されている。
この種の露光装置では、レチクルのパターンを半導体ウエハやガラステンプレート等の感光性基板上に投影露光する際の結像性能、及び複数の異なるレチクル上に描かれた各パターンを感光性基板上に順次重ね合わせて露光転写する際の重ね合わせ性能等について、非常に高精度のものが要求されており、温度制御系により空気温度が±0.1℃程度に管理された環境(空調)チャンバ内に設置されている。また、更に精度が要求される投影光学系、レーザ干渉計光路等では0.01℃レベルのより高度な温度管理がなされている。例えば、投影光学系の周囲に高精度に温度調整された流体を流して投影光学系の温度管理がなされている。
上述した温度制御系が通常通り機能している場合には所要の精度を満たすことが可能である。しかし、露光装置自体或いは露光装置が設置されている工場のメンテナンスで空調チャンバの扉を開放したり、或いは停電、装置のエラー復帰等で空調チャンバそのものが運転停止したりする等の場合がある。このような場合、温度制御系が復帰しても露光装置自体の温度は直ぐに復帰せず、所要の精度が得られない状態が長時間続く。例えばメンテナンスのために空調チャンバの扉を1日開放すると、復帰するのに、その後数日位かかることがある。近年、露光装置が大型化して露光装置の熱容量が増えていることや、露光装置の精度が厳しくなってより温度が安定しないと使用出来ないこと等により、温度制御系が復帰した後、実際に露光装置が運転できるまで長時間かかり、装置の稼働率が下がることが指摘されている。また、露光装置が何時安定状態に復帰したかが明確に分からないため、余裕をもって安定状態に復帰するまで待機する必要があり、さらに時間がかかることが指摘されている。
例えば、露光装置上部にアクセスするために、空調チャンバ側壁の中間高さ位置に設けられた開口部の扉を開けてメンテナンス作業等を行う場合、空調チャンバの天井部分に設けた吹き出し口から空調チャンバ内に送り込まれた空調空気が該開口部から外に流れ出てしまい、開口部よりも下の空間に空調された空気が行き渡らない上に、開口部から温度調整されていない外気が空調チャンバ内に流れ込んで、空調チャンバ内の温度バランスが崩れ、これにより空調チャンバ内で投影光学系を支えている支持ボディの温度が変化して、投影光学系に影響を及ぼし、投影光学系に温調部を装備しているにもかかわらず、投影光学系の温度が僅かではあるが変化してしまう事態が生じる。また、投影光学系の温度が変化すること等により、支持ボディに投影光学系と共に支持されているアライメント顕微鏡の光軸と投影光学系の光軸との間の距離も変化して、重ね合わせ精度も悪化してしまう事態が生じる。さらに、ウエハステージに配置された、ウエハステージの位置検出のための移動鏡自体の温度変化或いは移動鏡をウエハステージに取り付けるための取り付け部材の温度変化等で移動鏡が変形して、ウエハステージの位置計測が正確に行えなくなる事態が生じる。支持ボディや投影光学系は金属、ガラスの塊であり、熱容量が大きく、一旦温度が変化すると、元に戻るまでに時間がかかる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、メンテナンス、停電等の後の運転再開までの時間を短縮して、停止時間を可及的に短くすることが出来る露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。
また、メンテナンス、停電等の後の運転再開までの時間を短縮し、停止時間を可及的に短くすることが出来る露光装置を使用して、生産効率を向上させたデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する、本発明の請求項1に記載の露光装置は、マスクに形成されたパターンを、投影光学系を介して基板に露光転写する露光装置において、該露光装置の性能に変化を及ぼす外乱の情報と、該外乱により変化した前記露光装置の性能情報との少なくとも一方を検知する検知手段15,15,17,18,19,30,Fと、該検知手段の検知結果に基づいて、露光動作の実行と、前記変化した性能を補正する補正動作を伴った露光動作の実行と、露光動作の停止との何れか1つを選択し実行内容を決定する決定手段40と、該決定手段の決定に基づいて、露光動作を制御する露光動作制御手段50と、を有することを特徴とすることを特徴とする。
前記検知手段によって検知されるこれら情報のうち、前記外乱の情報としては、前記露光装置が開閉可能な扉24を有する環境チャンバ20内に収納されている場合の、該扉24の開放箇所と、該扉の開放時間と、前記環境チャンバの運転停止時間(請求項4)等がある。また、前記露光装置の性能情報としては、前記露光装置を構成する構成部材の温度と、前記露光装置が収納されている環境チャンバ20内の温度(請求項2)、前記投影光学系14の結像特性(請求項5)、前記マスクと前記位置計測装置19との相対的位置関係(請求項6)、前記露光装置の温度を制御する温調流体の温度と流量(請求項7)等がある。
また、前記構成部材としては、前記投影光学系14と、前記基板の位置を計測する位置計測装置15、16、17、19との何れか一方を含む(請求項3)。
また、前記決定手段が、前記検知結果に基づいて、露光動作の実行に必要な露光精度を維持するための前記補正動作の実施間隔を決定する場合、前記露光動作制御手段が、前記実施間隔に従って前記補正動作をしながら露光動作を実行する(請求項8)。また、前記決定手段が、前記検知結果に基づいて、露光動作の実行に必要な露光精度が回復するまでの待機時間を決定する場合、前記露光動作制御手段が、前記待機時間が経過するまで露光動作を停止する(請求項9)。また、前記決定手段が、前記検知結果に基づいて、前記露光装置の状態変化を予測する予測手段を備える場合、該予測手段の予測結果に基づいて前記補正動作の実施間隔または前記待機時間を決定する(請求項10)。また、前記決定手段が、予め記憶された前記パターンに関するパターン情報に基づいて露光動作を決定する(請求項11)。また、前記決定手段が、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記露光装置の初期化の実行を決定する(請求項12)。
また、上記目的を達成する、本発明の請求項13に記載の露光方法は、マスクに形成されたパターンを、投影光学系を介して基板に露光転写する露光方法において、前記露光装置の性能に変化を及ぼす外乱の情報と、該外乱により変化した前記露光装置の性能情報との少なくとも一方を検知する第1工程と、前記第1工程で得られた検知結果に基づいて、露光動作の実行と、補正動作を伴った露光動作の実行と、露光動作の停止との何れか1つを選択して実行する第2工程とを有することを特徴とする。
前記第1工程において、検知される情報のうち、前記外乱の情報としては、前記露光装置が開閉可能な扉を有する環境チャンバ内に収納されている場合、該扉の開放箇所と、開放時間と、前記環境チャンバの運転停止時間(請求項15)等があり、また前記露光装置の性能情報としては、前記露光装置を構成する構成部材の温度と、前記露光装置が収納されている環境チャンバ内の温度(請求項14)、前記投影光学系の結像特性(請求項16)、前記マスクと前記基板との相対位置関係を計測する位置計測装置の前記投影光学系に対する位置(請求項17)等がある。
前記第2工程において、前記検知結果に基づいて、露光動作の実行に必要な露光精度を維持するための前記補正動作の実施間隔を決定する場合、該実施間隔に従って前記補正動作を実施しながら露光動作を実行する(請求項18)。また、前記第2工程において、前記検知結果に基づいて、露光動作の実行に必要な露光精度が回復するまでの待機時間を決定する場合、該待機時間が経過するまで露光動作を停止する(請求項19)。また、前記第2工程において、前記検知結果に基づいて、前記露光装置の状態変化を予測する予測ステップを有する場合、該予測ステップでの予測結果に基づいて前記補正動作の実施間隔または前記待機時間を決定する決定ステップを有する(請求項20)。
また、上記目的を達成する、本発明の請求項21に記載のデバイスの製造方法は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、前記リソグラフィ工程において請求項1から12の何れか一項に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とする。
本発明の露光装置、露光方法によれば、露光装置の性能に変化を及ぼす外乱の情報と、該外乱により変化した露光装置の性能情報との少なくとも一方を検知し、この検知結果に基づいて、露光動作の実行と、変化した性能を補正する補正動作を伴った露光動作の実行と、露光動作の停止との何れか1つを選択して露光動作を制御するようにしてあるので、例えばメンテナンス、停電などがあって環境チャンバ内の温度が変化した場合であっても、露光運転可能な状態に復帰するまでの時間を明確にした上で、露光運転が再開されるまでの露光停止時間を可及的に短くすることが可能で、従来の如く露光運転を停止させて長時間待機させる必要がなくなり、生産性を向上させることが可能である。
また、本発明のデバイスの製造方法によれば、リソグラフィ工程において本発明に係る露光装置を使用するので、メンテナンス、停電等の後、露光運転可能な状態に復帰するまでの時間を明確にした上で、露光運転が再開されるまでの露光運転停止時間を可及的に短くすることが可能で、生産効率を向上させることが可能である。
以下本発明の露光装置、露光方法及びデバイスの製造方法の実施形態について図1乃至図9を参照して説明する。
図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す全体構成図、図2は図1の露光装置に装備される、本発明の特徴部分である、検知手段としての各種センサ、決定手段としての露光装置精度判定機及び露光動作制御手段としての露光動作制御器等を示すブロック図、図3は図1の露光装置の精度変化特性を実験的に求める方法を説明する説明図、図4は図1の露光装置に装備された移動鏡の変形量を計測する方法を説明する説明図、図5は温度変化と図1の露光装置の露光動作との関係を説明する説明図、図6は図1の露光装置の精度変化の一例(投影光学系の倍率の変化)を説明する説明図、図7は温調部の温度制御内容を説明する説明図、図8は図7の制御内容で運転される温調部により温度調整された投影光学系14のレンズ内部の温度変化を説明する説明図、図9は本発明のデバイスの製造方法の一実施態様を示すフローチャートである。
まず、図1を参照して本実施形態の投影露光装置の概略を説明する。
本実施形態の投影露光装置10は、その主要部分11である照明光学系12、該照明光学系12の下方で支持ボディ13により支持された投影光学系14、照明光学系12と投影光学系14との間に配置され、レチクルRを搭載したレチクルステージRST、及び投影光学系14の下方に配置され、ウエハWを搭載したウエハステージWST等が、温度、清浄度等の環境が略一定に維持された環境チャンバ20内に配置されている。
環境チャンバ20の天井部分には、空気吹き出し口21が装備されていて、不図示のフィルタによりパーティクルや有機物、酸化物等が除去された後、不図示の空調機により例えば温度が±0.1℃に空調された空気が該空気吹き出し口21から環境チャンバ20内に送られ、主要部分11の温度を一定に維持している。環境チャンバ20の床部分には空気回収口22が配置されていて、該環境チャンバ20内の空気を回収する。回収された空気は、主要部分11で発生した脱ガスに起因する不純物、ウエハに塗布されたフォトレジストから発生した有機物等の不純物が除去され、温度を調整した後、再度空気吹き出し口21から環境チャンバ20内に送られる。環境チャンバ20の側壁には、開口部23が配置され、該開口部23に開閉扉24が取り付けられている。この開閉扉24は、通常閉じられていて、メンテナンス等で露光装置10の主要部分11にアクセスする際等に開かれる。
不図示の光源から照明光学系12を介して調整された露光光としての紫外線が、レチクルステージRST上に吸着保持されたレチクルRに照射され、該レチクルRに形成した半導体回路パターン等のパターンが、投影光学系14を介してウエハステージWST上に吸着保持されたウエハWに露光転写される。この露光転写に際し、レチクルステージRSTとウエハステージWSTによってレチクルRとウエハWを紫外線に対し互いに同期スキャンさせながらレチクルRに形成されたパターンをウエハWに塗布されたフォトレジストに露光転写している。
複数枚のレチクルRに形成された各パターンをウエハW上に正確に重ね合わせて順次露光転写するために、レチクルステージRST上には、不図示の移動鏡が配置されていて、該移動鏡に対し不図示の干渉計からレーザ光を送り、該移動鏡により反射された該レーザ光を検知することでレチクルステージRSTの位置を計測している。
また、レチクルR上にはレチクルアライメント顕微鏡15が配置されていて、レチクルRに形成されたアライメントマーク(基準マーク)とウエハステージWST上のアライメントマーク(基準マーク)とを検知して、レチクルRのパターンの結像位置を計測している。
ウエハステージWST上には移動鏡16が配置されていて、該移動鏡16に対し干渉計17からレーザ光を送り、移動鏡16によって反射されたレーザ光を検知することでウエハステージWの位置を計測している。
また、ウエハステージWST上には投影光学系14の結像特性を測定するためのセンサ18が配置されている。このセンサ18は、例えばスリットと受光素子とから構成されていて、レチクルR上に形成されたテストパターンを、該スリットを介して受光し、該受光素子により検知している。この検知に際し、テストパターンとスリット(レチクルステージRSTとウエハステージWST)とを相対的にスキャンさせながら受光素子によりテストパターンを受光することで、パターンの結像位置、コントラストを求めている。パターンの結像位置計測により、投影光学系14の倍率変化、ディストーション変化の計測が可能となり、またウエハステージWSTの光軸方向の位置を変えてコントラストを計測することにより焦点位置、像面等を計測することが可能である。
支持ボディ13の投影光学系14の側方位置にはウエハアライメント系を構成するウエハアライメント顕微鏡19が配置されている。このウエハアライメント顕微鏡19によってウエハWに形成されたアライメントマークを検知して、該アライメントマークの位置を計測している。このウエハアライメント顕微鏡19と上述したレチクルアライメント顕微鏡15とにより、レチクルRの中心とウエハアライメント系の計測中心との間の距離(ベースライン)を計測している。
投影光学系14は、収差が高精度で調整されていて、微細なパターンを精度良く露光できるように調整されているが、温度の僅かな変化があると、それを構成しているガラス部材や支持ボディ13の金属の温度が変化して、高精度の結像性能が失われてしまう。このため、投影光学系14の周囲には温調部Hが配置されていて、該温調部Hに例えば温度調整された水或いはフロリナート等の温調流体(温度調整媒体)を供給して、投影光学系14を例えば0.01℃のレベルで温度調整している。この温調流体を温調部Hに送る配管Pには、該温調流体の流量を計測する流量計Fが配置されている(図2参照)。
上述したレチクルステージRST、投影光学系14、ウエハアライメント顕微鏡19及びウエハステージWSTにはそれぞれ温度センサ30が配置され、それぞれの部位での温度を検知している。
投影光学系14では、レンズ上面、支持ボディ13との接続部、レンズ下面においてそれぞれ周方向に適宜間隔で複数の温度センサ30が配置されていて、それぞれの部分で温度を検知できるようにしてある。これは、投影光学系14の鏡筒の径方向において非対称な温度分布が発生すると、これが原因となって非対称な収差が発生するので、温度分布を検知してこれに対処出来るようにするためである。
レチクルステージRSTに温度センサ30を配置したのは次の理由による。レチクルステージRSTが温度変化を受けて膨張、収縮すると、不図示の移動鏡とレチクルRとの間の距離が変動して、レチクルRのパターンと該パターンが露光転写されるウエハW上のショット領域との重ね合わせ誤差が生じるので、レチクルステージRSTの温度変化を検知してこれに対処出来るようにするためである。
ウエハステージWSTに温度センサ30を配置したのも同じ理由である。ウエハステージWSTが温度変化を受けて膨張、収縮すると、移動鏡16とウエハWとの間の距離が変動して、レチクルRのパターンと該パターンが露光転写されるウエハW上のショット領域との重ね合わせ誤差が生じるので、ウエハステージWSTの温度変化を検知してこれに対処出来るようにするためである。
ウエハアライメント顕微鏡19に温度センサ30を配置したのは次の理由による。ウエハアライメント顕微鏡19が温度変化を受けると、ウエハアライメントマーク(基準マーク)を検出する際の基準となる、ウエハアライメント系の指標GMの位置が変化する可能性がある。この指標GMの位置が変化すると、これを基準として計測されるベースラインやウエハW上の各ショット領域の位置の計測結果に誤差が含まれ、結果的にレチクルRのパターンと該パターンが露光転写されるウエハW上のショット領域との重ね合わせ誤差が生じるので、ウエハアライメント顕微鏡の温度変化を検知してこれに対処出来るようにするためである。
なお、レチクルアライメント顕微鏡15にも温度センサ30を配置してもよい。レチクルアライメント顕微鏡15が温度変化を受けるとレチクルRの位置検出結果に検出誤差が生じてパターンの転写誤差につながるので、レチクルアライメント顕微鏡15の温度変化を検知してこれに対処できるようにする。
また、環境チャンバ20内の温度変化によって、レチクルRのパターンと該パターンが露光転写されるウエハW上のショット領域との重ね合わせ誤差が生じるので、これに対処出来るようにするために、環境チャンバ20内にも温度センサ30を配置してもよい。
次に、図2を参照して本発明の特徴部分である、検知手段としての各種センサ、決定手段としての露光装置精度判定機40及び露光動作制御手段としての露光動作制御器50等の実施態様について説明する。
上述した、温度センサ30、レチクルアライメント顕微鏡15、干渉計17、センサ18、ウエハアライメント顕微鏡19、流量計F等のそれぞれが、露光装置10の精度(性能)に変化を及ぼす外乱によって変化した露光装置10の精度(性能)情報を検知する検知手段であり、これら各種センサで検知した情報が決定手段としての露光装置精度判定機40に送られる。
露光装置精度判定機40には、キーボードKが接続されていて、該キーボードKを介して環境チャンバ20の開口部23の開放時間(開閉扉24の開き時間)、開口部23の位置、開口部23の開放時における作業内容、開口部23の開放時における環境チャンバ20の外の空気の温度、或いは環境チャンバ20の運転停止時間のような、露光装置10の精度(性能)に変化を及ぼす外乱情報が送られる。
キーボードKも温度センサ等と同様に露光装置10の情報を露光装置精度判定機40に送る働きをするので、検知手段の一種とみなすことが出来るが、このキーボードKを介して送られる、環境チャンバ20の開口部23の開放時間(開閉扉24の開き時間)、開口部23の位置、開口部23の開放時における作業内容、開口部23の開放時における環境チャンバ20の外の空気の温度、或いは環境チャンバ20の運転停止時間等の外乱の情報と、これによって生じる露光装置10の精度(性能)変化との関係は、露光装置10によって変わるので、これら開放時間等の情報と露光装置10の精度(性能)変化との関係を示すデータを予め実験的に採取しておく必要がある。また、どの程度時間が経過すれば露光装置10の精度が復帰して露光運転可能になるかのデータも予め実験的に採取しておく必要がある。これら実験的に採取したデータを露光装置精度判定機40のメモリにストア(記憶)しておけば、キーボードKで開放時間等を打ち込むことにより、露光装置精度判定機40でメモリにストア(記憶)されたデータを呼び出してこれとキーボードKから打ち込まれた開口時間等の情報とを比較し、露光運転可能か否かを判断し、また外乱後における露光装置10の精度の変化量(状態経過)、復帰時間等を演算して求めることが出来る。この演算値は復帰時間(待機時間)等を予測するのに利用される。
データを採取する場合には次の点に留意する必要がある。例えば、開口部23の位置によって影響を受ける露光装置10の部位が異なるため、開口部23が複数ある場合にはそれぞれの開口部23においてデータを実験的に採取しておく必要がある。環境チャンバ20の、何れかの箇所の開口部23の開閉扉24を開くと、投影光学系14のレンズのディストーション(distortion)が、例えば図3に示すように変化する。開閉扉24を開いた時点でレンズのディストーションが急激に大きく変化し、時間の経過に伴ってその変化は緩やかになる。開閉扉24を閉じると、閉じた直後はレンズのディストーションが急激に減少し、時間の経過とともに緩やかに減少する。この実験的に求めたレンズのディストーションの変化曲線から例えば関数でフッテイング(fitting)を行い、数式で投影光学系14のレンズのディストーション特性を露光装置精度判定機40のメモリにストアしておく。これにより、メンテナンス作業により作業者が開閉扉24を開いたとき、開放時間等の情報をキーボードKで打ち込めば、この情報は露光装置精度判定機40に送られ、メモリにストアされた上記数式データから外乱後における露光装置10の精度の変化量(状態変化)、露光運転可能な精度に復帰するまでの時間等が演算される。この演算値も外乱後における露光装置10の精度の変化量(状態変化)、露光運転可能な精度に復帰するまでの時間等を予測するのに利用される。
また、環境チャンバ20内の空気の温度と環境チャンバ20の外(クリーンルーム)の外気の温度との差も露光装置精度判定機40のメモリにストアする重要なデータである。環境チャンバ20内の温度は略一定であるが、クリーンルーム内の温度は環境チャンバ20内のように精度良く制御されておらず、露光装置10の設置工場、場所等により異なる。このクリーンルーム内の温度をデータとして露光装置精度判定機40のメモリにストアしておくと、より精度の良い演算を行うことが可能である。作業内容によって環境チャンバ20の開放箇所、開放時間が決まってきる場合は、作業内容と復帰時間との組み合わせでデータとして露光装置精度判定機40のメモリに予めストアしておいてもよい。
なお、キーボードKで入力する代わりに開閉扉24にセンサ等を配置してもよい。この場合、例えば開閉扉24が開かれると、これをセンサが検知して時間のカウントをスタートし、開閉扉24が閉じられたとき、時間のカウントを停止して、環境チャンバ20のどの箇所にある開閉扉24がどの位の時間開かれたかの情報を露光装置精度判定機40に送る。
温度センサ30は、上述したように露光装置10の精度(性能)に影響を及ぼす重要な部位に設置されており、これらの部位の温度を直接計測しているが、温度変化から直接的に露光装置10の精度変化を知ることが出来ないので、温度と装置精度との関係を示すデータを予め実験的に求めておいて、露光装置精度判定機40のメモリにストアしておく必要がある。この場合、環境チャンバ20の温空調機の設定温度を変化させて、各設定温度での温度と装置精度との関係を示すデータを採取して行う。実際、装置精度が露光運転可能か否かは全ての温度センサ30の出力が装置精度を保証する基準値を下回っているか否かで判断される。このデータも露光動作の実行に必要な露光精度が回復するまでの待機時間等の予測に利用される。
なお、温度センサ30は、上述した部位に配置される他に、例えば空気吹き出し口21に配置して、該空気吹き出し口21から吹き出される空気の温度を検知したり、配管Pに配置して温調部Hに供給する温度調整媒体の温度を検知したりするようにしてもよい。また、温度を高精度で制御する必要がある、干渉計17の光路付近の空気温度を検知してもよい。更に、照明光学系12、レチクルステージRST、支持ボディ13、ウエハステージWST等を支持し、露光装置10の骨格を形成する支持台(不図示)に温度センサ30を配置し、支持台の温度分布変化を検知してもよい。
温度センサ30と異なり、レチクル顕微鏡15、干渉計17、センサ18及びウエハアライメント顕微鏡19等は、直接的に露光装置10の装置精度を計測するもので、露光装置10が露光運転可能な装置精度を有しているか否かの判断(露光運転に復帰できるか否か)には最適である。しかし、実際の露光運転時での異常の発見には原因となる部位の温度変化を常時観察している温度センサ30の方が優れており、また精度の変化が複数の原因で発生する場合、単調に収束せず、変曲点が存在することがあるので、温度センサ30で検知した温度変化と合わせて装置精度を判断することが好ましい。
温度変化により移動鏡16が変形した場合、ウエハステージWSTの位置を正確に計測できないので、移動鏡16の変形度合いを計測しておく必要がある。また、この変形は精度情報となり、所定の装置精度が確保されているか否かの判断基準となる。この移動鏡16の変形度合いの計測には、例えば図4に示すように、干渉計17から2本の平行なレーザ光を移動鏡16に向けて照射し、該移動鏡16で反射したレーザ光を受光して両レーザ光の差分を計測しながら、移動鏡16を2本の平行なレーザ光の間隔分だけ図4の矢印方向に移動させて行う。これにより、2本の平行なレーザ光の間隔での傾斜(微分値)が計測でき、これを積分することで移動鏡16の変形度合いを計測することが出来る。移動鏡16の変形度合いを定期的に計測することにより露光装置10の安定度(露光装置10の精度が露光運転可能な状態にあるか否か)を知ることが出来るので、この計測情報は露光装置精度判定機40に送られて、露光装置10の精度が復帰したか否かの判断に利用される。
流量計Fは、温調部Hに送られる温度調整媒体の流量を計測し、この計測結果を露光装置精度判定機40に送っている。この流量の計測結果は温度制御系の温調能力の異常の有無を判断するのに使用される。異常が起きているより近いところで異常を見出すもので、メンテナンス等で露光装置10が露光運転可能な状態に復帰したか否かを判断するのに使用されるよりも、通常運転時において異常を早期発見するのに利用される。温度センサ30によって投影光学系14の温度を検知しているが、この温度センサ30だけでは温調部Hに送られる温度調整媒体の流量が減っても温度制御が行われていれば異常事態が生じていることが分からない場合がある。温度調整媒体の流量を計測(モニター)し、これが規定値を下回る場合に警告を露光装置精度判定機40に送ることで、温度制御系が不能になる前に異常を発見することが出来る。
なお、温度制御系の温調能力の異常をモニターする対象としては、上述した温度調整媒体の流量の他に、レチクルステージRST、ウエハステージWSTのステージ駆動用モータの冷却用流体の流量や環境チャンバ20の吹き出し口21への送風量等があり、これらの流量計の計測結果を露光装置精度判定機40に送るようにしてもよい。また、流量の他に、例えば温調部Hに送る温度調整媒体の温度、或いは温空調機のヒータの出力、冷却水温度、冷凍機圧力等をモニターしてもよい。
露光装置精度判定機40には、上述したように温度センサ30、レチクル顕微鏡15、干渉計17、センサ18、ウエハアライメント顕微鏡19、流量計F及びキーボードKから情報が送れている。露光装置精度判定機40は、これら情報や予めメモリにストアした各種データ等に基づいて、露光動作(露光運転)の停止、補正動作(キャリブレーション動作 calibration)を伴った露光動作(露光運転)又は通常の露光動作(露光運転)の何れかを選択して、露光動作制御器50に制御信号を送る。また、必要に応じて露光装置10の初期化の実行も決定する。また、露光装置精度判定機40は、温度センサ30等の情報や予めメモリにストアされた各種データ等に基づいて露光動作の実行に必要な露光精度が回復するまでの待機時間や補正動作の実施間隔等を予測する予測手段を備え、露光動作制御器50に制御信号を送る。露光動作制御器50は、露光装置精度判定機40からの制御信号に基づいて露光装置10の動作を制御する。
露光動作を停止する場合としては、温度が定常状態から大きくずれていて、補正動作を行っても装置精度が得られない(補正しきれない)場合、温度の変化が速く、補正動作を行っても直ぐに崩れて露光動作が行えない場合、露光動作を行うと不良品を大量に生み出してしまう場合等がある。
補正しきれない場合としては、例えば投影光学系14の非対称な収差が変化してしまい、露光装置10に搭載されている補正機構では補正出来ない場合や、倍率等の補正可能な変化であっても、その変化量が大きく、補正機構のストロークではまかないきれない場合等がある。
補正動作を伴った露光動作をする場合としては、温度等が定常状態に近づいていて、補正動作の頻度を通常の露光動作の場合よりも多くした場合である。通常の露光動作に比してスループット(through-put)が劣るが、何もしないで待機するよりは少しでも生産が可能で、結果として復帰時間が早くなったのと同じ効果が得られる。安定状態に復帰するまでの復帰時間は短縮されないが、露光運転再開までの時間が短くなり、結果的に復帰時間が短縮されたのと同様の効果が得られる。
補正動作の頻度(補正動作の間隔)は、例えば5分に1回のレベルから10分に1回のレベルに、更に20分に1回のレベルにと何段階かに分けることが可能であり、露光装置精度判定機40はこの補正動作の頻度を設定する。
通常の露光動作をする場合としては、温度が定常状態に戻り、通常通り露光動作が可能な場合である。
次に、図5を参照して温度センサ30で検知された所定部位の温度変化と露光装置10の露光動作との関係について説明する。
装置精度が得られる安定状態の温度をT0、補正動作を伴うことによって露光動作が可能になる温度をT1、温度T1よりも温度T0に近く、補正動作を伴わなくても露光動作が可能な温度をT2とする。温度T0は、例えば露光装置10の据え付け作業の最終的な精度確認検査時の値であり、これは検査時にメモリにストアされており、これを基準値として設定しておく。
時刻t0でメンテナンスを開始すると(例えば環境チャンバ20の開閉扉24を開くと)、温度がT0から急激に上昇する。時刻t1でメンテナンス作業が終了すると(例えば環境チャンバ20の開閉扉24を閉じると)、温度が下がり、露光可能な状態に向けて復帰し始める。時刻t1では温度がT1よりも高く、温度センサ30からの計測結果を受け取った露光装置精度判定機40では露光動作の停止を選択して、露光動作制御器50に制御信号を送る。このとき、オペレータに露光装置10が露光停止(禁止)状態にあることを知らせる(警告する)ように、指令信号を露光装置精度判定機40から露光動作制御器50に制御信号とともに送る。
温度センサ30により露光装置10の所定の部位の温度がモニターされており、時刻t2で温度がT1を下回ると、露光装置精度判定機40は補正動作を伴った露光動作が可能と判断し、露光動作制御器50に制御信号を送る。時刻t1から時刻t2迄は待機時間であり、時刻t2以降からは補正動作が伴うものの、露光動作時間である。補正動作としては、例えば投影光学系14の焦点位置、倍率等を計測してこれを較正したり、或いはベースラインを計測してベースライン量を設定し直したりすることである。補正動作の頻度は時間の経過に伴って少なくすることができ、スループットへの影響を小さくすることが出来る。
時刻t3を過ぎると、温度がT2を下回るようになり、露光装置精度判定機40は露光動作が可能と判断して、露光動作制御器50に制御信号を送る。このとき、露光装置精度判定機40は、露光装置10の初期化動作の実行指令を露光動作制御器50に送ってもよい。これは、露光装置10の温度が一度大きく変化してしまうと、露光装置10の各可動部の原点位置がずれている場合があり、このまま動作を続けると可動ストローク(補正ストローク)が足りなくなるおそれがあるためである。そこで、通常状態に復帰した時に一旦露光装置10の初期化を行うことにより、完全に正常な状態で露光動作を行うことができる。なお、時刻t3経過時に露光装置10の初期化を行うかどうかは、温度変化量やt0からt3までの経過時間などに応じて露光装置精度判定機40が決定する。
このように温度センサ30で露光装置10の所定の部位の温度をモニターして、この情報を露光装置精度判定機40に送り、露光動作の停止、補正動作を伴った露光動作又は通常の露光動作の何れかを選択して、露光動作制御器50に制御信号を送るようにしているので、復帰の判断が明確で、露光動作が再開されるまでの露光動作を停止させておく時間を可及的に短縮することが可能である。
上述した図5に示す例では露光装置10の何れかの部位に配置された1つの温度センサ30の出力に基づき露光装置精度判定機40で露光動作等を判断した場合を示したが、露光装置10に配置されている全ての温度センサ30の出力に基づいて判断することにより、より正確な判断が行える。また、基準値である温度T0との差分で判断している場合を示したが、温度の変化率から判断してもよい。例えば、補正動作を伴った露光動作が行えるか否かの判断は、温度の変化速度が遅くなって補正動作である程度の時間精度が保てるかを見る必要があることから、温度の変化率も重要な判断要素となる。
また、露光装置の停止又はキャリブレーションの実行を伴う露光装置の復帰に際し、画面表示等でオペレータに警告を発するか、或いはネットワークを通じてホストコンピュータにキャリブレーション間隔、復帰予定時間等を通知するようにしてもよい。
キーボードKを介して露光装置精度判定機40に送られる、環境チャンバ20の開口部23の開放時間(開閉扉24の開き時間)、開口部23の位置、開口部23の開放時における作業内容、開口部23の開放時における環境チャンバ20の外の空気の温度、或いは環境チャンバ20の運転停止時間等の情報については、予め露光装置10の性能変化との関係を示すデータがストアされているので、メンテナンス作業終了後、開放時間等からどの程度の時間が経過するまで露光動作を停止しなければならないか、どの程度の時間が経過すれば、露光動作停止から補正動作を伴う露光動作に入れるか、また通常の露光動作に入れるかを予測することができ、同様に復帰の判断が明確で、露光動作が再開されるまでの露光動作を停止させておく時間を可及的に短縮することが可能である。
レチクル顕微鏡15、干渉計17、センサ18及びウエハアライメント顕微鏡19等から露光装置精度判定機40に送られる計測情報は、直接的に露光装置10の装置精度に関係するものであるが、計測値そのものではなく、計測値の変化速度(変化率)で露光動作の停止、補正動作を伴った露光動作又は通常の露光動作を判断することが好ましい。特に、ベースラインなど微妙(敏感)に変化する計測値については、露光装置10が定常状態に戻ったとしても元の値に復帰する保証がないので、その変化率が通常の補正間隔において問題がなければ(通常の露光動作中に行われる、補正動作間での変化率から外れていなければ)露光動作可能と判断される。
しかし、計測値が複数の原因の組み合わせで変化する場合、例えば図6に示す投影光学系14の倍率の場合には、図5に示す温度の変化とは異なり、単調に変化するとは限らない。図6の時刻t4でメンテナンス作業が終了して、時刻t5で倍率の変化率をみると、ゼロになっているので、復帰したものと誤解されるおそれがあるが、時刻t6まで待機する必要がある。このような誤解を回避するためには、温度センサ30の計測値と合わせて判断することが好ましい。
流量計Fから露光装置精度判定機40に送られる計測情報は、上述した温度センサ30等とは異なり、露光装置10の異常をモニターするのに利用される。この計測情報から露光装置10が異常の状態或いは異常に近づいている状態にあることと判断されたら、露光装置精度判定機40は露光動作の停止の制御信号或いは補正動作を伴う露光動作の制御信号を露光動作制御器50に送る。
上述したように本実施形態の露光装置10は、露光装置精度判定機40と露光動作制御器50を装備してあるので、例えばメンテナンス、停電などがあって環境チャンバ20内の温度が変化した場合であっても、露光運転可能な状態に復帰するまでの時間を明確にした上で、露光運転が再開されるまでの露光停止時間を可及的に短くすることが可能で、従来の如く露光運転を停止させて長時間待機させる必要がなくなり、生産性を向上させることが可能である。
また、露光動作の停止又は通常の露光動作だけで補正動作がなくても復帰の判定が明確になり、安全をみて余分に待機することがなくなり、復帰時間が早くなったのと同じ効果が得られる。
なお、露光装置精度判定機40に、レチクルRに形成されたパターンの精度情報をメモリにストアしておき、このパターン精度情報に基づいて露光動作等を判断するようにしてもよい。例えば、精度をそれ程要求されないパターンを露光転写する場合にあっては、露光動作や補正動作を伴う露光動作が可能と判断し、また精度要求が厳しいパターンを露光転写する場合にあっては露光動作の停止と判断するようにしてもよく、このようにすることにより不良品を生産するおそれなく、待機時間を可及的に短くすることが可能である。
また、上述した温度センサ30やレチクル顕微鏡15、干渉計17、センサ18及びウエハアライメント顕微鏡19からの計測情報は、メンテナンス作業終了後の復帰だけの場合だけではなく、常時露光装置精度判定機40に送られて、露光装置10をモニターするのにも利用される。
また、露光装置精度判定機40により通常の露光動作から補正動作を伴った露光動作に移行すると判断された後、通常動作に移行するまでの時間(図5におけるt2からt3までの時間)が予想値よりも長い場合、あるいは補正動作によって得られた補正値が異常であった場合には、露光装置10の何れかの箇所に異常が発生しているおそれがあるので、露光装置10の修理を行うため、露光動作を停止する制御信号を露光動作制御器50に送るようにしてもよい。あるいは、この場合には露光動作は行わずダミー動作または補正値計測のみを実施するとともに、動作実行中の温度センサ30やレチクル顕微鏡15、干渉計17、センサ18及びウエハアライメント顕微鏡19からの計測情報を露光装置10のログ(運転記録)としてメモリにストアしておくか、或いは上位のサーバ等に送って記録として残しておくこともできる。これによれば、露光装置10に生じた異常の原因究明が容易となり、また後日調査することが可能となる。
また、環境チャンバ20内の温度が変化し、この温度変化を温度センサ30から入力したとき、この温度変化と逆方向(温度変化を打ち消す方向)に温度を一旦設定した後、本来の温度に設定し直す、温度制御手段を装備するようにしてもよい。
また、温調部Hは露光装置精度判定機40からの制御信号に基づいて露光動作制御器50によって制御されて、投影光学系14の温度を調整するが、この投影光学系14を早急に安定状態に戻すために例えば図7に示すような温度制御内容で温調部Hを制御することが出来る。図8はこのときの投影光学系14のレンズ内部の温度変化を説明する説明図である。
例えば、温調部Hが停止している間、投影光学系14のレンズ内部の温度が上昇した場合に、これを早急に安定状態に復帰させるには、図7に示すように、先ず温度変化(温度上昇)と逆方向(温度下降)に温度(目標温度よりも低い温度)を設定し、これを所定時間維持してから、温度変化(温度上昇)と同じ方向に温度(目標温度よりも若干高めの温度)を設定し、所定時間維持した後に、目標温度に設定して温調部Hを運転する。換言すると、最初から目標温度に設定するのではなく、先ず目標温度よりも低い温度に設定し、次いで目標温度よりも若干高めに設定し、この後に目標温度に設定して温調部Hを運転する。これにより、図8の実線で示すように投影光学系14のレンズ内部の温度は一時期目標とする安定温度よりも下がるものの直ぐに戻り、安定温度に早く近づく。最初から目標温度に設定した場合、その温度は同図の点線に示すように緩やかに変化し、安定温度に戻るのに時間がかかる。
図7では2段階で安定温度に戻るように設定したが、最初目標温度よりも低い温度に設定し、次いで目標温度に戻す1段階で安定温度に戻るように設定してもよい。目標温度よりも低い温度に設定する場合、あまり低い温度に設定すると、温調部Hでの温度が下がりすぎ、最終的に温度勾配が元に戻るのに時間がかかるので、下げる温度の最適値を選ぶ必要がある。
次に、図9を参照して本発明のデバイスの製造方法の一実施態様について説明する。
本実施形態のデバイスの製造方法では、そのリソグラフィ工程において図1、図2に示す露光装置10、露光装置精度判定機40及び露光動作制御器50を使用する。
図9に示すように、まずステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したレチクル(マスク)を製作する。また、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201乃至203で準備したレチクルとウエハを、図1の露光装置10のレチクルステージRST、ウエハステージWSTに載置し、リソグラフィ技術によりウエハ上にレチクルのパターンを露光転写し、ウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立ステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程及びパッケージ工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステッ2706(検査ステップ)において、ステップ205で製造された電子デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。このような工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、出荷される。
本実施形態のデバイスの製造方法によれば、そのリソグラフィ工程であるステップ204において、図1、図2に示す露光装置10、露光装置精度判定機40及び露光動作制御器50を使用するので、万が一環境チャンバ20内の温度制御等に僅かでも不具合が生じた場合であっても、露光運転可能な状態に復帰するまでの時間を明確にした上で、露光運転が再開されるまでの露光停止時間を可及的に短くすることが可能で、従来の如く露光運転を停止させて長時間待機させる必要がなく、歩留まりを改善して生産効率を向上させることが可能となる。
本発明の露光装置の一実施形態を示す全体構成図である。 図1の露光装置に装備される、本発明の特徴部分である、検知手段としての各種センサ、決定手段としての精度判定機及び露光動作制御手段としての露光動作制御器等を示すブロック図である。 図1の露光装置の精度変化特性を実験的に求める方法を説明する説明図である。 図1の露光装置に装備された移動鏡の変形量を計測する方法を説明する説明図である。 温度変化と図1の露光装置の露光動作との関係を説明する説明図である。 図1の露光装置の精度変化の一例(投影光学系の倍率の変化)を説明する説明図である。 温調部の温度制御内容を説明する説明図である。 図7の制御内容で運転される温調部により温度調整された投影光学系14のレンズ内部の温度変化を説明する説明図である。 本発明のデバイスの製造方法の一実施態様を示すフローチャートである。
符号の説明
10 露光装置
11 主要部分
14 投影光学系
15 レチクルアライメント顕微鏡
16 移動鏡
17 干渉計
18 センサ
19 ウエハアライメント顕微鏡
20 環境ハウジング
23 開口部
24 開閉扉
30 温度センサ
40 露光装置精度判定機
50 露光動作制御器
F 流量計
H 温調部
K キーボード
R レチクル
RST レチクルステージ
W ウエハ
WST ウエハステージ

Claims (21)

  1. マスクに形成されたパターンを、投影光学系を介して基板に露光転写する露光装置において、
    前記露光装置の性能に変化を及ぼす外乱の情報と、該外乱により変化した前記露光装置の性能情報との少なくとも一方を検知する検知手段と、
    前記検知手段の検知結果に基づいて、露光動作の実行と、前記変化した性能を補正する補正動作を伴った露光動作の実行と、露光動作の停止との何れか1つを選択し実行内容を決定する決定手段と、
    前記決定手段の決定に基づいて、露光動作を制御する露光動作制御手段と、を有することを特徴とする露光装置。
  2. 前記検知手段は、前記露光装置を構成する構成部材の温度と、前記露光装置が収納されている環境チャンバ内の温度との少なくとも一方を検知することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記構成部材は、前記投影光学系と、前記基板の位置を計測する位置計測装置との何れか一方を含むことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記露光装置は、開閉可能な扉を有する環境チャンバ内に収納され、
    前記検知手段は、前記扉の開放箇所と、前記扉の開放時間と、前記チャンバの運転停止時間とのうち少なくともいずれか1つを検知することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の露光装置。
  5. 前記検知手段は、前記投影光学系の結像特性を検知することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の露光装置。
  6. 前記検知手段は、前記マスクと前記位置計測手段との相対位置関係を検知することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の露光装置。
  7. 前記検知手段は、前記露光装置の温度を制御する温調流体の温度と流量とのうち少なくとも何れか一方を検知することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の露光装置。
  8. 前記決定手段は、前記検知結果に基づいて、露光動作の実行に必要な露光精度を維持するための前記補正動作の実施間隔を決定し、
    前記露光動作制御手段は、前記実施間隔に従って前記補正動作をしながら露光動作を実行することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の露光装置。
  9. 前記決定手段は、前記検知結果に基づいて、露光動作の実行に必要な露光精度が回復するまでの待機時間を決定し、
    前記露光動作制御手段は、前記待機時間が経過するまで露光動作を停止することを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の露光装置。
  10. 前記決定手段は、前記検知結果に基づいて、前記露光装置の状態変化を予測する予測手段を備え、該予測手段の予測結果に基づいて前記補正動作の実施間隔または前記待機時間を決定することを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の露光装置。
  11. 前記決定手段は、予め記憶された前記パターンに関するパターン情報に基づいて露光動作を決定することを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の露光装置。
  12. 前記決定手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記露光装置の初期化の実行を決定することを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の露光装置。
  13. マスクに形成されたパターンを、投影光学系を介して基板に露光転写する露光方法において、
    前記露光装置の性能に変化を及ぼす外乱と、該外乱により変化した前記露光装置の性能情報との少なくとも一方を検知する第1工程と、
    前記第1工程で得られた検知結果に基づいて、露光動作の実行と、補正動作を伴った露光動作の実行と、露光動作の停止との何れか1つを選択して実行する第2工程とを有することを特徴とする露光方法。
  14. 前記第1工程は、前記露光装置を構成する構成部材の温度と、前記露光装置が収納されている環境チャンバ内の温度との少なくとも一方を検知する工程であることを特徴とする請求項13に記載の露光方法。
  15. 前記露光装置は、開閉可能な扉を有する環境チャンバ内に収納され、
    前記第1工程は、前記扉の開放箇所と、開放時間と、前記チャンバの運転停止時間とのうち少なくともいずれか1つを検知する工程であることを特徴とする請求項13に記載の露光方法。
  16. 前記第1工程は、前記投影光学系の結像特性を検知することを特徴とする請求項13に記載の露光方法。
  17. 前記第1工程は、前記マスクと前記基板との相対位置関係を計測する位置計測装置の前記投影光学系に対する位置を検知する工程であることを特徴とする請求項13に記載の露光方法。
  18. 前記第2工程は、前記検知結果に基づいて、露光動作の実行に必要な露光精度を維持するための前記補正動作の実施間隔を決定し、該実施間隔に従って前記補正動作を実施しながら露光動作を実行することを特徴とする請求項13から17の何れか一項に記載の露光方法。
  19. 前記第2工程は、前記検知結果に基づいて、露光動作の実行に必要な露光精度が回復するまでの待機時間を決定し、該待機時間が経過するまで露光動作を停止することを特徴とする請求項13から17の何れか一項に記載の露光方法。
  20. 前記第2工程は、前記検知結果に基づいて、前記露光装置の状態変化を予測する予測ステップと、該予測ステップでの予測結果に基づいて前記補正動作の実施間隔または前記待機時間を決定する決定ステップとを有することを特徴とする請求項18または19に記載の露光方法。
  21. リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程において請求項1から12の何れか一項に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイスの製造方法。
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