JP2005196940A - 光情報記録媒体と、バーコード状マークの記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な再生信号が得られるBCAマーク加工が可能な一つの情報記録層を含む複数の情報記録層を設けた再生型の情報記録媒体を提供する。レーザー加工により、BCAマークを加工すべき一つの情報記録層以外の他の情報記録層に加工痕が残り、再生品質を劣化させる課題があった。
【解決手段】 BCAマークを加工すべき一つの情報記録層の材料の熱伝導率に対し、他の層の材料の熱伝導率を1.5倍以上として、他の情報記録層での熱拡散を助けて加工痕が残ることを抑制する。
【選択図】 図1
【解決手段】 BCAマークを加工すべき一つの情報記録層の材料の熱伝導率に対し、他の層の材料の熱伝導率を1.5倍以上として、他の情報記録層での熱拡散を助けて加工痕が残ることを抑制する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、一般に、複数の情報記録層を有する光ディスクに関し、より詳しくは、再生専用のディスクに個々の情報を追記するものに関する。
従来、再生型のDVD−ROMにおいて、BCA(バースト カッティング エリア)とよばれるバーコード状のマークを、情報記録層にある反射膜を、例えばレーザーで焼切ることによって加工し、媒体のシリアルナンバー等のデータを追記することが行われている。例えば、特許文献1にはその加工方法例が記載されている。
特開2000−76705号公報
しかしながら、DVD−ROMディスクの2層ディスクにおいて、レーザーによるBCA加工を一方の層(Layer1)に施した場合、もう一方の層(Layer0)の反射膜にもダメージを与え、破れて加工痕が残る。DVD−ROMでは、その再生スポットが比較的大きい関係もあり、必要な再生信号品質は確保できたが、更に高密度なディスク、例えばBlu−ray Discでは、2層間の距離が狭まって、一方の情報記録層に形成されるBCAマークエッジの形状が再生信号に大きく影響することに加え、他方の情報記録層に残るBCAマークの加工痕が再生信号に影響を与えるという課題があった。
図4は、従来のDVD−ROMの構造の一例を示す。この従来のDVD−ROMは、片面にピットが形成された第1基板101と、第1基板101のピット及びそのピット上に形成された反射膜よりなる第1の情報記録層102と、片面にピットが形成された第2基板105と、第2基板105のピット及びそのピット上に形成された反射膜よりなる第2の情報記録層104と、第1の情報記録層102と第2の情報記録層104の間に配置された中間層103と、第1の情報記録層102の反射膜に形成されたBCAマーク106とを含み、第2基板105側から情報を再生する。又、第1の情報記録層102はAl合金からなる一方、第2の情報記録層はAuからなる。
図5は、図4の従来のDVD−ROMの第1の情報記録層102にBCA加工により形成したBCAマーク106を模式的に示す。図5において、Alからなる第1の情報記録層102には、ストライプ状のBCAマーク106が形成されているが、Auからなる第2の情報記録層104に加工痕Tが残っている。
これは、以下の表1に示すように、第2の情報記録層104のAuの熱伝導率が、第1の情報記録層102のAlの熱伝導率の1.3倍程度と小さいため、Auからなる第2の情報記録層104での熱拡散が不十分であったと考えられる。
図6は、図5のBCAマーク106を再生した波形を示す。図6において、再生する光のスポットは、第2の情報記録層104上で、約30μmの直径となるため、スポットの一部が第2の情報記録層104上の加工痕Tにかかると、反射膜が消失していることによって、第2の情報記録層104の透過率が実質的に上がり、反射光量が変化する。そのため、第1の情報記録層102に形成されたBCAマーク106を再生する場合、BCAマーク106の始端部Aと終端部Bで再生波形がひずむ。
そこで、本発明は、従来技術の上記欠点を解消するために、BCA加工を施されるべき一つの情報記録層を含む複数の情報記録層がある中で、残りの情報記録層の材料の熱伝導率を、BCA加工を施されるべき上記一つの情報記録層の材料の熱伝導率に対して、1.5倍以上とした情報記録媒体を提供することを目的とする。
又、情報記録層の中で、BCA加工を施すべき上記一つの情報記録層を、情報記録媒体の一方に最も近くに配置して、情報記録媒体の両面のその一方からBCA加工を行う構成とした。
BCA加工を施されるべき一つの情報記録層の材料の熱伝導率を、残りの情報記録層の材料の熱伝導率よりも小さくする構成において、上記一つの情報記録層では、照射される熱が拡散する速度を遅くして熱が滞る状態にすることにより加工されやすくする一方、逆に残りの情報記録層では、熱拡散を促進して、加工されにくい状態にすることによって、残りの情報記録層へのダメージを低減することができる。結果として、BCA加工を施されるべき上記一つの情報記録層にのみBCAマークを良好に形成でき、残りの情報記録層へ加工痕がのこることを防ぐことが可能となる。
又、情報記録層の中で、BCA加工を施す上記一つの情報記録層を、情報記録媒体の両面の一方に最も近くに配置して、情報記録媒体の両面のその一方からBCA加工を行うことで、残りの情報記録層へのBCA加工の影響を更に低減することができる。
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態における光ディスクの構造を模式的に示す。この光ディスクは、片面にピットを形成した厚さ1.1mmのポリカーボネイト製基板11と、基板11のピット及びそのピット上に形成された反射膜よりなる第1の情報記録層12と、片面にピットを形成した厚さ約25μmのUV硬化樹脂からなる中間層13と、中間層13のピット及びそのピット上に形成された反射膜よりなる第2の情報記録層14と、厚さ約75μmのカバー層15を積層した構造を有し、カバー層15側から情報を再生する。又、バーコード状のBCAマーク16が、第1の情報記録層12の反射膜に形成される。BCAマーク16は、第1の情報記録層12に追記され、情報の再生は、光ヘッドで第1の情報記録層12を読みだすことで行う。
本発明の実施の形態において、第1の情報記録層12の反射膜の材料としてAl合金、第2の情報記録層14の反射膜の材料としてAg合金を用いた。この光ディスクに、長方形に整形したYAGレーザー(波長1064nm)の光を基板11側から第1の情報記録層12にパルス照射するとともに、それに同期して回転機構によって光ディスクを回転させることによって、記録すべき信号によって間隔が変調されたバーコード状のBCAマーク16を、第1の情報記録層12に形成した。
図2は、第1の情報記録層12に形成されたBCAマーク16を模式的に示し、BCAマーク16は幅約10μmでストライプ状に形成されている。このとき、第2の情報記録層14には、加工痕は残っていない。
第1の情報記録層12のBCAマーク16を、波長405nmの青色レーザー光と開口数(NA)0.85の対物レンズを使って、カバー層15、第2の情報記録層14と中間層13を通して再生した波形を図3に示す。図3において、BCAマーク16が加工された下地は、ランダムな長さのピットが記録されており、再生信号は通常変調される。BCAマーク16は、反射膜がYAGレーザーにより、焼切られているため、反射率が低い部分として再生される。
第2の情報記録層14に加工痕が残らなかった理由として、2個の情報記録層12と14の材料の熱伝導率が大きく異なることがある。以下の表2に、情報記録層12と14に使用できる代表的な金属の熱伝導率を、いくつかの温度について示す。
BCA加工をされる場合を考えると、第1の情報記録層12の反射膜は、YAGレーザーのエネルギーによって加熱される。そのため、情報記録層12と14の熱伝導率を比較する場合、いくつかの温度域を含めて考慮しておく必要がある。
第1の情報記録層12に用いたAlと、第2の情報記録層14に用いたAgを比較すると、Alに対してAgは1.75倍の熱伝導率を広い温度範囲で保っている。このため、第1の情報記録層12のAlに熱が記録光で局所的に蓄積して加工がなされ、第2の情報記録層14では熱が効果的に拡散されて加工痕がのこらなかったものと考えられる。
このことから、第2の情報記録層14の材料は、第1の情報記録層12の材料に対して、表1で前述した従来技術の約1.3倍の熱伝導率では不十分であり、1.75倍であれば十分な効果があることが分かる。従って、その比率として、1.5倍以上はあることか望ましい。
更に、比較例として、第1の情報記録層12としてAl合金を用い、第2の情報記録層14としてAg合金を用いた構造の光ディスクにおいて、第1の情報記録層12のBCA加工を、カバー層15側からYAGレーザーで照射することにより行った。その結果、第1の情報記録層12に良好なBCAマーク16を形成するために必要なYAGレーザーの強度が大きくなるとともに、第2の情報記録層14に加工痕が残った。これは、第2の情報記録層14上に、強度の増したレーザー光YAGレーザーから直接照射され、熱拡散が十分に行われなかったためと考えられる。
従って、BCA加工を施す一方の情報記録層、例えば、第1の情報記録層102を、光ディスクの両面の一方に最も近くに配置した場合、YAGレーザーのレーザー光を光ディスクの両面の上記一方から照射することにより、YAGレーザーのレーザー光が、BCA加工を施さない他方の情報記録層、即ち、第2の情報記録層14よりも先に、第1の情報記録層12に到達することが望ましい。
なお、本発明の実施の形態では、第1の情報記録層12としてAl合金、第2の情報記録層14としてAg合金を用いたが、熱伝導率の比がAl合金とAg合金の間の熱伝導率の比と同様の材料であれば、同様の効果が得られる。例えば、表2に示した熱伝導率から、第1の情報記録層12としてNi又はそれを主成分とする合金、第2の情報記録層14としてCu又はそれを主成分とする合金を用いることもできる。
更に、本発明の実施の形態では、NA0.85の対物レンズと波長405nmの青色レーザ光で再生する光ディスクを用いたが、本発明は、従来のDVD−ROMにおいても、BCA加工すべき情報記録層(例えば、第1の情報記録層12)以外の情報記録層(例えば、第2の情報記録層14)に加工痕が残ることを抑制できる利点を持つ。
本発明は、再生型ディスクで、反射膜をレーザー等で焼切ることで恒久的な情報を記録する用途に利用が可能である。特にDVD−ROMだけでなく、今後提案されるであろうBlu−ray Discの再生用ディスク(ROM)をはじめ、複数の記録層を有する再生専用ディスクにおいて所望の記録層にのみ情報を追記する用途に使用することができる。
11 基板
12 第1の情報記録層
13 中間層
14 第2の情報記録層
15 カバー層
16 BCAマーク
12 第1の情報記録層
13 中間層
14 第2の情報記録層
15 カバー層
16 BCAマーク
Claims (6)
- バーコード状マークを追記した一つの情報記録層を含む複数の情報記録層を設けた再生型情報記録媒体において、前記一つの情報記録層以外の他の情報記録層の材料の熱伝導率を前記一つの情報記録層の材料の熱伝導率に対して1.5倍以上に設定したことを特徴とする情報記録媒体。
- 前記一つの情報記録層の材料が、Al、Ni、Alを主成分とする合金、Niを主成分とする合金のいずれかである請求項1記載の情報記録媒体。
- 前記他の情報記録層の一つが前記一つの情報記録層の隣に位置すると共に、前記他の情報記録層の前記一つの材料が、Ag、Cu、Agを主成分とする合金、Cuを主成分とする合金のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
- 前記情報記録層の中で、前記一つの情報記録層を情報再生側から最も遠くに配置したことを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
- 前記情報記録層の中で、前記一つの情報記録層を情報再生側に最も近くに配置したことを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
- バーコード状マークを追記した一つの情報記録層を含む複数の情報記録層を設けた再生型情報記録媒体に対し、前記情報記録層の中で、前記一つの情報記録層を前記情報記録媒体の両面の一方に最も近くに配置する工程と、前記バーコード状マークを形成する記録光で前記情報記録媒体の前記両面の前記一方から露光する工程とを備えるバーコード状マークの記録方法。
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JP2004331708A JP2005196940A (ja) | 2003-12-08 | 2004-11-16 | 光情報記録媒体と、バーコード状マークの記録方法 |
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2004
- 2004-11-16 JP JP2004331708A patent/JP2005196940A/ja active Pending
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