図1は、本発明の画像形成装置の実施例1を示す側面図である。本実施例の画像形成装置は、カラー画像を記録用紙に記録するカラーレーザープリンタであり、露光ユニット1、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pd、中間転写ベルトユニット2、定着ユニット3、用紙搬送装置4、給紙トレイ5、及び排紙トレイ6等を備えている。
この画像形成装置において、記録用紙は、給紙トレイ5に積載収容されており、ピックアップローラ7-1により1枚ずつ給紙トレイ5から引き出されて、搬送ローラ4-1によりレジストローラ8へと搬送される。あるいは、記録用紙は、手差しトレイ9に載置され、ピックアップローラ7-2により引き出されて、各搬送ローラ4-4〜4-6によりレジストローラ8へと搬送される。レジストローラ8は、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃え、記録用紙の先端が中間転写ベルトユニット2の中間転写ベルト11上に形成されるトナー像の先端に重なるタイミングで、記録用紙を2次転写ローラ33へと搬送する。
各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナー像をそれぞれ形成して、各色のトナー像を中間転写ベルトユニット2の中間転写ベルト11に転写する。これらの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、各現像器21a〜21d、各トナーカートリッジ22a〜22d、各感光体ドラム23a〜23d、各帯電器24a〜24d、及び各クリーナユニット25a〜25d等を備えている。
各感光体ドラム23a〜23dは、中間転写ベルト11を介してそれぞれの1次転写ローラ26a〜26dに押圧されており、矢印方向Bに回転移動する中間転写ベルト11と同一の周速度で、中間転写ベルト11と共に回転される。また、各1次転写ローラ26a〜26dも、矢印方向Bに回転移動する中間転写ベルト11と同一の周速度で、中間転写ベルト11に追従回転する。
各帯電器24a〜24dは、各感光体ドラム23a〜23dに接触するローラ型やブラシ形のもの、あるいはチャージャー型のものであり、各感光体ドラム23a〜23d表面を一様に帯電させる。
露光ユニット1は、各感光体ドラム23a〜23dへのそれぞれのレーザー光を出射するレーザー光源1a、及び各レーザー光をそれぞれの感光体ドラム23a〜23dに導く複数のミラー1b等を有しており、画像データに応じて各レーザー光を変調しつつ、各レーザー光をそれぞれの感光体ドラム23a〜23d表面に照射して、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの静電潜像を形成する。
尚、露光ユニット1として、ELやLED等の発光素子をアレイ状に並べた書き込みヘッドを用いても良い。
各トナーカートリッジ22a〜22dは、黒、イエロー、マゼンタ、シアンのトナーを収容している。各現像器21a〜21dは、各トナーカートリッジ22a〜22dからそれぞれの色のトナーを供給され、各感光体ドラム23a〜23d表面の静電潜像にそれぞれの色のトナーを付着させて、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの色のトナー像を形成する。これらのトナー像は、各感光体ドラム23a〜23dから中間転写ベルト11に転写されて重ね合わせられる。
中間転写ベルトユニット2は、中間転写ベルト11、各1次転写ローラ26a〜26d、駆動支持ローラ31と従動支持ローラ32、及び2次転写ローラ33等を備えており、中間転写ベルト11を駆動支持ローラ31と従動支持ローラ32に掛け渡して回転移動可能に支持し、各1次転写ローラ26a〜26d及び2次転写ローラ33を中間転写ベルト11に押し付けている。
中間転写ベルト11は、例えば厚さ100μm〜150μm程度の合成樹脂フィルムにより形成される。2次転写ローラ33は、左右に移動可能に支持されており、右方向に移動されたときに、駆動支持ローラ31との間に中間転写ベルト11を挟み込んで、ニップ域を形成する。駆動支持ローラ31は、2次転写ローラ33のバックアップローラとしての役目を果たしつつ、各1次転写ローラ26a〜26dと各感光体ドラム23a〜23d間のそれぞれのニップ域を下流側にして、回転駆動され、中間転写ベルト11を引っ張って矢印方向Bに回転移動させる。これにより、各ニップ域が安定的に維持される。
尚、各1次転写ローラ26a〜26dと各感光体ドラム23a〜23d間のそれぞれのニップ域をより安定的に形成するために、各1次転写ローラ26a〜26d及び各感光体ドラム23a〜23dのうちの一方を硬質材料で形成し、他方を弾性材料で形成するのが好ましい。
各1次転写ローラ26a〜26dは、例えば金属製の直径8mm〜10mmの軸の外周を導電性の弾性材(EPDM、発泡ウレタン等)により被覆したものである。各1次転写ローラ26a〜26dは、該各1次転写ローラ26a〜26dと各感光体ドラム23a〜23d間のニップ域に中間転写ベルト11を挟み込んだ状態で、トナーの帯電極性とは逆極性のバイアス電圧を印加され、それぞれの電界を中間転写ベルト11を介して各感光体ドラム23a〜23d表面のトナーに作用させ、各感光体ドラム23a〜23d表面のトナーを中間転写ベルト11へと引き付けて転写させる。これにより、各色のトナー像が中間転写ベルト11に転写されて重ね合わせられる。
尚、各1次転写ローラ26a〜26dとして、ローラの代わりに、ブラシ等を用いても構わない。
クリーニングユニット34は、例えば中間転写ベルト11表面に摺接するクリーニングブレードであり、中間転写ベルト11表面に残留したトナーを除去して、次回に印字される画像のカブリ等を防止する。
こうして中間転写ベルト11に転写され重ね合わせられた各色のトナー像は、該中間転写ベルト11の回転移動に伴い、駆動支持ローラ31と2次転写ローラ33間のニップ域へと搬送される。そして、中間転写ベルト11上の各色のトナー像の先端とレジストローラ8により搬送されて来た記録用紙の先端が重ねられ、各色のトナー像と記録用紙が重ね合わせられて、各色のトナー像が記録用紙に転写される。
引き続いて、記録用紙は、定着ユニット3へと搬送され、ここで加圧ローラ3aと加熱ローラ3b間に挟み込まれる。これにより、記録用紙上の各色のトナーが加熱溶融されて混合され、各色のトナー像が記録用紙上にカラー画像として定着される。
更に、記録用紙は、用紙搬送装置4により排紙トレイ6へと搬送されて、ここにフェイスダウンで排出される。
尚、画像形成ステーションPaだけを用いて、モノクロ画像を形成し、モノクロ画像を中間転写ベルトユニット2の中間転写ベルト11に転写することも可能である。このモノクロ画像も、カラー画像と同様に、中間転写ベルト11から記録用紙に転写され、記録用紙上定着される。
また、記録用紙の表面だけではなく、両面の印字を行なう場合は、記録用紙の表面の画像を定着ユニット3により定着した後に、記録用紙を用紙搬送装置4の搬送ローラ4-3により搬送する途中で、搬送ローラ4-3を停止させてから逆回転させ、記録用紙を用紙搬送装置4の反転経路4rに通して、記録用紙の表裏を反転させてから、記録用紙をレジストローラ8へと導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を排紙トレイ6に排出する。
ところで、本実施例の画像形成装置では、図2に示す様に各トナーカートリッジ22a〜22dを各現像器21a〜21dから取り外すことができ、各トナーカートリッジ22a〜22dを新たなものに交換することにより、各色のトナーを補給している。
次に、各トナーカートリッジ22a〜22dについて詳述する。図3は、トナーカートリッジ22(各トナーカートリッジ22a〜22dの共通符号を22とする)を現像器21(各現像器21a〜21dの共通符号を21とする)に装着する前の状態を正面側から見て示す斜視図である。また、図4は、装着前のトナーカートリッジ22及び現像器21を裏面側から見て示す斜視図である。更に、図5は、装着後のトナーカートリッジ22及び現像器21を裏面側から見て示す斜視図である。また、図6は、装着前のトナーカートリッジ22及び現像器21を側方から見て示す縦断面図であり、図7は、装着後のトナーカートリッジ22及び現像器21を側方から見て示す縦断面図である。また、図8は、装着後のトナーカートリッジ22及び現像器21を正面側から見て拡大して示す断面図であり、図9は、現像器21を正面側から見て拡大して示す斜視図である。
トナーカートリッジ22は、その奥行きtを現像器21の奥行きTよりも十分に短くされているものの、その高さhを奥行きtよりも十分に長くされて、その容積を確保されている。トナーカートリッジ22の奥行きtを短くしたことから、トナーカートリッジ22を画像形成装置の前面寄りに装着した状態では、トナーカートリッジ22が画像形成装置の奥の部品に干渉することはない。また、画像形成装置のフロントドアを開けると、トナーカートリッジ22が最も手前にあるので、トナーカートリッジ22の交換が容易である。
トナーカートリッジ22は、図8に示す様にその底のトナー供給口22f、及びトナー供給口22f周囲の鍔22gを有している。また、現像器21は、その天板のトナー受け入れ口21f、及びトナー受け入れ口21f両側の案内溝21gを有しており、図9に示す様に各案内溝21gにガイド板41を挿入し、ガイド板41をバネ(図示せず)により画像形成装置の手前の方(矢印方向C)に付勢して、ガイド板41の一端41aをトナー受け入れ口21fの縁に当接させ、ガイド板41を閉じている。
トナーカートリッジ22を装着するときには、トナーカートリッジ22を現像器21の天板に載せて、トナーカートリッジ22の鍔22gを現像器21の案内溝21gに差し込んで、トナーカートリッジ22を画像形成装置の奥の方(図3の矢印方向D)へとスライドさせ、ガイド板41をトナーカートリッジ22の鍔22gにより押して、ガイド板41を開き、トナーカートリッジ22のトナー供給口22fと現像器21のトナー受け入れ口21fを重ね合わせる。この後、図7に示す様にトナーカートリッジ22のトナー供給口22fを封止している二つ折りのシール42を引っ張り剥して除去し、トナーカートリッジ22のトナー供給口22fと現像器21のトナー受け入れ口21f間を通じさせて、トナーカートリッジ22から現像器21へのトナー供給を可能にする。
トナーカートリッジ22内のトナーが無くなったときには、トナーカートリッジ22を画像形成装置の手前の方へとスライドさせて取り外す。
こうしてトナーカートリッジ22が装着及び取り外されて、その交換が行なわれる。
また、トナーカートリッジ22の側壁に凹部22iを形成し、凹部22iの上縁に庇22jを突設している。図10は、トナーカートリッジ22内側に突出した凹部22i近傍を拡大して示す縦断面図である。図10に示す様にトナーカートリッジ22の底には、凹部22iからトナーカートリッジ22の壁を介して該トナーカートリッジ22内側に至る範囲で、プリント基板43を貼り付けている。プリント基板43は、その上面に配線パターン43bを有しており、凹部22i側で配線パターン43bの一部により複数の接続用パッド43aを形成し、凹部22i側で配線パターン43b上に周辺機器接続制御用IC63を搭載し、またトナーカートリッジ22内側で配線パターン43bの一部により複数の検出用電極61、62を形成している。絶縁層44は、例えば100μmの絶縁エナメルコートがあり、各接続用パッド43aを除くプリント基板43の部分を覆い、かつトナーカートリッジ22内側の各検出用電極61、62を覆っている。このため、各検出用電極61、62は、トナーカートリッジ22内のトナーに直接接触しない。仮に、絶縁層44が省略されると、トナーが各検出用電極61、62に直接触れてしまい、輸送時等のトナーカートリッジ22の振動に伴い、トナーと各検出用電極61、62が摩擦帯電して、各検出用電極61、62に接続されている周辺機器接続制御用IC63等の回路が静電破壊する虞がある。
庇22jは、プリント基板43の各検出用電極61、62の上方に配置されており、庇22jと各検出用電極61、62間にスペースS1を設けている。
更に、トナーカートリッジ22では、従動軸46を一対の軸受け47により回転自在に支持し、従動軸46に攪拌部材48を固定支持している。従動軸46の一端は、トナーカートリッジ22の側壁から突出しており、その端面に十字溝46aを形成している。攪拌部材48は、各棒体48aを略矩形状に組み合わせて相互に固定したものである。各棒体48aのうちの従動軸46に平行な1本は、トナーカートリッジ22の側壁近傍まで突出しており、この棒体48aの一端に可撓性フィルム片49を取り付けている。図11に拡大して示す様に、この棒体48aの一端にスリット48bを形成し、このスリット48bに可撓性フィルム片49を差し込んで接着剤で固定し、この棒体48aの回転軌跡である円柱周面に対して可撓性フィルム片49を垂直に立てている。
可撓性フィルム片49は、例えば厚みが0.1mmの可撓性を有するフィルムであり、その材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミド等がある。
従動軸46が回転すると、攪拌部材48が回転され、トナーカートリッジ22内のトナーが攪拌される。また、攪拌部材48の回転に伴い、可撓性フィルム片49も回転する。このとき、トナーカートリッジ22の側壁近傍まで突出した棒体48aの一端は、図12に示す様にその回転途中で庇22jと各検出用電極61、62間のスペースS1を略水平方向に通過し、可撓性フィルム片49もスペースS1を通過する。
一方、現像器21上方の画像形成装置の本体側には、カートリッジ駆動部51を設けている。カートリッジ駆動部51では、駆動軸52を軸支し、駆動軸52の十字型先端52aを画像形成装置の手前側に突出させている。駆動軸52は、モータ及びギヤユニット(図示せず)により回転駆動される。また、カートリッジ駆動部51の側壁にコネクタ55を突設し、コネクタ55を駆動軸52下方に配置している。コネクタ55は、複数のコネクタピン55aを有している。
先に述べた様にトナーカートリッジ22を現像器21の天板に載せて画像形成装置の奥の方へとスライドさせ装着し、トナーカートリッジ22のトナー供給口22fと現像器21のトナー受け入れ口21fを重ね合わせた状態では、カートリッジ駆動部51の駆動軸52の十字型先端52aがトナーカートリッジ22の従動軸46の十字溝46aに嵌合し、駆動軸52と従動軸46が相互に連結され、かつコネクタ55がトナーカートリッジ22の凹部22iに嵌合する。
そして、駆動軸52の十字型先端52aと従動軸46の十字溝46aが嵌合すると、駆動軸52と従動軸46間が連結され、駆動軸52の回転が従動軸46に伝達される。従って、カートリッジ駆動部51の駆動軸52が回転駆動されると、トナーカートリッジ22の従動軸46が回転し、攪拌部材48も回転する。この攪拌部材48の回転によりトナーカートリッジ22内のトナーが攪拌され、可撓性フィルム片49も回転して庇22jと各検出用電極61、62間のスペースS1を周期的に通過する。
また、コネクタ55がトナーカートリッジ22の凹部22iに嵌合した状態では、コネクタ55の各コネクタピン55aがプリント基板43の各接続用パッド43aに接触する。
ここで、図13(a)に示す様にトナーカートリッジ22内のトナーが十分にあり、庇22jと各検出用電極61、62間のスペースS1がトナーで満たされているものとする。このとき、各検出用電極61、62がトナーで覆われる。また、可撓性フィルム片49は、攪拌部材48と共に回転し、トナーに侵入して、トナー内で抵抗を受けて撓んで吹き流される。このため、庇22jと各検出用電極61、62間のスペースS1の通過のときにも、可撓性フィルム片49が吹き流され、可撓性フィルム片49がプリント基板43に接近することはない。
また、図13(b)に示す様にトナーカートリッジ22内のトナーが減少して、トナーレベルが庇22jと各検出用電極61、62間にあるものとする。このとき、各検出用電極61、62がトナーで覆われる。また、庇22jと各検出用電極61、62間のスペースS1の通過のときに、可撓性フィルム片49が撓んで各検出用電極61、62上のトナーをなでて行くので、スペースS1のトナーレベルが均される。
更に、図13(c)に示す様にトナーカートリッジ22内のトナーがより減少して、トナーレベルが各検出用電極61、62以下になると、スペースS1のトナーが殆ど無くなる。また、庇22jと各検出用電極61、62間のスペースS1の通過のときに、可撓性フィルム片49が適宜に撓み、可撓性フィルム片49が各検出用電極61、62上の絶縁層44部分に摺接して、この部分のトナーを払い除く。このため、各検出用電極61、62上のトナーが無くなる。また、攪拌部材49の回転により僅かに残っているトナーが攪拌され、トナーが上方に跳ね上げられてから下方に落下するものの、庇22jが該庇22jと各検出用電極61、62間のスペースS1の屋根となって、トナーがスペースS1に降り掛かることが防止される。
この様にトナーカートリッジ22内のトナーレベルが各検出用電極61、62を超える場合は、各検出用電極61、62がトナーで覆われ、またトナーレベルが各検出用電極61、62以下の場合は、可撓性フィルム片49が各検出用電極61、62上の絶縁層44部分のトナーを払い除き、各検出用電極61、62上のトナーが無くなる。
ここで、各検出用電極61、62は、プリント基板43上で離間して対向配置されており、該各検出用電極61、62間に静電容量を形成している。また、トナーは、合成樹脂等の誘電体成分を含む。このため、トナーレベルが各検出用電極61、62を超え、各検出用電極61、62がトナーで覆われているときと、トナーレベルが各検出用電極61、62以下となり、各検出用電極61、62上のトナーが無くなったときとでは、各検出用電極61、62間の静電容量が変化する。従って、各検出用電極61、62間の静電容量の変化を検出すれば、トナーカートリッジ22内のトナー残量を判定することができる。
このため、各検出用電極61、62は、トナーカートリッジ22内のトナー残量を検出するトナー残量センサを構成していると言える。
また、庇22jが屋根となって、トナーが庇22jと各検出用電極61、62間のスペースS1に降り掛ることが防止されるので、スペースS1でトナーレベルが安定する。その上、可撓性フィルム片49がスペースS1で略水平方向に通過するので、スペースS1でトナーが均される。また、トナーカートリッジ22の奥行きtを現像器21の奥行きTよりも十分に短く設定していることから、攪拌部材49の攪拌によるトナーカートリッジ22内のトナーの均しが容易になり、トナーカートリッジ22全体のトナーの偏りが少なくなる。このため、各検出用電極61、62によるトナー残量の検出を正確に行なうことができる。
更に、各検出用電極61、62を攪拌部材49の攪拌中心の直下に配置しているので、トナーカートリッジ22内のトナーが攪拌部材49により攪拌されつつ攪拌中心の直下に落下し、トナーレベルが各検出用電極61、62近傍で安定する。このため、トナー残量が極めて少なくなったときでも、各検出用電極61、62によるトナー残量の検出が確実に行なわれる。尚、攪拌部材49の攪拌中心の直下ではなくても、各検出用電極61、62を攪拌中心の下方に配置すれば、略同様の効果が得られる。
図14は、トナーカートリッジ22のプリント基板43上の各検出用電極61、62及び周辺機器接続制御用IC63を示す回路図である。
周辺機器接続制御用IC63(以下PICと称す(PIC;Peripheral Interface Controller))は、画像形成装置のCPU64と同様に、演算処理機能、データの送受信機能、及びメモリ等を有している。このPIC63は、画像形成装置のCPU64とは別に、トナーカートリッジ22に設けられ、トナーカートリッジ22内のトナー残量の判定や管理等を行なうためのものである。
PIC63は、複数の端子ピンRA0〜RA4、RB0〜RB7、VDD、OSC等を有している。各端子ピンRA0〜RA4、RB0〜RB5、VDD、OSCは、プリント基板43上で各接続用パッド43aに接続されており、各接続用パッド43aとコネクタ55の各コネクタピン55a間の接触により、少なくともPIC63の各端子ピンRB0〜RB2が画像形成装置のCPU64に接続され、PIC63と画像形成装置のCPU64間のデータ通信が可能になる。同時に、PIC63の端子VDDが画像形成装置の電源に接続され、画像形成装置の電源からPIC63へと電力が供給され、またPIC63の端子OSCが画像形成装置のクロック発生部に接続され、画像形成装置のクロック発生部からPIC63へとクロックが供給される。
また、PIC63の端子ピンRB6を検出用電極61に接続し、端子ピンRB7を抵抗65を介して検出用電極61に接続し、検出用電極62を接地している。
さて、PIC63は、その端子ピンRB7から方形波信号Sgを周期的に出力して、この方形波信号Sgを抵抗65を介して検出用電極61に印加しつつ、その端子ピンRB6に入力した検出用電極61の電圧Vgを監視している。
図15は、端子ピンRB7から出力される方形波信号Sg、及び端子ピンRB6に入力される検出用電極61の電圧Vgを示す信号波形図である。図15から明らかな様に、検出用電極61に印加される方形波信号Sgが立ち上がると、検出用電極61の電圧Vgが徐々に立ち上がる。そして、方形波信号Sgが立ち下がると、検出用電極61の電圧Vgが徐々に低下して行く。
ここで、方形波信号Sgの立ち上がり時点t1から電圧Vgが一定値Vhに達する時点t2までの時間をT1とする。この時間T1は、抵抗65と各検出用電極61、62間の静電容量からなる直列回路の時定数に依存しており、各検出用電極61、62間の静電容量が大きくなる程、この時間T1が長くなり、各検出用電極61、62間の静電容量と時間T1が対応関係にある。
一方、先に述べた様にトナーレベルが各検出用電極61、62を超え、各検出用電極61、62がトナーで覆われているときと、トナーレベルが各検出用電極61、62以下となり、各検出用電極61、62上のトナーが無くなったときとでは、各検出用電極61、62間の静電容量が変化することから、各検出用電極61、62間の静電容量の変化を検出すれば、トナーカートリッジ22内のトナー残量を判定することができる。
そこで、PIC63は、その端子ピンRB7から方形波信号Sgを出力しつつ、その端子ピンRB6に入力した検出用電極61の電圧Vgを監視して、方形波信号Sgの立ち上がり時点t1から電圧Vgが一定値Vhに達する時点t2までの時間T1を計時し、時間T1に対応する各検出用電極61、62間の静電容量を求める。
そして、PIC63は、各検出用電極61、62間の静電容量を求めると、この静電容量と該PIC63のメモリに予め記憶されている閾値を比較し、この静電容量が閾値を超えれば、トナーカートリッジ22内のトナーレベルが各検出用電極61、62を超えると判定し、また、この静電容量が閾値以下であれば、トナーレベルが各検出用電極61、62以下になったと判定する。そして、PIC63は、このトナーレベルの判定結果を該PIC63のメモリに記憶しておく。
尚、PIC63のメモリ内の閾値は、トナーカートリッジ22の工場出荷に際して求められて設定されたものであり、トナーカートリッジ22が空のときの各検出用電極61、62間の静電容量よりも適宜に低く設定されたものである。これにより、複数のトナーカートリッジ22間のトナー残量センサの検出精度のバラツキを抑えることができる。
また、閾値の代わりに、トナーカートリッジ22のトナー残量センサの検出感度をPIC63のメモリに記憶しておき、このトナー残量センサの検出感度を参照して、トナーレベルの判定を行なっても良い。トナー残量センサの検出感度は、例えばトナーカートリッジ22が空のときの各検出用電極61、62間の静電容量そのものであり、この静電容量とトナーカートリッジ22の使用中にトナー残量センサにより検出された静電容量を比較することにより、トナーレベルの判定を行なう。
あるいは、各検出用電極61、62間の静電容量と時間T1が対応関係にあることから、時間T1が予め設定された閾値以下になったときに、トナーレベルが各検出用電極61、62以下になったと判定しても良い。この場合は、時間T1と比較される閾値をPIC63のメモリに記憶しておく。
また、この閾値の代わりに、トナーカートリッジ22が空のときの時間T1そのものをトナー残量検出センサの検出感度としてPIC63のメモリに記憶しておき、この時間T1とトナーカートリッジ22の使用中に計時された時間T1を比較することにより、トナーレベルの判定を行なっても良い。
この様なトナーレベルの判定及び記憶は、画像形成装置における各トナーカートリッジ22a〜22d別に、該各トナーカートリッジ22a〜22dのPIC63により行われる。画像形成装置のCPU64は、各トナーカートリッジ22a〜22dのPIC63の端子ピンRB2にそれぞれのデータ要求信号を送信して、各トナーカートリッジ22a〜22dのPIC63を順次繰り返し呼び出し、各トナーカートリッジ22a〜22dのPIC63によるトナーレベルの判定結果を要求する。各トナーカートリッジ22a〜22dのPIC63は、データ要求信号を順次受信して、それぞれの端子RB1から画像形成装置のCPU64へとトナーレベルの判定結果を順次送信する。
画像形成装置のCPU64は、トナーレベルの判定結果として、トナーレベルが各検出用電極61、62以下になったという判定結果を受信すると、このトナーレベルが低下したトナーカートリッジ内の色のトナー像について、印字ドット数(該色のトナーの消費量に対応する)の計数を開始し、この印字ドット数が既定値に達すると、このトナーカートリッジ内のトナーが無くなったものとみなし、このトナー残量が無くなったトナーカートリッジを表示ユニット(図示せず)に表示したり、音声メッセージをスピーカ(図示せず)により発音して、このトナーカートリッジの交換を促し、これによりトナー供給の中断を未然に防ぐ。
この様に本実施例では、各検出用電極61、62からなるトナー残量センサとPIC63をトナーカートリッジ22に設けており、トナー残量センサによりトナー残量を検出し、PIC63によりトナー残量を判定して画像形成装置のCPU64に送信している。このため、画像形成装置側にトナー残量センサを設けたり、画像形成装置側でトナー残量を判定する必要がなく、画像形成装置の負担を低減させることができ、画像形成装置のコストダウンを図ることができる。また、各検出用電極61、62とPIC63間の配線を極めて短くすることができるので、ノイズの影響を受け難く、トナー残量検出の信頼性が高くなる。これに対して、画像形成装置側にトナー残量センサを設けた場合は、各トナーカートリッジ22a〜22dのトナー残量センサからCPU64へとそれぞれの信号線を引き回す必要があり、ノイズの影響を受け易くなる。
尚、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、多様に変形することができる。例えば、トナーレベルの判定結果、トナーレベルの判定に用いられる閾値やトナー残量センサの検出感度をPIC63内のメモリに記憶するだけではなく、トナーカートリッジ22に係わる他の種類の情報を記憶しても良い。この他の種類の情報としては、画像形成装置からの情報がある。例えば、トナーカートリッジ22内のトナーの攪拌回数(トナーの劣化程度に対応する)や、記録枚数(トナーの使用量に対応する)等の履歴情報がある。これにより、トナーカートリッジ22が複数回交換されても、トナーカートリッジ22内のトナーの履歴情報を画像形成装置に提供することが可能になる。画像形成装置では、この履歴情報に基づいて、トナー供給動作に関する各種の補正を行ない、トナーの安定供給を行なうことができる。