JP2005194768A - コンクリート柱補修および/又は補強工法及び補修および/又は補強部材 - Google Patents

コンクリート柱補修および/又は補強工法及び補修および/又は補強部材 Download PDF

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Abstract

【課題】コンクリート柱の補修や補強において、作業工数の低減を図る場合に、コンクリート柱の横方向の強度の増大を効率的に行うことが出来ない。
【解決手段】電柱1の欠損部位1aに、C字状成形品2を周方向で貼着することにより補修する電柱補修方法を、ブレイディング製法により製造されたパイプ状組物41を軸方向で切断することにより、C字状成形品2を製造し、電柱1に接着剤を塗布し、C字状成形品2を電柱1に巻回して貼り付けるものとし、C字状成形品2用のパイプ状組物を、補修対象の電柱1と同じテーパーのマンドレル上に形成してなるパイプ状組物41とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、コンクリート柱の損傷部に、強化繊維複合材料を貼着することにより補修するコンクリート柱補修方法および、コンクリート柱補修に用いる補修部材の技術に関する。
鉄筋コンクリート製の電柱等のコンクリート柱は、車両の接触などにより、コンクリート表面に亀裂や欠損を生じて、コンクリートの剥離・脱落を引き起こし、強度が大幅に低下することが有る。
コンクリート柱は、構造強度を高めるために、上方へ向かうにつれ径が細くなるように形成されており、コンクリート柱は円柱ではなく、テーパーを有する円錐台形状である。
従来より、亀裂や欠損の発生のため強度の低下したコンクリート柱に対する補強や補修に関わる工法が、各種提案されている。
特許文献1には、電柱(コンクリート柱)の根部の強度を高める補強工法として、電柱の根部を掘り起こして、補修用のシートを電柱に貼着した後、埋め戻す技術が開示されている。特に、前記の補修用シートは、コンクリートよりも引張強度の高い二種類の繊維を、互いに直交するように配置して構成されるシートとしている。そして、このシートを電柱の周方向に沿って巻回しつつ、上下のシートの縁部を重ね合わせることで、シートの有する引張強度方向(繊維方向)が、電柱の周方向と長さ方向とに一致するようにしている。
特許文献2には、亀裂や欠損のある部位の補修に関する技術として、補修部位に、パイプ状のガラス繊維製シートベルトを、電柱に巻回して貼り付ける技術が開示されている。このガラス繊維製シートベルトには、二つのガラス繊維層の繊維方向が互いに直交するように設けられている。そして、このガラス繊維製シートベルトを円筒の型に貼り付けて硬化させてパイプ状とし、電柱に貼り付けることで、シートベルトの有する強度方向(繊維方向)が、電柱の周方向と長さ方向とに一致するようにしている。特に、この場合は、シートがパイプ状であるので、取付け時の位置決めが容易である。
特許文献3には、亀裂や欠損のある部位の補修に関する技術として、鋼板製の筒状体で電柱の外周を包囲した後、電柱と筒状体との隙間に補修用の充填材を注入して硬化させる補修方法が開示されている。
特開2002−89082号公報 特開2000−299914号公報 特開2002−152955号公報
特許文献1に開示される技術では、補修用のシートをコンクリート柱の根部に全面的に貼着するものであるが、掘り起こしや埋め戻しの手間を別としても、きちんとシートを、周方向に沿って上下の縁部を重ねて貼り付ける必要があり、作業が煩雑である。特に、シートの貼り付け方向にムラがあると、コンクリート柱の強度の補強が不完全となる。
また、特許文献1・2に開示される技術では、シートの強度方向(繊維方向)をコンクリート柱の周方向に一致させることで、コンクリート柱の横方向の強度を高めるものであるが、コンクリート柱が先細りであるため、次のような問題がある。
図7に示すように、特許文献2に示されるパイプ状(矩形状)のシート92を、コンクリート柱91に外周に沿って弛み無く貼着させると、周方向の縁部92aの一方が、他方の縁部92aに対して上下方向(電柱91の軸方向)でズレてしまう。これは電柱1がテーパーを有する円錐台形状であるのに対し、シート92が矩形状であることによる。そして、シート92には、互いに直交する二種類の強化繊維が備えられているが、シート92の長手方向と平行に一つの繊維方向Bを設定しても、このシート92を電柱1に貼着させた状態では、この繊維方向Bが柱の周方向に対して、必然的にずれてしまう。
コンクリート柱の横方向の強度を高めるには、シートの貼着状態において、シートの強度方向が柱の周方向に沿っていることが望ましいが、前記シート92のように、繊維の配向方向が直交するシートを円筒状に丸めただけでは、シートの強度方向と柱の周方向とを合わせることはできない。加えて、位置決めの精度は作業者の技量に依存しているので、貼着方向のムラが発生しやすく、繊維の配向方向が柱の周方向に対して更にズレることになる。
もちろん、シートを形成する繊維の配向方向が柱の周方向に対して多少ずれていても、シートを積層すればそれだけ強度は向上するので、シートの積層により柱の強度アップを図ることも可能である。しかしながら、シートの枚数が増えれば増えるほど、補修や補強作業における工数が増大すると共に、これらの作業に必要な部品点数を増大させることになる。出来る限り少ない枚数のシートで補修や補強に必要な強度を得られるならば、その方が望ましい。
また、コンクリート柱が先細りであるため、特許文献3に開示される技術のように、鋼板製の円筒体の補修部材では、単位重量あたりの強度は強化繊維の方が金属よりも高いため、強化繊維と同じ強度の金属製円筒体を用いる場合には、作業者は重量物を用いた作業を強いられることになる。
つまり、解決しようとする問題点は、コンクリート柱の補修や補強において、作業工数の低減を図る場合に、コンクリート柱の強度の増大を効率的に行うことが出来ない点である。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
コンクリート柱の損傷部に、強化繊維複合材料を貼着することにより補修および/又は補強するコンクリート柱補修および/又は補強工法であって、
ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法またはフィラメントワインディング製法により製造された強化繊維複合材料よりなるパイプ状成形品を軸方向で切断することにより、補修用のC字状成形品を製造し、
前記コンクリート柱及び/又はC字状成形品に接着剤を塗布し、
該C字状成形品をコンクリート柱に巻回して貼り付けるものである。
請求項2においては、
コンクリート柱の損傷部に、強化繊維複合材料を貼着することにより補修および/又は補強するコンクリート柱補修および/又は補強工法であって、
ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法またはフィラメントワインディング製法によりパイプ状成形品を製造し、
前記コンクリート柱及び/又は前記パイプ状成形品の内側に接着剤を塗布し、
該パイプ状成形品をコンクリート柱の外側に嵌めるものである。
請求項3においては、
コンクリート柱の損傷部に、強化繊維複合材料を貼着することにより補修および/又は補強するコンクリート柱補修および/又は補強工法であって、
強化繊維又は予め樹脂を浸透させた強化繊維を用いて丸みの付与された強化繊維シートを製造し、
前記コンクリート柱及び/又は前記強化繊維シートに接着剤を塗布し、
該強化繊維シートをコンクリート柱に巻回して貼り付けるものである。
請求項4においては、
前記パイプ状成形品を、
前記コンクリート柱と同じテーパーのマンドレル上に形成してなるパイプ状成形品としたものである。
請求項5においては、
前記パイプ状成形品を、
マンドレルの軸方向に対して0°方向に配向する中央糸と、前記軸方向に対して±Θの組角度で配向する組糸とによる三軸配列構造の成形品としたものである。
請求項6においては、
コンクリート柱の損傷部に、周方向で貼着することにより補修および/又は補強するための補修および/又は補強部材であって、
ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法またはフィラメントワインディング製法により、前記コンクリート柱と同じテーパーのマンドレル上に製造されるパイプ状成形品を、軸方向で切断してなるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、積層することなく一体のC字状成形品で、コンクリート柱に強度を効果的に付与することができる。また、C字状成形品2をコンクリート柱の外周に合うように丸める作業が不要である。つまり、作業工数の増大や作業に必要な部材点数の削減に繋がる。
特に、C字状成形品がマンドレルの軸方向に沿って丸められているため、コンクリート柱への位置決めが容易である。
請求項2においては、積層することなく一体のパイプ状成形品で、電柱1に強度を効果的に付与することができる。また、パイプ状成形品を電柱1の外周に合うように丸める作業が不要である。
特に、パイプ状成形品がマンドレルの軸方向に沿って丸められているため、電柱1への位置決めが容易である。
請求項3においては、一枚のシートでコンクリート柱に強度を効果的に付与することができ、補修作業の工数を短縮することが出来る。
また、積層することなく一枚の丸みを付与されたシートで、コンクリート柱に強度を効果的に付与することができる。また、シートをコンクリート柱の外周に合うように丸める作業が不要である。
請求項4においては、請求項1または請求項2の効果に加えて、コンクリート柱に貼着した状態における強化繊維シートの繊維配向方向を製造時に自在に設定できる。特に、コンクリート柱のテーパーの有無によらず、コンクリート柱の周方向で、強化繊維複合材料の繊維配向方向を均一とすることができ、補修後のコンクリート柱の強度に脆弱な部分が発生しない。
加えて、強化繊維複合材料がコンクリート柱の軸方向に沿って丸められるだけでなく、コンクリート柱とテーパーも付与されているので、コンクリート柱に貼着する際に強化繊維複合材料の位置決めが容易である。
請求項5においては、請求項1または請求項2または請求項4の効果に加えて、一体のパイプ状成形品により、コンクリート柱の軸方向と半径方向との両方向に強度を付与することができ、補修作業に必要な部材点数の削減に繋がる。
請求項6においては、コンクリート柱に貼着した状態における強化繊維の繊維配向方向を製造時に自在に設定できる。特に、コンクリート柱のテーパーの有無によらず、コンクリート柱の周方向で、強化繊維の繊維配向方向を均一とすることができ、補修後のコンクリート柱の強度に脆弱な部分が発生しない。
加えて、強化繊維複合材料がコンクリート柱の軸方向に沿って丸められるだけでなく、コンクリート柱とテーパーも付与されているので、コンクリート柱に貼着する際に強化繊維複合材料の位置決めが容易である。
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
本実施の形態である補修工法は、コンクリート製電柱(以下電柱)1の補修工法(以下電柱補修工法)としている。
電柱1の強度を補うための補修(もしくは補強)は、電柱1に、パイプ状組物を切断してなるC字状成形品2を巻回して貼着することにより実施するものとしており、本電柱補修工法はその施工手順を示すものである。
なお、本発明は、コンクリート柱補修および/又は補強工法と、それに用いる補修および/又は補強部材とであるが、本実施の形態では、コンクリート柱補修工法および補修部材としている。
つまり、以下で詳しく説明するパイプ状成形品(組物)は、コンクリート柱の補修にも補強にも利用することのできるものであるが、本実施の形態では特に補修を意図した施行について説明するものである。
ここで、パイプ状成形品(組物)を利用してコンクリート柱の補強を行うことも、当然ながら可能であり、補修と補強とが同時に達成されることも、もちろんある。
図1に示すように、電柱補修工法は、補修用のC字状成形品2の製造工程(ステップ100)と、C字状成形品2の現場(電柱1の設置箇所)への搬入工程(ステップ200)と、電柱1に接着剤を塗布する塗布工程(ステップ300)と、C字状成形品2を電柱1へ貼り付ける貼着工程(ステップ400)と、からなっている。
例えば、図2に示すように、電柱1の外壁に欠損部位1aがある場合、この欠損部位1aにおいて電柱1の強度が低下する。
そこで、図3に示すように、この強度低下を防止すべく、C字状成形品2を周方向に沿って電柱1に巻回して貼着することで、電柱1の強度の低下を防止する。
なお、C字状成形品2の取付けによる電柱1の補修は、電柱1に欠損がある場合に限定されるものではなく、外壁に亀裂や表面劣化等がある場合など、電柱1に損傷があって強度低下が発生する場合一般に有効である。
補修用のC字状成形品2の製造工程について説明する。
この製造工程は、詳しくは、ブレイディング製法によりパイプ状組物を製造するパイプ製造工程と、パイプ状組物を切断してC字状成形品2を製造する切断工程と、からなっている。
ブレイディング製法は、詳しくは後述するが、繊維をマンドリル(芯金)上に巻き付けてパイプ状の組物を製造する製法であり、この製法は、巻角度を変えられるなどの高い設計自由度を有している。
ブレイディング製法によるパイプ状組物の製造において、原糸とされているのは、ガラス繊維、アラミド繊維、カーボン繊維等の強化繊維である。
加えて、このパイプ状組物の製造において、本実施の形態では、樹脂による硬化処理も施されるものとしており、この処理を受けたパイプ状組物は、FRP(繊維強化プラスティック)製のパイプ状部材となる。
そして、図4に示すように、前記切断工程で製造されたパイプ状組物を、切断装置により軸方向に切断することにより、円筒状に丸まったC字状成形品2が製造される。
製造工程でC字状成形品2が製造されると、このC字状成形品2が、補修対象の電柱1の立設されている現場へ搬入される(搬入工程)。
次いで、図5に示すように、欠損部位1a等の損傷部の周辺部を含むように、電柱1の外周に沿って接着剤3が塗布される(塗布工程)。
接着剤の塗布方式としては、例えば、主剤と硬化剤とからなる接着剤を容器で混合させた後、ヘラ等を用いて、電柱1の外壁上に塗りつけるものである。
また、主剤と硬化剤とを混合して噴射するスプレーを用いて、スプレー噴射により接着剤を電柱1の外壁上に塗布するものとしても良い。この場合は、接着剤の混合を手作業で行う必要が無く、スプレーによる吹付け作業自体もヘラ等による塗り付けに比して容易であり、さらには使用後の器材の洗浄等の作業も不要で、メンテナンス性に優れている。
塗布が完了すると、電柱1の外周に沿ってC字状成形品2を電柱1に巻回するように押し付けて、電柱1にC字状成形品2を貼着させる(貼着工程)。
そして、貼着作業が終了して接着剤が硬化すると、電柱1の補修が完了する(図3)。
なお、C字状成形品を粘着シートに構成して、接着剤を電柱1に塗布することなく、粘着シートの有する粘着性を利用して、C字状成形品を電柱1に貼着するものとしても良い。
この補修用のC字状成形品の構成としては、少なくとも裏面に、粘着剤層と、粘着剤層を被覆する防塵用のフィルムとが設けられるものとする。そして、フィルムを剥がしてC字状成形品を電柱に押し付け、硬化を待つことで、貼着が完了するものである。
この場合、C字状成形品の製造工程において、粘着シート化の処理が追加されることになるが、塗布工程を省略することが出来て、電柱補修作業における作業者の負担がより一層軽減される。
以上で説明した電柱補修工法についてまとめる。
この電柱補修工法は、電柱1の損傷部1aに、強化繊維複合材料を貼着することにより補修する工法である。
そして、この電柱補修工法は、強化繊維複合材料を用いてなる補修用シートの製造工程、電柱1への接着剤の塗布工程、電柱1への補修用シートの貼着工程を備えている。
特に、補修用シートは、強化繊維又は予め樹脂を浸透させた強化繊維を用いて、丸みが付与されるように製造される。なお、予め樹脂を浸透させた強化繊維を用いることで、単なる強化繊維を用いる場合よりも、補修用シートのFRP化が容易である。
前記製造工程において、本実施の形態では、ブレイディング製法により製造されたパイプ状組物40を軸方向で切断することにより、補修用シートとしてのC字状成形品2を製造するものとしているが、特に強化繊維複合材料よりなる丸みを付与された補修用シートの製法を限定するものではない。
また、前記塗布工程の作業としては、電柱1のみに接着剤を塗布する場合だけでなく、補修用シートとしてのC字状成形品2のみに接着剤を塗布するようにしたり、電柱1およびC字状成形品2の双方に接着剤を塗布するようにしてもよい。特に、C字状成形品2のみに接着剤を塗布する場合の変形例としては、前述したようにC字状成形品2を粘着シート化する場合がある。
このため、強度が高いと共に丸みを帯びた補修部材が製造される。
したがって、一枚のシートでコンクリート柱に強度を効果的に付与することができ、補修作業の工数を短縮することが出来る。
また、積層することなく一枚の丸みを付与されたシートで、コンクリート柱に強度を効果的に付与することができる。また、シートをコンクリート柱の外周に合うように丸める作業が不要である。
特に、前記C字状成形品2は、ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法またはフィラメントワインディング製法により製造されたパイプ状成形品を軸方向で切断することにより製造されるものとしている。
そして、このC字状成形品2を、電柱1の損傷部1aに周方向で貼着することにより補修することにより、電柱1の補修が行われるものとしている。
このため、C字状成形品2が一体の成形品として形成され、C字状成形品2自体の強度が、高められる。
また、C字状成形品2が、マンドレル(成形用の型)の外周上で成形されるため、丸みを帯びた状態で製造される。
したがって、積層することなく一体のC字状成形品2で、電柱1に強度を効果的に付与することができる。また、C字状成形品2を電柱1の外周に合うように丸める作業が不要である。つまり、作業工数の増大や作業に必要な部材点数の削減に繋がる。
特に、C字状成形品2がマンドレルの軸方向に沿って丸められているため、電柱1への位置決めが容易である。
特に、ブレイディング製法を用いて、C字状成形品2を製造することにより、C字状成形品2が組物として形成される。この場合は、C字状成形品2自体の強度が、直交する繊維を樹脂で固めて製造された強化繊維シートに比しても高いものとなる。
また、前記パイプ状成形品を切断することなく、そのまま電柱1の外側に嵌め込んで用いるための強化繊維複合材料として、活用しても良い。
つまり、電柱補修工法を、次の構成とするものである。補修用のパイプ状成形品の製造工程において、ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法またはフィラメントワインディング製法によりパイプ状成形品を製造する。塗布工程において、前記コンクリート柱及び/又は前記パイプ状成形品の内側に接着剤を塗布する。貼着工程において、パイプ状成形品を電柱1の外側に嵌める。
このため、補修部材が一体の成形品でありかつ環状に形成されて、強度が高められる。
したがって、積層することなく一体のパイプ状成形品で、電柱1に強度を効果的に付与することができる。また、パイプ状成形品を電柱1の外周に合うように丸める作業が不要である。
特に、パイプ状成形品がマンドレルの軸方向に沿って丸められているため、電柱1への位置決めが容易である。
特に、ブレイディング製法を用いて、パイプ状成形品を製造することにより、パイプ状成形品が組物として形成される。この場合は、パイプ状成形品自体の強度が、直交する繊維を樹脂で固めて製造された強化繊維シートに比しても高いものとなる。
次に、C字状成形品2の特徴点について説明する。
C字状成形品2製造用のパイプ状成形品は、ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法あるいはフィラメントワインディング製法により製造されるものである。これらの製法では、連続繊維を巻き付けて成形品を製造する点が共通しており、この共通点より以下で説明する特徴点が生じている。
本実施の形態では、C字状成形品2をブレイディング製法を用いて製造しており、特に、前記パイプ状成形品が、パイプ状組物として製造されている。
図6に示すパイプ状組物41は、ブレイディング製法により製造されたパイプ状組物の一例であり、強化繊維が三軸で配列された構造を有している。
この三軸とは、強化繊維の配向方向の異なる三方向のことであり、一つは、成形軸(マンドレルの軸)と平行な配向方向であり、他の二つは、成形軸に対して所定の組角度Θだけ傾斜している配向方向である。ここで、マンドレルの表面は二次元であるので、成形軸に対してΘだけ傾斜する方向が二つ存在する。つまり、成形軸に対して組角度Θだけ傾斜している配向方向には、組角度が+Θの方向と、組角度が−Θの方向とがある。
図6において、中央糸Y2は組角度0°の強化繊維であり、組糸Y1aは組角度+Θの強化繊維、組糸Y1bは組角度−Θの強化繊維である。
なお、ブレイディング製法によるC字状成形品2用のパイプ状組物としては、図6に示す三軸配列構造のパイプ状組物に限定するものではなく、中央糸Y2のない二軸配列構造のパイプ状組物としても良い。
ブレイディング製法においては、繊維の組角度を幅広い範囲で自在に設定することができる。
前述では成形軸に対する±方向で組角度を定義しているので、組角度として取り得る範囲は、0°から±90°である。例えば、95°は−85°に等しい。
そして、ブレイディング製法では、組角度を±90丁度とすることはできないが、0°から90°近傍の角度域まで、組角度を自在に設定することが出来る。なお、組角度が±90°に近づくにつれ、強化繊維が密に組まれることになるため、製造されるパイプ状組物の厚みが増すことになる。
加えて、成形軸上の任意の箇所で、組角度の設定が可能である。つまり、一つのパイプ状組物の製造において、端部は密に強化繊維を組みながら、中央部では疎に強化繊維を組むようにすることも可能である。
また、ブレイディング製法においては、テーパーを有するマンドレル上に組物を形成することも当然可能であるが、このときテーパーの有無やその大きさによらず、均一な組角度でパイプ状組物を製造することができる。
また、ブレイディング製法においては、単層のパイプ状組物を積層してなるパイプ状組物体を製造することも可能である。積層する毎に、より強度の高いパイプ状組物体が構成され、これを軸方向で切断してなるC字状成形品の強度も当然向上する。
また、組物の積層だけでなく、他のクロス材やUD(uni directional)材、編物などの基材と、組物の積層としてもよい。なお、UD材とは、炭素繊維を一方向に引き揃え、樹脂で粘着したシート状材料のことである。
以上においては、ブレイディング製法について説明したが、同じく連続繊維を巻き付けて成形品を製造するシートワインディング製法やフィラメントワインディング製法においても、共通の特徴がある。
これらの製法はいずれも、成形の型であるマンドレル上に連続繊維を巻き付けて成形品を製造するので、マンドレルの型に合った形状の成形品を自在に製造可能である。
また、これらの製法はいずれも、繊維の組角度を幅広い範囲で自在に設定することができる。なお、シートワインディング製法においては、巻き付けの対象は繊維束ではなくシートであるが、シートの繊維方向をシートの長手方向と一致させることで、フィラメントワインディング製法と同様に、繊維の組角度を自在に設定可能である。
特に、ブレイディング製法においては、製造される成形品自体が組物で構成されるので、シートワインディング製法やフィラメントワインディング製法に比して、製造される成形品の強度が高いという特徴がある。
以上を前提として、C字状成形品2の特徴点について説明する。
まず、C字状成形品2は、電柱1の損傷部に、周方向で貼着することにより補修するための補修部材である。
また、このC字状成形品2は、ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法あるいはフィラメントワインディング製法により製造されたパイプ状組物を軸方向で切断することにより、製造されるものである。特に、本実施の形態では、ブレイディング製法により製造されたパイプ状組物を軸方向で切断することにより、製造されている。
さらに、このパイプ状組物は、電柱1と同じテーパーのマンドレル上に形成してなるパイプ状組物としている。
このため、製造時に設定した組角度と、貼着状態のC字状成形品2の繊維配向方向とが、一致する。
加えて、C字状成形品2が、電柱1と同じテーパーの丸みを付与されて製造される。
したがって、電柱1に貼着した状態におけるC字状成形品2の繊維配向方向を製造時に自在に設定できる。特に、電柱1のテーパーの有無によらず、電柱1の周方向で、C字状成形品2の繊維配向方向を均一とすることができ、補修後の電柱1の強度に脆弱な部分が発生しない。
加えて、C字状成形品2が電柱1の軸方向に沿って丸められるだけでなく、電柱1とテーパーも付与されているので、電柱1に貼着する際にC字状成形品2の位置決めが容易である。
また、C字状成形品2用のパイプ状成形品は、マンドレルの軸方向に対して0°方向に配向する中央糸Y2と、前記軸方向に対して±Θの組角度で配向する組糸Y1a・Y1bとによる三軸配列構造の成形品としている。
特に、ブレイディング製法で製造する場合は、三軸配列構造の組物の成形品となる。
このため、C字状成形品2が電柱1に貼着された状態において、電柱1の周方向に沿って中央糸Y2からなる強化繊維が配向されて、C字状成形品2はこの方向に引張応力を発揮する。また、組角度+Θの組糸Y1aからなる強化繊維と、組角度−Θの組糸Y1bからなる強化繊維とにより、電柱1の軸方向と、電柱1の半径方向とにC字状成形品2が引張応力を発揮する。
特に、組角度を90°に近づけるにつれ、電柱1の半径方向におけるC字状成形品2の引張応力が増大する。
したがって、一枚のC字状成形品2により、電柱1の軸方向と半径方向との両方向に強度を付与することができ、補修作業に必要な部材点数の削減に繋がる。
電柱補修工法のフロー図である。 外壁に欠損を有するコンクリート柱の一部を示す斜視図である。 C字状成形品が貼着されたコンクリート柱の一部を示す斜視図である。 パイプ状組物の切断方向を示す斜視図である。 接着剤塗布状態の電柱1を示す斜視図である。 パイプ状組物における強化繊維の三軸配列構造を示す斜視図である。 従来の補修用シートが貼着されたコンクリート柱の一部を示す斜視図である。
符号の説明
1 電柱
1a 欠損部位
2 C字状成形品
3 接着剤
Y1a 組糸
Y1b 組糸
Y2 中央糸

Claims (6)

  1. コンクリート柱の損傷部に、強化繊維複合材料を貼着することにより補修および/又は補強するコンクリート柱補修および/又は補強工法であって、
    ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法またはフィラメントワインディング製法により製造された強化繊維複合材料よりなるパイプ状成形品を軸方向で切断することにより、補修用のC字状成形品を製造し、
    前記コンクリート柱及び/又はC字状成形品に接着剤を塗布し、
    該C字状成形品をコンクリート柱に巻回して貼り付ける、
    ことを特徴とするコンクリート柱補修および/又は補強工法。
  2. コンクリート柱の損傷部に、強化繊維複合材料を貼着することにより補修および/又は補強するコンクリート柱補修および/又は補強工法であって、
    ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法またはフィラメントワインディング製法によりパイプ状成形品を製造し、
    前記コンクリート柱及び/又は前記パイプ状成形品の内側に接着剤を塗布し、
    該パイプ状成形品をコンクリート柱の外側に嵌める、
    ことを特徴とするコンクリート柱補修および/又は補強工法。
  3. コンクリート柱の損傷部に、強化繊維複合材料を貼着することにより補修および/又は補強するコンクリート柱補修および/又は補強工法であって、
    強化繊維又は予め樹脂を浸透させた強化繊維を用いて丸みの付与された強化繊維シートを製造し、
    前記コンクリート柱及び/又は前記強化繊維シートに接着剤を塗布し、
    該強化繊維シートをコンクリート柱に巻回して貼り付ける、
    ことを特徴とするコンクリート柱補修および/又は補強工法。
  4. 前記パイプ状成形品を、
    前記コンクリート柱と同じテーパーのマンドレル上に形成してなるパイプ状成形品とした、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート柱補修および/又は補強工法。
  5. 前記パイプ状成形品を、
    マンドレルの軸方向に対して0°方向に配向する中央糸と、前記軸方向に対して±Θの組角度で配向する組糸とによる三軸配列構造の成形品とした、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項4に記載のコンクリート柱補修および/又は補強工法。
  6. コンクリート柱の損傷部に、周方向で貼着することにより補修および/又は補強するための補修および/又は補強部材であって、
    ブレイディング製法もしくはシートワインディング製法またはフィラメントワインディング製法により、前記コンクリート柱と同じテーパーのマンドレル上に製造されるパイプ状成形品を、軸方向で切断してなる、
    ことを特徴とする補修および/又は補強部材。
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