JP2005194689A - 防火扉 - Google Patents

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修治 荒木
Masaki Kobayashi
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【課題】本発明の目的は、電気コードや光ケーブル等のケーブル類を防火扉の内部に配線する際に、配線用空隙にも簡便な手段により防火対策を施した防火扉を提供することにある。
【解決手段】本発明の防火扉は、ケーブル類を配線するための空隙及び該空隙内に設置されたケーブル類を備えてなる防火扉において、ケーブル類は、外周面上に被覆された加熱膨張性コーティング層を有する構成のものであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、防火扉に関し、更に詳細には、一般住宅、集合住宅、ホテル等に用いられる防火扉に関するものである。
最近、一般住宅、集合住宅、ホテル等に用いられる防火扉には、電子錠等の電子機器が設置されるようになり、それに伴って防火扉の内部には、電線、通信用ケーブル、光ケーブル等のケーブル類を配線することが多くなっている。この場合、防火扉内部にケーブル類を配線するための空隙を設ける必要がある。しかし、防火扉内部に空隙を設けると、その箇所の防火性能が低下する危険がある。その解決策として、例えば特許文献1には、給電線からの給電により当該開閉装置にて操作機構を駆動制御して扉を開閉する開閉装置において、当該開閉装置を上記給電線及び操作機構の貫通部分を除いて不燃材からなる筐体にて密封状に覆うと共に、上記貫通部分の周囲に、熱膨張することにより該貫通部分に形成された間隙を防ぐ熱膨張性の不燃シール材を配設したことを特徴とする扉の開閉装置が開示されている。
また、特許文献2には、芯材の表裏両面に炭素質材料を耐火層として積層し、更に各耐火層の上に夫々表面材を積層して一体化したことを特徴とする木質系耐火ドアが開示されている。
更に、特許文献3には、無機質繊維45〜60重量%(質量%)、アラミド繊維5〜10重量%(質量%)、ゴム10〜20重量%(質量%)及び膨張性黒鉛10〜25重量%(質量%)を含有してなることを特徴とする加熱膨張性断熱シール材が開示されている。
また、特許文献4には、膨張材としての酸処理黒鉛と、耐熱補強材としての無機質繊維と、耐熱結合材としての繊維状無機質充填材と、加熱前の形状保持材としての有機結合材とからなる混合物を抄造法によりシート状に形成したことを特徴とする熱膨張性無機質繊維複合剤が開示されている。
特開平6−26265号公報 特許請求の範囲 特開平8−158754号公報 特許請求の範囲 特開平5−295351号公報 特許請求の範囲 特開平8−143856号公報 特許請求の範囲
上記特許文献1に記載された扉の開閉装置では、開閉装置の本体の周囲に熱膨張性の不燃シール材を敷設することにより、ケーブル等が配設されている貫通部分をシールすることが開示されているものの、貫通部分全体にわたる防火対策はなされていない。また、特許文献2に記載されている木質系防火ドアにおいては、ケーブル等の配線時に生ずる空隙についての防火対策は何ら考慮されていない。更に、特許文献3及び4は、加熱膨張性断熱シール材に関するものであるが、これらの材質をケーブル等の配線時に空隙にケーブル等と共に装填しても、ケーブル等の配線の保守、点検等を行なう際には、シール材を取り外す必要があり、作業性やコストの面で問題がある。
なお、本出願人らは、特願2003−423336号において、ケーブルまたは管材から構成される芯材と、芯材の外周面上に被覆された加熱膨張性コーティング層からなることを特徴とする加熱膨張性線状部材及び押出成形機のノズル部から芯材と加熱膨張性組成物を同時に引き出すことにより芯材の外周面上に加熱膨張性コーティング層を被覆することを特徴とする加熱膨張性線状部材の製造方法を出願している。
従って、本発明の目的は、電気コードや光ケーブル等のケーブル類を防火扉の内部に配線する際に、配線用空隙にも簡便な手段により防火対策を施した防火扉を提供することにある。
即ち、本発明は、ケーブル類を配線するための空隙及び該空隙内に設置されたケーブル類を備えてなる防火扉において、ケーブル類は、外周面上に被覆された加熱膨張性コーティング層を有する構成のものであることを特徴とする防火扉に係るものである。
また、本発明は、ケーブル類が、押出成形機のノズル部からケーブル類と加熱膨張性組成物を同時に引き出すことによりケーブル類の外周面上に加熱膨張性コーティング層を被覆したものであることを特徴とする。
更に、本発明は、加熱膨張性コーティング層が、無機質繊維45〜60質量%、アラミド繊維5〜10質量%、ゴム10〜20質量%及び膨張性黒鉛10〜25質量%の組成を有するものであることを特徴とする。
本発明の防火扉によれば、防火扉内部の配線に使用するケーブル類として外周面上に被覆された加熱膨張性コーティング層を有する構成のものを使用することにより、防火扉が火災等による熱に曝された場合に、配線のために設置された空隙を加熱膨張性コーティング層が膨張して閉塞すると共に断熱材層としても機能し、優れた防火性能を付与することができる。また、ケーブル類自体に加熱膨張性コーティング層が被覆されているために、点検や修理などの際にケーブル類等の取り替え作業時に既存の設備を取り壊すといった繁雑な作業を行なうことがなくなり、コスト的にも非常に有利である。
本発明の防火扉は、防火扉の内部に電線、通信用ケーブル、光ファイバーのようなケーブル類を配線するための空隙を設置することによる防火性能の低下を、加熱膨張性コーティング層を有するケーブル類を配設することにより防止するものである。この加熱膨張性コーティング層は、火災等により防火扉が熱に曝された時に、膨張して配線用の空隙を閉塞すると共に断熱材層としても機能する。
ここで、本発明の防火扉の内部に配線されるケーブル類は特に限定されるものではなく、例えば塩化ビニル被覆電線のような電線類、通信用ケーブル類、光ファイバー類等を挙げることができる。
また、ケーブル類の外周面上に被覆される加熱膨張性コーティング層は、例えば無機質繊維45〜70質量%、アラミド繊維5〜10質量%、ゴム10〜20質量%及び膨張性黒鉛10〜25質量%の組成を有するものを使用することができる。ここで、無機質繊維としては、例えばガラス繊維、岩綿、セラミック繊維等の人造繊維あるいはセピオライト、ワラストナイト等の天然鉱物繊維が使用できる。無機質繊維の配合量が45質量%未満であると、ゴム、アラミド繊維、膨張性黒鉛が燃焼焼失した後の断熱層の形状保持が困難となり、また、70質量%を超えると、加熱膨張性コーティング層をケーブル類の外周面上に被覆する際に、可撓性が損なわれるために好ましくない。
また、アラミド繊維の配合量が5質量%未満であると、加熱膨張性コーティング層を芯材の外周面上に被覆する際に、可撓性が得られず、また、ゴム、膨張性黒鉛及び無機質繊維への充分な絡み性が得られないために好ましくない。また、10質量%を超えると、アラミド繊維同志の絡みが多くなり、膨張抑制効果が働き過ぎて配合効果を失うために好ましくない。
更に、ゴムとしては、例えばNB、NBR、SBR、IR、アクリルゴム、シリコンゴム等が使用でき、また、これらのゴムのラテックスも使用できる。ゴムの配合量が10質量%未満であると、充分なバインダー効果が得られないために好ましくない。また、20質量%を超えると、ゴム焼失後の形状保持が困難となるために好ましくない。
また、膨張性黒鉛としては、天然に得られる結晶性の鱗片状黒鉛を酸処理して熱膨張性能をもたせたものが使われ、中でも10〜60メッシュの大きさの粒径をもつものが好ましい。これは一般に粒径の大きなものほど膨張比率が大きく、従って、加熱膨張性コーティングに用いる際に、膨張効果を得易いためである。膨張性黒鉛の配合量が10質量%未満であると、充分な膨張効果が得られないために好ましくない。また、25質量%を超えると、膨張後の形状保持が困難となるために好ましくない。
なお、加熱膨張性コーティング層には、上記成分に加えてゴムの老化防止剤やゴムの難燃化剤を配合することができる。ゴムの老化防止剤としては例えばアミン系老化防止剤、アミン・ケトン系老化防止剤(TMDQ)を使用することができ、その配合量は上記成分の合計量当り外割で0.3〜3質量%、好ましくは0.5〜1.5質量%の範囲内である。また、ゴムの難燃化剤としては塩化パラフィンのようなハロゲン系難燃化剤やリン酸エステル系難燃化剤等を使用することができ、その配合量は老化防止剤を除く合計量当り外割で3〜7質量%、好ましくは4〜6質量%の範囲内である。また、加熱膨張性コーティング層に、無機系着色剤を配合して加熱膨張性コーティング層を適宜着色することもできる。無機系着色剤としては例えばカーボンブラック、ホワイトカーボン、ベンガラ等を挙げることができる。無機系着色剤の配合量は上記成分の合計量当り外割で0.5〜3質量%、好ましくは1〜2質量%の範囲内である。
なお、加熱膨張性コーティング層の厚さは特に限定されるものではなく、防火扉内部のケーブル類を配設する部位の空隙の容積や要求される断熱性等を勘案して適宜設定することができる。
また、ケーブル類の外周面上への加熱膨張性コーティング層の被覆は、押出成形機を用い、トルエン、アセトン、MEK等の有機溶剤にてゴムを溶解したゴム糊またはラテックスへ、無機質繊維、アラミド繊維、膨張性黒鉛並びに各種添加剤を湿式混合して粘土状混合物(加熱膨張性組成物)とし、押出成形機のノズルからケーブル類と同時に押し出すことにより、ケーブル類の外周面上に加熱膨張性コーティング層を形成し、次に、得られた加熱膨張性コーティング層を有するケーブル類を、乾燥炉等に装入して有機溶剤を蒸発除去することにより行なうことができる。
以下に実施例を挙げて本発明の防火扉を更に説明する。
ケーブルの作成例:
線径5mmの塩化ビニル被覆電線に、ガラス繊維1質量%、セラミック繊維10質量%、セピオライト45質量%、アラミド繊維6質量%、膨張性黒鉛16質量%、NR11質量%、NBR11質量%、アミン系老化防止剤1質量%(外割)及びハロゲン系難燃化剤及びリン酸エステル系難燃化剤合計量6質量%(外割)、カーボンブラック2質量%(外割)の配合割合を有する加熱膨張性コーティング層を押出成形機にて押出成形し、次いで熱風乾燥炉に通すことにより1mmの厚さに被覆した。
次に、得られた塩化ビニル被覆電線を電気加熱炉にて、200℃、250℃、300℃及び350℃の温度で5分間にわたり加熱した後の塩化ビニル被覆電線の直径は下記の通りであった:
加熱温度 塩化ビニル被覆電線の直径(mm)
200℃ 20
250℃ 30
300℃ 30
350℃ 30
次に、上述のようにして得られた加熱膨張性コーティング層を有する塩化ビニル被覆電線を防火扉に配線する例を図を用いて説明する。図1は、本発明の防火扉の1実施態様を示す図であり、防火扉は、表面材(1)、芯材(2)及び框(3)より構成されている。ここで、表面材(1)及び框(3)は、金属製または木製であることができる。また、芯材(2)は、断熱材や耐火材等から構成される。
このような構成を有する防火扉の芯材(2)の所定の位置にケーブルを配線するための貫通孔(4:断面約10mm角)を設け、この貫通孔(4)内に加熱膨張性コーティング層を有する塩化ビニル被覆電線(5)を通し、この加熱膨張性コーティング層を有する塩化ビニル被覆電線(5)の一端を電子錠(6)に接続し、他端を防火扉以外の部位に設置された電源や制御システム(図示せず)に接続することができる。
このような構成を有する防火扉によれば、貫通孔(4)内に加熱膨張性コーティング層を有する塩化ビニル被覆電線(5)を通すという極めて簡単な作業により、防火扉が熱に曝された時に貫通孔(4)を閉塞できると共に断熱材層を形成することができ、たとえ塩化ビニル被覆電線が焼失したとしても、その後においても断熱性を提供することができる。
なお、図1においては、表面材(1)、芯材(2)及び框(3)より構成される防火扉について説明したが、本発明の防火扉はこれに限定されるものではなく、電線、通信用ケーブル、光ファイバー等のケーブル類が配線されるあらゆる防火扉に適用できることは言うまでもない。
本発明の防火扉は、一般住宅、集合住宅、ホテル等の防火扉として好適に使用できる。
本発明の防火扉の1実施態様を示す図である。
符号の説明
1 表面材
2 芯材
3 框
4 貫通孔
5 加熱膨張性コーティング層を有する塩化ビニル被覆電線
6 電子錠

Claims (3)

  1. ケーブル類を配線するための空隙及び該空隙内に設置されたケーブル類を備えてなる防火扉において、ケーブル類は、外周面上に被覆された加熱膨張性コーティング層を有する構成のものであることを特徴とする防火扉。
  2. ケーブル類は、押出成形機のノズル部からケーブル類と加熱膨張性組成物を同時に引き出すことによりケーブル類の外周面上に加熱膨張性コーティング層を被覆したものである、請求項1記載の防火扉。
  3. 加熱膨張性コーティング層が、無機質繊維45〜60質量%、アラミド繊維5〜10質量%、ゴム10〜20質量%及び膨張性黒鉛10〜25質量%の組成を有するものである、請求項1または2項記載の防火扉。
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