JP2005193787A - エネルギー吸収体 - Google Patents

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Abstract

【課題】2次元の積層繊維構造体を使用した従来のエネルギー吸収体に比較して重量増加が数%以下でエネルギー吸収能を高めることができるエネルギー吸収体を提供する。
【解決手段】エネルギー吸収体11は、繊維構造体を強化材とした繊維強化樹脂からなる。繊維構造体は、連続繊維からなる繊維束が少なくとも2軸配向となるように配列された積層繊維群と、積層繊維群を厚さ方向に貫通するように配列された拘束糸14とを備えて板状に構成されている。拘束糸14は積層繊維群の繊維配列面に直交するように配列されている。拘束糸14は積層繊維群への挿入密度が28000本/m以上である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エネルギー吸収体に係り、詳しくは衝撃力を受ける部位に配置されて使用されるとともに、繊維強化樹脂から成るエネルギー吸収体に関する。
自動車の車体の前部や後部等の衝撃を受ける部位には衝撃時において変位し、かつ圧縮破壊されてエネルギーを吸収するエネルギー吸収体が設けられることが多い。例えば、車両のフロントサイドメンバやリヤサイドメンバは衝突エネルギーの吸収部材(エネルギー吸収体)として重要である。エネルギー吸収体を金属で形成した場合、重量が重くなる。そこで、軽量化を図るためエネルギー吸収体を繊維強化樹脂で構成することが行われている。
この種のエネルギー吸収体として、図11に示すように、繊維強化樹脂で円筒状に形成されるとともに、強化繊維として、短繊維、長繊維、ガラス繊維、カーボン繊維を適宜組み合わせて使用したエネルギー吸収体41が提案されている(特許文献1参照)。エネルギー吸収体41の先端にはテーパ部42が形成されている。エネルギー吸収体41の内側にはθ繊維部43が設けられ、θ繊維部43の外側の先端側にはガラス繊維部44が設けられ、θ繊維部43の基端側にはカーボン繊維部45が設けられている。θ繊維部43とは、繊維が円筒の軸方向に対して正負の角度θを成すように配列される繊維を意味する。また、θ繊維部43の中間部にはガラス繊維部44及びカーボン繊維部45が重なる状態で設けられている。そして、衝突初期にはθ繊維部43のみが破壊荷重を高めるのに寄与し、かつテーパ部42が存在するため、低い荷重で破壊が生じる。その後、ガラス繊維部44及びカーボン繊維部45が重なる部分が破壊される際に荷重が上昇してエネルギー吸収量が増加する。更に破壊が進み、カーボン繊維部45が破壊される際に更に荷重が上昇して、エネルギー吸収量が更に増加する。
連続繊維(フィラメント繊維)からなる繊維束を一定方向に配列した繊維層を複数積層するとともに、各繊維層の繊維(繊維束)の配列方向として互いに直交する方向(繊維の配向角が0度と90度)となるようにした繊維強化樹脂は、短繊維を強化繊維とした繊維強化樹脂に比較して強度が高い。このような繊維強化樹脂(2次元の積層繊維構造体)は、例えば、一方向に繊維束が配列されたプリプレグを、繊維束の配列方向が異なるように積層した後、樹脂を硬化させて形成される。
特開平8−177922号公報(明細書の段落[0009]、図1)
2次元の積層繊維構造体をその厚さ方向と直交する方向から力を加えて圧縮すると、厚さ方向の中央付近の層間にクラックが入り、層間割れが進行する。そのため、2次元の積層繊維構造体でエネルギー吸収体を構成して使用した場合、圧縮時にエネルギー吸収体が破壊されることによりエネルギーを吸収する際、エネルギー吸収に対して層間の樹脂特性の影響が大きくなり、強化繊維の効果が十分に発揮されない。
特許文献1に記載のエネルギー吸収体は、強化繊維として複数種のものを使用して、エネルギー吸収体の破壊開始端側から他端側に向かって順に強度の高い繊維材料を配設することにより、所望の荷重−変位変化を得ることができるとしている。この場合、エネルギー吸収体の軸方向に破壊が進むに従って破壊に必要な圧縮荷重が大きくなるため、1種類の強化繊維を使用した場合に比較して、エネルギー吸収量を多くできる。しかし、複数の繊維を使用する必要があり、製造が面倒である。また、隣接する繊維層間の割れが速く進行することに対する対策は何らなされていない。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は2次元の積層繊維構造体を使用した従来のエネルギー吸収体に比較して重量増加が数%以下でエネルギー吸収能を高めることができるエネルギー吸収体を提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、連続繊維からなる繊維束が少なくとも2軸配向となるように配列された積層繊維群と、前記積層繊維群を厚さ方向に貫通するように配列された拘束糸とを備えた繊維構造体を強化材とした繊維強化樹脂からなる。
この発明のエネルギー吸収体では、積層繊維群を厚さ方向に貫通する拘束糸が存在するため、エネルギー吸収体に圧縮荷重が作用した際、従来と異なり厚さ方向の中央付近における層間割れは拘束糸が切断される荷重を超えた状態で発生する。従って、エネルギー吸収体を圧縮破壊するためには拘束糸が無い場合に比較して高いエネルギーが必要になり、エネルギー吸収体は高いエネルギー吸収能を持つことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記拘束糸は前記積層繊維群の繊維配列面に直交するように配列されている。この発明では、拘束糸が積層繊維群の繊維配列面に対して斜めに交差するように配列された場合に比較して、高いエネルギー吸収能を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記繊維構造体は閉じた形状に構成されている。ここで、「閉じた形状」とは、円筒や角筒等の筒状あるいは筒状の周面にリブを有するような形状を意味する。この発明では、エネルギー吸収体を平板状、波板状等の板状で使用する場合に比較して座屈し難くなる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記繊維構造体は、複数の三次元織物が前記拘束糸で結合されることにより構成されている。この発明では、三次元織物を拘束する拘束糸が切断されても、三次元織物の部分は積層繊維群の層間を拘束する厚さ方向糸が存在するため、せん断、曲げ等に対する抑制効果が高く、より高いエネルギー吸収量が得られる。三次元織物は板状のものであっても、閉じた形状のものであってもよく、板状のもの同士あるいは閉じた形状のもの同士が拘束糸で結合された構成に限らず、板状のものと閉じた形状のものとが拘束糸で結合された構成であってもよい。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記拘束糸は前記積層繊維群への挿入密度が28000本/m以上である。この発明では、拘束糸が存在しない場合に比較してエネルギー吸収量を15%以上高めることができる。
本発明によれば、2次元の積層繊維構造体を使用した従来のエネルギー吸収体に比較して重量増加が数%以下でエネルギー吸収能を高めることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に従って説明する。図1(a)はエネルギー吸収体の一部破断模式斜視図、(b)は模式断面図、図2(a),(b)は繊維束の配列状態を示す模式平面図、図3はエネルギー吸収体の破壊状態を示す模式図である。
図1(a)に示すように、エネルギー吸収体11は、繊維構造体12を強化材とした繊維強化樹脂からなる。図1(b)に示すように、繊維構造体12は、連続繊維からなる繊維束が少なくとも2軸配向(この実施形態では4軸配向)となるように配列された積層繊維群13と、積層繊維群13を厚さ方向に貫通するように配列された拘束糸14とを備えて板状に構成されている。
図1(a)に示すように、積層繊維群13は、x糸15a、y糸16a、バイアス糸17a,18aから構成されたx糸層15、y糸層16及びバイアス糸層17,18で構成されている。x糸15aは、エネルギー吸収体11を使用する際に圧縮荷重が掛かる方向に沿って延びるように配列され、y糸16aはx糸15aと直交する方向に配列され、バイアス糸17a,18aはx糸15a及びy糸16aに対して斜めに(この実施形態では45度の角度を成すように)配列される。積層繊維群13は、厚さ方向の中央の面に対して各層が対称となるように配置されているのが好ましい。なお、バイアス糸17a,18aの断面は楕円となるが、図示の都合上、円形に描いている。
図1(a),(b)に示すように、拘束糸14は積層繊維群13の一方の面(図1(a),(b)では上面)でU字に折り返されており、他方の面(図1(a),(b)では下面)では拘束糸14の配列ピッチだけ離れた挿入位置で再び積層繊維群13に挿入された状態で連続している。抜け止め糸19は拘束糸14がU字に折り返されている部分に挿通されている。拘束糸14及び抜け止め糸19により、x糸層15、y糸層16及びバイアス糸層17,18が結合されている。
拘束糸14、x糸15a、y糸16a、バイアス糸17a,18a及び抜け止め糸19として、連続繊維から成る繊維束が使用されている。この実施形態では連続繊維として炭素繊維が使用されている。炭素繊維はフィラメント数が6000〜48000本程度である。エネルギー吸収体11のマトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂が使用され、この実施形態ではエポキシ樹脂が使用されている。
繊維構造体12の厚さは1.5〜6mm程度であり、1層の厚さは0.1〜1mm程度である。拘束糸14の配列ピッチ及び挿入密度は目的とするエネルギー吸収量により適宜設定されるが、拘束糸14の挿入密度は28000本/m以上が好ましく、56000本/m以上がより好ましい。挿入密度が高すぎても挿入が難しくなるのと、挿入密度の増加の割合にエネルギー吸収量が増加しないため、250000本/m程度が上限となる。拘束糸14のエネルギー吸収体11全体の重量に対する割合は数%以下である。
次に繊維構造体12の製造方法を説明する。
図2(a)、(b)に示すように、多数のピン20aが所定ピッチで着脱可能に立設された矩形状の枠体20を使用して先ず積層繊維群13を形成する。ピン20aのピッチはx糸15a及びy糸16aのピッチに合わせてある。
図2(a)に示すように、x糸15aはピン20aと係合する状態で折り返されて一方向に配向されたx糸層15が形成される。図2(b)に示すように、y糸16aも同様にしてピン20aと係合する状態で折り返されてx糸15aと直交する一方向に配向されてy糸層16が形成される。また、バイアス糸17a,18aがx糸15a及びy糸16aに対して斜めに(この実施形態では45度の角度を成すように)配列されてバイアス糸層17,18が形成される。これを所定の回数繰り返して積層繊維群13が形成される。図2(a),(b)では、x糸15a及びy糸16aの配列間隔が広く図示されているが、実際は隣接して配列されたx糸15a同士あるいはy糸16a同士が接触する状態で配列される。従って、図1(b)に示すように、拘束糸14が配列されていない部分では隣接するx糸15a同士及びy糸16a同士は相互に接している。
次に積層繊維群13に、例えば特開平8−218249号公報に開示されている方法により拘束糸14が挿入される。詳述すれば、積層繊維群13の厚さ方向に、先端に孔を備え該孔に拘束糸14を掛止した図示しない挿入針を挿入する。挿入針は拘束糸14が掛止された挿入針の孔が積層繊維群13を貫通するまで前進する。その後、挿入針はわずかに後退される。その結果、拘束糸14はU字状のループを形成した状態となる。
次に図示しない抜け止め糸針が前記U字状のループ内を通過し、積層繊維群13の端部まで到達した時点で停止する。この時抜け止め糸19が抜け止め糸針の先端に掛止される。そして、抜け止め糸針が引き戻され、抜け止め糸19が拘束糸14のU字状ループ内に挿通された状態になる。その状態で挿入針が引き戻され、拘束糸14により抜け止め糸19が締め付けられて各糸層が結合された繊維構造体12が製作される。
この繊維構造体12にマトリックス樹脂を含浸させた後、硬化させることによりエネルギー吸収体11が製造される。
エネルギー吸収体11は、x糸15aの配列方向から圧縮荷重を受ける状態で使用される。エネルギー吸収体11に圧縮荷重が作用すると、図3に示すように、エネルギー吸収体11の厚さ方向のほぼ中央の層間の面で二つに分かれるようにして破壊が進行する。エネルギー吸収体11は自身が破壊されることにより圧縮のエネルギーを吸収する。そして、破壊に必要な荷重と変位量との積がエネルギー吸収量に対応する。
拘束糸14が存在しない場合は、厚さ方向の中央付近の層間にクラックが入ると、繊維束の配列面に沿って層間割れが進行するのを抑制するのに強化繊維が機能せず、層間割れが容易に進行する。そのため、圧縮時にエネルギー吸収体11が破壊されることによりエネルギーを吸収する際、エネルギー吸収に対して層間の樹脂特性の影響が大きくなり、強化繊維の効果が十分に発揮されない。
しかし、この実施形態では、積層繊維群13を厚さ方向に貫通する拘束糸14が存在するため、エネルギー吸収体11に圧縮荷重が作用した際、厚さ方向の中央付近における層間割れは拘束糸14が切断される荷重を超えた状態で発生する。従って、エネルギー吸収体11を圧縮破壊するためには拘束糸14が無い場合に比較して高いエネルギーが必要になる。また、拘束糸14が存在するため、クラックが進展し難いという利点もある。
図4(a),(b)に、エネルギー吸収体11の圧縮方向(荷重方向)に対する拘束糸14の挿入ピッチPを変えた場合の影響を調べた結果を示す。グラフの縦軸は荷重を表し、横軸はエネルギー吸収体11に圧縮荷重を作用させる押圧体の移動量(ストローク)を表す。このグラフでは横軸はエネルギー吸収体11の変位量に相当する。図4(a)は拘束糸14の挿入密度が同じで、挿入ピッチPが図4(b)の場合の2倍の例である。即ち、図4(b)のエネルギー吸収体11の拘束糸14の挿入ピッチPがAのとき、図4(a)のエネルギー吸収体11の拘束糸14の挿入ピッチPは2Aとなる。図4(a),(b)から明らかなように、圧縮荷重は拘束糸14が存在する位置で極大となるように変化する。また、圧縮方向に対する拘束糸14の挿入ピッチPが狭い方が荷重変動幅が小さくなった。このことは、エネルギー吸収体11の圧縮破壊が、拘束糸14の破断と、拘束糸14間での樹脂のクラックの進行の繰り返しで進むことを示していると考えられる。従って、エネルギー吸収体11に作用する荷重安定化には、圧縮方向に対する拘束糸14の挿入ピッチPを狭くすることが有効となる。
さらに、図3に示すように、エネルギー吸収体11は、厚さ方向の中央の層間の面で二つに分かれるようにして破壊された際に、二つに分かれた部分にも切断された拘束糸14が存在する。この拘束糸14がせん断、曲げ等を抑制し、二つに分かれた部分の破壊をさらに進める(破片にする)ためにエネルギーが必要になる。拘束糸14の挿入密度を変更した場合のエネルギー吸収量を測定した。
拘束糸14の挿入密度が28000本/mの場合エネルギー吸収量は15〜18%増加し、56000本/mの場合エネルギー吸収量は34〜38%増加し、112000本/mの場合エネルギー吸収量は47%増加した。結果を図5にグラフとして示す。図5において、縦軸は拘束糸14が無い場合のエネルギー吸収量を1とした場合の比(エネルギー吸収比)を表し、横軸は拘束糸14の挿入密度(本数/m)を表す。図5から、拘束糸14の挿入密度が高い方がエネルギー吸収量が高くなることが判る。
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) エネルギー吸収体11は、連続繊維からなる繊維束が少なくとも2軸配向となるように配列された積層繊維群13と、積層繊維群13を厚さ方向に貫通するように配列された拘束糸14とを備えた繊維構造体12を強化材とした繊維強化樹脂からなる。従って、エネルギー吸収体11を圧縮破壊するためには拘束糸14が無い場合に比較して高いエネルギーが必要になり、エネルギー吸収体11は、従来の拘束糸が存在しないエネルギー吸収体に比較して高いエネルギー吸収能を持つことができる。
(2) 拘束糸14のエネルギー吸収体11全体の重量に対する割合は数%以下である。従って、重量増加が殆どなく、エネルギー吸収量を重量増加割合より大きく高めることができる。
(3) 拘束糸14は積層繊維群13の繊維配列面に直交するように配列されている。従って、拘束糸14が積層繊維群13の繊維配列面に対して斜めに交差するように配列された場合に比較して、高いエネルギー吸収能を得ることができる。
(4) 拘束糸14は積層繊維群13への挿入密度が28000本/m以上である。従って、拘束糸14が存在しない場合に比較してエネルギー吸収量を15%以上高めることができる。
(5) 積層繊維群13が4軸配向のため、エネルギー吸収体11に対して斜め方向から圧縮荷重が作用した場合のエネルギー吸収量が、2軸配向の場合に比較して多くなる。
(6) 積層繊維群13及び拘束糸14に炭素繊維が使用されているため、ガラス繊維や樹脂繊維を使用した場合に比較してエネルギー吸収量を大きくすることができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 図6(a)に示すように、エネルギー吸収体11を二つの三次元織物(三次元繊維構造体)21を拘束糸14で結合した繊維構造体12を強化繊維とした繊維強化樹脂で形成する。この場合、圧縮荷重が作用してエネルギー吸収体11が圧縮破壊される際、図6(b)に示すように、エネルギー吸収体11は、三次元織物21の間の面で二つに分かれるようにして破壊される。積層繊維群13を拘束糸14で結合した前記実施形態では、拘束糸14が切断された後は、分かれた部分には切れた拘束糸14(繊維)が入っているだけとなり、当該部分のせん断、曲げ等に対する抑制効果が低くなる。しかし、三次元織物21を拘束糸14で結合した構成では、拘束糸14が切断されても、三次元織物21の部分は積層繊維群13の層間を拘束する厚さ方向糸21aが存在するため、せん断、曲げ等に対する抑制効果が高く、より高いエネルギー吸収量が得られる。
○ エネルギー吸収体11を、二つの三次元織物(三次元繊維構造体)21を拘束糸14で結合した繊維構造体12を強化繊維とした繊維強化樹脂で形成する場合、二つの三次元織物21は板状に限らず、閉じた形状であってもよい。例えば、図7(a)に示すように、閉じた形状で扁平な三次元織物21同士を貫通する拘束糸14で結合したり、図7(b)に示すように、閉じた形状で扁平な三次元織物21の隣接する部分を拘束糸14で結合したりしてもよい。図7(b)に示す構成の場合は、二つの板状の三次元織物21を拘束糸14で結合した後、各板状部を屈曲させるとともに端部を接合して閉じた形状としてもよい。また、板状のものと閉じた形状のものとが拘束糸14で結合された構成であってもよい。
○ 二つの三次元織物(三次元繊維構造体)21に限らず、3つ以上の三次元織物21を拘束糸14で結合した繊維構造体12を強化繊維としてもよい。
○ エネルギー吸収体11は平板状に限らず、波板状や断面S字状の板状としてもよい。平板状の場合、エネルギー吸収体11が圧縮荷重を受けた際に座屈が発生し易いが、波板状や断面S字状の板状とすることによりエネルギー吸収体11が座屈し難くなる。波板状や断面S字状の板状のエネルギー吸収体11を製造する場合は、平板状の繊維構造体12に樹脂を含浸させる際に、断面波状やS字状の金型を使用することにより製造できる。なお、この場合、繊維構造体12の厚さは繊維束の体積含有率によっても異なるが、3mm以下の場合に平板状の繊維構造体12が金型のキャビティ形状に対応して円滑に変形できる。
○ エネルギー吸収体11の形状は「閉じた形状」であってもよい。「閉じた形状」のエネルギー吸収体11として、例えば、円筒状や角筒状のエネルギー吸収体11がある。また、図8(a)に示すようなハット型断面と称される略コ字状断面の繊維構造体12と平板状の繊維構造体12とが結合された形状や図8(b)に示すような半円弧と直線部とが連続する形状の繊維構造体12を2個結合して円筒状の周面にリブを有するような形状のエネルギー吸収体11であってもよい。これらの閉じた形状のエネルギー吸収体11においても、エネルギー吸収体11が圧縮荷重を受けて破壊される場合は、その厚さ方向の中央において繊維束の層間の面において破壊が発生する。そして、波状やS字状断面の板状のエネルギー吸収体11に比較してより座屈が生じ難くなる。
○ エネルギー吸収体11を円筒状や角筒状にする場合、図9(a),(b)に示すように、平板状の繊維構造体12の両端を重ねて、重合部をミシン掛けで縫合したり、拘束糸14と抜け止め糸19とで結合してもよい。この場合、端部の厚さを薄くした部分を重ねるようにしてもよい。
○ 平板状の繊維構造体12の両端を重ねて、重合部において結合させる場合、図10に示すように、重合部の結合面積を圧縮荷重の方向に沿って変化させてもよい。また、重合部の結合面積を変化させる代わりに結合密度(拘束糸14の挿入密度)を変化させてもよい。
○ 閉じた形状の内部空間面積を、圧縮荷重の方向に沿って変化させてもよい。例えば、エネルギー吸収体11の形状を、外形が角錐台や円錐台等の筒状とした形状とする。
○ エネルギー吸収体11の拘束糸14の挿入密度が高い方が、エネルギー吸収体11の破壊に必要な圧縮荷重が大きくなる。従って、エネルギー吸収体11の拘束糸14の挿入密度を一定ではなく、エネルギー吸収体11の使用時における圧縮荷重の方向において拘束糸14の挿入密度を、目的に合わせて変化させてもよい。例えば、エネルギー吸収体11の先端側の拘束糸14の挿入密度を低く設定することにより、圧縮破壊の初期荷重を下げることができる。また、エネルギー吸収体11を車両のエアバッグを作動する作動指令を発する作動センサの機能を持たせるために、2水準以上の衝突速度に対応するエネルギー吸収状態を持たせるために、圧縮量に対応して拘束糸14の挿入密度を複数段階で変化させてもよい。また、エネルギー吸収体11の荷重方向中間部の拘束糸14の挿入密度を高めてもよい。
○ 拘束糸14の挿入密度をエネルギー吸収体11の圧縮荷重方向に変化させる構成として、拘束糸14の前記圧縮荷重方向における挿入ピッチを変更する構成や、エネルギー吸収体11の圧縮荷重方向と直交する方向における挿入ピッチを変更する構成がある。
○ 積層繊維群13は繊維束が少なくとも2軸配向となるように配列されていればよく、バイアス糸17a,18aを省略して、x糸15a及びy糸16aの2軸配向となる配列としてもよい。
○ バイアス糸17a,18aの配向角は45度に限らず45度以外の角度、例えば30度や60度としてもよい。
○ 積層繊維群13を貫通する拘束糸14はU字状に折り返した状態で挿入されるとともに抜け止め糸19で抜け止めされた状態で積層繊維群13を締め付ける構成に限らない。例えば、拘束糸14が積層繊維群13を厚さ方向に一方の側から貫通した後、他方の側から貫通することを繰り返すように挿入してもよい。
○ 積層繊維群13は、枠体20を使用してx糸15a、y糸16a、バイアス糸17a,18a等を配列して構成する代わりに、織物を重ねて積層繊維群13としてもよい。この場合も拘束糸14の挿入は前記実施形態と同様に行われる。
○ 拘束糸14、x糸15a、y糸16a、バイアス糸17a,18a、抜け止め糸19である繊維束は炭素繊維に限らず、エネルギー吸収体11の要求性能、用途に応じてガラス繊維、ポリアラミド繊維等種々のものを使用してもよい。
○ エネルギー吸収体11を構成する熱硬化樹脂としてエポキシ樹脂に限らず、フェノール樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等を使用してもよい。
○ エネルギー吸収体11を構成するマトリックス樹脂として熱硬化性樹脂に代えて、熱可塑性樹脂を使用してもよい。マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用する場合は、繊維構造体12に溶融含浸成形法など一般の含浸法で熱可塑性樹脂が含浸され、冷却されてエネルギー吸収体11が形成される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが使用される。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1) 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記拘束糸の挿入密度がエネルギー吸収体の使用時に作用する圧縮荷重の方向の一方側において低くなるように設定されている。
(2) 前記技術的思想(1)に記載の発明において、前記拘束糸の挿入密度は、エネルギー吸収体の使用時にエネルギー吸収体の固定側となる側と反対側において低くなるように設定されている。
(a)は一実施形態のエネルギー吸収体の一部破断模式斜視図、(b)は模式断面図。 (a),(b)は繊維束の配列状態を示す模式平面図。 エネルギー吸収体の破壊状態を示す模式図。 (a),(b)はエネルギー吸収体の破壊荷重に対する圧縮方向に対する拘束糸の挿入ピッチの影響を示すグラフ。 エネルギー吸収率と拘束糸の挿入密度の関係を示すグラフ。 (a)は別の実施形態のエネルギー吸収体の模式図、(b)はエネルギー吸収体の破壊状態を示す模式図。 (a),(b)は別の実施形態のエネルギー吸収体の模式図。 (a),(b)は別の実施形態のエネルギー吸収体の部分模式斜視図。 (a),(b)は別の実施形態のエネルギー吸収体の模式斜視図。 別の実施形態のエネルギー吸収体の模式斜視図。 従来技術の模式断面図。
符号の説明
11…エネルギー吸収体、12…繊維構造体、13…積層繊維群、14…拘束糸、15a…繊維束としてのx糸、16a…同じくy糸、17a,18a…同じくバイアス糸、21…三次元織物。

Claims (5)

  1. 連続繊維からなる繊維束が少なくとも2軸配向となるように配列された積層繊維群と、前記積層繊維群を厚さ方向に貫通するように配列された拘束糸とを備えた繊維構造体を強化材とした繊維強化樹脂からなるエネルギー吸収体。
  2. 前記拘束糸は前記積層繊維群の繊維配列面に直交するように配列されている請求項1に記載のエネルギー吸収体。
  3. 前記繊維構造体は閉じた形状に構成されている請求項1又は請求項2に記載のエネルギー吸収体。
  4. 前記繊維構造体は、複数の三次元織物が前記拘束糸で結合されることにより構成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
  5. 前記拘束糸は前記積層繊維群への挿入密度が28000本/m以上である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のエネルギー吸収体。
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