JP2005193664A - インクジェット式カートリッジ、機構、及び印刷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器にカバーを密閉するための機構を提供する。
【解決手段】 インクを収容するための容器は、内面、外面、及び、容器の開口部に隣接する外面の周端部を有する。内面、外面、及び、内面上の内部エッジを有するカバーは、容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部が前記カバーの内面の内部エッジと隣接するように、容器に密着するように構成される。ガスケットは、容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部、及び、カバーの内面の内部エッジの間に接触した状態で配置されるように、容器の外面の周端部に位置している。
【選択図】 図4
【解決手段】 インクを収容するための容器は、内面、外面、及び、容器の開口部に隣接する外面の周端部を有する。内面、外面、及び、内面上の内部エッジを有するカバーは、容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部が前記カバーの内面の内部エッジと隣接するように、容器に密着するように構成される。ガスケットは、容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部、及び、カバーの内面の内部エッジの間に接触した状態で配置されるように、容器の外面の周端部に位置している。
【選択図】 図4
Description
本発明は、インクジェット式印刷用のカートリッジに関する。特に、本発明は、インクジェット式印刷用のカートリッジのカバーをカートリッジ本体に対し密閉するためのガスケット・シールに関する。すなわち、本発明は、インクジェット式カートリッジにおいてインクを収容するための容器(又は、少なくとも2つ以上の容器)にカバーを密閉するための機構、同機構を含むインクジェット式カートリッジ、及び、印刷装置に関する。
多くの印刷装置は、それらの印刷機能を実行するためにインクジェット式のカートリッジを使用する。インクジェット式カートリッジは、概して、インクを収容し、そのインクをプリントヘッドに供給するための容器を含む。インクを不完全真空環境下で収容することが必要であることが多い。作動中、インクを収容するための容器からインクが流出しないことが好ましい。同様に、インクカートリッジのその環境下の種々の要素がインクを収容するための容器に入らないことが好ましい。こうした好ましい条件は、容器をその環境から隔離するためにカバーと、インクを収容するための容器との間にシールを形成することによって維持されることが多い。理想を言えば、このようなシールは、容器に収容されるインクに悪影響を与えない。インクジェット式カートリッジを簡単に、経済的に製造するために、シールが、一貫性のある、信頼できる方法で適用されることもまた、好ましい。さらに、シールがインクジェット式カートリッジを開封し、再密封することができるようなものであることが、望ましい。
インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器にカバーを密閉するための1つの公知の方法は、接着材を用いることである。このような方法の欠点は、接着材を使用して形成されるシールが、容器に収容されるインクと接触することで品質低下する可能性があることである。あるいはまた、このような用途で使用される一部の接着材が、インクに悪影響を与える。インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器を密閉するための接着材の使用は、また、製造を複雑にすることがある。接着材を硬化させるために必要な時間の長さによって、製造を複雑にすることがある。また、接着剤の組成の不一致は、結果として、インクジェット式カートリッジによりシールが一致しないことにもなる。さらに、接着材を硬化させるために熱が用いられるとき、このような熱はシールと関係がないインクジェット式カートリッジの一部を損傷することがある。
インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器にカバーを密閉するための別の公知の方法は、溶接技術、例えば、超音波溶接を用いることである。超音波溶接などの方法を使用するために、密閉される部品(即ち、カバー、及び、インクを収容するための容器)は、溶接プロセスと適合性のある部品でなければならない。こうしたことは、インクジェット式カートリッジの製造では、よくあることではない。さらに、溶接エネルギーは、インクジェット式カートリッジの関係のない部品を加熱し、溶融し、及び/又は、熱分解することがあり、これは、それら関係のない部品を損傷する可能性がある。超音波溶接は、また、厳しい製造の条件を必要とする。例えば、溶接される部品は、概して溶接される表面が平面状でなければならず、溶接される構成要素は、正確な位置で支持されなければならない。このような要件は、製造の複雑さ、ひいては、製造コストを引き上げる可能性がある。さらに、超音波シールに対する破損は、修理するのが極めて困難である。
インクを収容するための容器にカバーを密閉するために溶接技術を用いることは、また、インク容器、及び、カバーを形成するために使用できる材料の種類に関して困難を生じさせる。例えば、液晶ポリマー(LCP)や、デルリン(DELRIN:商標)などの一部の材料は、まったく溶接には適していない。異なる材料がインク容器、及び、カバーを形成するために使用されるとき、問題がまた、提示される。例えば、これらの材料の1つ又は両方が、溶接に適していないことがある。あるいは、溶接が実行されなければならない条件は、インク容器を形成するために使用される材料、及び、カバーを形成するために使用される材料の間で異なることがある。
インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器にカバーを密閉するための更なる方法は、カバーと、容器との間にガスケットを用いることである。該ガスケットは、一般に、カバー及び容器間に「はさまれ」、カバー及び容器をともに保持するために圧力が機械的に付加されることを必要とする。このような配置におけるガスケットは、カバーを容器から分離するように作用する力を発揮する。カバー、ガスケット、及び、容器を共に保持するために使用される機械的手段は、カートリッジに収容されるインクの性能を低下させ、及び/又は、悪影響を与えることがある。
インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器にカバーを密閉するための更に別の方法が、従来技術において説明され(特許文献1を参照)、全体が参照によって、本願明細書に組み込まれる。この方法は、カバーを容器に挿入し、容器に挿入されたカバーの一部と、容器の内壁との間にガスケットを位置させることを含む。ガスケットは、カバー及び容器(レセプタクル)との間にシールを形成し、接触状態にある部品に関してガスケットによって付加される力は、それらの部品が接続されている方向に対し、平行であるよりもむしろ、垂直である。
米国特許第6,286,950号
上記の方法の長所にも関わらず、インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器にカバーを密閉するための方法がやはり必要である。特に、インクジェット式印刷の用途において必要とされる、信頼性及び特性を達成しながら、簡単に、高い費用効率で製造できるシールが必要である。本発明は、それらのニーズを満たしている。
本発明は、インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器にカバーを密閉するための機構、及び、このような機構を用いたインクジェット式カートリッジと印刷装置を目的としている。
種々の例示的な実施の形態において、本発明によるインクジェット式のカートリッジのインクを収容するための容器にカバーを密閉するための機構は、内面、外面、及び、容器の開口部に隣接した外面の周端部を含む、インクを収容するための容器を含む。種々の例示的な実施の形態において、上記機構は、内面、外面、及び、内面上の内部エッジを有するカバーを含む。上記機構の種々の例示的な実施の形態において、上記カバーは、容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部がカバーの内面の内部エッジと隣接するように、容器上に密着するように構成される。種々の例示的な実施の形態において、ガスケットは、容器が閉じられるとき、ガスケットが容器の外面の周端部、及び、カバーの内面の内部エッジの間に、接触して配置されるように、容器の外面の周端部に位置している。種々の例示的な実施の形態において、ガスケットの圧縮の方向は、カバーが容器に配置される方向に、垂直である。
本発明が、インクジェット式カートリッジのインク容器にカバーを密閉するために1つ以上のガスケットを使用するので、溶接に依存する代わりに、多種多様な材料は、セラミック、金属、及び、液晶ポリマーや、アセタール・ホモポリマー(例えば、デルリン)などのポリマーを含むが、これに限らず、容器及びカバーを形成するために使用することができる。例えば、溶接に適していない材料は、容器及びカートリッジの一方又は両方を形成するために使用することもできる。さらに、容器を形成するために使用される材料は、カバーを形成するために使用される原材料とは異なってもよい。
種々の例示的な実施の形態において、本発明によるインクジェット式カートリッジは、インクを収容するための容器にカバーを密閉するような機構を含む。
種々の例示的な実施の形態において、本発明による印刷装置は、インクを収容するための容器に、カバーを密閉するような機構を含む、インクジェット式カートリッジを含む。
本発明の他の態様及び更なる特徴とともに、本発明を一層良く理解するために、以下の図面及び説明を参照する。
本発明の第1の態様は、インクジェット式カートリッジにおいてインクを収容するための容器にカバーを密閉するための機構であり、該機構は、内面、外面、及び、容器の開口部に隣接する外面の周端部を有する、インクを収容するための容器と、内面、外面、及び、内面上の内部エッジを有するカバーであって、上記容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部が上記カバーの内面の内部エッジと隣接するように、容器に適合するように構成される、上記カバーと、さらに、上記容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部、及び、カバーの内面の内部エッジの間に接触した状態で配置されるように、容器の外面の周端部に位置しているガスケットと、を含むことを特徴とする。
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記容器及び上記カバーのうちの少なくとも1つが、ポリマーから構成されることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記ポリマーが、アセタール・ホモポリマーであることを特徴とする。
本発明の第4の態様は、上記第2の態様において、上記ポリマーが、液晶ポリマーであることを特徴とする。
本発明の第5の態様は、上記第1の態様において、上記容器のリム、及び、ガスケットが、カバーに形成されるチャネルに嵌入されることを特徴とする。
本発明の第6の態様は、上記第1の態様において、上記カバーが、少なくとも1つのねじで上記容器に固定されることを特徴とする。
本発明の第7の態様は、上記第1の態様において、上記カバーが、少なくとも1つのヒート・ステークで容器に固定されることを特徴とする。
本発明の第8の態様は、上記第1の態様において、上記カバーが、1つ以上の凸部を備え、上記容器が、該1つ以上の凸部を保持するための1つ以上の保持表面を備え、さらに、上記カバーが、該1つ以上の保持表面によって1つ以上の凸部の係合によって容器に固定されることを特徴とする。
本発明の第9の態様は、上記第1の態様による機構を含む、インクジェット式カートリッジである。
本発明の第10の態様は、上記第9の態様によるインクジェット式カートリッジを含む、印刷装置である。
本発明の第11の態様は、インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための少なくとも2つの容器にカバーを密閉するための機構であって、該機構は、インクを収容するための少なくとも2つの容器を含み、各容器が、内面、外面、及び、容器の開口部に隣接した外面の周端部を有し、上記少なくとも2つの容器に対応する少なくとも2つの内面を有するカバーを含み、各内面が内部エッジを有し、上記カバーが、容器が閉じられるとき、各容器の外面の周端部がカバーの対応する内面の内部エッジと隣接するように、少なくとも2つの容器のそれぞれに密着するように構成され、上記少なくとも2つの容器が閉じられるとき、各ガスケットが各容器の外面の周端部、及び、カバーの対応する内面の内部エッジの間に接触して配置されるように、各容器の外面の周端部に位置しているガスケットを含むことを特徴とする。
本発明の第12の態様は、上記第11の態様において、上記少なくとも2つの容器及び上記カバーのうちの少なくとも1つが、ポリマーから構成されることを特徴とする。
本発明の第13の態様は、上記第12の態様において、上記ポリマーが、アセタール・ホモポリマーであることを特徴とする。
本発明の第14の態様は、上記第12の態様において、上記ポリマーが、液晶ポリマーであることを特徴とする。
本発明の第15の態様は、上記第11の態様において、上記各容器のリム、及び、対応するガスケットが、上記カバーに形成されるチャネルに嵌入されることを特徴とする。
本発明の第16の態様は、上記第11の態様において、上記カバーが、少なくとも1つのねじで上記少なくとも2つの容器に固定されることを特徴とする。
本発明の第17の態様は、上記第11の態様において、上記カバーが、少なくとも1つのヒート・ステークで上記少なくとも2つの容器に固定されることを特徴とする。
本発明の第18の態様は、上記第11の態様において、上記カバーが、1つ以上の凸部を備え、上記少なくとも2つの容器が、該1つ以上の凸部を保持するための1つ以上の保持表面を備え、さらに、上記カバーが、1つ以上の保持表面によって1つ以上の凸部の係合によって、上記少なくとも2つの容器に固定されることを特徴とする。
本発明の第19の態様は、上記第11の態様による機構を含む、インクジェット式カートリッジである。
本発明の第20の態様は、上記第19の態様によるインクジェット式カートリッジを含む、印刷装置である。
下記の説明が1つの特定のタイプの流体射出システム、即ち、インクジェット・プリンタ・カートリッジを参照する一方で、本発明によるインクジェット式カートリッジの種々の例示的な実施の形態の以下の説明は、流体を収容し、消費する他の流体射出装置及び/又はその他の技術において使用できる構造上の配置を使用する。本明細書において適用されるように、流体は、液体、スラリー、及び、ゲルなどの、非気体(即ち、相対的に非圧縮性の)流動性媒体を参照する。以下に概説され、及び/又は、論じられるように、本発明の原理が、本明細書中で具体的に論じられるインクジェット式カートリッジ以外にも、公知の、又は、今後開発される流体射出装置に、同様に適用され得ることは、認識すべきである。
図1は、本発明による印刷装置10の例示的な実施の形態を概略的に示している。印刷装置10は、インク容器12とプリントヘッド13とを含むインクジェット式カートリッジ11を含む。この容器は、カバー14を含む。インクジェット式カートリッジ11は、プリンタ電子ユニット15からの信号を受信し、それに応じて、インクを記録媒体上に選択的に付着させる。
図2は、例示的なインクジェット・プリンタ・カートリッジ100の組み立て分解等角図を示す。インクジェット・プリンタ・カートリッジ100は、インク容器110、カバー120、流体レベル測定プリズム140、流体射出インタフェース・モジュール150、マニホールド160、フェース・テープ170、及び、再充填ポート180を含む。毛管媒体インサート111は、インク容器110に挿入できる。
インク容器110は、カートリッジ媒体チャンバ112、及び、フリー・チャンバ116を含む。カバー120がインク容器110上に配置される前に、毛管媒体インサート111は、開放上部を通してカートリッジ媒体チャンバ112内に収容されることができる。プリズム140を受容するフレーム115は、フリー・チャンバ116上に配置される。仕切り114は、2つの分割されたチャンバにおいて別々の流体レベルを可能にするためにカートリッジ媒体チャンバ112及びフリー・チャンバ116を分離するが、流体が底部間隙(図示せず)に沿って仕切り114の下で連通することを可能にする。この底部間隙は、カートリッジ媒体チャンバ112及びフリー・チャンバ116間に流体の流路となる。フリー・チャンバ116は、そうでなければ隔離され、カートリッジ媒体チャンバ112は、空気が両チャンバ間を連通できるように、通気ポート122に接続されている。したがって、カートリッジ媒体チャンバ112は、カートリッジ媒体チャンバ112の流体レベルが仕切り114の下に収まるまで、空気がフリー・チャンバ116に入り込むことを防止すると同時に、流体が流動することを可能にするために、フリー・チャンバ116に対する逆止弁として作用する。
毛管媒体インサート111は、発泡体や、フェルト材料などに対する毛管ウィッキングを用いて、流体を湿り領域から乾燥領域に移動させることができる。このような毛管媒体は、インク容器110内に負のゲージ圧を可能にする。通気経路は、流体を除去し、空気と置き換えられ得るように、毛管媒体インサート111の上部に接続される。
カバー120は、通気ポート122、プリズム・ウィンドウ124、及び、ブリッジ126を含む。プリズム140は、プリズム・ウィンドウ124に収容され、フレーム115内でフリー・チャンバ116に挿入されることができる。通気ポート122は、カートリッジ媒体チャンバ112を周囲圧力とつり合わせるためにインクジェット・プリンタ・カートリッジ100の外部から内部に接続しているオリフィスを含む。
インタフェース150は、フレキシブル回路152、ヒートシンク154、及び、吸気口158を有する射出チップ156を含む。フレキシブル回路152は、コマンドによって流体を射出するために信号の通信路を提供する。ヒートシンク154は、電気抵抗による加熱からの温度応答を減衰させる。射出チップ156は、ヒートシンク154に隣接している。吸気口158は、流体射出ノズル(図示せず)によって、媒体(同じく図示せず)上に流体が制御可能に放出されるための流路を提供する。
マニホールド160は、マニホールド容器162及びマニホールド・リム164を含む。インク容器110は、マニホールド・リム164内に配置されるフィルタ166を介して、マニホールド160に流体を移送する。ヒートシンク154、射出チップ156、及び、マニホールド容器162のそれぞれの底部は、インタフェース・シールとなるフェース・テープ170によって被覆される。フェース・テープ170は、ヒートシンク154の底部を被覆するヒートシンク部172、射出チップ156が流体を流体射出ノズルから媒体上に流動させることを可能にする開放領域174、及び、マニホールド容器162の底部を被覆するマニホールド部176を含む。流体は、フィルタ166を介してインク容器110からマニホールド容器162に流動する。流体は、吸気口158を介してマニホールド容器162から射出チップ156に放出される。
再充填ポート180は、フリー・チャンバ116と共有される側壁に沿って、インク容器110に取り付けることができる。再充填ポート180は、元の製造の間に、最初にインク容器110を充填するための手段となる。再充填ポート180は、また、以前に供給された流体が消費された後に、インク容器110に流体を充填するための手段ともなる。
最初にインク容器110に流体を充填するときに、通気ポート122はガスケットにより封止され、内部空気は、負のゲージ圧(即ち、周囲圧力以下)で、少なくとも不完全真空を形成するようにインク容器110から排気される。流体は、再充填ポート180を通してフリー・チャンバ116内に移送される。フリー・チャンバ116が充填されるとき、流体の一部は仕切り114の下からカートリッジ媒体チャンバ112内に流入する。フリー・チャンバ116を充填すると、(不完全な真空排気から生じられる)小さな気泡が、フリー・チャンバ116内に残存し、フリー・チャンバ116の残りには、流体が含まれる。一方、カートリッジ媒体チャンバ112は、流体が充填されている3分の2に対し約半分である。
搬送及び/又は初期設定の間に、周囲圧力及び温度が変更できる(例えば、水位の変化による気圧の減少、日周サイクル、あるいは、緯度変化の際の温度上昇)。このような環境は、最初の充填作業の間の状態からカートリッジ媒体チャンバ112において気圧変動を生じさせる可能性がある。カートリッジ媒体チャンバ112の内圧の変化は、流体を膨張させ、通気ポート122を介して移動させることがある。また、インクジェット・プリンタ・カートリッジ100の方向付けの変化により、カートリッジ媒体チャンバ112の上方領域に、及び、通気ポート122内に重力誘発性の流れを引き起こす可能性がある。流体が通気ポート122から流出することにより、カートリッジ容器110から望ましくない流体の漏出が生じる可能性がある。本発明の種々の例示的な実施の形態は、このような潜在的漏出を抑制したり、又は、防止するように設計されている。
さらに、通気ポート122の流路は、空気が周囲条件からカートリッジ媒体チャンバ112まで連通できるように、障害を取り除いておくべきである。印刷する間に、例えば、流体はマニホールド・チャンバ162から引き出されている射出チップ156を介して消費される。マニホールド・チャンバ162における流体は、フリー・チャンバ116及び/又はカートリッジ媒体チャンバ112を介して、インク容器110から供給される。フリー・チャンバ116に流体がなくなり、からになると、カートリッジ媒体チャンバ112は仕切り114の下から流体を補充する。
このサイフォンで吸い上げる間に、フリー・チャンバ116の流体レベルは上昇し、一方で、カートリッジ媒体チャンバ112の流体レベルが下降し、外気が、圧力とつり合うように、通気ポート122からカートリッジ媒体チャンバ112に入り込む。これら流体レベルは、それによって、モノメーターに類似した方法でつり合う。流体プリントヘッドの動作中に、一定の内容積を維持するインク容器110は、流体を除去させ得るように通気させなければならず、したがって、ノズルに対する流体の安定した吐出し圧力を維持する。フリー・チャンバ116を補充する流体を交換するために外気がカートリッジ媒体チャンバに入り込むことなく、流体は、インク容器110内の低圧状態によって閉じ込められ、マニホールド・チャンバ162及び射出チップ156に伝送されることになる。したがって、通気ポート122は、流体から妨げられることなく空気の流れを可能にしなければならない。
図3は、図2のインクジェット・プリンタ・カートリッジ100、及び、関連カートリッジ再充填システムを示す。センサ200は、光源、及び、フリー・チャンバ116内の流体のレベルを決定するためのレシーバを提供する。再充填ステーション210は、適切なレベルにインク容器110を充填するために、通気ポート122及び再充填ポート180を係合させるための機器を提供する。
図4は、本発明によるインクジェット式カートリッジ410の例示的な実施の形態を概略的に示す。インクジェット式カートリッジ410は、容器420及びカバー440を含む。容器420は、インクを収容するのに適した、プリントヘッド430にインクを付与する内部キャビティ422を有する。カバー440は、内部キャビティ422を密閉するために容器420上に配置される。ガスケット460は、カバー440の内面、及び、容器420の外面の間に挿入される。ガスケット460は、インクジェット式カートリッジ410の容器420及びカバー440を密閉するように機能する。ガスケット460は、また、印刷装置におけるインクジェット式カートリッジ410の取り付け、動作、修理、及び、交換の際に必要に応じて、カバー440を容器420から除去させ、交換させることもできる。
図5は、インクジェット式カートリッジの一部であるインク容器520の断面図を示す。図5は、容器520の密閉に関する細部のみを含む。カバー540及び容器520は、ガスケット560を使用して共に密閉される。種々の例示的な実施の形態において、カバー540及び/又は容器520は、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ジンジオタクチック・ポリスチレン、ポリエチレン・ナフタレート、及び、デルリン(DELRIN)を含む1つ以上の物質から形成されるが、これらに限定されない。ガスケット560は、カバー540が容器520に取り付けられる方向に垂直な方向において圧縮される。カバー540は、内面542、外面544、及び、内面542上の内部エッジ546を含む。内面542の内部エッジ546は、ガスケット560が不十分に圧縮されていないことを確保し、それが、カバー540及び容器520の間の流体シールを損なうことがある。適切なシールを維持することは、インクジェット式カートリッジの安定した動作に重要である。
種々の例示的な実施の形態において、容器520は、内面522、外面524、及び、容器520の開口部に隣接した外面524の周端部526を有する。種々の例示的な実施の形態において、容器520は、外面524の周端部526で容器に外接させるように、ガスケット560を取り付けることによって密閉される。周端部526は、ガスケット560を囲うように凹み又は突起で形成することもでき、したがって、ガスケット560が動作中に移動したり、又は、カバー540の適用を防止する。ガスケット560が容器520の周端部526及びカバー540の内部エッジ546の間に配置されるように、容器520は、容器520上にカバー540を配置することによって封止される。
カバー540の配置による容器520の密閉は、ガスケット560に潤滑剤をさすことによって緩和できる。種々の例示的な実施の形態において、ガスケット560は、容器520にガスケット560を取り付ける前に、及び/又は、容器520にカバー540を配置する前に潤滑剤で塗布される。種々の例示的な実施の形態において、潤滑剤は、1つ以上のポリエチレングリコール、及び、テフロン(登録商標)である。種々の例示的な実施の形態において、カバー540の内部エッジ546は、ガスケット560を塗布することに加えて、あるいは、その代わりとして、潤滑剤が塗布される。種々の例示的な実施の形態において、ガスケット560そのものは、組成の潤滑剤で形成される。
カバー540が容器520上に配置されるとき、ガスケット560は、容器520の周端部526、及び、カバー540の内部エッジ546によって圧縮される。いったん、カバー540が容器520上に配置されると、ガスケット560は、カバー540が容器520上に配置された方向に垂直な方向において圧縮される。この方向の圧縮により、ガスケット560が、カバー540及び容器520間のシールとなる。また、この方向の圧縮は、圧縮力が、カバー540を容器520から結果的に分離することになり得る方向に作用することを防止する。
ガスケット560は、カバー540及び容器520間に有効なシールを形成するように適切な形状をとることができる。種々の例示的な実施の形態において、ガスケット560は、例えば、Oリングのような、一定の断面積を有する。種々のその他例示的な実施の形態において、容器520の周端部526、及び、カバー540の内部エッジ546間の形状の相違に適応するために、ガスケット560は不均一な断面積を有する。
本発明によるインクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための容器にカバーを封止するための機構の種々の例示的な実施の形態は、ガスケットのほかに、容器にカバーを固定するための特徴を含む。こうした一部の例示的な実施の形態は、図6乃至図9に示される。後述される補足的取り付け方法のほかに、2つ以上の固体の物品を取り付けるための公知の、又は、今後開発される技術が、使用できる。
図6は、インクジェット式カートリッジの一部であるインク容器620の断面図を示す。図6は、容器620の封止に関する細部のみを含む。カバー640及び容器620は、ガスケット660を使用して共に密閉される。容器620は、内面622、外面624、及び、容器620の開口部に隣接した外面624の周端部626を含む。カバー640は、内面642、外面644、及び、内面642上の内部エッジ646を含む。カバー640が容器620上に配置されるとき、ガスケット660は、容器620に対しカバー640を密閉するために、容器620の周端部626、及び、カバー640の内部エッジ646によって圧縮される。
カバー640には、チャネル670が設けられている。カバー640が容器620上に配置されるとき、容器のリム628、及び、ガスケット660は、チャネル670に嵌入し、ガスケット660がチャネル670の一端に対して圧縮され、一方、リム628がチャネル670の他端に対して圧縮されるようになる。チャネル670の端部に対する圧力は、カバー640が容器620上に配置される方向に対して垂直であるとはいえ、カバー640の容器620からの分離に抵抗するように作用する。
図7は、インクジェット式カートリッジの一部であるインク容器720の断面図を示す。図7は、容器720の封止に関する細部のみを含む。カバー740及び容器720は、ガスケット760を使用して共に密閉される。容器720は、内面722、外面724、及び、容器720の開口部に隣接した外面724の周端部726を含む。カバー740は、内面742、外面744、及び、内面742上の内部エッジ746を含む。カバー740が容器720上に配置されるとき、ガスケット760は、容器720に対しカバー740を密閉するために、容器720の周端部726、及び、カバー740の内部エッジ746によって圧縮される。
カバー740が容器720上に配置された後、ねじ772は、カバー740を通して容器720に打ち込まれる。ねじ772は、カバー740が容器720上に配置される方向に対し平行な力を付与する。この力は、容器720からカバー740を分離させようとする傾向がある反対方向の力に抵抗することになる。しかしながら、この力は、さらにガスケット760を圧縮するようには作用しない。
図8は、インクジェット式カートリッジの一部であるインク容器820の断面図を示す。図8は、容器820の封止に関した細部のみを含む。カバー840及び容器820は、ガスケット860を使用して共に密閉される。容器820は、内面822、外面824、及び、容器820の開口部に隣接した外面824の周端部826を含む。カバー840は、内面842、外面844、及び、内面842上の内部エッジ846を含む。カバー840が容器820上に配置されるとき、ガスケット860は、容器820に対しカバー840を密閉するために、容器820の周端部826、及び、カバー840の内部エッジ846によって圧縮される。
容器820は、カバー840を容器820に取り付けるために使用されるヒート・ステーク・ポスト874を含む。カバーは、ヒート・ステーク・ポスト874に適応するアパーチャ(図示せず)を含む。カバー840が容器820上に配置された後に、熱エネルギーは、カバー840を容器820に固定するためにヒート・ステーク・ポスト874に付加される。ヒート・ステーク・ポスト874は、カバー840が容器820上に配置される方向に対し平行な力を付加する。この力は、容器820からカバー840を分離させようとする傾向がある反対方向の力に抵抗することになる。ヒートステーキングに代わるものとして、リベットが使用されたり、又は、必要に応じて、カバー及び容器が溶接されることもできる。また、ヒート・ステークによって付加される力は、ガスケット860をさらに圧縮するようには作用しない。
図9は、インクジェット式カートリッジの一部であるインク容器920の断面図を示す。図9は、容器920の封止に関した細部のみを含む。カバー940及び容器920は、ガスケット960を使用して共に密閉される。容器920は、内面922、外面924、及び、容器920の開口部に隣接した外面924の周端部926を含む。カバー940は、内面942、外面944、及び、内面942上の内部エッジ946を含む。カバー940が容器920上に配置されるとき、ガスケット960は、容器920に対しカバー940を密閉するために、容器920の周端部926、及び、カバー940の内部エッジ946によって圧縮される。
カバー940が容器920上に配置された後に、さらに容器920及びカバー940を固定するためにスナッピング・機構が使用される。スナッピング・機構は、容器920上の1つ以上の凸部976、及び、カバー940上の1つ以上の受容凹部978を含む。これら1つ以上の凸部976は、カバー940が容器920上に配置される方向に対し平行な力を加えるように、1つ以上の凹部978に嵌入する。この力は、容器920からカバー940を分離させようとする傾向があある反対方向の力に抵抗することになる。
図10A及び図10Bは、本発明による多色インクジェット式カートリッジ1010の例示的な実施の形態を概略的に示している。図10Aは、カバー1040が除去されたインクジェット式カートリッジ1010の平面図を示す。図10Bは、カバー1040が設置されたインクジェット式カートリッジ1010の側面図を示す。インクジェット式カートリッジ1010は、容器1020及びカバー1040を含む。インクジェット式カートリッジ1010は、単一のカバー1040により封止される、例えば、シアン(C)−マゼンタ(M)−イエロー(Y)カラー印刷システムにおいて使用されるような、3つの容器1020を含む。
各容器1020は、インクを収容するのに適した、インクをプリントヘッド1030に提供する内部キャビティ1022を有する。カバー1040は、内部キャビティ1022のそれぞれを個々に密閉するように、容器1020上に配置される。ガスケット1060は、カバー1040の内面、及び、各容器1020の外面の間に配置される。ガスケット1060は、インクジェット式カートリッジ1010の容器1020、及び、1つのカバー1040を個々に密閉するように機能する。ガスケット1060は、また、必要に応じ印刷装置におけるインクジェット式カートリッジ1010の取り付け、動作、修理、及び、交換の際に、カバー1040を容器1020から除去したり、交換したりすることもできる。
本発明の先に述べた利点を提供することのほかに、多容器インクジェット式カートリッジにおける単一のカバーの使用は、カートリッジの構造において精度を増すことができる。例えば、3つの個々の容器が成形されるとき、各々の容器の高さを正確に位置合わせすることが多くの場合に困難である。このように、容器間に均等な間隔を置いて配置されないことがある。これは、垂直的に高い構造の位置合わせを制御することがむずかしいからである。しかしながら、単一のカバーが容器の全てを密閉するために使用されるとき、成形プロセスの精度の欠点は、このカバーにより隠蔽され、カバーが正確に成形され得るので、構造上望ましい精度が得られる。図10A及び図10Bに示されるインクカートリッジは、3つのインク容器を含む。しかしながら、本発明は、インク容器の特定の数や、特定の配置に限られてはいない。3、4、5、及び、6個の別々のインク容器を必要とする印刷システムは、公知であり、本明細書中に説明されるインクジェット式カートリッジ構成は、このようなシステムにも等しく適用できる。
本発明を上記概説される例示的な実施の形態に関連させて説明してきたが、種々の代替、修正、変更、改良及び/又は実質的な同等物が、既知であっても、あるいは、現在予測できなくても、少なくとも当業者には明白である。したがって、前述のように、本発明の例示的な実施の形態は、説明を目的とするものであり、これに制限されるものではない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を実施することができる。したがって、出願時、及び、補正時の特許請求の範囲は、公知の、又は、今後開発される代替物、修正、変更、改良及び/又は実質的な同等物をすべて包含することを意図する。
Claims (20)
- 内面、外面、及び、容器の開口部に隣接する外面の周端部を有する、インクを収容するための容器、
内面、外面、及び、内面上の内部エッジを有するカバーであって、前記容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部が前記カバーの内面の内部エッジと隣接するように、容器に適合するように構成される、前記カバー、
及び、
前記容器が閉じられるとき、容器の外面の周端部、及び、カバーの内面の内部エッジの間に接触した状態で配置されるように、容器の外面の周端部に位置しているガスケット、
を含む、インクジェット式カートリッジにおいてインクを収容するための容器にカバーを密閉するための機構。 - 前記容器及び前記カバーのうちの少なくとも1つが、ポリマーから構成される、請求項1に記載の機構。
- 前記ポリマーが、アセタール・ホモポリマーである、請求項2に記載の機構。
- 前記ポリマーが、液晶ポリマーである、請求項2に記載の機構。
- 前記容器のリム、及び、ガスケットが、カバーに形成されるチャネルに嵌入される、請求項1に記載の機構。
- 前記カバーが、少なくとも1つのねじで前記容器に固定される、請求項1に記載の機構。
- 前記カバーが、少なくとも1つのヒート・ステークで容器に固定される、請求項1に記載の機構。
- 前記カバーが、1つ以上の凸部を備え、前記容器が、該1つ以上の凸部を保持するための1つ以上の保持表面を備え、さらに、前記カバーが、該1つ以上の保持表面によって1つ以上の凸部の係合によって容器に固定される、請求項1に記載の機構。
- 請求項1に記載の機構を含む、インクジェット式カートリッジ。
- 請求項9に記載のインクジェット式カートリッジを含む、印刷装置。
- インクを収容するための少なくとも2つの容器を含み、各容器が、内面、外面、及び、容器の開口部に隣接した外面の周端部を有し、
前記少なくとも2つの容器に対応する少なくとも2つの内面を有するカバーを含み、各内面が内部エッジを有し、前記カバーが、容器が閉じられるとき、各容器の外面の周端部がカバーの対応する内面の内部エッジと隣接するように、少なくとも2つの容器のそれぞれに密着するように構成され、
前記少なくとも2つの容器が閉じられるとき、各ガスケットが各容器の外面の周端部、及び、カバーの対応する内面の内部エッジの間に接触して配置されるように、各容器の外面の周端部に位置しているガスケットを含む、
インクジェット式カートリッジにおけるインクを収容するための少なくとも2つの容器にカバーを密閉するための機構。 - 前記少なくとも2つの容器及び前記カバーのうちの少なくとも1つが、ポリマーから構成される、請求項11に記載の機構。
- 前記ポリマーが、アセタール・ホモポリマーである、請求項12に記載の機構。
- 前記ポリマーが、液晶ポリマーである、請求項12に記載の機構。
- 前記各容器のリム、及び、対応するガスケットが、前記カバーに形成されるチャネルに嵌入される、請求項11に記載の機構。
- 前記カバーが、少なくとも1つのねじで前記少なくとも2つの容器に固定される、請求項11に記載の機構。
- 前記カバーが、少なくとも1つのヒート・ステークで前記少なくとも2つの容器に固定される、請求項11に記載の機構。
- 前記カバーが、1つ以上の凸部を備え、前記少なくとも2つの容器が、該1つ以上の凸部を保持するための1つ以上の保持表面を備え、さらに、前記カバーが、1つ以上の保持表面によって1つ以上の凸部の係合によって、前記少なくとも2つの容器に固定される、請求項11に記載の機構。
- 請求項11に記載の機構を含む、インクジェット式カートリッジ。
- 請求項19に記載のインクジェット式カートリッジを含む、印刷装置。
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