JP2005192297A - 複数パンタグラフの同時離線率推定方法 - Google Patents

複数パンタグラフの同時離線率推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 昼夜いずれも測定可能である電流式離線データを用いた複数パンタグラフの同時離線率推定方法を提供する。
【解決手段】 第2パンタグラフの任意の離線時間tの離線発生率をRc2t、第1パンタグラフの任意の離線時間i(≦ta)をRc1iとすると、同時離線して第1パンタグラフからアークが発生する確率Ra1 を、以下の式として演算制御装置で演算し、複数のパンタグラフの同時離線率を推定することを特徴とする複数パンタグラフの同時離線率推定方法。但し、ta≦λ/2(λは電源電流の1周期の時間)である。
【数6】
Figure 2005192297

【選択図】図1

Description

本発明は、複数パンタグラフの同時離線率推定方法に関するものである。
電気車の屋根上にあるパンタグラフがトロリ線から離れる現象を離線という。この離線が起こるとパンタグラフすり板とトロリ線間にアークが発生する。このアークはすり板やトロリ線の摩耗の原因や、新幹線では集電系騒音源となるため、離線を減らすためのパンタグラフや架線系が研究開発されている。
この離線を検出する方法には、電流式離線測定法と光学式離線測定法とがある。電流式離線測定法は、高圧母線で接続された複数のパンタグラフの集電電流から離線を検出する方法であり、光学式離線測定法はアークの光量を電圧に変換して測定する方法である。
図4は複数パンタグラフのアーク発生状況(新幹線走行試験結果:2パンタグラフ)を示す図である。
この図において、図4(a)は第1のパンタグラフの電流波形、図4(b)は第1のパンタグラフの電流式離線の状態、図4(c)は第1のパンタグラフの光学式離線の状態(零)を示す図である。また、図4(d)は第2のパンタグラフの電流波形、図4(e)は第2のパンタグラフの電流式離線の状態、図4(f)は第2のパンタグラフの光学式離線の状態を示す図である。
この図からわかるように、離線アークは約90%が一方のパンタグラフが離線した後に他方のパンタグラフが離線して集電電流が零(電流式離線)になったとき、いわゆる同時離線のときに発生していることがわかる。
従来、この離線アークの発生状況は光学式離線測定装置で測定している。
なし
しかしながら、上記した光学式離線測定装置はアークの光量を電圧に変換して測定する光学式離線測定法を基にしているため、夜間やトンネル内でしか測定することができず、明かり区間ではアークの発生状況を測定することはできない。
本発明は、上記状況に鑑みて、昼夜を問わず測定可能である電流式離線データを用いた複数パンタグラフの同時離線率推定方法を提供することを目的とする。なお、この同時離線率推定方法は複数パンタグラフが高圧母線で接続されていることが前提条件となる。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕第2のパンタグラフの任意の離線時間tの離線発生率をRc2t、第1のパンタグラフの任意の離線時間i(≦ta)をRc1iとすると、同時離線して第1のパンタグラフからアークが発生する確率Ra1 を推定することを特徴とする複数パンタグラフの同時離線率推定方法。但し、ta≦λ/2(λは電源電流の1周期の時間)である。
Figure 2005192297
本発明によれば、昼夜を問わず測定可能である電流式離線データに基づいて、夜間やトンネル内でしか測定できなかった光学式離線測定装置と同等の効果を有する複数パンタグラフの同時離線率の推定を昼夜を問わず行うことができる。
複数のパンタグラフの同時離線率を推定するために、電流式離線データを用いて、光学式離線測定装置によるものと同等の測定を行わせる。したがって、複数のパンタグラフの同時離線率の推定を昼夜を問わず行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明にかかる複数パンタグラフの離線とアークの発生状況を示す図である。
この図において、1は電気車の屋根上に配置される第1のパンタグラフ、2は同第2のパンタグラフ、3,4は電気車内に配置される負荷としての電動機、5はトロリ線、6は第1のパンタグラフ1と第2のパンタグラフ2を接続する高圧母線、I1 は第1のパンタグラフ1を流れる電流、I2 は第2のパンタグラフ2を流れる電流である。
まず、図1(a)においては、第1のパンタグラフ1、第2のパンタグラフ2が共にトロリ線5に接触している。つまり、両パンタグラフ1,2は着線状態であり、I1 ≠0、I2 ≠0である。交流電流が給電される場合は、図1(a)の右欄に示すように、両方の電流I1 ,I2 ともに正弦波形となる。
次に、図1(b)においては、第1のパンタグラフ1は着線状態であるが、第2のパンタグラフ2は離線状態となっている。つまり、I1 ≠0、I2 =0である。その場合の電流I2 の波形は離線した時間t1 は電流が遮断されており、逆に、電流I1 の波形は、その遮断された電流I2 を電流I1 で補って負荷としての電動機3,4に給電することになるので、離線した時間t1 は補う分だけ電流が増加する。
次に、図1(c)においては、第1のパンタグラフ1が着線状態、第2のパンタグラフ2が離線状態にあったものが、途中で第1のパンタグラフ1も離線している。すると、第2のパンタグラフ2の電流I2 は0なので、第1のパンタグラフ1が離線してもアーク7が発生し電流が流れる。すなわち、I1 =0でなく、アーク電流が流れることになる。
次に、図1(d)においては、まず、第2のパンタグラフ2が離線し、I2 =0となり、次に、第1のパンタグラフ1が離線しているがアーク電流が流れるため、電流I1 ≠0である。その後、離線した第2のパンタグラフ2が着線すると、アーク7が発生しなくなり、第1のパンタグラフ1の電流I1 =0になる。つまり、第1のパンタグラフ1が着線状態で電流I1 ≠0であり、第2のパンタグラフ2が離線して電流I2 =0である状態から、途中で第1のパンタグラフ1が離線しても、アークが発生し電流I1 ≠0であり、その後、第2のパンタグラフ2の着線により、電流I1 =0、電流I2 ≠0となる。
このように、同時離線によるアーク7は他方のパンタグラフの電流=0の時点もしくは、その時点より遅れて発生し、アーク発生時間≦他方のパンタグラフ電流=0である時間の関係が成り立つ。 そこで、同時離線によるアーク発生率の推定方法について説明する。
今、離線率は離線が発生する確率であると考えると、同時離線率は複数のそれぞれのパンタグラフが同時に離線する確率であるので、各パンタグラフの離線率の積と考えることができる。
また、殆どの同時離線は一方のパンタグラフが離線して電流が0となっている間に他方のパンタグラフが離線する現象である。
そのため、同時離線による1回のアーク発生時間は図1に示すように、他方のパンタグラフの離線時間以下であることから、同時離線によるアークは他方のパンタグラフの離線継続時間に拘束されることになる。つまり、他方のパンタグラフで離線が発生すると自パンタグラフでその離線時間以下のアークが発生することになる。当然ながら他方のパンタグラフの離線時間が短ければアークは短い時間のものしか発生しないが、離線時間が長い場合は、アークも短いものから長いものまで様々なものが発生する。
よって、同時離線によるアーク発生率は、電流式離線測定法により得られる電流式離線データを使用して、離線時間毎の他パンタグラフ離線発生率とその離線時間内に発生し得る自パンタグラフの離線発生率を乗ずることで求めることができる。
次に、本発明にかかる同時離線率計算方法について説明する。
ここで、パンタグラフ数は新幹線で一般的な2パンタグラフで考える。
第2パンタグラフの任意の離線時間tの離線発生率をRc2t、第1パンタグラフの任意の離線時間i(≦t)をRc1iとすると、同時離線して、第1パンタグラフからアークが発生する確率Ra1tは、
Figure 2005192297
となる。但し、電流がゼロクロスする箇所ではアークも途切れるため、アークは電源電流の半周期λt /2(50Hzでは10ms、60Hzでは8.3ms)が最大離線時間と見なすことができる。よって、(1)式の積分で使用しているtはt≦λ/2となることから、第2パンタグラフの離線時間tと区別するため、taと書き換える(ta≦λ/2)。なお、Rc2tは電流が零になっている時間(電流式離線時間)であるため、時間制限はない。よって(1)式を書き換えると、次のようになる。
Figure 2005192297
(2)式は第2パンタグラフの電流が零となる任意の離線時間tに対する同時離線発生率である。よって、第2パンタグラフのすべての離線時間に対する同時離線発生率は、
Figure 2005192297
となる。
図2はかかる同時離線率を測定するためのブロック図である。
この図において、11は電流式離線データ入力部、12は演算処理装置、13はインターフェース部、14は第1,第2、…あるいは各パンタグラフ(以下、第1、第2のパンタグラフという)の任意の離線時間tの離線発生率Rc1t,Rc2tの計算部、15はRc1iを0からta時間まで積分する積分値計算部、16は第1のパンタグラフからアークが発生する確率の計算部からなる。
このようにして、電流離線方式を利用して、複数のパンタグラフにおける同時離線率を測定することができる。
次に、本発明にかかる同時離線率の推定結果について説明する。
上記同時離線率計算方法により得られた複数パンタグラフの同時離線率の推定結果、つまり、電流式離線率から推定した結果を図3に示す。ここでは、図3(a)は試験が行われたA列車、図3(b)は試験が行われたB列車の結果を示している。
この図3から明らかなように、多少のばらつきはあるが、推定値と実測値とはある関数で表すことができ、電流式離線率から求めた推定値をこの関数に代入することで、複数パンタグラフの同時離線率の推定ができる。R2 は一致度を示している。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の複数パンタグラフの同時離線率推定方法は、簡便に同時離線率を得ることができ、この離線に伴うアークの発生を把握する方法として好適であり、すり板やトロリ線の摩耗の原因や、新幹線では集電系騒音源となるアークを発生させる、離線を減らすために資することができる。
本発明にかかる複数パンタグラフの離線とアークの発生状況を示す図である。 本発明にかかる複数パンタグラフの同時離線率を測定するためのブロック図である。 本発明にかかる電流式離線率から同時離線率を推定した結果を示す図である。 従来の複数パンタグラフのアーク発生状況(新幹線走行試験結果:2パンタグラフ)を示す図である。
符号の説明
1 第1のパンタグラフ
2 第2のパンタグラフ
3,4 電気車内に配置される負荷としての電動機
5 トロリ線
6 第1のパンタグラフと第2のパンタグラフを接続する高圧母線
7 アーク
1 第1のパンタグラフを流れる電流
2 第2のパンタグラフを流れる電流
11 電流式離線データ入力部
12 演算処理装置
13 インターフェース部
14 第1、第2パンタグラフの任意の離線時間tの離線発生率Rc1t,Rc2tの計算部
15 Rc1iを0からta時間まで積分する積分値計算部
16 第1のパンタグラフからアークが発生する確率の計算部

Claims (1)

  1. 第2のパンタグラフの任意の離線時間tの離線発生率をRc2t、第1のパンタグラフの任意の離線時間i(≦ta)をRc1iとすると、同時離線して第1のパンタグラフからアークが発生する確率Ra1 を、以下の式として演算制御装置で演算し、複数のパンタグラフの同時離線率を推定することを特徴とする複数パンタグラフの同時離線率推定方法。但し、ta≦λ/2(λは電源電流の1周期の時間)である。
    Figure 2005192297
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