JP2005190918A - 架橋ポリエチレン同軸ケーブル - Google Patents

架橋ポリエチレン同軸ケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】 高周波帯域(1〜10GHz程度)での誘電正接(tanδ)が小さく、かつ熱老化特性や半田耐熱性等の耐熱性に優れた架橋ポリエチレン組成物を提供しこれを誘電体として用いることによって、要求される前記耐熱性と高周波帯域でのtanδが小さく、減衰量が少ない架橋ポリエチレン同軸ケーブルを提供することにある。
【解決手段】 内部導体、その上に被覆される誘電体およびその外部に設けられる外部導体からなる同軸ケーブルにおいて、前記誘電体は芳香族第二級アミン系酸化防止剤を含有する架橋ポリエチレンからなる架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることによって、解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、架橋ポリエチレンを誘電体とする同軸ケーブルに関するものである。
高周波用の同軸ケーブルは、銅からなる中心導体とその上に設けられた低誘電率特性、低誘電正接特性を有するポリエチレンやフッ素樹脂等の誘電体層と、その外周に設けられる外部導体から構成されている。そして最近は、周波数域がGHz帯域のような高周波帯域においても減衰量が小さい同軸ケーブルが要求されている。またこの種同軸ケーブルにおいては、熱老化特性や半田耐熱性等の耐熱性も要求される。このような要求に対応するために種々の提案がなされている。例えば特許文献1には、誘電体層にエチレン系樹脂にイオウを含まないヒンダードフェノール型酸化防止剤とアリールアミン型酸化防止剤を配合することによって、前記の特性が得られるとしている。しかしながら本発明者等の検討によれば、このような誘電体においても高周波帯域における誘電正接(tanδ)悪化の問題が十分解決されておらず、また前記耐熱性の問題も十分でないことが判明した。このため1〜10GHz程度の高周波帯域で、より減衰が少なくまた耐熱性にも優れたポリエチレン誘電体が望まれていた。
特開2002−42555号公報
よって本発明が解決しようとする課題は、高周波帯域(1〜10GHz程度)での誘電正接(tanδ)が小さく、かつ熱老化特性や半田耐熱性等の耐熱性に優れた架橋ポリエチレン組成物を提供し、これを誘電体として用いることによって、要求される前記耐熱性と高周波帯域でのtanδが小さく、減衰量が少ない架橋ポリエチレン同軸ケーブルを提供することにある。
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、内部導体、その上に被覆される誘電体およびその外部に設けられる外部導体からなる同軸ケーブルにおいて、前記誘電体は芳香族第二級アミン系酸化防止剤を含有する架橋ポリエチレンからなる架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることによって、解決される。
また請求項2に記載されるように、前記芳香族第二級アミン系酸化防止剤が、N、N−ジ−2−ナフチル−パラフェニレンジアミンである架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることによって、さらに請求項3に記載されるように、芳香族第二級アミン系酸化防止剤の含有量を、ポリエチレン100重量部に対して0.01〜1.0重量部添加された架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることによって、解決される。
さらに請求項4に記載されるように、前記架橋ポリエチレンは、電子線照射によって架橋された架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることによって、解決される。
以上のような、内部導体、その上に被覆される誘電体およびその外部に設けられる外部導体からなる同軸ケーブルにおいて、前記誘電体が芳香族第二級アミン系酸化防止剤を含有する架橋ポリエチレンを用いた架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることによって、熱老化特性や半田耐熱性等の耐熱性に優れ、また高周波帯域でのtanδが小さく、減衰量が少ない架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることができる。
また好ましくは、芳香族第二級アミン系酸化防止剤として、N、N−ジー2−ナフチルーパラフェニレンジアミンを用いることによって、さらに芳香族第二級アミン系酸化防止剤の添加量が、ポリエチレン100重量部に対して0.01〜1重量部添加された架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることによって、熱老化特性や半田耐熱性等の耐熱性に優れ、また高周波帯域でのtanδが小さく、減衰量が少ない架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることができる。
そして前記架橋ポリエチレン同軸ケーブルは、電子線照射によって架橋することによって、要求される耐熱性(熱老化特性や半田耐熱性)を満足し、高周波帯域でのtanδが小さく、減衰量が少ない架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載される発明は、内部導体、その上に被覆される誘電体およびその外部に設けられる外部導体からなる同軸ケーブルにおいて、前記誘電体は芳香族第二級アミン系酸化防止剤を含有する架橋ポリエチレンからなる架橋ポリエチレン同軸ケーブルとしたので、要求される熱老化特性や半田耐熱性等の耐熱性に優れ、1〜10GHz程度の高周波帯域でのtanδが小さく、減衰量が少ない架橋ポリエチレン同軸ケーブルとなる。このように本発明では、誘電体を構成するポリエチレン(PE)として特定の酸化防止剤が添加され、かつ架橋されていることが重要である。そして前記PEとしては、通常同軸ケーブル用として使用されているPEが使用できるが、密度が0.920〜0.951g/ml、溶融張力が4〜20gのPEが好ましい。例えば、低密度ポリエチレンとしては宇部興産社のR300が、中密度ポリエチレンとしては宇部興産社のZM007が、高密度ポリエチレンとしては三井化学社のHizex5305Eが使用できる。そして前記特性を有するPEを、単独で或いは混合物として使用すればよい。さらには後述するように、酸化防止剤の添加量も特定されることが好ましい。
またPEには、芳香族第二級アミン系酸化防止剤を添加しかつ架橋することによって、高周波帯域におけるtanδが小さく、また熱老化特性に優れ、半田耐熱性も十分使用に耐えるものとなる。このようなPEを同軸ケーブルの誘電体として使用することによって、耐熱性に優れると共に高周波帯域での減衰量が少ない架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることができる。具体的には、tanδを2.2×10−4(@2.45GHz)以下とすることができ、半田耐熱性も320℃で5秒間の半田浴の使用に耐え、さらに熱老化特性としては120℃、96時間における引張強度の残率が80%以上、伸びの残率が65%以上のものである。
また芳香族第二級アミン系酸化防止剤は、請求項2に記載されるように、N、N−ジー2−ナフチルーパラフェニレンジアミンを用いるのが好ましい。このような芳香族第二級アミン系酸化防止剤を選定することによって、高周波領域でのtanδの増加を抑え、熱老化特性や半田耐熱性を満足する特性のものとすることができる。このような芳香族第二級アミン系酸化防止剤は、通常合成ゴム類の老化防止剤として使用されているが、同軸ケーブル用の架橋ポリエチレン誘電体として使用すると、従来のヒンダードフェノール系老化防止剤を用いた場合に見られた、高周波帯域でのtanδの悪化が少なく、また目的とする熱老化特性や半田耐熱性が得られることを確認できた。
またその添加量は、請求項3に記載されるように、PE100重量部に対して0.01〜1重量部とすることによって、得られた架橋ポリエチレン同軸ケーブルは、高周波領域でtanδを増加させることがなく、熱老化特性や半田耐熱性に優れたものとなる。このような添加量とするのは、添加量が0.01重量部未満であると、熱老化特性や半田耐熱性の向上が見られず、また1重量部を超えて添加するとコストが上昇するので好ましくない。具体的には、tanδを2.2×10−4(@2.45GHz)以下とすることができ、半田耐熱性も320℃で5秒間の半田浴の使用に耐え、さらに熱老化特性としては120℃、96時間における引張強度の残率が80%以上、伸びの残率が65%以上のものとすることができる。
そして芳香族第二級アミン系酸化防止剤が特定量添加されたPEは、請求項4に記載されるように、同軸ケーブルの内部導体上に被覆された後、電子線照射によって架橋されることが好ましい。これは同軸ケーブルの誘電体として前述の特性を維持するために重要である。すなわち有機過酸化物架橋やシラン架橋によって架橋したものは、有機過酸化物の分解残渣やシラン架橋の場合の水分等が、同軸ケーブルの高周波帯域でのtanδを悪化させるためである。よって同軸ケーブルの誘電体の架橋処理は、電子線照射架橋とするのがよい。通常同軸ケーブルの内部導体上に、被覆厚さが0.1〜1.0mm程度に設けられ、その外部上には種々の方法によって外部導体が形成されことによって、架橋ポリエチレン同軸ケーブルとすることができる。
表1に記載する実施例並びに比較例によって、本発明の効果を確認した。同軸ケーブルの誘電体用のPEとしては、宇部興産社の低密度ポリエチレン(LDPE)であるR300を使用した。このPE100重量部に対して各種老化防止剤や酸化防止剤をそれぞれの重量部を添加した後、2本ロールを用いて混練しついでペレタイザーによってペレット化した。なお老化防止剤としては、芳香属第二級アミン系酸化防止剤として、ノクラックwhite(大内新興化学工業社製)をヒンダードフェノール系酸化防止剤として、チバスペシャリティケミカルズ社のイルガノックス1010および1076を、さらにビスフェノール系酸化防止剤として大内新興化学工業社のノクラック300を使用した。このペレットを160℃の押出機により、Φ0.6mmの銅内部導体上に外径が1.6mmになるように被覆成形した。ついで、10Mradの電子線照射を行って架橋したものと、電子線照射を行わないものとを用意した。この状態の試料を、架橋ポリエチレン同軸ケーブルとして用いた。
この各試料について、半田耐熱性として320℃の無鉛半田浴中に5秒間浸漬し、試料の溶融状態を調べた。溶融が全く見られないものを○印で、少しでも溶融が見られるものを×印で示した。また熱老化特性として、120℃×96時間後における引張強度の残率を、東洋精機社製のストログラフを用いて測定し、さらに伸びの残率を測定した。引張強度の残率が80%以上および伸びの残率が65%以上のものを○印で、これ等を満たさないものを×印で記載した。さらに空洞共振器摂動法装置を用いて、2.45GHzにおけるtanδを測定して、減衰量の目安とした。tanδが2.2×10−4以下のものを好ましいものとした。
Figure 2005190918
表1から明らかなとおり、実施例1〜3に記載される電子線照射架橋した本発明は、熱老化特性、半田耐熱性並びにtanδの全ての特性を満足するものであった。また比較例1〜25に示した例は、電子線照射架橋の有無に関係なく前記特性のいずれかが満足しないものであった。
より詳細に説明すると、実施例1〜3に示した芳香属第二級アミン系酸化防止剤である商品名ノクラックwhiteを、LDPE100重量部に対して0.01〜1.0重量部の範囲で添加し、電子線照射により架橋した架橋ポリエチレン同軸ケーブルは、熱老化特性、半田耐熱性並びにtanδの全てが目的とする特性を満足するものであった。このように、PEに芳香属第二級アミン系酸化防止剤を特定量添加し、電子線照射架橋した誘電体を有する架橋ポリエチレン同軸ケーブルは、1〜10GHz程度の高周波帯域で減衰量が少ない優れたものであることがわかる。
これに対して、比較例1および2のように老化防止剤や酸化防止剤を添加しない同軸ケーブルは、電子線照射架橋の有無に関係なく熱老化特性並びに半田耐熱性に問題があることがわかる。また、比較例4、6、7のように芳香属第二級アミン系酸化防止剤を添加しても、電子線照射架橋を行わない同軸ケーブルは、熱老化特性並びに半田耐熱性を満足しないものとなっている。さらに、比較例3や5のように芳香属第二級アミン系酸化防止剤を添加し電子線照射架橋しても、その添加量が本発明の下限値以下の場合には、熱老化特性並びに半田耐熱性を満足しないものとなっている。
つぎに、芳香属第二級アミン系酸化防止剤以外の老化防止剤や酸化防止剤を使用した、比較例8〜25について述べる。比較例8〜19に示すヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加した誘電体を用いた同軸ケーブルは、その添加量並びに電子線照射架橋の有無にかかわらず熱老化特性、半田耐熱性並びにtanδのいずれかの特性に問題がある。また比較例11〜13および17〜19に示す、電子線照射架橋を行わないものは熱老化特性並びに半田耐熱性を満足しないものとなっている。さらに電子線照射架橋を行った比較例8〜10および14〜16の場合には、tanδが全て2.2×10−4を超え減衰量が大きくなり、また熱老化特性並びに半田耐熱性を満足しないものが見られる。このような同軸ケーブルは、高周波帯域での使用に問題があることがわかる。
また、比較例20〜25に示されるビスフェノール系の老化防止剤を使用した場合については、比較例23〜25のように電子線照射架橋を行わないと、熱老化特性、半田耐熱性並びにtanδの全てが、目的とする特性を満足しないものであった。さらに電子線照射架橋した場合であっても比較例20〜22に見られるように、熱老化特性や半田耐熱性を満足する例(例えば比較例22)も見られるが、総じて熱老化特性や半田耐熱性が悪く、また高周波帯域でのtanδは全て満足しないものとなっている。
以上のような架橋ポリエチレン同軸ケーブルは、誘電正接(tanδ)が小さく、半田耐熱性並びに熱老化特性に優れているので、高周波帯域(1〜10GHz程度)での減衰量が少ない種々の架橋ポリエチレン同軸ケーブルとして、有用なものである。

Claims (4)

  1. 内部導体、その上に被覆される誘電体およびその外部に設けられる外部導体からなる同軸ケーブルにおいて、前記誘電体は芳香族第二級アミン系酸化防止剤を含有する架橋ポリエチレンからなることを特徴とする架橋ポリエチレン同軸ケーブル。
  2. 前記芳香族第二級アミン系酸化防止剤が、N、N−ジ−2−ナフチル−パラフェニレンジアミンであることを特徴とする請求項1に記載の架橋ポリエチレン同軸ケーブル。
  3. 芳香族第二級アミン系酸化防止剤の含有量は、ポリエチレン100重量部に対して0.01〜1.0重量部添加されたことを特徴とする請求項1または2に記載の架橋ポリエチレン同軸ケーブル。
  4. 前記架橋ポリエチレンは、電子線照射によって架橋されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の架橋ポリエチレン同軸ケーブル。
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