JP2005189390A - 光ファイバ心線 - Google Patents

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格 石田
Akira Namazue
彰 鯰江
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Abstract

【課題】 本発明は、特に心線の被覆除去性及びピストニング特性の向上を図った光ファイバ心線を提供する。
【解決手段】 かゝる本発明は、光ファイバ裸線10上に一次及び二次の被覆層20、30を設けた光ファイバ心線において、光ファイバ心線の一次被覆層20が内側から低ヤング率の緩衝層21と高ヤング率の保護層22の2層構造からなり、特に、緩衝層21側のヤング率が0.8MPa以下、破断強度が3.0MPa以上、ガラス引抜き力が0.4〜1.5N/mmである光ファイバ心線にあり、これにより、良好な心線の被覆除去性及びピストニング特性の向上が図られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光ファイバ心線に関し、特に心線の被覆除去性及びピストニング特性の向上を図ったものである。
従来、光ファイバ心線の製造にあたっては、紡糸された光ファイバ裸線(φ125μm)上にシリコーン系熱硬化型樹脂又は紫外線硬化型樹脂からなる一次被覆層を施して、光ファイバ素線(φ250〜400μm)を作り、さらに、この外周にポリ塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステルエラストマー樹脂などの二次被覆(外皮)を施している(特許文献1〜2)。
特開平11−237536号 特開2003−14998号
ところが、従来、このような構造の光ファイバ心線の種々の特性の検討にあたっては、主にポリ塩化ビニル樹脂ナイロン樹脂、ポリエステルエラストマー樹脂などの二次被覆側の樹脂特性などの検討を行っていた。例えば、心線の被覆除去性やピストニング特性(心線内部の光ファイバ裸線が被覆端面から突出する現象)の改善にあたっても、主に二次被覆側の剛性や収縮率などの検討を行っており、実際、これらの点について種々の仕様、規定などが定められている。
これに対して、本発明者等は、従来とは着眼点を変え、心線の被覆除去性やピストニング特性の改善にあたって、光ファイバ裸線と直接接する内部の一次被覆層側の部分に着目し、この部分の構造や用いる樹脂などの特性について種々の試験を行ったところ、後述するように、より良好な改善結果が得られた。
本発明は、この観点に立ってなされたものであり、一次被覆層側の構造や用いる樹脂などの特性を特定することにより、被覆除去性やピストニング特性の向上を図った光ファイバ心線を提供するものである。
請求項1記載の本発明は、光ファイバ裸線上に一次及び二次の被覆層を設けた光ファイバ心線において、前記光ファイバ心線の一次被覆層が内側から低ヤング率の緩衝層と高ヤング率の保護層の2層構造からなり、前記一次被覆層の緩衝層のヤング率が0.8MPa以下、破断強度が3.0MPa以上、ガラス引抜き力が0.4〜1.5N/mmであることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ心線にある。
請求項2記載の本発明は、前記一次被覆層の緩衝層及び保護層が、ともにウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ心線にある。
請求項3記載の本発明は、前記二次被覆層が、引張弾性率が300〜700MPaの熱可塑性ポリエステルエラストマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ心線にある。
請求項4記載の本発明は、前記一次被覆層の緩衝層及び保護層の直径がそれぞれ190〜200μm、240〜260μmで、二次被覆層の直径が0.9mmであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光ファイバ心線にある。
本発明によると、上記のように、一次被覆層側を2層構造とし、また、特に光ファイバ裸線と直接接する一次被覆層の緩衝層に用いる樹脂などの特性を特定することで、後述するように、被覆除去性やピストニング特性の向上を図った光ファイバ心線を得ることができる。
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る光ファイバ心線を示したものである。図中、10は光ファイバ裸線、20はこの外周に施された一次被覆層、30は一次被覆層20の外周に施された二次被覆層である。ここで、一次被覆層20を施したものを、光ファイバ素線といい、二次被覆層を施したものを光ファイバ心線という。
この光ファイバ心線では、一次被覆層20を、光ファイバ裸線10と直接接する緩衝層21とこの外周に施した保護層22の2層構造としてある。これらの各層は、いずれも紫外線硬化型樹脂などを用い、実際には、線引きされてきた光ファイバ裸線10の外周に順次塗布して形成する。紫外線硬化型樹脂を用いる場合、特にウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂の使用が望ましい。その理由は、この樹脂の場合、柔軟性に富み、裸のガラス面に対して、良好な緩衝機能が期待できるからである。
しかし、柔軟性に富み、柔らかいことは、強度的に弱いことを意味するため、本発明では、ガラス面と直接接する緩衝層21側を柔らかい低ヤング率とする一方、この外側の保護層22を硬めの高ヤング率としてある。これにより、一次被覆層20全体の機械的強度を確保してある。この両層の各ヤング率の調整にあっては、添加剤や充填剤などの混合・添加により行うものとする。
一方、二次被覆層30側にあっては、特に限定されないが、その直径が0.9mmとなるように、熱可塑性樹脂を用いて被覆する。この熱可塑性樹脂も、特に限定されないが、例えば、引張り弾性率が300〜700MPaの熱可塑性ポリエステルエラストマーを使用するとよい。この大きな引張り弾性率により、光ファイバ心線に必要とされる十分な機械的強度が得られる。
このような概略構成のもとで、各部部分、特に一次被覆層の緩衝層のより好ましい要件を求めるべく、表1に示した如き、以下の試験を行った。
つまり、緩衝層のヤング率(MPa)、破断強度(MPa)、光ファイバ裸線に対するガラス引抜き力(N/mm)について、種々の値のサンプルの光ファイバ心線を製造した(サンプルNo1〜9)。そして、これらの条件に対して、被覆除去性〔被覆除去力(相対値、%)〕、除去後カス残り、ピストニング特性(mm)の心線特性を求めた。
サンプルの光ファイバ心線製造にあたって、光ファイバ裸線の外径(直径)はφ125μm、用いた一次被覆層の緩衝層及び保護層の樹脂材料はともにウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂で、緩衝層の外径(直径)はφ195μm、保護層の(直径)はφ245μmとした。また、緩衝層のヤング率、破断強度、光ファイバ裸線を引き抜くガラス引抜き力については、モノマー、オリゴマー、シランカップリング剤などの添加剤や充填剤の配合により調整した。保護層のヤング率も同様にして調整し、800MPaとした。二次被覆層の樹脂材料としては、引張り弾性率が300MPaの熱可塑性ポリエステルエラストマーも用い、外径(直径)を0.9mmとした。
そして、一次被覆層の緩衝層及び保護層のヤング率は樹脂シート引張試験により求めた。破断強度も樹脂シート引張試験により求めた。ガラス引抜き力は、図2の方法によりにより求めた。つまり、サンプルの光ファイバ素線1の先端に、その素線径に合った溝を有する長さ5mmほどの固定具(分割コマ)2を接着し、これをストッパとして、ガラス引抜き力器具3の吊りフレーム4の下方水平ベース部5に設けた穴6部分に上側から通す。固定具2の底面側の光ファイバ素線1の外周に切り込み1aを入れ、この状態で、下方から3mm/minの引っ張り速度で引っ張る。そして、任意の長さだけ引き抜き、そのときの最大応力を、吊りフレーム4の上方水平ベース部7に設けたセンサ(ロードセル)8により測定した。
また、心線特性の被覆除去性〔被覆除去力(相対値)〕はIEC60793−1−32に準拠して行い、9サンプルのうちもっとも除去力が低かった値(サンプルNo9)を100%として表した。除去後のカス残りは目視観察により行い、その度合いの少ない場合を「小」とし、多い場合も「多」として表した。ピストニング特性は1.5mのサンプルの光ファイバ心線を、−40〜85℃の熱衝撃環境下に暴露し、熱収縮るよる内部の光ファイバ裸線の突出量により求め、表1では、100cyc時(1cyc/1hrs)の結果を示してある。
Figure 2005189390
この試験結果から、緩衝層の樹脂特性において、ヤング率が低いほど、柔らかく、被覆除去後のカスが残り易く、被覆除去性が低くなる傾向があることが判る。被覆除去力(相対値)については、300%以上となると、IEC規格値から大幅にずれる(外れる)ことになるため、サンプルNo8の例から、緩衝層のヤング率としては、0.8MPa以下であることが望ましいことが判る。同様ガラス引抜き力についても、サンプルNo8の例から、1.5N/mmであることが望ましいことが判る。
緩衝層の破断強度は、その値が大きいほど、被覆除去後の残りカスが少なくなる傾向になることが判る。特に、サンプルNo9の例では、破断強度が小さいと、ガラス引抜き力が小さくなって、ピストニング特性が悪くなることが判る。このため、緩衝層の破断強度は、少なくとも3.0MPa以上とする必要がある。
緩衝層のガラス引抜き力については、その値が小さいほど、ピストニング特性が悪くなることが判る。一般的に市場におけるピストニングの突出量は1.5mm以内とされていることから、ガラス引抜き力は,0.4N/mm以上であることが必要とされる。
これらのことから、本発明では、一次被覆層の緩衝層について、ヤング率が0.8MPa以下、破断強度が3.0MPa以上、ガラス引抜き力が0.4〜1.5N/mmであるように調整するものとする。ただし、心線の被覆除去性及びピストニング特性の向上には、緩衝層の樹脂特性は勿論のこと、保護層と2層構造とした点、用いるウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂などの樹脂、緩衝層と保護層の外径の大きさ、二次被覆層に用いる樹脂の引張弾性率なども影響する。このため、本発明の場合、好ましくは、二次被覆層の樹脂として、上記したように、引張弾性率が300〜700MPaの熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いるものとする。また、一次被覆層の緩衝層及び保護層の厚さ、即ち、直径としては、それぞれ190〜200μm、240〜260μmとし、二次被覆層の直径も0.9mmとすることが望ましい。
本発明に係る光ファイバ心線の一つの実施の形態になる横断面図である。 ガラス引抜き力の測定方法を説明した概略説明図である。
符号の説明
10・・・光ファイバ裸線、20・・・一次被覆層、21・・・緩衝層、22・・・保護層、30・・・二次被覆層、

Claims (4)

  1. 光ファイバ裸線上に一次及び二次の被覆層を設けた光ファイバ心線において、前記光ファイバ心線の一次被覆層が内側から低ヤング率の緩衝層と高ヤング率の保護層の2層構造からなり、前記一次被覆層の緩衝層のヤング率が0.8MPa以下、破断強度が3.0MPa以上、ガラス引抜き力が0.4〜1.5N/mmであることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ心線。
  2. 前記一次被覆層の緩衝層及び保護層が、ともにウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ心線。
  3. 前記二次被覆層が、引張弾性率が300〜700MPaの熱可塑性ポリエステルエラストマーであることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ心線。
  4. 前記一次被覆層の緩衝層及び保護層の直径がそれぞれ190〜200μm、240〜260μmで、二次被覆層の直径が0.9mmであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光ファイバ心線。
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