JP2005188609A - 電動弁の診断方法及びその装置 - Google Patents

電動弁の診断方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 電動弁の診断を高精度に行うことができる電動弁の診断方法及び該診断方法の実施に好適な診断装置を提供する。
【解決手段】 予め、基準トルクと第1初期値及び第2初期値を取得しておき、実際の電動弁の診断に際しては、計測値の取得と電動弁の作動方向の検出とを行うことのみで、基準データと第1初期値及び第2初期値に基づいて、該第1初期値及び第2初期値の寸法差、すなわち、スプリングカートリッジのガタ量の影響が排除された計測値に対応する実トルクを容易且つ確実に取得することができる。従って、この取得された実トルクを、目的とする診断項目における適正トルクと比較して診断を行うことで、極めて信頼性の高い診断結果を得ることができる。また、電動弁の診断に際しては、計測値の取得と電動弁の作動方向の検出のみを行えば良いことから、診断作業そのものが簡易且つ迅速化され、診断コストの低減、延いては電動弁のランニングコストの低廉化が促進される。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、電動弁のトルクに関する診断を行う場合における診断方法及び該診断方法を実施するに好適な診断装置に関するものである。
電動弁は、弁体の開閉をモータ駆動力で行うように構成したものであって、その最大の特徴は、大きな弁体駆動力を確保できることと、開閉操作を遠隔操作によって行える点等であり、このような特質から、例えば大口径配管が設備されている大型プラントとか、人手による操作が規制される原子力発電所の配管等において多用され、且つその用途は、流量調整用の弁として使用されるよりも、配管内通路の全開・全閉用の弁として使用されることが多い。
そして、このような電動弁は、配管内通路を開閉する弁体と、モータにより回転駆動されるウォームと、該ウォームの回転力を受けて上記弁体を開閉作動させる弁体駆動部と、上記ウォームに発生する推力に応じて伸縮する皿バネを所定の張込荷重を付与して内蔵したスプリングカートリッジを備え、上記トルクを上記弁体駆動部に付与して弁体を開閉作動させる一方、上記皿バネの圧縮量が規制量に達した時点で上記モータを停止させることで、適正な開閉弁保持力による信頼性の高い弁作用の確保と、過大な駆動力の負荷回避による損傷の防止を実現している。
一方、電動弁においては、その機能を長期に亘って維持するためには、該電動弁の機能そのものの健全性の確認は勿論のこと、その他に、モータ部分とかウォームとか、該ウォームの回転力を弁体側に伝達する弁体駆動部等の健全性の確認が必要となる。このための診断の着目点としては、例えば、適正なトルクで弁体を駆動させているかどうか、弁体の全開・全閉状態において適正な保持トルクが確保されているかどうか、所要のトルクが付与された時点でモータを自動停止させるトルクスイッチの設定が適正であるか、弁体駆動部等の磨耗の進行具合はどの程度か、等である。これらの診断項目のうちでも、電動弁のトルクに関する診断は、電動弁の不具合の大部分がトルクの不適正が原因であるという過去の例からして、最も重要と考えられる。このため、トルクに関する電動弁の診断方法については、従来から各種の提案がなされている。
例えば、ウォーム移動量を皿バネの圧縮量とみなし、該ウォーム移動量とこれに対応する圧縮力との関係を知得した後、ウォーム移動量を測定し、この測定値から実際に作用している圧縮力を取得し、さらに、この圧縮力に基づいて実際にウォームから弁体駆動部に作用しているトルクを知り、このトルクに基づいて電動弁のトルクに関する診断を行う診断方法がある(特許文献1参照)。この方法によれば、電動弁の作動方向が開作動方向であっても閉作動方向であっても、皿バネが圧縮されるという現象は同じであって異なるところがないことから、ウォーム移動量さえ測定しておけば、このウォーム移動量に対応する圧縮力(すなわち、これに対応するトルク)を知ることができる。すなわち、ウォーム移動量と、このウォーム移動量をトルクに換算した値をデータとして取得しておけば、電動弁の開作動時と閉作動時のどちらにおいてもウォーム移動量に対応するトルクを知ることができるものである。
特許第2982090号公報(段落「0021」〜[0031],図1〜図4)
ところで、通常、上記皿バネは、これを所要枚数だけ対向配置し且つこれを所定量縮小させて所定の張込荷重を付与してなるスプリングカートリッジとして用いられる。すなわち、上記スプリングカートリッジは、電動弁側に所定間隔をもって配置された一対の拘束部材間に嵌装され、電動弁の閉作動時には、上記一対の拘束部材のうちの一方側が固定され、他方側が移動することで圧縮され、逆に、開作動時には、上記一対の拘束部材のうちの他方側が固定され、一方側が移動することで圧縮されるように構成されている。
この場合、皿バネの圧縮量(すなわち、スプリングカートリッジの圧縮量)は、ある基準位置から該スプリングカートリッジの端部あるいはこれに連結されている部分までの距離の変位(すなわちウォーム移動量)を測定することで実測することができる。このため、上記ウォーム移動量と圧縮力(すなわち、トルクと一定の関係を有する圧縮力)との関係を取得する実際的な手法として、電動弁の開作動時と閉作動時とについて変位とトルクの関係を示す一枚のトルク曲線として作成する手法も存在する。例えば、図14に示すように、測定された上記ウォーム移動量と圧縮力から求めた閉作動時のトルク曲線「C1」を、その基準位置a点の回りに点対称に折り返して開作動時のトルク曲線「C2」として採用し、これら二つのトルク曲線を一枚のトルク曲線として作成する手法である。尚、図14においては、視認の便宜上、閉作動時のトルク値を「+」表示とし、開作動時のトルク値を「−」表示としている。
このような手法、すなわち、閉作動時のトルク曲線「C1」を点対称に折り返して開作動時のトルク曲線「C2」とし、これら二つのトルク曲線を一枚のトルク曲線として取得し、この取得されたトルク曲線に基づいて電動弁のトルクに関する診断を行った場合に高精度の診断が期待できるのは、上記スプリングカートリッジを上記一対の拘束部材間に嵌装した状態において、該スプリングカートリッジの軸長と上記一対の拘束部材の間隔寸法とが合致し、これら両者間にガタが無い場合、すなわち、図14において、閉作動時のトルク曲線「C1」の基点と開作動時のトルク曲線「C2」の基点が同一のウォーム位置「a」において合致する場合のみであり、ガタが存在する場合、すなわち、図14において、開作動時のトルク曲線「C2´」で示すように、該開作動時のトルク曲線「C2´」の基点がウォーム位置「b」となり、閉作動時のトルク曲線「C1」の基点「a」との間においてウォームの軸方向にズレを生じる場合には、例えば、ウォーム位置「c」におけるトルクは、トルク曲線「C2´」から取得されるトルク「T2」であるべきところ、これがトルク曲線「C2」からトルク「T1」として取得され、トルク値に「T2−T1」の差が生じることになる。従って、このトルク曲線「C2」から得られるトルク「T1」を電動弁の診断に用いたのでは、精度の高い診断は望み得ないものとなる。
しかるに、このようなスプリングカートリッジのガタを考慮した電動弁の診断方法は未だ提案されておらず、従って、高精度の診断を行うという観点から、その開発が要請されているところである。
そこで、本願発明では、電動弁のトルクに関する診断を高精度に行うことができる電動弁の診断方法、及びこの診断方法の実施に好適な診断装置を提供することを目的としてなされたものである。
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
本願の第1の発明では、弁体を開閉する弁体駆動部に駆動力を付与するウォームをその軸方向に移動可能に配置すると共に、該ウォームの軸心上に、複数枚の皿バネを同軸上に対向配置し且つ所定の張込荷重を付与しユニット化してなるスプリングカートリッジを配置し、上記ウォームの軸方向変位に伴う上記皿バネの圧縮量に対応するトルクを上記弁体駆動部に付与するようにした電動弁を対象とし、該電動弁の上記トルクに関する各種診断項目について診断を行うための診断方法において、上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応する基準圧縮力を取得し該基準圧縮力に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得すると共に、上記スプリングカートリッジを上記電動弁に組み込んだ状態で該電動弁を開側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の一端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第1初期位置と、該電動弁を閉側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の他端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第2初期位置のそれぞれにおける、該スプリングカートリッジ側に設定した計測点と計測基準位置との上記軸方向間隔寸法をそれぞれ第1初期値及び第2初期値として取得し上記基準データと共にこれを記憶保持し、電動弁の診断に際しては、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で上記計測点と上記計測基準位置との上記軸方向間隔寸法を閉作動時と開作動時のそれぞれについて計測して閉作動時の第1計測値と開作動時の第2計測値を取得すると共に、上記電動弁の作動方向を検出し、閉作動時には上記第1計測値と上記第2初期値との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値と上記第1初期値との差分の絶対値を、それぞれ実圧縮量とし、該実圧縮量を上記基準データにおける上記基準圧縮量に置換してこれに対応する基準圧縮力を取得すると共に該基準圧縮力に対応する基準トルクを実トルクとして取得し、該実トルクと各種診断項目における適正トルクとを比較して診断を行うことを特徴としている。
本願の第2の発明では、弁体を開閉する弁体駆動部に駆動力を付与するウォームをその軸方向に移動可能に配置すると共に、該ウォームの軸心上に、複数枚の皿バネを同軸上に対向配置し且つ所定の張込荷重を付与しユニット化してなるスプリングカートリッジを配置し、上記ウォームの軸方向変位に伴う上記皿バネの圧縮量に対応するトルクを上記弁体駆動部に付与するようにした電動弁を対象とし、該電動弁の上記トルクに関する各種診断項目について診断を行うための診断方法において、上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応する基準圧縮力を取得し該基準圧縮力に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得すると共に、上記スプリングカートリッジを上記電動弁に組み込んだ状態で該電動弁を開側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の一端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第1初期位置と、該電動弁を閉側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の他端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第2初期位置のそれぞれにおける、該スプリングカートリッジ側に設定した計測点と計測基準位置との上記軸方向間隔寸法をそれぞれ第1初期値及び第2初期値として取得すると共に、上記第1初期値と第2初期値との差分の絶対値をガタ量として取得し、上記基準データと上記第1初期値及び第2初期値並びに上記ガタ量を記憶保持し、電動弁の診断に際しては、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で上記計測点と上記計測基準位置との上記軸方向間隔寸法を閉作動時と開作動時のそれぞれについて計測して閉作動時の第1計測値と開作動時の第2計測値を取得すると共に、上記電動弁の作動方向を検出し、閉作動時には上記第1計測値と上記第2初期値との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値と上記第2初期値との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、
または、閉作動時には上記第1初期値と上記第1計測値との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、開作動時には上記第2計測値と上記第1初期値との差分の絶対値を、
それぞれ実圧縮量とし、該実圧縮量を上記基準データにおける上記基準圧縮量に置換してこれに対応する基準圧縮力を取得すると共に該基準圧縮力に対応する基準トルクを実トルクとして取得し、該実トルクと各種診断項目における適正トルクとを比較して診断を行うことを特徴としている。
本願の第3の発明では、上記第1及び第2の発明に係る電動弁の診断方法において、上記基準データの取得作業を、上記スプリングカートリッジを電動弁から取り外した状態で行うことを特徴としている。
本願の第4の発明では、上記第1及び第2の発明に係る電動弁の診断方法において、上記基準データの取得作業を、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で行うことを特徴としている。
本願の第5の発明では、上記第1及び第2の発明に係る電動弁の診断方法において、上記電動弁の作動を停止させた状態で作業を行うことを特徴としている。
本願の第6の発明では、上記第4の発明に係る電動弁の診断方法において、上記電動弁を作動させた状態で作業行うことを特徴としている。
本願の第7の発明では、上記第1,第2,第3,第4,第5及び第6の発明に係る電動弁の診断方法において、上記計測基準位置を上記電動弁のケーシング上に設定することを特徴としている。
本願の第8の発明では、弁体を開閉する弁体駆動部に駆動力を付与するウォームをその軸方向に移動可能に配置すると共に、該ウォームの軸心上に、複数枚の皿バネを同軸上に対向配置し且つ所定の張込荷重を付与しユニット化してなるスプリングカートリッジを配置し、上記ウォームの軸方向変位に伴う上記皿バネの圧縮量に対応するトルクを上記弁体駆動部に付与するようにした電動弁を対象とし、該電動弁の上記トルクに関する各種診断項目について診断を行うための診断装置において、上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応する基準圧縮力を取得し該基準圧縮力に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得する基準データ取得手段と、上記スプリングカートリッジを上記電動弁に組み込んだ状態で該電動弁を開側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の一端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第1初期位置と、該電動弁を閉側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の他端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第2初期位置のそれぞれにおける、該スプリングカートリッジ側に設定した計測点と計測基準位置との上記軸方向間隔寸法をそれぞれ第1初期値及び第2初期値として取得する第1計測手段と、上記基準データと上記第1初期値及び上記第2初期値を記憶保持する記憶手段と、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で上記計測点と上記計測基準位置との上記軸方向間隔寸法を閉作動時と開作動時のそれぞれについて計測して閉作動時の第1計測値と開作動時の第2計測値を取得する第2計測手段と、上記電動弁の作動方向を検出する作動方向検出手段と、上記閉作動時には上記第1計測値と上記第2初期値との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値と上記第1初期値との差分の絶対値を、それぞれ実圧縮量とし、該実圧縮量を上記基準データにおける上記基準圧縮量に置換してこれに対応する基準圧縮力を取得すると共に該基準圧縮力に対応する基準トルクを実トルクとして取得する実トルク取得手段と、上記実トルク取得手段において取得された実トルクと各種診断項目における適正トルクとを比較して診断を行う診断手段とを備えたことを特徴としている。
本願の第9の発明では、弁体を開閉する弁体駆動部に駆動力を付与するウォームをその軸方向に移動可能に配置すると共に、該ウォームの軸心上に、複数枚の皿バネを同軸上に対向配置し且つ所定の張込荷重を付与しユニット化してなるスプリングカートリッジを配置し、上記ウォームの軸方向変位に伴う上記皿バネの圧縮量に対応したトルクを上記弁体駆動部に付与するようにした電動弁を対象とし、該電動弁の上記トルクに関する各種診断項目について診断を行うための診断装置において、上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得する基準データ取得手段と、上記スプリングカートリッジを上記電動弁に組み込んだ状態で該電動弁を開側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の一端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第1初期位置と、該電動弁を閉側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の他端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第2初期位置のそれぞれにおける、該スプリングカートリッジ側に設定した計測点と計測基準位置との上記軸方向間隔寸法をそれぞれ第1初期値及び第2初期値として取得する第1計測手段と、上記第1初期値と第2初期値との差分の絶対値をガタ量として取得するガタ量取得手段と、上記基準データと上記第1初期値及び第2初期値並びに上記ガタ量を記憶保持する記憶手段と、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で上記計測点と上記計測基準位置との上記軸方向間隔寸法を閉作動時と開作動時のそれぞれについて計測して閉作動時の第1計測値と開作動時の第2計測値を取得する第2計測手段と、上記電動弁の作動方向を検出する作動方向検出手段と、上記閉作動時には上記第1計測値と上記第2初期値との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値と上記第2初期値との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、
または、閉作動時には上記第1初期値と上記第1計測値との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、開作動時には上記第2計測値と上記第1初期値との差分の絶対値を、
それぞれ実圧縮量とし、該実圧縮量を上記基準データにおける上記基準圧縮量に置換してこれに対応する基準圧縮力を取得すると共に該基準圧縮力に対応する基準トルクを実トルクとして取得する実トルク取得手段と、上記実トルク取得手段において取得された実トルクと各種診断項目における適正トルクとを比較して診断を行う診断手段とを備えたことを特徴としている
本願の第10の発明では、上記第8又は第9の発明に係る電動弁の診断装置において、上記診断手段における診断結果を表示する表示手段を備えるとともに、該表示手段が、トルク曲線を表示するように構成されていることを特徴としている。
本願の第11の発明では、上記第8又は第9の発明に係る電動弁の診断装置において、上記第1計測手段と第2計測手段を同一の計測手段で構成したことを特徴としている。
本願の第12の発明では、上記第11の発明に係る電動弁の診断装置において、上記第1及び第2計測手段を、照射したレーザ光の上記スプリングカートリッジ側の計測点での反射光を受光して該計測点までの距離を検出するレーザセンサで構成したことを特徴としている。
本願の第13の発明では、上記第12の発明に係る電動弁の診断装置において、上記レーザセンサと上記スプリングカートリッジの間を透明材で油密的に区画し、上記レーザセンサは上記透明材を通して上記計測点を臨み得るように構成したことを特徴としている。
本願発明に係る電動弁の診断方法及び電動弁の診断装置によれば、以下のような特有の効果が得られる。
(a)本願の第1の発明に係る電動弁の診断方法によれば、予め、上記基準トルクと上記第1初期値及び第2初期値を取得しておくことで、実際の電動弁の診断に際しては、上記第1及び第2計測値の取得と上記電動弁の作動方向の検出とを行うことのみで、上記基準データと上記第1初期値及び第2初期値に基づいて、該第1初期値及び第2初期値の寸法差、すなわち、上記スプリングカートリッジのガタ量の影響が排除された上記第1及び第2計測値に対応する実トルクを容易且つ確実に取得することができる。従って、取得された上記実トルクを、目的とする診断項目における適正トルクと比較して診断を行うことで、極めて信頼性の高い診断結果を得ることができ、延いては電動弁の作動上の信頼性の向上に寄与し得るものである。
さらに、電動弁の診断に際しては、上記第1及び第2計測値の取得と上記電動弁の作動方向の検出のみを行えば良いことから、診断作業そのものが簡易且つ迅速化され、診断コストの低減、延いては電動弁のランニングコストの低廉化が促進されることになる。
(b)本願の第2の発明に係る電動弁の診断方法によれば、予め、上記基準トルクと上記第1初期値及び第2初期値、及び該第1初期値と第2初期値との差分の絶対値として表されるガタ量を取得しておくことで、実際の電動弁の診断に際しては、上記第1及び第2計測値の取得と上記電動弁の作動方向の検出とを行うことのみで、上記基準データとガタ量に加えて、上記第1初期値または第2初期値に基づいて、該ガタ量の影響が排除された上記第1及び第2計測値に対応する実トルクを容易且つ確実に取得することができる。従って、取得された上記実トルクを、目的とする診断項目における適正トルクと比較して診断を行うことで、極めて信頼性の高い診断結果を得ることができ、延いては電動弁の作動上の信頼性の向上に寄与し得るものである。また、第1初期値及び第2初期値の寸法差、すなわち、上記スプリングカートリッジのガタ量そのものの経年的な変化についても把握することができるため、多面的な診断結果を得ることができる。
さらに、電動弁の診断に際しては、上記第1及び第2計測値の取得と上記電動弁の作動方向の検出のみを行えば良いことから、診断作業そのものが簡易且つ迅速化され、診断コストの低減、延いては電動弁のランニングコストの低廉化が促進されることになる。
(c)本願の第3の発明に係る電動弁の診断方法によれば、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。すなわち、この発明では、上記基準データの取得作業を、上記スプリングカートリッジを電動弁から取り外した状態で行うようにしているので、例えば、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で基準データの取得作業を行う場合に比して、その取得作業が容易で、しかもこれを精度良く行うことができ、それだけ取得される基準データの信頼性が向上し、延いては電動弁の診断精度の更なる向上が期待できる。
また、新品のスプリングカートリッジの基準データを、既設のスプリングカートリッジとの交換に備えて、予め取得しておくことで、該スプリングカートリッジの交換に際しては、改めて新品のスプリングカートリッジの基準データを取得する必要がなく、それだけスプリングカートリッの交換作業における作業効率が向上し、診断コストの低減化が促進される。
(d)本願の第4の発明に係る電動弁の診断方法によれば、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。すなわち、この発明では、上記基準データの取得作業を、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で行うようにしているので、例えば、電動弁を分解して上記スプリングカートリッジを取り外した状態で該スプリングカートリッジの基準データの取得作業を行う場合に比して、取得作業手順の簡素化とか作業効率の向上を図ることができる。また、上記電動弁を分解して行う場合に比して、該電動弁を備えたプラント等の稼働率の低下を抑制することができる。
(e)本願の第5の発明に係る電動弁の診断方法によれば、上記(d)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。すなわち、この発明では、上記電動弁を作動させる必要がないので、該電動弁の作動に伴う系統の隔離等が不要であると共に電動弁駆動電源が不要であり、基準データの取得作業実施時期の自由度が大きく、他作業に与える影響を小さくすることができる。
(f)本願の第6の発明に係る電動弁の診断方法によれば、上記(d)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。すなわち、この発明では、上記電動弁を作動させて作業を行うようにしているので、例えば、上記電動弁の作動を停止させた状態で基準データの取得作業を行う場合に比して、実際の運転状態により近い状態で基準データの取得を行うことができる。
(g)本願の第7の発明に係る電動弁の診断方法によれば、上記(a),(b),(c),(d),(e)又は(f)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。すなわち、この発明では、上記計測基準位置を上記電動弁のケーシング上に設定するようにしているので、該電動弁のケーシング上は上記皿バネの作動の如何に拘わらず位置が一定に固定された部位であることから上記計測基準位置の位置変動が無く、それだけ高い精度をもって上記第1及び第2初期位置、並びに上記第1及び第2計測値を取得することができ、これらの取得値に基づいて行われる電動弁のトルクに関する診断の診断精度の更なる向上が期待できる。
(h)本願の第8の発明に係る電動弁の診断装置によれば、予め、上記基準データ取得手段によって上記基準トルクを取得しておくと共に、上記第1計測手段によって上記第1初期値及び第2初期値を取得しておくことで、実際の電動弁の診断に際しては、上記第2計測手段による上記第1及び第2計測値の取得と、上記作動方向検出手段による上記電動弁の作動方向の検出とを行うことのみで、上記実トルク取得手段により、上記記憶手段から得られる上記基準データと上記第1初期値及び第2初期値に基づいて該第1初期値と第2初期値の寸法差、すなわち、上記スプリングカートリッジのガタ量の影響が排除された上記第1及び第2計測値に対応する実トルクを容易且つ確実に取得することができる。そして、上記診断手段により、取得された上記実トルクを、目的とする診断項目における適正トルクと比較して診断を行うことで、極めて信頼性の高い診断結果を得ることができ、その結果、電動弁の作動上の信頼性の向上に寄与し得るものである。
さらに、電動弁の診断に際しては、上記第2計測手段による上記第1及び第2計測値の取得と、上記作動方向検出手段による電動弁の作動方向の検出のみを行えば良いことから、診断作業そのものを簡易且つ迅速に行うことができ、診断コストの低減、延いては電動弁のランニングコストの低廉化にも寄与し得るものである。
(i)本願の第9の発明に係る電動弁の診断装置によれば、予め、上記基準データ取得手段によって上記基準トルクを取得しておき、上記第1計測手段によって上記第1初期値及び第2初期値を取得しておき、さらに上記ガタ量取得手段によって第1初期値と第2初期値との差分の絶対値として表されるガタ量を取得しておくことで、実際の電動弁の診断に際しては、上記第2計測手段による上記第1及び第2計測値の取得と、上記作動方向検出手段による上記電動弁の作動方向の検出を行うことのみで、上記実トルク取得手段により、上記記憶手段から得られる上記基準データとガタ量に加えて、上記第1初期値または第2初期値に基づいて、該ガタ量の影響が排除された上記第1及び第2計測値に対応する実トルクを容易且つ確実に取得することができる。そして、上記診断手段により、取得された上記実トルクを、目的とする診断項目における適正トルクと比較して診断を行うことで、極めて信頼性の高い診断結果を得ることができ、その結果、電動弁の作動上の信頼性の向上に寄与し得るものである。また、第1初期値及び第2初期値の寸法差、すなわち、上記スプリングカートリッジのガタ量そのものの経年的な変化についても把握することができるため、多面的な診断結果を得ることができる。
さらに、電動弁の診断に際しては、上記第2計測手段による上記第1及び第2計測値の取得と、上記作動方向検出手段による電動弁の作動方向の検出のみを行えば良いことから、診断作業そのものを簡易且つ迅速に行うことができ、診断コストの低減、延いては電動弁のランニングコストの低廉化にも寄与し得るものである。
(j)本願の第10の発明に係る電動弁の診断装置によれば、この診断手段による診断結果が上記表示手段によって表示されるので、この表示を視認することで、診断結果を容易且つ的確に把握することができる。また、トルク曲線を表示するように構成しているので、このトルク曲線を視認することでガタの存在及びその大きさを容易且つ的確に把握することができる。
(k)本願の第11の発明に係る電動弁の診断装置によれば、上記(h)又は(i)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。すなわち、この発明では、上記第1計測手段と第2計測手段を同一の計測手段で構成しているので、例えば、これら二つの計測手段をそれぞれ個別の計測手段で構成する場合に比して、該計測手段の配置構成の簡略化及び配置点数の低減による低コスト化が図れ、延いては診断装置全体としてのコストダウンが可能となる。
(l)本願の第12の発明に係る電動弁の診断装置によれば、上記(k)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。すなわち、この発明では、上記第1及び第2計測手段を、照射したレーザ光の上記スプリングカートリッジ側の計測点での反射光を受光して該計測点までの距離を検出するレーザセンサで構成しているので、例えば、上記第1及び第2計測手段を差動トランス等で構成する場合に比して、これをよりコンパクトに構成することができ、延いては診断装置のコンパクト化を図ることができる。また、上記第1及び第2計測手段がコンパクトな構成であることから、これを上記電動弁に常設することも可能であり、例えば、診断時毎に上記各計測手段の着脱作業が必要である場合に比して、作業コストを低く抑えることができる。
(m)本願の第13の発明に係る電動弁の診断装置によれば、上記(l)に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。すなわち、この発明では、上記レーザセンサと上記スプリングカートリッジの間を透明材で油密的に区画し、上記レーザセンサは上記透明材を通して上記計測点を臨み得るように構成しているので、上記第1及び第2計測手段を構成する上記レーザセンサを上記電動弁側に常設する構成としても、これらの間が上記透明材で油密的に区画されているので、該電動弁側の潤滑油が上記レーザセンサに漏出してこれを汚損するということが確実に防止されると共に、上記透明材を通して上記計測点を臨み得ることで該レーザセンサのセンサ機能が長期に亘って適正に維持され、これらの相乗効果として、上記第1及び第2計測手段の耐久性の向上と信頼性の高い計測作業の実現の両立が図られるものである。
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
図1には、本願発明に係る診断方法の実施に供される診断装置を備えた電動弁を示している。この電動弁は、従来周知の構造をもつものであって、配管通路に臨んで配置されて該通路を開閉する弁体(図示省略)をバルブステム2の下端部に連結すると共に、該バルブステム2の上部側のネジ部にはステムナット3を螺合せしめている。このステムナット3は、筒状のドライブスリーブ4に内挿固定され、該ドライブスリーブ4と一体化されている。また、上記ドライブスリーブ4は、その外周側に嵌装配置されたウォームホィール5と相対回転可能とされている。
上記ドライブスリーブ4(すなわち、ステムナット3)と上記ウォームホィール5とは、該ドライブスリーブ4側に設けられた突起4aと上記ウォームホィール5側に設けられた突起5aとが、該ウォームホィール5の回転によって衝突係合することで、一体的に回転し、上記ステムナット3の回転力を上記バルブステム2にその軸方向変位力として伝達し、該バルブステム2を介して上記弁体を開閉駆動(昇降駆動)させるようになっている。尚、上記バルブステム2は、その軸方向移動のみが可能とされ、その回転は規制されている。上記ウォームホィール5と上記ステムナット3及び上記バルブステム2によって弁体駆動部Xが構成されている。
上記ウォームホィール5にはウォーム7が噛合されており、該ウォーム7がモータ10によって回転駆動されることで、該ウォームホィール5が回転し、その回転力が上記ステムナット3を介して上記バルブステム2に対してその昇降駆動力として伝達されるようになっている。
上記モータ10は、ケーシング1側に固定配置された可逆回転式モータであって、そのモータ軸9にはスプライン9aが設けられている。このモータ軸9のスプライン9a部分に上記ウォーム7がスプライン嵌合されており、これによって、上記ウォーム7は上記モータ軸9からの回転力は受けるものの、その軸方向(矢印M−N方向)には移動自在とされる。
また、上記ウォーム7は、その一端側を軸方向に延長させてこれを延設筒部8としている。この延設筒部8の外周には周溝13が設けられ、且つ該周溝13にはトルクスイッチ14の作動子14aが係入されている。このトルクスイッチ14は、上記ウォーム7がその中立位置から軸方向に移動してその移動量が所定値に達した時点で作動し,上記モータ10の停止信号を発してこれを停止させることで、上記バルブステム2側への過度のトルク伝達を規制してその保護を図るものである。
上記ウォーム7の延設筒部8の端部には、軸受11がナット12により固着されると共に、該軸受11を介して次述の可動軸15が相対回転自在に連結されている。この可動軸15は、上記軸受11が内挿固定される大径筒部15aと該大径筒部15aに連続する小径筒部15bとを備えた異径筒体であって、上記ウォーム7の軸方向への移動に伴ってこれと一体的に軸方向へ移動するようになっている。また、上記可動軸15の小径筒部15bには、次述のスプリングカートリッジ19が取り付けられている。
上記スプリングカートリッジ19は、上記弁体が全開又は全閉となった後に、上記ウォーム7を介して上記ウォームホィール5に所定の保持トルクを発生させるものであって、上記可動軸15の大径筒部15aと小径筒部15bとの間の段差面側18に配置された一方のスペーサ21と上記小径筒部15bの端部に螺着されたナット25の座面側に配置された他方のスペーサ22との間に、複数の皿バネ20を交互に表裏対向させ且つ所要の張込荷重を付与した状態で取り付けて構成される。尚、符号23は張込荷重調整用のシムであり、符号24は上記皿バネ20の最大圧縮変位量を規制するトルクリミットスリーブである。
このスプリングカートリッジ19の自由状態での軸長(すなわち、所定の張込荷重を発生させた状態での上記各スペーサ21,22間の外寸)は、上記可動軸15の大径筒部15aと小径筒部15bとの間の段差面と上記ナット25の座面とによって所定値に固定保持される。尚、以下においては、上記スプリングカートリッジ19の自由状態における形態を「初期形態」といい、また該「初期形態」における上記皿バネ20の圧縮形態を「初期圧縮形態」という。
さらに、上記可動軸15と上記スプリングカートリッジ19のうち、上記可動軸15は上記ウォーム7と同軸上に設けられた小径穴部16内に嵌挿され、また上記スプリングカートリッジ19は上記小径穴部16に連続する大径穴部17内にそれぞれ嵌挿されており、該可動軸15は上記小径穴部16内で軸方向に移動可能に、また上記スプリングカートリッジ19は上記大径穴部17内で伸縮可能となっている。尚、上記スプリングカートリッジ19の上記スペーサ21は、これが小径穴部16と大径穴部17の間の肩部18に係合することで、それ以上に矢印M方向へ移動するのが規制される。
一方、上記大径穴部17の端部側には、鍔付筒状のアダプタ37が、上記大径穴部17の口端部にインロー嵌合され且つパッキン26を介在させた状態で、上記ケーシング1の表面1a上にボルト36により締着固定されている。さらに、このアダプタ37の外端面には次述のセンサユニット30が取り付けられている。このセンサユニット30は、上記アダプタ37の外端面に衝合固定される有底鍔付筒状のセンサホルダ34を備えている。そして、上記アダプタ37の外端面と該外端上に取り付けられる上記センサホルダ34の端面との衝合部位には、該アダプタ37と該センサホルダ34とに跨る空間を軸方向に二分するように板状の透明材31が、該センサホルダ34の内周面との間にシールパッキン33を介在させた状態で配置され、該透明材31によってその両側の空間が油密的に区画されている。尚、上記透明材31は、少なくとも耐油性と透明性を備えた素材であればよく、例えば、ガラス板とかアクリル板等の各種素材を採用できる。
上記透明材31で区画された上記アダプタ37側の区間と上記センサホルダ34側の区間のうち、上記スプリングカートリッジ19寄りに位置するアダプタ37側の空間内には上記ナット25が進入配置され、また上記センサホルダ34側の空間内にはレーザセンサ32が配置されている。このレーザセンサ32は、特許請求の範囲中の「第1計測手段」及び「第2計測手段」に該当するものであって、上記透明材31を通して、上記可動軸15の先端に取り付けられた上記ナット25に臨み、該ナット25の位置を計測することで、上記ウォーム7の軸方向位置を間接的に計測する。具体的には、上記ナット25の頂面25aに「計測点」を設定し、上記レーザセンサ32から上記計測点までの距離(間隔)を計測するように構成されている。
このように、上記レーザセンサ32は、上記透明材31によって上記スプリングカートリッジ19側から油密的に区画されているので、例えば、上記レーザセンサ32を上記電動弁側に常設する構成としても、電動弁側に存在する潤滑油が上記レーザセンサ32側に漏出してこれを汚損するということが確実に防止される。この結果、上記レーザセンサ32の耐久性が向上すると共に、該レーザセンサ32による信頼性の高い計測作業が実現される。尚、上記アダプタ37の外端には、カバー34が取り付けられており、上記レーザセンサ32は該カバー34によって被包保護されている。
また、この実施形態においては、上記レーザセンサ32を、特許請求の範囲中の「第1計測手段」及び「第2計測手段」として機能させることに加えて、特許請求の範囲中の「基準データ取得手段」の一部、具体的には、上記スプリングカートリッジ19における上記皿バネ20の基準圧縮量を検出する手段としても利用するようにしている。このため、この基準圧縮量に対応して発生うる基準圧縮力を検出するために、例えば、上記アダプタ34側に何らかの手法で校正された歪センサ(図示省略)を配置している。ここで、例えば、スプリングカートリッジ、ステム、ヨーク等、電動弁の複数の部位に歪センサを同時に配置する構成を採用した場合には、これら各歪センサそれぞれの相関関係を把握しておけば、その後は、これら二次的に校正された各歪センサのうち、どれか一つの歪センサにより、上記基準圧縮力を二次的に検出できる。
尚、上記センサユニット30はコンパクトな構成であることから、上記ケーシング1側に常設可能であり、これを常設した場合には、後述するように上記センサユニット30によって常時連続的に検出作用を行わせることができる。しかし、上記センサユニット30を他の電動弁と共用する等、該センサユニット30を常設しない場合には、図2に示すように、上記センサホルダ34を備えた上記センサユニット30に代えて、上記アダプタ37にキャップ39を装着すれば良い。すなわち、上記アダプタ37のみを上記ケーシング1側に常設とし、必要に応じて、該アダプタ37に上記キャップ39とか外付けトルクセンサなどを選択して取り付けることができるものである。
ここで、上記電動弁及び上記センサユニット30の作動等について説明する。
例えば、上記電動弁を全開状態から全閉位置まで閉作動させる場合には、上記モータ10により上記ウォーム7を回転させる。このウォーム7の回転を受けて、該ウォーム7に噛合した上記ウォームホィール5が閉方向に回転し、該ウォームホィール5に設けた上記突起5aが上記ドライブスリーブ4に設けた上記突起4aに係合すると、該ウォームホィール5と一体的に上記ドライブスリーブ4及びステムナット3が回転する。このステムナット3の回転により、上記バルブステム2が降下方向に作動し、上記弁体の閉作動が開始される。この弁体の閉作動時には、上記バルブステム2は無負荷状態であるため、上記ウォーム7は回転するのみで、軸方向への推力は作用しない。従って、上記スプリングカートリッジ19は初期形態を維持する。
上記弁体の降下が進行し、これがバルブシート(図示省略)に当接すると、該弁体はそれ以上には降下できないので、上記ウォームホィール5側に回転抵抗が発生し、上記ウォーム7には軸方向への推力が作用することになる。このウォーム7に作用する推力は、上記軸受11及び上記可動軸15を介して上記スプリングカートリッジ19の上記スペーサ21に負荷され、該スプリングカートリッジ19は矢印N方向に付勢される。この場合、上記スプリングカートリッジ19の他端側の上記スペーサ22が上記センサユニット30の端面に当接してその移動が規制されていることから、該スプリングカートリッジ19に内蔵された上記皿バネ20には圧縮力が作用することになる。
しかし、上記スプリングカートリッジ19の上記皿バネ20は所定の張込荷重をもって縮装されているので、該スプリングカートリッジ19に作用する上記推力がこの張込荷重に達するまでの間は、上記皿バネ20は圧縮変位することなくそのまま初期圧縮形態を維持し、従って、上記スプリングカートリッジ19も初期形態を維持する。そして、上記ウォーム7から上記スプリングカートリッジ19側に作用する推力が次第に上昇しこれが張込荷重に達すると、上記皿バネ20が初期圧縮形態から圧縮変位を始め、この皿バネ20の圧縮変位に伴って上記ウォーム7は矢印N方向へ移動することになる。上記ウォーム7の移動量(すなわち、上記皿バネ20の圧縮量)が所定量に達すると、上記トルクスイッチ14が作動して上記モータ10の運転が停止される。このトルクスイッチ14の作動による上記モータ10の運転停止によって、上記バルブステム2側への過大なトルクの入力が阻止され、電動弁の保護が図られる。そして、この間(すなわち、上記弁体がバルブシートに当接した後から、上記モータ10が作動して上記モータ10の運転が停止されるまでの間)に作用するトルクによって、上記弁体はバルブシート側に押し付けられ、該バルブシートとの間におけるシール性が確保される。
一方、上記弁体を、全閉状態から全開方向に開作動させる場合には、上記ウォーム7の移動方向及び上記スプリングカートリッジ19の上記皿バネ20の圧縮方向が共に逆方向となる他は、上述の全開から全閉への作動と同じであるので、ここでの説明は省略する。尚、開作動時には、上記皿バネ20が上記肩部18によって拘束されていることから、上記スプリングカートリッジ19の上記皿バネ20は、上記ナット25側から矢印M方向の推力を受けることになる。
以上のように、上記電動弁においてその弁体が全開及び全閉となった後における追加的なトルクの負荷は、該弁体の全開状態での保持性能及び全閉状態でのシール性能の確保等の電動弁の信頼性の向上という点において重要な意味をもつものである。従って、上記ウォームホィール5に作用するトルクを常時適正に維持するように、これを診断し且つ評価すると共に、必要に応じて上記スプリングカートリッジ19における上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応する基準圧縮力を取得し、該基準圧縮力に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得すること(すなわちトルク曲線の校正)は、上記電動弁のトルクに関する各種の診断項目の中でも最も重要なものの一つである。このため、この実施形態においては、上記トルクの適正維持を実現するために、上記センサユニット30を構成要素の一つとする診断装置を備えている。以下、この診断装置の構成及び該診断装置を用いた診断方法について具体的に説明する。
先ず、本願発明に係る診断方法の基本思想について説明する。
上記ウォームホィール5に作用する上記トルク「T」は、上記ウォーム7の移動抵抗として働く上記皿バネ20の圧縮力「f」と、上記ウォーム7と上記ウォームホィール5の軸心との距離「r」の積「F=f*r」として表されるものである。また、上記皿バネ20は、その圧縮変位について固有のバネ特性をもつものであって、その圧縮量とこれによって発生する圧縮力との間には一定の相関関係がある。従って、上記皿バネ20の圧縮量を知ることで、上記ウォームホィール5側に負荷されているトルクの大きさを間接的に知得することができる。
このため、この実施形態においては、図5に示すように、上記皿バネ20のバネ特性、すなわち、各基準圧縮量La1,La2,・・・Lanとこれらに対応する各基準圧縮力F1,F2,・・・Fn、及び該各基準圧縮力F1,F2,・・・Fnに基づき算出される各基準トルクT1,T2,・・・Tnを、基準データとして予め取得するようにしている。そして、診断に際しては、その時点における上記皿バネ20の圧縮量を計測し、その計測値を「基準圧縮量」として置換し、該基準データから基準トルクを取得すると共に、該基準トルクを、診断項目毎に予め設定された適正トルクと比較して該基準トルクの適否の診断を行うことを「第1の基本思想」としている。尚、この実施形態では、上記基準データをデータテーブルとして示しているが、この基準データの表示手法としては種々の手法を適宜選択でき、例えば、この基準データをグラフ化して表示することもできることは勿論である。
一方、上記「第1の基本思想」に基づき、現時点における上記皿バネ20の圧縮量を計測し、この計測値を基準データにおける基準圧縮量に置換してこれに対応する基準トルクを取得し、この基準トルクを用いて電動弁の診断を行う場合、少なくとも、上記皿バネ20の圧縮量の計測は、上記スプリングカートリッジ19を電動弁側に組み込んだ状態で行うことが必要であるが、上記皿バネ20の圧縮量を直接に計測することは上記スプリングカートリッジ19の配置構造からして困難であり、これに代わる便宜的手法として、上述のように、上記スプリングカートリッジ19の軸方向位置に上記レーザセンサ32を配置し、該レーザセンサ32によって、上記スプリングカートリッジ19側に設定した計測点の軸方向位置を計測し、その計測値の変化量をもって上記皿バネ20の圧縮量として取得する手法を採らざるを得ない。
この場合、上記スプリングカートリッジ19は、図1に示すように、上記ケーシング1側の上記大径穴部17の肩部18と、該大径穴部17の端部に組み付けられる上記センサユニット30のアダプタ37の端面37aとの間の軸方向スペース内に初期形態のまま嵌挿配置されるものである。従って、上記軸方向スペースの軸長と上記スプリングカートリッジ19の初期形態での軸長が合致しこれら両者間に寸法差がない場合(すなわち、軸方向のガタが無い場合)には、上記スプリングカートリッジ19側の計測点の変化量をそのまま上記皿バネ20の圧縮量として採用しても何ら支障は生じない。
しかし、現実問題として、上記「ガタ」は、製作誤差とか組付誤差等によって不可避的に生じるものであることから、上記計測値の変化量をそのまま上記皿バネ20の圧縮量として採用した場合、該圧縮量はガタ量を含んだものとなる。従って、計測される圧縮量をそのまま上記基準データにおける基準圧縮量に置換してこれに対応する基準トルクを求めた場合、該基準トルクと実際に発生しているトルク(実トルク)との間に誤差が存在することから、この基準トルクに基づく診断においては高精度の診断は望み得ないことは、既述の通りである。
図11には、電動弁の閉作動時と開作動時におけるウォーム位置の変化状態の実験データを示している。この実験の場合、正味全圧縮量は、閉方向で約1.7mm、開方向で約1.9mmである。ガタは0.6mmなので、第2初期位置(後述)をウォーム位置の原点とすると、ガタと正味全圧縮量との比は、開方向で「0.6/1.9」=32%程度となる。従って、上記基準データと、ウォーム変位とを用いてトルクに関連する診断を行う場合において、ガタを考慮しないと、この実験の場合、最大32%程度の誤差が発生する可能性がある。このガタに起因する32%程度の誤差は、例えば、設定トルクの診断(すなわち、ウォームの移動によりトルクスイッチが作動し、モータ駆動電源がオフとなった時点でのトルクの診断)における判定基準が±10%であることから考えて、その影響が大きいといえる。
そこで、基準データの運用として、診断に先立って、上記ガタ量を計測によって予め取得しておき、診断時には、実際の計測値からガタ量を排除したものを「実圧縮量」として求め、この実圧縮量を上記基準データにおける基準圧縮量に置換してこれに対応する基準トルクを求めるものとし、これを「第2の基本思想」としている。
このように、本願発明の診断方法は「第1の基本思想」と「第2の基本思想」に基づいて診断を行うことを特徴とするもので、これによって高精度の診断を実現し、信頼性の高い診断評価を得んとするものである。
尚、上記基準データについては、そのサンプリング数は多いほど(すなわち、記録値が細分化されているほど)信頼性は高くなるが、適当と考えられる間隔でサンプリングをし、基準データの運用に際しては、各記録値間は適宜手法によって補間すれば、基準データファイルはよりコンパクトにできると考えられる。補間手法としては、例えば、隣接する二値間を直線で補間する手法が最も簡便であり、これは皿バネ20のバネ定数が直線的と考えられる場合に好適である。また、皿バネ20のバネ定数が非直線的と考えられる場合には、例えば、移動平均法とか最小二乗法等の手法を採用すればよい。
また、基準データの取得手法等については以下の通りである。すなわち、図5に示すように、基準データの項目としては、基準圧縮量とこの基準圧縮量に対応する基準圧縮力、及びこの基準圧縮力に基づいて算出される基準トルクの三つの要素である。これら各要素のうち、基準圧縮量と基準圧縮力は、共に計測により取得する。具体的には、上述のように、上記スプリングカートリッジ19を電動弁に組み込んだ状態で上記レーザセンサ32を使用して行う手法と、上記スプリングカートリッジ19を電動弁から取り外して単体状態で行う手法とがある。これら二つの手法のうち、後者の計測方法では、上記スプリングカートリッジ19を直接加圧手段で加圧圧縮させてその圧縮量(基準圧縮量)を計測すると共に、この基準圧縮量に対応して発生する基準圧縮力を歪センサ等の手段を用いて計測すればよいことから、ここには「ガタ」の問題は生じない。しかし、前者の計測方法では、後述する診断時における圧縮量の計測時と同様に、計測結果から「ガタ」の影響を排除し、実際の圧縮量を「基準圧縮量」として採用することが必要となる。尚、この基準データの取得に際しては、上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの圧縮特性の再現性による計測値のバラツキを考慮して、少なくとも2回以上取得することが望ましい。
続いて、本願発明の診断方法及び診断装置を具体的に説明する。
最初に、図6〜図9の模式図を参照して、上記スプリングカートリッジ19の圧縮作動の形態及び圧縮作動に伴って変化する位置情報の計測手法等について説明する。尚、ここでは、同各図に示すように、上記ケーシング1側の上記スプリングカートリッジ19の嵌装スペース、すなわち、上記ケーシング1の肩部18と上記アダプタ37の端面37aとの軸方向距離と、上記スプリングカートリッジ19の初期形態における軸長との間にガタ量「ΔL」が存在する場合を想定している。
このようにガタ量「ΔL」が存在する場合、上記スプリングカートリッジ19における上記皿バネ20の圧縮は、図6に示すように、上記スプリングカートリッジ19が初期形態を維持したままその軸方向の一端に位置するスペーサ21が上記肩部18に当接係合してそれ以上に矢印M方向(すなわち、開側)へ移動するのが規制された位置(以下、「第1初期位置」という)と、図7に示すように、上記スプリングカートリッジ19が初期形態を維持したままその軸方向の他端に位置するスペーサ22が上記アダプタ37の端面37aに当接係合してそれ以上に矢印N方向(すなわち、閉側)へ移動するのが規制された位置(以下、「第2初期位置」という)の何れか一方から開始されるものとする(実際には、これらの中間状態から圧縮が開始される場合もあるが、その場合でも、必ず上記第1初期位置又は第2初期位置の何れかを経過することからから、中間状態からの圧縮を格別に考慮する必要性は無い)。そして、上記第1初期位置においては、上記ガタ量「ΔL」が、上記スペーサ22の外面と上記アダプタ37の端面37の間の隙間として現れる。また上記第2初期位置においては、上記ガタ量「ΔL」が、上記スペーサ21の外面と上記肩部18の間の隙間として現れる。
図7は、電動弁が閉作動し、これに伴って上記スプリングカートリッジ19が上記第1初期位置又は第2初期位置から矢印N方向へ移動し、上記スペーサ22が上記アダプタ37の端面37aに当接係合した後、更に圧縮された状態を示している。尚、閉作動が上記第1初期位置の状態から開始される場合には、第1初期位置から第2初期位置を経て図8の状態に至る。また、閉作動が上記第2初期位置の状態から開始される場合には、該第2初期位置から直接に図8の状態に至る。
図9は、電動弁が開作動し、これに伴って上記スプリングカートリッジ19が上記第1初期位置又は第2初期位置から矢印M方向へ移動し、上記スペーサ21が上記肩部18に当接係合した後、更に圧縮された状態を示している。尚、開作動が上記第1初期位置から開始される場合には、該第1初期位置から直接に図9の状態に至る。また、開作動が上記第2初期位置から開始される場合には、該第2初期位置から第1初期位置を経て図9の状態に至る。
ここで、上記レーザセンサ32による位置の計測について説明する。上記レーザセンサ32による位置の計測は、該レーザセンサ32から計測対象点までの距離(間隔)を測定することで行われる(すなわち、上記レーザセンサ32の位置が計測基準位置となる)が、該レーザセンサ32は上記アダプタ37側に配置され、上記パッキン26のヘタリとか上記アダプタ37の製作誤差あるいは組み付け誤差等の要因で位置変動を生じる惧れがあることから、この実施形態ではこのような位置変動の無い位置、すなわち、上記ケーシング1の端面1aを計測基準位置に設定し、上記レーザセンサ32の測定値(すなわち、レーザセンサ32からの距離)の全てを上記計測基準位置からの距離に置換し、置換後の値を「計測値」として取得するようにしている。また、上記スプリングカートリッジ19側の計測点は、上記ナット25の頂面25aに設定されていることは既述の通りである。
従って、図6に示す第1初期位置では、上記ナット25の頂面25aと上記ケーシング1の端面1aの間隔寸法「Ls1」は第1初期位置での計測値となるものであって、以下においてはこれを第1初期値「Ls1」という。また、図7に示す第2初期位置では、上記ナット25の頂面25aと上記ケーシング1の端面1aの間隔寸法「Ls2」は第2初期位置での計測値となるものであって、以下においてはこれを第2初期値「Ls2」という。
そして、上記ガタ量「ΔL」と上記第1初期値「Ls1」及び上記第2初期値「Ls2」の間には、「ΔL」=「Ls1」―「Ls2」という関係が成立する。すなわち、上記計測値を上記基準データにおける基準圧縮量に置換するに際してその影響を排除する必要のある上記ガタ量「ΔL」は、上記第1初期値「Ls1」と上記第2初期値「Ls2」をそれぞれ計測することで、演算にて正確な値を取得することができるものである。
さらに、図8に示す閉作動位置での計測、及び図9に示す開作動位置での計測についてみれば、共に、上記ナット25の頂面25aと上記ケーシング1の端面1aの間隔寸法「L1」及び「L2」が実際の診断時において、それぞれ第1計測値「L1」(閉作動時の計測値)及び第2計測値「L2」(開作動時の計測値)として取得されるものである。
また、診断に際して必要となる「実圧縮量」は、これら第1,第2計測値「L1」,「L2」と上記第1,第2初期値「Ls1」,「Ls2」及びガタ量「ΔL」に基づいて取得される。すなわち、第1初期値「Ls1」と第2初期値「Ls2」とガタ量「ΔL」の間には、「ΔL=Ls1―Ls2」という関係が成立する。従って、閉作動時における第1実圧縮量「Lr1」は、第1初期位置からの閉作動時と第2初期位置からの閉作動時の何れにおいても、「Lr1=Ls1―L1―ΔL=Ls2―L1」として取得される。さらに、開作動時における第2実圧縮量「Lr2」は、第1初期位置からの開作動時と第2初期位置からの開作動の何れにおいても、「Lr2=L2―ΔL―Ls2=L2―Ls1」として取得される。
このようにして取得された第1実圧縮量「Lr1」あるいは第2実圧縮量「Lr2」は上記ガタ量「ΔL」の影響が排除された実際の圧縮量であり、従って、これら実圧縮量を上記基準データの基準圧縮量に置換することで、該実圧縮量の下で発生している基準圧縮力、及びこの基準圧縮力に対応する基準トルクを容易に取得することができ、且つこれを用いて電動弁のトルクに関する診断を極めて高精度で行うことができることになる。
続いて、このような電動弁のトルクに関する診断方法を、その実施に供される診断装置と共に、具体的に説明する。
(第1の実施例)
図3には、第1の実施例に係る診断装置をその機能ブロック図で示している。この診断装置は、基準データ取得手段101と第1計測手段102と記憶手段104と第2計測手段105と作動方向検出手段106と実トルク取得手段107と診断手段108と診断項目別適正トルク111及び表示手段112の各手段を備えて構成される。
上記基準データ取得手段101は、基準データ(図5参照)を取得するもので、基準圧縮量「La1〜Lan」と基準圧縮力「F1〜Fn」を計測により取得すると共に、該基準圧縮力に対応した基準トルク「T1〜Tn」を取得し、これらのデータを後述の記憶手段104に出力する。尚、この基準データ取得手段101における基準圧縮量と基準圧縮力の計測手法としては、上記スプリングカートリッジ19を電動弁に内蔵したまま行う手法と、該スプリングカートリッジ19を電動弁から取り外して単体状態で行う手法とがあるが、この実施の形態では前者の手法を採用している。
上記第1計測手段102は、上記レーザセンサ32を構成要素の一つとし、計測により上記第1初期値「Ls1」及び第2初期値「Ls2」を取得すると共に、これらを後述の記憶手段104に出力する。
上記記憶手段104は、上記基準データ取得手段101から出力される基準データ(すなわち、基準圧縮量「La1〜Lan」とこれに対応した基準圧縮力「F1〜Fn」及び基準トルク「T1〜Tn」)と上記第1計測手段102から出力される上記第1初期値「Ls1」及び第2初期値「Ls2」を受けてこれらを記憶保持すると共に、これらを必要に応じて後述の実トルク取得手段107へ出力する。
上記第2計測手段105は、実際の診断に際して(すなわち、上記スプリングカートリッジ19を電動弁に組み込んだ状態で)、閉作動時と開作動時の双方において、上記計測点(すなわち、上記ナット25の頂面25a)と上記計測基準位置(すなわち、上記ケーシング1の端面1a)との間隔寸法を計測して、第1計測値「L1」及び第2計測値「L2」を取得すると共に、これらを後述の実トルク取得手段107に出力する。
上記作動方向検出手段106は、上記第1計測手段102及び第2計測手段105による計測が、上記電動弁の閉作動時に行われているのか、それとも開作動時に行われているのかを検出し、その検出結果を、上記第1計測手段102及び上記第2計測手段105へ、それぞれ出力する。尚、この作動方向検出手段106は、例えば、上記モータ10の回転方向を切り換える切換手段からその切換作動に係る信号を作動方向信号として出力する構成とか、手動操作により信号送信を行う構成等、適宜選択できるものである。
上記実トルク取得手段107は、上記記憶手段104からの基準圧縮量「La1〜Lan」とこれに対応する基準圧縮力「F1〜Fn」と基準トルク「T1〜Tn」及び第1初期値「Ls1」と第2初期値「Ls2」と、上記第2計測手段105からの第1計測値「L1」と第2計測値「L2」と、上記作動方向検出手段106からの閉作動又は開作動信号とを受けて、閉作動時には上記第1計測値「L1」と上記第2初期値[Ls2]との差分の絶対値を、開作動時には該第2の計測値「L2」と上記第1初期値[Ls1]との差分の絶対値を、それぞれ第1実圧縮量「Lr1」及び第2実圧縮量「Lr2」とし、該各実圧縮量「Lr1」、「Lr2」を上記基準データにおける上記基準圧縮量「La1〜Lan」に置換してこれに対応する基準圧縮力「F1〜Fn」を取得すると共に基準圧縮力「F1〜Fn」に対応する基準トルク「T1〜Tn」を実トルクとして取得し、該実トルクを後述の診断手段108に出力するものである。
上記診断手段108では、上記実トルク取得手段107からの実トルクと、予め別途に各種の診断項目別に設定された適正トルクとを受けて、該実トルクと対応する診断項目の適正トルクを対比し、その適否を診断評価するものである。
そして、この診断評価の結果は、表示手段112において適宜表示される。従って、作業者はこの診断評価の結果に基づいて上記トルクスイッチ14の調整等を行うことで、上記電動弁を常時適正な作動状態で使用することができ、その信頼性及び耐久性の向上が図れることになる。さらに、上記表示手段112においては、上記診断評価の結果と共に、図10に示すトルク曲線が、上記第1初期値「Ls1」と第2初期値「Ls2」、上記第1計測値「L1」と第2計測値「L2」、及びガタ量「ΔL」と相関関係をもって表示される。従って、このトルク曲線を視認することでガタの存在及びその大きさを容易且つ的確に把握することができ、より信頼性の高い診断が実現される。
(第2の実施例)
図4には、第2の実施例に係る診断装置をその機能ブロック図で示している。この診断装置は、基準データ取得手段101と第1計測手段102とガタ量取得手段103と記憶手段104と第2計測手段105と作動方向検出手段106と実トルク取得手段107と診断手段108と診断項目別適正トルク111及び表示手段112の各手段を備えて構成される。
上記基準データ取得手段101は、基準データ(図5参照)を取得するもので、基準圧縮量「La1〜Lan」と基準圧縮力「F1〜Fn」を計測により取得すると共に、該基準圧縮力「F1〜Fn」に対応した基準トルク「T1〜Tn」を取得し、これらのデータを後述の記憶手段104に出力する。
上記第1計測手段102は、上記レーザセンサ32を構成要素の一つとし、計測により上記第1初期値「Ls1」及び第2初期値「Ls2」を取得すると共に、これらを後述のガタ量取得手段103と記憶手段104にそれぞれ出力する。
上記ガタ量取得手段103は、上記第1計測手段102からの第1初期値「Ls1」及び第2初期値「Ls2」を受けて、これら各初期値「Ls1」,「Ls2」の差分をガタ量「ΔL」として取得し、これを後述の記憶手段104に出力する。
上記記憶手段104は、上記基準データ取得手段101から出力される基準データ(すなわち、基準圧縮量「La1〜Lan」とこれに対応した基準圧縮力「F1〜Fn」及び基準トルク「T1〜Tn」)と上記第1計測手段102から出力される上記第1初期値「Ls1」及び第2初期値「Ls2」と、上記ガタ量取得手段103から出力されるガタ量「ΔL」とを受けてこれらを記憶保持すると共に、これらを必要に応じて後述の実トルク取得手段107へ出力する。
上記第2計測手段105は、実際の診断に際して(すなわち、上記スプリングカートリッジ19を電動弁に組み込んだ状態で)、閉作動時と開作動時の双方において、上記計測点(すなわち、上記ナット25の頂面25a)と上記計測基準位置(すなわち、上記ケーシング1の端面1a)との間隔寸法を計測して、第1計測値「L1」及び第2計測値「L2」を取得すると共に、これらを後述の実トルク取得手段107に出力する。
上記作動方向検出手段106は、上記第1計測手段102及び第2計測手段105による計測が、上記電動弁の閉作動時に行われているのか、それとも開作動時に行われているのかを検出し、その検出結果を後述の実トルク取得手段107へ出力する。尚、この作動方向検出手段106は、例えば、上記モータ10の回転方向を切り換える切換手段からその切換作動に係る信号を作動方向信号として出力する構成とか、手動操作により信号送信を行う構成等、適宜選択できるものである。
上記実トルク取得手段107は、上記記憶手段104からの基準圧縮量「La1〜Lan」とこれに対応する基準圧縮力「F1〜Fn」と基準トルク「T1〜Tn」及び第1初期値「Ls1」と第2初期値「Ls2」とガタ量「ΔL」と、上記第2計測手段105からの第1計測値「L1」と第2計測値「L2」と、上記作動方向検出手段106からの閉作動又は開作動信号とを受けて、図12(閉作動を正、開作動を負として表記)に示すように、閉作動時には上記第1計測値「L1」と上記第2初期値「Ls2」との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値「L2」と上記第2初期値「Ls2」との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、それぞれ第1実圧縮量「Lr1」及び第2実圧縮量「Lr2」とし、
または、図13(閉作動を正、開作動を負として表記)に示すように、閉作動時には上記第1初期値「Ls1」と上記第1計測値「L1」との差分の絶対値から上記ガタ量「ΔL」を減じた値を、開作動時には上記第2計測値「L2」と上記第1初期値「Ls1」との差分の絶対値を、それぞれ第1実圧縮量「Lr1」及び第2実圧縮量「Lr2」とし、
該各実圧縮量「Lr1」、「Lr2」を上記基準データにおける上記基準圧縮量「La1〜Lan」に置換してこれに対応する基準圧縮力「F1〜Fn」を取得すると共に該基準圧縮力「F1〜Fn」に対応する基準トルク「T1〜Tn」を実トルクとして取得し、該実トルクを後述の診断手段108に出力するものである。
上記診断手段108では、上記実トルク取得手段107からの実トルクと、予め別途に各種の診断項目別に設定された適正トルクとを受けて、該実トルクと対応する診断項目の適正トルクを対比し、その適否を診断評価するものである。
そして、この診断評価の結果は、表示手段112において適宜表示される。従って、作業者はこの診断評価の結果に基づいて上記トルクスイッチ14の調整等を行うことで、上記電動弁を常時適正な作動状態で使用することができ、その信頼性及び耐久性の向上が図れることになる。さらに、上記表示手段112においては、上記診断評価の結果と共に、図10に示すトルク曲線が、上記第1初期値「Ls1」と第2初期値「Ls2」、上記第1計測値「L1」と第2計測値「L2」、及びガタ量「ΔL」と相関関係をもって表示される。従って、このトルク曲線を視認することでガタの存在及びその大きさを容易且つ的確に把握することができ、より信頼性の高い診断が実現される。
また、第1初期値及び第2初期値の寸法差、すなわち、上記スプリングカートリッジのガタ量そのものの経年的な変化についても把握することができるため、多面的な診断結果を得ることができる。
(その他)
(1)上記スプリングカートリッジ19と、これが嵌装される上記ケーシング1の上記肩部18と上記アダプタ37の端面37aとの軸方向距離の寸法差に基づくガタ量は、例えば、上記スプリングカートリッジ19とか上記アダプタ37を交換した際におけるパッキン26の挟圧力のバラツキ等によっても発生し、また変動するものであるが、このような原因によるガタ量も、上記実トルク取得手段107での実トルクの取得時に排除されるので、該ガタ量の存在に拘わらず信頼性の高いトルクに関する診断及び評価を実現することができる。
(2)この実施形態の上記各実施例とも、上記基準データのうち、上記皿バネ20のバネ特性(すなわち、基準圧縮量とこれに対応する圧縮力)の計測を、上記スプリングカートリッジ19を上記電動弁側に組み込んだ状態で行うようにしているが、本願発明では係る計測手法に限定されるものではなく、以下のような手法も採り得るものである。
すなわち、その一つは、上記皿バネ20のバネ特性の計測を、上記スプリングカートリッジ19を上記電動弁に組み込んだ状態で、且つ該電動弁を非作動とした状態で行う手法である。この場合には、上記センサユニット30またはキャップ39を取り外し、押圧機能と位置検出機能を自己保有したバネ圧縮機構を取り付け、該バネ圧縮機構の押圧力で上記皿バネ20を圧縮させると共にその圧縮量を検出することで行う。この手法の利点は、上記センサユニット30の取り外しは必要であるものの、上記スプリングカートリッジ19の取り外しが不要であり、該スプリングカートリッジ19の取り外しを必要とする場合に比して、計測作業性が良好となる点である。
他の一つは、上記皿バネ20のバネ特性の計測を、上記スプリングカートリッジ19を上記電動弁から取り外した単体状態で行う手法である。この手法の利点は、計測作業が容易で、しかもこれを精度良く行うことができるという点である。このように上記スプリングカートリッジ19を上記電動弁から取り外した単体状態でバネ特性を計測した場合、この計測結果には上記寸法差の影響は考慮されていないので、上記実施例の場合と同様に、寸法差の影響を排除する処理が必要である。
本願発明に係る診断装置が装着された電動弁の駆動部を示す断面図である。 図1の診断装置において、アダプタに、センサユニットに代えてキャップを取り付けた状態を示す部分断面図である。 本願発明に係る電動弁の診断方法及び診断装置の第1の実施例におけるシステム構成を示すブロック図である。 本願発明に係る電動弁の診断方法及び診断装置の第2の実施例におけるシステム構成を示すブロック図である。 本願発明の基準データの一例を示す図である。 スプリングカートリッジの第1初期位置における状態説明図である。 スプリングカートリッジの第2初期位置における状態説明図である。 スプリングカートリッジの閉作動時における圧縮状態の説明図である。 スプリングカートリッジの開作動時における圧縮状態の説明図である。 本願発明におけるトルク曲線の表示例の説明図である。 スプリングカートリッジのガタ量検出実験の実験データ例を示す図である。 第2の実施例における実圧縮量取得手法の説明図である。 第2の実施例における実圧縮量取得手法の説明図である。 従来一般的なトルク曲線の取得手法の説明図である。
符号の説明
1 ケーシング
2 バルブステム
3 ステムナット
4 ドライブスリーブ
5 ウォームホィール
6 ウォーム構成体
7 ウォーム
8 延設筒部
9 モータ軸
10 モータ
11 軸受
12 ナット
13 周溝
14 トルクスイッチ
15 可動軸
16 小径穴部
17 大径穴部
18 肩部
19 トルクスプリングカートリッジ
20 皿バネ
21 スペーサ
22 スペーサ
23 シム
24 トルクリミットスリーブ
25 ナット
26 パッキン
30 センサユニット
31 透明材
32 レーザセンサ
33 パッキン
34 センサホルダ
36 ボルト
37 アダプタ
39 キャップ
X 弁体駆動部

Claims (13)

  1. 弁体を開閉する弁体駆動部に駆動力を付与するウォームをその軸方向に移動可能に配置すると共に、該ウォームの軸心上に、複数枚の皿バネを同軸上に対向配置し且つ所定の張込荷重を付与しユニット化してなるスプリングカートリッジを配置し、上記ウォームの軸方向変位に伴う上記皿バネの圧縮量に対応するトルクを上記弁体駆動部に付与するようにした電動弁を対象とし、該電動弁の上記トルクに関する各種診断項目について診断を行うための診断方法であって、
    上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応する基準圧縮力を取得し該基準圧縮力に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得すると共に、上記スプリングカートリッジを上記電動弁に組み込んだ状態で該電動弁を開側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の一端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第1初期位置と、該電動弁を閉側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の他端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第2初期位置のそれぞれにおける、該スプリングカートリッジ側に設定した計測点と計測基準位置との上記軸方向間隔寸法をそれぞれ第1初期値及び第2初期値として取得し上記基準データと共にこれを記憶保持し、
    電動弁の診断に際しては、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で上記計測点と上記計測基準位置との上記軸方向間隔寸法を閉作動時と開作動時のそれぞれについて計測して閉作動時の第1計測値と開作動時の第2計測値を取得すると共に、上記電動弁の作動方向を検出し、閉作動時には上記第1計測値と上記第2初期値との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値と上記第1初期値との差分の絶対値を、それぞれ実圧縮量とし、該実圧縮量を上記基準データにおける上記基準圧縮量に置換してこれに対応する基準圧縮力を取得すると共に該基準圧縮力に対応する基準トルクを実トルクとして取得し、該実トルクと各種診断項目における適正トルクとを比較して診断を行うことを特徴とする電動弁の診断方法。
  2. 弁体を開閉する弁体駆動部に駆動力を付与するウォームをその軸方向に移動可能に配置すると共に、該ウォームの軸心上に、複数枚の皿バネを同軸上に対向配置し且つ所定の張込荷重を付与しユニット化してなるスプリングカートリッジを配置し、上記ウォームの軸方向変位に伴う上記皿バネの圧縮量に対応するトルクを上記弁体駆動部に付与するようにした電動弁を対象とし、該電動弁の上記トルクに関する各種診断項目について診断を行うための診断方法であって、
    上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応する基準圧縮力を取得し該基準圧縮力に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得すると共に、上記スプリングカートリッジを上記電動弁に組み込んだ状態で該電動弁を開側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の一端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第1初期位置と、該電動弁を閉側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の他端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第2初期位置のそれぞれにおける、該スプリングカートリッジ側に設定した計測点と計測基準位置との上記軸方向間隔寸法をそれぞれ第1初期値及び第2初期値として取得すると共に、上記第1初期値と第2初期値との差分の絶対値をガタ量として取得し、上記基準データと上記第1初期値及び第2初期値並びに上記ガタ量を記憶保持し、
    電動弁の診断に際しては、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で上記計測点と上記計測基準位置との上記軸方向間隔寸法を閉作動時と開作動時のそれぞれについて計測して閉作動時の第1計測値と開作動時の第2計測値を取得すると共に、上記電動弁の作動方向を検出し、
    閉作動時には上記第1計測値と上記第2初期値との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値と上記第2初期値との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、
    または、閉作動時には上記第1初期値と上記第1計測値との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、開作動時には上記第2計測値と上記第1初期値との差分の絶対値を、
    それぞれ実圧縮量とし、該実圧縮量を上記基準データにおける上記基準圧縮量に置換してこれに対応する基準圧縮力を取得すると共に該基準圧縮力に対応する基準トルクを実トルクとして取得し、該実トルクと各種診断項目における適正トルクとを比較して診断を行うことを特徴とする電動弁の診断方法。
  3. 請求項1又は2において、
    上記基準データの取得作業を、上記スプリングカートリッジを電動弁から取り外した状態で行うことを特徴とする電動弁の診断方法。
  4. 請求項1又は2において、
    上記基準データの取得作業を、上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で行うことを特徴とする電動弁の診断方法。
  5. 請求項4において、
    上記電動弁の作動を停止させた状態で作業を行うことを特徴とする電動弁の診断方法。
  6. 請求項4において、
    上記電動弁を作動させた状態で作業を行うことを特徴とする電動弁の診断方法。
  7. 請求項1,2,3,4,5又は6において、
    上記計測基準位置を上記電動弁のケーシング上に設定することを特徴とする電動弁の診断方法。
  8. 弁体を開閉する弁体駆動部に駆動力を付与するウォームをその軸方向に移動可能に配置すると共に、該ウォームの軸心上に、複数枚の皿バネを同軸上に対向配置し且つ所定の張込荷重を付与しユニット化してなるスプリングカートリッジを配置し、上記ウォームの軸方向変位に伴う上記皿バネの圧縮量に対応するトルクを上記弁体駆動部に付与するようにした電動弁を対象とし、該電動弁の上記トルクに関する各種診断項目について診断を行うための診断装置であって、
    上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応する基準圧縮力を取得し該基準圧縮力に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得する基準データ取得手段と、
    上記スプリングカートリッジを上記電動弁に組み込んだ状態で該電動弁を開側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の一端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第1初期位置と、該電動弁を閉側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の他端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第2初期位置のそれぞれにおける、該スプリングカートリッジ側に設定した計測点と計測基準位置との上記軸方向間隔寸法をそれぞれ第1初期値及び第2初期値として取得する第1計測手段と、
    上記基準データと上記第1初期値及び上記第2初期値を記憶保持する記憶手段と、
    上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で上記計測点と上記計測基準位置との上記軸方向間隔寸法を閉作動時と開作動時のそれぞれについて計測して閉作動時の第1計測値と開作動時の第2計測値を取得する第2計測手段と、
    上記電動弁の作動方向を検出する作動方向検出手段と、
    上記閉作動時には上記第1計測値と上記第2初期値との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値と上記第1初期値との差分の絶対値を、それぞれ実圧縮量とし、該実圧縮量を上記基準データにおける上記基準圧縮量に置換してこれに対応する基準圧縮力を取得すると共に該基準圧縮力に対応する基準トルクを実トルクとして取得する実トルク取得手段と、
    上記実トルク取得手段において取得された実トルクと各種診断項目における適正トルクとを比較して診断を行う診断手段とを備えたことを特徴とする電動弁の診断装置。
  9. 弁体を開閉する弁体駆動部に駆動力を付与するウォームをその軸方向に移動可能に配置すると共に、該ウォームの軸心上に、複数枚の皿バネを同軸上に対向配置し且つ所定の張込荷重を付与しユニット化してなるスプリングカートリッジを配置し、上記ウォームの軸方向変位に伴う上記皿バネの圧縮量に対応したトルクを上記弁体駆動部に付与するようにした電動弁を対象とし、該電動弁の上記トルクに関する各種診断項目について診断を行うための診断装置であって、
    上記スプリングカートリッジにおける上記皿バネの各基準圧縮量と該各基準圧縮量に対応する基準圧縮力を取得し該基準圧縮力に対応して発生する基準トルクとの対応関係を基準データとして取得する基準データ取得手段と、
    上記スプリングカートリッジを上記電動弁に組み込んだ状態で該電動弁を開側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の一端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第1初期位置と、該電動弁を閉側へ作動させ上記スプリングカートリッジが軸方向の他端側へ移動して停止した時点における該スプリングカートリッジの第2初期位置のそれぞれにおける、該スプリングカートリッジ側に設定した計測点と計測基準位置との上記軸方向間隔寸法をそれぞれ第1初期値及び第2初期値として取得する第1計測手段と、
    上記第1初期値と第2初期値との差分の絶対値をガタ量として取得するガタ量取得手段と、
    上記基準データと上記第1初期値及び第2初期値並びに上記ガタ量を記憶保持する記憶手段と、
    上記スプリングカートリッジを電動弁に組み込んだ状態で上記計測点と上記計測基準位置との上記軸方向間隔寸法を閉作動時と開作動時のそれぞれについて計測して閉作動時の第1計測値と開作動時の第2計測値を取得する第2計測手段と、
    上記電動弁の作動方向を検出する作動方向検出手段と、
    閉作動時には上記第1計測値と上記第2初期値との差分の絶対値を、開作動時には上記第2計測値と上記第2初期値との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、
    または、閉作動時には上記第1初期値と上記第1計測値との差分の絶対値から上記ガタ量を減じた値を、開作動時には上記第2計測値と上記第1初期値との差分の絶対値を、
    それぞれ実圧縮量とし、該実圧縮量を上記基準データにおける上記基準圧縮量に置換してこれに対応する基準圧縮力を取得すると共に該基準圧縮力に対応する基準トルクを実トルクとして取得する実トルク取得手段と、
    上記実トルク取得手段において取得された実トルクと各種診断項目における適正トルクとを比較して診断を行う診断手段とを備えたことを特徴とする電動弁の診断装置。
  10. 請求項8又は9において、
    上記診断手段における診断結果を表示する表示手段を備えるとともに、該表示手段が、トルク曲線を表示するように構成されていることを特徴とする電動弁の診断装置。
  11. 請求項8又は9において、
    上記第1計測手段と第2計測手段が同一の計測手段で構成されていることを特徴とする電動弁の診断装置。
  12. 請求項11において、
    上記第1及び第2計測手段が、照射したレーザ光の上記スプリングカートリッジ側の計測点での反射光を受光して該計測点までの距離を検出するレーザセンサで構成されていることを特徴とする電動弁の診断装置。
  13. 請求項12において、
    上記レーザセンサと上記スプリングカートリッジの間が透明材で油密的に区画され、上記レーザセンサは上記透明材を通して上記計測点を臨み得るように構成されていることを特徴とする電動弁の診断装置。
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