JP2005186508A - 液体吐出ヘッド - Google Patents

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活水 青木
Tetsuro Fukui
哲朗 福井
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憲一 武田
Katayoshi Matsuda
堅義 松田
Toshihiro Ifuku
俊博 伊福
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Abstract

【課題】ノズルプレート等の接合部に剥離を生じることのない液体吐出ヘッドを実現する。
【解決手段】エネルギー発生素子である発熱抵抗体12を有する素子基板11を、液体流路14等を形成する流路基板13に接合する無機接着層10aや、ノズルプレート16を素子基板11および流路基板13に接合する無機接着層10bは、実質的に有機物を含まない金属酸化物の接着層であるため、有機物を含有する接着材を用いた場合に比べて耐熱性等に優れており、接合部の剥離によるトラブルを生じない。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば液体吐出データに基づいてインク等液体を吐出し画像を形成する液体吐出方式のプリンタ等に用いる液体吐出ヘッドに関するものである。
インクジェットプリンタ等の液体吐出記録装置は、パソコンなどの印刷装置として用いると印字性能がよく、取り扱いが簡単であり、また、構成が簡単であるため低コストで製造できるなどの理由から広く普及している。このインクジェットプリンタ等に搭載される液体吐出ヘッドには、熱エネルギーによってインク等の液体中に気泡を発生させ、その気泡による圧力波により液滴を吐出させるもの、静電力により液滴を吸引吐出させるもの、圧電素子のような振動子による圧力波を利用したもの等、種々の方式がある。
近時、カラーのインクジェットプリンタが普及してきたが、その画像形成性能の向上、その中でも特に高解像度化および高速画像形成などの性能の向上が求められており、例えば液体吐出ヘッドの吐出口(ノズル)の高密度化や液体吐出ヘッドの長尺化により、これらの課題を解決するということが盛んに行われている。さらには、液体吐出ヘッドの高密度化、長尺化の極限の形態として、画像形成幅に対して同等以上の画像形成可能な幅を持つマルチノズルタイプのヘッド構造を目指すことが行われている。
図3は、電気熱変換素子によって熱エネルギーを発生させることで熱作用面に膜沸騰を生じさせ、液体内に気泡を形成し、液体を吐出させる方式(サーマルインクジェット方式)の液体吐出ヘッドの基本構造を示すもので、シリコン基板などで形成された素子基板101上に電気熱変換素子である発熱抵抗体102が形成され、流路基板103は素子基板101と接合されて液体流路104および共通液室105等を形成している。ノズルプレート106は、液体流路104の液体を吐出する吐出口107を有し、接合部110a、110bによって流路基板103および素子基板101の端面に接合されている。
発熱抵抗体102は、液体吐出データに基づいて電圧を印加されることにより、発熱し、接触している液体に膜沸騰を生じさせて液体内に気泡を形成し、液体流路104内にある液体を押圧し、吐出口107より液体を吐出させる。その後液体流路104には、オリフィス力により共通液室105から液体が供給され、再び液体吐出が可能な状態となり、吐出データに基づいた液体吐出が繰り返されることで画像形成が可能な構成となっている。
図4は、圧電/電歪膜を用いた電気機械変換素子である圧電/電歪素子を用いた液体吐出ヘッドの基本構造を示すもので、液体供給路205とこれに連通した液体加圧室204とを備えた流路基板203と、液体加圧室204上の振動板201に接合または直接成膜された圧電/電歪素子202と、吐出口207を有するノズルプレート206とによって構成されている。
流路基板203は、シリコン基板、ガラス、金属板、あるいは樹脂材料などから構成された基板であり、機械加工、金型加工、半導体製造プロセスのエッチング加工等により液体加圧室204や液体供給路205が溝加工されている。ノズルプレート206は、シリコン基板、ガラス、金属板、あるいは樹脂材料などを用いて、電鋳などにより、あらかじめ吐出口207を開口させたものや、半導体製造プロセスのエッチングなどによる穴開け加工によって平板状のプレート材に吐出口207を形成したものを、流路基板203に接合する。
流路基板203には、振動板201と、下部電極202a、圧電/電歪膜202b、上部電極202cで構成された圧電/電歪素子202が、接合または直接成膜などにより形成されている。
液体加圧室204は、流路抵抗を調整する絞り流路208を通じて液体供給路205に繋がっている。
圧電/電歪素子202は、液体吐出データに基づいて上部電極202cと下部電極202aとの間に印加された電界により、振動板201、流路基板203を介して液体加圧室204内の液体を加圧し、吐出口207より液体が吐出される。その後液体加圧室204には、液体供給路205より絞り流路208を通って液体が供給され再び液体吐出が可能な状態となり、吐出データに基づいた液体吐出が繰り返されることで画像が形成される。
図4の液体吐出ヘッドの製造においては、流路基板203とノズルプレート206との間の接合部210a、流路基板203と振動板201との接合部210b、さらには例えば、圧電/電歪素子202の下部電極202aと圧電/電歪膜202bとの接合部などにさまざまな接合方法が採用されている。
そして、上記のサーマルインクジェット方式の液体吐出ヘッドと、圧電/電歪素子を用いたタイプの液体吐出ヘッドのいずれにおいても、液体吐出ヘッドを、例えばインクジェットプリンタに適用する場合、以上説明した構成部材以外に、複数のインクを1つのチップで吐出可能にするために、個々のインクタンクから個々のインクを前述した液体吐出機構部に分離させたまま導くための部材が必要であり、また、圧電/電歪素子を用いたタイプの液体吐出ヘッドおよび静電方式を用いたタイプの液体吐出ヘッドなどにおいては、圧電/電歪素子等のアクチュエータ部分を物理的または、使用環境の変化などから保護する目的で用いられる保護部材など様々な構成部材があり、これらの部材を液体吐出機構部と接合する必要がある。
これらの接合方法については、一般的には、有機系接着材による接合、拡散接合、または静電接合などの方式を用いて行われているが、有機系接着材による接合においては、その耐熱性に問題があり、接合後に行われる製造工程に対して有機材料の熱的分解温度はもとより、その軟化温度に達してしまうと、製造工程中に接合部のずれや剥離を起こしてしまう問題がある。またその使用時においても、有機系接着材の耐薬品性の問題から液体吐出ヘッドで吐出できる液体が制限されてしまい、液体吐出ヘッドの使用範囲が限定されるという問題がある。さらに使用耐久性においても、他の構造部材に対してヤング率の違いから応力が接合部に集中してしまうことや、有機系接着材の耐薬品性の問題から充分であるとはいえなかった。
また、拡散接合については、装置が大型化することと、処理条件が高温になるため、素材間の熱膨張係数を合わせなければならないなどの問題がある。静電接合についても、拡散接合と同様の問題がある。
こうした問題点に対して、例えば、特許文献1には、圧電素子を用いたタイプのインクジェットヘッドにおいて、流路基板と振動板との間を、水と有機溶剤とによる有機金属化合物の加水分解・脱水縮合反応生成物が熱処理されて生成された金属酸化物層によって接合したものが開示されている。
特開平9−226119号公報
しかしながら、特許文献1に開示された構成を検討したところ、接合時に例えば200℃の処理温度で、水と有機溶剤とによる有機金属化合物の加水分解・脱水縮合反応による生成物を用いて接合すると、接合部に残留する有機物のために使用時に接合部の剥離が発生し、耐久性が充分であるとはいえないことが分かった。
本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、液体吐出ヘッドの構成部材を低い温度で確実に接合し、かつその後の製造プロセスにおいても接合部の劣化を招くおそれがなく、また、液体吐出ヘッドの使用時の様々な使用環境においても、充分な耐久性および適応性を有する液体吐出ヘッドを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の液体吐出ヘッドは、液体流路と、前記液体流路に連通する吐出口と、前記液体流路内の液体を前記吐出口から吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子とを有する液体吐出構造体を備えた液体吐出ヘッドであって、前記液体吐出構造体が少なくとも1つの接合部によって接合された複数の構成部材からなり、前記接合部が、金属酸化物を主成分とし、有機物の含有量がゼロまたはゼロより大かつ0.5wt%以下である接着層を有することを特徴とする。
接着層が、有機物を含まない金属酸化物の接着材料によって形成されたものであるとよい。
接着層の厚みが50〜500μmの範囲であるとよい。
エネルギー発生素子が電気熱変換素子であるとよい。
エネルギー発生素子が電気機械変換素子であってもよい。
電気機械変換素子が、振動板、下部電極、圧電/電歪膜および上部電極を含む積層構造を有するとよい。
金属酸化物が、シリコン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、およびマグネシウムのうちの少なくとも1つの金属酸化物またはそれらの混合物、あるいはシリコン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、あるいはマグネシウムのうち少なくとも2種以上の金属を含む金属酸化物であるとよい。
液体吐出ヘッドの製造工程において、例えば、吐出口を有するノズルプレートを、液体流路を形成する流路基板やエネルギー発生素子を有する素子基板に接合するための接合部に、実質的に有機物を含有しない金属酸化物の接着層を用いることで、有機物を含有する接着材料を用いた場合のような接合部の剥離等を防ぎ、優れた耐久性を有し、しかも吐出する液体の種類を限定することなく適応性に優れた液体吐出ヘッドを実現することができる。
図1は第1の実施の形態による液体吐出ヘッドの液体吐出構造体を示すもので、シリコン基板などで形成された素子基板11上に電気熱変換素子(エネルギー発生素子)である発熱抵抗体12が形成され、流路基板13は、実質的に有機物を含まない金属酸化物からなる無機接着層10aによって素子基板11と接合され、液体流路14および共通液室15等を形成している。ノズルプレート16は、液体流路14の液体を吐出する吐出口17を有し、無機接着層10aと同様の無機接着層10bによって流路基板13および素子基板11の端面に接合されている。
発熱抵抗体12は、液体吐出データに基づいて電圧を印加されることにより、発熱し、接触している液体に膜沸騰を生じさせて液体内に気泡を形成し、液体流路14内にある液体を押圧し、吐出口17より液体を吐出させる。その後液体流路14には、オリフィス力により共通液室15から液体が供給され、再び液体吐出が可能な状態となり、吐出データに基づいた液体吐出が繰り返されることで画像形成が可能となる。
図2は第2の実施の形態による液体吐出ヘッドの液体吐出構造体を示すもので、液体供給路25とこれに連通した液体流路である液体加圧室24とを備えた流路基板23と、液体加圧室24上の振動板21に接合または直接成膜された電気機械変換素子(エネルギー発生素子)である圧電/電歪素子22と、吐出口27を有するノズルプレート26とによって構成されている。
流路基板23は、シリコン基板、ガラス、金属板、あるいは樹脂材料などから構成された基板であり、機械加工、金型加工、半導体製造プロセスのエッチング加工等により液体加圧室24や液体供給路25が溝加工されている。ノズルプレート26は、シリコン基板、ガラス、金属板、あるいは樹脂材料などを用いて、電鋳などにより、あらかじめ吐出口27を開口させたものや、平板状のプレート材に、半導体製造プロセスのエッチングなどによる穴開け加工によって吐出口27を形成したものを、実質的に有機物を含まない金属酸化物による無機接着層20aを介して流路基板23に接合する。
流路基板23上には、無機接着層20aと同様の無機接着層20bによって振動板21が接合され、振動板21上に、下部電極22a、圧電/電歪膜22b、上部電極22cで構成された圧電/電歪素子22が、接合または直接成膜などにより形成されている。
液体加圧室24は、流路抵抗を調整する絞り流路28を通じて液体供給路25に繋がっている。
圧電/電歪素子22は、液体吐出データに基づいて上部電極22cと下部電極22aとの間に印加された電界により、振動板21、流路基板23を介して液体加圧室24内の液体を加圧することで、吐出口27より液体が吐出される。その後液体加圧室24には、液体供給路25より絞り流路28を通って液体が供給され再び液体吐出が可能な状態となり、吐出データに基づいた液体吐出が繰り返されることで画像が形成される。
上記の液体吐出ヘッドにおいて、ノズルプレート、流路基板、発熱抵抗体を有する素子基板、圧電/電歪素子および振動板等の構成部材を接合する接合部のうちで、少なくとも1つの接合部が無機接着層によって接合されており、この無機接着層が実質的に有機物を含まない金属酸化物を主成分とするものであるため、接合プロセス中の加熱温度を低く抑えることが可能となり、かつ形成された無機接着層が耐熱性に優れているため、接合される構成部材の材料選択の多様性が増大する。しかも、接合プロセス以降の液体吐出ヘッドの製造プロセスにおいて、接合時の加熱温度より高い加熱温度を加える製造プロセスを実施しても、接合状態の低下を招くことがない。また、使用時においても、耐熱性および耐薬品性等に優れているため、適用範囲が広くしかも安価で長寿命である液体吐出ヘッドを実現できる。
無機接着層の残留有機物の含有量が5wt%以下であれば、上記のように耐久性等において優れた液体吐出ヘッドを確実に提供することが可能であり、好ましくは1wt%以下、より好ましくは0.5wt%以下である。
この場合の有機物含有量の測定方法は、加熱重量分析装置(TGA)を用いて、測定条件として、25℃(室温)から400℃までの昇温を5℃/minのレートで行い、その重量減少分で有機物含有量の測定を行ったものである。
また、無機接着層の厚みは、50nm以上500μm以下であるのが好ましい。無機接着層の厚みが、50nm以下では、塗布工程の精度、被塗布物の面精度への要求仕様が厳しくなり実用的でなく好ましくない。無機接着層の厚みが500μm以上では、被塗布物へ塗布後の塗布厚と、接合後の接着層の厚みとの差が大きくなり、接合後寸法精度を規制しづらくなる。無機接着層のより好ましい厚みは100nm以上200μm以下である。
無機接着層を形成する金属酸化物の材料は、シリコン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、あるいはマグネシウムのいずれか1つの金属酸化物、あるいはそれらの混合物、または、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、あるいはマグネシウムのうち、少なくとも2種以上の金属を含む金属酸化物混合物であるとよい。
上記の金属酸化物、またはそれらの混合物のうちから、接合される構成部材の材料の熱膨張率などの物性に合わせて、適宜混合調整した接着材料を使用することができる。
上記の接着材料は、液体吐出ヘッドの構成部材にスクリーン印刷、ロール印刷、ディッピング、スピンコート等の塗布法により塗布し、接合される構成部材を重ね合わせて、押圧固定またはそのままの状態で、乾燥処理、加熱処理を行うことにより接合を行う。
乾燥処理は50℃から150℃の範囲で行い、加熱処理は、100℃から300℃の範囲で行う。
また、常温において、乾燥処理、加熱処理と同等の処理が可能な場合もあり、その場合は加熱処理がなくても接合できる。
図1に示すサーマルインクジェットタイプの液体吐出ヘッドを以下のように製作する。素子基板11上に、液体を吐出するエネルギーを発生させる発熱抵抗体12と図示しない配線を形成する。この工程は、シリコン基板上に熱酸化膜(二酸化シリコン)を熱酸化法で形成し、次いで、発熱抵抗体層(ハフニウムボライド)と発熱抵抗体用配線層(アルミ)を順次スパッタや蒸着等で成膜する。次に、フォトリソグラフィ技術を使用して、発熱素子層(ハフニウムボライド)および発熱素子用配線層(アルミ)をパターニングし、発熱抵抗体12と配線とを形成する。その後に、絶縁膜(二酸化シリコンや窒化シリコン)をCVDやスパッタで形成し、フォトリソグラフィ技術を使用して、絶縁膜をパターニングしコンタクトホールを形成する。
シリコン基板以外でも、素子基板11を形成する材料については、その他の発熱抵抗体層等の機能部を形成可能であれば、半導体基板等いかなる材料を用いてもかまわないが、液体吐出ヘッドの長尺化への対応、発熱抵抗体層等の形成方法、コスト等を考慮すればシリコン基板が好ましい。そして実際には、大判のシリコン基板上にそれぞれ素子基板11となる複数の素子チップが作り込まれており、また、素子基板11とともに液体流路形状を形成する流路基板13も、それぞれ液体流路14、共通液室15、液体供給口18となる溝形状を有する複数の素子部を、大判のシリコン基板上にパターニングやエッチング等のフォトリソグラフィ技術を用いて形成する。
本実施例においてはシリコン基板を用いたが、流路基板を形成する材料についても、液体流路、共通液室、液体供給口等の形状を形成可能であれば、樹脂材料、半導体基板等いかなる材料を用いてもかまわない。
次に、素子基板11と流路基板13との接合方法を説明する。
素子基板11となる複数の素子チップを形成した大判のシリコン基板に、無機接着層10aとなるマイカ(主成分 珪酸アルミナ)を主成分とする無機接着材料レズボンド907(COTRONICS 社製)をスクリーン印刷法により塗布し、同じく流路基板13となる複数の素子部を形成した大判のシリコン基板を重ね合わせた後、80℃で1時間乾燥処理し、さらに120℃で1時間30分加熱処理して放冷し、厚さ50μmの無機接着層10aを形成した。
このようにして2つのシリコン基板の接合を行った接合基板を、素子基板11や流路基板13からなるチップ部毎に切断した後、電鋳法で作成したNi製のノズルプレート16に、無機接着層10bとなるマイカ(主成分 珪酸アルミナ)を主成分とする無機接着材料レズボンド907(COTRONICS 社製)を塗布したのち、これらを重ね合わせ、90℃で1時間乾燥処理し、さらに150℃で1時間30分加熱処理させたあと放冷し、厚さ10μmの無機接着層10bを形成した。このようにして、サーマルインクジェットタイプの液体吐出ヘッドを作成した。
本実施例のサーマルインクジェットタイプの液体吐出ヘッドについて、その使用耐久性を見るため、以下の処方のインクを用いて吐出耐久試験を行い、また、接合を行ったあと、無機接着層10a、10bの有機物含有量を調べるため、成分分析を加熱重量分析装置(TGA)で行った。その結果を末尾の表1に示す。なお、表1のインク吐出耐久試験結果の欄においては、吐出耐久試験において接着層の剥がれについての実用レベルに対する評価として、優れているものに○、ほぼ実用レベルに達しているものに△、実用レベルに達していないものに×の記号を付記している。
フードブラック 2wt%
ジエチレングリコール 10wt%
チオジグリコール 5wt%
エタノール 5wt%
水 78wt%
図2に示す圧電/電歪アクチュエータを用いたタイプの液体吐出ヘッドを以下のように製作した。シリコン基板からなる流路基板23に、フォトリソグラフィ技術を用いて液体加圧室24、絞り流路28、液体供給路25の基本形状を形成する。シリコン基板以外でも、液体加圧室24、絞り流路28、液体供給路25等の形状を形成可能であれば、樹脂材料、半導体基板等いかなる材料を用いてもかまわないが、液体吐出ヘッドの長尺化への対応、液体流路形状の形成方法、コスト等を考慮すればシリコン基板が好ましい。
流路基板23の上記基本形状を有する複数の素子部が、フォトリソグラフィ技術によって大判のシリコン基板上に作り込まれる。
次に、電鋳法を用いて吐出口27を有するノズルプレート26を複数形成した大判のNi製ノズルプレートに、無機接着層20aを形成するためのジルコニア、シリカ主成分の無機接着材料アロンセラミックスE(東亜合成株式会社製)を塗布し、上述のごとく加工された流路基板23となる大判のシリコン基板を重ね合わせた後、90℃で1時間乾燥処理し、さらに150℃で1時間30分加熱処理して放冷し、50μmの無機接着層20aを形成し接合を行った。
本実施例においてはノズルプレートとして、電鋳法を用いて吐出口の形状を形成したNi製ノズルプレートを用いたが、所望の吐出口形状の形成が可能であれば、SUS板、その他の金属板等を用いて打ち抜き加工を施して吐出口を形成したものや、その他の加工法で吐出口を形成した金属材料、フォトリソグラフィ法等を用いて吐出口を形成したシリコン基板などの半導体基板、射出成形やフォトリソグラフィ法を用いて吐出口を形成した樹脂材料等、ガラス等、様々な材料や加工方法を用いたノズルプレートを用いてもかまわない。
次に、100μm厚のシリコン基板に、無機接着層20bとなるジルコニア、シリカ主成分の無機接着材料アロンセラミックスE(東亜合成株式会社製)を塗布し、ノズルプレートを接合後のシリコン基板に重ね合わせた後、90℃で1時間乾燥処理し、さらに150℃で1時間30分加熱処理して放冷し、厚さ5μmの無機接着層20bを形成し接合を行った。その後シリコン基板上面を研磨し、シリコン基板を5μm厚にし、振動板21を形成した。
下部電極22aとして、Pt電極をスパッタ法により500nm厚に成膜した後、各素子部の液体加圧室24の上部ごとに孤立した圧電/電歪膜22bを成膜するため、マスクを施した後、圧電/電歪材料としてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)をスパッタ法により3μm厚に成膜した。同様にマスクを施し、上部電極22cとしてPtを500nm厚にスパッタ法により成膜し、圧電/電歪素子22を形成した。
次に、大判のシリコン基板を各素子部ごとに、ダイサーにより切り離して、液体吐出ヘッドを作成した。
本実施例においては、振動板材料としてシリコン基板を用いたが、振動板材料としては、その他の半導体基板、SUS等の金属材料、金属酸化物材料、ガラス等、圧電/電歪素子による変形を振動板、流路基板、ノズルプレートにより形成された液体加圧室の容積変化に変換し、液体吐出が可能となる変位を得ることが可能であるものであれば、いかなる材料でも使用することができる。
また、本実施例においては下部電極、上部電極としてPtを、それぞれ500nm厚で構成したが、駆動用電気信号線(図示せず)が下部電極と、上部電極とのいかなる位置に結線されていても、圧電/電歪膜にかかる駆動用電圧が、面内において、略等しく印加できる程度の抵抗値の材料、厚みであれば、その他の金属材料、導電性金属酸化物材料、導電ペースト等、いかなる材料であっても使用可能である。またその成膜方法に関しても、本実施例においてはスパッタ法を用いているが、その他にも蒸着法、CVD法、コート法等さまざまな方式が適用できる。
本実施例において、圧電/電歪材料として、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)をスパッタ法により3μm厚に成膜したものを用いたが、圧電/電歪材料についてはその他に、例えば、PMN(マグネシウム酸ニオブ酸鉛)、PMN−PT(マグネシウム酸ニオブ酸チタン酸鉛)、PZN(亜鉛酸ニオブ酸鉛)、PZN−PT(亜鉛酸ニオブ酸チタン酸鉛)、BTO(チタン酸バリウム)、KN(ニオブ酸カリウム)、LN(ニオブ酸リチウム)等が使用できる。
また、膜厚についても各圧電/電歪素子の特性に合わせて適宜設定できるものであり、圧電/電歪膜の成膜方法においても、本実施例において適用したスパッタ法の他に、ガスデポジット法、MOCVD法、レーザCVD法、ゾル-ゲル法など様々な方式を選択できる。また圧電/電歪膜の特性を向上させるために、成膜中または成膜後の加熱、電圧印加等を行ってもかまわない。
本実施例においては、流路基板とノズルプレート間の接合部と、流路基板と振動板との接合部のみに無機接着層を用いたが、これら2つの接合部以外にも、振動板と下部電極との接合などにも適用できる。また、液体吐出ヘッドの構成、接合以外のその他の製造方法、加工順序など考慮して、無機接着層を適用する接合部を選択できる。
また、上記のユニモルフ型圧電/電歪素子以外の圧電/電歪素子を用いた液体吐出ヘッドにおいても、本発明は適用することができるが、ユニモルフ型圧電/電歪素子を用いた液体吐出ヘッドにおいて本発明は特に好適に適用できる。
本実施例で作成した液体吐出ヘッドについて、その使用耐久性を見るため、実施例1で示した処方のインクを用い吐出耐久試験を行った。また接合を行った後、上記無機接着層の有機物含有量を調べるため、成分分析を加熱重量分析装置(TGA)で行った。これらの結果を末尾の表1に示す。
実施例1における無機接着層10aの厚みを300μm、無機接着層10bの厚みを20μmとし、加熱処理は行わず、室温で24時間放置することにより、接合処理を行った以外は、実施例1と同様にして、液体吐出ヘッドを作成した。
本実施例で作成した液体吐出ヘッドについて、その使用耐久性を見るため、実施例1で示した処方のインクを用い吐出耐久試験を行った。また接合を行ったあと、各無機接着層10a、10bの有機物含有量を調べるため、成分分析を加熱重量分析装置(TGA)で行った。これらの結果を表1に示す。
実施例2における無機接着層20aの厚みを250μm、無機接着層20bの厚みを10μmとした以外は、実施例2と同様にして、圧電/電歪素子を用いたタイプの液体吐出ヘッドを作成した。
本実施例で作成した液体吐出ヘッドについて、その使用耐久性を見るため、実施例1で示した処方のインクを用い吐出耐久試験を行った。また接合を行った後、上記無機接着層の有機物含有量を調べるため、成分分析を加熱重量分析装置(TGA)で行った。これらの結果を表1に示す。
実施例2における無機接着層20a、20bとして、シリカを主成分とする無機接着材料アロンセラミックスC(東亜合成株式会社製)を用い、無機接着層20aの厚みを350μm、無機接着層20bの厚みを5μmとした以外は、実施例2と同様にして、圧電/電歪素子を用いたタイプの液体吐出ヘッドを作成した。
本実施例で作成した液体吐出ヘッドについて、その使用耐久性を見るため、実施例1で示した処方のインクを用い吐出耐久試験を行った。また接合を行った後、上記無機接着層の有機物含有量を調べるため、成分分析を加熱重量分析装置(TGA)で行った結果、表1に示すように良好であった。
実施例2における無機接着層20a、20bとして、アルミナを主成分とする無機接着材料アロンセラミックスD(東亜合成株式会社製)を用い、無機接着層20aの厚みを80μm、無機接着層20bの厚みを10μmとした以外は、実施例2と同様にして、圧電/電歪素子を用いたタイプの液体吐出ヘッドを作成した。
本実施例で作成した液体吐出ヘッドについて、その使用耐久性を見るため、実施例1で示した処方のインクを用い吐出耐久試験を行った。また接合を行った後、上記無機接着層の有機物含有量を調べるため、成分分析を加熱重量分析装置(TGA)で行った結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例2と同様の構成の液体吐出ヘッドにおいて、ノズルプレートと流路基板の接合部において、加水分解・脱水縮合反応剤として、水+エタノール+イソプロピルアルコール=1:1:4(重量比)の割合からなる混合溶剤を調合し、この混合溶剤とテトラエトキシシランを1:5(重量比)の割合で、10分間攪拌混合し、アンモニア水を添加してpH5に調整し、4時間熟成させて、加水分解・脱水縮合反応をすすめ、粘度が1センチポアズ前後の反応生成物を用いて、Ni製ノズルプレートに塗布し、流路基板を重ね合わせたあと、200℃で30分間加熱して接着層を2μmに形成したこと、また、流路基板に塗布し、圧電/電歪素子を形成した振動板を張り合わせ、200℃で30分間加熱して接着層を2μmに形成した以外は、実施例2と同様にして、圧電/電歪素子を用いたタイプの液体吐出ヘッドを作成した。
本比較例で作成した液体吐出ヘッドについて、その使用耐久性を見るため、実施例1で示した処方のインクを用い吐出耐久試験を行った。また接合を行った後、上記接着層の有機物含有量を調べるため、成分分析を加熱重量分析装置(TGA)で行った結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1と同様の接合部に、エポキシ樹脂接着剤を用い、塗布厚みを20μmとした以外は、実施例2と同様にして、圧電/電歪素子を用いたタイプの液体吐出ヘッドを作成した。
本比較例で作成した液体吐出ヘッドについて、その使用耐久性を見るため、実施例1で示した処方のインクを用い吐出耐久試験を行った結果を表1に示す。
Figure 2005186508
以上の実験結果から、有機物含有量がゼロに近い無機接着層を用いることにより、耐久性に優れた液体吐出ヘッドを実現できることが分かった。
第1の実施の形態による液体吐出ヘッドを示す模式断面図である。 第2の実施の形態による液体吐出ヘッドを示す模式断面図である。 一従来例を示すもので、(a)はその一部を破断して示す部分模式斜視図、(b)は模式断面図である。 別の従来例を示すもので、(a)はその一部を破断して示す部分模式斜視図、(b)は模式断面図である。
符号の説明
10a、10b、20a、20b 無機接着層
11 素子基板
12 発熱抵抗体
13、23 流路基板
14 液体流路
15 共通液室
16、26 ノズルプレート
17、27 吐出口
18 液体供給口
21 振動板
22 圧電/電歪素子
24 液体加圧室
25 液体供給路
28 絞り流路

Claims (7)

  1. 液体流路と、前記液体流路に連通する吐出口と、前記液体流路内の液体を前記吐出口から吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子とを有する液体吐出構造体を備えた液体吐出ヘッドであって、前記液体吐出構造体が少なくとも1つの接合部によって接合された複数の構成部材からなり、前記接合部が、金属酸化物を主成分とし、有機物の含有量がゼロまたはゼロより大かつ0.5wt%以下である接着層を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 接着層が、有機物を含まない金属酸化物の接着材料によって形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。
  3. 接着層の厚みが50〜500μmの範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の液体吐出ヘッド。
  4. エネルギー発生素子が電気熱変換素子であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の液体吐出ヘッド。
  5. エネルギー発生素子が電気機械変換素子であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の液体吐出ヘッド。
  6. 電気機械変換素子が、振動板、下部電極、圧電/電歪膜および上部電極を含む積層構造を有することを特徴とする請求項5記載の液体吐出ヘッド。
  7. 金属酸化物が、シリコン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、およびマグネシウムのうちの少なくとも1つの金属酸化物またはそれらの混合物、あるいはシリコン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、あるいはマグネシウムのうち少なくとも2種以上の金属を含む金属酸化物であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の液体吐出ヘッド液体吐出ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015047855A (ja) * 2013-09-04 2015-03-16 株式会社リコー 液体吐出ヘッド及び画像形成装置

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