JP2005186437A - 樹脂成型品 - Google Patents
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Abstract
【課題】実際のウェブ状物により近い立体感及び質感があり、実際のウェブ状物によって三次元形状が形作られている外観を呈する品質の高い樹脂成形品を提供する。
【解決手段】樹脂成形品としてのシフトノブ10は、不透明な合成樹脂材料よりなる成形品本体11と、その成形品本体11を覆うように設けられた透明な合成樹脂よりなる被覆層13とを備える。成形品本体11は所要の三次元形状に付形されるとともに、その三次元形状の表面全体に炭素繊維布20の凹凸形状を有する加飾面12が形成されている。被覆層13は成形品本体11の加飾面12の凹凸形状に密着するように形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂成形品としてのシフトノブ10は、不透明な合成樹脂材料よりなる成形品本体11と、その成形品本体11を覆うように設けられた透明な合成樹脂よりなる被覆層13とを備える。成形品本体11は所要の三次元形状に付形されるとともに、その三次元形状の表面全体に炭素繊維布20の凹凸形状を有する加飾面12が形成されている。被覆層13は成形品本体11の加飾面12の凹凸形状に密着するように形成されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、炭素繊維布等のウェブ状物の意匠、詳しくはウェブ状物表面の凹凸形状の意匠を備え、かつ実際のウェブ状物によって三次元形状が形作られている外観を呈する樹脂成形品に関する。
炭素繊維布は炭素繊維を使用して製作された織布であり、軽量で強度が高い。このような特徴に着目して、この炭素繊維布に合成樹脂を含浸させて硬化させることにより所定の三次元形状を有するプレートやパネルを製作し、自動車等の外装材として使用されている。昨今では、炭素繊維布はその機能性のみではなく、その表面の凹凸形状がスポーティな外観(意匠)を呈するために、自動車等の内装材(例えばインストルメントパネル等)や種々の物品の加飾用としての使用が試みられている。このため、炭素繊維布を加飾用として使用する場合には、炭素繊維布を透明なアクリル樹脂シートに挟み込むことにより炭素繊維布の表面の凹凸形状を視認し得るようにした繊維強化樹脂シートが提案されている。
しかしながら、炭素繊維布を挟んだ繊維強化樹脂シートはコストが高いばかりでなく、弾性率が高く伸びが小さいため曲率の大きな三次元形状を賦形しにくく、自動車の内装材等や種々の物品の加飾用としては使用しにくい。なお、今日では炭素繊維布と同様に軽量で強度が高いアラミド繊維布も流通しているが、このアラミド繊維布もコストが高いばかりでなく、弾性率が高く伸びが小さいため曲率の大きな三次元形状を賦形しにくく、自動車の内装材等や種々の物品の加飾用としては使用しにくい。
このように炭素繊維布の持つ意匠を加飾用に使用したいという需要を満たすため、炭素繊維布の表面の凹凸形状の模様を印刷した合成樹脂シートや、熱可塑性樹脂シートの片面に炭素繊維布の布目のネガ形状の凹凸形状を形成し、該片面に光輝材を含有するインキ又は塗料を塗布して、凹凸形状の外表面に密着する塗膜を形成した化粧シートが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2000−135756号公報
ところが、炭素繊維布の表面の凹凸形状模様を印刷した合成樹脂シートでは、凹凸形状模様を平面上に印刷しただけのものにすぎないため、凹凸形状模様に深みがなく、実際の炭素繊維布の表面が有する意匠を再現することはできなかった。
また、特許文献1に記載された化粧シートは、平面状シートの状態においては凹凸形状の反転形状が形成されていない片面から見ると、透明なシートを透過して炭素繊維布の表面の凹凸形状が視認され、実際の炭素繊維布の風合い及び質感に近い意匠を呈する。この化粧シートを用いて三次元形状が付与されて成形品となる。このような化粧シートを用いた成形品の製造の際には真空成形が用いられる。この真空成形では加熱して軟化させた化粧シートを、凹凸形状の反転形状が形成されていない平滑な片面が成形型側となるように固定して成形型内を真空引きすることにより、化粧シートに所定の三次元形状が付形される。この付形された化粧シートの裏面に合成樹脂製の基材を設けることにより、所望する樹脂成形品が得られる。このとき、化粧シートは凹凸形状が形成されていない片面が成形型のキャビティの内面に合致するように延び、その延びた部分の厚さも薄くなる。このように化粧シートが面方向に延びるとともに、厚さも薄くなるために、凹凸形状の長さ、すなわち炭素繊維布の織目が伸びるとともに、凹凸形状の深さも部分的に浅くなる。そのため、樹脂成形品から視認される炭素繊維布の意匠は実際の炭素繊維布の表面が持つ意匠とは違和感があり、製品の品質が低下する。
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであって、実際のウェブ状物により近い立体感及び質感があり、実際のウェブ状物によって三次元形状が形作られている外観を呈する品質の高い樹脂成形品を提供することを課題としている。
本発明にかかる樹脂成形品は、不透明な合成樹脂材料よりなり、所要の三次元形状が付与されるとともに、その三次元形状の表面にはウェブ状物の凹凸形状が付与された成形品本体と、透明な合成樹脂材料よりなり、前記成型品本体を覆うように前記凹凸形状に密着して設けられた被覆層とを備えることを特徴とするものである。
ここで、ウェブ状物とは、繊維集合体又は線状体からなる平膜状又は網状の構造体であり、例えば、炭素繊維布、ガラス繊維布、アラミド繊維布や炭素繊維及びアラミド繊維によって織られたアラミド炭素布等を含む織布や上記各素材からなる不織布等の布や、金属線材よりなる網状体等を挙げることができる。
また、被覆層を構成する合成樹脂材料は無色又は着色されていてもよく、外面から内面を明瞭に視認できるものであればよい。
本発明によれば、成形品本体に付与された三次元形状の外面にウェブ状物の凹凸形状が付与され、その凹凸形状に密着するように透明な被覆層が形成されている。そのため、樹脂成形品の外面から見ると、透明な被覆層を透過して不透明な成型品本体に照射された光は成型品本体の表面で反射され、樹脂成形品内にウェブ状物の凹凸形状が明瞭に視認され、実際のウェブ状物の立体感及び質感に近い意匠を呈することとなる。
本発明の樹脂成型品において、「前記成型品本体を形成する合成樹脂材料には光輝剤が混入されている」構成とすることもできる。
ここで、光輝剤としては、マイカ(雲母)粉及びマイカを含むパール顔料やアルミニウム金属粉を挙げることができる。
これによれば、樹脂成型品の外面から見ると、透明な被覆層を透過して成型品本体に照射された光は成型品本体を構成する合成樹脂材料に混入された光輝剤によって効果的に反射され、樹脂成形品内にウェブ状物の凹凸形状が明瞭に視認され、実際のウェブ状物の立体感及び質感に近い意匠を呈することとなる。
本発明の樹脂成形品において、「前記被覆層の外面は前記成形品本体の三次元形状に沿うように形成されており、前記被覆層の厚さは略均一に形成されている」構成とすることもできる。
これによれば、被覆層の厚さは略均一に形成されているため、被覆層を構成する透明な合成樹脂が部分的にレンズのような拡大又は縮小作用を示すことはない。そのため、所要の三次元形状に付形されたウェブ状物の凹凸形状が本来の形状とは異なるいびつな形状として視認されるようなことはなく、ウェブ状物は成形品本体の三次元形状に相似した三次元形状をなすように視認され、樹脂成形品の品質が低下することはない。
本発明の樹脂成形品は、実際のウェブ状物により近い立体感及び質感があり、実際のウェブ状物によって三次元形状が形作られている外観を呈する品質の高い樹脂成形品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態である樹脂成形品の構造について、図1乃至図4に基づいて説明する。図1は本実施形態の樹脂成形品の構造を示す断面図であり、図2は炭素繊維布を示す一部拡大平面図であり、図3は樹脂成形品の部分拡大断面図である。図4は樹脂成形品の製造方法を示す説明図である。
図1は、自動車の変速機に使用されるシフトレバーに取り付けられる樹脂成型品としてのシフトノブ10を示し、シフトノブ10には所要の三次元形状、例えば頭部を膨出させた釣り鐘型状が付与されており、その釣り鐘型形状が実際のウェブ状物によって形成された外観を呈するように形成されたものである。なお、ウェブ状物とは、繊維集合体又は線状体からなる平膜状又は網状の構造体である。
このシフトノブ10は、有色かつ不透明な合成樹脂材料よりなる成形品本体11と、その成形品本体11を覆うように設けられた透明な合成樹脂材料よりなる被覆層13とを備えている。
成形品本体11の外面には釣り鐘型形状が付与されているとともに、図3に併せ示すように、その釣り鐘型形状の表面全体にはウェブ状物の表面の凹凸形状を有する加飾面12が形成されている。本実施形態では、このウェブ状物として図2に示される炭素繊維布20が採用されている。図2に示す炭素繊維布20は綾織りされた布であり、所定本数の炭素繊維よりなる繊維束を経糸21及び緯糸22とし、それぞれ4本の経糸21及び緯糸22により完全組織が構成され、互いに隣接する経糸21は連続的に浮沈して斜めに稜線(綾目)を表している。従って、炭素繊維布20の表面の凹凸形状は、経糸21及び緯糸22がそれぞれ緯糸22上及び経糸21上に露出する境界部分で最も凹となり、長方形状の各経糸21及び各緯糸22の中央部分で最も凸となっている。
また、成形品本体11を形成する有色かつ不透明な合成樹脂材料には、所定量の光輝剤を混入してもよい。この光輝剤としては、マイカ(雲母)粉、マイカを含むパール顔料又はアルミニウム金属粉等を用いることができる。
被覆層13は前記加飾面12の表面に密着するように形成されるとともに、その外面には前記加飾面12の三次元形状(釣り鐘型形状)に沿う三次元形状をなす滑らかな曲面状の意匠面14が形成されており、被覆層13の厚さはシフトノブ10の外面全体に亘って略均一に形成されている。従って、シフトノブ10の意匠面14から被覆層13を透過して成形品本体11に照射された光の一部は成形品本体11に含まれる光輝剤によって反射されるとともに、成形品本体11の色彩と同色の光線が反射され、加飾面12の凹凸形状、すなわち炭素繊維布20の表面の凹凸形状を明瞭に識別させることを可能にする。
なお、成形品本体11にはその下面から中間部まで延びる取り付け孔15が形成されており、シフトノブ10は同取り付け孔15にシフトレバー16の先端部を螺合することによりシフトレバー16に取り付けられるようになっている。
上記のように構成されたシフトノブ10は、例えば、図4に示されるように製造することができる。シフトノブ10は、成形品本体11及び被覆層13をそれぞれ形成する合成樹脂材料が異なるため、成形品本体11の形成工程と、成形品本体11の形成後における被覆層13の形成工程との二つの工程によって製造される。
成形品本体11の形成には図4(a)に示されるように、第1型31及び第2型33からなる成形型30が用いられ、この成形型30に流動状態の合成樹脂材料を充填することにより成形品本体11が形成される。
図4(a)に示すように、成形型30の第1型31は、成形品本体11の頭部がアンダーカット部とならないように一対の分割型31A,31Bにより構成されており、両分割型31A,31Bを合わせた状態で第1型31の内面には前記加飾面12の三次元形状に対応するとともに、前記炭素繊維布20の凹凸形状を反転させた反転形状を有する形成面32が形成されている。成形型30の第2型33は前記取り付け孔15に対応するコア34が形成されている。
成形品本体11を成形するには、図4(b)に示すように、第1型31の両分割型31A,31Bを合わせて一体化させ、第1型31及び第2型33を型締めした状態で、図示しない注入通路を介して流動状態の合成樹脂材料を注入し、形成面32及びコア34間の隙間に充填する。成形品本体11を形成する合成樹脂材料としては、有色かつ不透明な任意の熱可塑性樹脂材料又は有色かつ不透明な任意の熱硬化性樹脂材料を採用することができる。なお、成形品本体11の形成に用いる合成樹脂材料にはマイカ(雲母)粉及びマイカを含むパール顔料やアルミニウム金属粉等の光輝剤を混入させるのが望ましい。
この充填した合成樹脂材料が固化した後、第1型31及び第2型33を型開きするとともに、両分割型31A,31Bを開いて離型すると、図4(c)に示すように外面に加飾面12を備えるとともに、取り付け孔15を備えた成形品本体11が得られる。
被覆層13の形成には図4(d)に示されるように、第1型41及び第2型42からなる成形型40が用いられ、この成形型40に前記形成された成形品本体11をセットした状態で流動状態の合成樹脂材料を注型することにより被覆層13を備えたシフトノブ10が形成される。
図4(d)に示すように、成形型40の第1型41は、シフトノブ10の頭部がアンダーカット部とならないように一対の分割型41A,41Bにより構成されており、両分割型41A,41Bを合わせた状態で第1型41の内面には前記意匠面14の三次元形状に対応する滑らかな曲面状の形成面42が形成されている。成形型40の第2型43は前記取り付け孔15に対応するコア44が形成されている。
被覆層13を形成するには、図4(d)に示すように、第2型43のコア44に前記成形品本体11の取り付け孔15を嵌合して前記成形品本体11を第2型43上にセットする。この後、第1型41の両分割型41A,41Bを合わせて一体化させ、第1型41及び第2型43を型締めした状態で、図示しない注入通路を介して流動状態の透明な合成樹脂材料を注入して前記成形品本体11の外面及び形成面42間に充填する。被覆層13を形成する合成樹脂材料としては、透明な任意の熱可塑性樹脂材料又は透明な任意の熱硬化性樹脂材料を採用することができ、無色又は着色されていてもよく、外面から内面を明瞭に視認できるものであればよい。
この充填した合成樹脂材料が固化した後、第1型41及び第2型43を型開きするとともに、両分割型41A,41Bを開いて離型すると、図1に示されるように、成形品本体11の外面を覆うように加飾面12に密着して形成された被覆層13を有するシフトノブ10が得られる。
このように形成された本実施形態の樹脂成形品であるシフトノブ10は、成形品本体11に付与された三次元形状(釣り鐘型形状)の表面全体に炭素繊維布20の凹凸形状を有する加飾面12が形成され、その加飾面12の凹凸形状に密着するように透明な被覆層13が形成されている。そのため、シフトノブ10の外面から見ると、透明な被覆層13を透過して成形品本体11に照射された光の一部は成形品本体11に含まれる光輝剤によって反射されるとともに、成形品本体11の色彩と同色の光線が反射され、シフトノブ10内に炭素繊維布20の表面の凹凸形状が明瞭に視認される。そのため、シフトノブ10は炭素繊維布20の立体感及び質感を備えたものとなり、実際の炭素繊維布20によって成形品本体11の三次元形状が形作られている外観を呈する品質の高いものとなる。
また、本実施形態のシフトノブ10は、被覆層13の外面の意匠面14は成形品本体11の三次元形状をなす加飾面12に沿うように付形されており、被覆層13の厚さは略均一に形成されている。そのため、被覆層13を構成する透明な合成樹脂が部分的にレンズのような拡大又は縮小作用を示すことはない。よって、三次元形状に付形された炭素繊維布20を示す成形品本体11の加飾面12がいびつな形状として視認されるようなことはなく、加飾面12は成形品本体11の三次元形状をなすように視認され、シフトノブ10の品質が低下することはない。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
・ 上記実施形態では、成形品本体11の加飾面12に形成する凹凸形状を採用するウェブ状物を炭素繊維布20としたが、これ以外に、ガラス繊維布や、アラミド繊維布や炭素繊維及びアラミド繊維によって織られたアラミド炭素布等のいずれか1つとしてもよい。
・ 上記実施形態では、自動車の内装品としてのシフトノブ10に具体化したが、これに限定されるものではなく、その他の内装品又は外装品として形成することができる。例えば、自動車の合成樹脂製のハンドルにおいて、その三次元形状の表面にウェブ状物の凹凸形状を付与し、その表面に密着するように透明な被覆層を形成するようにしてもよい。
10 シフトノブ(樹脂成形品)
11 成形品本体
12 加飾面
13 被覆層
14 意匠面
20 炭素繊維布(ウェブ状物)
11 成形品本体
12 加飾面
13 被覆層
14 意匠面
20 炭素繊維布(ウェブ状物)
Claims (3)
- 不透明な合成樹脂材料よりなり、所要の三次元形状が付与されるとともに、その三次元形状の表面にはウェブ状物の凹凸形状が付与された成形品本体と、
透明な合成樹脂材料よりなり、前記成型品本体を覆うように前記凹凸形状に密着して設けられた被覆層と
を備えることを特徴とする樹脂成形品。 - 前記成型品本体を形成する合成樹脂材料には光輝剤が混入されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
- 前記被覆層の外面は前記成形品本体の三次元形状に沿うように形成されており、前記被覆層の厚さは略均一に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003430521A JP2005186437A (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | 樹脂成型品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003430521A JP2005186437A (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | 樹脂成型品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003430521A Pending JP2005186437A (ja) | 2003-12-25 | 2003-12-25 | 樹脂成型品 |
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2003
- 2003-12-25 JP JP2003430521A patent/JP2005186437A/ja active Pending
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