JP2005183877A - 半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特にZn拡散領域など特殊な構造の領域を内部に有する半導体レーザにおいて、ウェハ上面からストライプを見ながら位置合わせを行う劈開の方法によっても、特に問題なく劈開し得る半導体レーザおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板1上に、活性層4を含む発光層形成部9を形成する工程と、発光層形成部9の一部を除去し凸形状を形成する工程と、凸形状の幅狭部の少なくとも側部に電流狭窄層5を埋め込む工程と、電流狭窄層5のうち、共振器端面を形成しようとする領域(以下A領域という)とそれ以外の領域(以下B領域という)との膜厚を相違させる工程と、A領域に沿って劈開する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、CD、DVDドライブなどの光ディスク機器および光通信などに用いる半導体レーザ及びその製造方法に関する。特に、半導体レーザ内部に特殊な領域の構造を有する半導体レーザにおいて、簡易なプロセスで高出力特性を得ることを目的とする。
近年の光ディスク高密度化のため、光源として用いられる半導体レーザには高出力化が求められている。そして、半導体レーザの高出力化の手法としては、共振器端面に、活性層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するZn拡散領域などを形成することで、端面部近傍の温度上昇を抑え、COD破壊(Catastrophic optical damage)を抑える構造などが開発されている(特許文献1参照)。
図4に従来の高出力半導体レーザの斜視図が示されるように、GaAs基板51上に、n−InGaAlPクラッド層52a、InGaAlP障壁層とInGaP井戸層とからなる多重量子井戸活性層53、p−InGaAlP第1クラッド層54a、p−InGaPエッチングストップ層54b、p−InGaAlP第2クラッド層54cおよびp−InGaP中間バンドギャップ層54dとからなる凸形状の発光層形成部59が形成されている。そして、凸形状の幅狭部の側面にはn−GaAs電流狭窄層55が形成され、p−InGaP中間バンドギャップ層54dおよびGaAs電流狭窄層55上にp−GaAsコンタクト層511が形成されている。さらに、共振器端面には活性層53にまで達する斜線で示されるZn拡散領域57が形成されており、またp−GaAsコンタクト層511上、およびGaAs基板51裏面側には、それぞれ図示しないp電極およびn電極が形成されている(特許文献1参照)。
この高出力半導体レーザを製造するには、まず、図5(a)に示されるようにGaAs基板51上に、n−InGaAlPクラッド層52a、InGaAlP障壁層(図示しない)とInGaP井戸層(図示しない)とからなる多重量子井戸活性層53、p−InGaAlP第1クラッド層54a、p−InGaPエッチングストップ層54b、p−InGaAlP第2クラッド層54cおよびp−InGaP中間バンドギャップ層54dを順次成長し発光層形成部59を形成する。次に、発光層形成部59上の共振器端面を形成しようとする領域に図示しないZnOなどを形成し、アニールすることなどにより、ZnO中のZnを活性層53にまで拡散させ、活性層53が無秩序化されたZn拡散領域57を形成する。その後、発光層形成部上にSiO2からなる帯状の絶縁膜58を形成し、図5(b)に示されるように、SiO2絶縁膜58に覆われていないp−InGaP中間バンドギャップ層54およびp−InGaAlP第2クラッド層54cをp−InGaPエッチングストップ層54bに達するまでエッチングすることにより除去し、発光層形成部59を凸形状とする。そして、図5(c)に示されるようにSiO2絶縁膜58をマスクとして、p−InGaP中間バンドギャップ層54dおよびp−InGaAlP第2クラッド層54cが除去された領域(凸形状幅狭部)にn−GaAs電流狭窄層55を選択的に埋め込む。埋め込み終了後SiO2を除去し、図5(d)に示されるように全面にp−GaAsコンタクト層511を形成し、このように形成されたウェハに図示しない電極などを形成し、Zn拡散領域57内のストライプ方向と垂直方向に沿って劈開し、共振器端面を形成することにより高出力半導体レーザが得られる。なお、実際の製造工程では複数の半導体レーザ素子が同時に作製されるが、説明上本明細書中では、一つの半導体レーザおよびその製法について説明する。
特開平2001−210907号公報(図16)
上述のようにZn拡散領域など特殊な構造を半導体レーザ内部に形成する。この特殊な構造を有する半導体レーザにおいては特に、共振器端面を形成する場合、その特殊な構造の領域が共振器端面に設けられるようにして劈開する必要がある。一般に劈開する場合、ウェハ上面(結晶成長方向で結晶成長面側)からストライプを見ながら位置合わせを行い、ストライプ方向と垂直方向に共振器端面を形成することになる。しかしながら、上記特殊な構造の領域がどこに位置しているかをウェハ上面から見ても判別できないことが多い。また、ウェハの一部に劈開位置合わせ用のアライメントマークを設けていたとしても、劈開前に電極が形成されると、そのアライメントマークは非常に見えずらくなり、結局ウェハ上面から見ても判別できないことが多い。したがって、特殊な構造の領域において、ストライプ方向と垂直方向に沿って劈開し、共振器端面を形成しようとしても、現状のウェハ上面からストライプを見ながら位置合わせを行う劈開の方法では、特殊な構造の領域を視認することができず、うまく位置合わせすることができないという問題がある。また、劈開位置と特殊な構造の領域の位置がずれてしまえば、特殊な構造の領域の効果を十分に発揮できず所望の高出力特性が得られないという問題もある。
本発明はこのような問題を解決し、特にZn拡散領域など特殊な構造の領域を内部に有する半導体レーザにおいて、ウェハ上面からストライプを見ながら位置合わせを行う劈開の方法によっても、特に問題なく劈開し得る半導体レーザおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の半導体レーザの製造方法は、基板上に化合物半導体からなり、活性層を含む発光層形成部を形成する工程と、前記発光層形成部の一部を除去し凸形状を形成する工程と、前記凸形状の幅狭部の少なくとも側部に電流狭窄層を埋め込む工程と、前記電流狭窄層のうち、共振器端面を形成しようとする領域とそれ以外の領域との膜厚を相違させる工程と、前記共振器端面を形成しようとする領域に沿って劈開する工程とを含むことを特徴とする特殊な構造の領域を内部に有する半導体レーザの製造方法である。
ここで、特殊な構造の領域を内部に有する半導体レーザとは、発光層形成部の構造が共振器端面と内部とで異なる構造を有する半導体レーザであって、具体的には共振器端面方向から見た半導体レーザの断面構造がストライプ方向に沿って層構造、不純物拡散、ストライプ幅などの点で一様ではない構造を有する半導体レーザをいう。
さらに、前記凸形状を形成する工程が、少なくとも発光層形成部上にパターニングされた第1絶縁膜をマスクとして発光層形成部の一部を除去する工程を有し、前記膜厚を相違させる工程が、少なくとも前記電流狭窄層上にパターニングされた第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜をマスクとして該第1絶縁膜および前記電流狭窄層を連続して除去する工程と、前記第2絶縁膜を除去する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の半導体レーザは、基板と、該基板上に化合物半導体からなり、活性層を含む発光層形成部と、前記活性層で発生した光を出射する共振器端面とを少なくとも有する半導体レーザであって、前記発光層形成部の共振器端面方向から見た断面形状が凸形状からなり、該凸形状の幅狭部の側部に電流狭窄層が少なくとも設けられ、該電流狭窄層の膜厚が前記共振器端面と前記共振器端面以外の領域とで相違することを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、特にZn拡散領域など特殊な構造の領域を内部に有する半導体レーザにおいて、電流狭窄層のうち、共振器端面を形成しようとする領域とそれ以外の領域との膜厚を相違させるような工程を含んでいるため、共振器端面を形成しようとしている領域とそれ以外の領域との間で電流狭窄層に段差が設けられる。そのため劈開する際、共振器端面を形成しようとしている領域と他の領域とをウェハ上面から見て区別することができる。そして、共振器端面を形成しようとする領域において、ストライプ方向と垂直方向に沿って劈開することが可能となり、共振器端面を形成しようとする領域に確実に共振器端面が形成できる。したがって、特殊な構造の領域を所望の位置に設けることができ、所望の高出力特性が得られる半導体レーザが得られる。さらに、前記膜厚を相違させる工程で、発光層形成部の凸形状作製用マスクである第1絶縁層の除去と、劈開視認用に用いられる電流狭窄層段差部の形成とを連続して行う工程を含むことにより、工程が複雑化することなく共振器端面に確実に第1絶縁膜が形成された高出力特性を有する半導体レーザが得られる。
また、本発明による半導体レーザでは、本発明の半導体レーザの製造方法により形成された半導体レーザを表すものであり、共振器端面とそれ以外の領域との間で電流狭窄層に段差が設けられている。したがって、所望の位置で劈開し得るため、特殊な構造の領域を所望の位置に確実に設けられた半導体レーザが得られる。
以下、本発明の半導体レーザの製造方法について説明する。たとえば、本発明の半導体レーザの製造方法は、図1(a)乃至(e)に示されるように、たとえば、半導体基板1上に、活性層4を含む発光層形成部9を形成する工程と、発光層形成部9の一部を除去し凸形状を形成する工程と、前記凸形状の幅狭部の少なくとも側部に電流狭窄層6を埋め込む工程と、前記電流狭窄層6のうち、共振器端面を形成しようとする領域(以下A領域という)とそれ以外の領域(以下B領域という)との膜厚を相違させる工程と、前記A領域に沿って劈開する工程とを含んでおり、内部に特殊な構造の領域を有している半導体レーザの製造方法である。
まず、基板1上に、活性層3を含む発光層形成部9を形成する。たとえば、図1(a)に示されるように、GaAs基板1上に、nクラッド層2a、多重量子井戸構造からなる活性層3、第1pクラッド層4a、エッチングストップ層4b、第2pクラッド層4cおよび中間バンドギャップ層4dを順次成長し発光層形成部9を形成する。
基板1は、図1(a)に示される例では、InGaAlP系の材料からなる発光層形成部9を有するため、この系と格子整合するGaAs基板を用いているが、特にこれに限定されるものではない。たとえば、GaN系、すなわち紫外、青色、緑色の発光をするような半導体レーザの場合には、サファイアやSiCなども用いられるし、通信用に用いられるInP系材料からなる通信用の半導体レーザの場合にはInPなどが用いられる。また、AlGaAs系材料からなる場合には、GaAs基板とほぼ格子整合するため、一般的にGaAs基板が使われる。また、上記基板の他にGaP、Si基板などであってもよい。ここで、InGaAlP系材料とは、Iny(Ga1-xAlx1-yPで表わされる材料(0≦x≦1、0≦y≦1)を、AlGaAs系材料とは、AlzGa1-zAsで表される材料(0≦z≦1)を、GaN系材料とは、Inu(Ga1-vAlv1-uNで表される材料(0≦u≦1、0≦v≦1)を、InP系材料とは、InsGa1-sAst1-t(0≦s≦1、0≦t≦1)で表される材料をそれぞれ意味している。
発光層形成部9は、少なくとも活性層4を含んでいればよく、上述のようにクラッド層、エッチングストップ層、中間バンドギャップ層が含まれていてもよいし、その他の層が介在していてもよい。また、活性層3は、Zn拡散などにより共振器端面を無秩序化するような構造の場合には、量子井戸構造でないと無秩序化しないため量子井戸構造であることが好ましいが、バルク構造であってもよい。また、量子井戸構造は単一量子井戸構造でも多重量子井戸構造であってもよい。
より具体的には、基板1上に、10000〜30000Å程度、好ましくは、25000Å程度のn−In0.5(Ga1-xAlx0.5Pクラッド層2a(0.3≦x≦0.9、好ましくはx=0.7)、図示しない30〜90Å程度、好ましくは、60Å程度のIny(Ga1-xAlx1-yP圧縮歪み井戸層(0≦x≦0.1、0≦y≦0.5、好ましくはx=0、y=0.53)とアンドープの図示しない30〜90Å程度、好ましくは、40Å程度In0.5(Ga1-xAlx0.5P障壁層(0.1≦x≦0.5、好ましくはx=0.5)との多重量子井戸構造からなる活性層3、1000〜4000Å、好ましくは2500Å程度のp−In0.5(Ga1-xAlx0.5P第1クラッド層4a(0.3≦x≦0.9、好ましくはx=0.7)50〜200Å、好ましくは、100Å程度のp−Iny(Ga1-xAlx1-yPエッチングストップ層4b(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、好ましくはx=0、y=0.35)、5000〜15000Å、好ましくは、12000Å程度のp−In0.5(Ga1-xAlx0.5P第2クラッド層4c(0.3≦x≦0.9、好ましくはx=0.7)、100〜500Å、好ましくは300Å程度のp−Iny(Ga1-xAlx1-yP中間バンドギャップ層4d(0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、好ましくはx=0、y=0.5)からなる発光層形成部9を形成している。
つぎに、半導体レーザの内部に特殊な構造であるZn拡散領域7aを形成する。本発明は、特殊な構造を内部に有する半導体レーザに適用するものであるが、内部に特殊な領域を形成するのは、後述するA領域とB領域の電流狭窄層に段差を設ける工程を行う前であればいつ行ってもよい。ここで、特殊な構造を内部に有する半導体レーザとは、共振器端面方向から見た半導体レーザの断面構造がストライプ方向に沿って層構造、不純物拡散、ストライプ幅などの点で一様ではない構造を有する半導体レーザをいう。たとえば共振器端面と内部で層構造が相違する半導体レーザ、内部の一部の層構造が相違する半導体レーザはもちろんのこと、ストライプ方向でストライプ幅(リッジ幅狭部の幅)が異なるいわゆるテーパーストライプ構造も含まれる。図1(a)に示される例では、たとえば、発光層形成部9を積層後、A領域にZn拡散領域7aを形成して、活性層3を無秩序化することにより、特殊な構造の領域を形成している。
Zn拡散領域7aでは、活性層の量子井戸構造がZnにより無秩序化され、バンドギャップが大きくなっている。したがって、このような構造をA領域に形成し、その領域において、ストライプに垂直方向に沿って劈開すれば、共振器端面にZn拡散領域7aが形成されることになる。そうすると共振器端面では、内部からの光を吸収することがなくなり温度上昇は極力抑えられ、COD破壊を防止することができる。
より具体的には、発光層形成部9上のA領域に図示しないZnO層などのZn拡散源を500Å程度スパッタに法より形成し、400〜600℃で60〜240分程度アニールすることなどにより、Zn拡散源中のZnを活性層にまで到達させる。その後、無秩序化された領域7aが形成された後はZnOなどをフッ酸などで除去する。
つぎに、発光層形成部9の一部を除去し、共振器端面方向から見た断面形状が凸形状(以下、同じ)になるようにエッチングをする。たとえば図1(b)に示されるように、エッチングストップ層4bに達するまで中間バンドギャップ層4dおよび第2pクラッド層4cをウェットエッチングにより一部除去し、凸形状を形成する。また、発光層形成部9上にパターニングされた第1絶縁層8を形成し、第1絶縁層8をマスクとして発光層形成部9の一部を除去し凸形状を形成するほうが、後述のように共振器端面に第1絶縁膜8を設け電流狭窄効果を持たせる半導体レーザを作製する際にプロセスを簡易に進められる点で好ましい。
また、凸形状の形成は、エッチングストップ層4bや活性層3に達するまで除去して形成してもよいし、nクラッド層2aに達するまで除去して形成してもよい。さらに除去する方法は、ウェットエッチング以外にドライエッチングでもよい。なお、第1絶縁膜8は、SiO2やSi34など選択成長に適した絶縁体膜からなり、成膜の条件、膜厚などは適宜調整される。
より具体的には、まずp−In0.5Ga0.5P中間バンドギャップ層4d上に2000Å程度のSiO2からなる第1絶縁膜8を全面に形成する。その後、フォトリソ工程などを経ることにより第1絶縁膜8を一部パターニングして、帯状のパターニングされた形状とする。そして、パターニングされた第1絶縁膜8をマスクとして、p−In0.35Ga0.65Pエッチングストップ層4bに達するまでp−In0.5Ga0.5P中間バンドギャップ層4dおよびp−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P第2クラッド層4cとを塩酸系のエッチング液などを用いてエッチングにより除去し発光層形成部9を凸形状とする。
つぎに、凸形状の幅狭部の少なくとも側部に電流狭窄層5を埋め込む。たとえば、図1(c)に示されるように、n−In0.5Al0.5P第1層5aとn−GaAs第2層5bを順次選択成長して、凸形状の幅狭部の側部に電流狭窄層5を埋め込む。電流狭窄層7の埋め込みは、たとえば、第1絶縁膜8を利用した選択成長などにより行う。選択成長とは、マスクとなる第1絶縁膜8上に電流狭窄層5を形成させることなく、凸形状の幅狭部の側部にのみ選択的に電流狭窄層5を埋め込む手法であり、成長条件、たとえば成長温度、圧力などを通常の成長条件と変えることで達成される。
電流狭窄層5は、図1(c)に示される例では2層であるが、この層は単層でもよいし2層以上の多層構造であってもよい。なお、多層構造からなる場合には、いずれか1層が電流ブロックできる機能を発揮し得る層であればよい。また、電流狭窄層5の厚さなどは、電流をブロックできる機能を発揮し得る程度にあればよい。他方、電流狭窄層5の厚さは、凸部の高さの1.5倍を超えると後述する選択成長を阻害しはじめるので、それ以下であることが好ましい。また、電流狭窄層5は、活性層3の光を吸収する材料であっても吸収しない材料であってもよく、特に活性層3の光を吸収しない材料を用いると低閾値電流で発振するため好ましい。
より具体的には、2000〜15000Å程度、好ましくは、3000Å程度のn−In0.5Al0.5P第1層5a、2000〜15000Å程度、好ましくは、2000Å程度のn−GaAs第2層5bを、SiO2をマスクとして、600℃程度の低温成長により、凸形状の幅狭部の側部にのみ選択的に埋め込む。
つぎに、図1(d)に示されるように、電流狭窄層5のうち、A領域とB領域との膜厚を相違させる工程を行う。相違させる方法としては、ウェットエッチングやドライエッチングなどを用いて、いずれか一方の領域だけの電流狭窄層5をエッチングすることで膜厚を相違させることが考えられる。これにより、B領域の電流狭窄層5の膜厚を、A領域の膜厚よりも小さくする。また、逆に、A領域の電流狭窄層を一部除去して、A領域の電流狭窄層5の膜厚を、B領域の膜厚よりも小さくすることも可能である。
電流狭窄層5の一部を除去しA領域とB領域との膜厚を相違させる場合、除去する電流狭窄層の量は、少なくとも2000Å程度あれば、ウェハ表面から見て除去されている領域と除去されていない領域とを視認することができる。他方、除去後残存させる電流狭窄層5の膜厚は電流ブロック効果を妨げない程度が下限値となり、具体的には2000Å程度残っていれば問題ない。また、図1(d)に示される例では、電流狭窄層5の表面側の層であるn−GaAs第2層5bがB領域で全部除去されているがn−GaAs第2層5bがn−In0.5Al0.5P第1層5aに到達しない程度に一部除去してもよいし、n−In0.5Al0.5P第1層5aの一部まで除去しても本発明の範囲内である。また、電流狭窄層5が材料の異なる2層からなる場合には、表面側の第1層をエッチングし、第2層をエッチングしないエッチング液を用いるほうが第1層と第2層の界面で確実にエッチングを停止できる点で好ましい。
つぎに、図1(e)に示されるように、段差を形成した後、電極とオーミックコンタクトをとる2000〜20000Å、好ましくは、10000Å程度のpコンタクト層11が中間バンドギャップ層4d上に成長している。その後、たとえばpコンタクト層6上、および基板1の裏面側に図示しないAu-Ge/Ni電極、Ti/Au電極などが従来の手法により形成されている。なお、図示されていないが、後述する図2(d)に示されるように、A領域のみに第1絶縁層8を残存させておき、電流非注入領域を形成することが好ましい。
最後に、共器器端面を形成しようとする領域、すなわちA領域に沿って共振器端面を形成する。共振器端面の形成は、一般的な手法である劈開面を利用して行う。このとき、電流狭窄層5の厚さの相違によりA領域とB領域をウェハ上面から見て劈開しようとするとその領域間の違いを視認することができる。すなわち段差が生じているため、ウェハ上面から見るとA領域とB領域との境界が明確に視認することができる。したがって、A領域でストライプの垂直方向に、たとえばダイヤモンドによるポイントスクライブやレーザスクライブなどを行うことによって、共振器端面を形成する。その後、共振器端面に保護膜、反射率調整膜などをスパッタなどにより適宜形成し、半導体レーザが得られる。
このように本発明の半導体レーザの製造方法によれば、上面側(基板の結晶成長面側)から見た場合に素子の面積の大部分、すなわち凸形状の発光層形成部の幅狭部以外の領域が電流狭窄層5に占められている。そして、このように上面側から見た素子の面積大部分を占める電流狭窄層の一部が除去されて段差が形成されている。そのため、A領域とB領域とを上面側から見ると、A領域とB領域との境界を明確に視認することができ、A領域とB領域とをウェハ上面から見て区別することができる。したがって、共振器端面でストライプ方向に垂直方向に沿って劈開することが可能となり、A領域に確実に共振器端面を形成できる。
上述のように本発明の製造方法は、内部に特殊な構造を有する半導体レーザとして、Zn拡散領域を有する半導体レーザを用いて説明したが、これ以外の内部に特殊な構造を有する半導体レーザについても適用することができる。
次に、さらに好ましい実施の形態を図2(a)乃至(e)を用いて説明する。
さらに好ましい実施の形態としては、図1(c)に示されるような第1絶縁膜8をマスクとして電流狭窄層5を埋め込む工程を行った後、電流狭窄層5上にパターニングされた第2絶縁膜12をA領域に形成し、第2絶縁膜12をマスクとして第1絶縁膜8および電流狭窄層5を連続して除去し、最後に第2絶縁膜12を除去する半導体レーザの製造方法である。
先に説明した図1(c)に示されるような電流狭窄層5が埋め込まれた状態で、まず図2(a)に示されるように少なくとも電流狭窄層5上にパターニングされた第2絶縁層12を形成する。
この第2絶縁層12が形成される位置は、共振器端面を形成しようとする領域、すなわちA領域である。たとえばA領域に、Zn拡散領域7aを形成しているなど特殊な構造の領域が形成されている場合には、その領域に略一致するように形成する。なお、第2絶縁膜12としては、レジストなどが考えられる。このときの位置合わせとしては、たとえばZn拡散領域7aを形成する際にウェハの隅部にアライメントマークを形成しておき、そのアライメントマークに合わせるように第2絶縁膜12のパターニング形成用マスクをアライメントとすることによって、Zn拡散領域7aと第2絶縁膜12の位置を略一致させることができる。この段階では、まだ表面に電極を形成していないためZn拡散領域形成時に設けたアライメントマークを明確に視認することができ、マスクの重ね合わせをすることができる。具体的には、電流狭窄層であるn−GaAs第2層5b上の、Zn拡散領域7aが形成されているA領域に略一致するようにレジスト膜12をパターニングして形成する。
次に、図2(b)に示されるように、前記第2絶縁膜12をマスクとして、マスクで覆われている以外の部分、すなわち凸形状幅狭部の頂部上に設けられているB領域の第1絶縁膜8を除去する。そして、図2(c)に示されるように、第1絶縁膜8の除去終了後連続して、B領域の電流狭窄層5をエッチングし一部除去する。
第1絶縁膜8を除去するのに用いるエッチング液は、第2絶縁膜12および第1絶縁膜8の下部に存在する層に対してエッチング耐性を有するものであればよく、たとえばフッ酸などが考えられる。電流狭窄層5を除去するのに用いるエッチング液は、第2絶縁膜12、および凸部の幅狭部を形成する材料に対してエッチング耐性を有するものであればよく、硫酸系のエッチング液などが考えられる。具体的には、レジスト膜12をマスクとして、B領域のSiO2第1絶縁膜8をフッ酸で除去し(図2(b))、連続して、n−In0.5Al0.5P第1層5aとの界面が露出するまでB領域のn−GaAs第2層5bを硫酸系のエッチング液で除去する(図2(c))。
そして、図2(d)に示されるように、A領域の第2絶縁膜12を除去する。第2絶縁膜12の除去は従来から行われている手法で行えばよい。このように第2絶縁膜12が除去されると、第1絶縁膜8がA領域に残る。また、同時にA領域の電流狭窄層5の第2層5bも残るため、A領域とB領域の間で、電流狭窄層の膜厚が相違することになる。最後に、図2(e)に示されるようにコンタクト層11を成長する。具体的には、レジスト膜12をアルカリ系のエッチング液により除去し、第1絶縁膜8をA領域に露出させた後、p−GaAsコンタクト層11を成長する。それ以降に関しては既に説明した方法により半導体レーザを作製する。
このような製法を用いると、A領域には、第1絶縁膜8が残ることになるとともに、B領域の電流狭窄層5の一部は除去されることになる。そして第1絶縁膜8は電流をブロックする働きを有するため、A領域に共振器端面を形成すれば共振器端面に電流が流れない構造を形成することができる。他方、A領域とB領域とで電流狭窄層5の膜厚が相違しているため、A領域とB領域をウェハ上面から見て劈開しようとするとその領域間の違いを視認することができ、確実に第1絶縁膜8が存在するA領域で劈開することができる。したがって、共振器端面に電流ブロックの働きをする第1絶縁膜8を有し、COD破壊レベルを向上させた半導体レーザを簡易なプロセスで製造することができることになる。
次に、本発明の半導体レーザの好ましい実施の形態を図3(a)乃至(c)を用いて説明する。
本発明の半導体レーザは、たとえば図3(a)乃至(c)に示されるように、基板1と、基板1上にInGaAlP系の化合物半導体からなり、活性層3を含み、凸形状の発光層形成部9と、活性層3で発生した光を出射する共振器端面と、内部に特殊な領域7を少なくとも有し、凸形状の幅狭部の側部に電流狭窄層5が設けられており、電流狭窄層5の膜厚が共振器端面近傍と共振器端面近傍以外の領域とで相違している。なお、既に説明した各構成に関しては前述と同様であり説明を省略する。
ここで、内部に特殊な領域7を有するとは、共振器端面方向から見た半導体レーザの断面構造がストライプ方向に沿って層構造、不純物拡散、ストライプ幅などの点で一様ではない構造を有することをいう。たとえば図3(a)乃至(c)に示される共振器端面と内部とで層構造が相違する半導体レーザはもちろんのこと、ストライプ方向でストライプ幅(リッジ幅狭部の幅)が異なるいわゆるテーパーストライプ構造を有する半導体レーザも含まれる。
図3(a)に示される例では、共振器端面にZn拡散領域7aのような特殊な構造の領域7が設けられているが、それ以外にも、図3(b)に示されるように、共振器端面に電流狭窄層5による電流狭窄領域7bを有するような構造のものであっても適用できるし、図3(c)に示されるように共振器端面にZn拡散領域と第1絶縁膜8などによる電流狭窄領域の両方からなる領域7cを有するような構造にも適用できる。図3(a)乃至(c)では、共振器端面にZn拡散領域や電流狭窄領域などの特殊な構造の領域7を有しているため、共振器端面で電流非注入構造となっていたり、共振器端面での活性層のバンドギャップが大きい構造になっていたり、共振器端面で吸収を起こさないような構造となっている。
本発明による半導体レーザでは、共振器端面とそれ以外の領域との間で電流狭窄層に段差が設けられている。そのため劈開する際、共振器端面を形成しようとしている領域(A領域)と他の領域(B領域)とをウェハ上面から見て、区別することができる。そして、共振器端面を形成しようとする領域(A領域)に沿って劈開することが可能となり、共振器端面を形成しようとする領域(A領域)に確実に共振器端面が形成できる。よって、共振器端面に特殊な構造を有する領域が設けられた機能を破壊することのない半導体レーザが得られる。さらに図3(c)に示される半導体レーザは、本発明による半導体レーザの製造方法のうちで特に好ましい実施の形態で作られたものであり、共振器端面に電流ブロックの働きをし、位置ずれを生じていない第1絶縁膜8を有し、COD破壊レベルを向上させた簡易なプロセスで製造される半導体レーザである。
本発明の実施形態に係る半導体レーザの製法を説明する斜視図である。 本発明の他の実施形態に係る半導体レーザの製法を説明する斜視図である。 本発明の実施形態に係る半導体レーザの斜視図である。 従来の半導体レーザを説明する斜視図である。 従来の半導体レーザの製法を説明する斜視図である。
符号の説明
1 基板
3 活性層
5 電流狭窄層
9 発光層形成部

Claims (3)

  1. 基板上に化合物半導体からなり、活性層を含む発光層形成部を形成する工程と、前記発光層形成部の一部を除去し凸形状を形成する工程と、前記凸形状の幅狭部の少なくとも側部に電流狭窄層を埋め込む工程と、前記電流狭窄層のうち、共振器端面を形成しようとする領域とそれ以外の領域との膜厚を相違させる工程と、前記共振器端面を形成しようとする領域に沿って劈開する工程とを含む特殊な構造の領域を内部に有する半導体レーザの製造方法。
  2. 前記凸形状を形成する工程が、少なくとも発光層形成部上にパターニングされた第1絶縁層をマスクとして発光層形成部の一部を除去する工程を有し、前記膜厚を相違させる工程が、少なくとも前記電流狭窄層上にパターニングされた第2絶縁層を形成する工程と、前記第2絶縁層をマスクとして該第1絶縁層および前記電流狭窄層を連続して除去する工程と、前記第2絶縁層を除去する工程とを含む請求項1記載の半導体レーザの製造方法。
  3. 基板と、該基板上に化合物半導体からなり、活性層を含む発光層形成部と、前記活性層で発生した光を出射する共振器端面に内部領域と異なる構造を少なくとも有する半導体レーザであって、
    前記発光層形成部の共振器端面方向から見た断面形状が凸形状からなり、該凸形状の幅狭部の側部に電流狭窄層が少なくとも設けられ、該電流狭窄層の膜厚が前記共振器端面と前記共振器端面以外の領域とで相違する半導体レーザ。
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JP2009033009A (ja) * 2007-07-30 2009-02-12 Panasonic Corp 半導体レーザ装置及びその製造方法

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