JP2005181078A - 船舶用航行支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 AIS装置とARPA装置の特性を生かして、ARPA装置によりAIS装置の補完を行い、AIS装置で受信される目標船情報の信頼性を高めることができる船舶用航行支援装置とする。
【解決手段】 目標船から送信される目標船情報を受信するAIS装置12と、レーダのレーダ信号から捕捉した目標船を追尾するARPA装置20と、自船位置を特定するGPS装置14と、前記受信した目標船位置情報と前記特定した自船位置情報から目標船の自船に対する相対位置を演算する目標相対位置演算手段16と、目標相対位置演算手段16で演算された目標船の相対位置から、その目標船と同一の、ARPA装置20で追尾中の目標船を特定する同一目標判定手段22と、AIS装置12にて受信される目標船情報の精度を監視して、AIS装置12で受信される目標船情報が誤っているか否かを判定するAIS情報監視手段24と、を備え、ある目標船に対して、AIS情報監視手段24がその目標船情報を誤っていると判定したときに、異常信号を出力する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、船舶に搭載されて航行支援を行う船舶用航行支援装置に関する。
近年、目標船または第3者から送信される目標船の位置情報、目標船の速力情報等の動的情報、船種等の特徴情報からなる目標船情報を含む船舶識別信号を受信して目標船を識別するAIS(船舶自動識別)装置(Automatic Identification System)がシステム化されて実用化されており、このAIS装置により識別された目標船を表示装置に表示することが行われている。
この船舶識別信号は、目標船または第3者から送信されるのであるが、もしもその目標船におけるセンサが故障により検出される検出値が誤っている場合、誤った情報を含む信号をAIS装置で受信することになる。この可能性があるために、入手した目標船情報の信憑性が低いという問題がある。または、目標船または第3者が必要に応じて船舶識別信号の送信を停止した場合、情報を受信することができなくなるという問題もある。
一方、従来の船舶用航行支援装置としては、他船等との衝突を予防することを目的として、ARPA(自動衝突予防援助)装置(Automatic Radar Plotting Aids)があり、この装置は大型船への搭載が義務付けられている。このARPA装置は、レーダのレーダ信号を処理して、その中で、監視するべき目標船を捕捉し、捕捉した目標船の位置を予測しながら追尾していくようになっている。
今後は、ARPA装置とAIS装置とが併用されることとなるが、例えば、特開2002−372583号公報では、ARPA装置により捕捉・追尾された目標船と、AIS装置により識別された目標船とを同一の表示装置に表示した場合に、両者のマークが重なって表示が見づらくなることを防止するために一方のマークを優先して表示することが提案されている。同様に、特開2003−48595号公報では、ARPA装置とAIS装置から得られた他船情報の重要度を所定条件に従って求め、予め設定された範囲の危険度をもつ他船の位置をグラフィック表示することが提案される。
しかしながら、ARPA装置とAIS装置を互いに補完して、それらの装置の機能をさらに高めることはいまだ提案されていない。
特開2002−372583号公報 特開2003−48595号公報
本発明が解決しようとする課題は、AIS装置で受信される目標船情報の信頼性を高めることができ、さらには、AIS装置とARPA装置の特性を生かして、ARPA装置によりAIS装置の補完を行い、装置全体の信頼性を高めることもできる船舶用航行支援装置を提供することである。
前述した課題を解決するために、請求項1記載の発明は、船舶に搭載されて航行支援を行う船舶用航行支援装置において、
目標船から送信される目標船情報を受信するAIS(船舶自動識別)装置と、レーダのレーダ信号から捕捉した目標船を追尾するARPA(自動衝突予防援助)装置と、自船位置を特定する自船位置情報特定手段と、前記受信した目標船位置情報と前記特定した自船位置情報から目標船の自船に対する相対位置を演算する目標相対位置演算手段と、前記目標相対位置演算手段で演算された目標船の相対位置から、その目標船と同一の、ARPA装置で追尾中の目標船を特定する同一目標判定手段と、AIS装置にて受信される目標船情報の精度を監視して、AIS装置で受信される目標船情報が誤っているか否かを判定するAIS情報監視手段と、を備え、ある目標船に対して、AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定したときに、異常信号を出力することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記目標相対位置演算手段によって得られた目標相対位置を表示する表示手段を備え、ある目標船に対して、AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定したときに、無条件でまたは所定条件を満足した場合に、表示手段で表示する目標相対位置として、同一目標判定手段でその目標船と同一であると特定されたARPA装置で追尾中の目標船の相対位置を表示することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のものにおいて、AIS装置にて受信される目標船情報の受信間隔が所定の間隔でない場合に、前記AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のものにおいて、AIS装置にて受信される目標船情報の中の目標船位置情報、目標船針路情報、目標船速力情報、世界標準時、目標船回頭率及び目標船航海ステータスの少なくともいずれか一つに異常がある場合に、前記AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のものにおいて、前記AIS装置にて受信される目標船情報の中に当該目標船で求めたデータの確度が含まれており、該確度が所定以下の場合に、前記AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のものにおいて、ある目標船に対して、目標船情報が所定時間継続して誤っている場合に、AIS情報監視手段でその目標船情報を誤っていると判定することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のものにおいて、前記AIS装置にて受信される複数の目標船に対する目標船情報のうちで、目標船情報が誤っていると判定される目標船よりも、目標船情報が誤っていない目標船の方が優勢である場合に、前記AIS情報監視手段が誤っていると判定した目標船に対して、表示手段で表示する目標相対位置として、同一目標判定手段でその目標船と同一と特定されたARPA装置で追尾中の目標船の相対位置を表示することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のものにおいて、前記AIS情報監視手段が目標船情報を誤っていると判定した場合に、表示手段で、その目標船に対応する目標相対位置に関連付けて、シンボル、文字または数値により誤っている旨を識別して表示を行うことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のものにおいて、さらに、前記AIS情報監視手段が目標船情報を誤っていると判定した場合に、音声を発する音声出力手段を備えることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のものにおいて、前記AIS情報監視手段が目標船情報を誤っていると判定した場合に、誤っている旨を対応する目標船または第3者に送信する送信手段を備えることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のものにおいて、前記ARPA装置で追尾している目標が、前記AIS装置で得られた目標情報で追尾を開始している場合は、前記同一目標判定手段による同一目標判定を行わないことを特徴とする。
本発明によれば、AIS装置で受信される目標船情報が誤っている場合に、船舶用航行支援装置が異常信号を出力するために、装置の信頼性を高めることができる。
また、AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定したときに、表示手段で表示する目標相対位置として、同一目標判定手段でその目標船と同一であると特定されたARPA装置で追尾中の目標船の相対位置を表示することにより、ARPA装置でAIS装置の補完を行うことができる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。尚、以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る船舶用航行支援装置を表すブロック図である。図において、船舶用航行支援装置10は、目標船または第3者から送信される目標船位置情報を受信するAIS装置12と、自船位置を特定する自船位置情報特定手段であるGPS装置14と、AIS装置12からの情報とGPS装置14からの情報から目標船の自船に対する相対位置を演算する目標相対位置演算手段16と、目標船の捕捉を行う目標船捕捉手段18と、目標船捕捉手段18で捕捉された目標船の追尾を行うARPA装置20と、AIS装置12から情報を得た目標船とARPA装置20で追尾中の目標船との同一か否かの判定を行う同一目標判定手段22と、AIS装置12で受信される目標船情報が誤っているか否かを判定するAIS情報監視手段24と、音声を出力する音声出力手段26と、送信手段28と、表示手段30と、同一目標判定手段22で同一と判定された目標船を記録する同一船記録手段34と、補完確認手段36と、を備える。
AIS装置12は、AISアンテナとAIS受信機とからなり、目標船または第3者から送信された目標船に関する船舶識別信号を受信するものである。船舶識別信号の中には、目標船位置情報の他、目標船速力、目標船針路、目標船船首方位、目標船回頭率、世界標準時、航海ステータス(航行中、停泊中等)といった動的な情報(目標船運動情報という)と、船長、幅、船種、重量といった静的な情報(目標船特徴情報という)とからなる目標船情報が含まれており、この目標船特徴情報は原則6分毎、目標船位置情報及び目標船運動情報は速力に依存し速力が速ければそれだけ時間間隔が短くなるようにして2秒から3分毎で送信されている。この船舶識別信号の送信元としては、目標船自身または第3者とすることができ、第3者として例えば、港湾監視局等とすることができる。
GPS装置14は、GPSアンテナとGPS受信機とから構成され、自船位置を表す自船の緯度、経度を特定するものである。
ARPA装置20は、自船周囲の物標データを得るためのレーダ装置、自船の船首方位を検出して方位データを出力するジャイロコンパス、自船速力を検出するスピードログからの信号を得て、レーダ装置からのレーダ信号を処理して、その中で、監視するべき目標船を捕捉し、捕捉した目標船の位置を予測しながら継続追尾をするものであり、目標船の継続追尾は、過去の相対位置からディジタルフィルタを用いて未来位置を予測し、この未来位置周辺にサンプリングウィンドウ(抽出領域)を設定し、レーダのビデオ信号をサンプリングし、そこから目標船の物標を抽出して目標船の現在の位置を特定することにより行うと共に、目標船の針路・速力等を算出する。ARPA装置では、追尾中の目標船についての相対位置、相対速度の履歴情報を格納している。
音声出力手段26は、スピーカを含み、操作者などに注意を喚起するためのものであるが、省略も可能である。
送信手段28は、アンテナ、送受信機を含み、特定の目標船からの船舶識別信号が誤っていることを表す信号を含む電波を送信するものであるが、省略可能である。
表示手段30は、ARPA装置20及び目標相対位置演算手段16からの信号を受けるもので、目標相対位置演算手段16からの目標相対位置データ、ARPA装置20で追尾中の追尾等データを受けて、シンボル等を表示するものである。本表示装置30は、本船舶用航行支援装置10専用のものでもよいし、レーダ装置やECDIS(電子海図システム)等の他の船舶用航海機器の表示器で重畳表示または切り替等表示をすることで兼用してもよい。
以上のように構成される船舶用航行支援装置の作用を、主に、目標相対位置演算手段16、同一目標判定手段22及びAIS情報監視手段24を中心として説明する。
目標相対位置演算手段16は、AIS装置12からの目標船位置情報とGPS装置14からの自船情報から目標船の自船に対する相対位置を演算し、目標相対位置データを出力する。この目標船の相対位置の演算は、任意の方法で行うことができるが、例えば、平面航法を利用することができる。即ち、図2に示すように、自船の緯度、経度を(φo,λo)、目標船の緯度、経度を(φt,λt)とし、緯度差をdφ=φt−φo、経度差をdλ=λt−λoとし、自船から目標船までの方位をθとし、自船と目標船との距離をDとし、自船と目標船との東西距をdpとすると、
Figure 2005181078
が成り立つ。これらの式からDとθを求めると、
Figure 2005181078
となる。この距離Dと方位θから目標船の相対位置を特定することができる。以上の算出は、相対距離が平面内と考えられる小さい範囲である場合に適当であるが、この平面航法を利用する以外に、距等圏航法、中分緯度航法を利用することが可能である。以下、説明を簡単にするために、このようにして求められた目標船の相対位置を平面座標に置き換えた座標(xAIS,yAIS)で表して、説明する。
択一的には、目標相対位置演算手段16で演算を行う目標船の相対位置としては、AIS装置12からの目標船の位置情報だけでなくAIS装置12からの目標船運動情報を使用して、AIS装置12で受信してから現在までの時間差の影響を考慮した相対位置とすることもできる。つまり、AIS装置12から入手した時間から現在までに無視できない時間差がある場合には、その時間差に相当する目標船の移動距離を考慮するとよい。具体的には、目標船のAIS装置12で入手した目標船位置の緯度、経度を(φt0,λt0)、速力をvt、針路をθtとすると、T秒後の現在の目標船位置の緯度、経度(φtT,λtT)は、推定値として、
Figure 2005181078
で演算することができる。このようにして求めた推定の目標船位置から、目標船の相対位置を求めてもよい。以下、説明を簡単にするために、この推定の目標位置から求められた目標船の推定の相対位置を平面座標に置き換えた座標(xAISP,yAISP)で表して、説明する。
目標相対位置演算手段16から求められた目標船の相対位置は、表示手段30へと送られて無条件または所定の条件下でレーダ装置からのレーダ信号と共に表示される。また、目標相対位置演算手段16で求められた目標船の相対位置は、同一目標判定手段22へと送られる。
同一目標判定手段22は、目標相対位置演算手段16からの目標船の相対位置(xAIS,yAIS)(または(xAISP,yAISP))と、ARPA装置20で追尾中の目標船の相対位置(xARPA,yARPA)とから、AIS装置12でその船舶識別信号を入手した目標船と同一のARPA装置20で追尾中の目標船を特定する。同一である条件としては、例えば、
Figure 2005181078
を満足するものとすることができる。つまり、目標相対位置演算手段16から求められた目標船の相対位置(xAIS,yAIS)と、ARPA装置20で追尾中の目標船の相対位置(xARPA,yARPA)の距離の差がΔdth以下である追尾中の目標船がある場合に、AIS装置12にて受けた船舶識別信号に対応する目標船とARPA装置20で追尾中の目標船とが同一であるとする。この差異は、AIS装置12で受信する船舶識別信号に含まれる目標船の位置の検出がGPS装置などで行われており、GPS装置による誤差、及び自船のGPS装置14の誤差などの影響によるものである。また、目標船の相対位置として(xAIS,yAIS)を用いた場合には時間経過による誤差、また、目標船の相対位置として(xAISP,yAISP)を用いた場合には、推定誤差が発生する可能性がある。これらの誤差を考慮してΔdthの値を設定するとよい。
こうして、AIS装置12で受信したその船舶識別信号に対応する目標船と同一のARPA装置20で追尾中の目標船を特定し、これを同一船記録手段34に記録する。
尚、ARPA装置20で目標船を追尾するために行う捕捉は、操作者による特定の目標船の指示による捕捉、またはレーダ画像中の所定領域に侵入した目標船の自動捕捉により、行うことができる。これに対して、AIS装置12からの情報に基づいて捕捉を行うことも可能であり、そのために、目標船捕捉手段18を設けることができる。目標船捕捉手段18では、目標相対位置演算手段16で得られた目標船の相対位置が所定の捕捉条件を満足する場合に、自動的または操作者の確認を得た上で、捕捉を行い、その目標船の相対位置、速力、針路等の運動情報を初期捕捉位置及び初期捕捉運動情報として、ARPA装置20へと送出する。こうして目標船捕捉手段18によって捕捉された目標船は、当初よりARPA装置20で追尾中の目標船と関連付けられているので、かかる目標船については、同一目標判定手段22による同一目標判定を不要とすることができる。
こうして、同一船であると判断された目標船について、AIS情報監視手段24では、図3に示す手順で、AIS装置12からの目標船信号が誤っていないかどうかを判定する。その判定条件としては、1)目標船情報の受信間隔が所定の間隔でないこと、2)目標船位置情報、目標船針路情報、目標船速力情報、世界標準時、目標船回頭率及び目標船航海ステータスの少なくともいずれか一つに異常があること、3)目標船情報の中にその目標船で求めたデータの確度が含まれている場合に、その確度が所定以下であること、4)1)〜3)の状態が所定時間継続していること、5)AIS装置12で入手する複数の目標船の目標船情報に対して1)〜4)の状態となる目標船よりも1)〜4)でない目標船の方が優勢であること、とすることができる。以下それぞれ説明する。
1)目標船情報の受信間隔が所定の間隔でないこと(ステップS10)
前述のように目標船情報が含まれる船舶識別信号の送信時間は目標船情報の種別によって決められている。よって、目標船特徴情報、目標船位置情報、目標船運動情報をAIS装置12がそれぞれ受信する時間間隔が決められた時間となっているかどうかを、AIS情報監視手段24が判定し、決められた時間とは異なる時間間隔となっている場合に目標船情報が誤っているとする。
2)目標船位置情報、目標船針路情報、目標船速力情報、世界標準時、目標船回頭率及び、目標船航海ステータスの少なくともいずれか一つに異常があること(ステップS12)
同一船記録手段34に記録されARPA装置20で追尾している目標船と同一船と判定された目標船について、ARPA装置20が格納しているその目標船についての位置、針路、速力、回頭率の値及び航海ステータスと、AIS装置12で受信するその目標船についての位置、針路、速力、回頭率の値及び航海ステータスとの差異が所定値よりも大きい場合に、目標船情報が誤っているとする。
3)目標船情報の中にその目標船で求めたデータの確度が含まれている場合に、その確度が所定以下であること(ステップS14)
AIS装置12で受信される目標船または第3者から送信される情報の中にデータの確度が含まれている場合には、その確度が所定以下である場合に、目標船情報が誤っているとする。
4)1)〜3)の状態が所定時間継続していること(ステップS16)
上記1)〜3)の状態が1回でも発生すれば、目標船情報が誤っているとすることもできるが、所定時間継続している場合に目標船情報が誤っているとし、一時的なデータの変動や誤差を無視するようにする。
5)AIS装置12で得る複数の目標船の目標船情報に対して1)〜4)の状態となる目標船よりも1)〜4)でない目標船の方が優勢であること(ステップS18)
AIS装置12で受信する目標船情報が誤っている場合の可能性としては、目標船情報の送信元である目標船に何らかの異常が発生している可能性と、自船のAIS装置12自体またはARPA装置20自体等、船舶用航行支援装置10のどこかに異常が発生している可能性とがある。しかしながら、AIS装置12で受信する複数の目標船についての目標船情報に対して1)〜4)の状態となる目標船よりも1)〜4)でない目標船の方が優勢である場合は、AIS装置12自体即ち船舶用航行支援装置10自体の異常ではなく、劣勢の目標船自体が送信する目標船情報が誤っていると考えるのが妥当である。その場合には、その劣勢の目標船についての目標船情報を誤っているとする。
以上の1)〜5)のいずれかに該当する場合には、AIS情報監視手段24は異常信号を音声出力手段26及び/または表示手段30に出力する(ステップS20)。これにより、音声出力手段26から音声またはブザーによって出力されるか、または表示手段30に異常を表すシンボル、文字または数値等が表示される。さらに、表示手段30へとその補完確認表示のためのデータを送出する(ステップS22)。
表示手段30では、その補完確認表示を表示する。この補完確認表示は、今、対象としている誤った目標船情報の補完を行うかどうかの最終判断を操作者に委ねており、操作者に対してその判断を促すためのものである。補完確認手段36は、操作者からの補完をするとの意思を表す入力信号を受けると(ステップS24でYes)、その入力信号をAIS情報監視手段24へと送る。但し、補完を行うかどうかの最終判断を操作者に委ねずに、目標船情報が誤っていると判断された場合には、自動的に補完をすることも可能であり、その場合、補完確認手段36は省略可能である。
AIS情報監視手段24は、同一船記録手段34で記録されている、同一目標判定手段22によって同一と判定された、誤った目標船情報に対応するARPA装置20で追尾中の目標船の相対位置情報、相対速度情報をARPA装置20から抽出し、その情報を表示手段30へと送り、表示手段30に表示させる(ステップS26)。
これにより、誤った情報を表示手段30に表示させずに、正しい情報のみを表示手段30に表示させることができる。
さらに、任意には、送信手段28から、情報が誤っている目標船に対して、または第3者に対して、その目標船情報が誤っている旨の情報を送信することができる(ステップS28)。
一方、前記5)のステップS18の判断において、1)〜4)の状態となる目標船の方が優勢である場合には、自船のAIS装置12自体またはARPA装置20自体等、船舶用航行支援装置10のどこかに異常が発生している可能性が高くなるので、同様に、異常信号を出力する(ステップS30)。この場合、ステップS18の判定がYesである場合と異なる異常信号として識別できるとよい。操作者は、この異常信号を受けて、装置の異常個所の点検等、適切な対応をとることができる。
このようにして、ARPA装置によりAIS装置の補完を行い、AIS装置で受信される目標船情報の信頼性を高めることができる。
本発明の実施形態に係る船舶用航行支援装置を表すブロック図である。 目標相対位置演算手段による相対位置の演算の原理を表す説明図である。 AIS情報監視の手順を表すフローチャートである。
符号の説明
10 船舶用航行支援装置
12 AIS装置
14 GPS装置(自船位置情報特定手段)
16 目標相対位置演算手段
20 ARPA装置
22 同一目標判定手段
24 AIS情報監視手段
26 音声出力手段
28 送信手段
30 表示手段

Claims (11)

  1. 船舶に搭載されて航行支援を行う船舶用航行支援装置において、
    目標船から送信される目標船情報を受信するAIS(船舶自動識別)装置と、
    レーダのレーダ信号から捕捉した目標船を追尾するARPA(自動衝突予防援助)装置と、
    自船位置を特定する自船位置情報特定手段と、
    前記受信した目標船位置情報と前記特定した自船位置情報から目標船の自船に対する相対位置を演算する目標相対位置演算手段と、
    前記目標相対位置演算手段で演算された目標船の相対位置から、その目標船と同一の、ARPA装置で追尾中の目標船を特定する同一目標判定手段と、
    AIS装置にて受信される目標船情報の精度を監視して、AIS装置で受信される目標船情報が誤っているか否かを判定するAIS情報監視手段と、を備え、
    ある目標船に対して、AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定したときに、異常信号を出力することを特徴とする船舶用航行支援装置。
  2. 前記目標相対位置演算手段によって得られた目標相対位置を表示する表示手段を備え、
    ある目標船に対して、AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定したときに、無条件でまたは所定条件を満足した場合に、表示手段で表示する目標相対位置として、同一目標判定手段でその目標船と同一であると特定されたARPA装置で追尾中の目標船の相対位置を表示することを特徴とする請求項1記載の船舶用航行支援装置。
  3. AIS装置にて受信される目標船情報の受信間隔が所定の間隔でない場合に、前記AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定することを特徴とする請求項1または2記載の船舶用航行支援装置。
  4. AIS装置にて受信される目標船情報の中の目標船位置情報、目標船針路情報、目標船速力情報、世界標準時、目標船回頭率及び目標船航海ステータスの少なくともいずれか一つに異常がある場合に、前記AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の船舶用航行支援装置。
  5. 前記AIS装置にて受信される目標船情報の中に当該目標船で求めたデータの確度が含まれており、該確度が所定以下の場合に、前記AIS情報監視手段がその目標船情報を誤っていると判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の船舶用航行支援装置。
  6. ある目標船に対して、目標船情報が所定時間継続して誤っている場合に、AIS情報監視手段でその目標船情報を誤っていると判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の船舶用航行支援装置。
  7. 前記AIS装置にて受信される複数の目標船に対する目標船情報のうちで、目標船情報が誤っていると判定される目標船よりも、目標船情報が誤っていない目標船の方が優勢である場合に、前記AIS情報監視手段が誤っていると判定した目標船に対して、表示手段で表示する目標相対位置として、同一目標判定手段でその目標船と同一と特定されたARPA装置で追尾中の目標船の相対位置を表示することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の船舶用航行支援装置。
  8. 前記AIS情報監視手段が目標船情報を誤っていると判定した場合に、表示手段で、その目標船に対応する目標相対位置に関連付けて、シンボル、文字または数値により誤っている旨を識別して表示を行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の船舶用航行支援装置。
  9. さらに、前記AIS情報監視手段が目標船情報を誤っていると判定した場合に、音声を発する音声出力手段を備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の船舶用航行支援装置。
  10. 前記AIS情報監視手段が目標船情報を誤っていると判定した場合に、誤っている旨を対応する目標船または第3者に送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の船舶用航行支援装置。
  11. 前記ARPA装置で追尾している目標が、前記AIS装置で得られた目標情報で追尾を開始している場合は、前記同一目標判定手段による同一目標判定を行わないことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の船舶用航行支援装置。
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