JP2005179301A - 歯周病用経皮免疫ワクチン - Google Patents
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Abstract
【課題】新たな歯周病用の経皮免疫ワクチンを提供することを目的とする。
【解決手段】歯周病の原因菌である P.gingivalis の外膜蛋白質を単独あるいはアジュバントと共に経皮投与することにより、粘膜系および全身系組織の両者において外膜蛋白質に特異的な抗体産生が誘導され、この抗体は、歯周病の発症および進展に深く関わっている P.gingivalis と S.gordonii との凝集を有意に阻害する。従って、この外膜蛋白質が歯周病の予防もしくは治療用の経皮免疫ワクチンとして極めて有効である。
【選択図】なし
【解決手段】歯周病の原因菌である P.gingivalis の外膜蛋白質を単独あるいはアジュバントと共に経皮投与することにより、粘膜系および全身系組織の両者において外膜蛋白質に特異的な抗体産生が誘導され、この抗体は、歯周病の発症および進展に深く関わっている P.gingivalis と S.gordonii との凝集を有意に阻害する。従って、この外膜蛋白質が歯周病の予防もしくは治療用の経皮免疫ワクチンとして極めて有効である。
【選択図】なし
Description
本発明は、歯周病用経皮免疫ワクチンに関する。更に詳細には、Porphyromonas gingivalis の外膜蛋白質を有効成分とする歯周病の予防もしくは治療のための経皮免疫ワクチンに関する。
現在、歯周病は人類に広く蔓延している口腔内の感染症である(非特許文献1)。これに関して、口腔内の黒色色素産生グラム陰性桿菌群の一つである Porphyromonas gingivalis(P.gingivalis)は、成人性歯周炎患者の歯周ポケットに増殖し高頻度に分離されること(非特許文献2)、成人性歯周炎患者血清中の P. gingivalis に対する抗体価と病体進行度との間に正の相関性が認められていること(非特許文献3)、さらにP. gingivalis が上皮細胞への強い付着能を持つこと(非特許文献4)、種々の蛋白質分解酵素を産生すること(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7および非特許文献8)、骨吸収能を有するリポポリサッカライド菌体成分に持つことなどが報告されている(非特許文献9)。これらのことから P. gingivalis は、歯周病の病原性細菌であることが示唆され、歯周病に対する予防、治療の観点から P. gingivalis に対するワクチン療法が重要であると考えられている。
これまでの報告によると、P. gingivalis 381 菌株の夾膜蛋白質をワクチンとして使用し、マウスに投与した結果、P. gingivalis 381 特異的な抗体の誘導が認められ、ワクチンとして有効性が示されている(非特許文献7)。
現在行われているワクチンの投与方法は注射によるものが主流であるが、この方法には無菌的に作製した高純度の抗原を必要とすることや強い副作用、針刺しによる医療事故、注射によるワクチン接種ではワクチン療法が標的とする病原体の進入経路と異なる等の欠点がある。また注射によるワクチン接種法では、全身系組織に抗原特異的抗体を誘導することは可能であるが、歯周病予防にとって最も重要であると考えられる唾液腺などの粘膜系組織に抗原特異的抗体はほとんど誘導されない。近年、皮膚に貼剤を用いた経皮免疫法により全身系及び粘膜系に抗原特異的抗体応答の誘導が認められることが示唆されている(非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12および非特許文献13)。
現在行われているワクチンの投与方法は注射によるものが主流であるが、この方法には無菌的に作製した高純度の抗原を必要とすることや強い副作用、針刺しによる医療事故、注射によるワクチン接種ではワクチン療法が標的とする病原体の進入経路と異なる等の欠点がある。また注射によるワクチン接種法では、全身系組織に抗原特異的抗体を誘導することは可能であるが、歯周病予防にとって最も重要であると考えられる唾液腺などの粘膜系組織に抗原特異的抗体はほとんど誘導されない。近年、皮膚に貼剤を用いた経皮免疫法により全身系及び粘膜系に抗原特異的抗体応答の誘導が認められることが示唆されている(非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12および非特許文献13)。
一方、P.gingivalis の特異的な 40-kDa 外膜蛋白質の遺伝子がクローニングされ、この蛋白質の様々な病原性についての報告もなされている(非特許文献14)。また、歯肉溝細菌叢がグラム陽性球菌からグラム陰性捍菌へ変遷する際に関与すると考えられる Streptococcus gordonii(S.gordonii)と P.gingivalisの凝集に P.gingivalis 40-kDa 外膜蛋白質が関与することも報告されている(非特許文献15)。P.gingivalis の歯肉上皮細胞への付着能、赤血球凝集能、プロテアーゼ活性能にも 40-kDa 外膜蛋白質が関与することも報告されている(非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23、非特許文献24及び非特許文献25)。このように、40-kDa 外膜蛋白質は P.gingivalis による歯周病の発症および進展に深く関わる重要な蛋白質と考えられている。
P.gingivalis の 40-kDa 外膜蛋白質を利用した歯周病用ワクチンとしては、この外膜蛋白質をアジュバントと共に粘膜投与する粘膜免疫ワクチン(特許文献1)やこの外膜蛋白質をコードする DNA 分子をワクチンとして使用する DNA ワクチン(特許文献2)などの試みがある。
特開 2003-286191 号公報
国際公開第 WO 03/055529 A1 パンフレット
口腔細菌学談話会編:歯学微生物学、第 4 版、301-306、医歯薬 出版株式会社、東京、1982
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Kawamoto,Y. et al., Int. J. Biochem. 23, 1053-1061, 1991
P.gingivalis の 40-kDa 外膜蛋白質を利用した歯周病用ワクチンとしては、この外膜蛋白質をアジュバントと共に粘膜投与する粘膜免疫ワクチン(特許文献1)やこの外膜蛋白質をコードする DNA 分子をワクチンとして使用する DNA ワクチン(特許文献2)などの試みがある。
本発明が解決しようとする課題は、共凝集活性や赤血球凝集能を持ち、高い抗原性を有する P. gingivalis の分子量 40-kDa の外膜蛋白質(40-k-OMP)をワクチンとして使用し、注射によるワクチン投与の欠点を改善し、さらに貼剤を用いるだけで手軽に行うことができ、抗原特異的な抗体をより効果的に唾液や歯肉溝浸出液に誘導する新たなワクチンを開発することにある。
本発明者は、歯周病の予防もしくは治療用の新たなワクチンを開発することを目的として鋭意研究した結果、歯周病の原因菌である P.gingivalis の外膜蛋白質を単独あるいはアジュバントであるコレラ毒素と共にマウスに経皮投与したところ、粘膜系免疫組織由来の唾液および全身系免疫組織由来の血清の双方に外膜蛋白質特異的抗体の産生が誘導され、更には、血清中に産生されたこの特異的抗体は、歯周病の発症および進展に深く関わっている P.gingivalis と S.gordonii との凝集を有意に阻害することから、この外膜蛋白質を経皮投与した場合には歯周病の予防もしくは治療用の経皮免疫ワクチンとして極めて有効であることを見出し本発明を完成させた。
従って、本発明は、P.gingivalis の外膜蛋白質を有効成分とする歯周病の予防もしくは治療のための経皮免疫ワクチンに関する。
従って、本発明は、P.gingivalis の外膜蛋白質を有効成分とする歯周病の予防もしくは治療のための経皮免疫ワクチンに関する。
歯周病の原因菌である P.gingivalis の 40-kDa 外膜蛋白質を単独あるいはアジュバントと共に経皮投与することにより、粘膜系および全身系組織の両者において外膜蛋白質に特異的な抗体産生が誘導され、この抗体は、歯周病の発症および進展に深く関わっている P.gingivalis と S.gordonii との凝集を有意に阻害する。従って、この外膜蛋白質を極めて簡便な手段である経皮投与することにより歯周病の予防もしくは治療用の経皮免疫ワクチンが達成される。
本発明においてワクチンの有効成分として使用される抗原は、歯周病の主要な病原性細菌として知られる P.gingivalis の外膜蛋白質である。具体的には、配列表の配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる蛋白質である。配列番号1に示したアミノ酸配列は、P.gingivalis の外膜蛋白質の遺伝子のクローニングにより明らかにされた P.gingivalis の外膜蛋白質のアミノ酸配列である(Abiko,Y. et al., Arch. Oral. Biol. 35: 689-695, 1990)。配列番号1の1〜21 番目のアミノ酸配列は、シグナルペプチドのアミノ酸配列に相当する。本発明においては有効成分である抗原としては、配列番号1の 22〜345 番目のアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したアミノ酸配列を有する蛋白質であって配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる蛋白質と同様の機能を有する蛋白質、すなわち P.gingivalis の外膜蛋白質の変異蛋白質を使用することもできる。ここで同様の機能を有する蛋白質とは、配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる P.gingivalis の外膜蛋白質と同様の抗原性を持ち歯周病の予防もしくは治療用のワクチンとして同様に有効な抗体の産生を誘導する蛋白質を指す。
上記した有効成分として用いられる蛋白質は、それをコードする遺伝子を用いたそれ自体周知の組換え DNA 法により製造することができる。例えば、配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる蛋白質は、それをコードする遺伝子である配列番号2に示す 64〜1035 番目の塩基配列からなる遺伝子を用いた組換え DNA 法により製造することができる。配列番号2の 1〜63 番目の塩基配列はシグナルペプチドをコードする塩基配列に相当する。より具体的には、配列番号2に示す塩基配列からなる遺伝子が挿入された既に公知のリコンビナントプラスミド、例えば、Abiko,Y. et al., Arch. Oral. Biol. 35: 689-695, 1990 に記載された、pMD125 で大腸菌を形質転換して得られるリコンビナントクローン MD125 を培養し、その培養液から、配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる P. gingivalis の外膜蛋白質を得ることができる。
また、配列番号1の 22〜345 番目のアミノ酸配列において 1 個もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したアミノ酸配列を有する蛋白質であって配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる P.gingivalis の外膜蛋白質と同様の機能を有する蛋白質である変異蛋白質は、配列番号2に示す 64〜1035 番目の塩基配列を有する遺伝子に対して、例えば部位特異的突然変異誘発法などを適用することにより、それらの蛋白質をコードする遺伝子を得、その遺伝子を用いて同様に周知の組換え DNA 法により製造することができる。これらの製造は、具体的には Molecular Clonin 2nd Edt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) 等の基本書を参考にして容易に行うことができる。あるいは、上記した蛋白質は、そのアミノ酸配列に基づいて化学的に合成することにより製造することもできる。
また、配列番号1の 22〜345 番目のアミノ酸配列において 1 個もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したアミノ酸配列を有する蛋白質であって配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる P.gingivalis の外膜蛋白質と同様の機能を有する蛋白質である変異蛋白質は、配列番号2に示す 64〜1035 番目の塩基配列を有する遺伝子に対して、例えば部位特異的突然変異誘発法などを適用することにより、それらの蛋白質をコードする遺伝子を得、その遺伝子を用いて同様に周知の組換え DNA 法により製造することができる。これらの製造は、具体的には Molecular Clonin 2nd Edt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) 等の基本書を参考にして容易に行うことができる。あるいは、上記した蛋白質は、そのアミノ酸配列に基づいて化学的に合成することにより製造することもできる。
本発明で用いるアジュバントとしては、免疫応答の誘導を補助する調節因子としての機能を有するものであればいずれのアジュバトでもよい。好ましいアジュバントとしては、例えばコレラ毒素、毒素原性大腸菌の易熱性毒素などが挙げられる。なかでも、下痢原性である ADP−リボシルトランスフェラーゼ活性が除去されて無毒化され且つアジュバント活性は保持した変異型無毒化コレラ毒素あるいは変異型無毒化易熱性毒素が好ましく、このようなものとして、例えば、S61F、E112K(Yamamoto, S.et al., J. Exp. Med., 185:1203, 1997)、R7K、S63K、R192G(Douce, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 92:1644, 1995; Di Tommaso, A. Infect. Immun.., 64:974, 1996; Dickinson, B.L. et al., Infct. Immun., 63:1617, 1995)などが挙げられる。これらのアジュバントは、公知の方法により製造することができる。
以上に述べた、抗原としての P.gingivalis の外膜蛋白質あるいは該蛋白質と共にアジュバントを有効成分として含む本発明の経皮免疫ワクチンは、経皮投与により投与される。経皮投与するための剤型としては、例えば、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、パップ剤、プラスター剤、リザーバー型貼付剤、マトリックス型貼付剤、テープ剤などが挙げられる。これらの製剤は、通常用いられる製剤用添加物と抗原として用いる P.gingivalis の外膜蛋白質および必要に応じてアジュバントを用いて通常の方法により製剤化すればよい。製剤用添加物としては、例えば、ワセリンやマイクロクリスタンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油やゲイロウなどのエステル類、牛脂やオリーブ油などのトリグリセリド類、セタノールやオレイルアルコールなどの高級アルコール類、メントールなどの吸収促進剤、pH 調整剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、増粘剤、有機溶媒、界面活性剤などが挙げられる。また、有効成分として用いる P.gingivalis の外膜蛋白質あるいは該蛋白質と共に用いるアジュバントは、マイクロスフェアー、ポリマーミセル、マイクコロエマルジョンなどの形態で用いてもよい。
本発明のワクチンの投与量は、投与する対象、投与方法、投与形態等によって異なるが、通常成人1人当たり抗原である P.gingivalis の外膜蛋白質を、一回当たり 100μg〜2000μg の範囲、好ましくは 100μg〜500μgの範囲で、数週間から数ヶ月に亘って、2回から3回投与する。また、アジュバントは、抗原である P.gingivalis の外膜蛋白質と同時に、通常成人1人当たり一回につき 50μg〜400μg の範囲、好ましくは 50μg〜200μg の範囲で投与する。
P.gingivalis の外膜蛋白質あるいはその変異蛋白質および必要に応じてアジュバントを有効成分とする本発明のワクチンを、経皮投与することにより、唾液および血清の双方に外膜蛋白質特異的抗体の産生が誘導され、更には、産生されたこれらの特異的抗体は、歯周病の発症および進展に深く関わっている P.gingivalis と S.gordonii との凝集を有意に阻害する。従って、本発明のワクチンは、歯周病の予防もしくは治療用の経皮免疫ワクチンとして極めて有効である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
P.gingivalis の外膜蛋白質あるいはその変異蛋白質および必要に応じてアジュバントを有効成分とする本発明のワクチンを、経皮投与することにより、唾液および血清の双方に外膜蛋白質特異的抗体の産生が誘導され、更には、産生されたこれらの特異的抗体は、歯周病の発症および進展に深く関わっている P.gingivalis と S.gordonii との凝集を有意に阻害する。従って、本発明のワクチンは、歯周病の予防もしくは治療用の経皮免疫ワクチンとして極めて有効である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
本発明の経皮投与用ワクチンの全身系および粘膜系組織における免疫応答誘
導能の測定
(1)材料と方法
a)マウス
マウス(BALB/C)6 週齢雌は、三協ラボサービス株式会社から購入した。
b)抗原およびアジュバント
本実験では、組換え DNA 法により得られた P.gingivalis の外膜蛋白質を抗原として使用した。すなわち、配列番号2に示す塩基配列からなる遺伝子が挿入された発現プラスミド pMD125 で大腸菌を形質転換して得られたリコンビナントクローン MD125(Abiko,Y. et al., Arch. Oral. Biol. 35: 689-695, 1990)を培養し、Kawamoto,Y. et al., Int. J. Biochem. 57, 1053-1061, 1991 に記載の方法に準じて、リコンビナントクローン MD125 を超音波破砕しカラムを通して精製し、配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる P. gingivalis の 40-kDa 外膜蛋白質(40-k-OMP)を得た。
アジュバントとして用いたコレラ毒素(Cholera Toxin:CT)は、List Biological Laboratories から購入した。このコレラ毒素は、Vibrio cholerae Inaba 569B より分離したもので、野生型の毒素である。
c)免疫方法
BALB/c マウスの背中の毛を剃り、70 % エタノールで消毒した。40-k-OMP(25μg/mouse)を、アジュバントの CT(10μg/mouse)と共に 150 μl を 12 mm x 22mm のガーゼにしみこませ、24 時間塗布した。抗原投与は、週 1 回、計 3 回行った。
導能の測定
(1)材料と方法
a)マウス
マウス(BALB/C)6 週齢雌は、三協ラボサービス株式会社から購入した。
b)抗原およびアジュバント
本実験では、組換え DNA 法により得られた P.gingivalis の外膜蛋白質を抗原として使用した。すなわち、配列番号2に示す塩基配列からなる遺伝子が挿入された発現プラスミド pMD125 で大腸菌を形質転換して得られたリコンビナントクローン MD125(Abiko,Y. et al., Arch. Oral. Biol. 35: 689-695, 1990)を培養し、Kawamoto,Y. et al., Int. J. Biochem. 57, 1053-1061, 1991 に記載の方法に準じて、リコンビナントクローン MD125 を超音波破砕しカラムを通して精製し、配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる P. gingivalis の 40-kDa 外膜蛋白質(40-k-OMP)を得た。
アジュバントとして用いたコレラ毒素(Cholera Toxin:CT)は、List Biological Laboratories から購入した。このコレラ毒素は、Vibrio cholerae Inaba 569B より分離したもので、野生型の毒素である。
c)免疫方法
BALB/c マウスの背中の毛を剃り、70 % エタノールで消毒した。40-k-OMP(25μg/mouse)を、アジュバントの CT(10μg/mouse)と共に 150 μl を 12 mm x 22mm のガーゼにしみこませ、24 時間塗布した。抗原投与は、週 1 回、計 3 回行った。
d)脾臓、唾液腺、鼻腔粘膜からのリンパ球の分離調製
マウスの脾臓よりメッシュを用いて脾細胞を分離し、2 % new born calf serum(以下 2 % NBS)を含む RPMI 1640(免疫生物研究所)に浮遊させ、400×g、8 分間で遠心沈殿した。次に、脾細胞に lysing buffer を加え、赤血球を破壊した後、400×g、8 分間で遠心沈殿した。得られたリンパ球浮遊液にトリパンブルー(Life Technologies,Inc)を加え、血球算定板(Erma)にてリンパ球数を算定した。唾液腺のリンパ球に関しては、マウスから摘出した唾液腺をコラゲナーゼ(0.3 mg/ml)を含む RPMI 1640 で 37 ℃、20 分、3 回処理し、得られた細胞浮遊液を 400×g、8 分間遠心沈殿した。次に、100 % Percoll 溶液(Pharmacia)を 2 % NBS を含む RPMI 1640 で希釈し、75 % Percoll 溶液、50 % Percoll溶液を調整した後、75 % Percoll 溶液にリンパ球を浮遊させた 50 % Percoll 溶液を重層し、20 ℃で 600×g、20 分間遠心沈殿した。その後、75 % Percoll溶液と 50 % Percoll 溶液の間の層からリンパ球を分離、洗浄し、トリパンブルーを加え、血球算定板にてリンパ球数を算定した。鼻腔粘膜リンパ球は、マウスから顎骨を切断後、鼻腔部分の組織を掻爬し分離した。得られたリンパ球は、2 % NBS を含む RPMI 1640 に浮遊させ 400×g、8 分間遠心沈殿した。洗浄後、リンパ球浮遊液にトリパンブルーを加え、血球算定板にてリンパ球数を算定した。
マウスの脾臓よりメッシュを用いて脾細胞を分離し、2 % new born calf serum(以下 2 % NBS)を含む RPMI 1640(免疫生物研究所)に浮遊させ、400×g、8 分間で遠心沈殿した。次に、脾細胞に lysing buffer を加え、赤血球を破壊した後、400×g、8 分間で遠心沈殿した。得られたリンパ球浮遊液にトリパンブルー(Life Technologies,Inc)を加え、血球算定板(Erma)にてリンパ球数を算定した。唾液腺のリンパ球に関しては、マウスから摘出した唾液腺をコラゲナーゼ(0.3 mg/ml)を含む RPMI 1640 で 37 ℃、20 分、3 回処理し、得られた細胞浮遊液を 400×g、8 分間遠心沈殿した。次に、100 % Percoll 溶液(Pharmacia)を 2 % NBS を含む RPMI 1640 で希釈し、75 % Percoll 溶液、50 % Percoll溶液を調整した後、75 % Percoll 溶液にリンパ球を浮遊させた 50 % Percoll 溶液を重層し、20 ℃で 600×g、20 分間遠心沈殿した。その後、75 % Percoll溶液と 50 % Percoll 溶液の間の層からリンパ球を分離、洗浄し、トリパンブルーを加え、血球算定板にてリンパ球数を算定した。鼻腔粘膜リンパ球は、マウスから顎骨を切断後、鼻腔部分の組織を掻爬し分離した。得られたリンパ球は、2 % NBS を含む RPMI 1640 に浮遊させ 400×g、8 分間遠心沈殿した。洗浄後、リンパ球浮遊液にトリパンブルーを加え、血球算定板にてリンパ球数を算定した。
e)40-k-OMP 特異的抗体の検出
40-k-OMP を経皮免疫したマウスの唾液、鼻腔洗浄液における抗原特異的 IgA抗体価、また、血清における抗原特異的 IgA および IgG 抗体価を ELISA 法を用いて測定した(Glenn, G.M. et al., Exp.Opin.Invest.Drugs. 8:797-805, 1999)。抗体価は、免疫群とコントロール群を段階希釈して各ウェルごとの吸光度を比較し、値の差が 0.1 以上を示したウェルの最大希釈濃度とした。抗原特異的な抗体産生細胞数は、ELISPOT 法(Mariarosaria, H. et al., J.Immunol.155:4621-4629, 1995)を用いて測定した。各ウェルのスポット数を顕微鏡(OLIMPUS SZH10)にて算定した。
f)40-k-OMP 特異的細胞増殖活性の測定
経皮免疫したマウスの脾臓および頸部リンパ節よりリンパ球を分離(5×105/ml)し、40-k-OMP(5μg/ml)と共に 37 ℃ 、5 % CO2条件下で 96 時間培養した。その後、[3H]チミジンの取り込みによる細胞増殖活性を測定した。
40-k-OMP を経皮免疫したマウスの唾液、鼻腔洗浄液における抗原特異的 IgA抗体価、また、血清における抗原特異的 IgA および IgG 抗体価を ELISA 法を用いて測定した(Glenn, G.M. et al., Exp.Opin.Invest.Drugs. 8:797-805, 1999)。抗体価は、免疫群とコントロール群を段階希釈して各ウェルごとの吸光度を比較し、値の差が 0.1 以上を示したウェルの最大希釈濃度とした。抗原特異的な抗体産生細胞数は、ELISPOT 法(Mariarosaria, H. et al., J.Immunol.155:4621-4629, 1995)を用いて測定した。各ウェルのスポット数を顕微鏡(OLIMPUS SZH10)にて算定した。
f)40-k-OMP 特異的細胞増殖活性の測定
経皮免疫したマウスの脾臓および頸部リンパ節よりリンパ球を分離(5×105/ml)し、40-k-OMP(5μg/ml)と共に 37 ℃ 、5 % CO2条件下で 96 時間培養した。その後、[3H]チミジンの取り込みによる細胞増殖活性を測定した。
(2)結果
a)全身系における 40-k-OMP 特異的抗体応答
全身系免疫由来である血清中の 40-k-OMP 特異的抗体価を経時的に測定した。その結果を図1に示した。
図1から明らかなように、40-k-OMP とアジュバントである CT を経皮免疫した群では、免疫 1 週間後より血清中に 40-k-OMP 特異的 IgG 抗体価の顕著な上昇が認められた。さらに、40-k-OMP 特異的 IgA 抗体価は免疫開始から 35 日目に上昇が認められ、最終測定時の 42 日目まで保たれていた。一方、40-k-OMP のみを経皮免疫した群においては、血清中に 40-k-OMP 特異的 IgM、また、40-k-OMP と CT を免疫した群よりは低いものの顕著なレベルの IgG 抗体価が検出され、42 日目までそのレベルは保たれていた。しかしながら、IgA 抗体価の上昇は認められなかった。
IgG サブクラスを測定した結果を図2に示した。図2から明らかなように、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP と CT を免疫した群ともに、IgG1 抗体価が最も高かった。
a)全身系における 40-k-OMP 特異的抗体応答
全身系免疫由来である血清中の 40-k-OMP 特異的抗体価を経時的に測定した。その結果を図1に示した。
図1から明らかなように、40-k-OMP とアジュバントである CT を経皮免疫した群では、免疫 1 週間後より血清中に 40-k-OMP 特異的 IgG 抗体価の顕著な上昇が認められた。さらに、40-k-OMP 特異的 IgA 抗体価は免疫開始から 35 日目に上昇が認められ、最終測定時の 42 日目まで保たれていた。一方、40-k-OMP のみを経皮免疫した群においては、血清中に 40-k-OMP 特異的 IgM、また、40-k-OMP と CT を免疫した群よりは低いものの顕著なレベルの IgG 抗体価が検出され、42 日目までそのレベルは保たれていた。しかしながら、IgA 抗体価の上昇は認められなかった。
IgG サブクラスを測定した結果を図2に示した。図2から明らかなように、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP と CT を免疫した群ともに、IgG1 抗体価が最も高かった。
b)粘膜面における 40-k-OMP 特異的抗体応答
40-k-OMP の経皮免疫による唾液中の 40-k-OMP 特異的 IgG 抗体価を経時的に測定した結果を図3に示した。図3から明らかなように、40-k-OMP を CT と共に経皮免疫した群では初回免疫の 1 週間後より顕著な抗体価の上昇が認められた。また、28 日目に最も高い値を示した。35 日目以降抗体価は若干下降したが、最終測定時の 42 日目まで高い抗体価を維持していた。しかしながら、40-k-OMP単独免疫群では、40-k-OMP 特異的 IgG 抗体価の誘導は認められたが CT と共に免疫した場合に比べ低かった。また、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群ともに、唾液中に 40-k-OMP 特異的 IgA 抗体価の上昇は認められなかった(data not shown)。
IgGサブクラスを測定した結果を図4に示した。図4から明らかなように、血清 IgG と同様に 40-k-OMP と CT を免疫した群で IgG1 抗体価が最も高かった。
40-k-OMP の経皮免疫による唾液中の 40-k-OMP 特異的 IgG 抗体価を経時的に測定した結果を図3に示した。図3から明らかなように、40-k-OMP を CT と共に経皮免疫した群では初回免疫の 1 週間後より顕著な抗体価の上昇が認められた。また、28 日目に最も高い値を示した。35 日目以降抗体価は若干下降したが、最終測定時の 42 日目まで高い抗体価を維持していた。しかしながら、40-k-OMP単独免疫群では、40-k-OMP 特異的 IgG 抗体価の誘導は認められたが CT と共に免疫した場合に比べ低かった。また、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群ともに、唾液中に 40-k-OMP 特異的 IgA 抗体価の上昇は認められなかった(data not shown)。
IgGサブクラスを測定した結果を図4に示した。図4から明らかなように、血清 IgG と同様に 40-k-OMP と CT を免疫した群で IgG1 抗体価が最も高かった。
c)40-k-OMP 特異的抗体産生細胞
全身系免疫担当組織(脾臓)及び唾液腺(耳下腺、顎下腺)における 40-k-OMP 特異的 IgG、IgA 抗体産生細胞数の測定を ELISPOT 法により行った結果を図5に示した。
図5から明らかなように、脾臓においては 40-k-OMP 単独免疫群および 40-k-OMP を CT と共に免疫した群ともに顕著な数の抗体産生細胞数が検出された。一方、唾液腺では 40-k-OMP を CT と共に経皮免疫した群で顕著な数の抗体産生細胞数が検出された。しかしながら、40-k-OMP 単独免疫群では、40-k-OMP 特異的抗体産生細胞数は僅かであった。
d)40-k-OMP 特異的細胞増殖活性
40-k-OMP 特異的T細胞応答の測定を目的として、免疫したマウスの脾臓と頚部リンパ節より分離したリンパ球を、in vitro で 40-k-OMP により再刺激し、[3H]チミジンの取り込みによる 40-k-OMP 特異的細胞増殖活性を測定した。その結果を図6に示した。
図6から明らかなように、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群ともに脾臓より分離したリンパ球の細胞増殖活性は、コントロール群に比較して顕著な増殖活性を示した。また、40-k-OMP を CT と共に免疫した群の頸部リンパ節では 40-k-OMP による再刺激後、顕著な増殖活性が認められたが、40-k-OMP 単独免疫群ではほとんど認められなかった。
全身系免疫担当組織(脾臓)及び唾液腺(耳下腺、顎下腺)における 40-k-OMP 特異的 IgG、IgA 抗体産生細胞数の測定を ELISPOT 法により行った結果を図5に示した。
図5から明らかなように、脾臓においては 40-k-OMP 単独免疫群および 40-k-OMP を CT と共に免疫した群ともに顕著な数の抗体産生細胞数が検出された。一方、唾液腺では 40-k-OMP を CT と共に経皮免疫した群で顕著な数の抗体産生細胞数が検出された。しかしながら、40-k-OMP 単独免疫群では、40-k-OMP 特異的抗体産生細胞数は僅かであった。
d)40-k-OMP 特異的細胞増殖活性
40-k-OMP 特異的T細胞応答の測定を目的として、免疫したマウスの脾臓と頚部リンパ節より分離したリンパ球を、in vitro で 40-k-OMP により再刺激し、[3H]チミジンの取り込みによる 40-k-OMP 特異的細胞増殖活性を測定した。その結果を図6に示した。
図6から明らかなように、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群ともに脾臓より分離したリンパ球の細胞増殖活性は、コントロール群に比較して顕著な増殖活性を示した。また、40-k-OMP を CT と共に免疫した群の頸部リンパ節では 40-k-OMP による再刺激後、顕著な増殖活性が認められたが、40-k-OMP 単独免疫群ではほとんど認められなかった。
経皮免疫マウスにおいて誘導された抗体の P.gingivalis と S.gordonii との
凝集に対する阻害効果の確認
(1)材料と方法
a)ベシクルの精製
P.gingivalis 381 株を、ヘミン(5μg/ml)およびビタミン K(0.5μg/ml)添加BHI培地で嫌気状態(80 % N2、10 % H2および 10 % CO2)にて培養した。培養液からのベシクルの精製は Mayrand, D. et al., Can. J. Microbiol 35, 607-613, 1989 に記載の方法に準じて行った。培養液を 100,000×g にて 30 分間遠心し得られた上清を ultrafiltration system(Millipore社)を用い、250 ml に濃縮した。濃縮後、0.5 mM ジチオスレイトールを含む 50 mM Tris-HCl(pH7.5)で4 ℃、一晩透析を行った。透析後、90,000×g にて 2 時間遠心を行い、得られた沈殿物を PBS にて懸濁し、再度 4 ℃で一晩透析を行いベシクル懸濁液とした。ベシクルは使用するまで -20 ℃にて保存した。
凝集に対する阻害効果の確認
(1)材料と方法
a)ベシクルの精製
P.gingivalis 381 株を、ヘミン(5μg/ml)およびビタミン K(0.5μg/ml)添加BHI培地で嫌気状態(80 % N2、10 % H2および 10 % CO2)にて培養した。培養液からのベシクルの精製は Mayrand, D. et al., Can. J. Microbiol 35, 607-613, 1989 に記載の方法に準じて行った。培養液を 100,000×g にて 30 分間遠心し得られた上清を ultrafiltration system(Millipore社)を用い、250 ml に濃縮した。濃縮後、0.5 mM ジチオスレイトールを含む 50 mM Tris-HCl(pH7.5)で4 ℃、一晩透析を行った。透析後、90,000×g にて 2 時間遠心を行い、得られた沈殿物を PBS にて懸濁し、再度 4 ℃で一晩透析を行いベシクル懸濁液とした。ベシクルは使用するまで -20 ℃にて保存した。
b)S.gordonii challish の生成
S.gordonii challish は、窒素 80 %、水素 10 %、二酸化炭素 10 % の嫌気状態で 37 ℃、2 日間培養した。培養後 PBS に懸濁し、波長 600 nmで 吸光度 1.0 に調整した。
c)抗体の精製
40-k-OMP で経皮免疫したマウスより血清を採取し、HiTrapTMProtein GHP(Amersham Pharmacia Biotech)にて精製した。
d)凝集阻害試験
Ellen,R.P.らの方法(Ellen, R.P. et al., Immun.57:1618-1620, 1989)に準じて凝集阻害試験を行った。ベシクル(2 mg/ml)を 50 倍希釈し、希釈したベシクル 50 μl と精製した IgG 抗体(2 mg/ml)50 μl を Flocculation slide上に滴下し、Thomas shaking incubator(Thomas secientific社製、TAL-R12)を用い 37 ℃、60 rev/min、30 分、振とう培養後、S. gordonii 調整液 100 μl を 5 分間作用させ、Kolenbrander, P.E.らの方法(Kolenbrander, P.E. et al., Infect. Immun. 33:95-102, 1981)に従い凝集の判定を行った。判定は、以下の基準で行った。
+4: 添加後直ちに大きな凝集体を生じ、浮遊液が透明なもの
+3: 大きな凝集体を生じるが、浮遊液が僅かに混濁しているもの
+2: 凝集体を生じるものの、その形成に時間がかかるもの
+1: 浮遊液が混濁し、細かく小さな凝集体が散在しているもの
0: 浮遊液中に凝集体が全く認められないもの。
S.gordonii challish は、窒素 80 %、水素 10 %、二酸化炭素 10 % の嫌気状態で 37 ℃、2 日間培養した。培養後 PBS に懸濁し、波長 600 nmで 吸光度 1.0 に調整した。
c)抗体の精製
40-k-OMP で経皮免疫したマウスより血清を採取し、HiTrapTMProtein GHP(Amersham Pharmacia Biotech)にて精製した。
d)凝集阻害試験
Ellen,R.P.らの方法(Ellen, R.P. et al., Immun.57:1618-1620, 1989)に準じて凝集阻害試験を行った。ベシクル(2 mg/ml)を 50 倍希釈し、希釈したベシクル 50 μl と精製した IgG 抗体(2 mg/ml)50 μl を Flocculation slide上に滴下し、Thomas shaking incubator(Thomas secientific社製、TAL-R12)を用い 37 ℃、60 rev/min、30 分、振とう培養後、S. gordonii 調整液 100 μl を 5 分間作用させ、Kolenbrander, P.E.らの方法(Kolenbrander, P.E. et al., Infect. Immun. 33:95-102, 1981)に従い凝集の判定を行った。判定は、以下の基準で行った。
+4: 添加後直ちに大きな凝集体を生じ、浮遊液が透明なもの
+3: 大きな凝集体を生じるが、浮遊液が僅かに混濁しているもの
+2: 凝集体を生じるものの、その形成に時間がかかるもの
+1: 浮遊液が混濁し、細かく小さな凝集体が散在しているもの
0: 浮遊液中に凝集体が全く認められないもの。
(2)結果
40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群から採取した血清より IgG 抗体を採取し、P. gingivalis の ベジクルと S. gordonii の共凝集に対する阻害活性を測定した。結果を図7に示した。
図7のAに示すように P. gingivalis のベジクルと S. gordonii の混合液および非免疫群より採取した血清 IgG で前処理した P. gingivalis のベジクルとS. gordonii の混合液では強い共凝集が認められた。しかしながら、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群から採取した IgG 抗体で前処理した P. gingivalis の ベジクルと S. gordonii の混合液では顕著な共凝集の阻害が認められた。また、図7のBに示すように、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群の IgG 抗体による共凝集活性阻害は濃度依存性であった。
以上の結果から、40-k-OMP の経皮免疫によって誘導された抗体は、P. gingivalis の共凝集活性を阻害することが示された。
40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群から採取した血清より IgG 抗体を採取し、P. gingivalis の ベジクルと S. gordonii の共凝集に対する阻害活性を測定した。結果を図7に示した。
図7のAに示すように P. gingivalis のベジクルと S. gordonii の混合液および非免疫群より採取した血清 IgG で前処理した P. gingivalis のベジクルとS. gordonii の混合液では強い共凝集が認められた。しかしながら、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群から採取した IgG 抗体で前処理した P. gingivalis の ベジクルと S. gordonii の混合液では顕著な共凝集の阻害が認められた。また、図7のBに示すように、40-k-OMP 単独免疫群、40-k-OMP を CT と共に免疫した群の IgG 抗体による共凝集活性阻害は濃度依存性であった。
以上の結果から、40-k-OMP の経皮免疫によって誘導された抗体は、P. gingivalis の共凝集活性を阻害することが示された。
以上に詳細に説明したように、歯周病原性細菌である P. gingivalis の 40-k-OMP を抗原としてアジュバントの CT と共に経皮免疫すると、唾液と血清の両方に P. gingivalis に対する抗体応答が誘導された。従って、40-k-OMP の経皮免疫は、P. gingivalis 感染に対する抗原特異的抗体を誘導するために効果的である。また、40-k-OMP の単独投与で経皮投与された場合も免疫原性を持つことが示された。さらに、40-k-OMP とアジュバントである CT を用いて経皮免疫した場合、40-k-OMP 特異的抗体応答の誘導が単独投与よりも増加した。また、40-k-OMP をアジュバントの CT と共にマウスに経皮免疫すると全身系組織(血清)のみならず粘膜系組織(唾液)にも 40-k-OMP 特異的抗体が誘導されたことより、40-k-OMP をアジュバントの CT を用いて経皮免疫することは、歯周病予防ワクチンとして高い有効性を持つことが示された。
Claims (5)
- Porphyromonas gingivalis の外膜蛋白質を有効成分とする歯周病の予防もしくは治療のための経皮免疫ワクチン。
- 該外膜蛋白質が、配列表の配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる蛋白質、あるいは配列番号1の 22〜345 番目のアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換および/または付加したアミノ酸配列を有する蛋白質であって配列番号1に示す 22〜345 番目のアミノ酸配列からなる蛋白質と同様の機能を有する蛋白質である請求項1の経皮免疫ワクチン。
- Porphyromonas gingivalis の外膜蛋白質と共にアジュバントを含む請求項1または2の経皮免疫ワクチン。
- アジュバントが無毒化コレラ変異毒素である請求項1から3のいずれかの経皮免疫ワクチン。
- Porphyromonas gingivalisとStreptococcus gordoniiとの凝集を阻害して歯周病を予防もしくは治療する請求項1から4のいずれかの経皮免疫ワクチン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003425133A JP2005179301A (ja) | 2003-12-22 | 2003-12-22 | 歯周病用経皮免疫ワクチン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003425133A JP2005179301A (ja) | 2003-12-22 | 2003-12-22 | 歯周病用経皮免疫ワクチン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=34785113
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005179301A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010013350A1 (ja) | 2008-08-01 | 2010-02-04 | Aspion株式会社 | S/o型経皮免疫剤 |
EP2462160A1 (en) * | 2009-08-02 | 2012-06-13 | Sanofi Pasteur Limited | Porphyromonas gingivalis polypeptides |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003286191A (ja) * | 2002-03-27 | 2003-10-07 | Univ Nihon | 歯周病用粘膜免疫ワクチン |
-
2003
- 2003-12-22 JP JP2003425133A patent/JP2005179301A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003286191A (ja) * | 2002-03-27 | 2003-10-07 | Univ Nihon | 歯周病用粘膜免疫ワクチン |
Cited By (5)
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CN102712693A (zh) * | 2009-08-02 | 2012-10-03 | 圣诺菲·帕斯图尔有限公司 | 牙龈卟啉单胞菌多肽 |
EP2462160A4 (en) * | 2009-08-02 | 2013-04-24 | Sanofi Pasteur Ltd | Porphyromonas gingivalis POLYPEPTIDES |
AU2010281313B2 (en) * | 2009-08-02 | 2015-09-03 | Sanofi Pasteur Limited | Porphyromonas gingivalis polypeptides |
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