JP2005178476A - 車両緊急状態検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】縦軸rはアクセルペダルの位置(踏み込み量)を示している。σは位置rの時系列データの各部分列の分散であり、σ0はこの分散σに対する閾値である。この分散σは各インターバルIi毎に算定される。図2では、位置rが速度vの計測領域Zに突入する以前においては、インターバルI3が「σ<σ0」を満たす最も最近のインターバルとなっている。rsは、運転者によるアクセルペダル解放動作の開始時点でのアクセルペダルの位置r(:始動位置)である。この様な構成に従えば、アクセルoff直前のアクセルペダルの戻り速度vだけではなく、上記の始動位置rsの値をも加味して、緊急状態の有無若しくは緊急状態の度合いを判定することが可能となる。
【選択図】図2
Description
上記の緊急状態とは、衝突、追突、脱輪、脱落等に対する危険を緊急に回避又は軽減する必要性が非常に高い状態を言う。従って、本発明は、例えばエアバッグ始動装置、制動力補助機構始動装置、シートベルトのプリテンショナ始動装置等の各種の車両安全対策関連装置に有用である。
尚、この様な各種の始動装置の機能の中には、これらの安全装置の起動機能等の他にも、例えばこれらの安全装置の起動準備指令機能等をも勿論含み得る。
図9、図10は、従来技術を説明するグラフである。ここで、rはアクセルペダルの位置(:踏み込み量)、vはアクセルペダルの戻り速度、tは時刻を表している。瞬時的にはアクセルペダルの戻り速度vは「−rの時間微分」で定義されるものであるが、微分が可能でない場合もあるので、以下では従来技術に習って、適当に解釈するものとする。
図10は、その様な例外的な事例を例示するグラフである。このグラフは、運転者が、略等速走行の際に比較的浅くアクセルペダルを踏み込みながら前進し、その後、突然の要請に反応して急制動を試みた際のものである。本図10に例示する様に、アクセルペダル解放動作の開始時点でのアクセルペダルの位置r(以下、始動位置rsと言う)の値が比較的小さくても、例えば下り坂や追い風などの状況下では、車両が高速走行している場合があり得る。また、高速道路走行中などでは、アクセルペダルの踏み込み量が比較的小さくとも、高速走行している場合も多い。
したがって、位置rが例えば図10の様に比較的小さく推移してきた場合などには、運転者が俊敏な動作でアクセルペダルを開放していても、戻り速度vの値は上記の閾値v0 を超え難いことがある。
また、本発明の更なる目的は、例えばエアバッグ始動装置、制動力補助機構始動装置、シートベルトのプリテンショナ始動装置等の各種の車両安全対策関連装置に有用な、応用範囲の広い車両緊急状態検出装置を実現することである。
ただし、上記の個々の目的は、本発明の個々の手段の内の少なくとも何れか1つによって、個々に達成されれば十分なのであって、本願の個々の発明は、上記の全ての課題を同時に解決し得る手段が存在することを必ずしも保証するものではない。
即ち、本発明の第1の手段は、車両のアクセルペダルの位置rを検出するアクセル位置検出手段と、アクセルペダルの戻り速度vを検出するアクセル速度検出手段とを有する、車両の緊急状態を検出するための装置(車両緊急状態検出装置)において、アクセル位置検出手段によって検出された位置rに関する直近過去の時系列データを記憶するアクセル位置記憶手段と、その直近過去において、運転者によるアクセルペダル解放動作が開始されたと推定される時刻でのアクセルペダルの位置r(≡始動位置rs)を、上記の時系列データに基づいて求める始動位置推定手段とを備えることである。
ただし、上記の最大変動幅Δrとは、該当するインターバル内においてサンプリングされた位置rの最大値と最小値との差分のことを言う。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
即ち、本発明の第1の手段によれば、アクセルoff直前のアクセルペダルの戻り速度vだけではなく、上記の始動位置rsの大小をも加味して、緊急状態の有無若しくは緊急状態の度合いを判定することが可能となる。
より具体的には、例えば図10の様にアクセルペダルの位置rが推移した場合、始動位置rsの値が小さいので、それに応じて閾値v0 の方も動的に小さめに補正するなどの対策が可能となる。また、上記のアクセル位置記憶手段や始動位置推定手段は、コンピュータ・ソフトウェアによって実現することができる。
したがって、本発明によれば、緊急状態であると判断されるべき状態をできるだけ漏れなく、かつ過不足なく検出することが、コストに見合った現実的な装置において可能となる。
車両の緊急状態を判定するための手段は、例えばエアバッグ始動装置、制動力補助機構始動装置、シートベルトのプリテンショナ始動装置等の各種の車両安全対策関連装置毎に個々に設けても良いが、上記の様な本発明の緊急状態判定手段を本発明の車両緊急状態検出装置の一部として備えれば、各種の車両安全対策関連装置毎に、車両の緊急状態を判定するための手段を個々に設ける必要がなくなる。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
本図2の記号rsは、運転者によるアクセルペダル解放動作の開始時点でのアクセルペダルの位置r(≡始動位置)を示しており、この値としては、インターバルI3における位置rの平均値等を用いることができる。
supZは速度vの計測領域Zの上限値であり、infZは計測領域Zの下限値である。
図3は、車両緊急状態検出装置100の処理手順を例示するフローチャートである。
まず最初に、ステップ305では、アクセルペダルの位置rをアクセル位置センサ106から入力する。
ステップ320では、最新の位置データを有する配列要素AP(0)の値が計測領域Zの上限値supZ以下となっているか否かをチェックし、AP(0)≦supZならばステップ325に、そうでなければステップ305に処理を移す。
ステップ330では、フラグF1をON状態に設定する。
ステップ335では、記憶領域T1に現在時刻tを記憶する。
ステップ340では、記憶領域R1に現在の位置r(=AP(0))を記憶する。
以上のステップ320〜ステップ340までの一連の処理により、位置rが計測領域Zに上限側から突入した事象とその時の時刻tとその時の正確な位置rが記憶される。
即ち、まず、ステップ350では、未だに現在の位置r(=AP(0))が計測領域Z内にあるか否かを判定する。その結果、infZ<AP(0)≦supZならばステップ305に、そうでなければステップ355に処理を移す。
ステップ355では、位置rが計測領域Z外に脱出したことを受けて、フラグF1をOFF状態に戻す。
ステップ370では、記憶領域T2に現在時刻tを記憶する。
ステップ375では、記憶領域R2に現在の位置r(=AP(0))を記憶する。
以上のステップ350〜ステップ375までの一連の処理により、位置rが計測領域Zの下限側から脱出した事象とその時の時刻tとその時の正確な位置rが記憶される。
ステップ390では、ステップ380で呼び出して実行した図5のサブルーチンが算出した始動位置rsと速度vを応用プログラムが参照可能な記憶領域に出力する。
まず、最初にステップ210では、前回の変数dr0の値を変数dr1に退避する。
次に、ステップ220では、今回の1周期での位置rの変化量dr0(≡AP(1)−AP(0))を求める。
ステップ240では、前回の1周期における位置rの変化量dr1の符号を判定し、その結果が、0以上ならばステップ250に制御を移し、そうでなければ呼出元(図3のステップ315)に制御を戻す。
ステップ250では、現在の位置rの値AP(1)を変数rsに退避する。
以上のサブルーチン(極大判定)の処理手順により、前回検出された位置rの値(=AP(1))が、極大値であった場合に、その極大値(=AP(1))を変数rsに退避することができる。
まず、ステップ410では、次式(1)にしたがって、速度vを算出する。
v=(R1−R2)/(T2−T1) …(1)
ステップ430では、次式(2)にしたがって、配列AP(n)の部分列の各位置rの平均値μを算出する。
μ=MAP(5i,5) …(2)
ただし、ここで、MAP(j,k)は、配列AP(n)のj番目の要素から始まる計k個の連続する要素から構成される配列AP(n)の部分列の全要素の平均値を算出する関数である。
σ=ΘAP(5i,5,μ) …(3)
ただし、ここで、ΘAP(j,k,μ)は、配列AP(n)のj番目の要素から始まる計k個の連続する要素から構成される配列AP(n)の部分列の分散を算出する関数である。3番目のオペランド(引数μ)は、式(2)の算出結果を流用するために設けられたオプション指定用のオペランド(演算高速化インターフェイス)であり、平均値μ(式(2)の演算結果)の格納領域アドレスを指定するためのものである。この指定は省略しても良い。
ステップ470では、関数ΘAPによって算出された上記の分散σの値の大小をチェックする。その結果、σ<σ0ならばステップ490へ、そうでなければステップ480へ処理を移す。ただし、ここで、σ0は前述の閾値である。
ステップ480では、最後に実行されたステップ430の演算結果(平均値μ)を始動位置rsの記憶領域に格納する。この処理は、先の図4のステップ250よりも後で、同一の記憶領域(始動位置rs)に対して実行されるので、本ステップ480における実行結果は、ステップ250における実行結果よりも優先的に採用される。
以上のサブルーチンにより、上記のステップ380の処理(v,rsの算出)を正しく実行することができる。
J=0 (v<v1),
J=1 (v1≦v≦v2),
J=2 (v2<v) …(4)
K=0 (rs<s1),
K=1 (s1≦rs≦s2),
K=2 (s2<rs) …(5)
この場合には、図1の出力信号は、この1又は0の値のみになる。
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記のサブルーチンを改造して、上記の配列Yの代りに、図7−Bの配列y(j,k)の値を前述の応用プログラムが参照可能な記憶領域に出力する様にしても良い。上記の式(4)、式(5)の評定がそれぞれ8段階評定となる様に、上記のサブルーチンを改造すれば、その様な構成も可能である。図7−Bの配列y(j,k)には、緊急状態の有無の代りに緊急度(0〜3)が出力される様な構成を例示した。
この様な構成によれば、各応用プログラム(各始動プログラム)側で緊急度に応じて任意に、その後の処理を切り分けることができる。
即ち、車両に搭載する各応用プログラム(例:ブレーキアシスト装置、エアバッグ始動装置など)毎に、必要となる閾値の個数や各閾値の値を個別に任意に設定できる。したがって、その様な応用プログラムが複数存在する場合には、好適な判定基準を各応用プログラム毎に任意に設定でき都合がよい。この様な関数は通常、テーブルデータとして実現されるので、配列y(j,k)の引数の数を大きくした場合に、事実上実現されるものと解釈することもできる。
上記の実施例1の極大判定処理(:図4のサブルーチン)では、時間tに対する位置rのグラフ上での変曲点を判定することができない。
図8−Aは、上記の実施例1の極大判定処理の作用・効果を説明するグラフである。このグラフは、(t,r)=(t1,r1)においてdr=0であり、かつ、その後はdr<0となることを示すグラフである。例えばケースaは点(t,r)=(t1,r1)が極大点を与える場合であり、ケースcは点(t,r)=(t1,r1)が変曲点を与える場合であるが、図8−A中のケースa,b,cの何れの場合においても、図4のサブルーチンのステップ250は実行され、所望の結果を与える。
本発明の第9の手段は、更にこの様な課題をも解決するためのものである。即ち、本発明の第9の手段によれば、直接計測したアクセルペダルの速度vに対する時間tでの1回微分演算処理だけで、例えば図3のステップ312と略同様のタイミングや要領で、下に凸から上に凸へと形状変化する変曲点の判定処理を展開することができるので、t−rグラフの図形の形状(上に凸、下に凸、変曲点など)を正確に判別することが可能となる。したがって、本発明の第9の手段によれば、それらのグラフ形状に基づいて、更に適切な始動位置rsを算定することも可能となる。
なお、アクセルペダルの速度vを直接計測する手段としては、例えば電磁誘導作用を利用した速度センサなどが有効である。
尚、この様な各種の始動装置の機能の中には、これらの安全装置の起動機能等の他にも、例えばこれらの安全装置の起動準備指令機能等をも勿論含み得る。
101 : CPU
102 : ROM
103 : RAM
104 : IF(入出力インターフェイス)
106 : アクセル位置センサ
110 : ECU(電子制御ユニット)
r : アクセルペダルの位置
rs : アクセルペダル解放動作の開始位置(始動位置)
v : アクセルペダルの速度
t : 時刻
Δt : インターバルの間隔
Z : 速度vの計測領域({r|infZ≦r≦supZ})
supZ : 計測領域Zの上限値
infZ : 計測領域Zの下限値
AP(n) : 位置rに関する直近過去の時系列データ(0≦n)
μ : 時系列データAP(n)の部分列の平均値
MAP : 平均値μを求める関数
σ : 時系列データAP(n)の部分列の分散
ΘAP : 分散σを求める関数
σ0 : 分散σに対する閾値
Y(J,K): 始動位置rsと速度vに基づいて判定される緊急度
y(j,k): 始動位置rsと速度vに基づいて判定される緊急度
Claims (9)
- 車両のアクセルペダルの位置rを検出するアクセル位置検出手段と、前記アクセルペダルの戻り速度vを検出するアクセル速度検出手段とを有する、前記車両の緊急状態を検出するための装置であって、
前記アクセル位置検出手段によって検出された前記位置rに関する直近過去の時系列データを記憶するアクセル位置記憶手段と、
前記直近過去において、運転者によるアクセルペダル解放動作が開始されたと推定される時刻での前記位置r(≡始動位置rs)を、前記時系列データに基づいて求める始動位置推定手段と
を有する
ことを特徴とする車両緊急状態検出装置。 - 前記戻り速度vと前記始動位置rsに基づいて前記車両の緊急状態を判定する緊急状態判定手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両緊急状態検出装置。 - 前記時系列データは、
少なくとも150ms過去から50ms過去に至るまでの一連の直近過去の時系列データを含む
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両緊急状態検出装置。 - 前記始動位置推定手段は、
前記時系列データの所定の各インターバル毎の分散σの大小に基づいて、前記始動位置rsを決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両緊急状態検出装置。 - 前記始動位置推定手段は、
前記分散σが所定の閾値σ0よりも小さい値を示す前記インターバルの内、最も現在に近いインターバルにおける前記位置rの平均値又は最大値を前記始動位置rsとして算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の車両緊急状態検出装置。 - 前記始動位置推定手段は、
前記時系列データの所定の各インターバル毎の最大変動幅Δrの大小に基づいて、前記始動位置rsを決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両緊急状態検出装置。 - 前記始動位置推定手段は、
前記最大変動幅Δrが所定の閾値DRよりも小さい値を示す前記インターバルの内、最も現在に近いインターバルにおける前記位置rの平均値又は最大値を前記始動位置rsとして算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の車両緊急状態検出装置。 - 前記始動位置推定手段は、
所定の微小時間dt内における前記位置rの変動量drの符号変化事象に基づいて、前記始動位置rsを決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の車両緊急状態検出装置。 - 前記アクセル速度検出手段は、
前記位置rに対する時間微分演算処理を経由することなく、直接前記戻り速度vを測定する速度検出手段を有し、
前記始動位置推定手段は、
所定の微小時間dt内における前記戻り速度vの変動量dvの符号変化事象に基づいて、前記始動位置rsを決定する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の車両緊急状態検出装置。
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JP2007276498A (ja) * | 2006-03-16 | 2007-10-25 | Honda Motor Co Ltd | 車両の急ブレーキ判断装置 |
CN112881661A (zh) * | 2019-11-29 | 2021-06-01 | 丰田自动车株式会社 | 路面损坏检测装置、路面损坏检测方法及存储介质 |
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