JP2005178456A - ドアハーネスの取付構造 - Google Patents

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幸夫 山本
Hidenobu Kojima
秀信 小島
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Abstract

【課題】 ヒンジ部およびウエザーストリップよりも室内側にドアハーネスを配策する。
【解決手段】 半円環状に湾曲させたバネ部の一端にパネル固定片を設けていると共に他端にグロメット固定片を設けた樹脂製の上下一対の伸縮ガイド材を設け、該伸縮ガイド材のバネ部を上下対向させた状態で上記パネル固定片をドアインナパネルの内面開口を閉鎖するように取り付ける樹脂パネルに固定し、かつ、該伸縮ガイド材のバネ部の対向側内面にそれぞれドアハーネスを2分割して保持する一方、上記グロメット固定片をグロメットの蛇腹筒部の一端に固定すると共に上記2分割したドアハーネスを蛇腹筒部に貫通させ、上記グロメットをドアインナパネルの内面から端面にかけたコーナ部に形成した凹部に挿通して車体パネル側に引き出し、ドア開放時には上記伸縮ガイド材のバネ部がドアハーネスと共に伸長し、ドア閉鎖時にはバネ部が円環状に復元して、ドア開閉動作にドアハーネスを追従させる構成としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ドアハーネスの取付構造に関し、詳しくは、自動車の車体パネルと対向するドアパネルに端面に穿設された貫通孔を通してドアハーネスを車体側に引き出さずに、ドアインナパネル側から車体パネルへと配索するものである。
従来、自動車のドアハーネスは、ドアインナパネルの内部からドアインナパネルの車体パネル側の端面に設けた貫通穴から車体パネル側へと引き出し、車体パネル側に配索されるワイヤハーネスと接続されている。しかしながら、上記ドアハーネスを貫通穴から引き出す貫通作業は目視しづらいドアインナパネル内部側からの作業であるうえ、貫通時に大きな力を要するため、非常に困難な作業であった。
そこで近年では、貫通作業をなくすようにした所謂、貫通レス・グロメットを用いたドアハーネス取付構造が提供されている。
例えば、特開平11−20573号(特許文献1)では、図7(A)(B)に示すように、貫通レスグロメット1を用いたドアハーネス取付構造の一例が開示されている。詳しくは、この貫通レスグロメット1は、ドアインナパネルDから引き出されたワイヤハーネスWを挿通する蛇腹筒部2と、ドアインナパネルDの内面側から端面側にかけたコーナ部に沿うとともに内部にワイヤハーネスWを挿通可能なL字型の偏平な取付板3よりなり、該取付板3の内部に配索されたワイヤハーネスWを保護するためにプロテクタ4を取り付けてワイヤハーネスWの内面側を覆う構成としている。
上記取付構造によれば、ワイヤハーネスWは、ドアインナパネルDに設けた貫通穴から引き出すのではなく、インナパネルDの内面側から端面側へとコーナ部に沿って車体パネルB側へと配索することができる。また、ドアと車体との間のヒンジ部支点位置で上下高さ方向に位置を変えてワイヤハーネスWを配策するため、ドア開閉時にはワイヤハーネスWにねじれのみが発生し、伸縮しなくてもよい構造となっている。
しかしながら、上記取付構造では、図7(B)に示すように、グロメット1とドアインナパネルDの表面にウエザーストリップ5を縦走させて配置するため、防水性を高めるためには、グロメット1とその内部に配索するワイヤハーネスWをともに扁平化し、グロメット1の取付板3とドアインナパネルDとの段差を減らして隙間を発生させないようにする必要がある。しかし、グロメット1を扁平化するためには、取付板3、プロテクタ4などの特別な樹脂成形品が必要となるうえ、ワイヤハーネスWとグロメット1に特別な防水構造が必要となり、部品点数が増えコスト高となるとともにハーネス組み立て工数も増える問題がある。
この問題に対して、グロメットの上にウエザーストリップを配置しない構造、即ち、ドアハーネスをウエザーストリップよりも室内側に配索する構造が考えられる。しかしその場合は、ドアハーネスの配索ルートがドアと車体との間のヒンジ部の位置から室内側へとずれるため、ドア開閉に伴って、ドアハーネスにはねじれのみでなく、伸縮性も必要となる。
これに関し、本出願人は、例えば、特開平10−181479号(特許文献2)で、図8(A)(B)に示すように、ドアまたは車体のいずれか一方に図示のような三角形状のガイド枠6を取り付け、該ガイド枠6の内部に予め余長分を迂回させて収容しておいたワイヤハーネスWをドアまたは車体のいずれか他方へと配索し、ドアの開閉に応じて該ガイド枠6からワイヤハーネスWを出し引きして伸縮させる構造を提案している。
上記ガイド枠6は、ワイヤハーネスWの挿入口6aと引出口6bとを離隔した位置に開口しており、該挿入口6aから挿入したワイヤハーネスW/Hを該挿入口6aにテープ9で固定し、ガイド枠6内で屈曲させて上記引出口6bより導出すると共に、ワイヤハーネスWの屈曲部7の内側にV形状のバネ板8を取り付けて、ドア閉鎖時には該バネ板8の復帰力でワイヤハーネスWをガイド枠6内に引き戻す構成としている。
しかしながら、近年の自動車のように車載部品が多く電線本数が多数化すると、ドアハーネスも太くなり、そのドアハーネスを一束のまま小さなガイド枠6の内部に納めるように巻いたり屈曲させることは難しく、ハーネスに負荷をかけることにもなる。
特開平11−20573号公報 特開平10−181479号公報
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、ドアハーネスをウエザーストリップよりも室内側に配索すると共にドアハーネスへの負荷の少ないドアハーネスの取付構造の提供を課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、自動車のドアインナパネルの室内側面から車体パネル側端面のウエザーストリップ取付位置より室内側を通り、車体パネルへとドアハーネスを伸縮自在に配索しているドアハーネスの取付構造であって、
半円環状に湾曲させたバネ部の一端にパネル固定片を設けていると共に他端にグロメット固定片を設けた樹脂製の上下一対の伸縮ガイド材を設け、該伸縮ガイド材のバネ部を上下対向させた状態で上記パネル固定片を、ドアインナパネルの内面開口を閉鎖するように取り付ける樹脂パネルに固定し、かつ、該伸縮ガイド材のバネ部の対向側内面にそれぞれドアハーネスを2分割して保持する一方、上記グロメット固定片をグロメットの蛇腹筒部の一端に固定すると共に上記2分割したドアハーネスを蛇腹筒部に貫通させ、
上記グロメットをドアインナパネルの内面から端面にかけたコーナ部に形成した凹部に挿通して車体パネル側に引き出し、ドア開放時には上記伸縮ガイド材のバネ部がドアハーネスと共に伸長し、ドア閉鎖時にはバネ部が円環状に復元して、ドア開閉動作にドアハーネスを追従させる構成としていることを特徴とするドアハーネスの取付構造を提供している。
上記のようにドアハーネスが伸縮することにより、ウエザーストリップ取付位置よりも室内側、即ちヒンジ部支点位置から離隔する位置にドアハーネスを配索することが可能となるため、従来のようなグロメットやドアハーネスの扁平化およびそのための特別な部品、さらには特別な防水構造が不要となるうえ、室内やワイヤハーネス内への水の浸入を完全に防止することができる。また、上記構造によれば、ドアハーネスを2分割して、それぞれを上下の伸縮ガイド材に固定して上下に分けて伸縮させるため、一束に集束した太いドアハーネスを一束のまま伸縮させる構造に比して伸縮作業がスムーズになると共に、伸縮の際に各ドアハーネスにかかる負荷も小さくなり、ハーネスの傷みを防止することができる。
上記上下一対の伸縮ガイド材の各バネ部の両端を可撓性を有するX形状の連結片を介して連結し、ドア閉鎖時に上記円環状への復元を助勢できる構成としている。これにより、ドアの開閉動作にドアハーネスを一層スムーズに追従させることができるうえ、上下伸縮ガイド材が上下に離反して徒に伸縮スペースを費やすことを防止し、上下伸縮ガイド材をコンパクトに伸縮させることができる。
上記グロメットのハーネス挿通部は蛇腹筒部よりなり、該グロメットの上記上下の伸縮ガイド材固定片を上記蛇腹筒部の一端外面にそれぞれ重ねてタイバンドで固定すると共に、該グロメットの先端に上記車体パネルに穿設した開口に挿入係止する係止部を設けている。 上記のように伸縮ガイド材をグロメットにタイバンドで固定すると、伸縮ガイドの伸縮時にグロメットから外れることを確実に防止できる。
上述したように、本発明によれば、伸縮ガイド材に沿って半円環状に迂回するように配策された2分割したドアハーネスをバネ部と共に伸縮させることができるため、該ドアハーネスをウエザーストリップよりも室内側、すなわちヒンジ部支点位置から離隔した位置に配索しても、ドアの開閉にこのドアハーネスをスムーズに追従させることができる。このように、ウエザーストリップよりも室内側へのドアハーネスの配索が可能となることにより、グロメットやハーネスへの特別な防水構造が不要となると共に、グロメットやドアハーネスの扁平化、およびそのための特別な部品も不要となり、さらに、高い防水性を確保することができる。
かつ、ドアハーネスを2分割して上下一対の伸縮ガイド材にそれぞれ固定し、上下それぞれで伸縮させる構造であるため、太いドアハーネスを分割せずに曲げたり巻いたりして迂回させる場合に比して伸縮作業がスムーズになると共に、ドアハーネスにかかる負荷も軽減し、ドアハーネスの傷みを防止することができる。
以下、発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図7は、本発明の実施形態に係るドアハーネス20の取付構造10を示し、ドアインナパネル11の室内側面11aから車体パネル16と対向する端面11bのウエザーストリップ18の取付位置よりも室内側を通って車体パネル16へと配策されるドアハーネス20の取付構造に本発明を適用している。
上記ドアインナパネル11は、図2に示すように、室内側面11aを外枠形状として後述する樹脂パネル13取付用の開口12を設けていると共に、該室内側面11aから上記端面11bにかけたコーナ部には凹部15を形成している。また、ドアインナパネル11の上記端面11bには、ウエザーストリップ18を縦走させて取り付けており、上記凹部15は、その前端縁15aがこのウエザーストリップ18の取付位置よりも室内側に位置するように形成されている。なお、ドアインナパネル11の室外側には金属製のアウタパネル14が配置されている。
上記ドアハーネス20の先端には、図1に示すようにコネクタ21を接続していると共に、該先端部にはグロメット25を外嵌している。該グロメット25はゴム又はエラストマーからなり、図5に示すように、ドアハーネス20を貫通させる蛇腹筒部26の後端に後述する伸縮ガイド材30をタイバンド36で固定する一方、前端にコネクタ収容部28を設している。このコネクタ収容部28の内部には、図4に示すように樹脂インナー29を収容係止しており、該樹脂インナー29のコネクタ収容部28より突出した位置に一対の車体係止用突起29aを形成している。
上記上下一対の伸縮ガイド材30(30A、30B)は樹脂成型品からなり、略中間部に半円環状に湾曲させて形成したバネ部31と、バネ部31の後端から延設した平板状のパネル固定片32と、バネ部31の前端から延設した平板状のグロメット固定片35とを一体成形している。上記パネル固定片32にはクリップ孔32bを設けたクリップ取付部32aを突設している。
上記伸縮ガイド材30(30A,30B)には、図3に示すように、ドアハーネス20を挿通する長手方向の溝33を、湾曲した内面側を通る全長にわたって形成して断面C字形状としている。また、上下一対の伸縮ガイド材30A、30Bは、それぞれのバネ部31の両端を可撓性を有するX形状の連結片34で上下左右に互いに連結している。
上下一対の伸縮ガイド材30A、30Bは、溝33が対向するように配置され、それぞれの溝33に、2分割したドアハーネス20A,20Bを挿通して保持させた後、図5(A)に示すように、2分割したドアハーネス20A、20Bをまとめて先端部からグロメット25に貫通させて先端方向へと引き出している。
この状態で、図5(B)に示すように、上下一対の伸縮ガイド材30A,30Bのグロメット固定片35をグロメット25の蛇腹筒部26の後端外面に重ねてタイバンド36で固定している。
上記のようにグロメット25と伸縮ガイド材30とを装着されたドアハーネス20は、図1および図2に示すように、グロメット25をドアインナパネル11の上記凹部15に挿通して車体パネル16側に引き出し、グロメット25に取り付けた樹脂インナー29の車体係止用突起29aを上記車体パネル16に穿設された貫通穴16aに挿入係止して、先端に接続したコネクタ21を車体側のハーネス(図示せず)に接続している。また、該ドアハーネス20と伸縮ガイド材30の後端側は、上記パネル固定片32のクリップ穴32bと上記樹脂パネル13の取付穴13aにクリップ40を挿入係止することによって、樹脂パネル13の室内側面に固定し、該樹脂パネル13でドアインナパネル11に上記開口12を閉鎖するように取り付けている。この樹脂パネル13の室内面側には、ドアハーネス20の露出部を覆うようにトリム(図示せず)を取り付けてカバーしている。
上記構成からなるドアハーネス20の取付構造10によれば、図1に示すように、ドアハーネス20の配索ルートがウエザーストリップ18よりも室内側となり、即ち、ドアインナパネル11と車体パネル16との間のヒンジ部19より室内側にずれた位置にドアハーネス20を通すことになる。そのため、ドア開閉時にはドアハーネスを伸縮および捩らさせる必要があるが、ドアハーネス20に取り付けた伸縮ガイド材30のバネ部31が、ドア開放時には図6(A)に示すように伸びてドアハーネス20と共に伸長し、ドア閉鎖時には図6(B)に示すように、連結片34の助勢もあって収縮復元し、上記凹部15からのドアハーネス20の引き出し量を調節する。よって、ヒンジ部19まわりにおけるドアハーネス20およびグロメット25をドア開閉動作にスムーズに追従させ、作業性を良好にすることができる。また、上記ドアハーネス20をウエザーストリップ18よりも室内側に通すことにより、該ドアハーネス20やグロメット25を従来のように扁平化することも、これらに特別な防水構造を設けることも不要となるうえ、高い防水性を確保することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、上下伸縮ガイド材をX字状に連結する連結片は必ずしも設ける必要はない。また、上下伸縮ガイド板の半円弧形状としたバネ部31も平板を湾曲させた形状とし、その内周面に2分割したドアハーネスを沿わせてテープ巻してドアハーネスを保持してもよい。さらに上下伸縮ガイド材とグロメットとの固定もタイバンドに限らず上下伸縮ガイド材の伸縮時にグロメットから外れない連結構成であればよい。
本発明の実施形態に係るドアハーネスの取付構造を示す斜視図である。 図1に示すドアハーネスの取付構造を示す分解斜視図である。 図1に示す伸縮ガイド材の要部拡大斜視図である。 図1に示すドアハーネスの車体パネル側の取付部分を示す斜視図である。 (A)(B)は、図1に示すドアハーネスをグロメットおよび伸縮ガイド材に挿通する作業を示す図である。 (A)はドア開放時の伸縮ガイド材およびドアハーネスの状態を示し、(B)はドア閉鎖時の伸縮ガイド材およびドアハーネスを示している。 従来例の図である 他の従来例の図である。
符号の説明
10 ドアハーネスの取付構造
11 ドアインナパネル
12 開口
15 凹部
16 車体パネル
18 ウエザーストリップ
20 ドアハーネス
25 グロメット
26 蛇腹筒部
30(30A、30B)伸縮ガイド材
31 バネ部
32 パネル固定片
34 連結片
35 グロメット固定片
36 タイバンド

Claims (3)

  1. 自動車のドアインナパネルの室内側面から、車体パネル側端面のウエザーストリップ取付位置より室内側を通り、車体パネルへとドアハーネスを伸縮自在に配索しているドアハーネスの取付構造であって、
    半円環状に湾曲させたバネ部の一端にパネル固定片を設けていると共に他端にグロメット固定片を設けた樹脂製の上下一対の伸縮ガイド材を設け、該伸縮ガイド材のバネ部を上下対向させた状態で上記パネル固定片をドアインナパネルの内面開口を閉鎖するように取り付ける樹脂パネルに固定し、かつ、該伸縮ガイド材のバネ部の対向側内面にそれぞれドアハーネスを2分割して保持する一方、上記グロメット固定片をグロメットの蛇腹筒部の一端に固定すると共に上記2分割したドアハーネスを蛇腹筒部に貫通させ、
    上記グロメットをドアインナパネルの内面から端面にかけたコーナ部に形成した凹部に挿通して車体パネル側に引き出し、ドア開放時には上記伸縮ガイド材のバネ部がドアハーネスと共に伸長し、ドア閉鎖時にはバネ部が円環状に復元して、ドア開閉動作にドアハーネスを追従させる構成としていることを特徴とするドアハーネスの取付構造。
  2. 上記上下一対の伸縮ガイド材の各バネ部の両端を可撓性を有するX形状の連結片を介して連結し、ドア閉鎖時に上記円環状への復元を助勢できる構成としている請求項1に記載のドアハーネスの取付構造。
  3. 上記上下一対の伸縮ガイド材のグロメット固定片は、上記グロメットの蛇腹筒部の一端外面に重ねてタイバンドで固定し、該グロメットの先端に上記車体パネルに穿設した開口に挿入係止する係止部を設けている請求項1または請求項2に記載のドアハーネスの取付構造。
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JP7567211B2 (ja) 2020-05-28 2024-10-16 株式会社オートネットワーク技術研究所 配線モジュール

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