JP2005172753A - 物質分離素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 より簡便で操作性の良好な分離素子の製造方法及び分離素子を提供することにある。
【解決手段】 基体に、媒体と前記2以上の異なる物質とを含む試料の注入口及び排出口流路を設け、この流路の少なくとも一部を試料に含まれる2以上の異なる物質のそれぞれに対して流路中での異なる移動度を与える分離部として形成し、かつ分離部を異なる物質のそれぞれの移動度に対して影響をおよぼす特性が分離部内において試料の移動方向に沿って変化している構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、試料中の異なる物質を分離するための物質分離素子及びその製造方法に関する。
マイクロチップにHPLCのようなクロマトグラフィーシステムを応用した技術としては以下のようなものがある。例えば、国際公開第WO96/20401号パンフレットには、基板上に多孔質からなるチャネルを形成し、これを分離カラムとして利用することを特徴とするクロマトグラフィー装置が開示されている。ここでは、多孔質からなるチャネルの形成方法は、シリコン基板上に、電解エッチングにより行うとされている。また、特開平11−281637号公報には、シリコン基板上に多孔質シリコンからなる領域を選択的に形成するに際し、多孔度、細孔径、細孔径の分布幅、および多孔質シリコンの形状を制御した多孔質シリコン領域を形成し、これを流体分離装置に用いる方法が開示されている。より詳細には、同公報には、シリコン基板の表面部に多孔質シリコン領域を帯状に設け、この多孔質シリコン領域部分を上基板で覆蓋して流体の流路を設け、この流路の一方端に流体の流入口を設けるとともに、他端に流体の流出口を設けた流体分離装置が開示されている。この多孔質シリコン領域の表面に少なくとも単分子層のシリコン酸化膜を有する構成についても開示されている。また、その形成方法としては、シリコン基板を一部が帯状に開口したマスク層で被覆し、このマスク層の除去部分からシリコン基板の一部を陽極化成することによってシリコン基板内に多孔質シリコン領域を形成し、多孔質シリコン領域を加熱して酸化した後、この多孔質シリコン領域を上基板で覆蓋して流体の流路を形成する方法が開示されており、更に、シリコン基板内に上記のような多孔質シリコン領域を形成した後にこの領域を除去し、さらにこの除去部分に第2の多孔質シリコン領域を形成して、この第2の多孔質シリコン領域を上基板で覆蓋して流体の流路を形成する方法も開示されている。
特開平6−169756号公報には、流体を通過させ、分離することのできる微小な素子であって、半導体基板の表面の1部が陽極化成されて多孔質流路が形成されてなる微小流路素子であり、多孔質流路が、流路方向に連続的につながった空洞を有する微小流路素子が開示されている。
特開平10−73591号公報には、二枚の親水性基板と、該親水性基板に挟まれた硬化樹脂層と、該硬化樹脂層に設けられた流路とを具備する微小流路素子であって、前記硬化樹脂層が少なくとも1つの親水基を有するラジカル重合性単量体を含有する光硬化性流動樹脂組成物の硬化樹脂層であることを特徴とする微小流路素子、及び、二枚の基板と、該基板に挟まれた硬化樹脂層と、該硬化樹脂層に設けられた流路とを具備する微小流路素子であって、前記二枚の基板の硬化樹脂層側が、少なくとも1つの親水基を有するラジカル重合性単量体、イオン基を有するラジカル重合性単量体、又は親水基を有するラジカル重合性単量体及び親水基を有さないラジカル重合性単量体の混合物の何れかを含有する光硬化性流動樹脂組成物より成る硬化樹脂膜で表面コートされ、前記硬化樹脂層が、前記硬化樹脂膜と同一の光硬化性流動樹脂組成物で形成されていることを特徴とする微小流路素子が開示されている。
国際公開第WO96/20401号パンフレット 特開平11−281637号公報 特開平6−169756号公報 特開平10−73591号公報
以上のような技術を鑑みた場合、HPLCにおいて、基板上に形成されたマイクロチャネル中に分離層を形成した高性能な分離素子が必要であることが理解される。前述のように、効率的な分離に寄与する非常に有効な手段の一つとして、移動相として用いられる溶媒の組成を変化させた分析方法が挙げられるが、この手法は溶媒を数種類用意する必要があり、操作が煩雑になる。従って、本発明の目的は、より簡便で操作性の良好な分離素子の製造方法及び分離素子を提供することにある。
上記のような課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究の結果本発明に至った。すなわち、本発明には以下の各態様が含まれる。
(1)2以上の異なる物質を分離するための物質分離素子であって、
基体と、該基体に設けられた流路とを有し、
該流路は、媒体と前記2以上の異なる物質とを含む試料の注入口及び排出口と、該試料に含まれる2以上の異なる物質のそれぞれに対して該流路中での異なる移動度を与える分離部と、を有し、
前記異なる物質のそれぞれの移動度に対して影響をおよぼす特性が、前記分離部内において前記試料の移動方向に沿って変化している
ことを特徴とする物質分離素子。
(2)前記流路中に複数の分離部を有する上記項目(1)に記載の物質分離素子。
(3)前記複数の分離部に少なくとも異なる分離特性を有するものが含まれる上記項目(2)に記載の物質分離素子。
(4)前記流路を複数有する上記項目(1)〜(3)のいずれかに記載の物質分離素子。
(5)前記分離部の移動度に対して影響をおよぼす特性が、物理的特性または化学的特性の少なくとも一方である上記項目(1)〜(4)のいずれかに記載の物質分離素子。
(6)前記分離部が、分離材と該分離材の分離特性を変化させる添加剤とを有し、該添加剤の含有量の変化によって前記移動度に対して影響をおよぼす特性が変化している上記項目(1)〜(5)のいずれかに記載の物質分離素子。
(7)前記添加剤がシラン化合物である上記項目(6)に記載の物質分離素子。
(8)前記異なる物質が生体物質である上記項目(1)〜(7)のいずれかに記載の物質分離素子。
(9)媒体と2以上の異なる物質とを含む試料中のこれらの2以上の異なる物質を互いに分離するための物質分離素子の製造方法であって、
基体に前記試料の流路となる部分を形成する工程と、
前記流路となる部分中の分離部となる部分に、分離材で充填した状態を得る工程と、
前記充填材が充填された状態の部分の前記試料の移動方向に沿って該充填材の分離特性を変化させることのできる添加剤をその付与量を変化させて付与して分離部を形成する工程と、
前記流路となる部分に前記試料の注入口と排出口を設けて流路を形成し、物質分離素子を得る工程と、
を有することを特徴とする物質分離素子の製造方法。
(10)前記流路中に複数の分離部を形成する上記項目9に記載の製造方法。
(11)前記複数の分離部に少なくとも異なる分離特性を有するものが含まれる上記項目(10)に記載の製造方法。
(12)前記流路を複数有する上記項目(9)〜(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13)前記分離部の移動度に対して影響をおよぼす特性が、物理的特性または化学的特性の少なくとも一方である上記項目(9)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)前記添加剤がシラン化合物である上記項目(9)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
(15)前記異なる物質が生体物質である上記項目9〜14のいずれかに記載の製造方法。
(16)添加剤の付与をインクジェット法によって行う上記項目(9)〜(14)のいずれかに記載の製造方法。
本発明の方法及び本発明の方法を用いて作製される物質分離素子により、より簡便で効率的な物質の分離が可能となり、微小流路を用いた分離、反応、分析等の化学、生化学的操作がより効率的に行われるようになる。
本発明の分離素子における流路は、互いに分離すべき2以上の異なる物質を含む試料のその注入口から排出口への流れが形成されるように構成され、その少なくとも一部が、これらの異なる物質ごとに移動度が異なる分離部として形成されている。なお、この移動度は、分離部において吸着や結合などで分離対象の物質の少なくとも1つが固定されて移動しなくなる場合も含まれる。更に、固定状態は、完全に固定される場合や、適当な洗浄剤や溶離剤で再び分離部から物質が離れることができる場合も含まれる。
試料としては、流体として流路を流れることができるもので、試料中に含まれる2以上の異なる物質を分離部において分離できる構成を有するものであればよい。流体が、液体の場合は、水や有機溶剤、あるいはこれらの混合物などの液媒体を、流体が気体の場合は、窒素ガスやヘリウム、あるいはアルゴンガスのような不活性ガスなどを、分離対象の物質の種類に応じて選択して用いることができる。また、媒体中には、分離対象として物質に応じて各種の物質を更に含有させることができる。例えば、生体物質の分離を行う場合には、緩衝液を形成できる成分などを用いることができる。
分離対象物質は、媒体中に溶解、混在または分散して存在させることができ、分離操作時において、液体、固体あるいは気体の状態で存在するものであることができる。
分離部は、流路の少なくとも一部に形成され、分離材が流路内に充填された状態の形態として形成される。このような形態の形成には、(1)流路を構成する溝に分離材を充填する方法や(2)基体の所定部を加工して充填材が充填された状態に変化させる方法などを用いることができる。上記の(1)の方法には基体の所定部にエッチングにより溝を形成し、その溝の少なくとも一部に分離材を充填する方法などが挙げられる。上記の(2)の方法には、基体の陽極酸化し得る材料からなる所定部を、陽極酸化して酸化物が充填されたものと同じ構造を形成する方法などが挙げられる。更に、後者の方法において酸化物を基体構成材料と異なるものとする場合には、基体の所定部に流路に対応するパターンで金属などの基材と異なる材料を蒸着などの方法により付着させ、付着した材料を更に陽極酸化して酸化物として、流路にこの酸化物からなる分離材が充填された状態を得る方法などが利用できる。なお、このような基体と異なる材料から分離材を得る場合は、基体の所定部に流路となる溝をエッチングなどによって形成し、その溝の少なくとも一部に基材と異なる材料を付与して酸化物とする方法が好適に利用できる。
更に、基体の表面上に酸化物を形成し得る金属などの材料からなる部分を流路に対応した帯状などのパターンとして形成し、このパターンを陽極酸化して分離材が充填された状態の流路を形成し、その所定部に分離材の分離特性を変化させることのできる添加剤を付与し、更にこの流路を樹脂などの適当な材料で被覆して、注入口及び排出口を有する流路とする方法も本発明の分離素子の形成に利用できる。この場合、基体としては流路となる部分以外が陽極酸化されない状態にあるものが利用される。
なお、基材に設けられた流路となる部分の材料を処理して充填材としての性質を持つように変化させる方法としては、上記の陽極酸化以外で同様の効果が得られる材料と処理方法の組合せも用いることができる。
基体には複数の流路を形成することもでき、また、1つの流路中に2以上の分離部を形成してもよい。複数の分離部を1つの流路中に形成する場合は、全ての分離部の分離特性を同じとしてもよく、少なくとも2つの分離部間で分離特性を異なるものとしてもよい。
基材は上記の流路及び分離部の形成方法に応じて選択でき、例えば、ガラス、セラミックス、金属、プラスチックなどを含む有機高分子材料などからなるものが利用できる。
なお、基体に流路として形成した溝は、必要に応じて適当な部材の接合により覆いを形成して閉鎖してもよい。
分離部を構成する分離材としては無機材料や有機高分子材料を用いることができる。無機材料としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの複合体を挙げることができ、これらの1種あるいは、必要に応じてこれらの2種以上の組合せを用いることができる。更には必要な場合には磁性又は非磁性フェライト等の金属酸化物、活性炭、酸性白土、カオリナイト、ベントナイト、多孔質ガラス、シリカ−アルミナ、酸化チタン−シリカ−アルミナ、ヒドロキシアパルタイト、リン酸カルシウムゲル等の無機質担体の少なくとも1種を分離材に適宜選択して添加することができる。
有機高分子材料としては、グルテン、デンプン、キチン、タンニン−アミノヘキシルセルロース、フェノキシアセチルセルロース等の有機高分子材料を適宜選択して用いることができる。これらの1種または、必要に応じてこれらの2種以上を組み合わせて用いることができる。
分離部を構成する材料は多孔質構造を有する材料や繊維状の材料であることが好ましい。
分離部における分離特性を試料の移動方向に沿って変化させるための添加剤としては、分離対象としての物質の移動度に及ぼす分離材の物理的特性及び化学的特性の少なくとも一方を変化させるものが好適に利用される。
このような添加剤としては、分離部を形成する材料の物理化学的特性を変化させることのできるシラン化合物、強酸、強塩基化合物などを挙げることができる。なお、シラン化合物は、基材表面の疎水性/親水性、極性/非極性、酸性/塩基性のような化学的性質を変化させたり、分子が微細間隔のある体積を占めることにより空間的性質を変化させたりすることができるものである。
また、強酸や強塩基化合物はエッチャントとして基材の微小孔の大きさを変化させ、また表面の水酸基等の官能基の露出度を変化させることのできるものである。
また、アフィニティ分離素子として用いる場合には、ある種の化合物に特異的な結合を示す材料を基材表面に添加剤として加えることができる。ひとつの例としては、レクチン、タンパク質の一種であるコンカナバリンAを添加して、糖類の分離を行うことが可能となる。
更に、分離材の物理化学的特性を変化せしめる添加剤を添加する工程には各種の方法が利用できるが、添加剤を含む溶液をインクジェット法により付与する方法が、付与位置や付与量の精細な制御が可能であるなどの点から特に好適である。添加剤の付与に用いるインクジェット法に、各種の方式によるものを利用することができ、例えば、熱エネルギーを用いた方式、圧電素子を用いた方式、静電型方式、ソレノイド方式、エアブラシ方式を目的に応じて適宜利用することが可能である。インクジェット法により、流路内の分離材に対して、試料の移動方向に添加剤を含む溶液の付与量(例えば液滴の個数)を変化させて付与することで、添加剤の分離材中での濃度(保持量)を変化させることが容易となる。この方法によれば、試料の移動方向において添加剤の濃度が連続的(グラジエント型:例えば図2参照)に、あるいは段階的に変化する構成を得ることができる。
本発明の方法に関連する先行技術として、特開2001−330598号公報には、多層充填剤充填カラムが開示されているが、いわゆる充填型のカラムであり、本発明のような精密な制御は困難となる場合がある。
また本発明は、下記の実施例でも示すように、酵素に対して親和性のある官能基と疎水性の官能基とを有する酵素固定用担体、特に酵素に対して親和性のある官能基と疎水性の官能基を有するカップリング剤を結合した酵素固定化用無機質または有機質担体とすることもできる。この場合のシランカップリング剤は、酵素に対して親和性のある官能基を有する化合物、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシシラン、及びp−[N−(2−アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシランより選択した1種以上であり、疎水性の化合物がトリメトキシフェニルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリメチルエトシキシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、及びメチルビニルジメトキシシランより選択した1種以上であり、また3−[N−アリル−N(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトキシシランであり、及び酵素に対して親和性のある官能基と疎水性の官能基を共に有する化合物が3−[N−アリル−N(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトキシシランという組合せが考えられる。
上記の構成の酵素固定用担体に所望とする酵素を固定することで分離部を得ることができる。
上記の説明では、主にHPLCの用途を示しているが、本発明の方法は、この様なガスクロマトグラフ用分離装置における液相コーティングの際も利用することができ、カラムの所定の位置に所望の量の液相を形成せしめることが可能である。
特開2001−343377号公報には、表面に微細な溝を形成したシリコンからなる第1の基板と、前記溝を密封して連続した中空の流路が形成されるように接合された第2の基板からなることを特徴とするキャピラリカラムであって、微細な溝には、アルミニウムを蒸着し、アルミニウムを陽極酸化させて吸着剤としたことを特徴とするキャピラリカラムが開示されているが、この様な系にも応用することが可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが本発明は以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1
図1は、本発明の微小流路素子の製造工程例を示す工程図である。まず、パイレックスガラスをNaOH溶液に入れ、溶液中に2本の電極を差し込み50Vの電圧を印加しながらマイナス電極をパイレックスガラスに接触させて、直径0.5mmの孔を2箇所に形成し、それぞれ流入口11、流出口12とした。同図(A)に、流体の流入口11、流出口12を形成した覆いとなるパイレックスガラス10を示した。
一方、抵抗率が0.001〜100Ωcm程度のp型単結晶シリコン基板20の表面上に、作製する流路に対応する表面部分を残してマスキングをした後、濃度25容量(vol.)%のフッ化水素酸(HF)溶液中に浸した。溶液中のシリコン基板20の前記マスキング面付近に白金電極を配置し、これを陰極とし、シリコン基板20の裏面を陽極に接続した。陽極電流密度20mA/cm2、溶液温度25℃で、陽極化成を行い、シリコン基板表面上の長さ3mm、幅50μmの直線状の非マスキング部に、表面からの深さ30μmまで、多孔質部分を形成した。更に、850℃で、60分間高温処理し、多孔質の孔径及び孔の枝を広げて連続気泡化し、多孔質領域からなる流路21を得た。
次に熱酸化炉を用いて1100℃の酸素雰囲気中で酸化することにより多孔質流路の表面をニ酸化シリコンとした。
同図(B)に表面に多孔質流路21を形成した表面二酸化シリコン化シリコン基板20を示す。
次に、オクタデシルジメチルメトキシシラン(ODS)を含むシラン化剤の1質量%水溶液を室温下で2時間攪拌し、メトキシル基を加水分解した。この溶液を、インクジェットプリンタ(吐出口径20μm)を用いて吐出頻度を変化させながら前記多孔質流路(同図(B))に沿って添加した。この基板を120℃に加熱したオーブン中でベークすることにより反応を完了させた。
得られた多孔質流路の表面をFT−IRにて測定した。測定したポイントは、ODSの添加開始末端から0.3mm、1.0mm、2.0mm、及び2.7mmの4点で行い、評価はシラノール基に対しては820〜900cm-1に現れる吸収を、ODSに対しては1420−1470cm-1に現れるメチレンの変角振動に基づく吸収を基準とした。
表1に各ポイントにおける各官能基の割合を示す。いずれも最も吸収スペクトル面積の大きい部分を100%とした場合のパーセンテージで示した。
Figure 2005172753
この結果より、明らかに末端ODS基のグラジエント修飾型二酸化シリコン多孔質流路が得られたことが示された。
次に、前記パイレックスガラス10をシリコン基板20の流路が形成された面に、流入口及び流出口と流路とを対応させて重ねてエポキシ樹脂により接合を行った。同図(C)に作製した微小流路素子30を示す。
実施例2
安息香酸、サリチル酸、フェノールの100mMリン酸緩衝液(pH7.0;KH2PO4−Na2HPO4)混合水溶液を、実施例1において作製した微小流路素子30の流入口11から流入して、不図示のキャピラリーを接続して、不図示のポンプに連結した。ポンプにより、流入口11に圧力をかけて100mMリン酸緩衝液/メタノール(75/25(v/v))を多孔質流路21に送り込んだ。混合溶液は多孔質流路21を通過する間に多孔質流路により分離作用を受けて流出口12に到達した。流出口12には不図示のキャピラリーが接続されており、流出口12に到達した溶液はキャピラリーを通過して不図示の紫外吸収検出器(270nm)により同定された。
測定の結果、安息香酸、サリチル酸、フェノールの溶離時間の差に基づいた3本の明瞭な出力信号ピークを得ることができた。
実施例3
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを含むシランカップリング剤の1質量%水溶液を室温下で2時間攪拌し、メトキシル基を加水分解した。この溶液を、インクジェットプリンタ(吐出口径20μm)を用いて吐出頻度を変化させながら実施例1と同様の方法により得られた表面二酸化シリコン型多孔質流路に沿って添加した。この基板を120℃に加熱したオーブン中でベークすることにより反応を完了させた。
実施例1と同様の方法で、得られた多孔質流路の表面をFT−IRにて測定した。表2に各ポイントでのアミノ基由来(1600cm-1付近)吸収ピークの割合を示す。
Figure 2005172753
この結果より、明らかに末端アミノ基のグラジエント修飾型二酸化シリコン多孔質流路が得られたことが示された。
表面にアミノ基の露出した部分は、例えばN−マレイミドカプロイロキシスクシイミドのような化合物を介し、チオール基を有するタンパク質やペプチド、DNAといった生体分子、或いはシクロデキストリンのような光学分割が可能な化合物、更にアビジン標識された化合物に特異的に吸着しうるビオチン等、様々な相互作用に基づく吸着分離を行うことが可能な微小多孔質を作成することができる。
また、上記2つの実施例では、それぞれ固液分離、液液分離を例示したが、上記態様の素子は、実施例に限定されず、ガスクロマトグラフィー等の気体の分離のための液相としても利用することができる。
また、本発明にかかる多孔質流路は、従来の微小流路と組み合わせて使用することも可能である。
本発明の物質分離素子の製造工程の一例を示す図である。 複数の流路を有し、各流路の分離部における添加剤の付与量の変化が試料の流れる方向に順次変化している形態を模式的に示す図である。
符号の説明
10 覆い
11 流入口
12 流出口
20 基板
21 流路
30 微小流路素子

Claims (16)

  1. 2以上の異なる物質を分離するための物質分離素子であって、
    基体と、該基体に設けられた流路とを有し、
    該流路は、媒体と前記2以上の異なる物質とを含む試料の注入口及び排出口と、該試料に含まれる2以上の異なる物質のそれぞれに対して該流路中での異なる移動度を与える分離部と、を有し、
    前記異なる物質のそれぞれの移動度に対して影響をおよぼす特性が、前記分離部内において前記試料の移動方向に沿って変化している
    ことを特徴とする物質分離素子。
  2. 前記流路中に複数の分離部を有する請求項1に記載の物質分離素子。
  3. 前記複数の分離部に少なくとも異なる分離特性を有するものが含まれる請求項2に記載の物質分離素子。
  4. 前記流路を複数有する請求項1〜3のいずれかに記載の物質分離素子。
  5. 前記分離部の移動度に対して影響をおよぼす特性が、物理的特性または化学的特性の少なくとも一方である請求項1〜4のいずれかに記載の物質分離素子。
  6. 前記分離部が、分離材と該分離材の分離特性を変化させる添加剤とを有し、該添加剤の含有量の変化によって前記移動度に対して影響をおよぼす特性が変化している請求項1〜5のいずれかに記載の物質分離素子。
  7. 前記添加剤がシラン化合物である請求項6に記載の物質分離素子。
  8. 前記異なる物質が生体物質である請求項1乃至7のいずれかに記載の物質分離素子。
  9. 媒体と2以上の異なる物質とを含む試料中のこれらの2以上の異なる物質を互いに分離するための物質分離素子の製造方法であって、
    基体に前記試料の流路となる部分を形成する工程と、
    前記流路となる部分中の分離部となる部分に、分離材で充填した状態を得る工程と、
    前記充填材が充填された状態の部分の前記試料の移動方向に沿って該充填材の分離特性を変化させることのできる添加剤をその付与量を変化させて付与して分離部を形成する工程と、
    前記流路となる部分に前記試料の注入口と排出口を設けて流路を形成し、物質分離素子を得る工程と、
    を有することを特徴とする物質分離素子の製造方法。
  10. 前記流路中に複数の分離部を形成する請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記複数の分離部に少なくとも異なる分離特性を有するものが含まれる請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記流路を複数有する請求項9〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記分離部の移動度に対して影響をおよぼす特性が、物理的特性または化学的特性の少なくとも一方である請求項9〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 前記添加剤がシラン化合物である請求項9〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 前記異なる物質が生体物質である請求項9〜14のいずれかに記載の製造方法。
  16. 添加剤の付与をインクジェット法によって行う請求項9〜14のいずれかに記載の製造方法。
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