JP2005172039A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】多量の水と接触する環境下でも長期間安定して使用できる転がり軸受を提供することである。
【解決手段】軸受1の本体1aの内部に充填する潤滑剤として、潤滑グリースを超高分子量ポリエチレンに分散保持させて水分と接触しても乳化しないようにした固形潤滑剤を採用することにより、軸受1を組み込んだバックアップロール2に多量の水がかかって軸受本体1a内部に水が浸入しても、潤滑剤の潤滑特性の低下や外部への漏れを生じることがなく、軸受本体1a内部の潤滑状態を長期間にわたって良好に保持できるようにしたのである。
【選択図】図1
【解決手段】軸受1の本体1aの内部に充填する潤滑剤として、潤滑グリースを超高分子量ポリエチレンに分散保持させて水分と接触しても乳化しないようにした固形潤滑剤を採用することにより、軸受1を組み込んだバックアップロール2に多量の水がかかって軸受本体1a内部に水が浸入しても、潤滑剤の潤滑特性の低下や外部への漏れを生じることがなく、軸受本体1a内部の潤滑状態を長期間にわたって良好に保持できるようにしたのである。
【選択図】図1
Description
この発明は、多量の水と接触する環境で使用される転がり軸受に関する。
多量の水と接触する厳しい環境で使用される転がり軸受は、一般に、潤滑剤が充填された軸受内部への水の浸入を防止するために、オイルシール等のシール性に優れた構造の密封装置を備えている。
このような転がり軸受としては、例えば、熱延帯鋼の酸洗ラインの前処理工程に設置されるレベラーのバックアップロール軸受がある。酸洗ラインのレベラーは、バックアップロールに補強された作業ロールで帯鋼に数%の伸び(曲げ)を与え、熱延後の冷却工程で帯鋼表面に生成したスケール(酸化皮膜)に亀裂を生じさせるとともに、帯鋼表面に高圧水を吹き付けてスケールを除去する設備であり、通常は、バックアップロールの軸受部にも多量の水がかかるようになっている。
図2は、上述したレベラーのバックアップロール軸受の一例を示す。この軸受51は、バックアップロール52の外筒53と外筒53内に挿入される固定軸54との間に組み込まれて、外筒53を回転自在に支持するもので、軸受本体51aと、本体51aの外側に組み込まれ、2つのオイルシール55を有する密封装置51bとから成る。軸受本体51aは、自動調心ころ軸受で、その内部には耐水性の高いグリースが充填されている。
また、図3は、図2で示した密封装置51bに代えて、オイルシール56とラビリンスシール57とを組み合わせた複合シール構造の密封装置51cを組み込んだ例を示している。その他の部分の構成は、図2の例と同じである。このような複合シール構造の密封装置の採用は、特許文献1にも提案されている。
上記の各例の転がり軸受では、密封装置のシール構造にシール性の高いオイルシールを採用しているが、オイルシールのリップ部が相手部材と摺動するときの摩擦熱により硬化して徐々に摩耗していくため、使用中にシール性が低下することが避けられない。
特に、上記レベラーのバックアップロール軸受等、多量の水に加えてスケールのような硬度の高い異物が降りかかってくる場合には、密封装置の周辺部に堆積した異物がリップ部と相手部材の摺動面との間に噛み込んで、リップ部に異常摩耗や破れ等の損傷が生じたり、相手部材に摩耗を生じさせたりするので、早期にシール性が低下することが多い。
密封装置のシール性が低下すると、密封装置の外側に接触する水が軸受内部に浸入し続けるようになり、グリースが耐水性の高いものであっても徐々に乳化してしまう。これにより、グリースの潤滑特性が低下するだけでなく、グリースが軸受外部へ漏れ出しやすくなるので、軸受内部が潤滑不良となって、軸受各部に異常摩耗が生じたり、回転不良が発生したりする。そして、このような潤滑不良の状態が続くと、軸受に焼付きが発生し、軸受寿命が大幅に短縮されてしまう場合がある。
このため、通常は、水浸入対策としてオイルシールや相手部材を頻繁に交換しており、保全コストが高いことが問題となっている。
また、その他の水浸入対策として、軸受を接触シールを備えた密封型のものに変更する方法もあるが、この場合も、接触シールの緊迫力を適正に設定しなければオイルシールと同じ問題が生じる。一方、適正なシール緊迫力を確実に得ようとすると、接触シールおよび相手部材に高い加工精度が要求され、製作コストの上昇を招く。
実公平5−20891号公報
この発明の課題は、多量の水と接触する環境下でも長期間安定して使用できる転がり軸受を提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明は、多量の水と接触する環境で使用され、潤滑剤が充填された軸受内部への水の浸入を防止するための密封装置を備えた転がり軸受において、前記潤滑剤として、合成樹脂基材に潤滑グリースを分散保持させた固形潤滑剤を採用した構成を採用したのである。
すなわち、軸受内部に充填する潤滑剤として、水分と接触しても乳化することのない固形潤滑剤を採用することにより、使用中に密封装置のシール性が低下して軸受内部に水が浸入しても、潤滑剤の潤滑特性の低下や軸受外部への漏れを生じることがなく、軸受内部の潤滑状態を良好に保持できるようにしたのである。
この固形潤滑剤採用の効果は、以下の実験により確認した。実験は、同一仕様のシールド型深溝玉軸受(内径20mm)を2つ用意し、一方に通常のグリースを、他方に固形潤滑剤をそれぞれ充填し、各軸受を下記の条件で注水しながら運転して焼付きに至るまでの時間を比較した。
(実験条件)
負荷荷重:784N(基本動定格荷重の6%)
回転数 :0〜10000rpm(外輪回転)
運転方法:(加速(停止→10000rpm/0.5sec)→保持(10000rpm/180sec)
→減速(10000rpm→停止/0.5sec))を1サイクルとし、
(10サイクル断続→ 100サイクル連続→10サイクル断続→ 300サイクル 連続)のパターンを繰り返す。
注水方法:10サイクル断続運転中、1サイクル毎に軸受内部へ注射器で水10CCを注入。
(実験条件)
負荷荷重:784N(基本動定格荷重の6%)
回転数 :0〜10000rpm(外輪回転)
運転方法:(加速(停止→10000rpm/0.5sec)→保持(10000rpm/180sec)
→減速(10000rpm→停止/0.5sec))を1サイクルとし、
(10サイクル断続→ 100サイクル連続→10サイクル断続→ 300サイクル 連続)のパターンを繰り返す。
注水方法:10サイクル断続運転中、1サイクル毎に軸受内部へ注射器で水10CCを注入。
この実験の結果、一方の軸受は、グリースが乳化により全て流出して600サイクルで焼付きが生じたのに対して、他方の固形潤滑剤を充填した軸受は、6000サイクル運転後も焼付きが発生せず、軸受寿命が従来の10倍以上となることが確認された。
上記の構成においては、前記密封装置のシール構造は、必ずしもシール性が高いことを要求されないので、構造の簡単なラビリンスシールを採用することができる。
この発明は、熱延帯鋼の酸洗ラインに設置されたレベラーのバックアップロールの支持に使用される転がり軸受、特に、軸受形式が、自動調心ころ軸受、円筒ころ軸受、ニードル軸受、深溝玉軸受のうちのいずれかである場合に、有効に適用することができる。
この発明は、上述したように、転がり軸受の内部に充填する潤滑剤として固形潤滑剤を採用し、軸受内部に水が浸入しても潤滑状態を良好に保持できるようにしたので、多量の水と接触する環境で使用される軸受の寿命を、従来よりも大幅に延長することができる。従って、この軸受を組み込んだ装置は、メンテナンス周期が長くなって稼働率が向上し、ランニングコストの低減を図ることができる。
また、密封装置のシール構造をラビリンスシールとすることにより、従来構造におけるオイルシールリップ部の発熱や摩耗の問題をなくせるとともに、軸受を組み込んだ装置の構造を簡素化して製造コストを低減することができる。
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1は、実施形態の転がり軸受1を、熱延帯鋼の酸洗ラインに設置されたレベラーの作業ロール(図示省略)を補強するバックアップロール2に組み込んだ状態を示す。この軸受1は、バックアップロール2の外筒3と外筒3内に挿入される固定軸4との間に組み込まれて、外筒3を回転自在に支持するもので、軸受本体1aと、本体1aの外側に組み込まれる密封装置1bとから成る。
前記軸受本体1aは、2列の軌道を有する内輪5と球面の軌道を有する外輪6との間に2列のたる形のころ7を配した開放形の自動調心ころ軸受で、その内部の空間には固形潤滑剤がほとんど隙間なく充填されている。なお、軸受形式は自動調心ころ軸受に限らず、円筒ころ軸受、ニードル軸受、深溝玉軸受とすることもできる。
固形潤滑剤は、合成樹脂基材としての超高分子量ポリエチレンに潤滑グリースを分散保持させたもので、潤滑グリースには、鉱油中に増稠剤としてのリチウム石鹸を分散させたものを使用している。なお、この潤滑剤は、焼成前の状態ではグリース状であるが、一度加熱して冷却することにより、多量の潤滑グリースを保持させたまま硬化させることができる。
一方、前記密封装置1bは、外筒3端部内周に嵌め込まれる外方部材8と、固定軸4端部外周に嵌め込まれる内方部材9とから成り、外方部材8内周面と内方部材9外周面のそれぞれの凹凸が僅かな隙間をもって対向することにより、ラビリンスシール構造が形成されている。また、外方部材8および内方部材9は、それぞれ外筒3および固定軸4の環状溝に嵌め込まれる止め輪10、11で抜け止めされて、一端部が軸受本体1aの内外輪5、6に押し付けられ、軸受本体1aの軸方向移動を拘束している。
この転がり軸受は、上記の構成であり、軸受内部に充填する潤滑剤として、水分と接触しても乳化することのない固形潤滑剤を採用しているので、軸受内部に水が浸入しても、潤滑剤の潤滑特性の低下や軸受外部への漏れを生じることがなく、軸受内部の潤滑状態を良好に保持できる。また、密封装置のシール構造をラビリンスシールとしているので、オイルシール構造のような発熱や摩耗の問題がないうえ、バックアップロール軸受部の構造の簡素化にも寄与している。この転がり軸受を実機で使用した結果、従来のオイルシール構造の密封装置を備えた軸受の2倍以上の寿命が得られた。
なお、この発明は、実施形態で説明した酸洗ラインのレベラーのバックアップロール軸受に限らず、多量の水と接触する環境で使用される転がり軸受に広く適用可能である。
1 転がり軸受
1a 軸受本体
1b 密封装置
2 バックアップロール
3 外筒
4 固定軸
1a 軸受本体
1b 密封装置
2 バックアップロール
3 外筒
4 固定軸
Claims (4)
- 多量の水と接触する環境で使用され、潤滑剤が充填された軸受内部への水の浸入を防止するための密封装置を備えた転がり軸受において、前記潤滑剤として、合成樹脂基材に潤滑グリースを分散保持させた固形潤滑剤を採用したことを特徴とする転がり軸受。
- 前記密封装置のシール構造をラビリンスシールとした請求項1に記載の転がり軸受。
- 熱延帯鋼の酸洗ラインに設置されたレベラーのバックアップロールの支持に使用される請求項1または2に記載の転がり軸受。
- 軸受形式が、自動調心ころ軸受、円筒ころ軸受、ニードル軸受、深溝玉軸受のうちのいずれかである請求項1乃至3のいずれかに記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003409284A JP2005172039A (ja) | 2003-12-08 | 2003-12-08 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003409284A JP2005172039A (ja) | 2003-12-08 | 2003-12-08 | 転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005172039A true JP2005172039A (ja) | 2005-06-30 |
Family
ID=34730719
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003409284A Pending JP2005172039A (ja) | 2003-12-08 | 2003-12-08 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005172039A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102008030375A1 (de) | 2008-06-25 | 2009-12-31 | Schaeffler Kg | Dichtvorrichtung für ein Drehlager |
CN102878207A (zh) * | 2012-09-25 | 2013-01-16 | 济钢集团有限公司 | 一种轧机轧辊的轴承座密封装置 |
-
2003
- 2003-12-08 JP JP2003409284A patent/JP2005172039A/ja active Pending
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