JP2005170845A - 芳香族化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Mitsunori Ito
光則 伊藤
Tetsuya Inoue
哲也 井上
Hideji Ikeda
秀嗣 池田
Toshihiro Iwakuma
俊裕 岩隈
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Abstract

【課題】 高効率で発光する有機EL素子を得るための化合物を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される芳香族化合物である。
【化1】
Figure 2005170845

(Ar1 は、例えば炭素数6〜90のアリーレン基、炭素数3〜90のヘテロアリーレン基及び炭素数1〜40のアルキレン基から選ばれる基、Ar2 〜Ar5 は、例えば炭素数6〜90のアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基及び炭素数1〜40のアルコキシ基から選ばれる基である。Ar1 〜Ar5 のうち少なくとも一つは、炭素数6〜90のアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基、炭素数2〜40のアルケニル基、炭素数2〜40のアルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有する。X及びYは、C、Si又はGe、R1及びR2は、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基及び炭素数2〜40のアルケニル基から選ばれる基である。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規芳香族化合物、及び発光効率に優れる有機エレクトロルミネッセンス素子に関し、詳しくは特定の分岐構造を有する新規芳香族化合物、この芳香族化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、この芳香族化合物を含む発光性有機溶液及びこの芳香族化合物を含む積層構造薄膜に電界を印加して光を放出する有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下エレクトロルミネッセンスをELと略記することがある。)は、電界を印加することより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。イーストマン・コダック社のC.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の報告(C.W. Tang, S.A. Vanslyke, アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters),51巻、913頁、1987年等)がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われている。Tangらは、トリス(8−ヒドロキシキノリノールアルミニウム)を発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じ込めること等が挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送発光層の2層型、及び正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
有機ELの発光材料としてはトリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体等のキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体等の発光材料が知られており、それらからは青色から赤色までの可視領域の発光が得られることが報告されており、カラー表示素子の実現が期待されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
また、近年、有機EL素子の発光層に蛍光材料の他に、リン光材料を利用することも提案されている( 例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)
このように有機EL素子の発光層において有機リン光材料の励起状態の一重項状態と三重項状態とを利用し、高い発光効率が達成されている。有機EL素子内で電子と正孔が再結合する際にはスピン多重度の違いから一重項励起子と三重項励起子とが3:1の割合で生成すると考えられているので、りん光性の発光材料を用いれば蛍光のみを使った素子の3〜4倍の発光効率の達成が考えられる。
このような有機EL素子においては,3重項の励起状態または3重項の励起子が消光しないように順次、有機発光層、電子輸送層(正孔阻止層)、電子注入層、陰極のように層を積層する構成が用いられ、有機発光層にはホスト化合物とりん光発光性の化合物が用いられている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。ホスト化合物としては、4,4−N,Nジカルバゾールビフェニルが用いられてきたが、この化合物はガラス転移温度が110℃以下であり、さらに対称性が良すぎるため、結晶化しやすく、また、素子の耐熱試験を行った場合、短絡や画素欠陥を生じるという問題があった。
また、蒸着した際,異物や電極の突起が存在する箇所などで結晶成長が生じ,耐熱試験前の初期の状態より欠陥が生じることも見出された。3回対称性を保有するカルバゾール誘導体もホストとして用いられている。しかしながら、対称性が良いため、蒸着した際,異物や電極の突起が存在する箇所などで結晶成長が生じ,耐熱試験前の初期の状態より欠陥が生じることは免れていない。
りん光発光性化合物としては、一般にイリジウム錯体が用いられ、発光層はホスト化合物中にイリジウム錯体を、通常5質量%以下で混合したものから形成されている。ホスト化合物に対するりん光発光性化合物の濃度は、ホスト化合物とりん光発光性化合物の組み合わせにもよるが、通常5〜50質量%程度であり、通常、ホスト化合物に対するりん光発光性化合物の濃度が高いほど発光強度は高くなるという比例関係が成り立っている。しかし、この濃度がある一定の比率を超えると、この比例関係がくずれ、発光強度が減少し、素子の発光効率も低下する。この低下は、濃度消光又は濃度失活として知られており、発光中心材料同士、またはその周辺材料との多量体化反応による無輻射遷移が関係して起きる現象と考えられている(例えば、特許文献5及び特許文献6参照)。
また、りん光独自の問題として、三重項−三重項消滅と言われる熱失活による効率の低下の問題が開示されている(例えば、特許文献7参照)。三重項−三重項消滅とは、りん光で利用している三重項励起子が一重項励起子より寿命が長いことから、発光する前に三重項励起子同士が相互作用して熱的に失活してしまうために、発光効率を低下させてしまう現象である。さらに、三重項励起子はその長寿命がゆえに周辺物質の劣化や、励起子同士での多量体形成などによる失活が起こる確率が一重項励起子より多く、ひいては、素子寿命に悪影響を及ぼす可能性もあるものと考えられる。これらの問題を解消し、有機EL素子の高効率化のためにはりん光発光性化合物の濃度を最適化することが重要であった。
近年、りん光発光性化合物の改良研究が進み、有機EL素子を簡便に作製することができる湿式成膜法への適用が可能な有機EL材料も現れてきた(例えば、非特許文献3参照)。しかしながら、これまでの有機EL材料は発光効率が低く、また、高温下では素子性能が不安定で、実用性に乏しいものであった。
特開平8−239655号公報 特開平7−138561号公報 米国特許第6,097,147号明細書 国際公開WO01/41512号公報 特開平5−78655号公報 特開平5−320633号公報 特開2003−73387号公報 D.F.O'Brien and M.A.Baldo et al "Improved energy transferin electrophosphorescent devices" Applied Physics letters Vol. 74 No.3, pp442-444, January 18, 1999 M.A.Baldo et al "Very high- efficiencygreen organic light-emitting devices based on electrophosphorescence" Applied Physics letters Vol.75 No.1, pp4-6, July 5, 1999 Shao-An Chen et al,"High-Efficiency Red-Light Emission from Polyfluorenes Grafted with Cycolometalated Iridium Complexes and Charge Transport Moiety",J.Am.Chem.Soc., Vol. 125, pp636-637, 2003.
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高効率で発光する有機EL素子を得るための化合物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の分岐構造を含む新規芳香族化合物を発光材料として用いると分子同士の会合が抑制され、その結果、発光効率の高い有機EL素子を作製することができることを見出した。また、この新規芳香族化合物を発光材料として用いた素子は高温保存下で長時間駆動させても発光色の変化が小さく、高い安定性を有することがわかった。さらに、この新規芳香族化合物は有機溶媒に対する溶解性が高く、スピンコート法などの湿式成膜プロセスへの適用も可能であることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される芳香族化合物を提供するものである。
Figure 2005170845
(式中、Ar1 は、炭素数6〜90のアリーレン基及びポリアリーレン基、炭素数3〜90のヘテロアリーレン基及びポリヘテロアリーレン基並びに炭素数1〜40のアルキレン基から選ばれる基を示し、Ar2 〜Ar5 は、それぞれ独立に炭素数6〜90のアリール基及びポリアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基及びポリヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基並びに炭素数1〜40のアルコキシ基から選ばれる基を示し、Ar1 〜Ar5 のうち少なくとも一つは、炭素数6〜90のアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基、炭素数2〜40のアルケニル基、炭素数2〜40のアルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有する。X及びYは、それぞれ独立に炭素原子、珪素原子又はゲルマニウム原子を示す。R1 及びR2 は、それぞれ独立に炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基及び炭素数2〜40のアルケニル基から選ばれる基を示し、複数個の置換基を有していてもよい。)
また、本発明は、上記芳香族化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、上記芳香族化合物を含む発光性有機溶液を提供するものである。
さらに、本発明は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を有する一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機薄膜層の少なくとも一層が、上記芳香族化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。
本発明によれば、発光効率が高く、高温保存下で長時間駆動させても発光色の変化が小さく、高い安定性を有する有機EL素子を得ることができる。
本発明の新規芳香族化合物は、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2005170845
式中、Ar2 〜Ar5 は、炭素数6〜90、好ましくは炭素数6〜50のアリール基及びポリアリール基、炭素数3〜90、好ましくは炭素数6〜50のヘテロアリール基及びポリヘテロアリール基、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基並びに炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれる基を示し、該基のうち少なくとも一つは、炭素数6〜90、好ましくは炭素数6〜50のアリール基、炭素数3〜90、好ましくは炭素数6〜50のヘテロアリール基、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜40、好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜40、好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有する。X及びYは、炭素原子、珪素原子又はゲルマニウム原子を示す。R1 及びR2 は、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜40、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基及び炭素数2〜40、好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基から選ばれる基を示し、複数個の置換基を有していてもよい。
炭素数6〜40の置換又は無置換のアリール基の具体例としては、フェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、コロニル基などが挙げられる。ポリアリール基は、これらのアリール基が複数個連結した基である。
炭素数3〜40の置換又は無置換のヘテロアリール基の具体例としては、ピロール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及びチオキサンテンの残基などが挙げられる。ポリヘテロアリール基は、これらのヘテロアリール基が複数個連結した基である。
炭素数1〜40の置換又は無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ベンジル基、α, α−ジメチルベンジル基、2−フェニルエチル、1−フェニルエチルなどが挙げられる。
炭素数1〜40の置換又は無置換のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、1−プロピルオキシ基、2−プロピルオキシ基、1−ブチルオキシ基、2−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジロキシ基、α, α−ジメチルベンジロキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルエトキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
炭素数2〜40の置換又は無置換のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基などが挙げられる。
炭素数2〜40の置換又は無置換のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、メチルエチニル基、フェニルエチニル基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
1 又はR2 が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる。
Ar1 の具体例としては、Ar2 〜Ar5 で説明した基を2価としたものが挙げられる。
上記一般式(1)で表される芳香族化合物としては、X及びYが炭素原子である化合物が好ましく、より好ましくは下記一般式(2)で表される化合物、さらに好ましくは下記一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2005170845
(式中、Ar2a〜Ar5aは、それぞれ独立に炭素数6〜90のアリール基及びポリアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基及びポリヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基並びに炭素数1〜40のアルコキシ基から選ばれる基を示し、これらの基の具体例としては、上記Ar2 〜Ar5 で説明したものと同様のものが挙げられる。これらの基のうち少なくとも一つは、ピロール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及びチオキサンテンの残基から選ばれる置換基を有する。R1 〜R3 は、それぞれ独立に炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基及び炭素数2〜40のアルケニル基から選ばれる基を示し、複数個の置換基を有していてもよい。Zは炭素原子又は窒素原子を示す。)
Figure 2005170845
(式中、M1 〜M4 は、それぞれ独立に炭素数6〜90のアリール基及びポリアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基及びポリヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基並びに炭素数1〜40のアルコキシ基から選ばれる基を示し、これらの基の具体例としては、上記Ar2 〜Ar5 で説明したものと同様のものが挙げられる。これらの基のうち少なくとも一つは、ピロール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及びチオキサンテンの残基から選ばれる置換基を有する。R1 、R2 、R11〜R14及びR21は、それぞれ独立に炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基及び炭素数2〜40のアルケニル基から選ばれる基を示し、複数個の置換基を有していてもよい。Zは炭素原子又は窒素原子を示す。m1 〜m4 は0〜5の整数である。ただし、m1 +m2 +m3 +m4 ≧1である。)
上記一般式(1)で表される芳香族化合物としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
Figure 2005170845
Figure 2005170845
Figure 2005170845
Figure 2005170845
Figure 2005170845
Figure 2005170845
本発明の有機EL素子の素子構造は、電極間に有機層を1層あるいは2層以上積層した構造であり、その例として(陽極/発光層/陰極)、(陽極/正孔注入又は輸送層/発光層/電子注入又は輸送層/陰極)、(陽極/正孔注入又は輸送層/発光層/陰極)及び(陽極/発光層/電子注入又は輸送層/陰極)等の構造が挙げられる。本発明の芳香族化合物は上記のどの有機層に用いられてもよく、他の正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料にドープさせることもできる。また、本発明の芳香族化合物は、単独で用いても混合物の成分として用いてもよい。
正孔注入/輸送材料としては、正孔を輸送する能力を持ち、陽極からの正孔注入効果、発光層又は発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成した励起子の電子注入層又は電子注入材料への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等とそれらの誘導体、及びポリビニルカルバゾール、ポリシランなどの高分子、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(PANI/CSA)などに代表される導電性高分子等の高分子材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の有機EL素子において使用できる正孔注入材料の中で、さらに効果的な正孔注入材料は、芳香族三級アミン誘導体及びフタロシアニン誘導体である。芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、及びこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマー又はポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
フタロシアニン(Pc)誘導体の具体例としては、H2 Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2 SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体及びナフタロシアニン誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電子注入/輸送材料としては、電子を輸送する能力を持ち、陰極からの電子注入効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成した励起子の正孔注入層への移動を防止し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等とそれらの誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、正孔注入材料に電子受容物質を、電子注入材料に電子供与性物質を添加することにより電荷注入性を向上させることもできる。
本発明の有機EL素子において、さらに効果的な電子注入材料は、金属錯体化合物及び含窒素五員環誘導体である。金属錯体化合物の具体例としては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(2−ナフトラート)ガリウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、含窒素五員誘導体としては、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール及びトリアゾール誘導体が好ましい。これらの具体的としては、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−( 4”−ビフェニル) 1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルオキサジアゾリル) ]ベンゼン、1,4−ビス[2−( 5−フェニルオキサジアゾリル) −4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−( 4”−ビフェニル) −1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルチアジアゾリル) ]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−( 4”−ビフェニル) −1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−( 5−フェニルトリアゾリル) ]ベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電子注入層が絶縁体や半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。電子注入層がこれらのアルカリ金属カルコゲナイド等で構成されていると、電子注入性をさらに向上させることができる点で好ましい。
好ましいアルカリ金属カルコゲナイドとして具体的には、例えば、Li2 O、Na2 S及びNa2 Seなどが挙げられ、アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeなどが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl及びNaClなどが挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF2 、BaF2 、SrF2 、MgF2 及びBeF2 等のフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物などが挙げられる。
また、電子輸送層を構成する半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnから選ばれる少なくとも一つの原子を含む酸化物、窒化物及び酸化窒化物などから選ばれる一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。電子輸送層を構成する無機化合物は、微結晶又は非晶質の絶縁性薄膜であることが好ましい。電子輸送層がこれらの絶縁性薄膜で構成されていれば、より均質な薄膜が形成されるために、ダークスポット等の画素欠陥を減少させることができる。なお、このような無機化合物としては、上述したアルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物などが挙げられる。
さらに電子注入層は、仕事関数が2.9eV以下の還元性ドーパントを含有していてもよい。ここで、還元性ドーパントとは、電子輸送性化合物を還元ができる物質と定義される。したがって、一定の還元性を有するものであれば、様々なものが用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物または希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体及び希土類金属の有機錯体からなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を好適に使用することができる。
また、より具体的に、好ましい還元性ドーパントとしては、Na(仕事関数:2.36eV)、K(仕事関数:2.28eV)、Rb(仕事関数:2.16eV)及びCs(仕事関数:1.95eV)からなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリ金属や、Ca(仕事関数:2.9eV)、Sr(仕事関数:2.0〜2.5eV)、及びBa(仕事関数:2.52eV)からなる群から選択される少なくとも一つのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下のものが特に好ましい。
これらのうち、より好ましい還元性ドーパントは、K、Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリ金属であり、さらに好ましくは、Rb及びCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子注入域への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
また、仕事関数が2.9eV以下の還元性ドーパントとして、これら二種以上のアルカリ金属の組合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRbあるいはCsとNaとKとの組み合わせであることが好ましい。Csを組み合わせに含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子注入域への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化を図ることができる。
発光層には蛍光色素をドーピングしてもよい。ドーピングの濃度は特に限定されないが、好ましくは0.1〜20質量%である。蛍光色素の具体例としては、ペリレン誘導体、ルブレン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、スチルベン誘導体、トリスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体など公知の蛍光色素を用いることができる。これらのうちで好ましい蛍光色素はジスチリルアリーレン誘導体であり、さらに好ましくは、アリールアミノ置換ジスチリルアリーレン誘導体である。
有機EL素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム等及びそれらの合金、ITO基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が用いられる。
陰極に使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等及びそれらの合金が用いられるが、これらに限定されるものではない。合金としては、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウムなどが代表例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、適切な比率に選択される。陽極及び陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていてもよい。
有機EL素子では、効率良く発光させるために、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において充分に透明にすることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。透明電極は、上記の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように設定する。発光面の電極は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば限定されるものではないが、ガラス基板及び透明性樹脂フィルムが好ましい。
透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレンなどが挙げられる。
本発明の有機EL素子の各有機層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディッピング、キャスティング、ロールコート、フローコーティング、インクジェット等の湿式成膜法のいずれの方法を適用することができる。膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝度が得られなくなるおそれがあり、逆に厚すぎると一定の光出力を得るために高い印加電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常、膜厚は5nm〜10μmの範囲が適しているが、10nm〜0.2μmの範囲がさらに好ましい。
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、適切な溶媒に溶解又は分散させて発光性有機溶液を調製し、薄膜を形成するが、その溶媒はいずれであってもよい。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどのハロゲン系炭化水素系溶媒や、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、メタノールやエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、オクタン、デカン、テトラリンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒などが挙げられる。なかでも、トルエン、ジオキサンなどの炭化水素系溶媒やエーテル系溶媒が好ましい。また、これらの溶媒は一種を単独で使用しても二種以上を混合して用いてもよい。なお、使用し得る溶媒はこれらに限定されるものではない。
また、いずれの有機薄膜層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂などが挙げられる。また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などが挙げられる。
本発明により得られた有機EL素子の、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、シリコーンオイル、樹脂等により素子全体を保護することも可能である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[合成例1]
以下の合成経路により化合物(L27)を合成した。
Figure 2005170845
(1)化合物(LC1)の合成
アルゴン雰囲気下、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−α,α’−ジメチル−p−キシレン6.00g(11.9mmol)を塩化メチレン300mlに懸濁させ、この懸濁液にピリジン4.20g(53.0mmol)を添加した後、氷水で冷却した。次いで、無水トリフルオロメタンスルホン酸14.8g(53.0mmol)を塩化メチレン20mlに溶解した溶液を滴下し、1時間攪拌した。その後、氷浴をはずして室温に戻し、3.5時間攪拌した。
得られた反応混合液をイオン交換水、0.1mol/Lの炭酸水素ナトリウム水溶液、0.1mol/Lの塩酸水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去して白色固体を得た。この固体をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ジクロロメタン)で精製して白色固体の化合物8.35g(収率68.1%)を得た。得られた化合物は、FDMS(フィールドディソープションマス分析)により、上記化合物(LC1)であることを確認した。また、FDMSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C382612124 =1030,found m/z=1030(M+ ,100)
(2)化合物(LC2)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(LC1)を2.91g(2.82mmol)、ビスピナコラートジボロン3.15g(12.4mmol,1.1eq)、ジクロロ[(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム0.276g(0.338mmol,3%Pd)、1,1’−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.188g,0.338mmol)及び酢酸カリウム3.32g(33.8mmol,3.0eq)を無水ジオキサン30mlに懸濁させ、この懸濁液を100℃で15時間攪拌した。
得られた反応混合物を水50mlとトルエン50mlで希釈し、ろ別してPd黒を除いた。ろ液から有機層を分取し、飽和食塩水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ヘキサンで洗浄精製して白色固体の化合物21.09g(収率41.0%)を得た。得られた化合物は、FDMSにより、上記化合物(LC2)であることを確認した。また、FDMSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C58744 8 =942,found m/z=942(M+ ,100)
(3)化合物(L27)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(LC2)を1.09g(1.16mmol)、p−ブロモフェニルカルバゾール1.79g(5.55mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.160g(0.139mmol,3%Pd)を無水DMF(ジメチメホルムアミド)20mlに懸濁させ、この懸濁液に2mol/Lの炭酸カリウム水溶液1.92g(13.9mmol,3eq/7ml)を加えて80℃で9時間攪拌した。
得られた反応混合液をイオン交換水50mlと塩化メチレン50mlで希釈し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液、0.1mol/Lの塩酸水溶液及びイオン交換水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去して白色固体を得た。この固体をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル/ジクロロメタン)で精製して、白色固体の化合物0.83g(収率51.1%)を得た。得られた化合物は、FDMSにより、上記化合物(L27)であることを確認した。また、FDMSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C106 744 =1403,found m/z=1403(M+ ,100)
[合成例2]
以下の合成経路により化合物(L52)を合成した。
Figure 2005170845
アルゴン雰囲気下、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−α,α’−ジメチル−p−キシレン0.75g(1.5mmol)、4−(N−カルバゾリル)フェニルボロン酸2.07g(7.2mmol)、酢酸第二銅1.09g(6.0mmol)及びモレキュラーシーブ7.0g(4A,顆粒)を塩化メチレン25mlに懸濁させ、この懸濁液にトリエチルアミン(3.0g,30mmol)を添加した後、室温で30時間反応させた。モレキュラーシーブをろ別した後、有機層を、0.1mol/Lの塩酸水溶液及びイオン交換水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒留去して白色固体を得た。これをカラムクロマトグラフィ(シリカゲル充填)で精製した。精製は、50%ヘキサンと50%ジクロロメタンの混合溶媒で溶出させた後、100%ジクロロメタンで溶出させることにより行なった。この精製により、淡褐色固体の化合物0.30g(収率13.6%)を得た。得られた化合物は、FDMSにより、上記化合物(L52)であることを確認した。また、FDMSの測定結果を以下に示す。
FDMS,calcd for C106 744 4 =1467,found m/z=1467(M+ ,100)
[実施例1]
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。その基板の上に、スピンコート法で正孔注入層に用いるポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を100nmの膜厚で成膜し、ついでIr(ppy)3 [トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム]を5 質量%混合した化合物(L27)のジオキサン溶液を用いてPEDOT/PSSの上に発光層をスピンコート法で成膜した。このときの膜厚は50nmであった。
この膜上に膜厚1 0nmのトリス(8−キノリノール)アルミニウム膜(以下「Alq膜」と略記する。)を成膜した。このAlq膜は、電子注入層として機能する。その後、還元性ドーパントであるLi(Li源:サエスゲッター社製)とAlqを二元蒸着させ、電子注入層(陰極)としてAlq:Li膜を形成した。このAlq:Li膜上に金属Alを蒸着させ金属陰極を形成し、有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子について、通電試験を行い、電圧、電流密度、発光効率、電力効率を測定し、さらに、100℃で50時間保存後の発光面の状態を観察した。これらの素子性能の測定結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、化合物(L27)の代わりに、化合物(L52)を用いた以外は実施例1と同様に素子を作製し、実施例1と同様に素子性能を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、化合物(L27)の代わりに、CBP(4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル)を用いた以外は実施例1と同様に素子を作製し、実施例1と同様に素子性能を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2005170845
本発明の有機EL素子は、フラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に好適に利用できる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される芳香族化合物。
    Figure 2005170845
    (式中、Ar1 は、炭素数6〜90のアリーレン基及びポリアリーレン基、炭素数3〜90のヘテロアリーレン基及びポリヘテロアリーレン基並びに炭素数1〜40のアルキレン基から選ばれる基を示し、Ar2 〜Ar5 は、それぞれ独立に炭素数6〜90のアリール基及びポリアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基及びポリヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基並びに炭素数1〜40のアルコキシ基から選ばれる基を示し、Ar1 〜Ar5 のうち少なくとも一つは、炭素数6〜90のアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基、炭素数2〜40のアルケニル基、炭素数2〜40のアルキニル基、ハロゲン原子、シアノ基及びニトロ基から選ばれる置換基を有する。X及びYは、それぞれ独立に炭素原子、珪素原子又はゲルマニウム原子を示す。R1 及びR2 は、それぞれ独立に炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基及び炭素数2〜40のアルケニル基から選ばれる基を示し、複数個の置換基を有していてもよい。)
  2. 一般式(1)において、X及びYがそれぞれ独立に炭素原子である請求項1に記載の芳香族化合物。
  3. 下記一般式(2)で表される請求項2に記載の芳香族化合物。
    Figure 2005170845
    (式中、Ar2a〜Ar5aは、それぞれ独立に炭素数6〜90のアリール基及びポリアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基及びポリヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基並びに炭素数1〜40のアルコキシ基から選ばれる基を示し、該基のうち少なくとも一つは、ピロール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及びチオキサンテンの残基から選ばれる置換基を有する。R1 〜R3 は、それぞれ独立に炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基及び炭素数2〜40のアルケニル基から選ばれる基を示し、複数個の置換基を有していてもよい。Zは炭素原子又は窒素原子を示す。)
  4. 下記一般式(3)で表される請求項3に記載の芳香族化合物。
    Figure 2005170845
    (式中、M1 〜M4 は、それぞれ独立に炭素数6〜90のアリール基及びポリアリール基、炭素数3〜90のヘテロアリール基及びポリヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基並びに炭素数1〜40のアルコキシ基から選ばれる基を示し、該基のうち少なくとも一つは、ピロール、カルバゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及びチオキサンテンの残基から選ばれる置換基を有する。R1 、R2 、R11〜R14及びR21は、それぞれ独立に炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシ基及び炭素数2〜40のアルケニル基から選ばれる基を示し、複数個の置換基を有していてもよい。Zは炭素原子又は窒素原子を示す。m1 〜m4 は0〜5の整数である。ただし、m1 +m2 +m3 +m4 ≧1である。)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族化合物からなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族化合物を含む有機溶液。
  7. 陰極と陽極間に少なくとも発光層を有する一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機薄膜層の少なくとも一層が、請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
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