JP2005169023A - 保護部材を備えた剃刀 - Google Patents

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Abstract

【課題】剃刀の運行がスムーズでありマッサージ効果にも優れ、またひげ剃り接線角度を一定に維持し、快適で安定したひげ剃りを可能にする剃刀を提供する。
【解決手段】少なくとも、1枚以上の刃体と、突出部を有する保護部材と、キャップ部材と、刃台を備える剃刀において、刃体の前方に並設された前、中、後の3個の突出部は少なくともその1部がそれぞれひげ剃り接線上に位置し、基端部の前方端に向け傾斜する突出部の前面部は、前突出部の傾斜度を最小とし、中突出部の傾斜度を中程度とし、後突出部の傾斜度を中程度あるいは最大とし、ひげ剃り時に前突出部、中突出部、後突出部の順序で皮膚が突出部に接触する。またひげ剃り接線と接触する突出部における接触長は、前突出部の接触長を最も短くし、中突出部の接触長を中程度とし、後突出部の接触長を中程度あるいは最長とする。
【選択図】図8

Description

本発明は剃刀、特に保護部材を備えた剃刀にかんする。
剃刀に配設された保護部材は、剃刀を皮膚に当てがったとき刃先直前の皮膚(例えば皺等)を伸長して刃先が食い込むのを防止したり、ひげを起立させる等の機能をもっている。ゴム質の熱可塑性エラストマ樹脂製の保護部材は滑り抵抗が比較的に大きく、濡れた皮膚を確実に伸長する。またその感触もよい。しかし一方、熱可塑性エラストマ樹脂は撓みやすく、皮膚との接触による撓みがひげ剃り接線角度を不安定にするおそれがある。ひげ剃り接線角度はひげ剃り時、常に一定であることが肝要である。ひげ剃り接線角度はかみそりの切れ味(ソフトな切れ味かハードな切れ味か、また深剃りが可能か、深剃りを避けた安全性重視の剃りとするか等)等に大きく関係しているからである。
特許文献は特許第2809779号、特開昭52−37154号公報がある。
ひげ剃り時、保護部材の突出部に皮膚が接触する。皮膚と突出部が接触する際に生じる抵抗力(以下これを「接触抵抗力」という)は快適なひげ剃りの達成度に関係する。接触抵抗力が小さいとひげ剃り接線上を移動する皮膚が突出部と比較的にスムーズに接触し、剃刀の運行が安定する。一方、突出部は皮膚との接触により刃先直前の皮膚や皺を伸長したり、皮膚に好適な刺激を与える(以下これを「マッサージ効果」という)。一般的に接触抵抗力が大きいとマッサージ効果は顕著となる。しかし接触抵抗力が大きくすぎると突出部(熱可塑性エラストマ樹脂)は撓みやすくなり、ひげ剃り接線角度が不安定となる。ひげ剃り時、皮膚は前突出部、中突出部、後突出部に順次、接触するが、本発明は、それぞれの接触抵抗力を適宜に設定し、剃刀の運行がスムーズでありマッサージ効果にも優れ、またひげ剃り接線角度を一定に維持し、快適で安定したひげ剃りを可能にした。
発明が解決しようとする課題
本発明は、剃刀の運行がスムーズであってマッサージ効果にも優れ、快適で安定したひげ剃りを可能にする剃刀を提供するものである。
課題を解決するための手段
この課題を解決するため本発明は次のような手段を採用する。すなわち少なくとも、1枚以上の刃体と、突出部を有する保護部材と、キャップ部材と、刃台を備える剃刀において、刃体の前方に並設された前、中、後の3個の突出部は少なくともその1部がそれぞれひげ剃り接線上に位置し、基端部の前方端に向け傾斜する突出部の前面部は、前突出部の傾斜度を最小とし、中突出部の傾斜度を中程度とし、後突出部の傾斜度を中程度あるいは最大とし、ひげ剃り時に前突出部、中突出部、後突出部の順序で皮膚が突出部に接触する。
またひげ剃り接線と接触する突出部における接触長は、前突出部の接触長を最も短くし、中突出部の接触長を中程度とし、後突出部の接触長を中程度あるいは最長とする。そして突出部の基部は上面と下面がひげそり接線とほぼ同じ角度で傾斜する傾斜面であり、上面から前突出部、中突出部、後突出部が基部と一体に立設されている。この場合、後突出部および/または突出部の基部は後端面が後壁により保持されている。
発明の効果
本願発明によれば、ひげ剃り時、ひげ剃り接線上にある保護部材の突出部に皮膚が接触するが、前突出部、中突出部、後突出部の接触抵抗力の調整により、快適で安定したひげ剃りが可能となる。剃刀の運行はスムーズであり、マッサージ効果も顕著である。
本発明の実施の形態について説明する。剃刀ヘッド1はキャップ部材2、刃台3、刃体5、スペーサ6を有し、刃台3とキャップ部材2との間に重ね合わせた刃体5とスーサ6が挟持されている。剃刀ヘッド1は3枚の刃体5で構成される3枚刃剃刀であるが、刃体5は1枚でもよく、また4枚、5枚の刃体 からなる4枚刃の剃刀、5枚刃の剃刀でもよい(図示せず)。刃体5、5間に介在するスペーサ6は間隔保持部11と、複数の間隔保持部を互いに連結する連結部12を有し、刃体5、5間にひげかすを排除するひげかす排出路13を形成している。保護部材10の前方、つまりキャップ部材2の表面側の前部には回転可能なローラ7が配設され、ひげ剃り時に皮膚と接触しローラ7が回転する。なお14はキャップ部材2に装着されたスムーサである。
刃先9の前方には保護部材10が配設されている。保護部材10は既に公知の種々の素材等により形成されるが、以下に述べる保護部材は熱可塑性エラストマ樹脂製である。保護部材10は刃先9の長手方向に並設された3個の突出部30を有する。突出部30は前方から後方へ前、中、後の順序で並設され、ほぼ等間隔で配置されている。基部の上面51から立設された突出部30は基部50と一体に形成される。3個の突出部30の基端部の厚み、つまり基端部における前方端31と後方端32との間の長さはいずれもほぼ同じである。また3個の突出部の高さもそれぞれほぼ同じであり、突出部の高さ(最高部の高さ)は基端部の厚みのほぼ半分とするのがよい。突出部30は上面51から盛り上がったこぶ型状であり、頂部がとがったとんがり状のものはない(但し後突出部30cはこぶ型状の変形であり、この点については後述する)。
ひげ剃り時にキャップ部材2の皮膚に接触する表面と保護部材の皮膚に接触する表面を結ぶ想像線がひげ剃り接線Y−Yであり、ひげ剃り接線Y−Yと刃体5の厚みの中心線Z−Zとにより形成されるのがひげ剃り接線角度Dである。理論的にはひげ剃り時に皮膚がほぼひげ剃り接線上を移動(刃先との相対的な移動)するとともにひげ剃りがなされる。
突出部30は少なくともその1部、通常は突出部の上側面の1部がひげ剃り接線上に位置する。そこでひげ剃り時、皮膚は前突出部30a、中突出部30b、後突出部30cの順序で突出部30に接触する。すなわち3個の突出部30と時間的にもまた距離(長さ)的にもほぼ同じ間隔で順次、皮膚と接触するが、3個の突出部30が有機的に関連する1セットの装置のように機能し、ひげ剃り接線角度を一定に維持する一方、熱可塑性エラストマ樹脂の特質を活かす構造となっている。
突出部の前面部33は少なくとも接点Tの近接部分が弧状である。突出部30と皮膚との接触には1点のみで接触する点状接触と、一定の長さで接触する線状接触とがある。点状接触の場合はひげ剃り接線との接点Tが特定されるが、線状接触の場合はひげ剃り接線との接触部分のうち、最も前方にある接点Tを基準とする(以下、特に説明がない場合、接点Tの意義は同じである)。接点Tの近接部分とは、接点Tを基準として、傾斜する前面部33の表面の形成線、つまり図8の断面形状における突出部の接点Tと基端部の前方端31との間の長さ(「前面部の全長」)のうち、接点Tから前面部の全長のほぼ1/3の長さに相当する部分を指す。図8でいえば、突出部30の縦断面形状における線分T−K間の範囲である。これは、皮膚が接点Tに向けてひげ剃り接線上を前方から移動(相対的移動)するとき、皮膚が比較的に接触し易い部位である。接点Tの近接部分が弧状であるから、ひげ剃り接線上を移動する皮膚は突出部30と比較的スムーズに接触することができる。すなわち突出部30との接触抵抗力を緩和し、剃刀のスムーズな運行が促進される。
接点Tの近接部分の弧状の度合いは、接点Tと、接点Tの近接部分を定める点Kとを結ぶ直線の傾斜度によって判定することができる。突出部30における接点Tの近接部分の弧状の度合いは、前突出部30aが最小であり最も緩やかな弧状となり、中突出部30bが中程度、つまり少なくとも前突出部30aのそれより大きい。後突出部30cの弧状の度合いは中程度か、あるいは3個の突出部のうち最も大きくすることができる。図8に示されるのは、前突出部30aの弧状の度合いが最も小さく、中突出部30bと後突出部30cは弧状の度合いがほぼ同じであり、前突出部30aのそれより大きく、つまりいずれも中程度である。なお本文において突出部30の属性の度合いを説明する「大、中、小」等の語はいずれも基本的には3つの突出部間における相対的な比較である。
突出部30の弧状の度合いは皮膚が突出部30と接触する場合の接触抵抗力に関係する。前突出部30aは弧状の度合いが最も小さく(その弧状面は最も緩やかであり)、従って皮膚との接触抵抗力は最も小さい。中突出部30bと後突出部30cは弧状の度合いが前突出部30aのそれより大きく、皮膚との接触抵抗力はかなり大きい。これを効果面でみると、剃刀の運行については接触抵抗力の小さい突出部30aが最もスムーズとなり、皮膚へのマッサージ効果等については接触抵抗力の大きい突出部30bと突出部30cが顕著となる。
突出部30は前面部33が傾斜面となっている。すなわち接点Tを基準とし、接点Tより前方の前面部33が基端部の前方端31に向け傾斜している。基端部の前方端31への傾斜面であるから、前面部33はいずれの部位も基端部の前方端31より後方に位置する(図8参照)。この条件を満たせば前面部33は表面の形成線が全体的に弧状でも部分的に弧状もよい。また部分的に直線でもよい。
突出部の前面部33の傾斜度については、前突出部30aの傾斜度が最も小さく、緩やかな傾斜面である。中突出部30bの傾斜度は中程度であり、かなり険しい傾斜面である。後突出部30cの傾斜度は中突出部の傾斜度と同じ中程度である。傾斜度を最も大きくした険しい傾斜面とすることもできる。突出部の前面部33の傾斜度は、基端部の前方端31とひげ剃り接線との接点Tとを結ぶ直線の傾斜度、つまり上面51と当該直線との角度により判定することができる。前面部33の傾斜度は皮膚と突出部30との接触抵抗力に関係する。すなわち前突出部30aは皮膚との接触抵抗力が最も小さく、中突出部30bと後突出部30cは皮膚との接触抵抗力がかなり大きい。効果面でみると、剃刀の運行については突出部30aが最もスムーズとなり、皮膚へのマッサージ効果等については突出部30bと突出部30cが大きい。
保護部材10の前方、特に前突出部30aの前方にはローラ7との間に生じたスペースがある。前突出部30aの前方が解放状態であるから、前突出部30aの前面部33は皮膚とより接触しやすい。なおローラを設けない場合も前面部の前方を解放状態とすることができる(図示せず)。解放状態のスペースと相まって、最前の前突出部30aに皮膚が接触するとき、剃刀のスムーズな運行が可能となる。
前記のように、突出部30はひげ剃り接線との接触の態様として点状接触と線状接触がある。突出部30の1部(通常は上面側)がひげ剃り接線と接触する接触長については、前突出部30aが最小、中突出部30bが中程度、すなわち少なくとも前突出部30aの接触長より長い、後突出部30cが中程度かあるいは最大にすることができる。接触長は点状接触も含むから、前突出部30aを点状接触としてもよい。図8に示されるのは、前突出部30aが最小の線状接触をし、中突出部30bはやや平坦状の上面が中程度の線状接触をし、後突出部30cは平坦状の上面が最大の線状接触をしている。
突出部30の接触長は皮膚と突出部30との接触抵抗力に関係する。すなわち接触長が最小の前突出部30aは皮膚との接触抵抗力が最も小さく、中突出部30bと後突出部30cは皮膚との接触抵抗力がかなり大きい。後突出部30cの接触長が最大のときは、皮膚との接触抵抗力が最大となる。効果面でみると、剃刀の運行については突出部30aが最もスムーズとなり、皮膚へのマッサージ効果等については突出部30bと突出部30cが大きい。
前突出部30a、中突出部30bはいずれもひげ剃り接線との接点tより後方の後面部35が基端部の後端32に向けた傾斜面であり、特に、接点tの近接部分を弧状とした皮膚の逃がし面57が形成されている。線状接触の場合は、ひげ剃り接線との接触部分のうち最も後方にある接点tが基準となる。ひげ剃り接線に沿い移動する皮膚は、前突出部30aと中突出部30bの接点tを通過するとともに逃がし面57の後方へ移動する。このとき逃がし面57が皮膚との接触抵抗力を小さくするとともに、熱可塑性エラストマ樹脂の突出部30a、30b、特に接点tの近接部分が後方へ撓むのを防止する。逃がし面57は直線状の傾斜面でもよいが、弧状とするのがよい。
後突出部30cにおいては、ひげ剃り接線との接点T(最も前方の接点)の後方は平坦状の上面がほぼひげ剃り接線に沿って後端面53へ延びている。平坦状の上面は全体がひげ剃り接線と接触している(図8参照)が、常に全体が剃り接線と接触している必要はない。いずれの場合も、ひげ剃り接線との接触長を最大とする等、皮膚との接触範囲を拡大することができる。皮膚との接触抵抗力も最大となるが、後突出部30Cの後端面53は保護部材10を載置する基台55から上方に立設された後壁56に保持されており、後壁56が後突出部30Cの撓み、特に後方への変形を防止している。後突出部の後端面53は全面が後壁56に保持されたものが好ましい(図8参照)。
基部50の上面51と下面52はひげそり接線とほぼ同じ角度で傾斜する傾斜面であり、また基部50の厚み(上面51、下面52間の厚み)はほぼ同じである。剃刀の移動により保護部材10が受ける移動方向の力は1部が基部に沿い後方へ作用するが、基部50の後端面53は基台55から立設された後壁56により保持されており、基部50の変形が防止される。
以上みたように、接触抵抗力は前突出部30aが最も小さく、前中突出部30bと後突出部30cが前突出部30aより大きい。ひげ剃り時、前突出部30a、中突出部30b、後突出部30cの順序で皮膚が突出部30に接触するが、接触抵抗力の大きさの違いにより、剃刀はまず最前の突出部にスムーズに接触(進入時のスムーズな運行の確保)するとともに、次に続く2つの突出部により大きなマッサージ効果を得ることができる。
本発明にかかる剃刀における保護部材を備える剃刀ヘッドの平面図である。 同剃刀ヘッドの正面図である。 同剃刀ヘッドの底面図である。 同剃刀ヘッドの背面図である。 図2の剃刀ヘッドのA−A線拡大断面図である。 ひげ剃り接線角度を示す剃刀ヘッドの拡大断面図である。 破断された保護部材の拡大断面図である。 さらに拡大された保護部材の説明図である。
符号の説明
1 剃刀ヘッド
2 キャップ部材
3 刃台
5 刃体
7 ローラ
10 保護部材
30 突出部
33 前面部
35 後面部
50 基部
53 後端面
56 後壁

Claims (4)

  1. 少なくとも、1枚以上の刃体と、突出部を有する保護部材と、キャップ部材と、刃台を備える剃刀において、刃体の前方に並設された前、中、後の3個の突出部は少なくともその1部がそれぞれひげ剃り接線上に位置し、基端部の前方端に向け傾斜する突出部の前面部は、前突出部の傾斜度を最小とし、中突出部の傾斜度を中程度とし、後突出部の傾斜度を中程度あるいは最大とし、ひげ剃り時に前突出部、中突出部、後突出部の順序で皮膚が突出部に接触する保護部材を備えた剃刀。
  2. ひげ剃り接線と接触する突出部における接触長は、前突出部の接触長を最も短くし、中突出部の接触長を中程度とし、後突出部の接触長を中程度あるいは最長とした請求項1に記載の保護部材を備えた剃刀。
  3. 突出部の基部は上面と下面がひげそり接線とほぼ同じ角度で傾斜する傾斜面であり、上面から前突出部、中突出部、後突出部が基部と一体に立設されている請求項1または2に記載の保護部材を備えた剃刀。
  4. 後突出部および/または突出部の基部は後端面が後壁により保持されている請求項3に記載の保護部材を備えた剃刀。
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