JP2005168654A - 増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体 - Google Patents
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Abstract
【課題】再生医療分野において有用な低分子ヘパリン修飾体、これを有効成分として含有する組織再生促進用組成物、その製造方法および使用方法、および増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体結合再生医療用スキャホールドを提供する。
【解決手段】少なくとも増殖因子との結合性を保持しており、平均分子量約4000〜12000の低分子ヘパリン修飾体であって、ヘパリン結合性増殖因子の少なくとも一種と結合していることを特徴とする低分子ヘパリン修飾体、これを有効成分として含有する組織再生促進用組成物、これらの製造方法および使用方法。増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体結合再生医療用スキャホールド。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも増殖因子との結合性を保持しており、平均分子量約4000〜12000の低分子ヘパリン修飾体であって、ヘパリン結合性増殖因子の少なくとも一種と結合していることを特徴とする低分子ヘパリン修飾体、これを有効成分として含有する組織再生促進用組成物、これらの製造方法および使用方法。増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体結合再生医療用スキャホールド。
【選択図】 なし
Description
本発明は、再生医療分野において有用な増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体、その製造方法およびその使用方法に関するものである。詳しくは、細胞増殖因子(または細胞成長因子)、サイトカイン、細胞接着因子等と総称される各種の生理活性ペプチドや蛋白質(以下増殖因子という)との結合性を有する低分子ヘパリン修飾体と該増殖因子とが結合した増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体、その製造方法およびその使用方法に関するものである。
また、本発明は、増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体が結合した再生医療用スキャホールド(Scaffold)に関するものである。
再生医療において、損傷組織または臓器の再生促進は極めて重要な課題であるが、その再生促進において、各種増殖因子が重要な役割を果たすことが認識されている。これらの増殖因子は、いずれも、培養条件下では顕著な効果が認められるのに対し、生体への応用においては期待する程の効果が得られないことが多く、その使用において困難を伴うものである。
その原因の一つとして、増殖因子が拡散しやすく、損傷部位において効率的に滞留させることが困難であることが考えられる。この問題を解決すべく、増殖因子について、形質転換などによる、組織結合性の高い増殖因子の製造等も検討されている。一方、これらの増殖因子の多くはヘパリン結合性であると考えられていることから、再生組織移植部位にこれらの増殖因子を効率よく滞留させ、細胞増殖作用を効果的に発揮させるべく、ヘパリンを増殖因子捕獲または保持剤として利用する試みもなされている。しかしながら、ヘパリンは高分子であり、また出血性が強いなどの点から、その使用には問題点が懸念されるものである。
このヘパリンの出血性の問題を低減するものとして、抗血液凝固作用を保持し、且つ、出血性の少ない低分子ヘパリン修飾体が、種々開発されており(例えば、特許文献1〜5参照)、そのいくつかは、既に、血液体外循環時等における血液凝固防止および汎発性血管内血液凝固症候群の治療等に使用されている。具体的には、ダルテパリンナトリウム、パルナパリンナトリウム、レビパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウムなどが挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
一方、ヘパリンの増殖因子結合性に関するものとして、増殖因子との結合性を有し、抗血液凝固作用が低いかまたは実質上有しない、増殖因子活性の促進または抑制剤として有用な増殖因子結合性低分子ヘパリン修飾体(例えば、特許文献6及び7参照)、あるいは、増殖因子との結合性を保持し、抗血液凝固活性を実質的に喪失した、皮膚潰瘍治療剤として有用な低分子ヘパリン修飾体およびそれを有効成分として含有する皮膚潰瘍治療剤(例えば、特許文献8参照)などが報告されている。
さらにまた、ヘパリンまたはヘパリン類似物質と増殖因子を含む組成物等について、コラーゲン等のポリマー、および/または、ヘパリン若しくはヘパリン類似物質、および増殖因子等を含む、創傷治癒または瘢痕組織賦活化のための組成物(例えば、特許文献9〜11参照)、軟組織または硬組織の増強、移植片の被覆等の治療用用途に有用な、合成ポリマーと、ヘパリン等のグリコサミノグリカンとの結合体(例えば、特許文献12参照)、増殖因子の放出を制御するための、増殖因子を含有する三次元マトリックス(例えば、特許文献13参照)などが報告されている。
特許文献1〜8は、低分子ヘパリン修飾体そのものおよびその使用方法に関するものであり、本発明のような増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体とは異なるものである。また、本発明のような増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体を示唆するような記載もない。
特許文献9〜11は、創傷治癒または瘢痕組織賦活化のための組成物で、コラーゲン等のポリマーを必須とするものであり、特許文献12は、軟組織または硬組織の増強、移植片の被覆等の治療用用途に有用な、合成ポリマーとヘパリン等のグリコサミノグリカンの結合体に関するものであり、特許文献13は、増殖因子の放出を制御するための、増殖因子を含有する三次元マトリックスに関するものであり、いずれも、本発明のような増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体または増殖因子・低分子ヘパリン結合体結合再生医療用スキャホールドとは異なるものである。また、本発明のような増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体および増殖因子・低分子ヘパリン結合体結合再生医療用スキャホールドを示唆する記載もない。
本発明は、増殖因子・低分子ヘパリン結合体その製造方法およびその使用方法に関するものである。また、増殖因子・低分子ヘパリン結合体を結合させた、各種再生医療用スキャホールドに関するものである。すなわち、本発明は特許文献1〜13とは全く目的、構成において異なるものであり、しかも、特許文献1〜13に基づいて容易に発明できるものではない。
本発明で解決しようとする課題は、再生医療に極めて有用な、増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体、その製造方法およびその使用方法、さらに、その増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体を結合させた、各種再生医療用スキャホールドを提供することである。
本発明者は、再生医療において、損傷部位における再生医療用スキャホールドの定着および損傷組織の再生を効果的に促進させる方法を見出すべく鋭意研究を行った結果、損傷部位にスキャホールドを挿入するにあたり、スキャホールドを増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体と同時に、好ましくは、予め、スキャホールドを増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体と結合させた後、挿入することにより、スキャホールドの内部への血管新生が促進され、スキャホールドの定着、消化、組織再生が好適に進行するという知見を得、本発明を成すに至った。
本発明者は、低分子ヘパリン修飾体としてダルテパリンナトリウム、増殖因子としてFGFをそれぞれ用い、ダルテパリンナトリウム、FGFまたはFGF結合ダルテパリンナトリウムをそれぞれ含む生理的食塩水、および、コントロールとしての生理食塩水に、短径6mm、長径10mmのゼルフォームを浸漬して膨潤させた後、マウスの背部皮下に植埋し、3週間後に切開して、血管新生およびゼルフォームの状態を観察した。
その結果、ダルテパリンナトリウムのみを結合させた場合、血管新生はゼルフォームの周囲にわずかながら認められる程度で、ゼルフォームも殆ど残存しており、また、FGFのみを結合させた場合、血管新生はゼルフォーム植埋部位周囲に拡散状に認められる程度で、ゼルフォームはほぼ吸収されていた。これに対し、FGF結合ダルテパリンナトリウムを結合させた場合は、驚くべき事に、ゼルフォーム内部を中心に血管新生が認められ、ゼルフォームも吸収され始めていた。また、コントロールの生理的食塩水の場合は血管新生も全く認められず、ゼルフォームにも形態変化は認めなかった。
すなわち、FGF結合ダルテパリンナトリウムを結合させたゼルフォームの場合、FGFまたはダルテパリンナトリウムを結合させたゼルフォームに比べ、血管新生が顕著に促進され、しかも、植埋したゼルフォーム内部への血管新生が進行することを確認した。
再生医療においては、再生組織への血行再開通が重要であるが、実際には極めて困難で、そのため、再生組織が機能不全、壊死に陥り、不成功に終わることが多い。従って、再生医療現場では、再生組織の植埋後に、速やかな血管新生と血行再開通が確実に得られる方法が求められている。
上記のとおり、本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体は、再生組織への血管新生および血行再開通を促進することが期待できるものであり、再生医療分野において極めて有用である。
本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体に使用できる低分子ヘパリンは、平均分子量が約4000〜12000であって、少なくとも増殖因子と結合できるものであればよく、さらに、好ましくは、各種再生医療用スキャホールドと結合できるか、内部に浸透できるものがよい。具体的には、例えば、ダルテパリンナトリウム、パルナパリンナトリウム、レビパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム等の他、特許文献1〜8記載の低分子ヘパリン修飾体を挙げることができ、ダルテパリンナトリウム、パルナパリンナトリウム、レビパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム等が好適であり、ダルテパリンナトリウムが最も好適である。
本発明において増殖因子とは、サイトカイン、細胞増殖因子(または細胞成長因子)、細胞接着因子などと総称される各種の生理活性ペプチドや蛋白質を意味し、例えば、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、骨誘導因子(BMP)、形質転換増殖因子(TGF)、インターロイキン(IL)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、ヘパリン結合性増殖因子(hbgf)、上皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、結合組織増殖因子(CTAP)、ミドカイン、ヘパリン結合性増殖付随分子(heparin−binding growth associate molecule)、インターフェロン(IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー刺激因子(CSF)、骨形成因子抽出物(osteogenic factor extract、OFE)、血小板由来増殖因子(PDGF)、β−トロンボグロブリン、インシュリン様増殖因子、エリスロポエチン(EPO)、神経成長因子(NGF)などを挙げることができる。本発明においては、少なくともヘパリン結合性を有する増殖因子であればよく、好ましいものとして、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、骨誘導因子(BMP)、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)、インターロイキン−8(IL−8)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、ヘパリン結合性増殖因子(hbgf)、上皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、形質転換増殖因子αおよびβ(TGF−α、TGF−β)、結合組織増殖因子、ミドカイン、ヘパリン結合性増殖不随分子(heparin−binding growth associate molecule)などを挙げることができ、最も好ましいものとして,繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)などを挙げることができる。これらの増殖因子は、一種類でも、複数をカクテルのように適宜組み合わせてもよい。また、天然増殖因子でも、形質転換合成増殖因子でもよい。
本発明において再生医療用スキャホールドとは、天然または合成高分子で製造された人工臓器、人工皮膚または細胞除去処理を行った摘出臓器、皮膚など、再生医療分野において使用される各種組織および各種器具等を意味し、褥瘡、創傷治癒などに使用される被覆フィルム、ガーゼ、包帯等に類するものも含まれる。
本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体またはこれを有効成分として含有する組成物は、目的にあわせて低分子ヘパリン修飾体および増殖因子を適宜選択し、必要に応じ、適当な溶媒、例えば生理的食塩水に溶解または懸濁して、暫時、撹拌することにより、さらには、これを凍結乾燥することにより、容易に調製することができる。増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体を有効成分として含有する組成物の場合は、更に必要に応じて、別の増殖因子、低分子ヘパリン修飾体、その他の活性成分および医薬品添加物などを適宜添加してもよい。凍結乾燥した増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体またはこれを有効成分として含有する組成物を実際に使用する場合は、生理的食塩水またはレシピエント側の血漿等で溶解または懸濁させた後使用する。
このようにして調製した、増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体およびこれを有効成分として含有する組成物を実際の再生医療において使用する場合、例えば、増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体結合スキャホールドを調製するために使用する場合は、適当な溶媒、例えば、生理的食塩水に溶解または懸濁し、これに使用するスキャホールドを浸漬して、暫時放置し、充分に膨潤または浸透させる。また、褥瘡、創傷などに使用する場合、被覆フィルム、ガーゼ、包帯等を溶液または懸濁液に浸漬して、暫時放置し、充分に膨潤または浸透させるか、溶液または懸濁液を直接創部に噴霧する。
また、本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体結合スキャホールドは、上記のようにして調製した増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体またはこれを有効成分として含有する組成物の必要量を、適当な溶媒、例えば、生理的食塩水に溶解または懸濁し、これに使用するスキャホールドを浸漬して、暫時放置し、充分に膨潤または浸透させることにより、さらには、これを凍結乾燥することにより調製することができる。凍結乾燥した増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体結合スキャホールドを実際に使用する場合は、生理的食塩水等で膨潤させた後使用する。
本発明の本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体、これを有効成分として含有する組成物を実際の医療現場で使用する場合の使用量は、低分子ヘパリン修飾体および増殖因子の活性、スキャホールドの種類および大きさ、損傷の度合い等により適宜決定する。概ね、損傷部位またはスキャホールドの表面積1平方センチメートルあたり、低分子ヘパリン修飾体として約50〜1,000ユニット(I.U.)、増殖因子として約1〜500μg/siteの範囲内で選択される。
本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体は、再生組織への血管新生および血行再開を促進する作用を有するものであり、従って、これを再生医療用スキャホールドに結合させることにより、スキャホールド植埋後のスキャホールド内部への血管新生が促進され、組織再生を確実に行うことができる。このように、本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体、これを有効成分として含有する組成物および増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体結合スキャホールドは、再生医療において極めて有用なものである。
本発明の内容を以下の実施例により更に詳細に説明する。
FGF結合ダルテパリンナトリウムの調製
ダルテパリンナトリウム注射液5mL(ダルテパリンナトリウム5,000I.U.)に対し、FGF(フィブラスト(登録商標)、科研製薬株式会社)125μg/siteを加え、冷却下、暫時撹拌してFGF結合ダルテパリンナトリウム液を得る。必要に応じ、凍結乾燥した後、冷暗所にて保存する。
ダルテパリンナトリウム注射液5mL(ダルテパリンナトリウム5,000I.U.)に対し、FGF(フィブラスト(登録商標)、科研製薬株式会社)125μg/siteを加え、冷却下、暫時撹拌してFGF結合ダルテパリンナトリウム液を得る。必要に応じ、凍結乾燥した後、冷暗所にて保存する。
FGF結合ダルテパリンナトリウム結合ゼルフォームの調製
実施例1で調製したFGF結合ダルテパリンナトリウム液0.2mLに、短径6mm×長径10mmのゼルフォームを浸漬し、膨潤させて製する。必要に応じ、凍結乾燥した後、冷暗所にて保存する。
実施例1で調製したFGF結合ダルテパリンナトリウム液0.2mLに、短径6mm×長径10mmのゼルフォームを浸漬し、膨潤させて製する。必要に応じ、凍結乾燥した後、冷暗所にて保存する。
血管新生確認試験
実施例2と同様にして、以下のゼルフォームを調製した。
・ 生理的食塩水0.2mL浸漬、膨潤ゼルフォーム(コントロール群)
・ FGF5μg/site添加生理的食塩水浸漬、膨潤ゼルフォーム(FGF群)
・ ダルテパリンナトリウム注射液0.2mL浸漬、膨潤ゼルフォーム(DP群)
・ 実施例2:FGF結合ダルテパリンナトリウム結合ゼルフォーム(FGF−DP群)
確認方法
上記ゼルフォームをマウス背部皮下に植埋し、3週間後に植埋部位を露出し、写真撮影して、血管新生の進行度を測定した。
結果
結果は図1〜4に示すとおりであり、DP群では、ゼルフォームの周囲にわずかながら血管新生が認められる程度で、ゼルフォームもほぼ残存しており、FGF群では、ゼルフォーム植埋周囲の血管新生が認められ、ゼルフォームはほぼ吸収されていたのに対し、FGF−DP群では、ゼルフォーム内部まで血管新生が認められ、ゼルフォームもわずかに吸収されていた。また、コントロール群では全く変化が認められなかった。
実施例2と同様にして、以下のゼルフォームを調製した。
・ 生理的食塩水0.2mL浸漬、膨潤ゼルフォーム(コントロール群)
・ FGF5μg/site添加生理的食塩水浸漬、膨潤ゼルフォーム(FGF群)
・ ダルテパリンナトリウム注射液0.2mL浸漬、膨潤ゼルフォーム(DP群)
・ 実施例2:FGF結合ダルテパリンナトリウム結合ゼルフォーム(FGF−DP群)
確認方法
上記ゼルフォームをマウス背部皮下に植埋し、3週間後に植埋部位を露出し、写真撮影して、血管新生の進行度を測定した。
結果
結果は図1〜4に示すとおりであり、DP群では、ゼルフォームの周囲にわずかながら血管新生が認められる程度で、ゼルフォームもほぼ残存しており、FGF群では、ゼルフォーム植埋周囲の血管新生が認められ、ゼルフォームはほぼ吸収されていたのに対し、FGF−DP群では、ゼルフォーム内部まで血管新生が認められ、ゼルフォームもわずかに吸収されていた。また、コントロール群では全く変化が認められなかった。
本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体およびこれを有効成分として含有する組成物は、再生組織の血管新生および血行再開促進剤として有用であり、また、本発明の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体結合スキャホールドは、植埋後のスキャホールド内部への血管新生が促進され、組織再生を確実に行うことができるものであり、再生医療において極めて有用である。
Claims (21)
- 少なくとも増殖因子との結合性を保持しており、平均分子量約4000〜12000の低分子ヘパリン修飾体と、ヘパリン結合性増殖因子の少なくとも一種とが結合した増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体。
- 低分子ヘパリン修飾体が、ダルテパリンナトリウム、パルナパリンナトリウム、レビパリンナトリウムおよびダナパロイドナトリウムから選ばれる一種である、請求項1記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体。
- 低分子ヘパリン修飾体が、ダルテパリンナトリウムである、請求項2記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体。
- 増殖因子が、ヘパリン結合性の天然増殖因子および合成増殖因子から選ばれる1種または2種以上の混合物である、請求項1〜3記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体。
- 増殖因子が、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、骨誘導因子(BMP)、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF−β1)、インターロイキン−8(IL−8)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、ヘパリン結合性増殖因子(hbgf)、上皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、形質転換増殖因子αおよびβ(TGF−α、TGF−β)、結合組織増殖因子、ミドカイン、ヘパリン結合性増殖不随分子(heparin−binding growth associate molecule)から選ばれる1種または2種以上の混合物である、請求項1〜4記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体。
- 増殖因子が、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)から選ばれる1種または2種以上の混合物である、請求項5記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体。
- 増殖因子が、繊維芽細胞増殖因子(FGF)である、請求項6記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体。
- 少なくとも増殖因子との結合性を保持しており、平均分子量約4000〜12000の低分子ヘパリン修飾体と、ヘパリン結合性増殖因子の少なくとも一種とを、適宜、生理的食塩水等の適当な溶媒に溶解または懸濁し、必要に応じ、凍結乾燥することを特徴とする請求項1記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体の製造方法。
- 請求項8記載の製造方法で製造される増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体を有効成分として含有する、血管新生促進、血行再開促進および組織再生促進用組成物。
- 請求項1記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体を有効成分として含有する血管新生促進、血行再開促進および組織再生促進用組成物。
- 増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体が、請求項2または3に記載される増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体である、請求項9または10記載の組成物。
- 増殖因子が、請求項4〜7に記載されるものである、請求項9または10記載の組成物。
- さらに、低分子ヘパリン修飾体または増殖因子を含有する、請求項10〜12記載の組成物。
- 少なくとも増殖因子との結合性を保持しており、平均分子量約4000〜12000の低分子ヘパリン修飾体と、ヘパリン結合性増殖因子の少なくとも一種とを、適宜、生理的食塩水等の適当な溶媒に溶解または懸濁し、必要に応じ、凍結乾燥することを特徴とする請求項10記載の組成物の製造方法。
- 請求項14記載の製造方法により製造される、血管新生促進、血行再開促進および組織再生促進用組成物。
- 再生医療用スキャホールドに結合させるための、請求項1〜7記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体の使用。
- 再生医療用スキャホールドに結合させるための、請求項9〜13または15記載の組成物の使用。
- 請求項1〜7記載の低分子ヘパリン修飾体を、適宜、生理的食塩水等の適当な溶媒に溶解または懸濁し、これに、再生医療用スキャホールドを浸漬することを特徴とする、請求項16記載の使用。
- 請求項9〜13または15記載の組成物を、適宜、生理的食塩水等の適当な溶媒に溶解または懸濁し、これに、再生医療用スキャホールドを浸漬することを特徴とする、請求項17記載の使用。
- 請求項18または19記載の使用により得られることを特徴とする再生医療用スキャホールド。
- 請求項1〜7記載の増殖因子結合低分子ヘパリン修飾体と結合していることを特徴とする再生医療用スキャホールド。
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