JP2005166401A - プロトン伝導性膜の製造方法およびプロトン伝導性膜 - Google Patents

プロトン伝導性膜の製造方法およびプロトン伝導性膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜として有用な、プロトン伝導度とメタノール遮断性が両立したプロトン伝導性高分子膜及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】 表面粗度Raが0.05μ〜2μの凹凸を持つフィルム状の高分子化合物にプロトン伝導性基を導入することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法とすることで、フィルムの強度の低下を生じることなく、有効にプロトン伝導性基を導入できるので、高いプロトン伝導度かつ高いメタノール遮断性を有するプロトン伝導性膜を、簡便な方法で面内の均一性高く製造することができる。本発明のプロトン伝導性膜は、表面粗度Raが0.05μm〜2μmであるプロトン伝導性膜となる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プロトン伝導性高分子膜およびその製造方法に関する。
プロトン伝導性高分子膜は、固体高分子形燃料電池、湿度センサー、ガスサンサー、エレクトクロミック表示素子などの電気化学素子の主要な構成材料である。これら電気化学素子のなかでも、固体高分子形燃料電池は、将来の新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。高分子化合物からなるプロトン伝導性高分子膜を電解質膜として使用する固体高分子形燃料電池(PEFCまたはPEMFC)は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体、家庭用コージェネレーションシステム、および民生用小型携帯機器などへの適用が検討されている。とくに、メタノールを燃料とする直接メタノ‐ル形燃料電池(DMFC)は、単純な構造と燃料供給やメンテナンスの容易さ、さらには高エネルギー密度などの特徴を有し、リチウムイオン二次電池代替として、携帯電話やノート型パソコンなどの民生用小型携帯機器への応用が期待されている。
実用的な安定性を有するプロトン伝導性膜として、ナフィオン(Nafion)(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が開発され、PEFCをはじめとする多くの電気化学素子への応用が提案されている。パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、高いプロトン伝導度を有し、耐酸性、耐酸化性などの化学的安定性に優れている。しかし、製造が困難で、非常に高価であるという欠点がある。さらに、民生用携帯機器に搭載される燃料電池の燃料として有望視されているメタノールなどの水素含有液体などの透過(クロスオーバーともいう)が大きく、いわゆる化学ショート反応が起こる。これにより、カソード電位が低下するだけでなく、燃料効率の低下が起こり、セル特性低下の主要因となっている。従って、このようなパーフルオロカーボンスルホン酸膜を直接メタノール形燃料電池の電解質膜として用いるには課題が多い。
このような背景から、製造が容易で、より安価なプロトン伝導性高分子膜として、芳香族系高分子化合物のスルホン化物などからなる非パーフルオロカーボンスルホン酸型プロトン伝導性高分子膜が種々提案されている。しかし、高いプロトン伝導度が要求されるPEFCの電解質膜として使用するには、プロトン伝導度が不充分である。また、それを改善するために、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、機械的特性の低下(強度低下、伸び低下)や、水溶性になったり、膜の吸水率が上昇して著しく膨潤するなどハンドリング性が著しく損なわれる。また、小型携帯機器用燃料電池の燃料として有望なメタノールに対しても、これと同様の傾向を示し、その使用が制限される恐れがある。
さらに、特許文献1には、スルホン化ポリフェニレンサルファイドなどのスルホン化芳香族系高分子膜の製造方法が開示されている。このスルホン化芳香族高分子膜の製造方法において、スルホン化剤としてクロロスルホン酸、溶媒としてジクロロメタンを使用することが記載されている。しかし、この製造方法で得られたスルホン化高分子膜も、高いプロトン伝導度を得るためにスルホン酸基などのプロトン伝導性置換基の導入量を増やすと、メタノールの透過が大きくなることが容易に想定される。このように、直接メタノール形燃料電池の電解質膜には、プロトン伝導度を低下させずにメタノール透過を抑制することが要求されているが、プロトン伝導度とメタノール遮断性がトレードオフの関係にあり、これらの特性を両立させることは難しい。
一方、特許文献2にはポリパーフルオロスルフォニック酸を電解質膜としてこの表面をプラズマエッチングなどで粗化して触媒をスパッタすることが開示されている。これは酸化還元の反応場の面積を増やすことを目的としており、電解質膜のメタノール遮断性については開示されていない。
同様に特許文献3にはメタノール直接形燃料電池の電解質膜の表面にサンドぺーパー等で凹凸をつける、膜/電極接合体作製時の加圧の圧力が減らせることが開示されている。しかし、電解質膜のメタノール遮断性については開示されていない。
国際公開第02/062896号パンフレット 特開平5−258756号公報 特開平2003−123786号公報
本発明の目的は、上記問題を鑑みてなされたものであり、固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜として有用な、プロトン伝導度とメタノール遮断性が両立したプロトン伝導性高分子膜およびその製造方法を提供することである。
すなわち本発明は、プロトン伝導性基と高分子化合物からなるプロトン伝導性膜の製造方法であって、表面粗度Raが0.05μm〜2μmの凹凸を持つフィルム状の高分子化合物にプロトン伝導性基を導入することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法に関する。このような本発明の製造方法でプロトン伝導性膜を製造すると、フィルムの強度の低下を生じることなく、有効にプロトン伝導性基を導入できるので、高いプロトン伝導度と高いメタノール遮断性を併せ持つ膜が製造できる。
前記フィルムの凹凸が、サンドブラスト処理により形成されてなることが好ましく、簡便な方法で面内に均一に必要な凹凸を形成できる。
さらに本発明は表面粗度Raが0.05μm〜2μmであるプロトン伝導性膜に関し、このような本発明のプロトン伝導性膜は、高いプロトン伝導度と高いメタノール遮断性を併せ持つ膜となる。
前記表面粗度をサンドブラストによりつけたプロトン伝導性膜であることが好ましい。
本発明によれば、表面粗度Raが0.05μm〜2μmである表面凹凸を有するフィルム状の高分子化合物にプロトン伝導性基を導入することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法とすることで、高いプロトン伝導度かつ高いメタノール遮断性を有するプロトン伝導性膜を製造することができ、このプロトン伝導製膜は、固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜として有用である。
本発明に係るスルホン化高分子膜の製造方法について具体的に説明する。本発明のプロトン伝導性膜は凹凸持つ高分子フィルムにプロトン伝導性基を付与することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法である。
本発明において、高分子フィルム得るには公知の方法が使用できる。例えば、フィルムは、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、キャスト法、切削法、エマルション法、ホットプレス法、などで得られるものが使用可能である。また、分子配向などを制御するため二軸延伸などの処理を施したり、結晶化度を制御するための熱処理を施しても構わない。
高分子フィルムに凹凸を作製する方法は公知の方法で良いが、例えばフィルム作製後にサンドブラスト、プラズマエッチング、サンドーペーパなどによる切削、凹凸な表面をもつ例えば金属板との加圧(必要な場合は加熱を併用した)による転写等である。また、フィルム作製がインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法の場合、溶融させた高分子が完全に冷却固化しない状態で凹凸のついたもの(例えばエンボスロール)接触させて転写させたり、キャスト法においてはキャスティング時の支持体に凹凸をつけておいて転写しても良い。このなかでも、生産性やフィルム全面に安定して凹凸がつけられる点でサンドブラスト処理が好ましい。
サンドブラスト処理は、研削材を圧縮空気でフィルム表面に吹きつけることにより表面処理を行なうものであり、簡便な方法で面内に均一に必要な凹凸を形成できるので好ましく、例えば、サンドブラスト吹き出しノズルを備えるサンドブラスト装置を使用することができる。研削材の吹き出し量は、適宜調節され、処理後に研削材や被研削物がフィルム表面に残らず、フィルムの強度が低下しないような条件にする必要がある。具体的には、研削材として代表的にはけい砂が用いられる。けい砂の粒径は、0 .05mm〜10mm 、好ましくは0 .1mm〜1mmである。ブラスト距離は、100mm〜300mmとすることが好ましい。ブラスト角度は、45度〜90度、より好ましくは45度〜60度である。ブラスト量は、1〜10kg/minであることが好ましい。
凹凸の大きさを表す算術平均粗さRaは0 .01μm〜2μmが好ましく、さらには0. 1μm〜0.7μmが好ましい。Raが0.01μmより小さい場合はプロトン伝導性基の導入において効果が無くメタノール遮断性の向上が望めない場合がある。Raが2μmより大きい場合はフィルムの強度が低下する場合がある。
本発明の算術平均粗さRaとは、JIS B 0601(平成6年2月1日改正版)に定義されている。また本発明の算術平均粗さRaの数値は、光干渉式の表面構造解析装置で表面を観察により求められた数値でも良い。
本発明に使用される高分子化合物が、下記(A)群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(A)群:フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリアリールエーテルスルホン(PAS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルホキシド(PPSO)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンスルフィドスルホン(PPS/SO2)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン、シアン酸エステル樹脂。
これらの高分子化合物は、単独、あるいは、それらの誘導体、あるいは、2種以上の共重合体、あるいは、必要に応じて2種以上を混合したものを使用しても良い。さらには、得られる膜の特性を考慮して、可塑剤や酸化防止剤、フィラーなどを適宜添加、混合しても構わない。これによって、本発明の製造方法で得られるスルホン化高分子膜は、優れたプロトン伝導度、耐加水分解性・耐酸化性に代表される化学的安定性、水素やメタノールなどのアルコール類の燃料遮断性、酸素や空気などの酸化剤遮断性に優れ、好ましい。
これらの芳香族高分子化合物の中でも、得られたスルホン化高分子膜のプロトン伝導度、機械的特性、化学的安定性、水素やメタノールなどの燃料遮断性、酸素や空気などの酸化剤遮断性などの特性を考慮した場合、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、シンジオタクチックポリスチレンなどの結晶性高分子化合物であることが好ましい。さらに、スルホン酸基の導入のし易さや、高いプロトン伝導度、優れた機械的特性、高いメタノール遮断性を有することから、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であることが好ましい。また上記のサンドブラスト処理では、フィルムの強度が弱かったり、ガラス転移温度が低かったりするとフィルムが劣化し所望の凹凸を得られない場合がある。この点でも劣化しにくい性質をもつPPSは好ましい。PPSの中でも下記一般式(1)で表される構成成分を有するものが、より好ましい。
Figure 2005166401
[式中、nは1〜4の整数]
本発明のプロトン伝導性高分子膜は、プロトンを伝導可能な、置換基および/または物質が膜中に含まれることが必須である。プロトンを伝導可能な置換基としては、前述のスルホン酸基以外にも、リン酸基、カルボン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられる。これらのなかでも、置換基の導入の容易さや得られた膜のプロトン伝導度に代表される特性を考慮すると、スルホン酸基および/またはスルホン酸基を含む置換基であることが好ましい。
本発明においてスルホン酸基とは、下記式(2)で表わされるスルホン酸基や下記一般式(3)で表わされるスルホン酸基を含む置換基をいう。
−SO3H (2)
−R−SO3H (3)
[式中、Rはアルキレン、ハロゲン化アルキレン、アリーレン、ハロゲン化アリーレンからなる群から選択される少なくとも1種の結合単位からなる2価の有機基、またはエーテル結合を含んでいてもよい]
また、プロトンを伝導可能な物質としては、硫酸やリン酸などの強酸性溶液、酸化タングステン水和物(WO3・nH2O)、酸化モリブデン水和物(MoO3・nH2O)などの無機酸化物、タングストリン酸、モリブドリン酸などの無機固体酸が挙げられる。
本発明において、前記高分子化合物からなるフィルムの厚さは、用途に応じて任意の厚さを選択することが可能である。均一にフィルム内部までプロトン伝導性基特にはスルホン酸基を導入することや、プロトン伝導性高分子膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、フィルム厚みは薄い程良い。一方、メタノール遮断性やハンドリング性を考慮すると、フィルム厚みは薄すぎると好ましくない。これらを考慮すると、フィルムの厚みは、1.2〜350μmであるのが好ましい。前記フィルムの厚さが1.2μmより薄いと、製造が困難であるとともに、加工時にシワになったり、破損が生じるなどハンドリング性がわるくなる傾向があり、350μmをこえると、内部まで均一にスルホン化するのが困難になるとともに、得られたプロトン伝導性高分子膜の内部抵抗も大きくなり、プロトン伝導度が低下する恐れがある。
以下プロトン伝導性基の好ましい例として、スルホン酸基を導入を例について説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
スルホン化剤としては、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、三酸化硫黄−トリエチルフォスフェート、濃硫酸、トリメチルシリルクロロサルフェート、トリメチルベンゼンスルホン酸などの公知のスルホン化剤などが使用できる。工業的入手の容易さ、スルホン酸基の導入の容易さや得られるプロトン伝導性高分子膜の特性を考慮すると、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、濃硫酸からなる群から選択させる少なくとも1種であることことが好ましい。とくに本発明においては、スルホン酸基の導入の容易さや得られた膜の特性、工業的入手の容易さなどから、クロロスルホン酸を使用するのがより好ましい。
また、反応系を適正化することによって、フリーデル−クラフツ反応にしたがって、塩化アルミニウムなどの触媒存在下で、プロパンサルトンや1,4−ブタンサルトンなどの環状含硫黄化合物と炭化水素系高分子化合物中の芳香族単位を接触させて、スルホプロピル基やスルホブチル基などのスルホン酸基を含む置換基を導入する方法なども使用することができる。
さらに、本発明のプロトン伝導性高分子膜は、前記高分子化合物からなるフィルムと、スルホン化剤とを溶媒存在下で接触させて製造することが好ましい。本発明においては、炭素数3以上のハロゲン化物を使用するのが好ましい。これらは、炭化水素系化合物のスルホン化時に一般的に使用されている、ジクロロメタンや1,2−ジクロロエタンなどの炭素数2以下のハロゲン化物を使用するのと比較して、沸点が高く、揮発しにくいため、溶媒の揮発防止や揮発した溶媒の回収のためなどの付帯設備が必要とならず、付帯設備に係る製造コストを低減することが可能となる。また、得られたプロトン伝導性高分子膜のメタノール遮断性が低下しにくくなり、高いプロトン伝導度と高いメタノール遮断性が両立したプロトン伝導性高分子膜を得ることができる。特に、ポリフェニレンサルファイドなどの結晶性高分子化合物からなるフィルムを使用した場合には、製造過程おけるフィルムの劣化が生じにくく、プロトン伝導度やメタノール遮断性、機械的特性が優れたプロトン伝導性高分子膜が得ることができ、好ましい。
本発明に使用可能な炭素数3以上のハロゲン化物としては、たとえば、炭化水素系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイドを使用する場合には、従来から使用されているジクロロメタンや1,2−ジクロロエタンなどの低炭素数のハロゲン化炭化水素の代わりに、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、1−ヨードプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨード−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−ヨードペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、1−ヨードヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン、ヨードシクロヘキサンなどが例示できる。特に使用する溶媒の扱いやすさ、得られるプロトン伝導性高分子膜の特性を考慮すると、1−クロロプロパン、1−ブロモプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、1−ブロモ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−ブロモペンタン、1−クロロヘキサン、1−ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサンおよびブロモシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。更に工業的な入手のし易さから1−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン、クロロシクロヘキサンから選択される少なくとも1種であることが好ましい。前記溶媒のなかでも、工業的入手の容易さや得られるプロトン伝導性高分子膜の特性などの点から、1−クロロブタンが好ましい。
スルホン化剤の使用量としては、炭化水素系高分子化合物中の芳香族単位に対して、0.5〜30当量、さらには0.5〜15当量であるのが好ましい。スルホン化剤の使用量が、0.5当量よりも少ない場合には、スルホン酸基の導入量が少なくなったり、導入に要する時間が長くなるなどの傾向がある。一方、30当量を超える場合には、高分子フィルムが化学的に劣化し、得られるプロトン伝導性高分子膜の機械的強度が低下し、ハンドリングが困難となったり、スルホン酸基の導入量が多くなりすぎて、メタノール遮断性が低下するなど、かえってプロトン伝導性高分子膜の実用的な特性が損なわれる傾向がある。
溶媒中のスルホン化剤の濃度は、スルホン酸基の目標とする導入量や反応条件(温度・時間)を勘案して適宜設定すればよい。具体的には、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましい範囲は、0.2〜5重量%である。0.1重量%より低いとスルホン化剤と高分子化合物中の芳香族単位とが接触しにくくなり、所望のスルホン酸基が導入できなかったり、導入するのに時間がかかりすぎたりする傾向がある。一方、10重量%をこえるとスルホン酸基の導入が不均一となったり、得られたプロトン伝導性高分子膜の機械的特性が損なわれる傾向がある。
また、接触させる際の反応温度、反応時間についてはとくに限定はないが、0〜100℃、さらには10〜30℃、0.5時間以上、さらには2〜100時間の範囲で設定するのが好ましい。反応温度が、0℃より低い場合は、設備上冷却等の措置が必要になるとともに、反応に必要以上の時間がかかる傾向があり、100℃をこえると反応が過度に進行したり、副反応を生じたりして、膜の特性を低下させる傾向がある。また、反応時間が、0.5時間より短い場合は、スルホン化剤と高分子化合物中の芳香族単位との接触が不充分となり、所望のスルホン酸基が導入しにくくなる傾向があり、反応時間が100時間をこえる場合は、生産性が著しく低下する傾向を示すとともに、膜特性の大きな向上は期待できなくなる傾向がある。実際には、使用するスルホン化剤や溶媒などの反応系、目標とする生産量などを考慮して、所望の特性を有するプロトン伝導性高分子膜を効率的に製造することができるように設定すればよい。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、上記のスルホン酸基の導入工程の後、未反応のスルホン化剤や溶媒の除去を行うため、水洗することが好ましい。このとき、スルホン酸基の導入工程後のプロトン伝導性高分子膜を回収することなく、連続的に水洗を行い、適切な条件で乾燥を実施し、プロトン伝導性高分子膜を得ることが好ましい。また、水洗の代わりに、水酸化ナトリウム水溶液などで中和洗浄した後、酸処理を行って、プロトン伝導性高分子膜を得ても良い。
また、本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、スルホン化剤が三酸化硫黄であって、三酸化硫黄を含むガスと炭化水素系高分子化合物からなるフィルムとを接触させて製造することが好ましい。この場合、スルホン酸基の導入工程が、乾式処理となり、スルホン化に溶媒を使用することなく、原材料や再生処理に係る工程や費用を低減できる。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、連続的に実施してもよい。すなわち、被処理物である炭化水素系高分子化合物からなるフィルムを連続的にスルホン化剤との反応槽に供給し、さらに必要に応じて、洗浄工程や乾燥工程を連続的に実施してもよく、途中過程において、プロトン伝導性高分子膜の精製や回収を実施する必要はない。この方法によって、プロトン伝導性高分子膜の生産性が向上する。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、高分子フィルムを反応槽内でスルホン化剤と接触させることによって、フィルム(膜)形状のままスルホン酸基を導入することができる。したがって、従来の均一反応系でスルホン化高分子を合成した後、膜形状に加工する方法と比較して、反応物の回収・精製・乾燥などの工程、溶媒へのスルホン化高分子の溶解や支持体への塗布、溶媒除去などの工程が省略できるため好ましい。さらに、フィルムを連続供給するため、その生産性は著しく向上する。
また、反応槽に浸漬したフィルムに付着および/または包含されたスルホン化剤を除去・洗浄することを連続的に実施することにより、スルホン化剤による周辺機器の腐食の防止やフィルムのハンドリング性が改善する。除去・洗浄の条件は、使用するスルホン化剤や炭化水素系高分子化合物の種類を考慮して適宜設定すればよいが、水洗により、残存したスルホン化剤を不活性化したり、アルカリを使用して中和処理してもよい。
さらに、得られたプロトン伝導性高分子膜を連続して乾燥することによって、プロトン伝導性高分子膜を実際に使用可能な形態で回収することができる。乾燥条件は、使用する高分子フィルムの種類や得られるプロトン伝導性高分子膜の特性を考慮して適宜設定すればよい。スルホン酸基が強い親水性を示すため、洗浄過程において、含水して著しく膨潤している恐れがある。そのため、乾燥時に収縮し、皺や脹れなどの凹凸が生じる恐れがある。したがって、乾燥時にはプロトン伝導性高分子膜の面方向に適度なテンションをかけて乾燥することが好ましい。また、急激な乾燥を抑制するため、湿度の調節下で徐々に乾燥してもよい。
使用するスルホン化剤やスルホン化の反応条件によっては、例えば、炭化水素系高分子化合物として、ポリフェニレンサルファイドを使用した場合、高分子フィルム中のスルフィド単位(−S−)がスルホキシド単位(−SO−)やスルホン単位(−SO2−)に酸化されたり、また、スルホキシド単位(−SO−)がスルホン単位(−SO2−)に酸化されたり、また、フェニレン単位の水素が−Clなどの置換基で置換される副反応が生じる可能性がある。しかし、得られたプロトン伝導性高分子膜の特性を著しく低下させるものでなけば、前記副反応の結果生じた構造単位が含まれていても構わない。
さらに、本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、前記方法で得られたプロトン伝導性高分子膜に、γ線、電子線およびイオンビームからなる群から選択される少なくとも1種の放射線を照射することが好ましく、その照射量は10〜1000kGyであることが好ましい。
また、本発明の製造方法により製造されるプロトン伝導性高分子膜を製造する際に、その高分子膜に、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、表面活性剤、各種フィラーなどの添加剤を適量含有させてもよい。
また本発明のプロトン伝導性膜は、表面粗度がRaが0.05μm〜2μmである炭化水素系の膜である。当膜の製造方法は特には限定されないが、上記で説明した製造方法で作製することが好ましい。また高分子の種類の好ましい例や表面凹凸の粗度Ra等の好ましい範囲も上記製造方法で例示した範囲が好ましい。また、フィルムをスルホン化後サンドブラスト処理などで凹凸をつける方法も好ましい。
凹凸の大きさを表す算術平均粗さRaは0.1μm〜0.7μmが好ましい。Raが0.1μmより小さい場合はプロトン伝導性基の導入において効果が無くメタノール遮断性の向上が望めない場合がある。Raが0.7μmより大きい場合はフィルムの強度が低下する場合がある。
本発明のプロトン伝導性高分子膜は、JIS K 7127に準じて測定した破断伸びが10%以上であることが好ましい。より好ましくは15%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。破断伸びが10%よりも小さいと、たとえば、固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質として使用した場合に、燃料や酸化剤に含まれる水や反応で生成する水を吸収し、膜が膨潤して寸法変形した場合に充分に追従できなくなり、破壊する恐れがある。プロトン伝導性高分子膜の破断伸びを前記範囲に設定するには、プロトン伝導性高分子膜の構成成分である炭化水素系高分子化合物や結晶性芳香族高分子化合物の種類、所望のプロトン伝導度を発現させるために必要なイオン交換容量、などを考慮して適宜設定する必要がある。基本的には、イオン交換容量が高くなるほど破断伸びは低下する傾向を生じるため、所望のプロトン伝導度と破断伸びを満たすように、イオン交換容量を適正化したプロトン伝導性高分子膜を製造する必要がある。
本発明のプロトン伝導性高分子膜のイオン交換容量は、好ましくは0.3ミリ当量/g以上であり、より好ましくは0.5ミリ当量/g以上であり、さらに好ましくは1.0ミリ当量/g以上である。イオン交換容量が、0.3ミリ当量/gよりも低い場合には、所望のプロトン伝導度を発現しない恐れがあり、好ましくない。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の、室温におけるプロトン伝導度は、好ましくは1.0×10-3S/cm以上であり、より好ましくは1.0×10-2S/cm以上である。プロトン伝導度が1.0×10-3S/cmよりも低い場合には、本発明のプロトン伝導性高分子膜を固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質膜として使用した場合に、充分な発電特性を示さない恐れがある。プロトン伝導性高分子膜のプロトン伝導度を前記範囲に設定するには、プロトン伝導性高分子膜の構成成分である炭化水素系高分子化合物や結晶性芳香族高分子化合物の種類などを考慮して、スルホン酸基などのプロトン伝導性置換基やプロトン伝導性物質の導入量を制御すればよい。
本発明のプロトン伝導性高分子膜の厚みは、用途に応じて任意の厚みが選択可能である。膜の内部抵抗を低減することを考慮した場合、実用的な機械的強度を有する範囲で、固体高分子形燃料電池の電解質膜に使用する場合には、燃料および酸化剤の遮断性を有する範囲で、それぞれ薄いほどよい。電解質膜としての特性は、イオン交換容量やプロトン伝導度が同等であれば、厚みが薄くなるほど、膜としての抵抗値が低くなる。したがって、膜の厚みは、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは20〜150μmである。この厚みが、5μmより薄い場合は、使用時にピンホールの発生や膜割れが生じやすくなる傾向がある。また、固体高分子形燃料電池の電解質膜として使用した場合に、燃料や酸化剤の遮断性が不充分となり、性能低下の要因となる傾向がある。さらに直接メタノール形燃料電池の電解質膜として使用した場合には、メタノール遮断性が不充分となり、メタノール透過による性能低下の要因となる傾向がある。一方、200μmを超える場合は、プロトン伝導性高分子膜の抵抗が大きくなり、性能低下の要因となる傾向がある。
本発明の製造方法で得られるスルホン化高分子膜は、プロトン伝導性、化学的・熱的安定性、機械的特性を備えており、固体高分子形燃料電池やメタノールなどのアルコール類を使用する直接アルコール形燃料電池に使用可能な燃料電池用膜として好ましい。実際に、燃料電池用膜として使用する場合には、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜で適用されている公知の方法で、触媒や電極を膜上に接合し、これらと燃料および酸化剤の供給路、集電体から燃料電池セルが構成することができる。また、必要な出力を得るため、セルを複数枚配置して、スタックを構成し、使用することもできる。燃料としては、純水素、メタノール・天然ガス・ガソリンなどの改質水素ガス、メタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテルなどが使用可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
ポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ株式会社製、商品名:トレリナ(登録商標)、膜厚:25μm)の表面処理を行なう。処理条件はラインスピードを1.5m/min.とし、サンドブラスト処理は、加圧一段式で粒径0.1〜1mmのけい砂を使用し、吹き出しノズルとポリフェニレンサルファイドフィルムとの間隔を130mmとする。吹き出し量は調整弁により6kg/minとする。
(表面形状の測定)
光波干渉式表面粗さ計ZYGO社製NewView5030システムを用いて下記の条件で樹脂表面の算術平均粗さを測定した。
[測定条件]
対物レンズ:50倍ミラウ イメージズーム:2
FDA Res:Normal
解析条件:
Remove:Cylinder
このときの表面荒さを表1に記す。以下の表面粗さの測定も同様に実施した。
Figure 2005166401
上記表面処理したフィルムにスルホン化処理をおこなった。つまり、ガラス容器に、1−クロロブタン729g、クロロスルホン酸7.3gを秤量し、クロロスルホン酸溶液を調製した。上記表面処理したポリフェニレンサルファイドフィルムを1.69g秤量し、クロロスルホン酸溶液に浸漬し、室温で20時間、放置した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して4当量)。室温で20時間放置後に、ポリフェニレンサルファイドフィルムを回収し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。
洗浄後のポリフェニレンサルファイドフィルムを23℃に調温した恒温恒湿器内で、相対湿度98%、80%、60%および50%の湿度調節下で、それぞれ30分間放置してフィルムを乾燥し、プロトン伝導性高分子膜として、スルホン酸基が導入されたポリフェニレンサルファイド膜(以下、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜)(80mm×80mm、厚み:51μm)を得た。
このプロトン伝導性高分子膜の各種特性を下記方法で測定した。
(イオン交換容量の測定方法)
プロトン伝導性高分子膜(約10mm×40mm、厚み:任意)を塩化ナトリウム飽和水溶液に浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間反応させる。室温まで冷却した後、サンプルをイオン交換水で充分に洗浄し、フェノールフタレイン溶液を指示薬として、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、イオン交換容量を算出した。
(プロトン伝導度の測定方法)
このプロトン伝導性高分子膜のプロトン伝導度を次の方法で測定した。イオン交換水中に保管したプロトン伝導性高分子膜(直径16mmの円形状)を取り出し、試験体表面の水をろ紙で拭き取った。試験体表面に電極(白金電極:2cm2円形状)を設置し、2極非密閉系の金属製のセルに装着した。室温下で電圧0.5Vの条件で、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜5MHz)により、膜表面の電極間の抵抗を測定し、プロトン伝導度を算出した。結果を表1に示す。
この膜の特性評価を表1に示す
(比較例1)
表面処理をおこなわないポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ株式会社製、商品名:トレリナ(登録商標)、膜厚:25μm)を使用する以外は実施例1と同様にスルホン化ポリフェニレンサルファイド膜を得た。この膜の特性評価を表1に示す。
(実施例2)
1−クロロブタン量を729g、クロロスルホン酸量を14.6g、ポリフェニレンサルファイドフィルムを1.69gとした以外は、実施例1と同様に実施した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して8当量)。得られたスルホン化ポリフェニレンサルファイド膜(80mm×80mm、厚み:51μm)は、膜形状を維持していた。
この膜の特性評価の結果を表2に示す。
Figure 2005166401
(メタノール透過係数の測定方法)
さらにこのプロトン伝導性高分子膜のメタノール透過係数を次の方法で求めた。ビードレックス社製膜透過実験装置を使用して、イオン交換水と64重量%メタノール水溶液を膜で隔離して設置した。所定時間経過後にイオン交換水側に透過したメタノール量をガスクロマトグラフで定量した。これからメタノール透過速度を算出後、膜のメタノール透過係数を求めた。結果を表2に示す。
(比較例2)
1−クロロブタン量を729g、クロロスルホン酸量を21.9g、表面処理しないポリフェニレンサルファイドフィルム(東レ株式会社製、商品名:トレリナ(登録商標)、膜厚:25μm)を1.69gとした以外は、実施例1と同様に実施した(クロロスルホン酸添加量は、ポリフェニレンサルファイドの芳香族単位に対して12当量)。得られたスルホン化ポリフェニレンサルファイド膜(80mm×80mm、厚み:53μm)は、膜形状を維持していた。
この膜の特性評価の結果を表2に示す。
(比較例3)
非炭化水素系高分子化合物からなるスルホン酸基含有膜として、デュポン社製ナフィオン115を使用した。
この膜の特性評価結果を表2に示す。
表1の実施例1と比較例1の比較から、サンドブラスト処理などにより凹凸をつけることで同じスルホン化条件でもプロトン伝導度が高くなることが示された。すなわち固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質として有用であることが明らかとなった。
表2の実施例2と比較例2の比較からメタノール透過係数が低いにもかかわらずプロトン伝導度が実施例の方が高く固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質として有用であることが明らかとなった。また実施例2と比較例3の比較から従来のプロトン伝導性高分子膜に対してプロトン伝導性が高く、メタノール透過係数も低いことから固体高分子形燃料電池や直接メタノール形燃料電池の電解質として有用であることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. プロトン伝導性基と高分子化合物とからなるプロトン伝導性膜の製造方法であって、表面粗度Raが0.05μm〜2μmの凹凸を持つフィルム状の高分子化合物にプロトン伝導性基を導入することを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法。
  2. 前記フィルムの凹凸が、サンドブラスト処理により形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
  3. 表面粗度Raが0.05μm〜2μmであるプロトン伝導性膜。
  4. 表面粗度をサンドブラストによりつけた請求項3記載のプロトン伝導性膜。
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