JP2005166396A - 金属ガラスセパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的安価に、且つ、簡便に、耐腐食性、強度、導電性に優れた金属ガラスセパレータを製造すること。
【解決手段】金属ガラスシート10を、チェインバー30内の溝形状の凹凸が設けられた金型20内に配置し、ガラス遷移温度と結晶化温度の間まで、金属ガラスシート10及び金型20を加熱し、ホットプレスにより、金属ガラスシート10に溝を成形することで、耐腐食性、強度、導電性に優れた金属ガラスセパレータを、比較的安価に、且つ、簡便に製造することができる。ホットプレスを用いて、金属ガラスシートに溝を形成することで、金属ガラスセパレータの大量生産が可能になることから、セパレータの製造コストを小さくすることができる。また、シート面積、溝の高さ、シート厚さ等の加工寸法を比較的大きくとることができる。
【選択図】図1
【解決手段】金属ガラスシート10を、チェインバー30内の溝形状の凹凸が設けられた金型20内に配置し、ガラス遷移温度と結晶化温度の間まで、金属ガラスシート10及び金型20を加熱し、ホットプレスにより、金属ガラスシート10に溝を成形することで、耐腐食性、強度、導電性に優れた金属ガラスセパレータを、比較的安価に、且つ、簡便に製造することができる。ホットプレスを用いて、金属ガラスシートに溝を形成することで、金属ガラスセパレータの大量生産が可能になることから、セパレータの製造コストを小さくすることができる。また、シート面積、溝の高さ、シート厚さ等の加工寸法を比較的大きくとることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体高分子型燃料電池のセルに組込まれるセパレータの製造方法の技術分野に属する。
固体高分子型燃料電池(以下、「燃料電池」と呼ぶ。)は、高分子電解質膜からなる電極に、反応ガス(水素・酸素)を供給して発電する装置である。
図2は、燃料電池を構成する最小ユニットであるセルCの斜視図である。
燃料電池のセルCは、触媒層と多孔質支持層からなる2つの電極E1,E2(アノード、及びカソード)、電極E1,E2間に挿入される電解質D、及び電極E1,E2の外側に配置されたセパレータ100からなる。
上記構成のセルCでは、1つにつき1V弱の電圧しか得られないので、実際の燃料電池としては、通常、数十〜数百のセルCを直列に積層したものが使用されている。
図2は、燃料電池を構成する最小ユニットであるセルCの斜視図である。
燃料電池のセルCは、触媒層と多孔質支持層からなる2つの電極E1,E2(アノード、及びカソード)、電極E1,E2間に挿入される電解質D、及び電極E1,E2の外側に配置されたセパレータ100からなる。
上記構成のセルCでは、1つにつき1V弱の電圧しか得られないので、実際の燃料電池としては、通常、数十〜数百のセルCを直列に積層したものが使用されている。
図3は、燃料電池に使用される従来のセパレータ100の正面図である。
プレート状のセパレータ100の両面に、図3に示すように、幅、及び深さが0.5〜2mm程度の多数の溝120が設けられており、この溝120は、反応ガスの流路、及び反応によって発生した水の排出路として機能する。
多数のセルCが積層されてなる燃料電池において、上記のセパレータ100は、各セルC間の仕切り板としてだけでなく、溝120を介して隣合う電極E1(又はE2)に反応ガスを供給したり、反応に伴って発生した水を外部に排出するために設けられている。
また、セパレータ100は、セルCで発生した電気を外部に伝達するための役割も果たしている。
プレート状のセパレータ100の両面に、図3に示すように、幅、及び深さが0.5〜2mm程度の多数の溝120が設けられており、この溝120は、反応ガスの流路、及び反応によって発生した水の排出路として機能する。
多数のセルCが積層されてなる燃料電池において、上記のセパレータ100は、各セルC間の仕切り板としてだけでなく、溝120を介して隣合う電極E1(又はE2)に反応ガスを供給したり、反応に伴って発生した水を外部に排出するために設けられている。
また、セパレータ100は、セルCで発生した電気を外部に伝達するための役割も果たしている。
従って、燃料電池のセパレータ100としては、電極E1,E2(アノード側、カソード側)に供給される反応ガスが混合しないようにガス遮蔽性が高く、反応ガスによって腐食されることがないように耐蝕性・耐酸化性に優れ、軽量で、且つ、導電性を有し、さらに、積層した各セルCの荷重に耐え得る強度を具えていることが要求される。
また、燃料電池を小型化するためには、セパレータ100をできるだけ薄くする必要がある。
また、燃料電池を小型化するためには、セパレータ100をできるだけ薄くする必要がある。
上記特性を満たすセパレータ100の材料として、従来から、等方性カーボンが使用されている。しかし、より小型で高出力の燃料電池を開発するためには、セパレータを薄くすると機械的強度及び成形性に限界があった。そこで、現在では、セパレータを薄くしても機械強度、成形性に優れた、金属を母材とするセパレータの開発が進められている。
ところが、金属を母材とするセパレータを用いる場合には、以下の2点が問題となる。第1点は、金属の特性に由来する耐食性の低さである。一般的な燃料電池においては、燃料電池の反応下においては水が存在するが、金属はこのように水を含む雰囲気下では腐食されやすいという問題がある。
第2点は、金属の特性に由来する高い接触抵抗(低い導電性)が挙げられる。金属表面には不働態層が形成されるためカーボン材料に比べて接触抵抗が高く、そのような金属セパレータに通電された場合には電圧降下が大きくなり、燃料電池の性能低下を招くおそれがある。
このような問題に対して、例えば、セパレータに用いる母材の金属にステンレス鋼を用い、その表面をサンドブラスト等により粗面化する技術がある(第1の従来技術)。この技術によると、母材の金属にステンレス鋼が用いられるので耐食性に優れるとともに、母材表面の粗面化により接触抵抗が低下する。また、特許文献1には、セパレータの母材にステンレス鋼を用い、その表面に金メッキを施す技術が開示されている(第2の従来技術)。この技術によれば、耐食性、導電性に優れた金が母材表面にメッキされるので、金の特性により耐食性が向上するとともに、接触抵抗を低減することができる。
しかし、第1の従来技術は、電力を発生する反応中にセパレータが酸化雰囲気となるため、使用中に腐食されてしまうという問題がある。
また、第2の従来技術は、金メッキを用いることからコスト高になってしまうという問題を有する。
また、第2の従来技術は、金メッキを用いることからコスト高になってしまうという問題を有する。
そこで、ステンレス鋼からなる母材の表面に、アモルファス金属からなる導電性粒子を物理蒸着法により積層させて、厚さ1〜50μmの多孔質層を形成することで、耐食性・導電性を向上させた燃料電池用セパレータが、特許文献2に開示されている。
このセパレータは、母材が金属からなるので、セパレータの厚みを薄くしても強度を保つことができる。また、導電性粒子が融着されて形成されることにより、導電性粒子が剥離しにくい上、多孔質層とされているので、アノード又はカソードと積層して押圧された場合には、アノード又はカソードの接触面積が増大し、電極に対する接触抵抗が低減される。
また、母材表面に形成された多孔質層を構成する材質の少なくとも一部にアモルファス金属を含むので、前記燃料電池用セパレータは耐食性にも優れている。
特開平10−228914号公報
特開2001−325966号公報
また、母材表面に形成された多孔質層を構成する材質の少なくとも一部にアモルファス金属を含むので、前記燃料電池用セパレータは耐食性にも優れている。
しかし、この特許文献2のセパレータは、物理蒸着法により、アモルファス金属を積層しなければならないため、製造に手間がかかるという問題を有する。
本発明は、上述の問題に鑑み、比較的安価に、且つ、簡便に、耐腐食性、強度、導電性に優れた金属ガラスセパレータを製造することを目的とする。
本発明は、上述の問題に鑑み、比較的安価に、且つ、簡便に、耐腐食性、強度、導電性に優れた金属ガラスセパレータを製造することを目的とする。
なお、固体高分子型燃料電池に使用される燃料電池セパレータに金属ガラスを用いるためには、燃料・反応ガス供給及び生成水排出のために、溝を設ける必要があるが、金属ガラスは、通常シート状や管状で使用されるものであり、溝を設けることは余り行われていなかった。
本発明は、ホットプレスにより、比較的安価に、且つ、簡便に、金属ガラスシートに溝を設けることに成功したものである。
本発明は、ホットプレスにより、比較的安価に、且つ、簡便に、金属ガラスシートに溝を設けることに成功したものである。
本発明は、溝形状の凹凸が設けられた金型内に、金属ガラスのシートを配置し、ガラス遷移温度と結晶化温度の間まで前記金属ガラスのシート及び前記金型を加熱し、金属ガラスのもつ優れた過冷却液体領域における粘性流動特性を利用することにより、ホットプレスで前記金属ガラスシートに溝を成形することを特徴とする金属ガラスセパレータの製造方法によって、前記の課題を解決した。
本発明によれば、ホットプレスという簡便な方法により、金属ガラスシートに直接溝を設けることができることから、従来のカーボン材料からなるセパレータよりも、耐腐食性、強度、導電性に優れた金属ガラスセパレータを、比較的安価に、且つ、簡便に製造することができる。
また、ホットプレスを用いて、金属ガラスシートに溝を形成することで、金属ガラスセパレータの大量生産が可能になることから、金属ガラスセパレータの製造コストを小さくすることができる。
また、本発明の製造方法によれば、シート最大面積:500mm×500mm、溝の最大高さ:1.0mm、金属ガラスシートの最大厚さ:250μmの加工が可能であり、加工可能寸法を比較的大きくとることができる。
また、本発明の製造方法によれば、シート最大面積:500mm×500mm、溝の最大高さ:1.0mm、金属ガラスシートの最大厚さ:250μmの加工が可能であり、加工可能寸法を比較的大きくとることができる。
本発明の金属ガラスセパレータの製造方法を、図1に基づいて説明する。
本発明の金属ガラスセパレータの製造方法は、以下の工程からなる。
(工程1)金属ガラスシート10を、チェインバー30内の溝形状の凹凸が設けられた金型20内に配置する。
(工程2)ガラス遷移温度と結晶化温度の間まで、金属ガラスシート10及び金型20を加熱する。
(工程3)ホットプレスにより、金属ガラスシート10に溝を成形する。
本発明の金属ガラスセパレータの製造方法は、以下の工程からなる。
(工程1)金属ガラスシート10を、チェインバー30内の溝形状の凹凸が設けられた金型20内に配置する。
(工程2)ガラス遷移温度と結晶化温度の間まで、金属ガラスシート10及び金型20を加熱する。
(工程3)ホットプレスにより、金属ガラスシート10に溝を成形する。
ところで、金属ガラスシート10にセパレータに必要な凹凸の溝形状を形成するには、金属ガラスシート10及び金型20をガラス遷移温度と結晶化温度の間の温度まで加熱する必要がある。これは、金属ガラスシート10の温度がガラス遷移温度以下であると十分な延性が得られず、結晶化温度以上であると結晶化が起こり、金属ガラス(過冷却による液体状態の金属)ではなく一般の多結晶金属となり、結晶間の結晶粒界が腐食の起点となり、セパレータに必要な耐食性が得られないためである。
ここで、表面の酸化を防ぐため、加熱・成形は、不活性雰囲気中でなされることが好ましい。これは、チェインバー30内を不活性ガスで充填することで実現される。また、金属ガラスシート10の厚さは、50〜250μmであることが望ましい。
従来、固体高分子型燃料電池のセパレータとして、ステンレス鋼からなるものやステンレス鋼に金メッキをしてなるものがあるが、ステンレス鋼の場合、電力を発生する反応中にセパレータが酸化雰囲気となるため、使用中に腐食されてしまうという問題があり、また、金メッキを施すと今度はコスト高になってしまうという問題がある。
本発明の金属ガラスセパレータは、金属ガラスが理論的には酸化の開始点となる結晶粒界がないことから、腐食を抑えることができる。また、強度や電気伝導性についても現在使われているカーボン系の材料よりも優れている。また、カーボン材料を用いた場合より、工程を少なくすることができることから、製造コストを抑えることができる。
本発明の金属ガラスセパレータの製造方法によれば、以下の比較的大きいサイズの加工が可能となることが確認された。
金属ガラスシート最大面積:500mm×500mm
溝の最大高さ:1.0mm
金属ガラスシートの最大厚さ:250μm
金属ガラスシート最大面積:500mm×500mm
溝の最大高さ:1.0mm
金属ガラスシートの最大厚さ:250μm
以上説明したように、本発明によれば、ホットプレスという簡便な方法により金属ガラスシートに直接溝を設けることができることから、従来のカーボン材料からなるセパレータよりも、耐腐食性、強度、導電性に優れた金属ガラスセパレータを、比較的安価に、且つ、簡便に製造することができる。
また、ホットプレスを用いることで、金属ガラスセパレータの大量生産が可能になることから、金属ガラスセパレータの製造コストを小さくすることができる。
そして、本発明の製造方法によれば、シート最大面積:500mm×500mm、溝の最大高さ:1.0mm、金属ガラスシートの最大厚さ:250μmの加工が可能であり、加工可能寸法を比較的大きくとることができるという効果を奏する。
そして、本発明の製造方法によれば、シート最大面積:500mm×500mm、溝の最大高さ:1.0mm、金属ガラスシートの最大厚さ:250μmの加工が可能であり、加工可能寸法を比較的大きくとることができるという効果を奏する。
10:金属ガラスシート 20:金型 30:チェインバー
Claims (3)
- 溝形状の凹凸が設けられた金型内に、金属ガラスシートを配置し、
ガラス遷移温度と結晶化温度の間まで前記金属ガラスシート及び前記金型を加熱し、ホットプレスにより前記金属ガラスシートに溝を成形することを特徴とする、
金属ガラスセパレータの製造方法。 - 不活性雰囲気中で加熱・成形がなされる、請求項1の金属ガラスセパレータの製造方法。
- 前記金属ガラスシートの厚さが50〜250μmである、請求項1又は2の金属ガラスセパレータの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003402762A JP2005166396A (ja) | 2003-12-02 | 2003-12-02 | 金属ガラスセパレータの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003402762A JP2005166396A (ja) | 2003-12-02 | 2003-12-02 | 金属ガラスセパレータの製造方法 |
Publications (1)
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ID=34726246
Family Applications (1)
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JP2003402762A Pending JP2005166396A (ja) | 2003-12-02 | 2003-12-02 | 金属ガラスセパレータの製造方法 |
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JP (1) | JP2005166396A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100756020B1 (ko) * | 2006-04-03 | 2007-09-07 | 한국기계연구원 | 연료전지용 분리판의 제조방법 |
US20130074313A1 (en) * | 2007-08-20 | 2013-03-28 | California Institute Of Technology | Multilayered Cellular Metallic Glass Structures and Methods of Preparing the Same |
-
2003
- 2003-12-02 JP JP2003402762A patent/JP2005166396A/ja active Pending
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KR100756020B1 (ko) * | 2006-04-03 | 2007-09-07 | 한국기계연구원 | 연료전지용 분리판의 제조방법 |
US20130074313A1 (en) * | 2007-08-20 | 2013-03-28 | California Institute Of Technology | Multilayered Cellular Metallic Glass Structures and Methods of Preparing the Same |
US8813339B2 (en) * | 2007-08-20 | 2014-08-26 | California Institute Of Technology | Multilayered cellular metallic glass structures and methods of preparing the same |
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