JP2005165068A - トナー - Google Patents

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孝 手嶋
Koji Akioka
宏治 秋岡
Takeshi Ikuma
健 井熊
Hiroshi Kaiho
浩 海保
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Abstract

【課題】 各トナー粒子間で、形状のばらつきが小さく、トナー粒子の機械的安定性に優れたトナーを提供すること。また、分級工程等の製造工程においても、トナー粒子の崩壊物(分解物)を発生し難く、環境に優しいトナーを提供すること。
【解決手段】 本発明のトナー粒子100は、複数個の樹脂微粒子41と、接着樹脂相42と、表面層43とを備えた粒状体4と、外添剤6とで構成されている。樹脂微粒子41は、主として結着樹脂(バインダー樹脂)で構成されたものである。接着樹脂相42は、主として接着樹脂で構成されたものであり、少なくとも、隣接する樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間の未接合部分に設けられている。接着樹脂相42は、主として、エポキシ樹脂で構成されたものであるのが好ましい。表面層43は、少なくとも複数個の樹脂微粒子41が溶融一体化してなるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、トナーに関する。
電子写真法としては、多数の方法が知られているが、一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成する工程(露光工程)と、該潜像をトナーを用いて現像する現像工程と、紙等の転写材にトナー画像を転写する転写工程と、定着ローラを用いた加熱、加圧等により、前記トナー画像を定着する工程とを有している。
また、トナーの製造方法としては、粉砕法、重合法が用いられている。
粉砕法は、主成分である結着樹脂(バインダー樹脂)と、着色剤とを含む原料を混練して混練物を得、その後、前記混練物を冷却、粉砕する方法である(例えば、非特許文献1参照)。このような粉砕法は、原料の選択の幅が広く、比較的容易にトナーを製造することができる点で優れている。しかしながら、粉砕法で得られるトナーは不定形で、各粒子間での形状のばらつきが大きく、その粒径分布も広くなりやすいという欠点を有している。その結果、各トナー粒子間での特性が大きく異なる結果となり、トナー全体としての転写効率が低下したり、帯電特性が低下する等の問題があった。
重合法は、結着樹脂の構成成分である単量体を用いて、液相中等で、重合反応を行い、目的とする結着樹脂を生成することにより、トナー粒子を製造するものである(例えば、特許文献1参照)。このような重合法は、得られるトナー粒子の形状を、比較的真球度の高いもの(幾何学的に完全な球形に近い形状)にすることができるという点で優れている。しかしながら、重合法では、各粒子間で粒径のばらつきを十分に小さくすることができない場合がある。また、重合法では、結着樹脂の種類の選択の幅が狭く、目的とする特性のトナーを得るのが困難となる場合がある。
電子写真学会監修「電子写真の基礎と応用」コロナ社発行、1988年、p482−486 特開平6−332257号公報(第2頁28〜35行目)
本発明の目的は、トナー粒子間で、形状のばらつきが小さく、トナー粒子の機械的安定性に優れたトナーを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のトナーは、主として結着樹脂で構成された複数個の樹脂微粒子を接合してなるトナー粒子の集合体であるトナーであって、
前記トナー粒子は、隣接する前記樹脂微粒子間の未接合部分に、主として接着樹脂で構成された接着樹脂相を有し、かつ、
その表面付近に、少なくとも複数個の前記樹脂微粒子が溶融一体化してなる表面層を有することを特徴とする。
これにより、トナー粒子間で、形状のばらつきが小さく、トナー粒子の機械的安定性に優れたトナーを提供することができる。
本発明のトナーでは、前記接着樹脂は、主として熱硬化性樹脂で構成されたものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の機械的安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、トナーの製造時においては、接着樹脂相を容易に形成することができる。
本発明のトナーでは、前記接着樹脂は、主としてエポキシ樹脂で構成されたものであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の機械的安定性をさらに優れたものとすることができるとともに、トナーの製造時においては、接着樹脂相をさらに容易に形成することができる。
本発明のトナーでは、前記樹脂微粒子は、着色剤を含むものであることが好ましい。
これにより、比較的容易に、トナー粒子内における着色剤の分散性を特に高いものとすることができる。また、着色剤がトナー粒子の外部にしみ出すこと(不本意な着色剤のしみ出し)を効果的に防止することができる。その結果、トナーを用いて形成される画像において、いわゆるすじ等が発生するのを効果的に防止することができ、また、感光体等の画像形成装置の構成部材への汚れの付着等を効果的に防止することができる。
本発明のトナーでは、前記樹脂微粒子は、ワックスを含むものであることが好ましい。
これにより、比較的容易に、トナー粒子内におけるワックスの分散性を十分に高いものとすることができる。また、ワックスがトナー粒子の外部にしみ出すこと(不本意なワックスのしみ出し)を効果的に防止することができる。
本発明のトナーでは、前記樹脂微粒子の平均粒径が0.04〜1.2μmであることが好ましい。
これにより、トナー粒子間での、形状のばらつき、粒度分布の幅をさらに小さくすることができる。
本発明のトナーでは、前記トナー粒子の平均粒径が2〜20μmであることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきを特に小さいものとし、トナー全体としての信頼性を特に高いものとしつつ、トナーにより形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
本発明のトナーでは、前記樹脂微粒子の平均粒径をd[μm]、前記トナー粒子の平均粒径をD[μm]としたとき、2≦D’/d’≦100の関係を満足することが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきを特に小さいものとし、トナー全体としての信頼性を特に高いものとしつつ、トナーにより形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
本発明のトナーでは、外添剤が付与されてなることが好ましい。
これにより、トナーとして求められる各種特性のバランスが特に優れたものとなる。
本発明のトナーでは、各トナー粒子間での粒径の標準偏差が1.6μm以下であることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、トナー全体としての信頼性がさらに向上する。
本発明のトナーでは、下記式(I)で表される前記トナー粒子の平均円形度Rが0.91〜0.99であることが好ましい。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。また、トナーの流動性も向上する。
本発明のトナーでは、各トナー粒子間での円形度の標準偏差が0.05以下であることが好ましい。
これにより、トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、トナー全体としての信頼性がさらに向上する。
以下、本発明のトナーの好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
[トナー粒子]
図1は、本発明のトナー(トナー粒子)の好適な実施形態を模式的に示す断面図、図2は、軟化点解析用フローチャートである。
図1に示すように、トナー粒子100は、複数個の樹脂微粒子41と接着樹脂相42と表面層43とを備えた粒状体4と、外添剤6とで構成されている。以下、樹脂微粒子41、接着樹脂相42、表面層43、外添剤6について詳細に説明する。なお、トナーの構成材料(樹脂微粒子41、接着樹脂相42、表面層43、外添剤6の構成材料)については、後に詳述する。
<樹脂微粒子>
樹脂微粒子41は、主として結着樹脂(バインダー樹脂)で構成されたものである。
図1に示すように、1個のトナー粒子100中には、複数個の樹脂微粒子(結着樹脂微粒子)41が含まれている。これにより、例えば、後述するような方法により、トナー粒子100(粒状体4)全体としての円形度、すなわち、表面層43を有するトナー粒子100(粒状体4)の円形度を、容易かつ確実に、比較的大きいものとすることができる。その結果、感光体上へのトナー(トナー粒子100)の付着(フィルミング)を十分に防止し、トナーの転写効率を高いものとしつつ、個々のトナー粒子100間での帯電特性の差を十分に小さくし、感光体上への現像性を優れたものとすることができる。また、トナー全体としての特性、信頼性も向上する。また、トナー粒子100においては、複数個の樹脂微粒子41が溶融接合されている。これにより、トナー粒子100としての機械的安定性が向上するとともに、トナー粒子100が比較的小粒径のものであっても、容易かつ確実に、その円形度を比較的小さいものとすることができる。なお、トナー粒子100を構成する複数個の樹脂微粒子41のうち、少なくとも一部が溶融接合されていればよく、例えば、樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間に明確な界面(境界面)が存在する部位が(特に、トナー粒子100の中心部付近に)あってもよい。また、トナー粒子100内においては、互いに隣接する樹脂微粒子41のほぼすべてが接触、接合し合っていてもよいし、隣接する樹脂微粒子41のうちの一部が互いに接触していなくてもよい。
また、前述したように、樹脂微粒子41は、主として結着樹脂で構成されたものであればいかなるものであってもよいが、結着樹脂以外のトナーの構成成分(例えば、着色剤、ワックス、帯電制御剤等)を含んでいてもよい。このように、樹脂微粒子41が結着樹脂以外のトナーの構成成分を含むものであると、例えば、トナー粒子内における前記構成成分の分散性を特に高いものとすることができる。言い換えると、構成成分が均一に混ざり合ったトナーを容易に得ることができ、得られるトナーの信頼性は特に優れたものとなる。
特に、樹脂微粒子41が着色剤を含むものであると、比較的容易に、トナー粒子100内における着色剤の分散性を特に高いものとすることができる。また、樹脂微粒子41が着色剤を含むものであると、着色剤がトナー粒子100の外部にしみ出すこと(不本意な着色剤のしみ出し)を効果的に防止することができる。その結果、トナーを用いて形成される画像において、いわゆるすじ等が発生するのを効果的に防止することができ、また、感光体等の画像形成装置の構成部材への汚れの付着等を効果的に防止することができる。
また、樹脂微粒子41がワックスを含むものであると、比較的容易に、トナー粒子100内におけるワックスの分散性を特に高いものとすることができる。また、樹脂微粒子41がワックスを含むものであると、ワックスがトナー粒子100の外部にしみ出すこと(不本意なワックスのしみ出し)を効果的に防止することができる。その結果、感光体等の画像形成装置の構成部材への汚れの付着等を効果的に防止することができる。
なお、着色剤、ワックス、帯電制御剤等の結着樹脂以外のトナーの構成成分は、樹脂微粒子41中に含まれていなくてもよい。例えば、トナー粒子100が、樹脂微粒子41以外の微粒子(図示せず)を有するものである場合、当該微粒子の構成成分として、上記のような結着樹脂以外の成分が含まれていてもよい。
トナー粒子100を構成する複数の樹脂微粒子41の平均粒径d’は、特に限定されないが、0.04〜1.2μmであるのが好ましく、0.08〜1.2μmであるのがより好ましく、0.10〜0.80μmであるのがさらに好ましい。樹脂微粒子41の平均粒径d’が前記範囲内の値であると、各トナー粒子100間での、形状のばらつき、粒度分布の幅をさらに小さくすることができる。また、樹脂微粒子41の平均粒径d’が前記範囲内の値であると、後述するような方法により、適度な大きさのトナー粒子を容易かつ確実に製造することができる。
また、樹脂微粒子41の平均粒径をd’[μm]、トナー粒子100の平均粒径をD’’[μm]としたとき、2≦D’’/d’≦100の関係を満足するのが好ましく、20≦D’’/d’≦80の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、各トナー粒子100間での形状のばらつきおよび粒度分布の幅を、さらに小さくすることができる。その結果、トナー粒子100間での特性のばらつきが小さくなり、トナー全体としての信頼性が向上する。
<接着樹脂相>
ところで、一般に、二次粒子のように、複数個の微粒子で構成された粒状体(凝集体)は、単一の粒子からなる粒状体に比べ、機械的安定性に劣る。すなわち、複数個の微粒子で構成された粒状体は、微粒子同士の界面付近等、機械的に不安定な部位を有しており、外力が加わった場合、このような部位から、粒状体の崩壊(分解)が起こり易い。したがって、トナー粒子を、上記のような複数個の樹脂微粒子のみで構成した場合には、比較的容易に、各トナー粒子間での、形状のばらつき、粒度分布の幅を小さくすることができる反面、トナー粒子として求められる十分な機械的安定性を得るのが困難である。このように、機械的安定性に劣ると、分級工程、外添工程等における粒状体の崩壊(分解)が起こり易いため、トナー製造の歩留りが低下するとともに、最終的な製品としてのトナーについても、現像機内等での崩壊が起こり易く、耐久性に劣る。
そこで、本発明者は、上記のような問題を解決する目的で、鋭意研究を行ったところ、少なくとも、隣接する樹脂微粒子間の未接合部分に、主として接着樹脂で構成された接着樹脂相(補填相)を設けることにより、優れた結果が得られることを見出した。すなわち、複数の樹脂微粒子と、接着樹脂相とを備えることにより、複数個の樹脂微粒子で構成されることによる効果を十分に発揮しつつ、トナー粒子の機械的安定性(機械的強度)、特に、圧縮等の力に対する機械的安定性(機械的強度)を向上させることができることを見出した。
したがって、本実施形態においても、接着樹脂相(補填相)42は、主として接着樹脂で構成されたものであり、少なくとも、隣接する樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間の未接合部分に設けられている(図1参照)。このような構成であることにより、トナー粒子100は、機械的強度に優れ、耐久性に優れたものとなる。また、このような構成であることにより、トナー粒子100(粒状体4)の内部における空隙(空孔)の占める割合を低減させることができる。これにより、空隙内に水分等が侵入するのを効果的に防止することができ、トナーの環境特性を向上させることができるとともに、機械的なストレスが加わった場合においても、トナー粒子100は、変形を生じ難いものとなる。
また、上述したように、接着樹脂相42を有することにより、トナー粒子100の機械的安定性が向上するため、分級工程、外添工程等のトナーの製造工程(比較的大きな外力が加わる工程)においても、トナー粒子100(複数の樹脂微粒子41と接着樹脂相42とを有する粒状体4)が崩壊(分解)するのを効果的に防止することができる。このため、最終的な製品としてのトナーの製造の歩留りが向上し、廃棄されるトナー原料(崩壊するトナー粒子100)の量を抑制することができる。したがって、本発明は、省資源、環境保護の観点からも好ましい。
接着樹脂相42を構成する接着樹脂は、接着性を有するものであれば、いかなるものであってもよいが、主として熱硬化性樹脂で構成されたものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子100の機械的安定性を特に優れたものとすることができるとともに、トナーの製造時においては、接着樹脂相42を容易に形成することができる。また、接着樹脂が、主として熱硬化性樹脂で構成されたものであると、後述するトナーの製造方法の表面層形成工程において、表面層43を、主として、樹脂微粒子41の構成材料(特に結着樹脂)で構成されたものとして、効率良く形成することができる。より詳しく説明すると、後述する凝集体製造工程において、接着樹脂を硬化させることができるため、その後の表面層形成工程においては、結着樹脂を選択的に軟化溶融させ、軟化溶融した結着樹脂(樹脂微粒子41の構成成分)が表面付近をコーティングするようにして形成された粒状体4を効率良く得ることができる。なお、接着樹脂相42は、最終的なトナー(トナー粒子100)において、隣接する樹脂微粒子41を結合(接着)する機能(隣接する樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間の未接合部分を補填する機能)を有するものであればよく、例えば、ほぼ完全に硬化した状態のものであってもよいし、半硬化の状態のものであってもよいし、未硬化の状態のものであってもよい。接着樹脂相42を構成する接着樹脂が半硬化または未硬化の状態のものである場合、例えば、定着工程における加熱等により、接着樹脂をほぼ完全に硬化させた状態とすることができ、トナーの記録媒体への定着強度を特に優れたものとすることができる。
また、接着樹脂は、主としてエポキシ樹脂で構成されたものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子100の機械的安定性をより優れたものとすることができるとともに、トナーの製造時においては、接着樹脂相をさらに容易に形成することができる。また、エポキシ樹脂は、ポリエステル系樹脂やスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等との親和性に特に優れている。したがって、結着樹脂(バインダー樹脂)がこのような材料で構成されたものである場合、樹脂微粒子41と接着樹脂相42との接着強度は特に優れたものとなり、結果として、トナー粒子100の機械的安定性をさらに優れたものとすることができる。なお、接着樹脂相42の構成材料については、後に詳述する。
<表面相>
トナー粒子100(粒状体4)は、その表面付近に、主として結着樹脂で構成された表面層43を有している。この表面層43は、少なくとも、複数個の樹脂微粒子41が溶融一体化することにより形成されたものである。このような表面層43を有することにより、トナー粒子100(粒状体4)の機械的強度(機械的安定性)は、特に優れたものとなる。特に、表面層43が、複数個の樹脂微粒子41が溶融一体化することにより形成されたものであることにより、樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間の境界(界面)や、樹脂微粒子41−接着樹脂相42間の境界(界面)が、粒状体4の表面付近に、露出するのを効果的に防止することができる。このため、トナー粒子100(粒状体4)の機械的強度(機械的安定性)、特に、トナー粒子100(粒状体4)に摩擦の力に対する機械的強度(機械的安定性)は、極めて優れたものとなる。
また、表面層43を有することにより、トナー粒子100としての定着性も十分に保持することができる。すなわち、後述するように、結着樹脂は、一般にトナーの定着特性に大きく寄与する成分であるため、主としてこのような結着樹脂で構成された表面層43を有することにより、トナーの定着性も十分に保持することができる。これに対し、表面層の主成分が結着樹脂でない場合、例えば、表面層が主として接着樹脂で構成されたものである場合、トナーの定着特性を十分に高いものとするのが困難である。
また、表面層43を有することにより、トナー粒子100(粒状体4)の円形度を比較的大きいものとすることができるとともに、各粒子間での形状のばらつきも小さくすることができる。すなわち、トナー粒子(粒状体)が、複数個の樹脂微粒子と接着樹脂相とで構成され、表面層を有していない場合には、一般に、その表面付近に樹脂微粒子の形状の痕跡が残存し、多数個の凹凸が存在することとなるため、(粉砕法等の方法により製造されるトナー粒子よりも円形度の大きいものとすることはできるものの)トナー粒子100(粒状体4)の円形度を、所定値以上にするのは困難であるのに対し、表面層43を有することにより、上記のような凹凸を緩和することができるため、トナー粒子100(粒状体4)の円形度を比較的大きいものとすることができ、かつ、各粒子間での形状のばらつきも小さくすることができる。したがって、表面層43を有することにより、トナー粒子100の転写効率を特に優れたものとすることができる。また、トナーの流動性も向上する。
特に、本発明においては、このような表面層と、前述したような接着樹脂相とを併有することにより、これらの機能が相乗的に作用し、特に優れた効果(相乗効果)が得られる。すなわち、接着樹脂相と表面層とを併有することにより、トナー全体としては、圧縮力や摩擦力だけでなく様々な外力に対して、優れた安定性(機械的安定性)を発揮することができる。また、それとともに、トナーの定着特性を十分に優れたものとしつつ、各トナー粒子間での形状のばらつきを特に小さいものとすることができる。したがって、本発明のトナーは、各トナー粒子間での特性のばらつきが小さく、信頼性に優れている。
上述したように、表面層43は、少なくとも、複数個の樹脂微粒子41が溶融一体化することにより形成されたものであるが、樹脂微粒子41の構成成分以外の成分を含むものであってもよい。例えば、表面層43は、その構成成分として、接着樹脂(接着樹脂相42の構成成分)等を含むものであってもよい。
<粒状体>
粒状体4は、上述したような樹脂微粒子41と、接着樹脂相42と、表面層43とを備えている。
粒状体4の平均粒径Dは、2〜20μmであるのが好ましく、3〜8μmであるのがより好ましい。粒状体4の平均粒径Dが前記下限値未満であると、各トナー粒子100を均一に帯電させるのが困難になるとともに、静電潜像担持体(例えば、感光体等)表面への付着力が大きくなり、結果として、転写残トナーの増加、転写効率の低下を招く場合がある。また、粒状体4(トナー粒子100)の製造も困難になる。一方、粒状体4の平均粒径Dが前記上限値を超えると、トナー粒子100の平均粒径も大きくなるため、トナーを用いて形成される画像の輪郭部分、特に文字画像やライトパターンの現像での再現性が低下する。その結果、解像力が低下する。
また、粒状体4の各粒子間での粒径の標準偏差は、1.6μm以下であるのが好ましく、1.5μm以下であるのがより好ましく、1.3μm以下であるのがさらに好ましい。粒状体4の各粒子間での粒径の標準偏差が1.6μm以下であると、帯電特性、定着特性等のばらつきが特に小さくなり、トナー全体としての信頼性がさらに向上する。
なお、粒状体4は、樹脂微粒子41、接着樹脂相42、表面層43以外の構成(図示しない構成)を有するものであってもよい。粒状体4は、例えば、樹脂微粒子41以外の微粒子を備えたものであってもよい。より具体的には、粒状体4は、主として結着樹脂で構成された樹脂微粒子41の他に、例えば、図示しない構成として、主として着色剤で構成された着色剤微粒子や、主としてワックスで構成されたワックス微粒子等を備えたものであってもよい。また、粒状体4は、組成、形状、大きさ等の異なる2種以上の樹脂微粒子41を含むものであってもよい。また、上記のような着色剤微粒子、ワックス微粒子を含む場合、これらについても、同様のことが言える。
<外添剤>
また、本実施形態では、トナー粒子100は、粒状体4に加えて、外添剤6を有している。すなわち、トナー粒子100は、樹脂微粒子41と接着樹脂相42とで構成された粒状体4の表面付近に、外添剤6が付与されてなるものである。このように、外添剤6が付与されたものであると、トナーとして求められる各種特性(例えば、帯電特性、流動性、離型性等)のバランスが特に優れたものとなる。
<トナー粒子>
トナー粒子100は、外添剤6の被覆率(粒状体4の表面積のうち外添剤6が被覆する面積割合であり、外添剤6の平均粒径相当の球がトナー平均粒径相当の球を6方細密充填で被覆するとしたときの計算上の被覆率)が100〜300%であるのが好ましく、120〜220%であるのがより好ましい。外添剤6の被覆率が前記下限値未満であると、外添剤6の機能が十分に発揮されない可能性がある。一方、外添剤6の被覆率が前記上限値を超えると、トナーの定着性が低下する傾向を示す。
また、トナー粒子100は、下記式(I)で表される平均円形度Rが0.91〜0.99であるのが好ましく、0.93〜0.98であるのがより好ましい。平均円形度Rが0.91未満であると、個々のトナー粒子100間での帯電特性の差を十分に小さくするのが困難となり、感光体上への現像性が低下する傾向を示す。また、平均円形度Rが小さすぎると、感光体上へのトナーの付着(フィルミング)が発生しやすくなり、トナーの転写効率が低下する場合がある。一方、平均円形度Rが0.99を超えると、転写効率や機械的強度は増す反面、造粒(粒子同士の接合)が促進されることで平均粒子径が大きくなる等の問題がある。また、平均円形度Rが0.99を超えると、例えば、感光体等に付着したトナーをクリーニングにより除去するのが困難となる。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円(完全な幾何学的円)の周囲長を表す。)
また、各トナー粒子100間での円形度の標準偏差は、0.05以下であるのが好ましく、0.03以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましい。各トナー粒子100間での円形度の標準偏差が0.05以下であると、帯電特性、定着特性等のばらつきが特に小さくなり、トナー全体としての信頼性がさらに向上する。
また、トナー粒子100の平均粒径D’’は、2〜20μmであるのが好ましく、3〜8μmであるのがより好ましい。トナー粒子100の平均粒径D’’が前記下限値未満であると、均一に帯電させるのが困難になるとともに、静電潜像担持体(例えば、感光体等)表面への付着力が大きくなり、結果として、転写残トナーの増加、転写効率の低下を招く場合がある。また、トナー粒子100(粒状体4)の製造も困難になる。一方、トナー粒子100の平均粒径D’’が前記上限値を超えると、トナーを用いて形成される画像の輪郭部分、特に文字画像やライトパターンの現像での再現性が低下する。その結果、解像力が低下する。
また、各トナー粒子100間での粒径の標準偏差は、1.6μm以下であるのが好ましく、1.5μm以下であるのがより好ましく、1.3μm以下であるのがさらに好ましい。各トナー粒子100間での粒径の標準偏差が1.6μm以下であると、帯電特性、定着特性等のばらつきが特に小さくなり、トナー全体としての信頼性がさらに向上する。
<トナーの構成材料>
次に、トナー(トナー粒子)の構成材料(トナーの製造に用いる材料)について説明する。
1.結着樹脂(バインダー樹脂)
結着樹脂(バインダー樹脂)は、通常、トナーの定着特性、弾性率、帯電特性等、トナーとして求められる特性に大きく寄与する成分であり、トナーの主成分である。
また、結着樹脂は、トナー粒子100において、樹脂微粒子41、表面層43を構成する主成分である。
結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。結着樹脂として異なる2種以上の成分(例えば、樹脂の種類(分類)、分子量、構成モノマーの種類・存在比率、融点、軟化点、ガラス転移点、結晶性(結晶のし易さ)等の異なる成分)を組み合わせて用いることにより、各成分の利点を併有することができ、トナーとして求められる種々の特性を同時に優れたものとすることができる。より具体的には、トナーとしての定着特性(定着良好温度領域の幅)、機械的強度(機械的安定性)、帯電性(帯電のし易さや維持性)、耐熱性(保存性)、着色性(色再現性)等のトナーとして求められる各種特性のさらなる向上や、前記特性のバランスを特に優れたものとすることができる。
なお、トナーの製造に用いる「結着樹脂」は、最終的に得られるトナーを構成する「結着樹脂」そのものであってもよいし、当該結着樹脂の前駆体(例えば、対応するモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー等)であってもよい。
2.接着樹脂
接着樹脂は、前述した接着樹脂相42を構成する主成分である。
接着樹脂は、前述したような接着樹脂相42を構成し得るものであれば、いかなるものであってもよいが、主として熱硬化性樹脂で構成されたものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子100の機械的安定性を特に優れたものとすることができるとともに、トナーの製造時においては、接着樹脂相42を容易に形成することができる。接着樹脂は、最終的なトナー粒子100において、隣接する樹脂微粒子41を結合(接着)する機能を発揮するものであればよく、トナーの製造時においては、例えば、未硬化の状態のものであってもよいし、半硬化の状態のものであってもよい。また、接着樹脂は、トナーの製造時においては、液状(流動性を有するもの)であってもよい。このように、トナーの製造に用いる接着樹脂が液状のものである場合、後述するような溶媒材料を用いることなく、または、比較的少量の溶媒材料を用いることにより、取り扱い性に優れた(適度な大きさの液滴9として噴射し易い)分散液3を容易かつ確実に調製することができる。また、トナーの製造に後述する分散液3を用いる場合、接着樹脂は、分散液3中においては、少なくとも、第1の分散質311以外の相を構成する材料として含まれるものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法により、前述したような構成のトナー粒子100(粒状体4)を、容易かつ確実に製造することができる。
接着樹脂の具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、炭化水素系樹脂、アミン系樹脂、天然ゴム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。この中でも、接着樹脂は、主としてエポキシ樹脂で構成されたものであるのが好ましい。これにより、トナー粒子100の機械的安定性をより優れたものとすることができるとともに、トナーの製造時においては、接着樹脂相をさらに容易に形成することができる。また、エポキシ樹脂は、ポリエステル系樹脂やスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等との親和性に特に優れている。したがって、結着樹脂(バインダー樹脂)がこのような材料で構成されたものである場合、樹脂微粒子41と接着樹脂相42との接着強度は特に優れたものとなり、結果として、トナー粒子100の機械的安定性をさらに優れたものとすることができる。
なお、トナーの製造に用いる(トナー製造用材料として用いる)「接着樹脂」は、後述する分散液中において、分散質を構成するものであってもよいし、分散媒を構成するものであってもよい。接着樹脂が分散液の分散質を構成するものであると、分散質内の接着樹脂部分が固化する工程で、密接に接着するという効果が得られる。一方、接着樹脂が分散液の分散媒を構成するものであると、分散質の表面を、確実に被覆することができることから、樹脂微粒子をより強固かつ確実に接着するという効果が得られる。
また、接着樹脂としては、トナーの製造時においては(トナー製造用の原料として用いる接着樹脂は)、水溶性の樹脂(水溶性樹脂)を用いることができる。トナー製造用の原料として用いる接着樹脂が水溶性樹脂であると、後述するような方法において、有機溶媒を用いなくても、好適にトナーを製造することができる。言い換えると、水溶性の接着樹脂を用いることにより、環境に優しい方法で、好適にトナーを製造することができる。また、接着樹脂が水溶性樹脂であると、後述するような方法で用いる分散液(水性の分散液)中において、接着樹脂を分散媒中に偏在させることができる。これにより、接着樹脂相をより好適な形態で形成することができる。すなわち、隣接する樹脂微粒子を接着する機能を、より効果的に発揮することができる接着樹脂相を形成することができる。また、分散液中において、接着樹脂が分散媒中に偏在することにより、密着している複数の樹脂微粒子の表面の一部を被覆するように接着樹脂相が形成されたトナー粒子(粒状体)を、容易かつ確実に得ることができる。
また、トナー製造用の原料として用いる接着樹脂は、前述した結着樹脂(トナー製造用の原料として用いる結着樹脂)より、軟化点T1/2(フロー1/2軟化温度)が、低いものであるのが好ましい。これにより、前述したような構造のトナー粒子100を、容易かつ確実に製造することができる。なお、軟化点T1/2は、例えば、フローテスタを用い、サンプル量:1g、ダイ孔径:1mm、ダイ長さ:1mm、荷重:20kgf、予熱時間:300秒、測定開始温度:50℃、昇温速度:5℃/分という条件で測定したときに得られる、図2に示すような解析用フローチャートのh/2に相当するフロー曲線上の点の温度として求めることができる。
なお、トナーの製造に用いる「接着樹脂」は、最終的に得られるトナーを構成する「接着樹脂」そのものであってもよいし、当該接着樹脂の前駆体(例えば、対応するモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー等)であってもよい。
3.着色剤
また、トナー(トナー粒子100)は、通常、着色剤を含んでいる。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、着色剤としては、各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を用いてもよい。
4.ワックス
また、トナー(トナー粒子100)は、その構成成分としてワックスを含んでいてもよい。
トナー(トナー粒子100)中にワックスが含まれることにより、例えば、トナー粒子の離型性を向上させることができる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ワックスの融点Tは、特に限定されないが、30〜160℃であるのが好ましく、50〜100℃であるのがより好ましい。なお、例えば、示差走査熱量分析(DSC)により、昇温速度:10℃/分で200℃まで昇温し、さらに降温速度:10℃/分で降温した後、昇温速度:10℃/分で昇温する条件での測定から、融点Tと融解熱とを求めることができる。
5.外添剤
また、トナー(トナー粒子100)は、その構成成分として外添剤を含んでいてもよい。
外添剤としては、例えば、酸化チタン、シリカ(正帯電性シリカ、負帯電性シリカ等)、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化亜鉛、アルミナ、マグネタイト等の金属酸化物、窒化珪素等の窒化物、炭化珪素等の炭化物、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、脂肪族金属塩等の金属塩等の無機材料で構成された微粒子、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、脂肪族金属塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム)等の有機材料で構成されたもの等が挙げられる。
上記外添剤の中でも、外添剤として用いることができる酸化チタンとしては、例えば、ルチル型の酸化チタン、アナターゼ型の酸化チタン、ルチルアナターゼ型の酸化チタン等が挙げられる。
ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、結晶構造がルチル型の酸化チタン(二酸化チタン)と、結晶構造がアナターゼ型の酸化チタン(二酸化チタン)とを同一粒子内に有するものである。すなわち、ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、ルチル型の結晶とアナターゼ型の結晶との混晶型の酸化チタン(二酸化チタン)を有するものである。
ルチル型の酸化チタンは、通常、紡錘形状の結晶になり易い性質を有している。また、アナターゼ型の酸化チタンは、微小な結晶を析出し易く、疎水化処理等に用いられるシランカップリング剤等との親和性に優れるという性質を有している。
そして、ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、ルチル型の結晶とアナターゼ型の結晶との混晶型の酸化チタンを有するものであるため、ルチル型の酸化チタンの利点と、アナターゼ型の酸化チタンの利点とを併有している。すなわち、ルチルアナターゼ型の酸化チタンでは、ルチル型結晶の間(ルチル型結晶の内部)に、微小なアナターゼ型結晶が混在し、全体としては、略紡錘形状を有するものとなることにより、トナーの母粒子(粒状体4)中に埋没し難くなり、また、ルチルアナターゼ型の酸化チタン全体としての、シランカップリング剤等との親和性が優れたものとなるため、ルチルアナターゼ型の酸化チタン粉末の表面に均一で安定した疎水性被膜(シランカップリング被膜)が形成され易くなる。したがって、ルチルアナターゼ型の酸化チタンを含むことにより、得られるトナーは、帯電分布が均一(トナー粒子の帯電分布がシャープ)で、安定した帯電特性を有し、環境特性(特に耐湿性)、流動性、耐ケーキング性等に優れたものとなる。
ルチルアナターゼ型の酸化チタン中におけるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンとの存在比率は、特に限定されないが、重量比で、5:95〜95:5であるのが好ましく、50:50〜90:10であるのがより好ましい。このようなルチルアナターゼ型の酸化チタンを用いることにより、前述したルチルアナターゼ型の酸化チタンを用いることによる効果は、さらに顕著なものとなる。
また、ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、300〜350nmの波長領域の光を吸収するものであるのが好ましい。これにより、トナーは、特に耐光性(特に、記録媒体への定着後における耐光性)に優れたものとなる。
ルチルアナターゼ型の酸化チタンの形状は、特に限定されないが、通常、略紡錘形状である。
ルチルアナターゼ型の酸化チタンが略紡錘形状を有するものである場合、その平均長軸径は、10〜100nmであるのが好ましく、20〜50nmであるのがより好ましい。平均長軸径がこのような範囲の値であると、ルチルアナターゼ型の酸化チタンは、上述したような機能を十分に発揮することができ、また、トナーの母粒子(粒状体4)中に埋没し難く、かつ遊離しにくいものとなる。その結果、トナーの機械的ストレスに対する安定性は、さらに優れたものとなる。
トナー中におけるルチルアナターゼ型の酸化チタンの含有量は、特に限定されないが、0.1〜2.0wt%であるのが好ましく、0.5〜1.0wt%であるのがより好ましい。ルチルアナターゼ型の酸化チタンの含有量が前記下限値未満であると、前述したような、ルチルアナターゼ型の酸化チタンを用いることによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、ルチルアナターゼ型の酸化チタンの含有量が前記上限値を越えると、トナーの定着性が低下する傾向を示す。
このようなルチルアナターゼ型の酸化チタンは、いかなる方法で調製されたものであってもよいが、例えば、アナターゼ型の酸化チタンを焼成することにより得ることができる。このような方法を用いることにより、ルチルアナターゼ型の酸化チタン中におけるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンとの存在比率を、比較的容易かつ確実に制御することができる。このような方法でルチルアナターゼ型の酸化チタンを得る場合、焼成温度は、700〜1000℃程度であるのが好ましい。焼成温度をこのような範囲の値にすることにより、ルチルアナターゼ型の酸化チタン中におけるルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンとの存在比率を、さらに容易かつ確実に制御することが可能になる。
また、上記外添剤の中でも、外添剤として用いることができるシリカとしては、例えば、正帯電性シリカ、負帯電性シリカ等が挙げられる。正帯電性シリカは、例えば、負帯電性シリカに、アミノ基等の官能基を有するシラン系カップリング剤で、表面処理を施すことにより得ることができる。外添剤として負帯電性シリカを用いた場合、トナー粒子の帯電量(絶対値)を大きくすることができる。その結果、安定した負帯電性トナーが得られ、画像形成装置のトナー制御が容易になるという効果が得られる。
また、負帯電性シリカを前述したルチルアナターゼ型の酸化チタンと併用した場合、特に優れた効果が得られる。すなわち、負帯電性シリカとルチルアナターゼ型の酸化チタンとを併用することにより、トナーの流動性、環境特性(特に耐湿性)をさらに高めたり、より安定した摩擦帯電性を発揮することができるとともに、いわゆるカブリの発生をより効果的に防止することができる。また、負帯電性シリカとルチルアナターゼ型の酸化チタンとを併用することにより、得られるトナーを、帯電量(絶対値)が大きく、かつ帯電分布がよりシャープなものとすることができる。
略紡錘形状のルチルアナターゼ型の酸化チタンの平均長軸径をD[nm]、負帯電性シリカの平均粒径をD[nm]としたとき、0.2≦D/D≦15の関係を満足するのが好ましく、0.4≦D/D≦5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、負帯電性シリカとルチルアナターゼ型の酸化チタンとを併用することによる効果はさらに顕著なものとなる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
また、外添剤として、正帯電性シリカを用いた場合、例えば、正帯電性シリカをマイクロキャリアとして機能させることができ、トナー粒子自体の帯電性をさらに向上させることができる。特に、正帯電性シリカと、前述したルチルアナターゼ型の酸化チタンとを併用することにより、得られるトナーを、帯電量(絶対値)が大きく、かつ帯電分布がよりシャープなものとすることができる。
正帯電性シリカを含む場合、その平均粒径は、30〜100nmであるのが好ましく、40〜50nmであるのがより好ましい。正帯電性シリカの平均粒径がこのような範囲の値であると、前述した効果はより顕著なものとなる。
また、外添剤としては、例えば、ストレートシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アミノポリエーテルシリコーンオイル等の液体外添剤を用いてもよい。
また、外添剤としては、上記のような材料で構成された微粒子の表面に、HMDS、シラン系カップリング剤(例えば、アミノ基等の官能基を有するものでもよい)、チタネート系カップリング剤、フッ素含有シラン系カップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理(例えば、疎水化処理等)を施したものを用いてもよい。
また、外添剤として用いられた成分のうち少なくとも一部は、最終的に得られるトナーにおいて、トナー粒子の内部に含まれるものであってもよい。
6.その他の成分
また、トナー(トナー粒子100)は、その構成成分として前記結着樹脂、接着樹脂、着色剤、ワックス、外添剤以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、帯電制御剤、分散剤、磁性粉末等が挙げられる。
前記帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフミン酸等が挙げられる。
前記分散剤としては、例えば、金属石鹸、無機金属塩、有機金属塩、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
前記金属石鹸としては、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)等が挙げられる。
前記無機金属塩、前記有機金属塩としては、例えば、カチオン性成分として、周期律表の第IA族、第IIA族、および第IIIA族の金属からなる群より選ばれる元素のカチオンを含み、アニオン性成分として、ハロゲン、カーボネート、アセテート、サルフェート、ボレート、ニトレート、およびホォスフェートからなる群より選ばれるアニオンを含む塩等が挙げられる。
前記磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、添加剤としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
また、トナー中には、例えば、後述する分散液の調製時等に用いられる成分の少なくとも一部(例えば、溶媒、分散媒、分散剤、分散助剤、乳化剤等)が、含まれていてもよい。
[トナーの製造方法]
次に、上記のようなトナー(トナー粒子100の集合体)の製造方法の一例について説明する。
図3は、分散液の調製に用いる混練物を製造するための混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図、図4は、分散液を調製するための装置の好適な実施形態を模式的に示す縦断面図、図5は、図4に示す装置のチャンバ付近の拡大断面図、図6は、本発明のトナーの製造に用いられる凝集体製造装置の好適な実施形態を模式的に示す縦断面図、図7は、分散液を微粒子として噴射するノズルの好適な実施形態を示す断面図、図8、図9および図10は、分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図、図11は、図10に示すノズルの要部拡大断面図、図12は、図11に示すノズルの内側中間リング先端部分を示す拡大断面図、図13は、分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図、図14は、図13に示すノズルの要部拡大断面図、図15は、図13に示すノズルの内側中間リング先端部分を示す拡大断面図、図16は、分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図、図17は、図16に示すガス剥離凹部の平面図、図18は、分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図である。以下、図3中、左側を「基端」、右側を「先端」として説明する。
本実施形態のトナーの製造方法は、結着樹脂を含む材料を混練して得られる混練物を用いて分散液(懸濁液)を調製する工程(分散液調製工程)と、分散液を微粒化(微粒子化)した液滴として噴射し、固化部内を搬送させつつ、固化(半固化を含む)させることにより、複数の樹脂微粒子と接着樹脂相とを有する凝集体を得る工程(凝集体製造工程)と、得られた凝集体に熱処理を施すことにより、表面層を形成し、粒状体とする工程(表面層形成工程)と、得られた粒状体に外添剤を付与する工程(外添剤付与工程)とを有する。すなわち、本実施形態では、複数個の樹脂微粒子41と接着樹脂相42とを有する凝集体40を製造した後、この凝集体40に熱処理を施すことにより、表面層43を有する粒状体4を得る。また、本実施形態での分散液は、少なくとも、結着樹脂を含むものであればよいが、以下の説明では、主に、構成成分として、結着樹脂と、接着樹脂とを含む分散液を用いる場合について説明し、また、結着樹脂を含む第1の液体(分散液)と、接着樹脂を含む第2の液体とを併用する場合についても説明する。分散液としては、例えば、乳化液(エマルション)、懸濁液(サスペンション)が挙げられるが、中でも、懸濁液を用いるのが好ましい。懸濁液を用いることにより、最終的に得られるトナーにおいて、各トナー粒子100間での形状のばらつきを容易に小さくすることができる。また、最終的に得られるトナー中に溶媒等が残存するのをより効果的に防止することができる。なお、本明細書中において、「懸濁液」とは、液状の分散媒中に、固体(固形)の分散質(懸濁粒子)が分散した分散液(懸濁コロイドを含む)のことを指し、「乳化液(エマルション、乳濁液、乳状液)」とは、液状の分散媒中に、液状の分散質(分散粒子)が分散した分散液のことを指す。以下の説明では、分散液として懸濁液を用いる場合について、代表的に説明する。
<混練物>
本実施形態においては、まず、前述したトナーの構成材料のうち、少なくとも結着樹脂を含む原料K5を用いて、混練物K7を得る。
混練物K7は、例えば、図3に示すような装置を用いて製造することができる。
《混練工程》
上述したように、混練に供される原料K5は、少なくとも、トナーの構成材料としての結着樹脂を含むものであるが、着色剤、ワックス、帯電制御剤等の結着樹脂以外の成分を含むものであるのが好ましい。これにより、例えば、最終的に得られるトナー粒子100内における前記構成成分の分散性を特に高いものとすることができる。言い換えると、構成成分が均一に混ざり合ったトナーを容易に得ることができ、得られるトナーの信頼性を特に優れたものとすることができる。また、混練に供される原料K5は、これらの各成分が予め混合されたものであるのが好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
本実施形態では、混練機として、2軸混練押出機を用いる構成について説明する。
混練機K1は、原料K5を搬送しつつ混練するプロセス部K2と、混練された原料(混練物K7)を所定の断面形状に形成して押し出すヘッド部K3と、プロセス部K2内に原料K5を供給するフィーダーK4とを有している。
プロセス部K2は、バレルK21と、バレルK21内に挿入されたスクリューK22、スクリューK23と、バレルK21の先端にヘッド部K3を固定するための固定部材K24とを有している。
プロセス部K2では、スクリューK22、スクリューK23が、回転することにより、フィーダーK4から供給された原料K5に剪断力が加えられ、均一な混練物K7(特に、主成分としての結着樹脂(バインダー樹脂)が2種以上の成分を含むものである場合、これらの樹脂成分が十分に微分散または相溶化した混練物K7)が得られる。
プロセス部K2の全長は、50〜300cmであるのが好ましく、100〜250cmであるのがより好ましい。プロセス部K2の全長が前記下限値未満であると、例えば、原料K5が互いに分散または相溶し合い難い2種以上の成分を含むものである場合、これらの成分を十分に微分散または相溶化させることが困難となる可能性がある。一方、プロセス部K2の全長が前記上限値を超えると、プロセス部K2内の温度、スクリューK22、スクリューK23の回転数等によっては、熱による原料K5の変性が起こり易くなり、最終的に得られるトナーの物性を十分に制御するのが困難になる可能性がある。
また、混練時の原料温度は、原料K5の組成等により異なるが、80〜260℃であるのが好ましく、90〜230℃であるのがより好ましい。なお、プロセス部K2内での原料温度は、均一であっても、部位により異なるものであってもよい。例えば、プロセス部K2は、設定温度の比較的低い第1の領域と、該第1の領域より基端側に設けられ、かつ、その設定温度が第1の領域より高い第2の領域とを有するようなものであってもよい。
また、原料K5のプロセス部K2での滞留時間(通過に要する時間)は、0.5〜12分であるのが好ましく、1〜7分であるのがより好ましい。プロセス部K2での滞留時間が、前記下限値未満であると、例えば、原料K5が互いに分散または相溶し合い難い2種以上の成分を含むものである場合、これらの成分を十分に微分散または相溶化させることが困難となる可能性がある。一方、プロセス部K2での滞留時間が、前記上限値を超えると、生産効率が低下し、また、プロセス部K2内の温度、スクリューK22、スクリューK23の回転数等によっては、熱による原料K5の変性が起こり易くなり、最終的に得られるトナーの物性を十分に制御するのが困難になる可能性がある。
スクリューK22、スクリューK23の回転数は、バインダー樹脂の組成等により異なるが、50〜600rpmであるのが好ましい。スクリューK22、スクリューK23の回転数が、前記下限値未満であると、例えば、原料K5が互いに分散または相溶し合い難い2種以上の成分を含むものである場合、これらの成分を十分に微分散または相溶化させることが困難となる可能性がある。一方、スクリューK22、スクリューK23の回転数が、前記上限値を超えると、剪断により、結着樹脂の分子鎖が切断され、結着樹脂の特性が劣化する場合がある。
また、本実施形態で用いる混練機K1では、プロセス部K2の内部は、脱気口K25を介して、ポンプPに接続されている。これにより、プロセス部K2の内部を脱気することができ、原料K5(混練物K7)が加熱されたり、発熱すること等によるプロセス部K2内の圧力の上昇を防止することができる。その結果、混練工程を安全かつ効率よく行うことができる。また、プロセス部K2の内部が脱気口K25を介してポンプPに接続されていることにより、得られる混練物K7中に気泡(特に、比較的大きな気泡)が含まれるのを効果的に防止することができ、最終的に得られるトナーの特性をより優れたものとすることができる。
《押出工程》
プロセス部K2で混練された混練物K7は、スクリューK22とスクリューK23との回転により、ヘッド部K3を介して、混練機K1の外部に押し出される。
ヘッド部K3は、プロセス部K2から混練物K7が送り込まれる内部空間K31と、混練物K7が押し出される押出口K32とを有している。
内部空間K31内での混練物K7の温度(少なくとも押出口K32付近での温度)は、特に限定されないが、80〜150℃であるのが好ましく、90〜140℃であるのがより好ましい。内部空間K31内での混練物K7の温度が上記範囲内の値であると、混練物K7が内部空間K31で固化せず、押出口K32から押し出しやすくなる。
図示の構成では、内部空間K31は、押出口K32の方向に向って、その横断面積が漸減する横断面積漸減部K33を有している。このような横断面積漸減部K33を有することにより、押出口K32から押し出される混練物K7の押出量が安定し、また、後述する冷却工程における混練物K7の冷却速度が安定する。その結果、これを用いて製造されるトナーは、各トナー粒子間での特性のばらつきが小さいものとなり、全体としての特性に優れたものになる。
《冷却工程》
ヘッド部K3の押出口K32から押し出された軟化した状態の混練物K7は、冷却機K6により冷却され、固化する。
冷却機K6は、ロールK61、K62、K63、K64と、ベルトK65、K66とを有している。
ベルトK65は、ロールK61とロールK62とに巻掛けられている。同様に、ベルトK66は、ロールK63とロールK64とに巻掛けられている。
ロールK61、K62、K63、K64は、それぞれ、回転軸K611、K621、K631、K641を中心として、図中e、f、g、hで示す方向に回転する。これにより、混練機K1の押出口K32から押し出された混練物K7は、ベルトK65−ベルトK66間に導入される。ベルトK65−ベルトK66間に導入された混練物K7は、ほぼ均一な厚さの板状となるように成形されつつ、冷却される。冷却された混練物K7は、排出部K67から排出される。ベルトK65、K66は、例えば、水冷、空冷等の方法により、冷却されている。冷却機として、このようなベルト式のものを用いると、混練機から押し出された混練物と、冷却体(ベルト)との接触時間を長くすることができ、混練物の冷却の効率を特に優れたものとすることができる。
ところで、混練工程では、原料K5に剪断力が加わっているため、原料K5が互いに分散または相溶し合い難い2種以上の成分を含むものであっても、相分離(特に、マクロ相分離)等が十分防止されているが、混練工程を終えた混練物K7は、剪断力が加わらなくなるので、長期間放置しておくと、再び相分離(マクロ相分離)等を起こしてしまう可能性がある。従って、上記のようにして得られた混練物K7は、できるだけ早く冷却するのが好ましい。具体的には、混練物K7の冷却速度(例えば、混練物K7が60℃程度まで冷却される際の冷却速度)は、−3℃/秒以上であるが好ましく、−5〜−100℃/秒であるのがより好ましい。また、混練工程の終了時(剪断力が加わらなくなった時点)から冷却工程が完了するまでに要する時間(例えば、混練物K7の温度を60℃以下に冷却するのに要する時間)は、20秒以下であるのが好ましく、3〜12秒であるのがより好ましい。
上記の説明では、実施形態では、混練機として、連続式の2軸混練押出機を用いる構成について説明したが、原料の混練に用いる混練機はこれに限定されない。原料の混練には、例えば、ニーダーやバッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、混練装置にディスク(ニーディングディスク)部があってもよい。
また、本実施形態では、1つの混練機を用いる構成について説明したが、2つの混練機を用いて混練してもよい。この場合、一方の混練機と、他方の混練機とで、原料の加熱温度、スクリューの回転速度等が異なっていてもよい。
また、上記の説明では、冷却機として、ベルト式のものを用いた構成について説明したが、例えば、ロール式(冷却ロール式)の冷却機を用いてもよい。また、混練機の押出口K32から押し出された混練物の冷却は、前記のような冷却機を用いたものに限定されず、例えば、空冷等により行うものであってもよい。
《粉砕工程》
次に、上述したような冷却工程を経た混練物K7を粉砕する。このように、混練物K7を粉砕することにより、後述する分散液3(液滴9)における分散質31(第1の分散質311)の分散性を特に優れたものとすることができる。したがって、最終的に得られるトナーにおいても、各トナー粒子間での組成、特性のばらつきが小さくなる。その結果、得られるトナーは、全体としての特性が特に優れたものとなる。
粉砕の方法は、特に限定されず、例えばボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
粉砕の工程は、複数回(例えば、粗粉砕工程と微粉砕工程との2段階)に分けて行ってもよい。
また、このような粉砕工程の後、必要に応じて、分級処理等の処理を行ってもよい。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
本実施形態では、上記のような混練物を用いて、分散液を調製する。
分散液3の調製に混練物K7を用いることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、トナーの構成材料(樹脂微粒子41の構成材料)中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。これにより、トナーの構成材料中に、後述する分散液の分散媒に対する分散性に劣る成分(以下、「難分散性成分」とも言う。)が含まれる場合であっても、分散液3(液滴9)における分散質31(第1の分散質311)の分散性を特に優れたものとすることができる。その結果、最終的に得られるトナーにおいても、各トナー粒子間での組成、特性のばらつきが小さくなる。その結果、得られるトナーは、全体としての特性が特に優れたものとなる。
次に、上記のような混練物(冷却固化した混練物)を用いて調製される分散液3および分散液3の調製方法について説明する。
<分散液>
上述したように、トナー粒子100は、分散液(懸濁液)3を用いて製造することができる。以下、分散液3の構成および分散液3の調製方法について説明する。
《分散液の構成》
まず、分散液3の構成について説明する。
分散液3は、分散媒32中に分散質(分散相)31が微分散した構成となっている。そして、分散液3は、分散質31として、少なくとも、主として結着樹脂で構成された第1の分散質311を含んでいる。特に、本実施形態では、分散質31として、第1の分散質311と、主として接着樹脂で構成された第2の分散質312とを含む分散液3を用いる。
1.分散媒
分散媒32は、後述する分散質31を分散可能なものであればいかなるものであってもよいが、主として、一般に溶媒として用いられているような材料(以下、「溶媒材料」という)で構成されたものであるのが好ましい。
このような材料としては、例えば、水、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物系溶媒、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
上記の材料の中でも、分散媒32としては、主として水および/または水溶性の液体(水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体))で構成されたものであるのが好ましい。これにより、例えば、分散媒32中における分散質31(第1の分散質311)の分散性を高めることができ、分散液3中における分散質31を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、得られる粒状体(トナー母粒子)4は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度が比較的大きいものとなる。また、特に、分散媒32が、水で構成されたものであると、例えば、トナーの製造工程において、実質的に有機溶媒を揮発しないようにすることができる。その結果、環境に対して悪影響を極めて与えにくい方法、すなわち、環境に優しい方法でトナーを製造することができる。
また、分散媒32の構成材料として複数の成分の混合物を用いる場合、分散媒32の構成材料としては、前記混合物を構成する少なくとも2種の成分の間で、共沸混合物(最低沸点共沸混合物)を形成し得るものを用いるのが好ましい。これにより、後述する凝集体製造装置の固化部等において、分散媒32を効率良く除去することが可能となる。また、後述する凝集体製造装置の固化部等において、比較的低い温度で分散媒32を除去することが可能となり、得られる凝集体40の特性の劣化をより効果的に防止できる。その結果、最終的に得られるトナー粒子100(粒状体4)において、構成材料の特性を十分に発揮することができる。例えば、水との間で、共沸混合物を形成し得る液体としては、二硫化炭素、四塩化炭素、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン、アニソール、2−メトキシエタノール、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン、トルエン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン、アクリロニトリル、アセトニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、アクリルアルデヒド等が挙げられる。
また、分散媒32(後の工程で除去されるべき分散媒32)の沸点は、特に限定されないが、180℃以下であるのが好ましく、150℃以下であるのがより好ましく、35〜130℃であるのがさらに好ましい。このように、分散媒32の沸点が比較的低いものであると、後述する凝集体製造装置の固化部等において、分散媒32を比較的容易に除去することが可能となる。また、分散媒32としてこのような材料を用いることにより、得られる凝集体40や、該凝集体40から得られる粒状体4、トナー粒子100における分散媒32の残留量を特に少ないものにすることができる。その結果トナーとしての信頼性がさらに高まる。
なお、分散媒32中には、上述した材料以外の成分が含まれていてもよい。例えば、分散媒32中には、分散質31の構成成分の一部や、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の無機系微粉末、脂肪酸、脂肪酸金属塩、高分子重合微粉末等の有機系微粉末等の各種添加剤等が含まれていてもよい。
2.分散質
本実施形態において、分散液3は、分散質31として、少なくとも、主として結着樹脂で構成された第1の分散質311と、主として接着樹脂で構成された第2の分散質312を含むものである。
2−1.第1の分散質
第1の分散質311は、少なくとも、結着樹脂(バインダー樹脂)を含む材料で構成されており、通常、前述した混練物K7の構成成分の大部分を含む材料で構成されている。
第1の分散質311中における結着樹脂の含有量は、特に限定されないが、1〜99wt%であるのが好ましく、15〜90wt%であるのがより好ましい。第1の分散質311中における結着樹脂の含有量が前記下限値未満であると、最終的に得られるトナーの、紙等の記録媒体への接合強度(定着強度)が低下するとともに、結着樹脂以外の成分(着色剤等の添加剤)が最終的に得られるトナー粒子から離脱し易くなるため、感光体等を汚染し易くなり、耐久性が低下する場合がある。一方、第1の分散質311中における結着樹脂の含有量が前記上限値を超えると、最終的に得られるトナー中における着色剤の含有量が相対的に低下することにより、着色性が不足し、画像濃度が十分に得られない可能性がある。
また、前述した混練物K7の調製に着色剤を含む原料K5を用いた場合、当該着色剤は、分散液3(液滴9)中においては、通常、第1の分散質311中に含まれる。
分散液3中における着色剤の含有量は、特に限定されないが、0.1〜10wt%であるのが好ましく、0.3〜3.0wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有量が前記下限値未満であると、着色剤の種類によっては、十分な濃度の可視像を形成するのが困難になる可能性がある。一方、着色剤の含有量が前記上限値を超えると、最終的に得られるトナーの定着特性や帯電特性が低下する可能性がある。
また、前述した混練物K7の調製にワックスを含む原料K5を用いた場合、当該ワックスは、分散液3(液滴9)中においては、通常、第1の分散質311中に含まれる。
分散液3中におけるワックスの含有量は、特に限定されないが、1.0wt%以下であるのが好ましく、0.5wt%以下であるのがより好ましい。ワックスの含有量が多すぎると、最終的に得られるトナー粒子中において、ワックスが遊離、粗大化して、トナー粒子表面へのワックスのしみ出し等が顕著に起こり、トナーの転写効率が低下する傾向を示す。
また、分散媒32中に分散している第1の分散質311は、例えば、各粒子間で、ほぼ同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。
分散液3中における第1の分散質311の平均粒径dは、特に限定されないが、0.08〜1.2μmであるのが好ましく、0.10〜0.80μmであるのがより好ましい。第1の分散質311の平均粒径dがこのような範囲の値であると、最終的に得られる粒状体4は、適度な円形度を有し、各粒子間での特性、形状の均一性に優れたものとなる。これに対し、分散液3中における第1の分散質311の平均粒径dが小さすぎると、得られる凝集体40の粒径が小さくなりすぎ、最終的に得られるトナー粒子100(粒状体4)を適度な大きさを有するものとするのが困難となったり、分散液3の流動性が低下し、後述する凝集体製造工程において、十分に均一な大きさの液滴9を噴射するのが困難になる可能性がある。また、分散液3中における第1の分散質311の平均粒径dが大きすぎると、得られる凝集体40の粒径が大きくなりすぎ、最終的に得られるトナー粒子100(粒状体4)を適度な大きさを有するものとするのが困難となったり、トナー粒子100(粒状体4)の円形度を十分に大きくするのが困難となる可能性がある。
また、分散液3中における第1の分散質311の平均粒径をd[μm]、粒状体4の平均粒径をD[μm]としたとき、2≦D/d≦200の関係を満足するのが好ましく、3≦D/d≦150の関係を満足するのがより好ましく、4≦D/d≦100の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、最終的に得られるトナーは、各トナー粒子100(粒状体4)間での、形状、大きさ、組成等のばらつきが特に小さいものとなり、結果として、トナー全体としての特性が特に優れたものとなり、信頼性も向上する。これに対し、D/dが前記下限値未満であると、粒状体4の平均粒径Dに対して表面の凹凸が比較的大きくなるため、流動性が悪くなる傾向を示す。従って、現像ローラ上の薄層も不均一なものになり易い。また、D/dが前記上限値を超えると、粒状体4の表面の凹凸が微小になりすぎて、転写効率向上の効果が低下するとともにクリーニング性が低下する傾向を示す。
分散液3中における第1の分散質311の含有量は、特に限定されないが、2〜70wt%であるのが好ましく、5〜60wt%であるのがより好ましく、10〜50wt%であるのがさらに好ましい。第1の分散質311の含有量が前記下限値未満であると、凝集体40や、該凝集体40を用いて製造される粒状体4、トナー粒子100の円形度が低下する傾向を示す。また、固化する際に、熱エネルギーを多く必要とする場合がある。一方、第1の分散質311の含有量が前記上限値を超えると、分散媒32の組成等によっては、分散液3の粘性が高くなり、得られる粒状体(トナー母粒子)4の形状、大きさのばらつきが大きくなる傾向を示す。また、第1の分散質311の含有量が前記上限値を超えると、後述する凝集体製造工程において、分散液3の液滴を十分に微粒子化して噴射するのが困難となる可能性がある。
2−2.第2の分散質
第2の分散質312は、少なくとも、接着樹脂を含む材料で構成されている。このように、本実施形態においては、接着樹脂は、分散質31の構成材料として含まれるものである。このように、分散液3において、接着樹脂は、主として、第1の分散質311以外の相(主として結着樹脂で構成された相以外の相)中に含まれるものであるのが好ましい。これにより、前述したような構成のトナー粒子100を容易かつ確実に製造することができる。また、特に、接着樹脂が、分散液3の分散質31(第2の分散質312)の構成材料として含まれるものであると、樹脂微粒子41同士をより確実に結合させることができ、トナー粒子100の機械的強度は特に優れたものとなる。
分散液3中における第2の分散質312の平均粒径dは、特に限定されないが、0.08〜1.2μmであるのが好ましく、0.10〜0.80μmであるのがより好ましい。第2の分散質312の平均粒径dがこのような範囲の値であると、最終的に得られる粒状体4において、隣接する樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間の未接合部分に、効率良く接着樹脂相42を形成することができる。また、比較的容易に、最終的に得られる粒状体4を、適度な円形度を有し、各粒子間での特性、形状の均一性に優れ、かつ、特に優れた機械的安定性を有するものとして得ることができる。これに対し、分散液3中における第2の分散質312の平均粒径dが小さすぎると、分散液3中における第2の分散質312の含有量等によっては、隣接する樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間の未接合部分に、接着樹脂相42を効率良く形成するのが困難となり、粒状体4中に占める空隙(空孔)の割合が大きくなる場合がある。また、分散液3中における第2の分散質312の平均粒径dが大きすぎると、分散液3中における第2の分散質312の含有量等によっては、隣接する樹脂微粒子41の距離が大きくなりすぎ、隣接する樹脂微粒子41同士を効率良く溶融接合するのが困難となり、粒状体4(トナー粒子100)の機械的安定性が低下する傾向を示す。
分散液3中における第2の分散質312の含有量は、特に限定されないが、2〜80wt%であるのが好ましく、10〜60wt%であるのがより好ましく、20〜40wt%であるのがさらに好ましい。第2の分散質312の含有量が前記下限値未満であると、粒状体(トナー母粒子)4の円形度が低下する傾向を示す。また、固化する際に、熱エネルギーを多く必要とする場合がある。一方、第2の分散質312の含有量が前記上限値を超えると、分散媒32の組成等によっては、分散液3の粘性が高くなり、得られる凝集体40の形状、大きさのばらつきが大きくなり、結果として、最終的なトナー粒子100(粒状体4)の形状、大きさのばらつきも大きくなる傾向を示す。また、第2の分散質312の含有量が前記上限値を超えると、後述する凝集体製造工程において、分散液3の液滴を十分に微粒子化して噴射するのが困難となる可能性がある。
なお、分散媒32中に分散している第2の分散質312は、例えば、各粒子間で、ほぼ同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。
また、分散液3中には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、分散剤、分散助剤等が挙げられる。この中でも、分散剤、分散助剤を用いた場合、例えば、分散液3(液滴9)中における分散質31の分散性を向上させることが可能となる。
分散剤としては、例えば、燐酸三カルシウム等の無機系分散剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールラウリン酸ジエステル等の非イオン性有機分散剤、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、ポリアクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリメタクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリマレイン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)等のアニオン性有機分散剤、4級アンモニウム塩等のカチオン性有機分散剤等が挙げられる。この中でも、非イオン性有機分散剤またはアニオン性有機分散剤が特に好ましい。
分散液3中における分散剤の含有量は、特に限定されないが、3.0wt%以下であるのが好ましく、0.01〜1.0wt%であるのがより好ましい。
また、分散助剤としては、例えば、アニオン、カチオン、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
分散助剤は、分散剤と併用せずに単独で用いてもよいが、分散剤と併用するものであるのが好ましい。分散液3が分散剤を含むものである場合、分散液3中における分散助剤の含有量は、特に限定されないが、2.0wt%以下であるのが好ましく、0.005〜0.5wt%であるのがより好ましい。
また、分散液3中には、乳化剤等が含まれていてもよい。特に、分散液(懸濁液)3を、後述するような乳化液を経由して調製する場合においては、当該乳化液の調製時に用いた乳化剤が、分散液3中に含まれていても(残存していても)よい。また、例えば、分散液(懸濁液)3を後述するような乳化液を経由して調製する場合、分散液3中(特に、分散質31中)には、乳化液の調製に用いた溶媒の一部が残存していてもよい。
また、分散液3中には、分散質31以外の成分が、不溶分として分散していてもよい。例えば、分散液3中には、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の無機系微粉末、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の有機系微粉末等が分散していてもよい。
《分散液の調製方法(分散液調製工程)》
以上説明したような分散液3は、例えば、以下のようにして調製することができる(以下のような分散液調製工程を経て調製することができる)。
まず、水または水溶性の液体に、粉末状または粒状に粉砕された混練物K7と、粉末状または粒状の接着樹脂とを加え、分散液調製用液体(粉砕物含有液)2を得る。分散液調製用液体2中における混練物K7の平均粒径は、0.1μm〜5mmであるのが好ましく、1μm〜2mmであるのがより好ましく、10μm〜1mmであるのがさらに好ましい。また、分散液調製用液体2中における接着樹脂の平均粒径は、0.1μm〜5mmであるのが好ましく、1μm〜2mmであるのがより好ましく、10μm〜1mmであるのがさらに好ましい。
その後、上記のようにして得られた分散液調製用液体2を、複数のノズルから噴射させ、各ノズルから噴射された前記分散液調製用液体2同士を衝突させて、分散液調製用液体2中に含まれる混練物K7および接着樹脂を微粒化し、微粒化された混練物(第1の分散質311)および微粒化された接着樹脂(第2の分散質312)が前記液体(分散媒32)中に分散した分散液3を得る(微粒化工程)。
より具体的には、図4に示すような装置(微粒化装置)を用いて、分散液3を得ることができる。
図4に示すように、微粒化装置B1は、上述したような分散液調製用液体2を噴射するノズルB21、B22と、分散液調製用液体2を供給する分散液調製用液体供給部B3と、ノズルB21およびノズルB22から噴射された分散液調製用液体2を衝突させるチャンバ部B4を有するハウジング部B5と、微粒化された混練物K7(第1の分散質311)および微粒化された接着樹脂(第2の分散質312)を含む分散液3(分散液調製用液体2)を回収する回収部B6とを有している。また、図4に示すように、微粒化装置B1は、分散液調製用液体供給部B3と各ノズル(ノズルB21、ノズルB22)との間に、分散液調製用液体供給部B3より供給された分散液調製用液体2を加圧(加速)する超高圧発生ポンプB7と、超高圧発生ポンプB7で加圧(加速)された分散液調製用液体2を各ノズルへと分岐する分岐部B8を有している。
分散液調製用液体供給部B3は、超高圧発生ポンプB7に分散液調製用液体2を供給する機能を有するものであればよいが、図示のように、分散液調製用液体2を攪拌する攪拌手段B31を有するものであってもよい。これにより、例えば、混練物K7、接着樹脂が分散媒32中に分散しにくいものであっても、粉末状または粒状の混練物K7および接着樹脂が十分均一に分散した状態の分散液調製用液体2を、超高圧発生ポンプB7に供給することができる。
また、ノズルB21とノズルB22とは、図5に示すように、各ノズルより噴射される分散液調製用液体2が、チャンバB4の中心軸上において所定の角度θで衝突するように配置されている。この衝突角θは、特に限定されないが、90〜180°であるのが好ましく、120〜180°であるのがより好ましい。衝突角θをこのような範囲のものとすることにより、2つの噴射流が衝突する際に、噴射流の持つ運動エネルギーを、極力少ない損失で、混練物K7、接着樹脂を微粒化するエネルギー(衝突エネルギー)として用いることができ、効率よく混練物K7、接着樹脂を微粒化することができる。これ対して、衝突角θが前記下限値未満であると、噴射流の持つ運動エネルギーの損失が大きくなり、混練物K7、接着樹脂を十分に微粒化できない可能性がある。なお、この衝突する角度というのは、図5に示すように、2つの直線がなす角のことを指すものであるから、180°以下となる。
分散液調製用液体2中の混練物K7および接着樹脂は、微粒化装置B1により、以下のように微粒化される。
分散液調製用液体供給部B3より、微粒化装置B1内へ供給された分散液調製用液体2は、超高圧発生ポンプB7により加圧(加速)され、分岐部B8により分岐される。分岐された各分散液調製用液体2は、それぞれ、ノズルB21とノズルB22とに搬送され、各ノズルの先端より噴射され、衝突する。分散液調製用液体2中の混練物K7、接着樹脂は、衝突により微粒化され、分散液3が得られる。分散液3は、ハウジング部B5内を下降し、回収部B6で回収される。
ノズルB21およびノズルB22から分散液調製用液体2を噴射する圧力(噴射圧)は、50〜300MPaであるのが好ましく、70〜250MPaであるのがより好ましい。噴射圧をこのような範囲のものとすることにより、適度な粒径の分散質31(第1の分散質311、第2の分散質312)を含む分散液3を効率よく得ることができる。これに対して、噴射圧が低すぎると、混練物K7、接着樹脂が十分に微粒化されず、得られる分散液3中の分散質31の大きさを十分に小さくするのが困難になったり、場合によっては、分散液3が得られない(混練物K7、接着樹脂を液体中に分散させることができない)可能性がある。一方、噴射圧が高すぎると、混練物K7、接着樹脂の構成材料の変質、劣化を招く可能性がある。なお、ノズルB21およびノズルB22における噴射圧は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、このような微粒化工程においては、例えば、分散液調製用液体2を加温(加熱)してもよい。これにより、得られる分散液3中の分散質31の円形度を適度なものとすることができ、その結果、最終的に得られるトナー粒子の円形度を比較的高いものとすることができる。すなわち、このように加温することによって、分散液調製用液体2中の混練物K7、接着樹脂の微粒化処理を行いつつ、微粒化された混練物K7(第1の分散質311)、接着樹脂(第2の分散質312)に対して熱球形化処理を行うことができる。
また、各ノズルより噴射される分散液調製用液体2の温度は、20〜200℃であるのが好ましく、40〜160℃であるのがより好ましい。これにより、前述の効果がより顕著なものとなる。
また、微粒化装置B1は、回収部B6から分散液調製用液体供給部(分散液供給部)B3へ分散液3(または、混練物K7、接着樹脂の少なくとも一部が粉砕された分散液調製用液体2)を搬送する手段を有している。すなわち、図4に示すように、回収部B6の分散液3(または、混練物K7、接着樹脂の少なくとも一部が粉砕された分散液調製用液体2)は、搬送ポンプB9により搬送パイプB10を介して、分散液調製用液体供給部B3へ搬送される。
このように、微粒化処理は、繰り返し行われるのが好ましい。これにより、各粒子間での形状のばらつきが小さく、粒度分布の幅の小さい分散質31を効率よく形成することができる。また、この繰り返しは、得られる分散質31(第1の分散質311、第2の分散質312)の平均粒径が前記範囲内の値となるまで行われるのが好ましい。これにより、前述の効果がより顕著なものとなる。
上記のような方法で、分散液3を調製した場合、有機溶媒を実質的に用いることなく、または、極めて少量の有機溶媒を用いて、分散液3を調製することができる。このため、後述するような凝集体製造装置の固化部等において、実質的に有機溶媒を揮発しないようにすることができる。その結果、環境に対して悪影響を極めて与えにくい方法でトナーを製造することができる。
以上、分散液調製用液体2中の混練物K7、接着樹脂を微粒化する装置(微粒化装置B1)の好適な実施形態について説明したが、微粒化装置の構成はこれに限定されない。例えば、微粒化装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
例えば、前述した実施形態では、2つのノズルを用いた装置について説明したが、これに限定されず、3つ以上のノズルを用いたものであってもよい。このように3つ以上のノズルを用いたものである場合、ノズルの先端が最も離れている2つのノズルから噴射される分散液調製用液体2の衝突角θが、前述した範囲のものであるのが好ましい。
このように、上記のような方法は、上述のようにして得られた分散液調製用液体2を、2つ以上のノズルより噴射させ、各ノズルから噴射された分散液調製用液体2同士を衝突させて、混練物K7、接着樹脂を微粒化する微粒化工程を有する。これにより、最終的に得られるトナーは、各トナー粒子間での形状のばらつきが小さく、粒度分布の幅が特に小さいものとなる。また、このようにして微粒化を行うことにより、混練物K7中におけるワックス等の添加剤の分散状態をより好適に維持しつつ、混練物K7を微粒化することができる。これにより、得られるトナーは、耐久性、保存性、帯電特性等の特性に優れたものとなる。
また、上記の説明では、分散液調製用液体2が接着樹脂を含むものとして説明したが、分散液調製用液体2は、接着樹脂を含まないものであってもよい。より具体的には、接着樹脂を含まない分散液調製用液体2に対して、上記と同様の処理を施し、その後、前記処理を施した液体に、粉末状の(微粉末の)接着樹脂を加えることにより、分散液3を調製してもよい。また、例えば、混練物K7を含み、接着樹脂を含まない分散液調製用液体2に対して、上記と同様の処理を施し、第1の液体(結着樹脂懸濁液)を得るとともに、接着樹脂を含み、混練物K7を含まない分散液調製用液体2に対して、上記と同様の処理を施し、第2の液体(接着樹脂懸濁液)を得、その後、第1の液体(結着樹脂懸濁液)と第2の液体(接着樹脂懸濁液)とを混合することにより、目的とする分散液3を得ることもできる。これにより、混練物K7、接着樹脂のそれぞれを、最適な条件で微粒化することができ、その結果、第1の分散質311、第2の分散質312のいずれもが最適な粒度分布を有し、かつ、構成材料の変性、劣化の少ない分散液3を、容易かつ確実に得ることができる。また、上記の説明では、接着樹脂が分散質(第2の分散質)を構成するものとして説明したが、接着樹脂は、分散媒を構成するものであってもよい。また、このように、接着樹脂が分散媒の構成材料である場合、例えば、接着樹脂を含まない分散液調製用液体2に対して、上記と同様の処理を施し、その後、前記処理を施した液体に、接着樹脂を加えることにより、分散液3を調製することができる。これにより、分散液3の調製に、比較的大粒径の接着樹脂を用いることができ、接着樹脂の取り扱いが容易になるとともに、上述したような衝突エネルギーによる、接着樹脂の変性、劣化等を防止することができる。
また、分散液3は、以下のような方法によっても、調製することができる。この方法では、以下に説明するように、混練物が分散質として分散した混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)と、接着樹脂が分散質として分散した接着樹脂懸濁液とを混合することにより、目的とする分散液3を得る。
まず、混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)の調製について説明する。
まず、水または水溶性の(水との相溶性に優れる)液体に、必要に応じて分散剤および/または分散助剤を添加した水性液を用意する。
一方、混練物K7を含む結着樹脂液を調製する。結着樹脂液は、例えば、混練物K7の構成材料(特に、結着樹脂)の少なくとも一部を溶解することが可能な溶媒を用いることにより調製することができる。
次に、上記結着樹脂液を、攪拌した状態の水性液中に、徐々に滴下しながら加えていくことにより、水性の分散媒中に、結着樹脂を含む分散質(分散粒子)が分散した乳化液(エマルション)が得られる。
その後、得られた乳化液から前記溶媒を除去することにより、混練物が分散質として分散した混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)が得られる。溶媒の除去は、例えば、乳化液を加熱したり、減圧雰囲気下に置くことにより行うことができる(溶媒除去工程)。このような方法を用いることにより、分散液3(液滴9)中における第1の分散質311の円形度をさらに高めることができる。その結果、粒状体(トナー母粒子)4を、円形度が十分に高く、各粒子間での形状のばらつきが特に小さいものとして得ることができる。なお、結着樹脂液の滴下を行う際、水性液および/または結着樹脂液を加熱しておいてもよい。また、このような方法を用いると、混練物懸濁液中の分散質(分散液3中の第1の分散質311)の粒径を適度な大きさに制御することができる。
溶媒としては、混練物K7の構成材料(特に、結着樹脂)の少なくとも一部を溶解することが可能なものであればいかなるものであってもよいが、前記溶媒除去工程において、容易に除去されるものであるのが好ましい。
また、溶媒は、前述した分散媒32との相溶性が低いもの(例えば、25℃における分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、前記溶媒除去工程における溶媒の除去が不十分な場合であっても、分散液3(液滴9)中において、第1の分散質311を安定した状態で微分散させることができる。
また、溶媒の組成は、例えば、前述した結着樹脂の組成や、着色剤の組成、分散媒32の組成等に応じて適宜選択することができる。例えば、溶媒としては、水、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、四塩化炭素等のハロゲン化合物系溶媒、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。この中でも、好ましくは有機溶媒を含むもの、より好ましくはケトン系溶媒(さらに好ましくは、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)等)、エーテル系溶媒、セロソルブ系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒(さらに好ましくは、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(さらに好ましくは、トルエン、エチルベンゼン等)、芳香族複素環化合物系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化合物系溶媒(さらに好ましくは、クロロホルム、トリクロロエチレン、四塩化炭素等)、エステル系溶媒(さらに好ましくは、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、アミン系溶媒、ニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、アルデヒド系溶媒等から選択される1種または2種以上を含むものである。このような溶媒を用いることにより、前記溶媒除去工程における溶媒の除去を比較的容易に行うことができ、また、前記溶媒除去工程における溶媒の除去が不十分な場合であっても、分散液3(液滴9)中において、第1の分散質311を安定した状態で微分散させることができる。
次に、接着樹脂懸濁液の調製について説明する。
まず、前記と同様に、水または水溶性の(水との相溶性に優れる)液体に、必要に応じて分散剤および/または分散助剤を添加した水性液を用意する。
一方、接着樹脂を含む接着樹脂液を調製する。接着樹脂液は、例えば、接着樹脂の少なくとも一部を溶解することが可能な溶媒を用いることにより調製することができる。
次に、上記接着樹脂液を、攪拌した状態の水性液中に、徐々に滴下しながら加えていくことにより、水性の分散媒中に、接着樹脂を含む分散質(分散粒子)が分散した乳化液(エマルション)が得られる。
その後、得られた乳化液から前記溶媒を除去することにより、接着樹脂が分散質として分散した接着樹脂懸濁液が得られる。溶媒の除去は、例えば、乳化液を加熱したり、減圧雰囲気下に置くことにより行うことができる(溶媒除去工程)。このような方法を用いることにより、分散液3(液滴9)中における第2の分散質312の円形度をさらに高めることができる。なお、接着樹脂液の滴下を行う際、水性液および/または接着樹脂液を加熱しておいてもよい。また、このような方法を用いると、接着樹脂懸濁液中の分散質(分散液3中の第2の分散質312)の粒径を適度な大きさに制御することができる。
溶媒としては、接着樹脂の少なくとも一部を溶解することが可能なものであればいかなるものであってもよいが、前記溶媒除去工程において、容易に除去されるものであるのが好ましい。
また、溶媒は、前述した分散媒32との相溶性が低いもの(例えば、25℃における分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、前記溶媒除去工程における溶媒の除去が不十分な場合であっても、分散液3(液滴9)中において、第2の分散質312を安定した状態で微分散させることができる。
また、溶媒の組成は、例えば、前述した接着樹脂の組成、分散媒32の組成等に応じて適宜選択することができるが、具体的には、例えば、前述した混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)の調製時に用いる溶媒として例示したもの等を用いることができる。このような溶媒を用いることにより、前記溶媒除去工程における溶媒の除去を比較的容易に行うことができ、また、前記溶媒除去工程における溶媒の除去が不十分な場合であっても、分散液3(液滴9)中において、第2の分散質312を安定した状態で微分散させることができる。
その後、上記のようにして得られた混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)と接着樹脂懸濁液とを混合することにより、分散液3が得られる。
また、上記のような方法で分散液3としての懸濁液を調製する場合、以下のような条件を満足するのが好ましい。すなわち、混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)の調製に用いる溶媒(混練物K7の構成材料の少なくとも一部を溶解することが可能な溶媒)の大気圧下における沸点をTbp(sol)[℃]、混練物を含む分散液(乳化液)の分散媒として用いられる液体の大気圧下における沸点をTbp(dm)[℃]としたとき、|Tbp(dm)−Tbp(sol)|≦40の関係を満足するのが好ましい。このような関係を満足することにより、乳化液から混練物懸濁液を調製する溶媒除去工程を円滑に行うことができるとともに、得られる混練物懸濁液中に溶媒が残存するのをより確実に防止することができる。また、Tbp(sol)とTbp(dm)との間では、−30<Tbp(dm)−Tbp(sol)<40の関係を満足するのがより好ましく、−20<Tbp(dm)−Tbp(sol)<40の関係を満足するのがさらに好ましく、0≦Tbp(dm)−Tbp(sol)<40の関係を満足するのが最も好ましい。このような関係を満足することにより、得られる混練物懸濁液中に溶媒が実質的に残存しないように、溶媒除去工程を十分円滑に行いつつ、溶媒除去工程等において、分散質の内部から溶媒が急激に気化(沸騰)するのを確実に防止することができ、得られる混練物懸濁液中に異形状の分散質が生じるのを効果的に防止することができる。
上記のような方法を採用した場合、分散質31(第1の分散質311、第2の分散質312)の大きさのばらつきが極めて小さい分散液3を容易かつ確実に調製することができる。
また、分散液3は、以下のような方法によっても、調製することができる。この方法においても、前述した方法と同様に、混練物が分散質として分散した混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)と、接着樹脂が分散質として分散した接着樹脂懸濁液とを混合することにより、目的とする分散液3を得る。
まず、混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)の調製について説明する。
まず、水または水溶性の液体に、必要に応じて分散剤および/または分散助剤を添加した水性液を用意する。
一方、粉末状または粒状に粉砕された混練物K7を用意する。
次に、この混練物を、攪拌した状態の水性液中に、徐々に投入していくことにより、水性の分散媒中に、結着樹脂を含む分散質が分散した混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)が得られる。
また、前記混練物を投入する際、例えば、水性液を加熱しておいてもよい。これにより、分散液3中の第1の分散質311の粒径を適度な大きさに制御することができる。水性液中に投入される混練物の平均粒径は、0.1μm〜5mmであるのが好ましく、0.15〜10μmであるのがより好ましく、0.2〜2μmであるのがさらに好ましい。
次に、接着樹脂懸濁液の調製について説明する。
まず、水または水溶性の液体に、必要に応じて分散剤および/または分散助剤を添加した水性液を用意する。
一方、粉末状または粒状の接着樹脂を用意する。
次に、この接着樹脂を、攪拌した状態の水性液中に、徐々に投入していくことにより、水性の分散媒中に、接着樹脂を含む分散質が分散した接着樹脂懸濁液が得られる。
また、前記接着樹脂を投入する際、例えば、水性液を加熱しておいてもよい。これにより、分散液3中の第2の分散質312の粒径を適度な大きさに制御することができる。水性液中に投入される接着樹脂の平均粒径は、0.1μm〜5mmであるのが好ましく、0.15〜10μmであるのがより好ましく、0.2〜2μmであるのがさらに好ましい。
その後、上記のようにして得られた混練物懸濁液(結着樹脂懸濁液)と接着樹脂懸濁液とを混合することにより、分散液3が得られる。このような方法で、分散液3を調製した場合、有機溶媒を実質的に用いることなく、または、極めて少量の有機溶媒を用いて、分散液3を調製することができる。このため、後述するような凝集体製造装置の固化部等において、実質的に有機溶媒を揮発しないようにすることができる。その結果、環境に対して悪影響を極めて与えにくい方法でトナーを製造することができる。
また、分散液3は、以下のような方法によっても、調製することができる。
まず、少なくとも結着樹脂を含む混練物K7を分散してなる結着樹脂分散液(結着樹脂懸濁液)と、少なくとも着色剤を分散してなる着色剤分散液(着色剤懸濁液)と、接着樹脂を分散してなる接着樹脂分散液(接着樹脂懸濁液)とを調製する。結着樹脂分散液、着色剤分散液、接着樹脂分散液は、前述した方法を適用することにより、好適に調製することができる。
次に、結着樹脂分散液と、着色剤分散液と、接着樹脂分散液とを混合・攪拌する。これにより、結着樹脂を含む材料で構成された第1の分散質311と、接着樹脂を含む材料で構成された第2の分散質312と、着色剤を含む材料で構成された第3の分散質とを含む分散液3が得られる。このように、分散液3は、第1の分散質311、第2の分散質312以外の分散質を含むものであってもよい。また、このような方法を用いると、分散液3中の分散質31(第1の分散質311、第2の分散質312、第3の分散質)の粒径を適度な大きさに制御することができる。
また、このような方法において、例えば、まず、接着樹脂分散液を加えずに、結着樹脂分散液と着色剤分散液とを混合・攪拌し、新たな結着樹脂懸濁液としてもよい。このとき、必要に応じて、攪拌しながら無機金属塩等の凝集剤を加えてもよい。これにより、混練物と着色剤とが適度な大きさに凝集した凝集体を形成することができる。そして、その後、この新たな結着樹脂懸濁液に接着樹脂分散液を加え、さらに混合・攪拌することにより、分散液3を得ることができる。このような方法を用いると、前記凝集により、分散液3中の分散質31(特に、第1の分散質311)の粒径を適度な大きさに制御することができる。
<凝集体製造工程および凝集体>
次に、上述したような分散液3を以下に詳述するような凝集体製造工程に供することにより、第1の分散質311由来の複数個の樹脂微粒子41と、隣接する樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間の未接合部分に接着樹脂で構成された接着樹脂相42とを有する凝集体40を得る。
このように、凝集体40を、第1の分散質311由来の複数個の樹脂微粒子41を備えたものとして得ることにより、得られる凝集体40は、各粒子間での、形状、大きさ、組成等のばらつきが特に小さいものとなる。言い換えると、上記のように、凝集体40が複数個の第1の分散質311の集合体として得られるものであると、分散液3を構成する第1の分散質311が、各粒子間での(個々の分散質粒子間での)形状、大きさ、組成等のばらつきが比較的大きい場合であっても、得られる凝集体40は、各粒子間での形状、大きさ、組成等のばらつきが小さいものとなる。その結果、最終的に得られるトナーは、各トナー粒子間での形状、大きさ、組成等のばらつきが特に小さいものとなり、トナー全体としての特性が優れたものとなり、信頼性も向上する。特に、本実施形態では、接着樹脂相42は、第2の分散質312に由来するものである。このように、接着樹脂相42が第2の分散質312に由来するものであると、以下に詳述するような凝集体製造工程において、接着性を有する微粒子状の接着樹脂(第2の分散質312)を介して、第1の分散質311(樹脂微粒子)の凝集が進行するため、第1の分散質311(樹脂微粒子)の凝集を効率良く進行させることができるとともに、隣接する樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間の距離を、凝集体40の各部位においてほぼ一定とすることができる。その結果、最終的に得られるトナーの特性は、特に安定性の高いものとなる。また、上記のような分散液3を用いることにより、空隙(空孔)の占める割合の少ない凝集体40を、容易かつ確実に得ることができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子100は、低空孔率で、機械的安定性、環境特性が特に優れたものとなる。
これに対し、凝集体が、上記のような分散質(第1の分散質)の集合体として得られない場合、すなわち、各分散質粒子が、それぞれ、独立した粒子を形成する場合、最終的に得られるトナーは、各トナー粒子間での形状、大きさ、組成等のばらつきが大きくなる。その結果、トナー全体としての特性が低下し、信頼性も低いものとなる。また、このような場合、その後、分級処理を施したとしても、各粒子間での大きさのばらつきを十分に小さくするのは困難であり、また、トナー製造の歩留りも、著しく低いものとなる。また、上記のような形状のばらつきを抑制するために、前記粒子の形成時または形成後に、熱球形化処理を施すことも考えられるが、このような場合(特に、前記粒子の形成時に熱球形化を行う場合)、形状のばらつきを十分に小さくするためには、熱球形化処理の条件を過酷なものとしなければならず、粒子の構成材料の劣化を招き易く、最終的に得られるトナーにおいて、十分な特性を発揮させるのが困難となる。
また、複数個の分散質(樹脂微粒子)の集合体としての凝集体が得られる場合であっても、上記のような接着樹脂相がない場合、得られる凝集体は機械的強度に劣るものとなる。すなわち、接着樹脂相がない場合、隣接する分散質(樹脂微粒子)同士の接合強度を十分に大きくするのは困難であり、比較的小さな外力が加わった場合であっても、凝集体の崩壊(分解)が起こり易い。また、接着樹脂相がない場合、凝集体中に占める空隙(空孔)の割合が大きくなる傾向があり、最終的に得られるトナー粒子は、機械的安定性、環境特性に劣ったものとなる。
凝集体製造工程は、例えば、図6に示すような凝集体製造装置M1を用いて行うことができる。
《凝集体製造装置》
図6に示すように、凝集体製造装置M1は、上述したような分散液3(液滴9)を噴射するノズルM2と、ノズルM2に分散液3を供給する分散液供給部M4と、ノズルM2から噴射された液滴状(微粒子状)の分散液3(液滴9)が搬送される固化部M3と、製造された凝集体40を回収する回収部M5とを有している。
分散液供給部M4は、ノズルM2に分散液3を供給する機能を有するものであればよいが、図示のように、分散液3を攪拌する攪拌手段M41を有するものであってもよい。これにより、例えば、分散質31が分散媒32中に分散しにくいものであっても、分散質31が十分均一に分散した状態の分散液3を、ノズルM2に供給することができる。
ノズルM2は、分散液3を微細な液滴(微粒子)9として、噴射する機能を有するものである。ノズルM2については、後に詳述する。
また、図6に示すように、凝集体製造装置M1は、ガス流供給手段M10を有しており、このガス流供給手段M10から供給されたガスは、ダクトM101を介して、ノズルM2に送り込まれ、後に詳述するノズルM2からの分散液3(液滴9)の噴射に利用される。
ガス流供給手段M10には、バルブM11が取り付けられている。これにより、分散液3(液滴9)の噴射に利用されるガスの圧力を調節することができる。
図示の構成の凝集体製造装置M1は、ノズルM2を複数個有している。そして、これらのノズルM2から、それぞれ、微細な液滴9が固化部M3に噴射される。
各ノズルM2は、ほぼ同時に液滴9を噴射するものであってもよいが、少なくとも隣り合う2つのノズルで、液滴9の噴射タイミングが異なるように制御されたものであるのが好ましい。これにより、隣接するノズルM2から噴射された液滴9が固化する前に、液滴9同士が衝突し、凝集するのをより効果的に防止することができる。
ノズルM2から噴射された液滴(微粒子)9は、固化部M3を搬送されつつ固化することにより、複数個の樹脂微粒子41と接着樹脂相42とを有する凝集体40となる。
分散媒32が前述したような溶媒材料を含む場合、この溶媒材料は、液滴(微粒子)9が固化部M3を搬送される際に除去される。このような場合、噴射された液滴9中の分散媒32が除去されるのに伴い、液滴9中に含まれる複数個の第1の分散質311(樹脂微粒子41)が凝集する。その結果、凝集体40は、複数個の樹脂微粒子41(第1の分散質311由来の樹脂微粒子41)の凝集体であって、隣接する樹脂微粒子41の間の未接合部分に接着樹脂相42を有するものとして得られる。
また、分散媒32が溶媒材料を実質的に含まずに、主として液状の接着樹脂で構成されている場合、液滴(微粒子)9が固化部M3を搬送される際に、接着樹脂が硬化または半硬化する。その結果、凝集体40は、複数個の樹脂微粒子41(第1の分散質311由来の樹脂微粒子41)と、隣接する樹脂微粒子41の間の未接合部分に設けられた接着樹脂相42とを有するものとして得られる。
なお、分散液3が図示しない第3の分散質(着色剤、ワックス等の結着樹脂以外の成分が主成分である分散質)を含むものである場合、第1の分散質311(樹脂微粒子41)とともに、第3の分散質が凝集し、凝集体40は、複数個の樹脂微粒子41と、第3の分散質由来の微粒子(以下、「第3の微粒子」という)と、接着樹脂相42とを有するものとして得られる。また、このような凝集体40においては、隣接する樹脂微粒子41−樹脂微粒子41間、樹脂微粒子41−第3の微粒子(例えば、着色剤微粒子、ワックス微粒子等)間、第3の微粒子−第3の微粒子間の未接合部分に接着樹脂相42が形成されている。
上記のように、凝集体40は、粒状の第1の分散質311由来の樹脂微粒子41が複数個結合したものである。すなわち、一滴の液滴9中に含まれる複数個の第1の分散質311が結合したものである。このため、このような凝集体40は、一般に、粉砕法等により得られる粒子に比べて、円形度の大きいものとなる。その結果、後述するような表面層形成工程等を経て最終的に得られるトナー粒子100は、円形度が十分に大きいものとなる。その結果、トナーの転写効率を高いものとしつつ、個々のトナー粒子100間での帯電特性の差を十分に小さくし、感光体上への現像性を優れたものとすることができる。
なお、前述したように、凝集体40は、第1の分散質311由来の樹脂微粒子41の集合体として得られるものであるが、樹脂微粒子41は、第1の分散質311を構成する成分の少なくとも一部を含むものであればよく、例えば、第1の分散質311中に含まれる構成成分の一部が除去された材料で構成されたものであってもよい。
固化部M3は、筒状のハウジングM31で構成されている。
凝集体40の製造時(分散液3の吐出から凝集体40の形成まで)において、ハウジングM31内は、所定範囲の温度に保たれているのが好ましい。これにより、製造条件の差による各凝集体40間での特性のばらつきを少なくすることができる。その結果、最終的に得られるトナーは、特に信頼性に優れたものとなる。
このように、ハウジングM31内の温度を所定の範囲に保つ目的で、例えば、ハウジングM31の内側または外側に熱源、冷却源を設置したり、ハウジングM31を、熱媒体または冷却媒体の流路が形成されたジャケットとしてもよい。
ハウジングM31内の温度は、特に限定されないが、40〜160℃であるのが好ましく、50〜150℃であるのがより好ましく、60〜140℃であるのがさらに好ましい。ハウジングM31内の温度が前記範囲内の値であると、トナーの構成材料(特に、結着樹脂)の変性等を十分に防止しつつ、例えば、液滴9から分散媒32を構成する溶媒材料を、より円滑に除去することができる。また、ハウジングM31内の温度が前記範囲内の値であると、接着樹脂相42を効率良く形成することができる。
また、図示の構成では、ハウジングM31内の圧力は、圧力調整手段M12により調整される構成となっている。このように、ハウジングM31内の圧力を調整することにより、例えば、噴射された液滴9から分散媒32を構成する溶媒材料を、効率良く除去することが可能となり、トナーの生産性が向上する。なお、図示の構成では、圧力調整手段M12は、接続管M121でハウジングM31に接続されている。また、接続管M121のハウジングM31と接続する端部付近には、その内径が拡大した拡径部M122が形成されており、さらに、凝集体40等の吸い込みを防止するためのフィルターM123が設けられている。
ハウジングM31内の圧力は、特に限定されないが、150kPa以下であるのが好ましく、100kPa以下であるのがより好ましく、0.1〜50kPaであるのがさらに好ましい。ハウジングM31内の圧力が前記範囲内の値であると、例えば、異形状の粒状体4の発生等を十分に防止しつつ、液滴9から分散媒32を構成する溶媒材料を、より円滑に除去することができる。
分散液3(液滴9)中に含まれる分散質31(特に、第1の分散質311)の粒径は、通常、得られる凝集体40(液滴9)に比べて、十分に小さいものである。したがって、分散質31(第1の分散質311)の凝集体として得られる凝集体40は、比較的円形度の大きいものとなる。
また、分散媒32が前述したような溶媒材料を含むものである場合、通常、ノズルM2から噴射される液滴9に比べて、得られる凝集体40は小さいものとなる。このため、ノズル(噴射部)M2から噴射される分散液3の液滴9が比較的大きい場合であっても、得られる凝集体40の大きさを比較的小さいものとすることができる。したがって、本実施形態では、特に平均粒径の小さい凝集体40や粒状体4、トナー粒子100についても容易に得ることができる。
また、本実施形態では、後に詳述するように、各ノズルM2から噴射される液滴9を、十分に小さく、かつ粒度分布が十分にシャープなものとすることができる。その結果、凝集体40も、粒径のばらつきの小さいもの、すなわち、粒度分布がシャープなものとなる。
このように、噴射液(吐出液)として分散液(特に、懸濁液)を用いることにより、製造する凝集体の粒径が十分に小さい場合であっても、容易に、その円形度を十分に高いものとし、かつ、粒度分布がシャープなものとすることができる。これにより、得られるトナーは、各トナー粒子間での帯電が均一で、かつ、トナーを印刷に用いたときに、現像ローラ上に形成されるトナーの薄層が平準化、高密度化したものとなる。その結果、カブリ等の欠陥を生じ難く、よりシャープな画像を形成することができる。また、凝集体40の形状、粒径が揃っているため、当該凝集体40を用いて製造されるトナー粒子100の集合体としてのトナーの嵩密度を大きくすることができる。その結果、同一容積のカートリッジ内へのトナーの充填量をより多くしたり、カートリッジの小型化を図る上でも有利である。
また、ハウジングM31には、電圧を印加するための電圧印加手段M8が接続されている。電圧印加手段M8で、ハウジングM31の内面側に、液滴9(凝集体40)と同じ極性の電圧を印加することにより、これにより、以下のような効果が得られる。
通常、トナー母粒子は、正または負に帯電している。このため、トナー母粒子と異なる極性に帯電した帯電物があると、トナー母粒子は、当該帯電物に、静電的に引き付けられ付着するという現象が起こる。一方、トナー母粒子と同じ極性に帯電した帯電物があると、当該帯電物とトナー母粒子とは、互いに反発しあい、前記帯電物表面にトナーが付着するという現象を効果的に防止することができる。したがって、ハウジングM31の内面側に、液滴9(凝集体40)と同じ極性の電圧を印加することにより、ハウジングM31の内面に液滴9(凝集体40)が付着するのを効果的に防止することができる。これにより、異形状のトナー粉末の発生をより効果的に防止することができるとともに、凝集体40の回収効率も向上する。
ハウジングM31は、回収部M5付近に、図6中の下方向に向けて、その内径が小さくなる縮径部M311を有している。このような縮径部M311が形成されることにより、凝集体40の回収を効率良く回収することができる。なお、前述したように、ノズルM2から噴射された液滴9は、固化部M3において固化されるが、回収部M5付近においてはこのような固化(接着樹脂相42による複数個の樹脂微粒子41の結合)はほぼ完全に完了しており、縮径部M311付近では、各粒子が接触しても凝集等の問題はほとんど発生しない。
液滴9を固化することにより得られた凝集体40は、回収部M5に回収される。
次に、粒状の分散液3(液滴9)を噴射するノズルM2について詳細に説明する。
本実施形態では、独特の状態で分散液3を微粒子(液滴9)にして噴射する。すなわち、本実施形態では、図7に示すように、傾斜面7に沿って流動するガス流で、傾斜面7に送り出された分散液3を薄く引き伸ばして薄層流8とする。傾斜面7に沿って流動する薄層流8は、傾斜面7を離れるときに薄すぎて層の状態(膜状態)ではいられなくなり、表面張力で粉々にちぎれて微粒子の液滴9となる。特に、薄層流8が分散液(固形状の分散質を含む懸濁液)3で構成されているため、均一な液体(例えば、実質的に純物質からなる液体や溶液等)を用いた場合に比べて、薄層流8から液滴9が微分割され易い。したがって、本実施形態では、微粒子状の分散液3(液滴9)を特に効率良く噴射することができる。また、液滴が尾を引いて突起を形成することが防止される。また、本実施形態では、ガス流で分散液3を薄層流8として微粒子(液滴9)として噴射する。このため、分散液3の液滴9を円形の超微粒子にできる特長がある。これにより、分散液3の供給口5の詰まりをより確実に防止することができ、さらに、供給口5の加工を容易に行うことができる。
さらに、図7に示すように、傾斜面7の先端に尖鋭なエッジ7Aを設け、このエッジ7Aでアトマイズガスとスプレッディングガスとを衝突させると、空気(ガス)を激しく振動できる。空気振動は分散液3をさらに微粒子にする作用がある。
さらに、本実施形態で用いるノズルM2は、傾斜面7の先端にリング状のエッジ7Aを有しており、このエッジ7Aから分散液3(液滴9)をホロコーン状態で微粒子状に噴射できる。これにより、例えば、ホロコーンで噴射される液滴9から、分散媒32を構成する溶媒材料を、効率よく除去することができる。
図7に示す液体を微粒子状に噴射するノズルM2は、分散液3(液滴9)をリング状に吐出する供給口5と、この供給口5から吐出される分散液3を流動させる傾斜面7と、この傾斜面7に加圧ガスを噴射するガス口10とを備えている。
この図に示すノズルM2は、内側リング(筒体)11と、中間リング(筒体)12と、外側リング(筒体)13とを備えている。内側リング11と中間リング12との間に供給口5を有し、内側リング11の中心にアトマイズガスの流路14を有し、中間リング12と外側リング13の間にスプレッディングガスの供給路15を有している。
内側リング11はその外形が円柱状であり、中間リング12はその内形が円柱状であり、内側リング11と中間リング12との間に、所定の幅のスリット状の供給口5が設けられている。供給口5は、リング状に形成されており、スリット幅は、分散液3が詰まらない幅に設計される。本実施形態のノズルにおいては、供給口5から分散液3を薄膜(薄層)にして送り出す必要がない。分散液3は傾斜面7で薄く引き伸ばされて微粒子(液滴9)となって噴射されるからである。したがって、供給口5のスリット幅は、送り出される分散液3の流量、傾斜面7の長さ、傾斜面7に噴射されるアトマイズガスの流速、供給口5の内径等を考慮して最適値に設計される。例えば、供給口5のスリット幅は、0.2〜1.5mm、好ましくは0.4〜1mm、最適には約0.8mmに設計される。
供給口5の直径は、吐出(噴射)する分散液の流量、スリット幅の寸法等を考慮して最適値に設計される。供給口5の直径は、例えば、1000g/分の分散液3(液滴9)を噴射するノズルにおいて、約50mmφに設計される。供給口5の直径は、流量が多い場合には大きく、流量が少ない場合には小さく設計される。
内側リング11の外周部と、中間リング12の先端面とは、テーパー状に切削加工されて、傾斜面7となっている。内側リング11と中間リング12の傾斜面7は、内側リング11の傾斜面7に沿って噴射され流動するガスが、内側リング11と中間リング12との境界で乱流とならないように、同一平面に形成されている。内側リング11と中間リング12の傾斜面7が同一平面となるとは、内側リング11と中間リング12の傾斜面7に段差ができず、内側リング11の傾斜面7から中間リング12の傾斜面7に直線的にガスが流動される状態を意味する。このように、内側リング11と中間リング12の傾斜面7を同一平面のテーパー状に加工するには、例えば、内側リング11と中間リング12を連結してテーパー加工すればよい。さらに、傾斜面7は、ここに沿って流動する分散液3が乱流とならないように、分散液3の流動方向に沿って平滑面となっている。図に示すノズルの傾斜面7は、円錐状で全体を平滑面に仕上げている。
内側リング11と中間リング12に傾斜面7を設けることによって、傾斜面7の中間に供給口5が開口される。内側リング11と中間リング12に設けられる傾斜面7の傾斜角αは、特に限定されないが、供給口5の傾斜面7に対する角度が鈍角となるように、例えば、100〜170度、好ましくは120〜160度、さらに好ましくは130〜160度、最適には約150度に設計される。傾斜角αは大きい方が液の流出が安定する。しかしスリット幅により傾斜角αは最適値が変わる。傾斜角αは、好ましくは、傾斜面7における供給口5の開口幅が2mmを越えないように設計される。
内側リング11の先端には中心リング16が配設され、この中心リング16と内側リング11との間にガス口10が開口されている。中心リング16は、図示しないが内側リング11に固定して所定の位置に配設されている。中心リング16は、外周面を内側リング11の傾斜面7に沿うテーパー状に加工されている。中心リング16と内側リング11との間に形成されるガス口10はスリット状で、ここから加圧ガスを層流状態に噴射して、傾斜面7に沿って流動させる。
内側リング11のアトマイズガスの流路14は加圧ガス源Fに連結されている。ガス口10は傾斜面7に沿って流動するアトマイズガスを噴射する。加圧ガス源Fは、例えば3〜20kg/cm2、好ましくは4〜15kg/cm2、さらに好ましくは4〜10kg/cm2、最適には約6.5kg/cm2の空気をガス口10に供給する。アトマイズガスの噴射圧を高くすると、傾斜面7に沿って流動するガスの流速が速くなって、分散液3をより効果的に薄く引き伸ばして分散液3を微細な液滴(微粒子)9にできる。ただし、噴射圧を高くすると特殊なコンプレッサーを必要とし、さらに消費エネルギーも大きくなるので、要求される微粒子の粒子径と、消費エネルギーとを考慮して最適値に設計される。
さらに、図7に示すノズルは、アトマイズガスに加えて、傾斜面7の外周にスプレッディングガスを噴射している。ただ、スプレッディングガスは必ずしも噴射する必要はない。スプレッディングガスを噴射しないで、アトマイズガスで分散液3を微粒子(液滴9)として噴射できるからである。アトマイズガスとスプレッディングガスを噴射するノズルは、アトマイズガスとスプレッディングガスとを傾斜面7のエッジ7Aで衝突させて、液滴9をより小さい微粒子にできる特長がある。さらに、スプレッディングガスでもってホロコーンの角度を調整することもできる。また分散液3の性質によっては、エッジ7Aでの離れが悪くなり、スプレッディングガス側に液逆流を起こす可能性があるが、スプレッディングガスを噴射することにより、このような問題の発生をより確実に防ぐことができる。
スプレッディングガスは、中間リング12と外側リング13の間に設けられたスプレッディングガス噴射口17から噴射される。スプレッディングガスはアトマイズガスに比較して低圧ガスとすることができる。例えば、アトマイズガスを約6.5kg/cm2とするとき、スプレッディングガスは約1kg/cm2とすることができる。スプレッディングガスは、アトマイズガスのように分散液3を強制的に薄く引き伸ばす必要がないので、例えば、0.5〜3kg/cm2の範囲に設定できる。
アトマイズガスとスプレッディングガスの両方を噴射するノズルは、傾斜面7の先端を尖鋭なエッジ7Aとしている。中間リング12は先端面に傾斜面7を形成し、また、先端の外周が円筒状に加工されることにより、傾斜面7の先端にエッジ7Aを形成している。この形状の中間リング12は、傾斜面7の先端に(180度−傾斜角α)の角度を成す尖鋭なエッジ7Aを形成することができる。ただし、ノズルは、図示しないが、中間リング12の外周をテーパー状に加工して、エッジ7Aの角度を調整することもできる。
図7に示すノズルは、例えば、下記の状態で分散液3を微粒子(液滴9)として噴射することができる。
(1) 内側リング11の中心に設けられたアトマイズガスの流路14に加圧したアトマイズガスを供給し、中間リング12と外側リング13との間のスプレッディングガス噴射口17にスプレッディングガスを供給して、供給口5から分散液3を傾斜面7に送り出す。
(2) 傾斜面7に供給された分散液3は、傾斜面7に沿って流動するアトマイズガスで薄く引き伸ばされて薄層流8となる。例えば、傾斜面7に沿ってアトマイズガスをマッハ1.5程度の流速で流動させて供給口5に分散液3を送り出し、薄層流8の先端部での流速をアトマイズガスの1/20とすれば、25.5m/sとなる。傾斜面7の先端に設けたエッジ7Aの直径を50mm程度とすれば、分散液3を約1リットル/分で供給して薄層流8の膜圧は4μm程度となる。
(3) 上記のような膜厚の小さい薄層流8は、傾斜面7のエッジ7Aを過ぎると薄すぎて膜状態でいられなくなり、表面張力で粉々にちぎられて微粒子の液滴9となる。
(4) 微粒子の液滴9は、エッジ7Aでアトマイズガスとスプレッディングガスが衝突し、摩擦して振動して液滴9をさらに小さい微粒子(液滴9)とする。
(5) 微粒子の液滴9は、アトマイズガスとスプレッディングガスによって放射状に運ばれる。この状態をホロコーンという。ホロコーンのコーン角度は傾斜面7の角度で決定されるが、アトマイズガスとスプレッディングガスの噴射圧で調整することもできる。
ホロコーンの状態で噴射された液滴9は、上述したように固化し、樹脂微粒子41と、接着樹脂相42とを備えた凝集体40となる。
図8は、A液とB液を混合して分散液の微粒子(液滴9)とするノズルを示す。この図に示すノズルにおいては、図7に示すノズルの中間リング12を、内側中間リング(筒体)12Aと外側中間リング(筒体)12Bとの二重管構造としている。内側中間リング12Aと外側中間リング12Bとの間には、B液の供給口5が設けられている。リング状の内側中間リング12Aは、内側面と外側面にテーパー状の傾斜面7を有しており、その先端が尖鋭なエッジ7Aとなっている。外側中間リング12Bの先端面もテーパー状に加工され、傾斜面7となっている。外側中間リング12Bの傾斜面7は、内側中間リング12Aの傾斜面7と同一平面に連結している。
図8に示すノズルは、内側中間リング12Aの内側面と外側面とに傾斜面7を有し、内側に設けられた傾斜面7にA液の供給口5を、外側の傾斜面7にB液の供給口5を設けている。A液とB液の両方を、アトマイズガスで傾斜面7に薄く引き伸ばしできるように、内側リング11のガス口10と、外側中間リング12B及び外側リング13の間のスプレッディングガス噴射口17の両方から高圧のアトマイズガスを噴射する。
このような構造のノズルM2を用いることにより、分散性、相溶性の悪い成分を用いる場合であっても、均一性(分散性)の高いトナーを得ることができる。また、このような構造のノズルM2を用いることにより、多相構造(樹脂微粒子41の相と、接着樹脂相42とを備えた構造)を有するトナー粒子100を、容易かつ確実に得ることができる。なお、本実施形態においては、A液とB液とは、実質的に同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよいが、ここでは、A液とB液とが実質的に同一の組成を有する液体、すなわち、A液およびB液のいずれもが前述したような分散液3であるものとして説明する。なお、A液とB液とが異なる組成を有する場合については、後に詳述する。
A液とB液とが実質的に同一の組成を有するものであると、得られる凝集体の組成、特性のばらつき等をより確実に小さくすることができる。また、複数の供給口5から同一組成の液体(分散液3)を供給することにより、分散液3の噴射条件(液滴9として噴射する条件)をより確実に制御することができる。
図8に示すノズルは、内側中間リング12Aの内側と外側との両面に傾斜面7を有しており、内側と外側の傾斜面7に、それぞれ、A液、B液を供給することができる構成になっている。図9に示すノズルは、傾斜面7の途中に4つの供給口5を有している。このような構造のノズルでは、4つの供給口5から、それぞれ、液体(分散液3)を供給して、同時に吐出することができる。なお、図9に示すノズルにおいても、前記と同様に、すべての供給口5から、実質的に同一の組成を有する液体(分散液3)を供給してもよい。これにより、前記と同様の効果が得られる。
さらに、図10、図11には、分散液を、より微細な微粒子として噴射することができるノズルを示す。これらの図に示すノズルにおいては、図8に示すノズルと同じように、中間リング12を、内側中間リング(筒体)12Aと外側中間リング(筒体)12Bとの二重管構造としている。そして、内側中間リング12Aと外側中間リング12Bとの間にB液の供給口5が設けられている。リング状の内側中間リング12Aは、内側面と外側面との両面にテーパー状の傾斜面7を有しており、その先端が尖鋭なエッジ7Aとなっている。外側中間リング12Bの先端面もテーパー状に加工され、傾斜面7となっている。また、内側中間リング12Aと内側リング11との間にA液の供給口5が設けられている。
傾斜面の拡大図を図12に示す。この図に示すように、内側中間リング12Aの傾斜面7は、供給口5の近傍において、その両側に位置する外側中間リング12Bと内側リング11の傾斜面7の延長線に対して多少段差が設けられ、低く(内側中間リング12Aの傾斜面7の成す角が、外側中間リング12Bの傾斜面7の成す角よりも小さくなるように)形成されている。このような形状の傾斜面を有するノズルは、矢印で示すように傾斜面7に沿って流動するガス流が、供給口5から液体(分散液3)をスムーズに排出(吐出)させることができるという特長を有している。それは、内側中間リング12Aの傾斜面7が、外周側の(外側中間リング12Bの)傾斜面7に対して突出しないからである。図示しないが、内側中間リング12Aの傾斜面7が、その外周側に位置する(外側中間リング12Bの)傾斜面7の延長線から突出すると、突出部にガスが衝突してスムーズに液体(分散液3)を排出させるのが困難となる。
さらに、図12の拡大図に示すノズルでは、内側中間リング12Aの傾斜面7を湾曲させて、先端部分が、隣接する傾斜面7の延長線から突出するように形成されている。このような形状を有する内側中間リング12Aの傾斜面7では、傾斜面7に沿って矢印の方向に流動するガス流が、先端部分で傾斜面7に強く押し付けられて、傾斜面7を流動する液体(分散液3)の薄層流8をより薄く引き伸ばすことができる。このため、このような構造のノズルは、分散液3をより微細な微粒子(液滴9)として噴射できる特長がある。
このようなノズルでは、外側中間リング12Bと、内側中間リング12Aと、内側リング11先端の角度を図に示すような角度に設計すると、分散液3をホロコーンで噴射できる。
図7、図8および図10に示すノズルは、スプレッディングガス噴射口17と、ガス口10を構成する中心リング16および外側リング13の先端部分を通気性部材18で構成している。通気性部材18は、ガス口10に圧入されるガスを貫通して表面から噴射させる通気性を有する。通気性部材18は、例えば、平均粒子径が約1μmであるステンレス製の焼結金属で構成されたものである。通気性部材18は、ガス口10から噴射するガスの一部を表面から噴射して、中心リング16と外側リング13先端部分の表面にミストが付着するのを防止する効果がある。
さらに、図13は、ホロコーンとフルコーンの両方に微粒子を噴射できるノズルを示す。この図のノズルの先端部の要部拡大図を図14に示す。このノズルにおいても、図8に示すノズルと同じように、中間リング12を、内側中間リング12Aと外側中間リング12Bとの二重管構造としている。そして、内側中間リング12Aと外側中間リング12Bとの間には、B液の供給口5が設けられている。リング状の内側中間リング12Aは、内側面と外側面の両面にテーパー状の傾斜面7を有しており、その先端が尖鋭なエッジ7Aとなっている。外側中間リング12Bの先端面はストレートな傾斜面7となっている。また、内側中間リング12Aと内側リング11との間にA液の供給口5が設けられている。
内側中間リング12Aに設けられた傾斜面7の拡大図を図15に示す。この図に示すノズルにおいても、図12に示すノズルと同じように、内側中間リング12Aの傾斜面7は、供給口5の近傍において、その両側に位置する外側中間リング12Bと内側リング11の傾斜面7の延長線に対して多少段差が設けられ、低く(内側中間リング12Aの傾斜面7の成す角が、外側中間リング12Bの傾斜面7の成す角よりも小さくなるように)形成されている。このような形状の傾斜面7を有するノズルにおいても、矢印で示すように傾斜面7に沿って流動するガス流が、供給口5から液体(分散液3)をスムーズに排出させることができる。
さらに、図15に示すノズルは、内側中間リング12Aの傾斜面7の傾斜角がその先端方向に向かって変化していて、先端部分が、隣接する傾斜面7の延長線から突出するように形成されている。このような形状を有する内側中間リング12Aの傾斜面7は、傾斜面7に沿って矢印の方向に流動するガス流が、先端部分で傾斜面7に強く押し付けられて、傾斜面7を流動する液体(分散液3)の薄層流8を薄く引き伸ばすことができる。このため、この構造のノズルは、分散液3をより微細な微粒子(液滴9)として噴射できるという特長を有する。
さらに、このようなノズルでは、外側リング13と、外側中間リング12Bと、内側中間リング12Aと、内側リング11先端の角度を図に示すような角度に設計して、分散液3をホロコーンとフルコーンの両方で噴射できる。例えば、中心リング16と内側リング11との間のガス口10から噴射されるアトマイズガスの噴射圧を、外側中間リング12Bと外側リング13との間のガス口10から噴射するアトマイズガスの噴射圧よりも大きくすると、分散液3をホロコーン状態で噴射させることができる。反対に、外側中間リング12Bと外側リング13との間のガス口10から噴射するアトマイズガスの噴射圧を、中心リング16と内側リング11の間のガス口10から噴射されるアトマイズガスの噴射圧よりも強くすると、分散液3をフルコーン状態で噴射できる。
図13に示すノズルも、図10に示すノズルと同様に、ガス口10を構成する中心リング16と外側リング13の先端部分を通気性部材18として、中心リング16と外側リング13の表面にミストが付着するのを防止している。
さらに、図16に示すノズルは、通気性部材を使用しないで、ミストの付着を防止する独特の構造をしている。この図のノズルは、中心リング16の先端面にガス剥離凹部19を有し、供給口5の内側であってノズルの先端面にガス剥離凹部19を有している。ガス剥離凹部19は、中心リング16に設けられた貫通孔20を介して、内側リング11と中心リング16との間の流路1に連結されている。貫通孔20は、図17に示すように、噴射されるガスをガス剥離凹部19で回転させる方向、すなわち、半径方向から接線方向に傾斜して開口している。ガス剥離凹部19の表面は、ガス流を乱すことなく層流状態で流動できる平滑面となっている。さらに、ガス剥離凹部19の外周部分は、飛行機の翼と同じような流線形となって、ガス口10に向かって滑らかに湾曲している。
このような構造のノズルにおいては、加圧されたガスを、貫通孔20から接線方向にガス剥離凹部19に噴射すると、ガスは、テーパー状のガス剥離凹部19の内面に衝突し、薄く拡がりながら旋回流となる。この時、ガス剥離凹部19のテーパー角度(θ)により、ガス剥離凹部19の出口方向(図において上方)に向かう気流の割合を変えることができる。テーパー角度(θ)を、図に示すように15度とすると、出口方向に向かう旋回気流は、約70%であり、残りの約30%はガス剥離凹部19の底方向に向かう旋回気流となり、底に達した後に風速を弱めて、出口方向へ向かう。そして、前述の約70%の旋回気流に巻き込まれて、ガス剥離凹部19から排出される。
ガス剥離凹部19の内面に沿って流動するガスの旋回気流は、テーパー面と翼型の流線形部分の斜面に沿って移動し、先端に達した所で、翼型表面に沿って流動して、内側リング11と中心リング16の間に設けられた流路1から噴射されるアトマイズガスに引き込まれる。流線形の翼型部分は、ガス口10に向かって滑らかに湾曲しているので、ガスが表面に沿って流動し、中心リング16の前面に流動するガス層を作る。
中心リング16の前面のほぼ全体を、この流動するガス層で覆うので、分散液3のミスト(液滴9)が付着することが防止される。貫通孔20は、ガス剥離凹部19から均一にガスを噴射できるように、好ましくは6個程度とするのがよい。ただし、貫通孔をさらに多くすることもできる。さらに、貫通孔の形状をスリット状にして横幅を広くすると、貫通孔の数が少ない場合であっても、ガス剥離凹部から均一にガスを吹き出すことができる。
このような構造のノズルにおいては、ノズルの前面がガス層で覆われることになるので、飛来したミストが表面に付着することが防止され、流動するガス層である流線気流によって吹き飛ばされる。また、このような構造のノズルを用いた場合、前記の通気性部材18によるエアレイションで粉付着を防止する方法よりも、少ないガス量で、同等の効果を得ることができる。
さらに、図18に示すノズルは、ガス口10と供給口5から、ガスと液体(分散液)とを均一に供給することができるものである。この図に示すノズルは、流路1と液体流路21にヘリカルリブ22を有している。流路1や液体流路21には、各リングを組み立てる時の芯出のため、すなわち、全てのリングの中心を正確に一致させるために、各リングの間にリブが設けられている。リブの先端を接触させることにより、各リングは芯出して正確に組み立てられる。
図18のノズルは、エッジ7Aの両面に開口されたガス口10に連通する流路1に、軸方向に流動するガスにスピンをかけてスパイラルに回転させるヘリカルリブ22を有している。エッジ7A両面のガス口10から噴射されるガスは互いに反対方向に回転しながらエッジ7Aに向かって噴射される。このような構造のノズルでは、エッジ7Aの両面に流動されるアトマイズガスを互いに逆スピンとし、エッジ7A先端でのミスト形成時に、両ガスのひねり作用が加わって、ミスト粉砕効果が上がり、より小さいミストを作ることができる。
ただし、分散液3を噴射するノズルは、必ずしも、エッジの両面に流動するアトマイズガスを逆スピンとするものに限定されず、例えば、エッジ両面のアトマイズガスを同じ方向にスピンをかけるものであってもよい。さらに、複数のガス口を有するノズルにおいては、すべてのガス口から噴射されるガスにスピンをかけるものでなくてもよい。したがって、特定の流路にのみヘリカルリブを有するものであってもよい。
さらに、図18に示すノズルでは、液体流路21にもヘリカルリブ22が配設されている。通常、液体(分散液3)はガスに比較して流速が遅いので、図示のノズルでは、ヘリカルリブ22の傾斜角αを約60度と大きくしている。傾斜角αは、例えば、30〜70度、好ましくは45〜65度の範囲とすることができる。液体流路21のヘリカルリブ22も、流路1のヘリカルリブ22と同じように、その傾斜角αが大きい場合には、液体のスピンが強くなるが、その一方で、液体の流動抵抗が大きくなる傾向を示す。このため、ヘリカルリブ22の傾斜角αは、液体の流動抵抗とスピンとを考慮して適宜選択される。
以上説明したようなノズルM2を用いることにより、以下のような効果が得られる。
・分散液を極めて小さい微粒子として噴射できると共に、目詰まりを十分効果的に防止しつつ、長時間連続噴射できる。また、分散液を薄層流に引き伸ばして微粒子の液滴とするので、平滑面に沿って流動させるガスの流速で、液滴を極めて小さい微粒子として噴射できる。
・単位時間当りの噴射量を多くして、しかも微細な液滴として噴射できる。
また、ノズルM2から固化部M3に噴射される分散液3(液滴9)の初速度は、例えば、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、2〜8m/秒であるのがより好ましい。分散液3(液滴9)の初速度が前記下限値未満であると、トナーの生産性が低下する。一方、分散液3(液滴9)の初速度が前記上限値を超えると、得られる凝集体40の真球度(円形度)が低下する傾向を示す。
また、ノズルM2から噴射される分散液3の粘度は、特に限定されないが、例えば、25℃において、5〜3000cpsであるのが好ましく、10〜1000cpsであるのがより好ましい。分散液3の粘度が前記下限値未満であると、噴射される粒子(液滴9)の大きさを十分に制御するのが困難となり、得られる凝集体40のばらつきが大きくなる場合がある。一方、分散液3の粘度が前記上限値を超えると、形成される液滴の径が大きくなる。また、分散液3の粘度が特に大きい場合には、ノズル先端への付着が激しくなり連続運転が困難となり、また、分散液3がノズルに供給されにくくなる。
また、ノズルM2から噴射される分散液3は、予め加温(加熱)されたものであってもよい。このように分散液3を加温することにより、例えば、分散液3の粘度が低下し、ノズルM2での目詰まりをより効果的に防止することができるとともに、噴射される液滴(ミスト)9の大きさを十分に小さいものとし、かつ、各液滴9間での大きさのばらつきを特に小さいものとすることができる。また、分散液3を加温することにより、固化部M3において、第1の分散質311由来の樹脂微粒子41の凝集(融合)を円滑に進行させるとともに、接着樹脂相42を効率良く形成することができる。その結果、最終的に得られるナー粒子1は、より優れた形状の安定性を有するものとなる。
また、分散液3の一滴分の噴射量(液滴9の1個分の体積)は、分散液3中に占める第1の分散質311の含有率等により若干異なるが、0.05〜500plであるのが好ましく、0.5〜5plであるのがより好ましい。分散液3の一滴分の噴射量をこのような範囲の値にすることにより、凝集体40を適度な粒径のものにすることができる。
また、分散液3が微粒子化された液滴9の平均粒径D’は、2.5〜20μmであるのが好ましく、4〜15μmであるのがより好ましい。液滴9の平均粒径D’をこのような範囲の値とすることにより、前述と同様の効果を得ることができる。
ところで、ノズルM2から噴射される液滴9は、一般に、分散液3中の分散質31に比べて十分に大きいものである。すなわち、液滴9中には、多数個の分散質31が分散した状態となっている。このため、分散質31(特に、第1の分散質311)の粒径のばらつきが比較的大きいものであっても、噴射される液滴9中に占める分散質31の割合は、各液滴でほぼ均一である。したがって、分散質31の粒径のばらつきが比較的大きい場合であっても、分散液3の噴射量(液滴9の1滴あたりの体積)をほぼ均一とすることにより、凝集体40は粒径のばらつきの小さいものとなる。このような傾向は、噴射される分散液3(液滴9)の平均粒径に対する、分散質31(特に、第1の分散質311)の平均粒径の比率が小さい程、顕著なものとなる。例えば、噴射される分散液3(液滴9)の平均粒径をD’[μm]、分散液3中における第1の分散質311の平均粒径をd[μm]としたとき、d/D’<0.5の関係を満足するのが好ましく、d/D’<0.2の関係を満足するのがより好ましく、d/D’<0.1の関係を満足するのがさらに好ましい。
また、噴射される分散液3(液滴9)の平均粒径をD’[μm]、最終的に得られるトナー粒子100の平均粒径をD’’[μm]としたとき、0.05≦D’’/D’≦1.0の関係を満足するのが好ましく、0.1≦D’’/D’≦0.8の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、十分に微細で、かつ、円形度が大きく、粒度分布がシャープなトナー粒子100を比較的容易に得ることができる。
以上の説明では、ノズルM2の供給口5から、1種類の液体(分散液3)を吐出するものとして説明したが、複数の供給口5を有するノズルM2においては、例えば、各供給口5から、異なる組成の液体を吐出することができる。より具体的には、図8〜図18に示すようなノズルM2では、各供給口5から、異なる組成の液体を吐出し、これらを合流させて、結着樹脂と、接着樹脂とを含む分散液3とした後、この分散液3を、固化部M3に向けて噴射することができる。例えば、前述した分散液3の調製方法についての説明では、結着樹脂を含む分散液(懸濁液)と、接着樹脂を含む分散液(懸濁液)とを混合することにより、結着樹脂と接着樹脂とを含む分散液3を調製する複数の方法について説明したが、これらの方法で調製される、結着樹脂を含む分散液(結着樹脂懸濁液)、接着樹脂を含む分散液(接着樹脂懸濁液)を、それぞれ、第1の液体、第2の液体として、ノズルM2の複数の供給口5から吐出することができる。また、図9に示すような供給口5を3つ以上有するノズルM2では、例えば、3種以上の液体を組み合わせて用いることができる。より具体的には、図9に示すような構成のノズルM2では、4つの供給口5から、それぞれ、結着樹脂を含む分散液(結着樹脂懸濁液)、接着樹脂を含む液体(接着樹脂懸濁液)、着色剤を含む分散液(着色剤懸濁液)、ワックスを含む分散液(ワックス懸濁液)を吐出し、これらを傾斜面7、エッジ7A付近で合流させることにより、分散液3として噴射してもよい。また、図9に示すような構成のノズルM2では、3種の液体を用いてもよい。すなわち、4つの供給口5のうち3つの供給口5からは、互いに異なる組成の液体を吐出し、残りの1つの供給口5からは、これら3種の液体のいずれかと同一の組成の液体を吐出してもよい。また、上記のように、複数種の液体を用いる場合、これらのうちの2種以上は、いずれも、主として結着樹脂で構成された分散質(第1の分散質)と接着樹脂とを含むものであって、かつ、互いに結着樹脂、接着樹脂の含有率が異なるものであってもよい。このように、2種以上の液体を組み合わせて用いることにより、材料の選択幅が広がり、組み合わせの自由度が拡大するという効果が得られる。
また、以上の説明では、図7〜図18に示すようなノズル(液体(分散液)を、ガス流で平滑面に押し付けて薄く引き伸ばして薄層流とし、当該薄層流を前記平滑面から離して分散液の微粒子として噴射するようなノズル)を用いて、分散液を液滴状(微粒子)にする方法について説明したが、液滴状の分散液を得ることが可能であればいかなる方法でもよく、例えば、スプレードライ法や、いわゆるインクジェット法、バブルジェット(「バブルジェット」は登録商標)法等の方法を用いてもよい。
スプレードライ法は、高圧のガスを用いて、液体(分散液)を噴射(噴霧)させることにより、液滴を得る方法である。
また、いわゆるインクジェット法を適用した方法としては、特願2002−169349号明細書に記載された方法等が挙げられる。すなわち、本発明では、液滴状の分散液を形成する方法として、「圧電パルスによりヘッド部から分散液を間欠的に吐出し、気流により固化部内を搬送させつつ、粒状とする方法」を適用することができる。
また、いわゆるバブルジェット(「バブルジェット」は登録商標)法を適用した方法としては、特願2002−169348号明細書に記載された方法等が挙げられる。すなわち、本発明では、液滴状の分散液を形成する方法として、「気体の体積変化によりヘッド部から分散液を間欠的に吐出し、気流により固化部内を搬送させつつ、粒状とする方法」を適用することができる。
特に、本発明において、前述したようなノズルを用いた場合には、一般的なスプレードライ法を適用した場合に比べて、以下のような利点が得られる。
すなわち、前述したようなノズルを用いた方法では、一般的なスプレードライ法に比べて、分散液の噴射条件(噴射液滴量)を容易かつ正確に制御することが可能である。このため、例えば、目的とする大きさ、形状の凝集体を効率良く製造することができる。特に前述した方法では、形成される微粒子を、大きさのばらつきが極めて小さい(粒度分布の幅が小さい)ものとすることができ、このため、各粒子の移動速度のばらつきも小さくすることができる。したがって、噴射された分散液(液滴)が固化する前に、噴射された粒子(液滴)間での衝突、凝集を効果的に防止することができ、その結果、異形状の粉末が形成されにくくなる。したがって、得られる凝集体の形状、大きさのばらつきは特に小さいものとなり、最終的に得られるトナーにおいても各粒子間での帯電特性、定着特性等のばらつきが小さく、トナー全体としての信頼性も特に高いものとなる。また、前述した方法では、製造する凝集体の大きさを比較的小さいものとした場合においても、凝集体の粒度分布をシャープなものとすることができる。
また、凝集体製造装置M1は、ノズル(噴射部)M2−ノズル(噴射部)M2間に、図示しないガス噴射手段が設けられていてもよい。これにより、ノズルM2から間欠的に噴射された液滴9の間隔を保ちつつ、分散液3を搬送し、固化させることができる。その結果、噴射される液滴9同士の衝突、凝集がより効果的に防止される。
また、ガス噴射手段が設けられることにより、固化部M3において、ほぼ一方向(図中、下方向)に流れるガス流を形成することができる。このようなガス流が形成されると、固化部M3内の液滴9(凝集体40)をより効率良く搬送することができる。
また、ガス噴射手段が設けられることにより、各ノズルM2から噴射される粒子(液滴)の間に気流カーテンが形成され、例えば、隣り合うノズルから噴射された各粒子(液滴)間での衝突、凝集をより効果的に防止することが可能となる。
このようなガス噴射手段を有する場合、噴射されるガスの温度を好ましい値に設定する機能を有する、図示しない熱交換器が取り付けられているのが好ましい。これにより、固化部M3に噴射された液滴9を効率良く固化させることができる。
また、このようなガス噴射手段を有すると、ガス流の供給量を調整すること等により、ノズルM2から噴射された液滴9の固化速度等を容易にコントロールすることも可能となる。
<表面層形成工程および粒状体(トナー母粒子)>
次に、上述したような凝集体40に表面層43を形成する。これにより、樹脂微粒子41と、接着樹脂相42と、表面層43とを有する粒状体4が得られる。
特に、本実施形態では、凝集体40に対して熱処理を施し、凝集体40の表面付近を軟化溶融させ、再固化(再硬化)させることにより、表面層43を形成する。これにより、比較的容易に、各部位での厚さのばらつきの小さい表面層43を形成することができる。このような表面層43が形成されることにより、得られる粒子(粒状体4)の機械的強度(様々な種類の外力に対する安定性)は特に優れたものとなる。また、熱処理で表面層43を形成することにより、得られる粒状体4の円形度をより大きいものとすることができる。言い換えると、表面層形成工程に供される凝集体40は、通常、その表面付近に、第1の分散質311の形状の痕跡を有しているため、多数個の凹凸を有しており、円形度が比較的小さいものであるが、表面層43が形成された粒状体4においては、上記のような凹凸が緩和され、円形度が十分に大きいものとなる。
ところで、前述したように、凝集体40は、複数個の樹脂微粒子41の未接合部分が、接着樹脂相42により接着されている構成を有している。このため、凝集体40は、通常、その中心部付近においては、十分な機械的強度を有している。したがって、本工程で行う熱処理は、粒子(凝集体40)の表面付近の特性(機械的強度)を改善することを主目的として表面層43を形成するものであり、凝集体40の内部構造(中心部付近の構造)を変化させる必要はなく、むしろ、凝集体40の内部構造(中心部付近の構造)を変化させることは好ましくない。したがって、熱処理は、表面層43となるべき凝集体40の表面付近の温度を十分に高めることが可能な条件であればよく、凝集体40全体の温度を高めなくてもよい。すなわち、熱処理が比較的温和な条件で行われるものであっても、得られる粒状体4の機械的強度を十分に高いものとすることができる。
このように、熱処理は、凝集体40の表面付近の温度を上昇させることが可能な方法であれば、いかなる方法で行うものであってもよいが、例えば、機械的表面改質法、熱気流中熱処理等の方法を用いて行うことができる。このような方法を用いることにより、凝集体40の中心部付近に、熱の影響がおよぶことを十分に防止しつつ、凝集体40の表面付近を選択的に軟化溶融させることができる。このため、前述したような構成の粒状体4、すなわち、内部(中心部付近)においては、樹脂微粒子41と接着樹脂相42とが互いに相分離した相分離構造として存在するとともに、表面層43を有する粒状体4を好適に得ることができる。その結果、粒状体4(凝集体40)全体としての、熱による相分離構造の破壊や、構成材料の変性、劣化等の影響を十分に防止しつつ、表面層43を形成することができる。
機械的表面改質法は、摩擦力、圧縮力、剪断力、衝撃力等の力を、凝集体40に与えることにより発熱させ、この発生した熱により、凝集体40の表面付近を軟化溶融させる方法である。このような機械的表面改質法には、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機会製作所社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田製作所社製)、コスモスシステム(川崎重工社製)等の各種表面改質装置を用いることができる。
また、熱気流中熱処理は、例えば、圧縮空気等を用いて、凝集体40を加熱雰囲気(熱気流)中に供給し、凝集体40の表面付近を軟化溶融させる方法である。このような熱気流中熱処理には、例えば、各種スプレードライ装置や、サフュージングシステム(日本ニューマチック工業社製)等の高温気流中瞬間処理装置を用いることができる。また、熱気流中熱処理時における雰囲気温度は、特に限定されないが、210〜320℃であるのが好ましく、230〜300℃であるのがより好ましい。雰囲気温度が前記下限値未満であると、十分な厚さの表面層43を効率良く形成するのが困難となる。一方、雰囲気温度が前記上限値を超えると、凝集体40の構成材料等によっては、凝集体40の中心部付近まで軟化溶融する可能性がある。
<外添工程(外添処理)>
上記のようにして得られた粒状体4に対して、外添剤6を付与する外添処理を施す。これにより、トナー(トナー粒子100)が得られる。
外添処理は、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて、粒状体(トナー母粒子)4と外添剤6とを混合すること等により行うことができる。
外添剤6としては、例えば、前述したようなものを用いることができる。
また、外添剤6は、トナー中において、実質的に、その全てが粒状体4に付着した状態になっていてもよいし、その一部が粒状体4の表面から遊離していてもよい。すなわち、トナー中には、粒状体4から遊離した外添剤が含まれていてもよい。このように、トナー中に、粒状体4から遊離した外添剤が所定の割合で(比較的微量の)含まれると、このような遊離外添剤を、例えば、粒状体4とは反対の極性に帯電するマイクロキャリアとして機能させることができる。
以上のようにして得られたトナーに対しては、必要に応じて、分級処理を施してもよい。なお、分級処理は、外添工程の前に施すものであってもよい。
分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、分散液の調製に混練物を用いるものとして説明したが、分散液の調製方法は、これに限定されない。例えば、液性媒体(液体)中に、結着樹脂、接着樹脂、着色剤等の各成分を投入する工程を経て調製されるものであってもよい。また、分散液を構成する第1の分散質は、例えば、乳化重合法等の方法により形成されたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、少なくとも結着樹脂を含む材料で構成された混練物と、接着樹脂とを用いて、分散液を調製するものとして説明したが、接着樹脂の代わりに、接着樹脂と他の成分との混合物を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、分散液として懸濁液を用いる構成について説明したが、例えば、分散液として乳化液を用いてもよい。
また、前述した実施形態では、トナー粒子は、樹脂微粒子と接着樹脂相とを備えた粒状体と、外添剤とで構成されるものとして説明したが、トナー粒子(トナー)は、外添剤を有していなくてもよい。言い換えると、前述したような粒状体を、そのまま、トナー粒子として用いてもよい。
また、本発明のトナーの製造に用いる凝集体製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。例えば、前述した実施形態では、粒状の分散液3(液滴9)を下方に向けて噴射する構成について説明したが、分散液の噴射方向は、鉛直上方、水平方向等、いかなる方向であってもよい。
また、前述した実施形態では、結着樹脂は樹脂微粒子中に含まれ、接着樹脂は接着樹脂相中に含まれるものとして説明したが、接着樹脂の一部が樹脂微粒子中に含まれていてもよい。同様に、結着樹脂の一部が接着樹脂相中に含まれていてもよい。
また、前述した実施形態では、ルチルアナターゼ型酸化チタンは、外添剤として添加されるものとして説明したが、例えば、ルチルアナターゼ型酸化チタンを混練工程に供される原料の一成分として用いることにより、トナーの内部に含まれるものとしてもよい。
また、分散液から分散媒を除去することにより得られた凝集体や、該凝集体から製造される粒状体(トナー母粒子)、トナー粒子を減圧環境下、加熱環境下に置く等の、中間処理、後処理を施してもよい。これにより、最終的に得られるトナー粒子中に、分散媒等が残存するのをより効果的に防止することができる。
また、前述した実施形態では、表面層を形成する熱処理として、機械的表面改質法、熱気流中熱処理を挙げて説明したが、このような熱処理は、例えば、液体中で行っても良い。
また、前述した実施形態では、混練機として、連続式の2軸スクリュー押出機を用いる構成について説明したが、原料の混練に用いる混練機はこれに限定されない。原料の混練には、例えば、ニーダーやバッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
また、前述した実施形態では、冷却機として、ベルト式のものを用いた構成について説明したが、例えば、ロール式(冷却ロール式)の冷却機を用いてもよい。また、混練機の押出口から押し出された混練物の冷却は、前記のような冷却機を用いたものに限定されず、例えば、空冷等により行うものであってもよい。
また、前述した実施形態では、分散液において、着色剤、ワックス等が分散質の構成成分として存在するものとして説明したが、これらの成分は、分散媒の構成成分として分散液に含まれるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、分散液を吐出することにより、樹脂微粒子と接着樹脂相とを備えた凝集体を得るものとして説明したが、凝集体の製造方法は、これに限定されない。例えば、樹脂微粒子を乳化重合法等の方法により形成し、形成された複数個の樹脂微粒子を溶融接合した後、隣接する樹脂微粒子間の未接合部(空隙)を接着樹脂相で補填することにより、凝集体を製造してもよい。また、接着樹脂を含まない分散液を吐出することにより、複数個の樹脂微粒子が溶融接合してなる凝集体を形成した後、含浸等の方法により、隣接する樹脂微粒脂−樹脂微粒脂間の未接合部(空隙)に接着樹脂相を形成してもよい。
また、前述した実施形態では、凝集体製造工程と、表面層形成工程(粒状体製造工程)とを、別々の工程として行うものとして説明したが、これらは、一連の工程として、連続的に行ってもよい。例えば、前述したような凝集体製造装置の固化部内で、表面層の形成を行ってもよい。
[1]トナーの製造
以下のようにして、トナーを製造した。
(実施例1)
<結着樹脂懸濁液の調製>
まず、結着樹脂としてポリエステル樹脂(ガラス転移点Tg:62℃、軟化点T1/2:108℃、重量平均分子量Mw:9800):100重量部、着色剤としてフタロシアニン顔料(大日精化社製、フタロシアニンブルー):5重量部、帯電制御剤としてサリチル酸Cr錯体(ボントロンE−81、オリエント化学工業社製):1重量部、ワックスとしてカルナウバワックス:3重量部、溶媒としてテトラヒドロフラン(和光純薬社製):300重量部を用意した。
これらの各成分をボールミルにて10時間混合分散し、結着樹脂溶液を調製した。
一方、分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製、平均重合度n=2700〜7500):10重量部をイオン交換水:590重量部に溶解した水溶液を用意した。
次に、この水溶液:600重量部を3リットルの丸底ステンレス容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて、回転数:4000rpmで攪拌しながら、結着樹脂溶液:400重量部を10分かけて徐々に滴下した。この際、液温を70℃に保持した。結着樹脂溶液の滴下完了からさらに10分間、液温を70℃に保持しつつ攪拌して、乳化液を得た。
次に、温度:45℃、雰囲気圧力:150〜80mmHgの条件下で、乳化液(分散質)中のテトラヒドロフランを除去し、その後、室温まで冷却し、さらに、イオン交換水を加えることにより、固形微粒子が分散した結着樹脂懸濁液を得た。結着樹脂懸濁液中における固形分(分散質)濃度は、30wt%であった。また、結着樹脂懸濁液を構成する分散質の平均粒径dは、0.24μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
<接着樹脂懸濁液の調製>
まず、接着樹脂としてのエポキシ樹脂(ガラス転移点Tg:58℃、軟化点T1/2:92℃、重量平均分子量Mw:8200):100重量部を、テトラヒドロフラン(和光純薬社製):100重量部に溶解し、接着樹脂溶液を得た。
一方、アニオン性乳化分散剤(三洋化成工業社製、イオネットD−2):2重量部をイオン交換水:198重量部に溶解した水溶液を用意した。
次に、この水溶液:200重量部を3リットルの丸底ステンレス容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて、回転数:4000rpmで攪拌しながら、接着樹脂溶液:200重量部を10分かけて徐々に滴下した。この際、液温を85℃に保持した。結着樹脂溶液の滴下完了からさらに10分間、液温を85℃に保持しつつ攪拌して、乳化液を得た。
次に、温度:50℃、雰囲気圧力:150〜80mmHgの条件下で、乳化液(分散質)中のテトラヒドロフランを除去し、その後、室温まで冷却することにより、固形微粒子(エポキシ樹脂)が分散した接着樹脂懸濁液を得た。その後、さらに、固形分(分散質)濃度が40wt%となるように、イオン交換水を加えることにより、最終的な接着樹脂懸濁液を得た。また、接着樹脂懸濁液を構成する分散質の平均粒径は、0.21μmであった。
<凝集体製造用懸濁液の調製>
結着樹脂懸濁液を攪拌しつつ、当該結着樹脂懸濁液中に、接着樹脂懸濁液を加えることにより、主としてポリエステル樹脂で構成された第1の分散質と、主としてエポキシ樹脂で構成された第2の分散質とを含む凝集体製造用懸濁液(懸濁液)を得た。結着樹脂懸濁液と接着樹脂懸濁液との混合は、凝集体製造用懸濁液中におけるポリエステル樹脂(結着樹脂)とエポキシ樹脂(接着樹脂)との比率が、重量比で、5:1となるようにした。また、得られた凝集体製造用懸濁液(懸濁液)の25℃における粘度は、15cpsであった。
<凝集体の製造>
上記のようにして得られた分散液(凝集体製造用懸濁液)を、図6、図7に示す構成の凝集体製造装置の分散液供給部内に投入した。分散液供給部内の分散液を攪拌手段で攪拌しつつ、定量ポンプによりノズルに供給し、該ノズルから固化部に噴射させた。なお、分散液供給部内における分散液の温度は、25℃になるように調節した。
分散液の噴射は、毎分20mLの分散液を圧力0.55MPaの圧縮エアとともに噴射することにより行った。
ノズルから噴射される分散液の初速度は4.2m/秒、ノズルから噴射される分散液の一滴分の平均噴射量は1.5pl(粒径D’:9.2μm)であった。また、分散液の噴射は、複数個のノズルのうち少なくとも隣接しあうノズルで、分散液の噴射タイミングがずれるようにして行った。
また、分散液の噴射時には、各ノズル間に設けられた図示しないガス噴射口から温度:95℃、湿度:30%RH、流量:0.9m/分の空気を鉛直下方に噴射し、また、この際、ハウジング内の圧力が1〜5kPa、ハウジング下部の排風温度が60℃となるように調節した。また、固化部のハウジングには、その内表面側の電位が−200Vとなるように電圧を印加し、内壁に分散液(凝集体)が付着するのを防止するようにした。
固化部内において、噴射した分散液から分散媒が除去され、複数個の樹脂微粒子(第1の分散質由来の樹脂微粒子)が第2の分散質由来の接着樹脂(接着樹脂相)で結合された凝集体が形成された。凝集体を構成する樹脂微粒子の平均粒径は、0.21[μm]であった。
固化部で形成された凝集体は、サイクロンにて回収した。
<表面層の形成(粒状体の製造)>
上記のようにして得られた凝集体に対して、高温気流中瞬間処理装置(サフュージングシステム(日本ニューマチック工業社製、SFS−3型))を用いて、熱風温度:250℃、熱風風量:1m/min、分散風量:0.1m/min、凝集体投入速度:1.5kg/hr、吸引風量:10m/minという条件で熱処理を行うことにより、表面層を有する粒状体を得た。
得られた粒状体は、その中心部付近においては、凝集体の構造(樹脂微粒子と接着樹脂相との相分離構造)が保持されており、実質的に熱処理による影響を受けていないことが確認された。また、粒状体を構成する樹脂微粒子の平均粒径d’は、0.21[μm]であった。
また、得られた粒状体の平均円形度Rは0.978、円形度標準偏差は0.012、体積基準の平均粒径Dは7.6μm、体積基準の粒径標準偏差は1.1μmであった。なお、円形度の測定は、フロー式粒子像解析装置(東亜医用電子社製、FPIA−2000)を用いて、水分散系で行った。ただし、円形度Rは、下記式(I)で表されるものとする。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象の粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象の粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
<外添処理(トナーの製造)>
得られた粒状体100重量部に、外添剤:2.5重量部を添加し、最終的なトナー(トナー粒子)を得た。外添剤の付与は、ヘンシェルミキサーを用いて行った。外添剤としては、負帯電性小粒径シリカ(平均粒径:12nm):1重量部と、負帯電性大粒径シリカ(平均粒径:40nm):0.5重量部と、ルチルアナターゼ型の酸化チタン(略紡錘形状、平均長軸径:30nm):1重量部とを用いた。なお、負帯電性シリカ(負帯電性小粒径シリカ、負帯電性大粒径シリカ)としては、ヘキサメチルジシラザンで表面処理(疎水化処理)を施したものを用いた。また、ルチルアナターゼ型の酸化チタンとしては、結晶構造がルチル型の酸化チタンと、結晶構造がアナターゼ型の酸化チタンとの比率が、90:10で、300〜350nmの波長領域の光を吸収するものを用いた。最終的に得られたトナー(トナー粒子)の平均円形度Rは0.978、円形度標準偏差は0.010、体積基準の平均粒径D’’は7.7μm、体積基準の粒径標準偏差は1.0μmであった。
また、得られたトナー(トナー粒子)における外添剤の被覆率は、150%であった。
(実施例2)
<結着樹脂懸濁液の調製>
まず、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業社製、ノニポール85):15重量部と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC):5重量部と、イオン交換水:600重量部とを混合してなる水溶液を用意した。
次に、フラスコ内で、この水溶液を攪拌しつつ、この水溶液中に、結着樹脂の前駆体としての、スチレン(和光純薬社製):300重量部と、アクリル酸ブチル(和光純薬社製):100重量部と、アクリル酸(和光純薬社製):10重量部との混合物を徐々に加えることにより、エマルションを得た。
次に、このエマルションに、過硫酸アンモニウム(東海電化社製):2重量部とイオン交換水:50重量部とを混合してなる水溶液を加えた。
次に、フラスコ内を窒素置換し、その後、フラスコ内の溶液を攪拌しつつ、70℃×5時間の条件で加熱し、乳化重合反応を行った。
その後、反応液を室温まで冷却し、ついで、80℃のオーブンで加熱することにより水分を除去し、スチレン系樹脂(ガラス転移点Tg:55℃、軟化点T1/2:134℃)で構成された、平均粒径d:0.37μmの分散質が分散した結着樹脂懸濁液を得た。
<着色剤懸濁液の調製>
着色剤としてのフタロシアニン顔料(大日精化社製、フタロシアニンブルー):60重量部と、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製、イオネットD−2):2重量部と、イオン交換水:300重量部とを、ホモジナイザーを用いて混合することにより、着色剤粒子が平均粒径:0.18μmの分散質として分散した着色剤懸濁液を得た。
<ワックス懸濁液の調製>
ワックスとしてのカルナウバワックス:100重量部と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC):5重量部と、イオン交換水:1000重量部とを、ホモジナイザーを用いて、100℃に加熱した状態で混合し、その後、冷却することにより、ワックス粒子が平均粒径:0.45μmの分散質として分散したワックス懸濁液を得た。
<接着樹脂懸濁液の調製>
まず、接着樹脂としてのエポキシ樹脂(ガラス転移点Tg:58℃、軟化点T1/2:92℃、重量平均分子量Mw:8200):100重量部を、テトラヒドロフラン(和光純薬社製):100重量部に溶解し、接着樹脂溶液を得た。
一方、アニオン性乳化分散剤(三洋化成工業社製、イオネットD−2):2重量部をイオン交換水:198重量部に溶解した水溶液を用意した。
次に、この水溶液:200重量部を3リットルの丸底ステンレス容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて、回転数:4000rpmで攪拌しながら、接着樹脂溶液:200重量部を10分かけて徐々に滴下した。この際、液温を25℃に保持した。結着樹脂溶液の滴下完了からさらに10分間、液温を25℃に保持しつつ攪拌して、乳化液を得た。
次に、温度:50℃、雰囲気圧力:150〜80mmHgの条件下で、乳化液(分散質)中のテトラヒドロフランを除去し、その後、室温まで冷却することにより、固形微粒子(エポキシ樹脂)が分散した接着樹脂懸濁液を得た。その後、さらに、固形分(分散質)濃度が30wt%となるように、イオン交換水を加えることにより、最終的な接着樹脂懸濁液を得た。また、接着樹脂懸濁液を構成する分散質の平均粒径は、0.21μmであった。
<凝集体製造用懸濁液の調製>
結着樹脂懸濁液を攪拌しつつ、当該結着樹脂懸濁液中に、着色剤懸濁液、ワックス懸濁液、および、接着樹脂懸濁液を、この順で加えることにより、主としてスチレン系樹脂で構成された第1の分散質と、主としてエポキシ樹脂で構成された第2の分散質と、主としてフタロシアニン顔料で構成された分散質(第3の分散質)と、主としてカルナウバワックスで構成された分散質(第3の分散質)とを含む凝集体製造用懸濁液(懸濁液)を得た。結着樹脂懸濁液と、着色剤懸濁液と、ワックス懸濁液と、接着樹脂懸濁液との混合比率は、重量比で、65:5:5:25となるようにした。また、得られた凝集体製造用懸濁液(懸濁液)の25℃における粘度は、18cpsであった。
<凝集体の製造>
上記のようにして得られた分散液(凝集体製造用懸濁液)を、図6、図8に示す構成の凝集体製造装置の分散液供給部内に投入した。分散液供給部内の分散液を攪拌手段で攪拌しつつ、定量ポンプによりノズルに供給し、該ノズルから固化部に噴射させた。なお、分散液供給部内における分散液の温度は、25℃になるように調節した。また、2つの供給口からは、同一の懸濁液、すなわち、上記のようにして調製した凝集体製造用懸濁液を供給した。
分散液の噴射は、毎分20mLの分散液を圧力0.64MPaの圧縮エアとともに噴射することにより行った。
ノズルから噴射される分散液の初速度は4.2m/秒、ノズルから噴射される分散液の一滴分の平均噴射量は0.68pl(粒径D’:7.0μm)であった。また、分散液の噴射は、複数個のノズルのうち少なくとも隣接しあうノズルで、分散液の噴射タイミングがずれるようにして行った。
また、分散液の噴射時には、各ノズル間に設けられた図示しないガス噴射口から温度:100℃、湿度:30%RH、流量:0.9m/分の空気を鉛直下方に噴射し、また、この際、ハウジング内の圧力が1〜5kPa、ハウジング下部の排風温度が65℃となるように調節した。また、固化部のハウジングには、その内表面側の電位が−200Vとなるように電圧を印加し、内壁に分散液(凝集体)が付着するのを防止するようにした。
固化部内において、噴射した分散液から分散媒が除去され、複数個の樹脂微粒子(第1の分散質由来の樹脂微粒子)が第2の分散質由来の接着樹脂(接着樹脂相)で結合された凝集体が形成された。凝集体を構成する樹脂微粒子の平均粒径は、0.26[μm]であった。
固化部で形成された凝集体は、サイクロンにて回収した。
<表面層の形成(粒状体の製造)>
上記のようにして得られた凝集体に対して、表面改質装置(ハイブリダイゼーションシステム(奈良機会製作所社製、NHS−3型))を用いて、ロータ回転速度:3600min−1、処理時間:5minという条件で処理を行うことにより、表面層を有する粒状体を得た。
得られた粒状体は、その中心部付近においては、凝集体の構造(樹脂微粒子と接着樹脂相との相分離構造)が保持されており、実質的に熱処理による影響を受けていないことが確認された。また、粒状体を構成する樹脂微粒子の平均粒径d’は、0.26[μm]であった。
<外添処理(トナーの製造)>
得られた粒状体に、前記実施例1と同様にして外添剤を付与し、最終的なトナー(トナー粒子)を得た。得られたトナー(トナー粒子)における外添剤の被覆率は、150%であった。
(実施例3)
<混練物の製造>
まず、結着樹脂として線形ポリエステル樹脂(ガラス転移点Tg:59.6℃、軟化点T1/2:108℃、重量平均分子量Mw:8800):65重量部、架橋ポリエステル樹脂(ガラス転移点Tg:65.6℃、軟化点T1/2:142℃、重量平均分子量Mw:14400):35重量部、着色剤としてフタロシアニン顔料(大日精化社製、フタロシアニンブルー):5重量部、帯電制御剤としてサリチル酸Cr錯体(ボントロンE−81、オリエント化学工業社製):1重量部、ワックスとしてカルナウバワックス:3重量部を用意した。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、混練物調製用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を、図3に示すような2軸混練押出機を用いて、混練した。
2軸混練押出機のプロセス部の全長は160cmとした。
また、プロセス部における原料の温度が105〜115℃となるように設定した。
また、スクリューの回転速度は120rpmとし、原料の投入速度は20kg/時間とした。
このような条件から求められる、原料がプロセス部を通過するのに要する時間は約4分間である。
なお、上記のような混練は、脱気口を介してプロセス部に接続された真空ポンプを稼動させることにより、プロセス部内を脱気しつつ行った。
プロセス部で混練された原料(混練物)は、ヘッド部を介して2軸混練押出機の外部に押し出した。ヘッド部内における混練物の温度は、110℃となるように調節した。
このようにして2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、図3中に示すような冷却機を用いて、冷却した。冷却工程直後の混練物の温度は、約46℃であった。
混練物の冷却速度は、−7℃/秒であった。また、混練工程の終了時から冷却工程が終了するのに要した時間は、10秒であった。
<結着樹脂懸濁液の調製>
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.5mmの粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、上記の粗粉砕物:300重量部を、トルエン:1000重量部中に投入し、攪拌しながら80℃に加熱することにより、結着樹脂溶液を得た。
一方、分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製、平均重合度n=2700〜7500):50重量部をイオン交換水:2000重量部に溶解した水溶液を用意した。
次に、この水溶液:2050重量部を3リットルの丸底ステンレス容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて、回転数:4000rpmで攪拌しながら、結着樹脂溶液:1300重量部を徐々に滴下した。この際、液温を70℃に保持した。結着樹脂溶液の滴下完了からさらに10分間、液温を70℃に保持しつつ攪拌して、乳化液を得た。
次に、温度:45℃、雰囲気圧力:150〜80mmHgの条件下で、乳化液(分散質)中のテトラヒドロフランを除去し、その後、室温まで冷却し、さらに、イオン交換水を加えることにより、固形微粒子が分散した結着樹脂懸濁液を得た。結着樹脂懸濁液中における固形分(分散質)濃度は、30wt%であった。また、結着樹脂懸濁液を構成する分散質の平均粒径dは、0.36μmであった。
<接着樹脂懸濁液の調製>
まず、接着樹脂としてのウレタン樹脂(ガラス転移点Tg:56℃、軟化点T1/2:95℃、重量平均分子量Mw:7700):100重量部を、テトラヒドロフラン(和光純薬社製):100重量部に溶解し、接着樹脂溶液を得た。
一方、アニオン性乳化分散剤(三洋化成工業社製、イオネットD−2):2重量部をイオン交換水:198重量部に溶解した水溶液を用意した。
次に、この水溶液:200重量部を3リットルの丸底ステンレス容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて、回転数:4000rpmで攪拌しながら、接着樹脂溶液:200重量部を10分かけて徐々に滴下した。この際、液温を85℃に保持した。結着樹脂溶液の滴下完了からさらに10分間、液温を85℃に保持しつつ攪拌して、乳化液を得た。
次に、温度:50℃、雰囲気圧力:150〜80mmHgの条件下で、乳化液(分散質)中のテトラヒドロフランを除去し、その後、室温まで冷却することにより、固形微粒子(ウレタン樹脂)が分散した接着樹脂懸濁液を得た。接着樹脂懸濁液中における固形分(分散質)濃度は、30wt%であった。また、接着樹脂懸濁液を構成する分散質の平均粒径は、0.21μmであった。
<凝集体製造用懸濁液の調製>
結着樹脂懸濁液を攪拌しつつ、当該結着樹脂懸濁液中に、接着樹脂懸濁液を加えることにより、主としてポリエステル樹脂で構成された第1の分散質と、主としてウレタン樹脂で構成された第2の分散質とを含む凝集体製造用懸濁液(懸濁液)を得た。結着樹脂懸濁液と接着樹脂懸濁液との混合は、凝集体製造用懸濁液中におけるポリエステル樹脂(結着樹脂)とウレタン樹脂(接着樹脂)との比率が、重量比で、5:1となるようにした。また、得られた凝集体製造用懸濁液(懸濁液)の25℃における粘度は、24cpsであった。
<凝集体の製造>
上記のようにして得られた分散液(凝集体製造用懸濁液)を、図6、図9に示す構成の凝集体製造装置の分散液供給部内に投入した。分散液供給部内の分散液を攪拌手段で攪拌しつつ、定量ポンプによりノズルに供給し、該ノズルから固化部に噴射させた。なお、分散液供給部内における分散液の温度は、25℃になるように調節した。また、4つの供給口からは、同一の懸濁液、すなわち、上記のようにして調製した凝集体製造用懸濁液を供給した。
分散液の噴射は、毎分20mLの分散液を圧力0.64MPaの圧縮エアとともに噴射することにより行った。
ノズルから噴射される分散液の初速度は4.2m/秒、ノズルから噴射される分散液の一滴分の平均噴射量は1.1pl(粒径D’:8.1μm)であった。また、分散液の噴射は、複数個のノズルのうち少なくとも隣接しあうノズルで、分散液の噴射タイミングがずれるようにして行った。
また、分散液の噴射時には、各ノズル間に設けられた図示しないガス噴射口から温度:100℃、湿度:30%RH、流量:0.9m/分の空気を鉛直下方に噴射し、また、この際、ハウジング内の圧力が1〜5kPa、ハウジング下部の排風温度が60℃となるように調節した。また、固化部のハウジングには、その内表面側の電位が−200Vとなるように電圧を印加し、内壁に分散液(凝集体)が付着するのを防止するようにした。
固化部内において、噴射した分散液から分散媒が除去され、複数個の樹脂微粒子(第1の分散質由来の樹脂微粒子)が第2の分散質由来の接着樹脂(接着樹脂相)で結合された凝集体が形成された。凝集体を構成する樹脂微粒子の平均粒径は、0.34[μm]であった。
固化部で形成された凝集体は、サイクロンにて回収した。
<表面層の形成(粒状体の製造)>
上記のようにして得られた凝集体に対して、高温気流中瞬間処理装置(サフュージングシステム(日本ニューマチック工業社製、SFS−3型))を用いて、熱風温度:250℃、熱風風量:1m/min、分散風量:0.1m/min、凝集体投入速度:1.5kg/hr、吸引風量:10m/minという条件で熱処理を行うことにより、表面層を有する粒状体を得た。
得られた粒状体は、その中心部付近においては、凝集体の構造(樹脂微粒子と接着樹脂相との相分離構造)が保持されており、実質的に熱処理による影響を受けていないことが確認された。また、粒状体を構成する樹脂微粒子の平均粒径d’は、0.34[μm]であった。
<外添処理(トナーの製造)>
得られた粒状体に、前記実施例1と同様にして外添剤を付与し、最終的なトナー(トナー粒子)を得た。得られたトナー(トナー粒子)における外添剤の被覆率は、150%であった。
(実施例4)
<混練物の製造>
まず、前記実施例3と同様にして混練物を製造した。
<分散液調製用液体(結着樹脂懸濁液調製用液体)の調製>
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.5mmの粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
一方、分散剤としてのポリエチレングリコール(和光純薬社製、#5000):60gを、12リットルの水に溶解し、水性液を調製した。
次に、この水性液を攪拌しつつ、上記の粗粉砕物:3kgを水性液中に加えていき、分散液調製用液体(結着樹脂懸濁液調製用液体)を得た。
<結着樹脂懸濁液の調製>
次に、図4、図5に示すような微粒化装置を用いて、分散液調製用液体(結着樹脂懸濁液調製用液体)に以下のような処理を施すことにより、微粒化された混練物を分散質として含む分散液(結着樹脂懸濁液)を得た。
まず、分散液調製用液体(結着樹脂懸濁液調製用液体)を微粒化装置の分散液調製用液体供給部内に投入した。分散液調製用液体供給部内の分散液調製用液体を攪拌手段で攪拌しつつ、超高圧発生ポンプにより、2つのノズルに供給し、各ノズルから分散液調製用液体を噴射させ、衝突させた。なお、各ノズルから噴射される分散液調製用液体の衝突角θは、約165℃に調整した。また、各ノズルから噴射する際の分散液調製用液体の温度(噴射温度)が約80℃となるように、分散液調製用液体を加温しつつ衝突させた。また、各ノズルから噴射、衝突された分散液調製用液体(分散液)は、回収部から分散液調製用液体供給部へ搬送され、繰り返し、ノズルからの噴射、衝突(微粒化処理)に供された。
分散液調製用液体の各ノズルからの噴射は、噴射速度:毎分500mL、噴射圧:245MPaで10分間行った。得られた分散液の25℃における粘度は140cps、固形分(分散質)濃度は29.8wt%であった。また、分散液中に分散している分散質(固形微粒子)の平均粒径dは0.75μmであった。
<分散液調製用液体(接着樹脂懸濁液調製用液体)の調製>
まず、平均粒径:1.0mmのエポキシ樹脂(ガラス転移点Tg:58℃、軟化点T1/2:92℃、重量平均分子量Mw:8200)の粉末を接着樹脂として用意した。
一方、分散剤としてのポリエチレングリコール(和光純薬社製、#5000):60gを、12リットルの水に溶解し、水性液を調製した。
次に、この水性液を攪拌しつつ、上記のエポキシ樹脂(接着樹脂):3kgを水性液中に加えていき、分散液調製用液体(接着樹脂懸濁液調製用液体)を得た。
<接着樹脂懸濁液の調製>
次に、図4、図5に示すような微粒化装置を用いて、分散液調製用液体(接着樹脂懸濁液調製用液体)に以下のような処理を施すことにより、微粒化されたエポキシ樹脂を分散質として含む分散液(接着樹脂懸濁液)を得た。
まず、分散液調製用液体(接着樹脂懸濁液調製用液体)を微粒化装置の分散液調製用液体供給部内に投入した。分散液調製用液体供給部内の分散液調製用液体を攪拌手段で攪拌しつつ、超高圧発生ポンプにより、2つのノズルに供給し、各ノズルから分散液調製用液体を噴射させ、衝突させた。なお、各ノズルから噴射される分散液調製用液体の衝突角θは、約165℃に調整した。また、各ノズルから噴射する際の分散液調製用液体の温度(噴射温度)が約100℃となるように、分散液調製用液体を加温しつつ衝突させた。また、各ノズルから噴射、衝突された分散液調製用液体(分散液)は、回収部から分散液調製用液体供給部へ搬送され、繰り返し、ノズルからの噴射、衝突(微粒化処理)に供された。
分散液調製用液体の各ノズルからの噴射は、噴射速度:毎分500mL、噴射圧:245MPaで10分間行った。得られた分散液の25℃における粘度は122cps、固形分(分散質)濃度は30wt%であった。また、分散液中に分散している分散質(固形微粒子)の平均粒径は0.64μmであった。
<凝集体製造用懸濁液の調製>
結着樹脂懸濁液を攪拌しつつ、当該結着樹脂懸濁液中に、接着樹脂懸濁液を加えることにより、主としてポリエステル樹脂で構成された第1の分散質と、主としてエポキシ樹脂で構成された第2の分散質とを含む凝集体製造用懸濁液を得た。結着樹脂懸濁液と接着樹脂懸濁液との混合は、凝集体製造用懸濁液中におけるポリエステル樹脂(結着樹脂)とエポキシ樹脂(接着樹脂)との比率が、重量比で、5:1となるようにした。また、得られた凝集体製造用懸濁液(懸濁液)の25℃における粘度は、18cpsであった。
<凝集体の製造>
上記のようにして得られた分散液(凝集体製造用懸濁液)を、図6、図10〜図12に示す構成の凝集体製造装置の分散液供給部内に投入した。分散液供給部内の分散液を攪拌手段で攪拌しつつ、定量ポンプによりノズルに供給し、該ノズルから固化部に噴射させた。なお、分散液供給部内における分散液の温度は、25℃になるように調節した。また、2つの供給口からは、同一の懸濁液、すなわち、上記のようにして調製した粒状体製造用懸濁液を供給した。
分散液の噴射は、毎分20mLの分散液を圧力0.64MPaの圧縮エアとともに噴射することにより行った。
ノズルから噴射される分散液の初速度は4.2m/秒、ノズルから噴射される分散液の一滴分の平均噴射量は0.43pl(粒径D’:6.1μm)であった。また、分散液の噴射は、複数個のノズルのうち少なくとも隣接しあうノズルで、分散液の噴射タイミングがずれるようにして行った。
また、分散液の噴射時には、各ノズル間に設けられた図示しないガス噴射口から温度:100℃、湿度:30%RH、流量:0.9m/分の空気を鉛直下方に噴射し、また、この際、ハウジング内の圧力が1〜5kPa、ハウジング下部の排風温度が60℃となるように調節した。また、固化部のハウジングには、その内表面側の電位が−200Vとなるように電圧を印加し、内壁に分散液(凝集体)が付着するのを防止するようにした。
固化部内において、噴射した分散液から分散媒が除去され、複数個の樹脂微粒子(第1の分散質由来の樹脂微粒子)が第2の分散質由来の接着樹脂(接着樹脂相)で結合された凝集体が形成された。凝集体を構成する樹脂微粒子の平均粒径d’は、0.70[μm]であった。
固化部で形成された凝集体は、サイクロンにて回収した。
<表面層の形成(粒状体の製造)>
得られた凝集体に対し、前記実施例3と同様にして熱処理を施すことにより、表面層を有する粒状体を得た。
得られた粒状体は、その中心部付近においては、凝集体の構造(樹脂微粒子と接着樹脂相との相分離構造)が保持されており、実質的に熱処理による影響を受けていないことが確認された。また、粒状体を構成する樹脂微粒子の平均粒径d’は、0.70[μm]であった。
<外添処理(トナーの製造)>
得られた粒状体に、前記実施例1と同様にして外添剤を付与し、最終的なトナー(トナー粒子)を得た。得られたトナー(トナー粒子)における外添剤の被覆率は、150%であった。
(実施例5)
接着樹脂懸濁液の代わりに、接着樹脂が溶解した接着樹脂溶液を用い、外添処理時に、外添剤としてさらに正帯電性シリカ(平均粒径:40nm):1重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、凝集体、粒状体、トナー(トナー粒子)を製造した。なお、接着樹脂溶液としては、水溶性エポキシ樹脂の濃度が30wt%となるようにイオン交換水に溶解させたものを用いた。また、本実施例で用いた凝集体製造用懸濁液(懸濁液)の25℃における粘度は、120cpsであった。
(比較例1)
まず、前記実施例3と同様にして粗粉砕された混練物を得た。
次に、この粗粉砕された混練物を微粉砕した。混練物の微粉砕にはジェットミル(ホソカワミクロン社製、200AFG)を用いた。なお、微粉砕は、粉砕エア圧:500[kPa]、ロータ回転数:7000[rpm]で行った。
このようにして得られた粉砕物を気流分流機(ホソカワミクロン社製、100ATP)で分級した。
その後、分級した粉砕物(トナー製造用粉末)に、熱球形化処理を施した。熱球形化処理は、熱球形化装置(日本ニューマチック社製、SFS3型)を用いて行った。熱球形化処理時における雰囲気の温度は、270℃とした。
その後、熱球形化処理を施した粉末に対し、前記実施例3と同様の条件で外添剤を付与することによりトナーを得た。
(比較例2)
まず、前記比較例1と同様にして混練物の粗粉砕物を得た。
次に、この粗粉砕された混練物を微粉砕し、微粉砕物とした。混練物の微粉砕にはジェットミル(ホソカワミクロン社製、200AFG)を用いた。なお、微粉砕は、粉砕エア圧:500[kPa]、ロータ回転数:7000[rpm]で行った。
上記の微粉砕物:100重量部を、ステアリン酸亜鉛(分散剤):5重量部、負帯電性小粒径シリカ(平均粒径:12nm):10重量部とともに、1000重量部の水に加え、ミキサーにて十分に攪拌することにより分散液(沈殿物を含む)を得た。なお、負帯電性小粒径シリカとしては、ヘキサメチルジシラザンで表面処理(疎水化処理)を施したものを用いた。
この分散液を、アトマイザー利用遠心式スプレードライヤーを用いて、熱風温度:280℃、回転数:10000rpmの条件で噴霧乾燥することにより、トナーを得た。このような条件で分散液を噴霧することにより、分散液中に含まれていた微粉砕物は熱球形化された。また、得られたトナー粒子は、分散液中に含まれていた個々の微粉砕物の表面に、負帯電性小粒径シリカが付着したものであり、複数個の微粉砕物(分散質)が凝集したものの存在は確認されなかった。
(比較例3)
凝集体製造装置を用いて製造された凝集体に対して、表面層の形成を行うことなく(熱処理を施すことなく)、外添処理を施した以外は、前記実施例3と同様にしてトナーを製造した。
(比較例4)
結着樹脂懸濁液を、接着樹脂懸濁液と混合することなく、そのまま、凝集体製造用懸濁液として用いた以外は、前記実施例3と同様にして、凝集体、粒状体、トナー(トナー粒子)を製造した。また、比較例4で用いた凝集体製造用懸濁液(懸濁液)の25℃における粘度は、15cpsであった。
(比較例5)
凝集体の製造時において、ガス噴射口から噴射する空気の温度を170℃、ハウジング内の温度を170℃とし、凝集体に対して、表面層の形成を行うことなく(熱処理を施すことなく)、外添処理を施した以外は、前記比較例4と同様にして、凝集体、粒状体、トナー(トナー粒子)を製造した。
前記実施例1〜5で得られた粒状体、トナー粒子について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察を行ったところ、複数個の結着樹脂微粒子が溶融接合されており、隣接する前記樹脂微粒子間の未接合部分に接着樹脂相が存在し、樹脂微粒子を接着している様子が確認された。また、実施例1〜5で得られた粒状体、トナー粒子は、表面付近に主として結着樹脂で構成された表面層を有していた。一方、比較例の粒状体、トナー粒子は、このような構成を有していなかった。
前記各実施例および各比較例について、粒状体(トナー母粒子)についての平均円形度R、円形度標準偏差、体積基準の平均粒径D、粒径標準偏差、トナー粒子についての平均円形度R、円形度標準偏差、体積基準の平均粒径D’’、粒径標準偏差、トナー粒子を構成する樹脂微粒子の平均粒径d’を、トナーの製造に用いた分散液の条件(液滴の平均粒径D’、第1の分散質の平均粒径d)等とともに表1にまとめて示した。
Figure 2005165068
表1から明らかなように、本発明のトナーでは、粒状体(トナー母粒子)、トナー粒子の円形度が比較的大きく、かつ、円形度の標準偏差および粒径の標準偏差が小さく、形状、大きさのばらつきが小さいものであった。これに対し、比較例(特に、比較例1、2)では、円形度が小さく、形状、大きさのばらつきが大きいものであった。
[2]評価
以上のようにして得られた各トナーについて、耐久性、転写効率、クリーニング性、画像濃度、定着良好域の評価を行った。
[2.1]耐久性
前記各実施例および各比較例で得られたトナーをレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)のカートリッジに詰め、当該プリンタにセットし、印字させずに、現像器を連続駆動させた。12時間後、現像器を当該プリンタから取り出して、現像ローラ上のトナー薄層の形成状態を目視観察し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:薄層に乱れが全く認められない。
○:薄層に乱れがほとんど認められない。
△:薄層に乱れが若干認められる。
×:薄層に多数の筋状の乱れがはっきりと認められる。
[2.2]転写効率
レーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)を用いて以下のように評価した。
感光体(像担持体)への現像工程直後(転写前)の感光体上のトナーと、転写後(印刷後)の感光体上のトナーとを、別々のテープを用いて採取し、それぞれの重量を測定した。転写前の感光体上のトナー重量をW[g]、転写後の感光体上のトナー重量をW[g]としたとき、(W−W)×100/Wとして求められる値を、転写効率として求めた。数値が大きいほど、転写効率が良いと言える。
[2.3]クリーニング性
前記各実施例および各比較例で得られたトナーをレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)のカートリッジに詰め、当該プリンタにセットし、連続6000枚印字を行い、クリーニング性を以下の3段階の基準に従い評価した。
○:感光体表面の拭き残しが全く認められない。
△:印字の初期の段階では、感光体表面の拭き残しがほとんど認められないが、徐々
にクリーニング不良が増大し、5000枚印字終了時には、明らかなクリーニン
グ不良が認められる。
×:印字の初期の段階から、明らかなクリーニング不良が認められる。
[2.4]画像濃度
前記各実施例および各比較例で得られたトナーを使用して、レーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)を用いて得られた印字サンプルのベタ画像部の印字濃度および均一性を目視観察し、以下の2段階の基準に従い評価した。
○:画像濃度が十分であり、かつ均一である。
×:画像濃度が不十分、または、筋状のムラがある。
[2.5]定着良好域
まず、定着装置を備えたレーザープリンタ(セイコーエプソン社製、LP−3000C)を用意した。なお、この定着装置では、トナーがニップ部を通過するのに要する時間Δtを0.05秒に設定した。
次に、上記のレーザープリンタを用いて、未定着の画像サンプルを採取し、当該レーザープリンタの定着装置で、以下のような試験を実施した。なお、採取するサンプルのベタは付着量を0.40〜0.50mg/cmに調整した。
レーザープリンタを構成する定着装置の定着ローラの表面温度を所定温度に設定した状態で、未定着のトナー像が転写された用紙(セイコーエプソン社製、上質普通紙)を、定着装置の内部に導入することにより、トナー像を用紙に定着させ、定着後におけるオフセットの発生の有無を目視で確認した。
同様に、定着ローラの表面の設定温度を100〜250℃の範囲で順次変更していき、各温度でのオフセットの発生の有無を確認し、オフセットが発生しなかった温度範囲を、「定着良好域」として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:定着良好域の幅が60℃以上である。
○:定着良好域の幅が45℃以上60℃未満である。
△:定着良好域の幅が30℃以上45℃未満である。
×:定着良好域の幅が30℃未満である。
これらの結果を表2にまとめて示した。
Figure 2005165068
表2から明らかなように、本発明のトナーは、耐久性、転写効率、クリーニング性、画像濃度、定着良好域のいずれについても、優れた結果が得られた。
これに対して、比較例のトナーでは、十分な特性が得られなかった。
特に、トナー粒子が、複数個の微粒子(樹脂微粒子)で構成され、かつ、接着樹脂相を有していないトナー(比較例4、5のトナー)や、表面層を有していないトナー(比較例3、5のトナー)は、耐久性が特に低かった。また、比較例2、5のトナーでは、定着良好域等の特性が著しく低かった。これは、トナー製造用の液体の噴射条件が過酷であったため、トナーの構成材料が劣化したためであると考えられる。また、比較例2のトナーでは、噴霧乾燥時に、分散液中に添加されていた外添剤がトナー母粒子内に埋没してしまっており、外添剤としての機能が十分に発揮されていなかった。
また、着色剤として、フタロシアニン顔料に代わり、C.I.ピグメントブルー、カーボンブラック、キナクリドン(P.R.122)、ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントイエロー93を用いた以外は、前記各実施例および前記各比較例と同様にして、トナーを作製し、これらの各トナーについても前記と同様の評価を行った。その結果、前記各実施例および前記各比較例と同様の結果が得られた。
本発明のトナー(トナー粒子)の好適な実施形態を模式的に示す断面図である。 軟化点解析用フローチャートである。 分散液の調製に用いる混練物を製造するための混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図である。 分散液を調製するための装置の好適な実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図4に示す装置のチャンバ付近の拡大断面図である。 本発明のトナーの製造に用いられる凝集体製造装置の好適な実施形態を模式的に示す縦断面図である。 分散液を微粒子として噴射するノズルの好適な実施形態を示す断面図である。 分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図である。 分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図である。 分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図である。 図10に示すノズルの要部拡大断面図である。 図11に示すノズルの内側中間リング先端部分を示す拡大断面図である。 分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図である。 図13に示すノズルの要部拡大断面図である。 図13に示すノズルの内側中間リング先端部分を示す拡大断面図である。 分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図である。 図16に示すガス剥離凹部の平面図である。 分散液を微粒子として噴射するノズルの他の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
K1……混練機 K2……プロセス部 K21……バレル K22、K23……スクリュー K24……固定部材 K25……脱気口 K3……ヘッド部 K31……内部空間 K32……押出口 K33……横断面積漸減部 K4……フィーダー K5……原料 K6……冷却機 K61、K62、K63、K64……ロール K611、K621、K631、K641……回転軸 K65、K66……ベルト K67……排出部 K7……混練物 B1……微粒化装置 B21、B22……ノズル B3……分散液調製用液体供給部(分散液供給部) B31……攪拌手段 B4……チャンバ B5……ハウジング部 B6……回収部 B7……超高圧発生ポンプ B8……分岐部 B9……搬送ポンプ B10……搬送パイプ M1……凝集体製造装置 M2……ノズル M3……固化部 M31……ハウジング M311……縮径部 M4……分散液供給部 M41……攪拌手段 M5……回収部 M8……電圧印加手段 M10……ガス流供給手段 M101……ダクト M11……バルブ M12……圧力調整手段 M121……接続管 M122……拡径部 M123……フィルター 1……流路 2……分散液調製用液体(粉砕物含有液) 3……分散液 31……分散質 311……第1の分散質 312……第2の分散質 32……分散媒 4……粒状体(トナー母粒子) 41……樹脂微粒子(結着樹脂微粒子) 42……接着樹脂相(補填相) 43……表面層 5……供給口 6……外添剤 7……傾斜面 7A……エッジ 8……薄層流 9……液滴 10……ガス口 11……内側リング 12……中間リング 12A……内側中間リング 12B……外側中間リング 13……外側リング 14……アトマイズガスの流路 15……スプレッディングガスの供給路 16……中心リング 17……スプレッディングガス噴射口 18……通気性部材 19……ガス剥離凹部 20……貫通孔 21……液体流路 22……ヘリカルリブ F……加圧ガス源 P……ポンプ 40……凝集体 100……トナー粒子

Claims (12)

  1. 主として結着樹脂で構成された複数個の樹脂微粒子を接合してなるトナー粒子の集合体であるトナーであって、
    前記トナー粒子は、隣接する前記樹脂微粒子間の未接合部分に、主として接着樹脂で構成された接着樹脂相を有し、かつ、
    その表面付近に、少なくとも複数個の前記樹脂微粒子が溶融一体化してなる表面層を有することを特徴とするトナー。
  2. 前記接着樹脂は、主として熱硬化性樹脂で構成されたものである請求項1に記載のトナー。
  3. 前記接着樹脂は、主としてエポキシ樹脂で構成されたものである請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記樹脂微粒子は、着色剤を含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記樹脂微粒子は、ワックスを含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記樹脂微粒子の平均粒径が0.04〜1.2μmである請求項1ないし5のいずれかに記載のトナー。
  7. 前記トナー粒子の平均粒径が2〜20μmである請求項1ないし6のいずれかに記載のトナー。
  8. 前記樹脂微粒子の平均粒径をd[μm]、前記トナー粒子の平均粒径をD[μm]としたとき、2≦D’/d’≦100の関係を満足する請求項1ないし7のいずれかに記載のトナー。
  9. 外添剤が付与されてなる請求項1ないし8のいずれかに記載のトナー。
  10. 各トナー粒子間での粒径の標準偏差が1.6μm以下である請求項1ないし9のいずれかに記載のトナー。
  11. 下記式(I)で表される前記トナー粒子の平均円形度Rが0.91〜0.99である請求項1ないし10のいずれかに記載のトナー。
    R=L/L・・・(I)
    (ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
  12. 各トナー粒子間での円形度の標準偏差が0.05以下である請求項1ないし11のいずれかに記載のトナー。
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