以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の第1実施例を示すものであり、図1はエンジンの正面図、図2は図1の2矢視方向から見た一部切欠き側面図、図3は燃料タンクの縦断面図、図4は図3の上部拡大図、図5は図1の5−5線拡大断面図である。
先ず図1および図2において、この汎用エンジンは、たとえば作業機等に用いられる空冷の単気筒エンジンであり、エンジン本体11は、クランクケース12と、上向きに傾斜したシリンダ軸線Cを有してクランクケース12の一側面に結合されるシリンダブロック13と、該シリンダブロック13の頭部に接合されるシリンダヘッド14とで構成され、シリンダブロック13およびシリンダヘッド14の外側面には多数の空冷用フィン13a…,14a…が設けられている。またクランクケース12は、該クランクケース12の下面の据え付け面12aで各種作業機のエンジンベッドに据え付けられ、シリンダヘッド14には、図示しない動弁装置を覆うヘッドカバー15が結合される。
クランクケース12は、シリンダブロック13と一体に鋳造成形されるケース本体16と、そのケース本体16の開放端に結合されるサイドカバー17とから成るものであり、水平な軸線を有してクランクケース12に回転自在に支承されるクランクシャフト18の一端部18aはサイドカバー17から突出される。またサイドカバー17とは反対側で前記ケース本体16には、前記クランクシャフト18の他端側に連結可能なリコイルスタータ19のケース20が取付けられる。
エンジンの吸気系21は、前記リコイルスタータ19の側方に配置されてエンジン本体11のシリンダヘッド14に接続される気化器22と、該気化器22に下流端が接続される吸気管23と、吸気管23の上流端に接続されるエアクリーナ24とを備える。
エアクリーナ24のクリーナケース25は、下方に開いた椀状に形成されるクリーナケース主体26と、該クリーナケース主体26の下部開放端を塞ぐ蓋板27とで構成されるものであり、このクリーナケース25内には、円筒状の第1クリーナエレメント28と、第1クリーナエレメント28を同心に囲繞する円筒状の第2クリーナエレメント29とが収容される。而して第1および第2クリーナエレメント28,29の軸方向両端は、円盤状である一対の保持板30,31で支持されるものであり、一方の保持板31を蓋板27に当接させるようにして前記両クリーナエレメント28,29がクリーナケース25内に収納される。
クリーナケース25内は、前記両クリーナエレメント28,29により、外方側の未浄化室32および内方側の浄化室33に区画されており、クリーナケース25のケース主体26には未浄化室32に通じる吸入管部26aが一体に設けられ、該吸入管部26aには、外気を未浄化室32に導入するための吸入管34が接続される。
吸入管34および吸入管部26aを経て未浄化室32に導入された外気は第2クリーナエレメント29および第1クリーナエレメント28を通過することで浄化されて浄化室33に導かれ、浄化室33内の浄化空気は吸気管23を介して気化器22に導かれる。
吸気管23は、エアクリーナ24から下方に延びるものであり、上端を開放して上下に延びるとともに気化器22に接続される接続管部35aを下部に一体に有する管体35と、該管体35の上端開口部を塞いでクリーナケース25の蓋板27に下方から当接する蓋部材36とから成る。蓋部材36には、前記蓋板27および保持板31の中央部を貫通して浄化室33内に下方から突入する導入管部36aが一体に設けられる。
ところで管体35には、該管体35、蓋部材36の導入管部36a、保持板30およびクリーナケース主体26の上部閉塞端を貫通するボルト37の拡径頭部37aが下方から係合されており、保持板30に上方から係合する蝶ナット38がボルト37に螺合される。したがって蝶ナット38を締めつけることにより、両保持板30,31間に挟まれる第1および第2クリーナエレメント28,29、クリーナケース25の蓋板27および吸気管23がユニット化されることになる。またクリーナケース25におけるクリーナケース主体26の上部閉塞端には保持板30に上方から当接する複数のリブ26b…が設けられており、クリーナケース主体26の上部閉塞端から上方に突出した部分で前記ボルト37に蝶ナット39を螺合して締めつけることにより、エアクリーナ24の組付けが完了するとともにエアクリーナ24および吸気管23が接続されることになる。
エンジンの排気系41は、前記気化器22とは反対側でエンジン本体11のシリンダヘッド14に接続される排気管42と、エンジン本体11のシリンダヘッド14に取付けられるブラケット44で支持されるようにして排気管42に接続される排気マフラー43とを含み、排気マフラー43はカバー45で覆われる。
すなわち吸気系21および排気系41は、エンジン本体11が備えるシリンダヘッド14の相互に反対側の側面に接続される。
エンジン本体11におけるクランクケース12の上方には燃料タンク48が配置されており、該燃料タンク48は、クランクケース12のケース本体16に一体に設けられた支持腕49と、シリンダブロック13に一体に設けられた支持腕50とで支持される。
図3において、燃料タンク48は、下方に開いた椀状に形成される上部タンク半体51の周縁部と、上方に開いた椀状に形成される下部タンク半体52の周縁部とが相互に結合されて成り、下部タンク半体52を下方から覆うようにして上方に開いた椀状に形成される支持カバー53の周縁部が、前記上部および下部タンク半体51,52の周縁部に結合される。
前記支持カバー53の内面には、該支持カバー53および支持腕49に挿通されるボルト54の頭部54aが固着されるとともに、ウエルドナット56が固着されており、支持腕49からのボルト54の突出部にナット55が螺合され、支持腕50および支持カバー53に挿通されるボルト57がウエルドナット56に螺合され、ナット55およびボルト57を締めつけることにより、支持カバー53すなわち燃料タンク48がエンジン本体11に支持される。
図4を併せて参照して、燃料タンク48における上部タンク半体51の中央部内面には、シール装着孔58を中央部に有するシール支持部材59が溶接されており、シール装着孔58には、内周で給油孔60を形成する環状のシール部材61が装着される。またシール支持部材59に対応する位置で前記上部タンク半体51の中央部には、上方に隆起して環状に連なるシール部62と、該シール部62の内周に連なって下方に延びる筒状の係止部63とが一体に形成される。
前記給油孔60は、タンクキャップ64で開閉可能に閉じられるものであり、このタンクキャップ64は、給油孔60内に挿脱可能に挿入される挿入筒65と、該挿入筒65の上端に結合される皿状の操作部材66と、挿入筒65および操作部材66間に挟持される支持筒67とを備える。
挿入筒65は、下端が端壁65aで閉じられる有底の小径円筒部65bと、小径円筒部65bの他端に小径端を同軸に連ならせたテーパ部65cと、該テーパ部65cの大径端に同軸に連なる大径円筒部65dと、大径円筒部65dの他端から半径方向外方に張り出すフランジ部65eと、該フランジ部65eの外周から前記大径円筒部65dを同軸に囲繞する側に延びる嵌合筒部65fとを一体に備え、小径円筒部65bが、前記シール部材61に弾発的に摺接しつつ給油孔60に挿入される。
挿入筒65の前記嵌合筒部65fは、皿状である操作部材66に嵌合されるものであり、操作部材66の開口端縁を前記嵌合筒部65fの先端に係合するようにかしめることで、挿入筒65の上端に操作部材66が結合される。
支持筒67は、前記挿入筒65の小径円筒部65b内に同軸に配置される第1円筒部67aと、第1円筒部67aの上端寄り中間部から半径方向外方に張り出す第1連結鍔部67bと、前記挿入筒65の大径円筒部65dに嵌合されるようにして第1円筒部67aを同軸に囲繞するとともに第1連結鍔部67bの外周に連結される第2円筒部67cと、第2円筒部67cの上端寄り中間部から半径方向外方に張り出す第2連結鍔部67dと、第2円筒部67cを同軸に囲繞するようにして第2連結鍔部67dの外周に連結される第3円筒部67eとを一体に有し、第1〜第3円筒部67a,67c,67eの上端は操作部材66の閉塞端に当接される。
而して、支持筒67の第2連結鍔部67dおよび挿入筒65のフランジ部65e間には、弾性材から成る環状のスペーサ68が挟まれており、操作部材66の開口端縁を挿入筒65の前記嵌合筒部65fに係合するようにかしめて、挿入筒65の上端に操作部材66を結合することで、前記支持筒67が挿入筒65および操作部材66間に挟持されることになる。
前記支持筒67において第1連結鍔部67bよりも下方の第1円筒部67aには係合部材69がスライド可能に支持される。この係合部材69は、第1円筒部67aに嵌装される円筒状のボス部69aと、第1円筒部67aの一直径線上で前記ボス部69aから両側に延びる一対の係合腕部69b,69bとを一体に備えるものであり、挿入筒66の大径円筒部65dには、前記両係合腕部69b,69bを貫通せしめる一対のスリット70,70が軸方向に延びるようにして設けられる。すなわち係合部材69は、その軸線まわりの回動を前記両スリット70,70で阻止されるとともに軸方向のスライド範囲を前記両スリット70,70の長手方向両端で規制されるようにして、タンクキャップ64に装着されるものであり、挿入筒65の端壁65aおよび係合部材69間には、係合部材69を支持筒67の第1連結鍔部67b側に付勢するばね力を発揮するようにしてばね71が縮設される。
前記係合部材69における両係合腕部69b,69bの先端部は、挿入筒65の大径円筒部65dから突出しており、前記両係合腕部69b,69bの先端部を挿脱可能に挿入せしめる一対の切欠き72,72が燃料タンク48の係止部63に形成される。而して係止部63は、前記両切欠き72,72に係合腕部69b,69bの先端部を挿入せしめた状態で、タンクキャップ64を一方向に所定角度だけ回動操作する過程で前記ばね71を収縮せしめるようにして係合部材69を押し込み、前記所定角度だけタンクキャップ64を回動したときにはばね71で弾発付勢された係合部材69の両係合腕部69b,69bを弾発的に係合させることで、タンクキャップ64の燃料タンク48への装着状態を維持するように形成される。
またタンクキャップ64の挿入筒65における大径円筒部65dの外周にはリング状のガスケット73が装着されており、このガスケット73は、タンクキャップ64を燃料タンク48に装着した状態では、燃料タンク48のシール部62と、タンクキャップ64における挿入筒65のフランジ部65eとの間に挟まれる。
タンクキャップ64における挿入筒65の端壁65aには、ストラップ74の上端部が保持されており、このストラップ74の下端には、給油口60を容易には通過しないようにした外れ止め75が一体に形成される。したがってタンクキャップ64を燃料タンク48から外しても、外れ止め75が給油口60の周縁でシール支持部材59に引っ掛かり、タンクキャップ64が脱落してしまうことを防止することができる。
タンクキャップ64を燃料タンク48に装着した状態で、燃料タンク48のシール部62およびシール支持部材59と、タンクキャップ64との間には、タンクキャップ64を囲む環状の蒸発燃料通路78が形成される。また前記シール支持部材59には、燃料タンク48における上部タンク半体51の内面との間に、前記蒸発燃料通路78を燃料タンク48内に通じさせる通路を形成するための溝部79が設けられる。すなわち蒸発燃料通路78は燃料タンク48内に通じている。
またタンクキャップ64の操作部材66および支持筒67間には、外部に通じる外部連通路80が形成される。この外部連通路80は、支持筒67の第3円筒部67eの外方で挿入筒65のフランジ部65eおよび操作部材66間に形成される第1環状通路部80aと、支持筒67の第2および第3円筒部67c,67e間に形成される第2環状通路部80bと、支持筒67の第2および第1円筒部67c,67a間に形成される第3環状通路部80cと、支持筒67の第1円筒部67a内に形成される中央通路部80dとを備える。
前記挿入筒65のフランジ部65eには第1環状通路部80aを外部に通じさせる外部連通孔81が設けられ、支持筒67における第3円筒部67eの上端には第1および第2環状通路部80bを相互に連通させる連通溝82が設けられ、支持筒67における第2円筒部67cの上端には第2および第3環状通路部80b,80cを相互に連通させる連通溝83が設けられ、支持筒67における第1円筒部67aの上端には第3環状通路部80cを中央通路部80dに通じさせる連通溝84が設けられる。
支持筒67の第1円筒部67aにおける下端寄りの部分の内周には、外部連通路80における中央通路部80dの下端を規定する隔壁85が、第1円筒部67a内を上下に区画するようにして一体に設けられる。
またタンクキャップ64内には、燃料タンク48内の圧力が外部圧力よりも低いときに開いて外部連通路80を燃料タンク48内に通じせしめる一方向弁86が設けられるものであり、この一方向弁86は、前記外部連通路80における中央通路部80dの下端に同軸に連なるようにして前記隔壁85の中央部に設けられる弁孔87と、前記中央通路部80dとは反対側から前記隔壁85の中央部に着座して前記弁孔87を閉じ得るリーフ状の弁部材88とを備える。
前記第1円筒部67aの下端部には閉塞部材89が嵌合されており、この閉塞部材89の第1円筒部67aへの嵌合状態は、挿入筒65における端壁65aの一部を切り起こすことによって形成される支持片90を閉塞部材89に当接することにより保持される。
前記閉塞部材89の中央部には燃料タンク48内に通じる通路91が、燃料タンク48内の圧力を前記弁部材88に隔壁85とは反対側から作用せしめるようにして設けられており、閉塞部材89および隔壁85間の間隔は、閉塞部材89および隔壁85間に収容されている弁部材88の開閉作動を許容するように設定される。
ところで燃料タンク48内で蒸発して蒸発燃料通路78に導かれた蒸発燃料は、チャージ用管路95Aによりキャニスタ96に導かれ、キャニスタ96から離脱した蒸発燃料は吸気系21における吸気管23内にパージ用管路97を介して導かれるものであり、前記キャニスタ96は、エンジン本体11におけるクランクケース12の側方であって、上向きに傾斜したシリンダ軸線Cを有するシリンダブロック13の下方に配置される。
図5において、キャニスタ96のケーシング98は、エンジン本体11のクランクケース12で回転自在に支承されるクランクシャフト18と略平行な軸線を有するとともに端壁99aを一端に有する有底円筒状のケーシング主体99と、該ケーシング主体99にその他端開放部を閉じるように溶着される蓋部材100とを有して、合成樹脂により構成される。
エンジン本体11のシリンダヘッド14の相互に反対側の側面には、吸気系21および排気系41が接続されるのであるが、前記ケーシング98は、そのケーシング主体99の端壁99aを前記吸気系21側に臨ませるようにして配置される。またエンジン本体11におけるシリンダブロック13には、該シリンダブロック13および前記キャニスタ96間に介在するようにしてシリンダブロック13を下方から覆う遮熱カバー101が取付けられており、前記ケーシング98は遮熱カバー101で固定的に支持される。
前記ケーシング主体99の内面および端壁99aには、ケーシング主体99内を上下に区画するようにして端壁99aに一端を連設せしめて蓋部材100側に延びる仕切り壁99bが一体に設けられる。一方、ケーシング主体99の他端部には、蓋部材100との間に中間室111を形成するようにして支持部材103が嵌合、固定されるものであり、この支持部材103は、複数の連通孔102,102…を有する円板部103aと、該円板部103aの外周に一端を連ならせて蓋部材100側に延びる円筒部103bとを一体に有し、ケーシング主体99の他端部に嵌合される前記円筒部103bの他端が、蓋部材100およびケーシング主体99間に挟持される。
前記仕切り壁99bの上方でケーシング主体99内には、吸着剤たとえば活性炭を充填することによる上部吸着剤層104が、端壁99aとの間にフィルタ106を介在せしめるとともに支持部材103の円板部103aとの間にフィルタ107を介在せしめるようにして収容、保持され、前記仕切り壁99bの下方でケーシング主体99内には、吸着剤たとえば活性炭を充填することによる下部吸着剤層105が、前記支持部材103の円板部103aとの間にフィルタ107を介在せしめるとともに端壁99aとの間にフィルタ108を介在せしめるようにして収容、保持される。
仕切り壁99bよりも上方で前記端壁99aには、前記フィルタ106との間に導入室110を形成する膨大部99cが外方に膨出するようにして一体に設けられ、仕切り壁99bよりも下方で前記端壁99aには、フィルタ109を嵌合、収容せしめた接続筒部99dが外方に突出するようにして一体に設けられ、該接続筒部99dには、前記フィルタ109との間に排出室112を形成するようにしてキャップ113が嵌装される。しかも該キャップ113には、排出室112に通じる外部連通孔114が下方に向けて開口するようにして設けられる。
前記膨大部99cには、燃料タンク48から蒸発燃料を導くチャージ用管路95Aが接続されるとともに、キャニスタ96から離脱する蒸発燃料を吸気管23に導くパージ用管路97が接続されており、エンジン停止時に燃料タンク48で蒸発した蒸発燃料はチャージ用管路95Aから導入室110に導入され、フィルタ106、上部吸着剤層104、フィルタ107、支持部材103の連通孔102…、中間室111、支持部材103の連通孔102…、フィルタ107、下部吸着剤層105およびフィルタ108,109を経て排出室112側に流通することになり、上部および下部吸着剤層104,105で蒸発燃料が吸着されることになる。
一方、エンジンの作動時には、外部連通孔114から排出室112に導入された空気が、フィルタ109,108、下部吸着剤層105、フィルタ107、支持部材103の連通孔102…、中間室111、支持部材103の連通孔102…、フィルタ107、上部吸着剤層104、フィルタ106、導入室110およびパージ用管路97を経て吸気管23側に流通することになり、下部吸着剤層105および上部吸着剤層104から離脱した蒸発燃料が前記空気に同伴するようにして吸気管23側に導かれることになる。
このようなキャニスタ96において、そのケーシング98内を仕切り壁99bで上下に区画し、仕切り壁99bの上方の上部吸着剤層104ならびに仕切り壁99bの下方の下部吸着剤層105を、蒸発燃料もしくは蒸発燃料を同伴するための空気が順次流過するようにしているので、ケーシング98をコンパクトに構成しつつ吸着長さを長くして吸着効率の向上に寄与することができる。
前記チャージ用管路95Aは、タンクキャップ64および燃料タンク48間に形成されて燃料タンク48内に通じる蒸発燃料通路78に一端を通じさせる管路115と、その管路115およびキャニスタ96間を結ぶ管路116とを備え、両管路115,116は、たとえばゴムホースである。
燃料タンク48におけるシール支持部材59には、タンクキャップ64の軸線に関して前記キャニスタ96とは反対側で該シール支持部材59を上下に貫通する接続管117の中間部が、蒸発燃料通路78に上端を通じさせるようにして取付けられており、前記管路115の上端は接続管117の下端に接続される。また燃料タンク48における下部タンク半体52の底部には、上下に延びて下部タンク半体52の底部を液密に貫通する接続管118の中間部が取付けられ、前記管路115の下端が接続管118の上端に接続され、支持カバー53を貫通する管路116の一端が接続管118の下端に接続される。
すなわちチャージ用管路95Aの一部を構成する管路115は、タンクキャップ64の軸線に関してキャニスタ96とは反対側で蒸発燃料通路78に通じるようにして燃料タンク48内を通って該燃料タンク48内に配設されることになる。
一方、キャニスタキャニスタ96における膨大部99cには、一対の接続管部119,120が並列して設けられており、一方の接続管部119に前記管路116の他端が接続される。また他方の接続管部120にはパージ用管路97の一端が接続され、パージ用管路97の他端は吸気系21における吸気管23の管体35が一体に備える接続管部35bに接続される。
再び図3において、燃料タンク48における下部タンク半体51の底部には、燃料タンク48内の燃料油を濾過するフィルタ92が装着されたフィルタケース93が取付けられており、このフィルタケース93には、気化器22に燃料油を導く燃料油ホース94が接続される。
次にこの第1実施例の作用について説明すると、エンジン本体11は、クランクケース12と、上向きに傾斜したシリンダ軸線Cを有してクランクケース12に結合されるシリンダブロック13とを備えており、燃料タンク48内で蒸発した蒸発燃料を吸着するキャニスタ96が、クランクケース12の側方であってシリンダブロック13の下方に配置されている。
すなわちシリンダ軸線Cが上向きに傾斜していることによってシリンダブロック13の下方には空きスペースが生じるものであり、そのような空きスペースにキャニスタ96を配置することで、汎用エンジン全体が大型化することを回避しつつキャニスタ96を配置することが可能となり、しかもキャニスタ96の容量を多少大きくしても汎用エンジン全体が大型化することはなく、汎用エンジン全体の大型化を回避しつつキャニスタ96の吸着性を高めることができる。
またエンジン本体11は、相互に反対側の側面に吸気系21および排気系41が接続されるようにしてシリンダブロック13の頭部に結合されるシリンダヘッド14を備えており、燃料タンク48からの蒸発燃料を導くチャージ用管路95Aと、キャニスタ96から離脱した蒸発燃料を導くパージ用管路97とが、キャニスタ96のケーシング98のうち前記吸気系21側に臨む部分に接続されているので、チャージ用管路95Aおよびパージ用管路97を、エンジン本体11からの排熱の影響の少ない吸気側でキャニスタ96のケーシング98に接続するようにして、キャニスタ96での蒸発燃料の吸着や離脱に排熱による悪影響が生じることを防止し、キャニスタ96の効率向上を果たすことができる。
また燃料タンク48と、該燃料タンク48に装着されたタンクキャップ64との間には、燃料タンク48内に通じる蒸発燃料通路78が形成されており、燃料タンク48内からの蒸発燃料をキャニスタ96に導くチャージ用管路95Aの一部を構成して蒸発燃料通路78に一端を通じさせる管路115が、燃料タンク48内を通過するようにして該燃料タンク48内に配設されるので、チャージ用管路95Aのうち外部に露出した部分を少なくし、汎用エンジン全体の小型化ひいては作業機の小型化を図るとともに、汎用エンジンの搭載性および外観性を高めて商品性の向上をはかることが可能であり、また蒸発燃料の漏れや管路破損等を考慮して安全性を高めることができる。
しかもチャージ用管路95Aの一部を構成する管路115は、タンクキャップ64の軸線に関してキャニスタ96とは反対側で蒸発燃料通路78に通じるものであるので、キャニスタ96側を下方として燃料タンク48が傾いたときには前記管路115への燃料油の流入が回避され、またキャニスタ96側を上方として燃料タンク48が傾いたときには前記管路115に燃料油が流入する可能性があるもののキャニスタ96が比較的上方の位置となっているのでキャニスタ96への燃料油の流入は抑えられることになり、したがって燃料タンク48が傾いてもキャニスタ96への燃料油の永続的な流入は阻止されることになる。
さらにタンクキャップ64内には、外部に通じる外部連通路80が形成されるとともに、燃料タンク48内の圧力が外部圧力よりも低いときに開いて外部連通路80を燃料タンク48内に通じせしめる一方向弁86が設けられているので、キャニスタ96への蒸発燃料吸着や不純物の滞留によってチャージ用管路95Aからキャニスタ96を介して吸気系21に至る経路での通気抵抗が増しても、一方向弁86の働きにより、燃料タンク48内の圧力が負圧になってしまうことを防止することができ、したがって燃料タンク48内での燃料レベルが低下しても燃料タンク48からの燃料供給を円滑に行うことができる。
図6および図7は本発明の第2実施例を示すものであり、図6は燃料タンクの上部縦断面図、図7は図6の7−7線断面図である。
燃料タンク48内で蒸発した蒸発燃料をキャニスタ96に導くチャージ用管路95Bの一部は、燃料タンク48内を通って該燃料タンク48内に配設される管路115と、該管路115の上端に接続される合成樹脂製の管路121とで構成される。
管路121は、タンクキャップ64の軸線に関してキャニスタ96(第1実施例参照)とは反対側で燃料タンク48におけるシール支持部材59に取付けられる接続管部121aと、該接続管部121aに一体に連なって蒸発燃料通路78内に配置される延長筒部121bとから成るものである。
接続管部121aは、その下端を前記シール支持部材59から下方に突出させるようにしてシール支持部材59に取付けられており、管路115の上端が接続管部121aの下端に接続される。
また接続管部121aの上端に一端が一体に連なる延長筒部121bは、その他端開口部が接続管部121aの近傍にまで達するようにして、環状である蒸発燃料通路78内にほぼ全周にわたって配置されるべく円弧状に曲げられる。
シール支持部材59の内面には、前記管路21の延長筒部121bを保持する支持部材122が固着されており、この支持部材122は、シール支持部材59の内面に嵌合、固定される支持筒部122aと、支持筒部122aの上端から半径方向内方に張り出す支持鍔部122bと、支持鍔部122bの内周から上方に立ち上がる内周規制筒部122cとを備えるものであり、管路121の延長筒部121bは、内周形成筒部122cで円弧状ん配置形状の内周側を規制されつつ支持鍔部122b上に載置、支持される。
また支持部材122には、前記支持鍔部122bおよび内周規制筒部122cの一部を切除して成る一対の切欠き123,123が、一直径線上に位置するようにして設けられており、前記接続管部121aからの延長筒部121bの一端の立ち上がり部は、前記両切欠き123,123の一方に配置されている。
この第2実施例によれば、キャニスタ96側を下方として燃料タンク48が傾いたときには延長筒部121bの他端開口部が上方位置となるので管路121への燃料油の流入が回避され、またキャニスタ96側を上方として燃料タンク48が傾いたときには前記延長筒部121bの他端開口部に燃料油が流入する可能性があるものの延長筒部121bが円弧状に曲げられているので管路121から管路115に燃料油が流れることはない。したがって燃料タンク48が傾いてもキャニスタ96への燃料油の流入を防止することができる。
図8は本発明の第3実施例を示すものであり、上記第1および第2実施例に対応する部分には同一の参照符号を付す。
燃料タンク48′における上部タンク半体51の中央部内面には、シール装着孔58を中央部に有するシール支持部材59′が溶接されており、シール装着孔58には、内周で給油孔60を形成する環状のシール部材61が装着される。またシール支持部材59′に対応する位置で前記上部タンク半体51の中央部には、上方に隆起して環状に連なるシール部62と、該シール部62の内周に連なって下方に延びる筒状の係止部63とが一体に形成される。
燃料タンク48′内の上部には、前記シール部62および係止部63の連設部に上端を係合するようにしてフィルタユニット124が挿入される。このフィルタユニット124のケーシング125は、上端を開放した有底円筒状に形成されるフィルタ支持筒部125aと、前記シール部材61に弾発的に接触して給油孔60に挿入されるようにして前記フィルタ支持筒部125aの上端に連なるシール筒部125bと、前記シール筒部125bの上端から上方に延びて前記係止部63内に挿入される支持筒部125cと、支持筒部125cの上端から半径方向外方に張り出す係合鍔部125dとを一体に有して合成樹脂により形成され、係合鍔部125dが前記シール部62および係止部63の連設部に上方から係合される。
前記ケーシング125のフィルタ支持筒部125aには、その側面から底面に至る複数の開口部126…が設けられており、それらの開口部126…に配置される網目状のフィルタ127…が前記フィルタ支持筒部125aに支持される。
タンクキャップ130は、前記フィルタユニット124におけるケーシング125の上部に挿脱可能に挿入される挿入筒131と、該挿入筒131の上端に結合される皿状の操作部材132と、挿入筒131内の上部に挿入、固定される支持筒133と、支持筒133および操作部材132間に挟まれる押さえ部材134と、前記挿入筒131の下端に固定されるシール支持片135と、該シール支持片135に装着されるとともに前記フィルタユニット124のケーシング125におけるシール筒部125bに弾発的に接触しつつ挿脱可能に挿入されるリング状のシール部材136とを備える。
シール支持片135は、上端を閉塞した有底円筒状に形成される有底円筒部135aと、縦断面略L字状に形成されて有底円筒部135aの外面から突出される装着突部135bとを一体に有するものであり、有底円筒部135aの下部閉塞端には連通孔137が設けられる。而して前記シール部材136は、前記装着突部135bを内周に食い込ませつつ有底円筒部135aを囲繞するようにしてシール支持片135に装着される。
挿入筒131は、前記シール支持片135の有底円筒部135aに上方から嵌合してかしめ結合される円筒状のかしめ結合部131aと、かしめ結合部131aの上端にほぼ直角に連なって上方に臨む円形かつ平坦な受け段部131bと、受け段部131bの外周からわずかに上方に立ち上がる小径円筒部131cと、小径円筒部131bの上端に小径端を同軸に連ならせたテーパ部131dと、該テーパ部131dの大径端に同軸に連なる大径円筒部131eと、大径円筒部131eの他端から半径方向外方に張り出すフランジ部131fと、該フランジ部131fの外周から前記大径円筒部131eを同軸に囲繞する側に延びる嵌合筒部131gとを一体に備える。
挿入筒131の前記嵌合筒部131gは、皿状である操作部材132に嵌合されるものであり、操作部材132の開口端縁を前記嵌合筒部131gの先端に係合するようにかしめることで、挿入筒131の上端に操作部材132が結合される。
支持筒133は、前記挿入筒131内に同軸に配置される第1円筒部133aと、第1円筒部133aの上端から半径方向外方に張り出す連結鍔部133bと、前記挿入筒131の大径円筒部131eに嵌合されるようにして連結鍔部133bの外周に連結される第2円筒部133cと、第2円筒部133cの上端から半径方向外方に張り出すフランジ部133dとを一体に備える。
押さえ部材134は、支持筒133の第2円筒部133cに上方から嵌合される有底円筒部134aと、該有底円筒部134aの上端から半径方向外方に張り出すフランジ部134bとを一体に備えるものである。
而して、押さえ部材134は、そのフランジ部134bを支持筒133のフランジ部133dおよび操作部材132間に配置するようにして支持筒133および操作部材132間に挟まれるものであり、支持筒133のフランジ部133dおよび挿入筒131のフランジ部131f間に弾性材から成る環状のスペーサ138を挟んだ状態で、操作部材132の開口端縁を挿入筒131の前記嵌合筒部131gに係合するようにかしめることで、挿入筒131の上端が操作部材132に結合されるとともに、スペーサ138、支持筒133の上端および押さえ部材134が、操作部材132および支持筒133間に挟持されることになる。
タンクキャップ130には、係合部材139が上下にスライド可能に支持されており、この係合部材139は、支持筒133の第1円筒部133aを囲繞するリング板139aと、リング板部139aの一直径線上で該リング板部139aから両側に延びる一対の係合腕部139b,139bとを一体に備えるものであり、挿入筒132の大径円筒部131e、ならびにフィルタユニット124のケーシング125における支持筒部125cおよび係合鍔部125dには、前記両係合腕部139b,139bを貫通せしめる一対ずつのスリット140,140;141,141が軸方向に延びるようにして設けられる。すなわち係合部材139は、その軸線まわりの回動を前記各スリット140…,141…で阻止されるとともに軸方向のスライド範囲を前記各スリット140…,141…の長手方向両端で規制されるようにして、タンクキャップ130に装着されるものであり、挿入筒131の受け段部131bおよび係合部材139のリング板部139a間には、係合部材139を支持筒133の第1連結鍔部133b側に付勢するばね力を発揮するようにしてばね142が縮設される。
前記係合部材139における両係合腕部139b,139bの先端部は、フィルタユニット124のケーシング125における支持筒部125cから突出しており、前記両係合腕部139b,139bの先端部を挿脱可能に挿入せしめる一対の切欠き72,72が燃料タンク48′の係止部63に形成される。而して係止部63は、前記両切欠き72,72に係合腕部139b,139bの先端部を挿入せしめた状態で、タンクキャップ130を一方向に所定角度だけ回動操作する過程で前記ばね142を収縮せしめるようにして係合部材139を押し込み、前記所定角度だけタンクキャップ130を回動したときにはばね142で弾発付勢された係合部材139の両係合腕部139b,139bを弾発的に係合させることで、タンクキャップ130の燃料タンク48′への装着状態を維持するように形成される。
またタンクキャップ130の挿入筒131における大径円筒部131eの外周にはリング状のガスケット73が装着されており、このガスケット73は、タンクキャップ130を燃料タンク48′に装着した状態では、燃料タンク48′のシール部62と、タンクキャップ130における挿入筒131のフランジ部131fとの間に挟まれる。
タンクキャップ130を燃料タンク48′に装着した状態で、燃料タンク48′のシール部62およびシール支持部材59′と、タンクキャップ130の支持筒133との間には蒸発燃料通路143が形成され、この蒸発燃料通路143は、シール支持片135に設けられた連通孔137およびフィルタ127…を介して燃料タンク48′内に連通する。
またタンクキャップ130の操作部材132と、支持筒133および押さえ部材134との間には、外部に通じる外部連通路144が形成される。この外部連通路144は、スペーサ138の外方で挿入筒131、支持筒133および押さえ部材134の各フランジ部131f,133d,134bならびに操作部材132間に形成される環状通路部144aと、押さえ部材134および操作部材132間に形成される通路部144bと、支持筒133の第1円筒部133a内に形成される中央通路部144cとを備える。
前記挿入筒131のフランジ部131fには環状通路部144aを外部に通じさせる外部連通孔145が設けられ、押さえ部材134におけるフランジ部134bの外縁には環状通路部144aおよび通路部144bを相互に連通させる連通溝146が設けられ、押さえ部材134における有底円筒部134aの閉塞端には通路部144bおよび中央通路部144cを相互に連通させる連通孔147が設けられる。
支持筒133の第1円筒部133aにおける下端寄りの部分の内周には、外部連通路144における中央通路部144cの下端を規定する隔壁148が、第1円筒部133a内を上下に区画するようにして一体に設けられる。
またタンクキャップ130内には、燃料タンク48′内の圧力が外部圧力よりも低いときに開いて外部連通路144を燃料タンク48′内に通じせしめる一方向弁150が設けられるものであり、この一方向弁150は、前記外部連通路144における中央通路部144cの下端に同軸に連なるようにして前記隔壁148の中央部に設けられる弁孔151と、前記中央通路部144cとは反対側から前記隔壁148の中央部に着座して前記弁孔151を閉じ得るリーフ状の弁部材152とを備える。
前記第1円筒部133aの下端部には閉塞部材153が嵌合、固定されており、この閉塞部材153の中央部には蒸発燃料通路143に通じる通路154が、蒸発燃料通路143内の圧力すなわち燃料タンク48′内の圧力を前記弁部材152に隔壁148とは反対側から作用せしめるようにして設けられており、閉塞部材153および隔壁148間の間隔は、閉塞部材153および隔壁148間に収容されている弁部材152の開閉作動を許容するように設定される。
ところで燃料タンク48′内で蒸発して蒸発燃料通路143に導かれた蒸発燃料は、チャージ用管路95Cによりキャニスタ96(第1実施例参照)に導かれるのであるが、チャージ用管路95Cの一部を構成するとともに、燃料タンク48内を通って該燃料タンク48内に配設される管路115の上端は、蒸発燃料通路143に通じるようにしてフィルタユニット124のケーシング125におけるシール筒部125bに一体に設けられる接続管部125eの下端に接続される。
この第3実施例によっても上記第1実施例と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。