JP2005162521A - 被覆線条体の製造方法 - Google Patents

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知之 服部
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Abstract

【課題】 走行速度を上昇させる間における透明管の曇りを抑制することが可能であって、長時間にわたって連続して被覆作業を続けることができる被覆線条体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 線条体2に樹脂を塗布し、紫外線照射装置40内に設けられ紫外線に対して透光性を有する透明管41内に樹脂が塗布された線条体を通過させる。この際、紫外線照射装置内の紫外線光源42から紫外線を照射して樹脂を硬化させることによって被覆層3を形成して被覆線条体1を製造する。この製造において、線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値を0.5W・min/m以上50W・min/m以下の値とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、線条体に樹脂が被覆された被覆線条体の製造方法に関するものである。
光ファイバは、光ファイバ母材を線引きして線条体とした後に、その線条体の表面を樹脂で被覆して製造される。これは、線条体の表面にキズがついて破断することを防止するためである。線条体の被覆は、例えば、次のようにして実施される。
まず、線条体の表面に紫外線硬化型樹脂を塗布する。そして、樹脂が塗布された線条体を、紫外線照射装置内に設けられており紫外線に対して透光性を有する透明管(例えば、石英管)に通す。樹脂が塗布された線条体が透明管を通過する間に、樹脂に紫外線を照射し樹脂を硬化させて、被覆線条体を得る。
線条体に塗布された樹脂を硬化する工程において、樹脂の一部の成分は、樹脂が硬化する際に発生する反応熱や照射される光エネルギーの吸収による発熱により揮発し、透明管の内面に付着する。透明管の内面に付着した樹脂成分は紫外線照射により変質して透明管が曇る。これにより、樹脂への紫外線の照射量が減少する。紫外線の照射量が減少すると、樹脂が十分硬化しない場合が生じる。
そのため、樹脂がある一定以上硬化した被覆線条体を製造するためには、曇りが生じた透明管を適宜交換する必要がある。そのため、長時間連続して被覆線条体を製造することが困難であり、製造効率が低下する傾向にある。
ところで、以上述べたような透明管内面の曇りは、線条体の走行速度を一定の走行速度に上昇させるまでにより多く発生・増加していることが知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、この知見に基づいて、例えば、特許文献1には、長時間連続して被覆線条体製造することが可能な技術が開示されている。
特許文献1に記載の樹脂被覆方法では、線条体の走行方向における紫外線の照射範囲よりも軸方向の長さが長い透明管を、紫外線照射装置に線条体の走行方向に移動可能に設けて用いている。そして、その透明管内に、樹脂が塗布された線条体を通しつつ、紫外線光源から紫外線を照射して樹脂を硬化させる。この場合において、線条体の走行速度を上げている間に、透明管のうち紫外線が照射されている領域の内面に曇りが生じる。
ここで、上記樹脂被覆方法では、線条体の走行速度が一定になると、線条体の走行方向に対して透明管を移動させる。これにより、曇りが生じていない透明管の領域において線条体に紫外線を照射し、樹脂を硬化させることができるようになっている。特許文献2には、光ファイバの線速に従ってUV架橋装置のエネルギの量を調節すると共に前記線速の値がある限界以下になるとUV架橋装置への給電を停止することが記載されている。
特許第2584468号公報 特開平6−72742号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、走行速度の上昇時における透明管内面の曇りの発生・増加を抑制することを、目的としていない。特許文献2のように一定の線速まで紫外線が照射されないと、その間樹脂が硬化しない。このように樹脂が硬化していないと、線条体に付着している未硬化樹脂が生産設備を汚染したり、線条体がローラ等に貼りつき、製造ができなくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、走行速度を上昇させる間における透明管の曇りを抑制することが可能であって、長時間にわたって連続して被覆作業を続けることができる被覆線条体の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係る被覆線条体の製造方法は、線条体に樹脂を塗布し、紫外線照射装置内に設けられ紫外線に対して透光性を有する透明管内に樹脂が塗布された線条体を通過させると共に、紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を樹脂に照射して樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値を0.5W・min/m以上50W・min/m以下の値とすることを特徴とする。紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値は、30W・minであることが好ましい。なお、上記投入電力とは、紫外線光源へ投入した電力値の意味である。
上記製造方法では、線条体の走行速度を100m/minから上昇させる間、紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値は0.5W・min/m以上50W・min/m以下の値となる。紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値が、50W・min/mより大きい値の場合は透明管に曇りが生じやすい。また、紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値が、0.5W・min/mより小さい場合は、ローラ等に貼りつかない程度に樹脂が十分硬化していない。
上述のように紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値を0.5W・min/m以上50W・min/m以下の値とすることにより、線条体の走行速度を上昇させる間において、透明管内面の曇りを抑制しつつ被覆線状体を製造することができる。
また、本発明に係る被覆線条体の製造方法は、線条体に樹脂を塗布し、紫外線照射装置内に設けられ紫外線に対して透光性を有する透明管内に樹脂が塗布された線条体を通過させると共に、紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を樹脂に照射して樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とすることを特徴とする。
この場合、線速上昇期間において、紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の表面摩擦力は0.3N以上0.6N以下となる。
表面摩擦力は、樹脂に照射される紫外線量が多いほど小さくなる。また、樹脂に照射される紫外線量が多いほど透明管の内面は曇りやすい。そして、表面摩擦力が0.3Nより小さい場合、樹脂に照射される紫外線量が多いので、透明管の内面に曇りが発生しやすい。一方、表面摩擦力が0.6Nより大きい場合、紫外線量が少なく、ローラ等に貼りつかない程度に樹脂が十分硬化していない。このように樹脂が十分硬化していないと、ローラ等に被覆線条体が貼りつき、被覆線条体を製造ができなくなる場合がある。
上述したように表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とすることにより、線速上昇期間において、透明管内面の曇りを抑制しつつ被覆線条体を製造することができる。
更に、本発明に係る被覆線条体の製造方法は、線条体に樹脂を塗布し、紫外線照射装置内に設けられ紫外線に対して透光性を有する透明管内に樹脂が塗布された線条体を通過させると共に、紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を樹脂に照射して樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の硬化度を30%以上85%以下とすることを特徴とする。
この場合、線速上昇期間において、紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の硬化度が30%以上85%以下となる。硬化度が85%より大きい場合、上述したような線条体の走行速度が上昇する間に要求される紫外線量以上の紫外線が樹脂に照射されており、透明管の内面が曇りやすい。一方、硬化度が30%より小さい場合、樹脂が十分に硬化していないため、被覆線条体を巻き取る際に被覆線条体がローラ等に貼りつき、被覆線条体を製造できなくなる場合がある。
上述したように硬化度を30%以上85%以下とすることにより、線速上昇期間において透明管内面の曇りを抑制しつつ被覆線条体を製造することができる。
更にまた、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、線速上昇期間において、紫外線光源への投入電力を5kW以下とすることが好適である。
上記方法では、線速上昇期間において、紫外線光源への投入電力は5kW以下である。これにより、線速上昇期間において、透明管内面の曇りを抑制しつつ、被覆線条体をローラ等を介して巻き取れる程度に樹脂を硬化させることができる。
また、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、線速上昇期間における走行速度の上昇に応じて、紫外線光源への投入電力を増加させることが望ましい。この場合、走行速度の上昇に応じて紫外線のパワーが増加する。これにより、線条体の走行速度を上昇させる間において、曇りの増加を抑制しつつ、被覆線条体を巻き取る際にローラ等に貼りつかないように樹脂を硬化させることができる。
更に、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、紫外線光源から出力された紫外線のパワーをモニタし、モニタ結果を線条体の走行速度で除した値が第1の所定の範囲内となるように紫外線光源への投入電力を調整することが好ましい。
この場合、紫外線光源から出力された紫外線のパワーがモニタされる。そして、そのモニタ結果を線条体の走行速度で除した値が第1の所定の範囲内となるように紫外線光源への投入電力が調整される。これにより、線速上昇期間において透明管の曇りの増加を抑制しつつ、被覆線条体を巻き取る際にローラ等に貼りつかないように樹脂を硬化させることができる。
更にまた、紫外線のパワーをモニタする本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、透明管内にガスを流し、紫外線光源から出力された紫外線のうち、透明管を透過した紫外線又は透明管により反射した紫外線のパワーを、線条体の走行方向において紫外線光源の中心に、又は中心からガスの排出口側に配置された第1のセンサによってモニタすることが好ましい。
この場合、樹脂に照射された紫外線のうち、透明管を透過した紫外線又は透明管により反射した紫外線のパワーが、第1のセンサによってモニタされる。透明管の内面が曇ると、第1のセンサのモニタ結果が変化するため、モニタ結果の変化によって曇りの程度が分かる。
上記のように透明管内にガスが流されていると、透明管はガスの排出口側から曇りやすい。第1のセンサは、線条体の走行方向において紫外線光源の中心に、又は中心からガスの排出口側に配置されているので、透明管内面の曇りをより確実に検知できる。
また、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、透明管に観測光を照射し、透明管に照射された観測光のうち、透明管を透過した観測光又は透明管により反射した観測光のパワーを、透明管の外に配置された第2のセンサによりモニタし、モニタ結果を線条体の走行速度で除した値が第2の所定の範囲内となるように紫外線光源への投入電力を調整することが好適である。
この場合、透明管に観測光を照射した際に、その照射された観測光のうち、透明管を透過した観測光又は透明管により反射した観測光のパワーが、第2のセンサによりモニタされる。そして、そのモニタ結果を線条体の走行速度で除した値が第2の所定の範囲内となるように紫外線光源への投入電力が調整される。
透明管が曇ると、透明管を透過した観測光又は透明管により反射した観測光のパワーが変化するため、第2のセンサのモニタ結果の変化により透明管の曇りの程度が分かる。そのモニタ結果を線条体の走行速度で除した値が所定の範囲内となるように紫外線光源への投入電力を調整することによって、透明管の内面の曇りの増加を抑制することができる。
更に、本発明に係る被覆線条体の製造方法は、線条体に樹脂を塗布し、線条体の走行方向に順に配置された複数の紫外線照射装置における各紫外線照射装置内に設けられており紫外線に対して透光性を有する透明管内に樹脂が塗布された線条体を通過させると共に、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を樹脂に照射して樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、複数の紫外線照射装置における各紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力の和を上記走行速度で除した値を0.5W・min/m以上とし、各紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を上記走行速度で除した値を50W・min/m以下の値とすることを特徴とする。
上記製造方法では、樹脂が塗布された線条体は、複数の紫外線照射装置を通る。この際、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置において紫外線が樹脂に照射されて樹脂が硬化され、被覆線条体が製造される。この被覆線条体の製造において、線条体の走行速度が100m/minから上昇する線速上昇期間において、各紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力の和を走行速度で除した値は0.5W・min/m以上となり、各紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を上記走行速度で除した値は50W・min/m以下の値となる。
各紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値が、50W・min/mより大きい値の場合は、樹脂に紫外線が多く照射されている。そのため、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置内のいずれかの透明管の内面に曇りが生じやすい。また、各紫外線光源への投入電力の和を走行速度で除した値が、0.5W・min/mより小さい場合は、被覆線条体がローラ等に貼りつき、被覆線条体を製造できなくなる場合がある。
上述したように、各紫外線光源への投入電力の和を走行速度で除した値を0.5W・min/m以上とし、各紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値を50W・min/m以下の値とすることにより、線速上昇期間において、各透明管内面の曇りを抑制しつつ被覆線条体を製造することができる。
また、各紫外線光源への投入電力の和を走行速度で除した値を0.5W・min/m以上とし、各紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値を50W・min/m以下の値とする上記本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、線速上昇期間において、複数の紫外線照射装置のうち線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値を40W・min/m以下の値とすることが好ましい。
この場合、線速上昇期間において、複数の紫外線照射装置のうち最初に位置する紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を走行速度で除した値は40W・min/m以下の値となる。これにより、線条体が最初に通過する紫外線照射装置内に設けられている透明管の内面の曇りを抑制できる。
更に、本発明に係る被覆線条体の製造方法は、線条体に樹脂を塗布し、線条体の走行方向に順に配置された複数の紫外線照射装置における各紫外線照射装置内に設けられており紫外線に対して透光性を有する透明管内に樹脂を塗布した線条体を通過させると共に、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を樹脂に照射して樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、複数の紫外線照射装置のうち上記走行方向において最後に位置する紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とすることを特徴とする。
この場合、樹脂が塗布された線条体は、複数の紫外線照射装置を通る。そして、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置において紫外線が樹脂に照射されて樹脂が硬化されて、被覆線条体が製造される。この被覆線条体の製造方法において、線条体の走行速度が100m/minから上昇する間、線条体の走行方向において最後に位置する紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の表面摩擦力は0.3N以上0.6N以下となっている。
上記被覆層の表面摩擦力が0.3Nより小さい場合、紫外線が多く照射されているため、いずれかの透明管の内面に曇りが生じやすい。一方、表面摩擦力が0.6Nより大きい場合、被覆線条体がローラ等に貼りつかない程度に樹脂は十分硬化していない。
上記のように最後に位置する紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とすることにより、線条体の走行速度を上昇させる間において、各透明管の内面の曇りを抑制しつつ被覆線条体を製造することができる。
更にまた、上記走行方向において最後に位置する紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とする上記本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、線速上昇期間において、複数の紫外線照射装置のうち上記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置を通過することによって形成された被覆層の表面摩擦力を0.4N以上とすることが望ましい。
この場合には線速上昇期間において、線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内の透明管を通過したことによって形成された被覆層の表面摩擦力が0.4N以上となる。
表面摩擦力を0.4N以上とすることで、最初に位置する紫外線照射装置内の透明管の内面の曇りを抑制することができる。
また、本発明に係る被覆線条体の製造方法は、線条体に樹脂を塗布し、線条体の走行方向に順に配置された複数の紫外線照射装置における各紫外線照射装置内に設けられており紫外線に対して透光性を有する透明管内に樹脂が塗布された線条体を通過させると共に、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を樹脂に照射して樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、複数の紫外線照射装置のうち上記走行方向において最後に位置する紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の硬化度を30%以上とし、各紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の硬化度を85%以下とすることを特徴とする。
この場合も、樹脂が塗布された線条体は、複数の紫外線照射装置を通る。そして、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置において紫外線が照射され樹脂が硬化されて、被覆線条体が製造される。そして、このような被覆線条体の製造方法において、線条体の走行速度が100m/minから上昇する線速上昇期間において、線条体の走行方向において最後に位置する紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の硬化度は30%以上とし、各紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の硬化度は85%以下となっている。
最後の紫外線照射装置を通過した後の被覆層の硬化度が30%より小さい場合、被覆線条体がローラ等に貼りつき、被覆線条体を製造できなくなる場合がある。一方、各紫外線照射装置を通過した後の被覆層の硬化度が85%より大きいと、照射される紫外線量が多いため、いずれかの透明管に曇りが生じやすい。
上記のように最後の紫外線照射装置を通過した後の被覆層の硬化度を30%以上とし、各紫外線照射装置を通過した後の被覆層の硬化度を85%以下とすることにより、線速上昇期間において各透明管の内面の曇りを抑制しつつ被覆線条体を製造することができる。
更に、上記走行方向において最後に位置する紫外線照射装置を通過した後の被覆層の硬化度を30%以上とし、各紫外線照射装置を通過した後の被覆層の硬化度が85%以下とする上記本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、線条体の走行速度を上昇させる間、複数の紫外線照射装置のうち上記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置を通過することによって形成された被覆層の硬化度を70%以下とすることが好ましい。
この場合には、線速上昇期間において、複数の紫外線照射装置のうち上記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内の透明管を通過したことによって形成された被覆層の硬化度は70%以下となる。
このように硬化度を70%以下とすることにより、線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内の透明管の内面の曇りを抑制することができる。
更にまた、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、線速上昇期間において、複数の紫外線照射装置のうち上記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を4kW以下とし、かつ、最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯することが望ましい。
この場合、線速上昇期間において線条体の走行速度を上昇させる間、最初に位置する紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力は4kW以下となる。または、紫外線光源が点灯していない。その際、最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源が点灯している。
このように、最初に位置する紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力が4kW以下であるので、その紫外線照射装置内の透明管内面の曇りを抑制することができる。また、最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源が点灯しているので、被覆線条体がローラ等に貼り付くことがない程度に樹脂を硬化させることができる。
また、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、線条体の走行速度の上昇を開始させる際に、複数の紫外線照射装置のうち上記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯させることが好適である。
この場合、線条体の走行速度の上昇を開始させる際に、線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源が点灯する。
線条体の走行速度を上昇させる際、初期の走行速度は低速であり、線条体が透明管内を通過する時間が長い。そのため、透明管内面に曇りが発生・増加しやすい。ここで、仮に、最初に位置する紫外線照射装置の紫外線光源を点灯させたとすると、他の紫外線照射装置の紫外線光源を消灯していたとしても、他の紫外線照射装置内の透明管内面に曇りが生じる場合がある。最初の紫外線照射装置において紫外線が照射されたことにより樹脂の一部の成分が揮発しつづける場合があるからである。
そのため、走行速度を上昇させる際に、樹脂が塗布された線条体が最初に通過する紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯すると、複数の透明管の内面に曇りが生じやすい。
これに対して、上述したように、線条体の走行速度の上昇を開始させる際に、最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置内の紫外線光源のうちの少なくとも1つを点灯する本発明に係る被覆線条体の製造方法では、最初に位置する透明管の内面に曇りは生じないと共に、他の透明管の内面における曇りも少なくすることができる。
更に、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、走行速度の上昇に応じて、複数の紫外線照射装置のうち、線条体の走行方向において最後に位置する紫外線照射装置から最初に位置する紫外線照射装置に向かって順に各紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯していくことが好適である。
この場合には、走行速度の上昇に応じて、複数の紫外線照射装置のうち、線条体の走行方向において最後に位置する紫外線照射装置から最初に位置する紫外線照射装置に向かって順に各紫外線照射装置内の紫外線光源が点灯する。
これにより、走行速度がより遅い状態で、上流側(線条体の進行方向後ろ側)において樹脂に紫外線が照射される場合よりも、下流側(線条体の進行方向前側)の透明管における曇りの量が少なくなる。そのため、各透明管内面での曇りを抑制できる。
更にまた、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、線速上昇期間において、走行速度の上昇に応じて、各紫外線照射装置の紫外線光源への投入電力の和を増加させることが好ましい。
この場合には、走行速度が上昇するにつれて、各紫外線光源への投入電力の和が増加する。走行速度の上昇に応じて、各紫外線光源への投入電力の和が増加するため、走行速度を上昇させても樹脂を硬化させることができる。
また、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、各紫外線照射装置内の紫外線光源から出力された紫外線のパワーをモニタして、各紫外線照射装置におけるモニタ結果の和を線条体の走行速度で除した値が第3の所定の範囲内となるように複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を調整することが好ましい。
この場合、各紫外線光源から出力された紫外線のパワーがモニタされる。そして、各紫外線照射装置内でモニタされたモニタ結果の和を線条体の走行速度で除した値が第3の所定の範囲内となるように複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力が調整される。これにより、線条体の走行速度を上昇させる間において、透明管の曇りを抑制しつつローラ等に貼り付かないように樹脂を硬化させることができる。
更に、紫外線のパワーをモニタする上記本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、各紫外線照射装置において、透明管内にガスを流し、紫外線光源から出力された紫外線のうち、透明管を透過した紫外線又は透明管により反射した紫外線のパワーを、上記走行方向において紫外線光源の中心に、又は中心からガスの排出口側に設けられた第3のセンサによってモニタすることが好適である。
この場合、各紫外線照射装置において、透明管に照射された紫外線のうち透明管を透過した紫外線又は透明管により反射した紫外線のパワーが、第3のセンサによってモニタされる。透明管の内面が曇ると、第3のセンサのモニタ結果が変化するため、モニタ結果によって曇りの程度が分かる。
上記のように透明管内にガスが流されていると、透明管はガスの排出口側から曇りやすい。第3のセンサは、線条体の走行方向において紫外線光源の中心に、又は中心からガスの排出口側に配置されているので、各紫外線照射装置において、曇りがより確実に検知される。
更にまた、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、各紫外線照射装置において、透明管に観測光を照射し、透明管に照射された観測光のうち、透明管を透過した観測光又は透明管により反射した観測光のパワーを、透明管の外に配置された第4のセンサによりモニタし、各紫外線照射装置の第4のセンサによるモニタ結果の和を線条体の走行速度で除した値が第4の所定の範囲内となるように複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を調整することが好ましい。
この場合、透明管に観測光を照射し、その観測光のうち、透明管を透過した観測光又は透明管により反射した観測光のパワーが、第4のセンサによりモニタされる。そして、各紫外線照射装置の第4のセンサによりモニタされたモニタ結果の和を線条体の走行速度で除した値が第4の所定の範囲内となるように紫外線光源への投入電力が調整される。透明管が曇ると、透明管を透過した観測光又は透明管により反射した観測光のパワーが変化するため、各第4のセンサのモニタ結果により各透明管の曇りの程度が分かる。
そして、各紫外線照射装置の第4のセンサによるモニタ結果の和を線条体の走行速度で除した値が所定の範囲内の値となるように紫外線光源への投入電力を調整することによって、各透明管内面の曇りを抑制することができる。
また、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも2つの紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯させ、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置内に設けられた透明管内の酸素濃度を0.5%以上とすることが好適である。
この製造方法では、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも2つの紫外線照射装置内の紫外線光源が点灯する。そして、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置内に設けられた透明管内の酸素濃度が0.5%以上になっている。
透明管内の酸素濃度が0.5%以上の場合、透明管内面に曇りが生じにくい。したがって、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置内の透明管の曇りの発生・増加が抑制される。
更に、本発明に係る被覆線条体の製造方法においては、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも2つの紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯させ、紫外線光源が点灯している少なくとも2つの紫外線照射装置のうち線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内に設けられた透明管内の酸素濃度を2%以下とすることが好ましい。
この場合、複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも2つの紫外線照射装置内の紫外線光源が点灯する。そして、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内に設けられた透明管内の酸素濃度が2%以下となる。
酸素濃度が高いと曇りは生じにくいが、樹脂の硬化が阻害されやすい。樹脂の表面の硬化度は、樹脂への最初の紫外線の照射に依存する傾向がある。上記のように、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち、線条体が最初に通過する紫外線照射装置の透明管内の酸素濃度を2%以下とすることにより、表面及び内部が共に十分に硬化した被覆線条体を製造することができる。
本発明によれば、走行速度を上昇させる間における透明管の曇りを防止することが可能であって、長時間にわたって連続して被覆作業を続けることができる被覆線条体の製造方法を提供することができる。
以下に、図面と共に本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る被覆線条体の製造方法で製造された被覆線条体1の斜視図である。
本実施形態において、被覆線条体1は光ファイバ素線であって、線条体2と、線条体2の表面を被覆している被覆層3とを含んで構成されている。線条体2は、光ファイバ母材を線引きして形成されたファイバガラスである。被覆層3は、紫外線が照射されると硬化する紫外線硬化型の樹脂からなり、線条体2の表面を保護する機能を有している。なお、被覆層3は、線条体2に隣接している内層と、その内層を取り巻く外層との2層から構成されている。
図2は、被覆線条体1を製造する製造工程を説明する図である。
被覆線条体1を製造する際には、先ず、石英ガラスを主成分とする光ファイバ母材10が線引炉20にセットされる。光ファイバ母材10の一方の端部が、線引炉20が有するヒータ21により加熱・溶融され、光ファイバ母材10は線引きされる。
光ファイバ母材10が線引きされて形成された線条体2は、線条体2の走行方向(図2中の矢印Aの方向)において線引炉20の下流に設けられた樹脂コーティングダイス30を通過する。樹脂コーティングダイス30には、紫外線硬化型であって液状の樹脂が溜められている。樹脂コーティングダイス30を線条体2が通過することにより、線条体2の表面に樹脂が塗布される。なお、通常、樹脂は2層塗布される。
樹脂が塗布された線条体2は、樹脂コーティングダイス30の下流に設けられている紫外線照射装置40を通過する。紫外線照射装置40は、線条体2の表面に塗布された樹脂に紫外線を照射して樹脂を硬化させる装置である。ここで、紫外線照射装置40について説明する。
紫外線照射装置40は、線条体2を通過させる透明管41と、樹脂を硬化させるための紫外線を出力する紫外線光源42とを含んで構成されている。透明管41及び紫外線光源42の周囲には、反射鏡43が設けられている。線条体2の走行方向に直交する平面で紫外線照射装置40を切断した場合、反射鏡43の形状は楕円である。そして、その楕円の2つ焦点の位置に夫々線条体2及び紫外線光源42が配置されるようになっている。
透明管41は、紫外線に対して透光性を有していれば特に限定されないが、例えば、石英管である。透明管41の樹脂コーティングダイス30側の端部には、ガスを導入するためのガス導入口44が形成されている。ガス導入口44には、ガス導入管50が接続されており、透明管41内に不活性ガスが導入されるようになっている。また、ガス導入管50が接続されている端部と反対側の透明管41の端部には、ガス排出口45が形成されている。ガス排出口45には、ガス排出管51が接続されている。
紫外線光源42は、紫外線を出力する光源であれば特に限定されないが、例えば、メタルハライドランプである。紫外線光源42は、制御装置60に電気的に接続されており、制御装置60により紫外線光源42への投入電力が制御されている。なお、本明細書において、投入電力とは、紫外線光源42へ投入される電力値を意味する。
紫外線光源42から出力され樹脂に照射された紫外線のうち、透明管41を透過した紫外線のパワーは、透明管41の外に配置されたセンサ(第1のセンサ)46によりモニタされる。センサ46は、紫外線を受光できれば特に限定されないが、例えば、フォトダイオードである。センサ46は、制御装置60に電気的に接続されており、モニタ結果は制御装置60に入力される。センサ46は、紫外線照射装置40内において、反射鏡43の外側であって、線条体2の走行方向における紫外線光源42の中心の位置(図2中、一点鎖線Xの位置)からガス排出口45側に配置されている。なお、このように反射鏡43の外側にセンサ46を配置する際には、例えば、透明管41を透過した紫外線がセンサ46に入射するように反射鏡43に開口を形成しておけばよい。
より具体的には、センサ46は、線条体2の走行方向において紫外線光源42の中心の位置(図2中、一点鎖線Xの位置)からガス排出口45側であって、透明管41における紫外線が照射される領域αの端から、領域αの透明管41の軸線方向の長さの半分の範囲内に配置されている。ただし、センサ46の位置は、透明管41の外に配置されていれば特に限定されず、透明管41により反射した紫外線をモニタしてもよい。
上記構成の紫外線照射装置40内の透明管41を樹脂が塗布された線条体2が通過する際に、紫外線光源42から紫外線が出力される。紫外線光源42から出力された紫外線は、直接、又は反射鏡43により反射されて、透明管41を透過して透明管41内を通過する線条体2に塗布された樹脂に照射される。これにより、樹脂が硬化されて被覆層3が形成され被覆線条体1が得られる。
樹脂を硬化させる際には、ガス導入管50を通して透明管41内に不活性ガスを導入しておく。不活性ガスが導入されることにより透明管41内の酸素濃度が低くなり、酸素により樹脂が硬化することが阻害されるのを抑制するためである。
紫外線照射装置40により紫外線が照射されて形成された被覆線条体1は、ガイドローラ70及び引取り手段71を経て巻取りドラム80に巻き取られる。引取り手段71は、ベルト72とローラ73とから構成されており、ベルト72の回転とローラ73の回転とにより被線条体1を巻取りドラム80に送りだす。引取り手段71のベルト72及びローラ73並びに巻取りドラム80は、制御装置60に電気的に接続されており、制御装置60により回転数が制御される。これにより、線条体2の走行速度である線速が制御される。
なお、被覆線条体1の製造においては、例えば、他に樹脂が塗布された線条体2の外径の測定などが実施されるが、上記では説明を省略している。
上述のように被覆線条体1を製造する際には、先ず、線掛けをする。すなわち、光ファイバ母材10を低線速Vで線引きして線条体2を形成し、線条体2を樹脂コーティングダイス30及び紫外線照射装置40に通していく。そして、更に、ガイドローラ70及び引取り手段71に掛けた後に巻取りドラム80に巻きつけ、被覆線条体1を連続して製造できるようにする。
そして、図3に示すように、低線速Vから線速を上昇させていき一定の線速Vにする。この一定線速の状態において、長尺の被覆線条体1を製造する。なお、本明細書では低線速Vから一定の線速Vまで線条体2の走行速度を上げている間を、線速上昇時とも称す。また、線速上昇時において、線条体2の走行速度が100m/min以上の期間を線速上昇期間と称す。
ところで、紫外線照射装置40において、樹脂を硬化すると透明管41の内面が曇る。これは、樹脂が硬化する際に自ら発する熱(反応熱)、及び、紫外線光源42から受ける光エネルギーによる熱により揮発した樹脂の一部の成分が透明管41の内面に付着し変質するからである。このように透明管41の内面が曇ると、樹脂への紫外線照射量が減少する。
樹脂への紫外線の照射量が減少すると、樹脂の硬化が不十分で、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつき、被覆線条体1の製造ができなくなる場合がある。
上述したように線速を上昇させる間は、低線速(例えば、初速Vは50m/分)であり、透明管41内を通過する時間は、一定線速の状態に比べて長い。従来は、この線速上昇時において、一定線速状態と同じような条件(例えば、樹脂へ照射する紫外線のパワーが同じなど)で製造していた。
線速上昇時に一定線速状態と同じ条件で紫外線を照射すれば、樹脂への紫外線照射量が多くなるので、透明管41の内面の曇りが発生・増加しやすい。そのため、被覆線条体が、一定線速状態において樹脂が未硬化である不良品になったりしていた。
本実施形態の被覆線条体の製造方法は、このような線速上昇期間における透明管41内の曇りの発生・増加を抑制しつつ、被覆線条体1を製造することができることを特徴とする。
本実施形態の被覆線条体1の製造方法においては、線速を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、紫外線光源42への投入電力、及び、線条体2の線速を制御装置60により制御して、次に示す3つの条件のうちの少なくとも1つを満たすようにする。
すなわち、第1の条件は、紫外線光源42への投入電力を線速(すなわち、線条体2の走行速度)で除した値を、0.5W・min/m以上50W・min/m以下の値とすることである。第2の条件は、紫外線照射装置40を通過した後に形成されている被覆層3の表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とすることである。第3の条件は、紫外線照射装置40を通過した後に形成されている被覆層3の硬化度を30%以上85%以下とすることである。紫外線光源に最大投入電力が6kWのものを使用すると、線速を100m/minから上昇させるときに、投入電力を線速で除した値を50W・min/m以下とするためには投入電力を5kW以下にしなければならない。従来は、紫外線光源42への投入電力を調整せず点灯時には常に最大投入電力がかかるようにしていたので、線速上昇期間に過剰な紫外線が樹脂に照射され、樹脂から揮発する曇り成分が多くなり透明管が曇っていた。本実施形態の製造方法では投入電力を調整して最大投入電力よりも小さくして透明管41内の曇りを抑制する。
上述した紫外線光源42への投入電力を線速で除した値が、0.5W・min/mより小さいと、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことを防止できる程度に樹脂は硬化していない。そのため、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつき、被覆線条体1を製造できなくなる場合がある。
一方、紫外線照射装置40の紫外線光源42への投入電力を線速で除した値が、50W・min/mより大きいと、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことを防止できる程度以上に樹脂は硬化している。線速上昇期間においては、樹脂は、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつくことが防止できる程度に硬化しておればよい。被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことを防止できる程度以上に樹脂が硬化していると、透明管41に曇りが発生しやすくなっている。
そして、上記第1の条件を満たしている場合には、線速上昇時において、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことが防止できる程度に樹脂を硬化させることができている。そのため、透明管41の内面における曇りの発生・増加を抑制しつつ、被覆線条体1を製造することができる。
また、上述した表面摩擦力が、0.3Nより小さい場合、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつかない程度以上の量の紫外線が樹脂に照射されている。そのため、透明管41に曇りが発生しやすくなっている。一方、被覆層3の表面摩擦力が、0.6Nより大きい場合、樹脂は、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことを防止できる程度に硬化していない。そのため、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつき、被覆線条体1を製造できなくなる場合がある。
そして、上記第2の条件を満たしている場合には、線速上昇期間において、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつかない程度に樹脂を硬化させることができている。そのため、透明管41の内面における曇りの発生・増加を抑制しつつ、被覆線条体1を製造することができる。
ここで、上記表面摩擦力の測定方法について説明する。図4は、表面摩擦力の測定工程を示す模式図である。
先ず、直径6mmの円柱状の棒90に、図2に示す製造工程で製造された被覆線条体1の一部である被覆線条体1Aを100回密に一層に巻きつける。被覆線条体1の他の部分である被覆線条体1B(長さ約1000mm)を、被覆線条体1Aが巻かれた棒90と、滑車100とに掛ける。この際、図4に示すように滑車100と棒90とは、それらの間の被覆線条体1Bがほぼ水平になるように配置しておく。
また、滑車100と棒90とに掛けられた被覆線条体1Bの一端にはロードセル110を取り付け、他端には約3.4gの重り120を取り付ける。重り120が付けられて釣合っている状態でロードセル110に係る荷重をゼロとする。
次に、500mm/minの速さでロードセルを200mm引き上げる(この際、重り120も引き上げられる)。このとき、ロードセル110で測定される荷重を0.02秒間隔で取得する。
ロードセル110が20mmから120mmまで移動する間に取得されたデータを、ロードセル110の移動距離10mmごとに10の区間に分け、それらの区間の最大値を平均して被覆層3の表面摩擦力、言い換えれば、被覆線条体1の表面摩擦力とする。
上記第2の条件を満たすために、例えば、次のように紫外線光源42への投入電力及び線速を制御することは好適である。
すなわち、紫外線照射装置40におけるセンサ46により、透明管41を透過した紫外線のパワーをモニタする。上記センサ46によるモニタ結果を線速で除した値が、所定の範囲(第1の所定の範囲)になるように紫外線光源42への投入電力を制御装置60により調整する。この場合、所定の範囲は、第2の条件を満たす範囲である。この範囲は、被覆線条体1を製造する装置や樹脂ごとに異なるので、被覆線条体1の製造前に、予め実際に測定しておく。
上述したように不活性ガスを透明管41内に流しつつ樹脂を硬化させる場合であって、センサ46のモニタ結果に応じて紫外線光源42への投入電力及び線速を制御する際には、センサ46が、紫外線光源42の中心に、又は中心の位置からガス排出口45側に配置されていることが好適である。これは次の理由による。
透明管41の内面が曇れば、透明管41を透過する紫外線のパワーが変化する。そのため、センサ46のモニタ結果により曇りの程度が分かる。ところで、透明管41内に導入された不活性ガスは、ガス導入口44からガス排出口45側に流れるため、ガス排出口45側で曇りがより発生しやすい。センサ46が、上述したようにガス排出口45側に配置されていることから、透明管41内面の曇りの程度をより確実にモニタできる。そして、それに基づいて投入電力を制御するため、曇りの増加を確実に抑制できるようになるからである。
また、上述した被覆層3の硬化度が30%より小さい場合、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことを防止できる程度に樹脂は硬化していない。そのため、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつき、被覆線条体1を製造できなくなる場合がある。一方、被覆層3の硬化度が85%より大きい場合、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことを防止できる程度以上に樹脂は硬化している。そのため、透明管41に曇りが発生しやすくなっている。
そして、上記第3の条件を満たしている場合、線速上昇時において、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつことが防止できる程度に樹脂は硬化している。そのため、透明管41の内面における曇りの発生・増加を抑制しつつ、被覆線条体1を製造することができる。
ここで、被覆層3の硬化度の測定方法について説明する。先ず、被覆線条体1を溶液(例えば、エチルアルコールやアセトン)に浸して振動を加えて線条体2を取り除き、被覆線条体1から被覆層3を取り出す。そして、取り出された被覆層3を乾燥させた後に、被覆層3のヤング率Eを表1の条件で測定する。ヤング率Eは、2.5%伸び時の応力と断面積とから算出する。なお、上述したように被覆層3は、内層と外層との2層から構成されている。内層のヤング率は外層のヤング率よりも2桁程度小さい。そのため、測定されるヤング率は外層のヤング率とみなせる。
Figure 2005162521
樹脂に大過剰に紫外線(例えば、10kJ/m(1J/cm))を照射して樹脂を100%硬化させたときのヤング率Emaxを予め求めておき、E/Emaxを求めて硬化度とする。
上記第3の条件を満たすために、例えば、上記第2の条件の場合に説明したようにセンサ46のモニタ結果を利用することは好適である。すなわち、センサ46により、透明管41を透過した紫外線のパワーをモニタする。そのモニタ結果を線速で除した値が、所定の範囲(第1の所定の範囲)になるように紫外線光源42への投入電力を制御装置60により調整する。
この場合の所定の範囲は、第3の条件を満たす範囲である。第2の条件の場合と同様に、その範囲は、予め実際に測定しておく。なお、センサ46の位置が重要であることも第2の条件の説明で述べたとおりである。
また、線速上昇期間において、上記第1〜第3の条件の少なくとも1つを満たしつつ、次のように被覆線条体1を製造することは好適である。
すなわち、紫外線光源42への投入電力を5kW以下とすることは好適である。最大投入電力が6kWの紫外線光源を使用する場合は、投入電力を調整して最大投入電力よりも小さくする。線速上昇期間においては、被覆層3は、被覆線条体1がガイドローラ70、引取り手段71及び巻取りドラム80に貼りつかない程度に硬化しておればよい。紫外線光源42への投入電力を5kW以下とすることにより、被覆線条体1がガイドローラ70、引取り手段71及び巻取りドラム80に貼りつかないように樹脂を硬化させることができる。そのため、紫外線光源42への投入電力が5kWより大きい場合に比べて、透明管41内の曇りを抑制できる。これにより、線速上昇期間における透明管41の曇りが更に抑制されるので、一定線速になった際にも透明管41における累積的な曇りの量は少ない。したがって、より長時間連続して被覆線条体1を製造することができる。
なお、透明管41の曇りの程度に応じて紫外線光源42への投入電力を補償するためには、例えば、センサ46で実際にモニタされたモニタ結果に応じて制御装置60で紫外線光源42への投入電力を制御すればよい。
更に、線速上昇期間において、線速の上昇に応じて、紫外線光源42への投入電力を上げる、言い換えれば、紫外線光源42への投入電力を増加させることも好適である。
線速が上昇すると、線条体2が透明管41を通過する時間が短くなる。したがって、紫外線光源42への投入電力が一定であると、単位表面積あたりの樹脂に照射される紫外線量は減少する。紫外線光源42への投入電力を上げないと、紫外線量が不足して樹脂が未硬化となる。線速の上昇に応じて、紫外線光源42への投入電力を上げることにより、樹脂を確実に硬化させることができる一方、曇りが増えることもない。
以上説明したように本実施形態における被覆線条体1の製造方法においては、線速上昇期間において、透明管41に曇りが生じることや曇りが増加することは抑制される。したがって、被覆線条体1を製造する間(線速上昇時、及び、一定線速時)の透明管41内面における累積的な曇りの量も低減される。これにより、長時間連続して線条体2の被覆作業を続けられる、すなわち、長時間連続して被覆線条体1を製造することができる。そのため、長尺の被覆線条体1を効率よく製造することができ、生産性が高められる。
なお、本実施形態では、センサ46による紫外線のパワーのモニタ結果を、第2及び第3の条件を満たすように被覆線条体1を製造するために利用する方法をそれぞれ説明しているが、これに限らない。例えば、センサ46による紫外線のパワーのモニタ結果は、第1の条件を満たすように被覆線条体1を製造するために利用しても良い。この場合には、モニタ結果を線速で除した値が満たす所定の範囲は、第1の条件の範囲とすれば良い。また、この所定の範囲は、第1〜第3の条件間で一致していなくても、各条件における適性な範囲内であればよい。
更に、本実施形態では、センサ46により紫外線のパワーをモニタしているが、紫外線のモニタに限らなくても良い。図5は、紫外線照射装置の他の形態の構成を示す模式図である。図5に示す紫外線照射装置130においては、紫外線とは異なる波長の観測光を使用して曇りの程度をモニタする。紫外線照射装置130について説明する。紫外線照射装置130は、紫外線照射装置40と同様に透明管41、紫外線光源42及び反射鏡43を含んで構成されている。
紫外線照射装置130は、更に、紫外線と異なる波長の光を出力する観測光用光源131及びセンサ(第2のセンサ)132を有している。観測光用光源131及びセンサ132は、制御装置60に電気的に接続されている。
観測光用光源131は、紫外線と異なる光を出力できれば特に限定されないが、例えば、半導体レーザである。観測光用光源131は、紫外線照射装置130において透明管41などを保持する筐体133の外面に取り付けられている。観測光用光源131から出力された観測光は透明管41に照射される。観測光は、透明管41内において多重反射しながら透明管41の軸線方向に伝搬するように透明管41に入射される。なお、観測光用光源131を筐体133の外側に取り付ける場合には、観測光を透明管41に入射させるための開口を筐体133に形成しておけばよい。
センサ132は、透明管41内において多重反射しながら透明管41の軸線方向に伝搬した観測光のパワーをモニタする。センサ132は、例えば、フォトダイオードである。センサ132は、筐体133の外側に取り付けられている。この場合にも、センサ132が観測光を受光できるように筐体133には開口を形成しておけばよい。
ただし、紫外線照射装置130においては、センサ132のモニタ結果によって透明管41の内面に発生している曇りの程度を検知する。上述したように、センサ132は、透明管41内を多重反射しながら透明管41の軸線方向に伝搬した観測光のパワーをモニタしている。この場合、曇りの量が変化すればモニタ結果が変化するため、センサ132のモニタ結果の変化により曇りの程度が分かる。したがって、このモニタ結果は、上述したセンサ46のモニタ結果と同様に利用できる。
例えば、上述した第2の条件を満たすように被覆線条体1を製造するために、センサ132のモニタ結果を用いることができる。すなわち、センサ132のモニタ結果が、所定の範囲(第2の所定の範囲)内になるように紫外線光源42への投入電力を制御装置60により制御する。ここで、上記所定の範囲は、第2の条件に対応するものとすればよい。
ここで、センサ132が透明管41内を軸線方向に多重反射した観測光のパワーをモニタしていることが重要である。曇りは、透明管41の内面に必ずしも均一に発生しない。したがって、透明管41内で多重反射せずに透過した観測光のパワーをモニタする場合、観測光の透明管41への照射領域によっては、曇りの程度を正確に検知できないことがある。
センサ132のモニタ結果は、透明管41の軸線方向において観測光が伝搬している領域に成長した曇りの量を反映している。透明管41が曇るほどセンサ132で測定される観測光のパワーが大きくなり、それに応じて投入電力を調整できる。したがって、樹脂への紫外線照射量をより正確に調整できる。
なお、以上の説明では、多重反射した観測光のパワーをモニタしているが、センサ132は、透明管41を透過した観測光又は透明管41により反射した観測光のパワーをモニタしていればよい。ただし、多重反射した観測光のパワーをモニタすることが望ましいのは上述のとおりである。
更に、図5に示す紫外線照射装置130においては、観測光用光源131及びセンサ132は筐体133の外側に取り付けられているとしているが、筐体133内に配置されていてもよく、図5において、筐体133に対するセンサ132及び観測光用光源131の位置は、互いに反対になっていてもよい。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る被覆線条体の製造工程を説明する図である。本実施形態の製造方法では、3台の紫外線照射装置40A,40B,40Cを用いている点で第1の実施形態と相違する。なお、紫外線照射装置の数は、3台に限定されないが、以下では簡単のため、3台の場合について説明する。
3台の紫外線照射装置40A〜40Cは、線条体2の走行方向に順に配置されている。各紫外線照射装置40A〜40Cの構成は、第1の実施形態の紫外線照射装置40と同じである。
すなわち、各紫外線照射装置40A〜40Cは、透明管41A,41B,41C、紫外線光源42A,42B,42C、反射鏡43A,43B,43C及びセンサ(第3のセンサ)46A,46B,46Cを有している。各紫外線照射装置40A〜40Cが有する紫外線光源42A〜42C及びセンサ46A〜46Cは、制御装置60に電気的に接続されている。
また、透明管41A〜41Cの両端部には、ガス導入口44A〜44C及びガス排出口45A〜45Cが形成されている。そして、透明管41A〜41Cにはガス導入管50A〜50C及びガス排出管51A〜51Cが接続されており、各透明管41A〜41Cに不活性ガスが導入されるようになっている。
本実施形態においても、線引炉20で光ファイバ母材10が線引きされて線条体2が形成される。そして、その形成された線条体2に樹脂コーティングダイス30によって樹脂が塗布される。樹脂が塗布された線条体2は、走行方向に順に配置された各紫外線照射装置40A〜40C内に設けられている透明管41A〜41Cを通過する。この通過の際に、紫外線光源42A〜42Cのうちの少なくとも1つから紫外線が樹脂に照射されて樹脂が硬化される。これにより被覆層3が形成されて被覆線条体1が得られる。
なお、樹脂が硬化される際には、第1の実施形態と同様に、各透明管41A〜41C内には不活性ガスが導入される。
被覆層3が形成された線条体2である被覆線条体1は、第1の実施形態と同様にしてガイドローラ70及び引取り手段71を経て巻取りドラム80に巻き取られる。
本実施形態の被覆線条体の製造方法では、線速上昇期間において、各紫外線光源42A〜42Cへの投入電力及び線速を制御装置60により制御して、次の3つの条件のうちの少なくとも1つの条件を満たすようにする。
すなわち、第1の条件は、n台(ここでは、n=3)の紫外線照射装置40A〜40C内の紫外線光源42A〜42Cへの投入電力の和を線速(すなわち、線条体2の走行速度)で除した値を0.5W・min/m以上とし、各紫外線照射装置40A〜40C内の紫外線光源42A〜42Cへの投入電力を線速で除した値を50W・min/m以下の値とする。
第2の条件は、3台の紫外線照射装置40A〜40Cのうち、線条体2の走行方向において最後に位置する紫外線照射装置40Cを通過した後に形成されている被覆層3の表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とする。
第3の条件は、3台の紫外線照射装置40A〜40Cのうち、線条体2の走行方向において最後に位置する紫外線照射装置40Cを通過した後に形成されている被覆層3の硬化度を30%以上とし、各紫外線照射装置40A〜40Cを通過した後に形成されている被覆層の硬化度を85%以下とする。
なお、各紫外線照射装置40A〜40Cを通過した後に形成されている被覆層の硬化度とは、紫外線照射装置40Bを例に説明すると、紫外線照射装置40Bと紫外線照射装置40Cとの間を走行している間の線条体2に形成されている被覆層の硬化度の意味である。
上記第2の条件及び第3の条件における表面摩擦力及び硬化度は、第1の実施形態において説明した測定方法で測定されたものである。
上述した紫外線光源42A〜42Cへの投入電力の和を線速で除した値が、0.5W・min/mより小さいと、樹脂の硬化が不十分であり、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつき、被覆線条体1を製造できなくなる場合がある。
一方、各紫外線光源42A〜42Cにおいて、夫々への投入電力を線速で除した値が、50W・min/mより大きいと、樹脂は、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼り付くことを防止できる程度以上に硬化している。第1の実施形態において説明したように、線速上昇期間においては、樹脂は、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつかない程度に硬化しておればよい。そのため、各紫外線照射装置40A〜40Cにより樹脂に必要以上の紫外線が照射されていると、各透明管41A〜41Cのいずれかに曇りが発生しやすくなっている。
そして、上記第1の条件を満たしている場合、樹脂は、線速上昇期間において、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつかない程度に硬化している。そのため、各透明管41A〜41Cの内面における曇りの発生・増加を抑制しつつ、被覆線条体1を製造することができる。製造においては、第1の条件を満たすように制御装置60で各紫外線光源42A〜42Cへの投入電力を調整すればよい。
この第1の条件を満たす際には、線条体2の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置40Aの紫外線光源42への投入電力を線速で除した値を40W・min/m以下とすることが好ましい。線条体2の走行方向において上流側で紫外線が照射されると、各透明管(例えば、透明管41A)を通過しても、樹脂の一部の成分は樹脂から揮発しつづける。そのため、下流側の透明管(例えば、透明管41B,41C)に発生する曇りの量が多くなる。
したがって、上流側での紫外線照射量は少ないほうが良い。そして、紫外線光源42Aへの投入電力を線速で除した値を40W・min/m以下とすることよって、透明管41B,41Cの曇りを更に抑制できる。
また、上述したように、紫外線照射装置40Cを通過した後に形成されている被覆層3の表面摩擦力が0.3Nより小さい場合、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつかない程度以上の量の紫外線が樹脂に照射されている。この場合、紫外線照射装置40A〜40Cにより樹脂に必要以上の紫外線が照射されているため、各透明管41A〜41Cのいずれかに曇りが発生しやすくなっている。
一方、被覆層3の表面摩擦力が0.6Nより大きい場合、樹脂は、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことを防止できる程度に硬化していない。そのため、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつき、被覆線条体1を製造できなくなる場合がある。
そして、上記第2の条件を満たしている場合、樹脂は、線速上昇期間において、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつかない程度に硬化している。そのため、各透明管41A〜41Cの内面における曇りの発生・増加を抑制しつつ、被覆線条体1を製造することができる。
第2の条件を満たすために、例えば、次のように3つの紫外線光源42A〜42Cのうちの少なくとも1つの紫外線光源への投入電力を調整することが好ましい。
先ず、各紫外線照射装置40A〜40Cにおいて、紫外線光源42A〜42Cから出力された紫外線のうち、各透明管41A〜41Cを透過した紫外線をセンサ46A〜46Cによってモニタする。そして、各センサ46A〜46Cのモニタ結果の和を線速で除した値が所定の範囲(第3の所定の範囲)になるように、3つの紫外線光源42A〜42Cのうちの少なくとも1つの紫外線光源への投入電力を調整する。
この場合の所定の範囲は、本実施形態における第2の条件を満たす範囲であり、第1の実施形態の場合と同様に予め実際に測定しておく。
なお、透明管41A〜41Cに不活性ガスを導入しつつ樹脂を硬化させる場合に、各センサ46A〜46Cの位置が重要なのは第1の実施形態と同様である。より具体的には、各紫外線照射装置40A〜40Cにおいて、各センサ46A〜46Cが各紫外線光源42A〜42Cの中心に、又は中心からガス排出口45A〜45C側に配置されていることが望ましい。
上記第2の条件を満たす際には、線条体2の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置40Aによって形成された被覆層の表面摩擦力を0.4N以上とすることが好ましい。表面摩擦力が大きい場合、樹脂への紫外線照射量は少なくなっている。そして、紫外線照射装置40Aにおいて樹脂への紫外線の照射量が少ない又は樹脂に紫外線が照射されていなければ、樹脂の一部の成分は揮発しないか又は揮発していてもその量が少ない。そのため、下流側に位置する紫外線照射装置40B,40Cの透明管41B,41Cの曇りが抑制される。
更に、紫外線照射装置40Cを通過した後に形成されている被覆層3の硬化度が30%より小さい場合、樹脂の硬化が不十分で、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつき、被覆線条体1を製造できなくなる場合がある。
一方、各紫外線照射装置40A〜40Cを通過した後に形成されている被覆層の硬化度が、85%より大きい場合、樹脂は、被覆線条体1がガイドローラ70等へ貼りつくことを防止できる程度以上に硬化している。この場合、3台の紫外線照射装置40A〜40Cにより樹脂に必要以上の紫外線が照射されているため、各透明管41A〜41Cのいずれかに曇りが発生しやすくなっている。
そして、上記第3の条件を満たしている場合、樹脂は、線速上昇期間において、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつくことを防止できる程度に硬化している。そのため、各透明管41A〜41Cの内面における曇りの発生・増加を抑制しつつ被覆線条体1を連続して製造することができる。
第3の条件を満たすように被覆線条体1を製造するためには、例えば、次のようにすることが好適である。すなわち、各センサ46A〜46Cのモニタ結果が、各紫外線照射装置40A〜40Cを通過した後に形成されている被覆層の硬化度が85%以下という条件に対応する範囲内になるように各紫外線光源42A〜42Cへの投入電力を調整する。更に、センサ46A〜46Cのモニタ結果の和が、紫外線照射装置40Cを通過した後に被覆層3の硬化度が30%以上という条件に対応する範囲内になるように紫外線光源42A〜42Cのうちの少なくとも1つの紫外線光源への投入電力を調整することが好ましい。上述した各センサ46A〜46Cのモニタ結果及び、それらの和が満たすべき範囲は、予め実験で求めておく。
上記第3の条件を満たす際には、紫外線照射装置40Aによって形成された被覆層の硬化度を70%以下とすることが好ましい。硬化度が70%以下の場合、紫外線照射装置40Aの紫外線光源42Aによる樹脂への紫外線照射量は少なくなっている。そのため、上記第2の条件の説明で述べたのと同じ理由により、紫外線照射装置40B,40Cが有する透明管41B,41Cの曇りを更に低減できる。
また、上記第1〜第3の条件のうちの少なくとも1つを満たしつつ、以下のように被覆線条体1を製造することは好適である。
すなわち、線速上昇時のうち線速が100m/minより高い線速上昇期間において、3台の紫外線照射装置40A〜40Cのうち、線条体2の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置40Aの紫外線光源42Aの出力を4kW以下とし、かつ、紫外線照射装置40A以外の紫外線照射装置40B,40Cのうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源(例えば、紫外線光源40C)を点灯させることが好適である。
紫外線光源42Aの出力が4kW以下であることから透明管41Aの曇りの発生・増加が抑制される。ここで、紫外線照射装置40Aの透明管41Aを通過した段階で、樹脂は未硬化の場合がある。しかし、紫外線光源42B,42Cのうちの少なくとも1つが点灯しているので、3番目の紫外線照射装置40Cを通過した後では樹脂が硬化しているようにすることができる。
更に、線条体2の線速の上昇を開始させる際、線条体2の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置40A以外の紫外線照射装置40B,40Cのうちの少なくとも1つの紫外線照射装置の紫外線光源を点灯することが好適である。
この場合、線条体2の線速の上昇を開始させる際、すなわち、図3の低線速Vから線速を線速Vに向かって上げはじめる際に、紫外線光源42Aは消灯している。そのため、曇りが発生しやすい低線速Vにおいて、透明管41Aには曇りは生じない。一方、紫外線光源42B,42Cのうちの少なくとも1つの紫外線光源は点灯しているので、被覆線条体1がガイドローラ70等に貼りつかない程度に樹脂を硬化させることができる。
このように、紫外線光源42Aを消灯した状態で線速を上げ始めた場合には、線速が上昇するにつれて、線条体2の走行方向における最後の紫外線照射装置40Cから最初に位置する紫外線照射装置40Aに向かって順に紫外線光源42A〜42Cを点灯させることが好適である。
樹脂に紫外線が照射されたことによる樹脂の一部の成分の揮発は、紫外線が照射されなくなっても続く傾向にある。そのため、線条体2の上流側で樹脂に紫外線が照射されると、下流側の透明管(例えば、透明管41B,41C)の曇りの量が増加しやすい。特に、線条体2の線速が遅い場合にはその傾向にある。
上記のように、線速の上昇に応じて、下流側の紫外線光源42C側から上流側に向かって紫外線光源を点灯させれば、上流側で樹脂に紫外線が照射されることによって下流側の透明管が曇ることが抑制される。また、下流側の紫外線照射装置(例えば、紫外線照射装置40C)における紫外線光源を点灯させても、その点灯している紫外線光源を有する紫外線照射装置の上流の紫外線照射装置(例えば、紫外線照射装置40A)の透明管は曇らない。
したがって、線速の上昇に応じて、紫外線光源42Cから紫外線光源42Aに向かって順に点灯させることで、各透明管41A〜41Cの曇りを抑制できる。
ところで、この場合、透明管41C及び透明管41Bの曇りの量が多くなる傾向にあるが、例えば、次のように曇りを解消することができる。
透明管41Cを例にして説明する。線速が上がり少なくとも紫外線光源42Bが点灯してから、透明管41C内の酸素濃度を1%以上とする。このためには、透明管41Cへの不活性ガスの導入量を少なくしても良いし、酸素を含むガス(大気など)を供給する導入管を別に透明管41Cに接続して、そこから透明管41C内に酸素や大気を供給してもよい。
酸素濃度が高くなれば、透明管41C内の曇りが酸化分解して揮散する。そして、少なくとも紫外線照射装置40Bにおいて樹脂に紫外線が照射されているので、樹脂を硬化させることもできる。
なお、透明管41Cの曇りの程度は、例えば、センサ46Cによりモニタすることができる。そのため、被覆線条体1の製造において許容可能な曇りの程度に対応したセンサ46Cのモニタ結果を予め取得しておき、その範囲内にモニタ結果が入るように酸素濃度を調整すればよい。
また、線速上昇期間において、線速の上昇に応じて、各紫外線照射装置40A〜40Cの紫外線光源42A〜42Cの出力の和を増加させることも好ましい。線速が上昇すれば、線条体2が各透明管41A〜41Cを通過する時間も短くなる。したがって、紫外線光源42A〜42Cの出力が一定であると、単位表面積あたりの樹脂に照射される紫外線量は減少する。紫外線光源42A〜42Cの出力の和を上げないと、紫外線量が不足して樹脂が未硬化となる。
線速の上昇に応じて、紫外線光源42A〜42Cの出力の和を増加させることによって、樹脂を確実に硬化させることができる一方、各透明管41A〜41Cの曇りが増えることもない。
更に、紫外線光源42A〜42Cを点灯させている際に、紫外線照射装置40A以外の紫外線照射装置40B,40Cが有している透明管41B,41C内の酸素濃度を0.5%以上としておくことは好適である。酸素濃度が0.5%以上の場合、曇りが生じにくいからである。
曇りの発生・増加を抑制する観点からは紫外線が照射されている透明管41A〜41C内の酸素濃度も高くしておくことが望ましい。
しかし、酸素濃度が高いと樹脂の硬化が阻害される。紫外線が照射されている透明管41A〜41Cのうち線条体2が最初に通過する透明管41A内の酸素濃度が高いと、樹脂の表面の硬化が酸素により阻害される傾向にある。最初に紫外線が樹脂に照射される場合に酸素により樹脂の表面の硬化が阻害されると、下流側の透明管41B,41Cにおいて樹脂に紫外線を照射しても表面の硬化度が改善されにくい。
樹脂の表面の硬化が阻害されないようにする観点から、紫外線光源42A〜42Cを点灯させている際に、線条体2の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置40A内に設けられた透明管41A内の酸素濃度を2%以下とすることが好適である。なお、この場合、他の紫外線照射装置40B,40C内の酸素濃度が0.5%以上であることが更に好ましい。
なお、透明管41B,41C内の酸素濃度を0.5%以上とすることや、透明管41Aの酸素濃度を2%以下とすることは、3つの紫外線光源42A〜42Cが全て点灯している場合について説明したがこれに限定されない。
3つの紫外線光源42A〜42Cのうち少なくとも2つの紫外線光源が点灯している場合について説明する。この場合には、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の透明管内の酸素濃度を0.5%以上としておけば良い。また、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置の透明管内の酸素濃度を2%以下としておけば良い。
また、酸素濃度の調整は、上述したように各透明管41A〜41Cへの不活性ガスの導入量を少なくしても良いし、酸素を供給する導入管を別に各透明管41A〜41Cに接続していても良い。
本実施形態の被覆線条体の製造方法では、3台の紫外線照射装置40を用いて被覆線条体1を製造している。したがって、1台の紫外線照射装置で被覆線条体1を製造する場合よりも、各紫外線照射装置40A〜40C内の紫外線光源42A〜42Cから出力される紫外線のパワーを低くしながら被覆線条体1を製造することも可能である。そのため、各透明管41A〜41Cの内面に曇りが生じにくい。
また、上述したように、センサ46A〜46Cにより各透明管41A〜41Cの曇りの程度をモニタし、モニタ結果に応じて各透明管41A〜41C内の酸素濃度を調整すれば、線速上昇時の各透明管41A〜41C内の曇りの量を更に抑制しつつ被覆線条体1を製造することもできる。
以上述べたように、本実施形態の被覆線条体の製造方法によれば、線速、すなわち、線条体2の走行速度が上昇する間において、各透明管41A〜41Cの曇りの発生・増加を抑制しつつ被覆線条体1を製造することができる。この製造方法においては、線速上昇時において続けて被覆線条体1を製造でき、線速上昇期間において、各透明管41A〜41Cの曇りの量が少ないため、一定の線速になった際に各透明管41A〜41Cの曇りの量も少なくなっている。そのため、より長尺の被覆線条体1を製造することに有効である。
なお、以上の説明では、センサ46A〜46Cによる紫外線のパワーのモニタ結果を、本実施形態における第2及び第3の条件を満たすように被覆線条体1を製造するために利用する方法をそれぞれ説明しているが、例えば、第1の条件を満たすように被覆線条体1を製造するために利用しても良い。この場合には、モニタ結果の和を線速で除した値が満たす範囲は、紫外線光源40A〜40Cへの投入電力の和を走行速度で除した値が0.5W・m/min以上に対応する範囲内にあればよく、各モニタ結果が満たす範囲は、各紫外線光源40A〜40Cへの投入電力を線速で除した値が50W・m/min以下に対応する範囲内にあればよい。
また、各センサ46A〜46Cのモニタ結果の和を線速で除した値が満たす所定の範囲は、第1〜第3の条件間で一致していなくても、各条件における適性な範囲内であればよい。
なお、本実施形態における以上の説明では、図2に示された紫外線照射装置40と同様の構成の紫外線照射装置40A〜40Cを用いて被覆線条体1を製造しているが、例えば、図5の紫外線照射装置130を複数(例えば、3台)用いて被覆線条体1を製造しても良い。3台の紫外線照射装置130を用いて被覆線条体1を製造する場合を例にして説明する。
この場合、各透明管41A〜41Cの曇りの程度を、3台の紫外線照射装置130における各紫外線照射装置130のセンサ132によりモニタする。3台の紫外線照射装置130におけるセンサ132のモニタ結果は、センサ46A〜46Cのモニタ結果と同様に利用することができる。
例えば、3台の紫外線照射装置130におけるセンサ132のモニタ結果の和が所定の範囲(第4の所定の範囲)となるように紫外線光源42A〜42Cのうちの少なくとも1つの紫外線光源への投入電力を調整する。ここで、所定の範囲とは、本実施形態における第2の条件の少なくとも1つに対応した範囲であって、予め実験により求めておく。第2の条件に対する利用法を説明したが、3台の紫外線照射装置130におけるセンサ132のモニタ結果、及び、その和は、センサ46A〜46Cのモニタ結果、及びその和を本実施形態の第1及び第3の条件を満たすために用いた場合と同様に利用してもよい。
なお、3台の紫外線照射装置130におけるセンサ132が、透明管41A〜41Cに照射された観測光のうち、各透明管41A〜41C内において多重反射しながら透明管41A〜41Cの軸線方向に伝搬した観測光を受光することが好ましいのは上述したとおりである。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
例えば、第1及び第2の実施形態では、紫外線照射装置40,40A〜40Cには、センサ46,46A〜46Cを配置しているが、必ずしもセンサ46,46A〜46Cを配置していなくても良い。センサ46,46A〜46Cを配置していない場合には、例えば、第1及び第2の実施形態における第1の条件を満たすように被覆線条体を製造すればよい。
また、第2の実施形態では、3つの紫外線照射装置40A〜40Cを用いて被覆線条体1を製造する方法を説明したが、3つに限る必要はない。被覆線条体の製造に用いられる紫外線照射装置の数は、2台であってもよいし、4台以上であってもよい。
更に、第1及び第2の実施形態では、線条体は光ファイバ母材が線引きされて形成されたファイバガラスとし、被覆線条体は光ファイバ素線としているが必ずしもこれに限られない。例えば、線条体を光ファイバ素線として、その光ファイバ素線に更に樹脂を被覆したものを被覆線条体としても良い。
被覆線条体の斜視図である。 第1の実施形態に係る被覆線条体の製造工程を説明する図である。 線条体の線速の時間変化を示した模式図である。 表面摩擦力の測定工程を示す模式図である。 紫外線照射装置の他の形態の構成を示す模式図である。 第2の実施形態に係る被覆線条体の製造工程を説明する図である。
符号の説明
1…被覆線条体、2…線条体、3…被覆層、40,40A〜40C…紫外線照射装置、41,41A〜41C…透明管、42,42A〜42C…紫外線光源、45,45A〜45C…ガス排出口、46,46A〜46C…センサ(第1のセンサ)、130…紫外線照射装置、132…センサ(第2のセンサ)。

Claims (23)

  1. 線条体に樹脂を塗布し、紫外線照射装置内に設けられ紫外線に対して透光性を有する透明管内に前記樹脂が塗布された前記線条体を通過させると共に、前記紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を前記樹脂に照射して前記樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、
    前記線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、前記紫外線光源への投入電力を前記走行速度で除した値を0.5W・min/m以上50W・min/m以下の値とすることを特徴とする被覆線条体の製造方法。
  2. 線条体に樹脂を塗布し、紫外線照射装置内に設けられ紫外線に対して透光性を有する透明管内に前記樹脂が塗布された前記線条体を通過させると共に、前記紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を前記樹脂に照射して前記樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、
    前記線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、前記紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とすることを特徴とする被覆線条体の製造方法。
  3. 線条体に樹脂を塗布し、紫外線照射装置内に設けられ紫外線に対して透光性を有する透明管内に前記樹脂が塗布された前記線条体を通過させると共に、前記紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を前記樹脂に照射して前記樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、
    前記線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、前記紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の硬化度を30%以上85%以下とすることを特徴とする被覆線条体の製造方法。
  4. 前記線速上昇期間において、前記紫外線光源への投入電力を5kW以下とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  5. 前記線速上昇期間における前記走行速度の上昇に応じて、前記紫外線光源への投入電力を増加させることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  6. 前記紫外線光源から出力された紫外線のパワーをモニタし、モニタ結果を前記線条体の走行速度で除した値が第1の所定の範囲内となるように前記紫外線光源への投入電力を調整することを特徴とする請求項1〜請求項5のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  7. 前記透明管内にガスを流し、前記紫外線光源から出力された紫外線のうち、前記透明管を透過した紫外線又は前記透明管により反射した紫外線のパワーを、前記線条体の走行方向において前記紫外線光源の中心に、又は中心から前記ガスの排出口側に配置された第1のセンサによってモニタすることを特徴とする請求項6に記載の被覆線条体の製造方法。
  8. 前記透明管に観測光を照射し、前記透明管に照射された前記観測光のうち、前記透明管を透過した観測光又は前記透明管により反射した観測光のパワーを、前記透明管の外に配置された第2のセンサによりモニタし、モニタ結果を前記線条体の走行速度で除した値が第2の所定の範囲内となるように前記紫外線光源への投入電力を調整することを特徴とする請求項1〜請求項7のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  9. 線条体に樹脂を塗布し、前記線条体の走行方向に順に配置された複数の紫外線照射装置における各紫外線照射装置内に設けられており紫外線に対して透光性を有する透明管内に前記樹脂が塗布された前記線条体を通過させると共に、前記複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を前記樹脂に照射して前記樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、
    前記線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、前記複数の紫外線照射装置における各紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力の和を前記走行速度で除した値を0.5W・min/m以上とし、各紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を前記走行速度で除した値を50W・min/m以下の値とすることを特徴とする被覆線条体の製造方法。
  10. 前記線速上昇期間において、前記複数の紫外線照射装置のうち前記線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を前記走行速度で除した値を40W・min/m以下の値とすることを特徴とする請求項9に記載の被覆線条体の製造方法。
  11. 線条体に樹脂を塗布し、前記線条体の走行方向に順に配置された複数の紫外線照射装置における各紫外線照射装置内に設けられており紫外線に対して透光性を有する透明管内に前記樹脂が塗布された前記線条体を通過させると共に、前記複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を前記樹脂に照射して前記樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、
    前記線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、前記複数の紫外線照射装置のうち前記走行方向において最後に位置する紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の表面摩擦力を0.3N以上0.6N以下とすることを特徴とする被覆線条体の製造方法。
  12. 前記線速上昇期間において、前記複数の紫外線照射装置のうち前記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置を通過することによって形成された被覆層の表面摩擦力を0.4N以上とすることを特徴とする請求項11に記載の被覆線条体の製造方法。
  13. 線条体に樹脂を塗布し、前記線条体の走行方向に順に配置された複数の紫外線照射装置における各紫外線照射装置内に設けられており紫外線に対して透光性を有する透明管内に前記樹脂が塗布された前記線条体を通過させると共に、前記複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源から紫外線を前記樹脂に照射して前記樹脂を硬化させることによって被覆層を形成して被覆線条体を製造する方法であって、
    前記線条体の走行速度を100m/minから上昇させる線速上昇期間において、前記複数の紫外線照射装置のうち前記走行方向において最後に位置する紫外線照射装置を通過した後に形成されている被覆層の硬化度を30%以上とし、前記各紫外線照射装置内を通過した後に形成されている被覆層の硬化度を85%以下とすることを特徴とする被覆線条体の製造方法。
  14. 前記線速上昇期間において、前記複数の紫外線照射装置のうち前記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置を通過することによって形成された被覆層の硬化度を70%以下とすることを特徴とする請求項13に記載の被覆線条体の製造方法。
  15. 前記線速上昇期間において、前記複数の紫外線照射装置のうち前記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を4kW以下とし、かつ、前記最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯することを特徴とする請求項9〜請求項14のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  16. 前記線条体の走行速度の上昇を開始させる際に、前記複数の紫外線照射装置のうち前記走行方向において最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯させることを特徴とする請求項9〜請求項15のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  17. 前記走行速度の上昇に応じて、前記複数の紫外線照射装置のうち前記走行方向において最後に位置する紫外線照射装置から最初に位置する紫外線照射装置に向かって順に各紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯していくことを特徴とする請求項16に記載の被覆線条体の製造方法。
  18. 前記線速上昇期間において前記走行速度の上昇に応じて、各紫外線照射装置の紫外線光源への投入電力の和を増加させることを特徴とする請求項9〜請求項17のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  19. 各紫外線照射装置内の紫外線光源から出力された紫外線のパワーをモニタして、各紫外線照射装置におけるモニタ結果の和を前記線条体の走行速度で除した値が第3の所定の範囲内となるように前記複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を調整することを特徴とする請求項9〜請求項18のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  20. 各紫外線照射装置において、前記透明管内にガスを流し、前記紫外線光源から出力された紫外線のうち、前記透明管を透過した紫外線又は前記透明管により反射した紫外線のパワーを、前記走行方向において前記紫外線光源の中心に、又は中心から前記ガスの排出口側に設けられた第3のセンサによってモニタすることを特徴とする請求項19に記載の被覆線条体の製造方法。
  21. 各紫外線照射装置において、前記透明管に観測光を照射し、前記透明管に照射された観測光のうち、前記透明管を透過した観測光又は前記透明管により反射した観測光のパワーを、前記透明管の外に配置された第4のセンサによりモニタし、
    前記各紫外線照射装置の第4のセンサによるモニタ結果の和を前記線条体の走行速度で除した値が第4の所定の範囲内となるように前記複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも1つの紫外線照射装置内の紫外線光源への投入電力を調整することを特徴とする請求項9〜請求項20のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  22. 前記複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも2つの紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯させ、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち前記線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置以外の紫外線照射装置内に設けられた透明管内の酸素濃度を0.5%以上とすることを特徴とする請求項9〜請求項21のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
  23. 前記複数の紫外線照射装置のうちの少なくとも2つの紫外線照射装置内の紫外線光源を点灯させ、紫外線光源が点灯している紫外線照射装置のうち前記線条体の走行方向において最初に位置する紫外線照射装置内に設けられた透明管内の酸素濃度を2%以下とすることを特徴とする請求項9〜請求項22のうちの何れか1項に記載の被覆線条体の製造方法。
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JP2006312563A (ja) * 2005-05-06 2006-11-16 Fujikura Ltd 光ファイバ被覆硬化方法及び紫外線硬化装置、光ファイバ製造方法及び製造装置
JP2012025611A (ja) * 2010-07-22 2012-02-09 Furukawa Electric Co Ltd:The 光ファイバ素線の製造方法
WO2022264899A1 (ja) * 2021-06-18 2022-12-22 株式会社フジクラ マーク付き光ファイバ素線の製造方法、及び、光ファイバケーブル

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