前述した特許文献1に記載された射出成形機では、シリンダ内から成形材料を金型内に押し出すプランジャを動作させる油圧シリンダの油圧を圧力センサが検出することで、前述した金型内の成形材料の圧力を検出している。このように、金型内の成形材料の圧力を直接検出していないとともに、金型内の成形材料から離れた油圧シリンダの油圧を検出している。このため、金型内の成形材料の圧力を正確に検出することが困難となり、成形品の良否を正確に判定することが困難である傾向であった。
したがって、本発明の目的は、成形品の良否を正確に判定することができる射出成形機及び成形品の判定方法を提供することにある。
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の射出成形機は、筒状に形成されかつ押圧部材を収容しかつ可塑化された成形材料が充填されるとともに一端部の開口を通して前記成形材料を金型のキャビティ内に射出可能な筒状のシリンダと、出力軸を軸芯周りに回転することで前記押圧部材を前記シリンダの長手方向に沿って移動する駆動源と、を備え、前記シリンダ内に前記成形材料を充填して前記押圧部材を前記開口から遠ざけておき、前記駆動源が予め定められた所定の速度で前記押圧部材を前記開口に近づけて前記開口を通して前記成形材料を前記金型のキャビティ内に射出し、前記押圧部材が前記開口に予め定められた所定の距離近づくと、前記駆動源の出力軸を予め定められた所定のトルクで予め定められた所定の時間回転して、前記金型のキャビティ内に成形材料を射出して、成形品を成形する射出成形機において、前記所定の速度で前記押圧部材を前記開口に近づけて前記成形材料を前記金型のキャビティ内に射出する間の前記駆動源の出力軸のトルクを時間で積分した第1の値と、前記駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の前記押圧部材の移動距離と、に基づいて、前記成形品の良否を判定する判定手段を備えたことを特徴としている。
請求項2に記載の本発明の射出成形機は、請求項1に記載の射出成形機において、前記判定手段は、前記第1の値と前記移動距離とを種々変更した際の前記成形品の良否の境の前記第1の値と前記移動距離との第1の関係を記憶しており、前記成形品を成形した時の前記第1の値と前記移動距離と前記第1の関係に基づいて、前記成形品の良否を判定することを特徴としている。
請求項3に記載の本発明の射出成形機は、請求項1または請求項2に記載の射出成形機において、前記金型には前記キャビティ内に射出された成形材料の圧力を検出する検出手段が取り付けられており、前記判定手段は、前記駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の前記押圧部材の移動距離と、前記駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の前記検出手段が検出した圧力を時間で積分した第2の値と、に基づいて、前記成形品の良否を判定することを特徴としている。
請求項4に記載の本発明の射出成形機は、請求項3に記載の射出成形機において、前記判定手段は、前記移動距離と前記第2の値を種々変更した際の前記成形品の良否の境の前記移動距離と前記第2の値との第2の関係を記憶しており、前記成形品を成形した時の前記移動距離と前記第2の値と前記第2の関係に基づいて、前記成形品の良否を判定することを特徴としている。
請求項5に記載の本発明の成形品の良否判定方法は、筒状に形成されかつ押圧部材を収容しかつ可塑化された成形材料が充填されるとともに一端部の開口を通して前記成形材料を金型のキャビティ内に射出可能な筒状のシリンダと、出力軸を軸芯周りに回転することで前記押圧部材を前記シリンダの長手方向に沿って移動する駆動源と、を備え、前記シリンダ内に前記成形材料を充填して前記押圧部材を前記開口から遠ざけておき、前記駆動源が予め定められた所定の速度で前記押圧部材を前記開口に近づけて前記開口を通して前記成形材料を前記金型のキャビティ内に射出し、前記押圧部材が前記開口に予め定められた所定の距離近づくと、前記駆動源の出力軸を予め定められた所定のトルクで予め定められた所定の時間回転して、前記金型のキャビティ内に成形材料を射出して、成形品を成形する射出成形機の成形品の良否判定方法において、前記所定の速度で前記押圧部材を前記開口に近づけて前記成形材料を前記金型のキャビティ内に射出する間の前記駆動源の出力軸のトルクを時間で積分した第1の値と、前記駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の前記押圧部材の移動距離と、に基づいて、前記成形品の良否を判定することを特徴としている。
請求項6に記載の本発明の成形品の良否判定方法は、請求項5に記載の成形品の良否判定方法において、前記第1の値と前記移動距離とを種々変更した際の前記成形品の良否の境の前記第1の値と前記移動距離との第1の関係と、前記成形品を成形した時の前記第1の値と、前記移動距離とに基づいて、前記成形品の良否を判定することを特徴としている。
請求項7に記載の本発明の成形品の良否判定方法は、請求項5または請求項6に記載の成形品の良否判定方法において、前記駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の前記押圧部材の移動距離と、前記駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の前記キャビティ内に射出された成形材料の圧力を時間で積分した第2の値と、に基づいて、前記成形品の良否を判定することを特徴としている。
請求項8に記載の本発明の成形品の良否判定方法は、請求項7に記載の成形品の良否判定方法において、前記移動距離と前記第2の値を種々変更した際の前記成形品の良否の境の前記移動距離と前記第2の値との第2の関係と、前記成形品を成形した時の前記移動距離と、前記第2の値とに基づいて、前記成形品の良否を判定することを特徴としている。
すなわち、本発明の出願人は、前述した射出充填フェーズと、保圧フェーズとにわけて金型内に可塑化された成形材料を射出する射出成形機において、射出充填フェーズで射出された成形材料が比較的少ない(多い)と保圧フェーズで射出される成形材料が比較的多く(少なく)なることに着目した。
前述した射出充填フェーズと、保圧フェーズとにわけて金型内に可塑化された成形材料を射出する射出成形機では、成形品を成形する際に、押圧部材の移動速度と、金型内の圧力と、駆動源のトルクが、図11に示すように、変化する。図11中の実線は、押圧部材の移動速度を示し、図11中の一点鎖線は、駆動源のトルクを示し、図11中の二点鎖線は、金型内の圧力を示す。また、図11中の範囲Aは、前述した射出充填フェーズを示し、図1中の範囲Bは、前述した保圧フェーズを示している。
図11に示すように、押圧部材の移動速度と金型内の圧力と駆動源のトルクとが変化する射出成形機では、射出充填フェーズAで射出された成形材料が比較的少ない場合即ち射出する際の成形材料の抵抗が比較的小さい場合には、シリンダ内から成形材料を金型内に押し出す前記押圧部材を移動するために回転する出力軸を備えた駆動源のトルクが低くなる傾向であった。一方、射出充填フェーズAで射出された成形材料が比較的多い場合即ち射出する際の成形材料の抵抗が比較的大きな場合には、前記駆動源のトルクが高くなる傾向であった。
また、保圧フェーズBで射出される成形材料が比較的多い時には、勿論押圧部材の移動距離が長くなる。一方、保圧フェーズBで射出される成形材料が比較的少ない時には、勿論押圧部材の移動距離が短くなる。
このように、射出充填フェーズAでの駆動源のトルク及び該トルクを時間で積分して得られる第1の値(図1中に平行斜線Cで示す部分の面積)と、前記保圧フェーズBでの押圧部材の移動距離(図1中に平行斜線Dで示す部分の面積)とは反比例することが考えられる。また、実際に本発明の出願人は、前記射出充填フェーズAでの駆動源のトルク及び該トルクを時間で積分して得られる第1の値Cと、前記保圧フェーズBでの押圧部材の移動距離Dとを種々変更して成形品を複数成形し、この際のショートショット(充填不良)の有無即ち成形品の良否を目視にて確認した。結果を、図9に示す。
図9中の白丸が良品を示し、図9中の黒丸が不良品を示している。図9によれば、良品と不良品との境即ち良否の境として、第1の関係としての第1の境界Gが得られる。この第1の境界G上では、成形品は良品である。この第1の境界Gは、移動距離をFxとし、第1の値をXとすると、以下の式1の関係を満たし、直線をなす。
Fx=aX+b(a,bは定数)……式1
このように、射出充填フェーズAでの駆動源のトルク及び該トルクを時間で積分して得られる第1の値Cと、前記保圧フェーズBでの押圧部材の移動距離Dとに基づいて、成形品の良否を判定することで、成形品の良否を正確に判定できることが明らかになった。
また、本発明の出願人は、図11に示すように、押圧部材の移動速度と金型内の圧力と駆動源のトルクとが変化する射出成形機では、保圧フェーズBで射出される成形材料が比較的少ないと保圧フェーズBでの金型内の圧力が比較的低くなり、保圧フェーズBで射出される成形材料が比較的多いと保圧フェーズBでの金型内の圧力が比較的高くなることに着目した。
保圧フェーズBで射出される成形材料が比較的少ない場合には、射出する際の成形材料の抵抗が比較的小さくなり、保圧フェーズBでの金型内の圧力が比較的低くなる。また、保圧フェーズBで射出される成形材料が比較的少ない場合には、勿論、押圧部材の移動距離が短くなる。
保圧フェーズBで射出される成形材料が比較的多い場合には、射出する際の成形材料の抵抗が比較的大きくなり、保圧フェーズBでの金型内の圧力が比較的高くなる。また、保圧フェーズBで射出される成形材料が比較的多い場合には、勿論、押圧部材の移動距離が長くなる。
このように、保圧フェーズBでの押圧部材の移動距離(図11中に平行斜線Dで示す部分の面積)と、保圧フェーズBでの金型内の圧力及び該圧力を時間で積分して得られる第2の値(図11中に平行斜線Eで示す部分の面積)と、は比例することが考えられる。また、実際に本発明の出願人は、前記保圧フェーズBでの押圧部材の移動距離Dと、保圧フェーズBでの金型内の圧力及び該圧力を時間で積分して得られる第2の値Eと、を種々変更して成形品を複数成形し、この際のショートショット(充填不良)の有無即ち成形品の良否を目視にて確認した。結果を、図10に示す。
図10中の白丸が良品を示し、図10中の黒丸が不良品を示している。図10によれば、良品と不良品との境として、第2の関係としての第2の境界Hが得られる。この第2の境界H上では、成形品は良品である。この第2の境界Hは、前述した第2の値をFcとし、移動距離をyとすると、以下の式2の関係を満たし、直線をなす。
Fc=cy+d(c,dは定数)……式2
このように、保圧フェーズBでの押圧部材の移動距離Dと、保圧フェーズBでの金型内の圧力及び該圧力を時間で積分して得られる第2の値Eとに基づいて、成形品の良否を判定することで、成形品の良否を正確に判定できることが明らかになった。
請求項1に記載の本発明の射出成形機によれば、所定の速度で押圧部材を開口に近づいて金型内に成形材料を射出する間の駆動源のトルクを時間で積分して得られる第1の値と、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の押圧部材の移動距離とに基づいて、成形品の良否を判定する。このため、成形品の良否を正確に判定できる。
請求項2に記載の本発明の射出成形機によれば、良否の境即ち良品と不良品の境の第1の値と移動距離との第1の関係に基づいて、成形品の良否を判定する。このため、成形品の良否をより正確に判定できる。
請求項3に記載の本発明の射出成形機によれば、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の押圧部材の移動距離と、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の金型内の圧力を時間で積分して得られる第2の値とに基づいて、成形品の良否を判定する。このため、成形品の良否をより確実に判定できる。
請求項4に記載の本発明の射出成形機によれば、良否の境即ち良品と不良品の境の移動距離と第2の値との第2の関係に基づいて、成形品の良否を判定する。このため、成形品の良否をより一層確実に判定できる。
請求項5に記載の本発明の成形品の良否判定方法によれば、所定の速度で押圧部材を開口に近づいて金型内に成形材料を射出する間の駆動源のトルクを時間で積分して得られる第1の値と、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の押圧部材の移動距離とに基づいて、成形品の良否を判定する。このため、成形品の良否を正確に判定できる。
請求項6に記載の本発明の成形品の良否判定方法によれば、良否の境即ち良品と不良品の境の第1の値と移動距離との第1の関係に基づいて、成形品の良否を判定する。このため、成形品の良否をより正確に判定できる。
請求項7に記載の本発明の成形品の良否判定方法によれば、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の押圧部材の移動距離と、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の金型内の圧力を時間で積分して得られる第2の値とに基づいて、成形品の良否を判定する。このため、成形品の良否をより確実に判定できる。
請求項8に記載の本発明の成形品の良否判定方法によれば、良否の境即ち良品と不良品の境の移動距離と第2の値との第2の関係に基づいて、成形品の良否を判定する。このため、成形品の良否をより一層確実に判定できる。
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、第1の値と、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の押圧部材の移動距離とに基づいて成形品の良否を判定するので、成形品の良否を正確に判定できる。
請求項2に記載の本発明は、第1の値と移動距離との第1の関係に基づいて、成形品の良否を判定するので、成形品の良否をより正確に判定できる。
請求項3に記載の本発明は、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の押圧部材の移動距離と、第2の値とに基づいて、成形品の良否を判定するので、成形品の良否をより確実に判定できる。
請求項4に記載の本発明は、移動距離と第2の値との第2の関係に基づいて、成形品の良否を判定するので、成形品の良否をより一層確実に判定できる。
請求項5に記載の本発明は、第1の値と、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の押圧部材の移動距離とに基づいて成形品の良否を判定するので、成形品の良否を正確に判定できる。
請求項6に記載の本発明は、第1の値と移動距離との第1の関係に基づいて、成形品の良否を判定するので、成形品の良否をより正確に判定できる。
請求項7に記載の本発明は、駆動源の出力軸を所定のトルクで回転する間の押圧部材の移動距離と、第2の値とに基づいて、成形品の良否を判定するので、成形品の良否をより確実に判定できる。
請求項8に記載の本発明は、移動距離と第2の値との第2の関係に基づいて、成形品の良否を判定するので、成形品の良否をより一層確実に判定できる。
以下、本発明の一実施形態にかかる射出成形機1を、図1ないし図12に基づいて説明する。本発明の一実施形態にかかる射出成形機1(図1に示す)は、例えば、図12に示すコネクタ2のコネクタハウジング3(成形品に相当)を成形する装置である。
コネクタハウジング3は、成形材料としての絶縁性の合成樹脂からなり箱状に形成されている。コネクタハウジング3は、複数の端子収容室4を備えている。端子収容室4は、直線状に延びかつコネクタハウジング3を貫通した孔(空間)である。端子収容室4は、電線5が取り付けられた端子金具6を収容する。
コネクタハウジング3は、所定の端子収容室4に電線5が取り付けられた端子金具6を収容して、コネクタ2を構成する。コネクタ2は、相手側のコネクタなどと嵌合して、自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。
射出成形機1は、図1に示すように、金型部7と、射出機8と、判定手段としての制御装置9とを備えている。金型部7は、互いに接離自在に設けられた一対の金型10,11と、これらの金型10,11を互いに接離させる移動機構12とを備えている。
一対の金型10,11間には、キャビティ13と、このキャビティ13に連なるランナ14とが設けられ、図1中右側に位置する一方の金型10には前記ランナ14に連なる注入孔15が設けられている。キャビティ13は、前述した金型10,11が互いに近づいた際に、これらの金型10,11間に設けられる空間である。キャビティ13の形状は、前述したコネクタハウジング3の外形に沿っている。ランナ14は、一端がキャビティ13に連なる金型10,11を貫通した孔である。注入孔15は、前述した一方の金型10の外面に開口し、ランナ14に連なった孔である。
移動機構12は、他方の金型11を取り付ける可動盤16に揺動自在に連結したトグルリンク17と、該トグルリンク17を揺動させる図示しない油圧シリンダなどを備えている。移動機構12は、油圧シリンダが、トグルリンク17を揺動することで、他方の金型11を一方の金型10に接離させる。なお、接離とは、互いに近づいたり離れたりすることである。
また、前述した金型10,11には、検出部18が取り付けられている。検出部18は、棒状に形成された検出棒19と、検出手段としての例えば歪みゲージなどからなる圧力センサ20とを備えている。検出棒19は、一端がランナ14内に面した状態で、他方の金型11に取り付けられている。検出棒19は、ランナ14内即ちキャビティ13内に成形材料としての合成樹脂I(図3などに示す)が射出されると、該合成樹脂Iの圧力により押圧されて歪む。この検出棒19の歪み(弾性変形量)は、キャビティ13内の合成樹脂の圧力に対応している。
圧力センサ20は、検出棒19に取り付けられ、前記制御装置9に接続している。圧力センサ20は、検出棒19の歪み(弾性変形量)に応じた情報を制御装置9に向かって出力する。圧力センサ20は、検出棒19の歪みを検出することで、キャビティ13内の合成樹脂Iの圧力即ち金型10,11内の圧力を検出する。圧力センサ20は、検出棒19の歪みに応じた情報を制御装置9に向かって出力することで、金型10,11内の圧力に応じた情報を制御装置9に向かって出力する。
射出機8は、シリンダ部21と、回転移動部22と、スライド移動部23とを備えている。シリンダ部21は、シリンダとしての加熱シリンダ24と、押圧部材としてのスクリュー25などを備えている。加熱シリンダ24は、筒状に形成されている。加熱シリンダ24は、その長手方向(軸芯方向)が、一対の金型10,11が互いに接離する方向と平行に配されている。加熱シリンダ24は、一対の金型10,11が互いに接離する方向に沿って、一端部24aの開口26が一方の金型10の注入孔15に相対している。また、加熱シリンダ24の一端部24aは、開口26に向かうにしたがって、徐々に先細になるように形成されている。
加熱シリンダ24は、内側にスクリュー25を収容する。加熱シリンダ24の外表面には、加熱用ヒータが複数取り付けられている。また、加熱シリンダ24には、筒状のホッパ27が取り付けられている。加熱シリンダ24は、ホッパ27を介して、成形材料としてのチップ状の合成樹脂Iが充填される。加熱シリンダ24は、充填されたチップ状の合成樹脂Iを加熱流動化(可塑化)する。このように、加熱シリンダ24は、可塑化された合成樹脂Iが充填される。また、加熱シリンダ24は、開口26が注入孔15に近づいて、該開口26を通して可塑化された合成樹脂を注入孔15、ランナ14を介して、キャビティ13内に射出可能になっている。
スクリュー25は、棒状に形成されており、加熱シリンダ24内に収容されている。スクリュー25は、加熱シリンダ24内に収容されると、その長手方向(軸芯方向)が加熱シリンダ24の長手方向(軸芯方向)と平行になる。また、スクリュー25は、加熱シリンダ24の長手方向に沿って移動自在に設けられている。スクリュー25の外周面には、螺旋状に突起28が設けられている。スクリュー25は、軸芯周りに回転することで、突起28間に位置する合成樹脂Iを前記開口26に向かって移動させる。また、スクリュー25は、開口26に向かって押圧されることで、加熱シリンダ24内の可塑化された合成樹脂Iを開口26に向かって押し出す。
回転移動部22は、モータ29と、プーリ30とを備えている。モータ29は、周知の電動機であり、軸芯周りに回転する出力軸31を備えている。出力軸31には、プーリ32が取り付けられている。出力軸31とプーリ32とは互いに同軸に配されている。
プーリ30は、スクリュー25の開口26から離れた側の端部に取り付けられている。プーリ30は、スクリュー25と同軸に配されている。プーリ30と、モータ29の出力軸31に取り付けられたプーリ32とには、無端環状のベルト33が掛け渡されている。
前述した回転移動部22は、モータ29の出力軸31により、プーリ32が回転することで、ベルト33がプーリ30,32の外周を循環する。そして、回転移動部22は、プーリ30とともにスクリュー25を軸芯周りに回転する。
スライド移動部23は、駆動源としてのモータ34と、一対のプーリ35と、一対のボールねじ36と、スライド部材37とを備えている。モータ34は、周知の電動機であり、軸芯周りに回転する出力軸38を備えている。出力軸38には、プーリ39が取り付けられている。出力軸38とプーリ39とは互いに同軸に配されている。
一対のプーリ35は、互いに間隔をあけて配されているとともに、それぞれ回転自在に支持されている。一対のプーリ35の回転中心は互いに平行であるとともに、モータ34の出力軸38の軸芯と平行である。また、一対のプーリ35は、互いに間にスクリュー25の開口26から離れた側の端部を位置付けている。一対のプーリ35と、前記モータ34の出力軸38に取り付けられたプーリ39とには、無端環状のベルト40が掛け渡されている。モータ34により出力軸38が軸芯周りに回転することで、ベルト40が前記プーリ35,39の外周を循環して、一対のプーリ35が互いに同期して回転する。
ボールねじ36は、互いに間隔をあけて配され、互いの間にスクリュー25の開口26から離れた側の端部を位置付けている。ボールねじ36は、それぞれ、ねじ軸41と、該ねじ軸41に螺合したナット42とを備えている。一対のボールねじ36のねじ軸41は、互いに平行であるとともに、スクリュー25の長手方向(軸芯方向)と平行である。ボールねじ36のねじ軸41は、プーリ35と固定されており、該プーリ35と一体に軸芯周りに回転する。ナット42は、ねじ軸41が、軸芯周りに回転することで、ねじ軸41の長手方向に沿って移動する。
スライド部材37は、一対のボールねじ36のナット42に取り付けられている。スライド部材37と、スクリュー25との間には、スクリュー25を回転自在に支持する軸受43が設けられている。
また、スライド移動部23は、前述したモータ34の出力軸38の回転位置又は回転角度を検出可能なエンコーダ44を備えている。エンコーダ44は、前述したモータ34の出力軸38の回転位置又は回転角度を検出し、該回転位置又は回転角度に応じた情報を制御装置9に向かって出力する。エンコーダ44は、前述した回転位置又は回転角度に応じた情報を検出して制御装置9に向かって出力することで、ボールねじ36のナット42即ちスクリュー25の位置及び移動距離を示す情報を検出して制御装置9に向かって出力する。
前述した構成のスライド移動部23は、モータ34の出力軸38が回転することで、ベルト40がプーリ35,39の外周を循環する。そして、一対のプーリ35が、連動して回転する。スライド移動部23は、モータ34の出力軸38が回転することで、ナット42がねじ軸41の長手方向に沿ってスライドして、スクリュー25を加熱シリンダ24の長手方向に沿って移動する。スライド移動部23は、モータ34により、スクリュー25と回転移動部22とを一体に、加熱シリンダ24の長手方向に沿ってスライドさせる。
また、前述した構成の射出機8は、前記シリンダ部21と回転移動部22とスライド移動部23とが、一体に、加熱シリンダ24の長手方向に沿って移動可能になっている。射出機8は、加熱シリンダ24の長手方向に沿って移動することで、加熱シリンダ24の開口26が金型10の注入孔15と密に接触しかつ連通する図1などに示す位置と、加熱シリンダ24の開口26が金型10の注入孔15と間隔をあける図3などに示す位置とに亘って移動する。こうして、射出機8は、前記シリンダ部21と回転移動部22とスライド移動部23とが一体になって、金型10即ち金型部7に接離する。
制御装置9は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置9は、射出成形機1を動作させるためのプログラムを記憶している。制御装置9は、金型部7と、射出機8などと接続しており、前述したプログラムに基づいて、これらを制御して、射出成形機1全体の制御をつかさどる。また、制御装置9は、成形品としてのコネクタハウジング3の良否の結果を表示するモニタなどの表示装置や、ブザー及びランプなどが接続している。
制御装置9は、検出手段としての圧力センサ20とアンプ45を介して接続している。制御装置9には、圧力センサ20が検出した金型10,11内の圧力に応じた情報がアンプ45で増幅されて入力する。制御装置9は、回転移動部22のモータ29とスライド移動部23のモータ34とのそれぞれと、ドライバ46,47を介して接続しており、これらの制御をつかさどる。制御装置9は、エンコーダ44とアンプ48を介して接続している。制御装置9には、エンコーダ44が検出したスクリュー25の移動距離に応じた情報がアンプ48で増幅されて入力する。
制御装置9は、スクリュー25が開口26から最も離れた状態で加熱シリンダ24内に可塑化された合成樹脂Iが充填され、かつ加熱シリンダ24の開口26と注入孔15とが接触した状態で、エンコーダ44からの情報に基づいて予め定められた所定の速度でスクリュー25が開口26に向かって移動するように、モータ34を制御する。また、制御装置9は、前述した所定の速度でスクリュー25が移動している間に、エンコーダ44からの情報に基づいてスクリュー25が予め定められた所定の距離移動したか否かを判定する。このスクリュー25が開口26から最も離れた状態から所定の距離移動する間即ち前述の所定の速度でスクリュー25を開口26に近づけて合成樹脂Iを金型10,11のキャビティ13内に射出する間は、本明細書に記した射出充填フェーズA(図11に示す)をなしている。
制御装置9は、スクリュー25が予め定められた所定の距離移動した後、前記キャビティ13内の圧力が予め定められた所定の圧力となるように、即ち前記出力軸38のトルクが予め定められた所定のトルクになるように、モータ34を制御する。そして、制御装置9は、モータ34の出力軸38が前述した所定のトルクで回転している間に、予め定められた所定の時間経過したか否かを判定する。
制御装置9は、モータ34の出力軸38が前述した所定のトルクで回転し始めてから、前述した所定の時間経過すると、スライド移動部23のモータ34を停止して、樹脂の充填を終了する。出力軸38のトルクが予め定められた所定のトルクになるように、モータ34を制御する間即ちモータ34の出力軸38を前述の所定のトルクで回転する間は、本明細書に記した保圧フェーズB(図11に示す)をなしている。
そして、制御装置9は、突起28がホッパ27内から合成樹脂Iを開口26に向かって移動する方向に、スクリュー25が回転するように、モータ29を制御する。制御装置9は、エンコーダ44からの情報に基づいて、スクリュー25が開口26から最も離れると、前記モータ29を停止する。
また、制御装置9は、前述した図9に示す第1の境界G即ち前述した式1と、前述した図10に示す第2の境界H即ち前述した式2とを記憶している。第1の境界Gは、コネクタハウジング3を第1の値Cと移動距離Dとを種々変更して成形した際のコネクタハウジング3の良否の境である。第1の境界Gは、この境の第1の値Cと移動距離Dとの第1の関係である。第2の境界Hは、コネクタハウジング3を移動距離Dと第2の値Eとを種々変更して成形した際のコネクタハウジング3の良否の境である。第2の境界Hは、この境の移動距離Dと第2の値Eとの第2の関係である。制御装置9は、射出充填フェーズAと保圧フェーズBとが終了した後、前記モータ34に印加する電流値と電圧値などから射出充填フェーズA中のモータ34の出力軸38のトルクを時間で積分して、第1の値C(図11に示す)を求める。また、制御装置9は、保圧フェーズB中のスクリュー25の移動距離D(図11に示す)を求める。そして、制御装置9は、算出した第1の値Cと移動距離Dが第1の境界G上か、図9に示す前述した第1の関係としての第1の境界Gより、算出した第1の値Cと移動距離Dが良品側に位置するか不良品側に位置するか判定する。こうして、制御装置9は、算出した第1の値Cと、移動距離Dと、第1の境界Gに基づいて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定する。
さらに、制御装置9は、第1の境界Gに基づいた良否の判定が終了した後、前述した保圧フェーズB中の圧力センサ20からの金型10,11内の圧力を示す情報に基づいて、保圧フェーズB中の金型10,11内の圧力を時間で積分して得られる第2の値E(図11に示す)を求める。そして、制御装置9は、算出した移動距離Dと第2の値Eが第2の境界H上か、図10に示す前述した第2の関係としての第2の境界Hより、算出した移動距離Dと第2の値Eが良品側に位置するか不良品側に位置するか判定する。こうして、制御装置9は、移動距離Dと、算出した第2の値Eと、第2の境界Hに基づいて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定する。
次に、前述した実施形態の射出成形機1を用いた成形品としてのコネクタハウジング3の成形工程を説明する。図2中のステップS1では、まず、図3に示すように、加熱シリンダ24内に可塑化された合成樹脂Iを充填して、スクリュー25を開口26から遠ざけた状態で、制御装置9は、移動機構12などにより一対の金型10,11を互いに近づける。こうして、制御装置9は、金型10,11を互いに近づけて密に接触させて、金型10,11を閉じる。また、制御装置9は、射出機8全体を金型部7から離しておく。即ち、制御装置9は、射出機8の加熱シリンダ24の開口26を金型10と間隔をあけて配しておく。そして、ステップS2に進む。
ステップS2では、制御装置9は、射出機8全体を金型部7に近づけて、図4に示すように、加熱シリンダ24の開口26を金型10の注入孔15に密に接触させかつ連通させる。そして、ステップS3に進む。ステップS3では、制御装置9は、モータ34を駆動して、エンコーダ44からの情報に基づいて、予め記憶した所定の速度でスクリュー25を開口26に近づける。そして、制御装置9は、加熱シリンダ24内の可塑化された合成樹脂Iを注入孔15とランナ14を介して、キャビティ13内に射出する。このように、モータ34が予め定められた所定の速度でスクリュー25を開口26に近づけて、開口26を通して合成樹脂Iを金型10,11のキャビティ13内に射出する。こうして、制御装置9は、射出充填フェーズAに移行して、図5に示すように、合成樹脂Iをキャビティ13内即ち金型10,11内に射出する。すると、キャビティ13内即ち金型10,11内の殆どに、可塑化された合成樹脂Iが充填される。そして、ステップS4に進む。
ステップS4では、制御装置9は、エンコーダ44からの情報に基づいて、スクリュー25が予め記憶した所定の距離移動したか否かを判定する。制御装置9は、スクリュー25が予め記憶した所定の距離移動していないと判定すると、ステップS4を繰り返す。制御装置9は、スクリュー25が予め記憶した所定の距離移動したと判定すると、ステップS5に進む。即ち、制御装置9は、射出充填フェーズAで予め記憶した所定の距離スクリュー25が移動した後に、後述する保圧フェーズBに移行する。
ステップS5では、制御装置9は、モータ34に印加する電流値及び電圧値などに基づいて、予め記憶した所定のトルクでモータ34の出力軸38を回転させる。そして、制御装置9は、キャビティ13内即ち金型10,11内が予め定められた所定の圧力となるように、モータ34を制御する。すると、図6に示すように、スクリュー25が若干開口26に近づいて、加熱シリンダ24内の可塑化された合成樹脂Iがキャビティ13内即ち金型10,11内に射出されて、射出充填フェーズAで生じていたキャビティ13即ち金型10,11内の隙間に合成樹脂Iが充填される。そして、ステップS6に進む。
ステップS6では、制御装置9は、保圧フェーズBに移行してから予め記憶した所定の時間が経過したか否かを判定する。制御装置9は、予め記憶した所定の時間経過していないと判定すると、ステップS6を繰り返す。制御装置9は、予め記憶した所定の時間経過したと判定すると、ステップS7に進む。即ち、制御装置9は、保圧フェーズBに移行してから予め記憶した所定の時間経過した後に、ステップS7とステップS9に進む。このように、スクリュー25が開口26に予め定められた所定の距離近づくと、モータ34の出力軸38を予め定められた所定のトルクで予め定められた所定の時間回転して、金型10,11のキャビティ13内に合成樹脂Iを射出して、コネクタハウジング3を成形する。
ステップS7では、制御装置9は、射出充填フェーズA中のモータ34に印加される電流値と電圧値に基づいてモータ34の出力軸38のトルクを求め、さらに、射出充填フェーズA中のトルクを時間で積分して、前述した第1の値Cを算出する。また、制御装置9は、エンコーダ44からの情報に基づいて、保圧フェーズBのスクリュー25の移動距離Dを算出する。そして、制御装置9は、算出した第1の値C、スクリュー25の移動距離D及び前述した第1の関係としての第1の境界Gに基づいて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定する。そして、制御装置9は、判定結果を一旦記憶して、ステップS8に進む。
ステップS8では、制御装置9は、圧力センサ20からの情報に基づいて、保圧フェーズB中のキャビティ13内即ち金型10,11内の圧力を求め、さらに、保圧フェーズB中の金型10,11内の圧力を時間で積分して、前述した第2の値Eを算出する。そして、制御装置9は、算出した第2の値E、スクリュー25の移動距離D及び前述した第2の関係としての第2の境界Hに基づいて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定する。そして、制御装置9は、判定結果を一旦記憶するとともに、制御装置9は、ステップS7及びステップS8で判定した結果即ちコネクタハウジング3の良否を前述した表示装置に表示したり、前述したブザーやランプなどで作業員に示す。そして、制御装置9は、ステップS12に進む。
一方、制御装置9は、前述したステップS7とステップS8で成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定している間に、ステップS9でスライド移動部23のモータ34を停止するとともに、回転移動部22のモータ29をスクリュー25の突起28がホッパ27内の合成樹脂Iを開口26に向かって移動する方向に駆動する。すると、スライド移動部23のモータ34が停止しているので、突起28が合成樹脂Iを開口26に向かって移動するのにしたがって、スクリュー25が徐々に開口26から離れる。
そして、図7に示すように、スクリュー25が最も開口26から離れた位置に位置付けられるとともに、加熱シリンダ24内に合成樹脂Iが充填される。加熱シリンダ24の加熱用ヒータが加熱シリンダ24内の合成樹脂Iを加熱流動化(可塑化)する。こうして、ステップS9では、加熱シリンダ24内に所定の量の合成樹脂Iを充填して、ステップS10に進む。
ステップS10では、制御装置9は、図8に示すように、射出機8全体を金型部7から離す。即ち、加熱シリンダ24の開口26を金型部7の一方の金型10の注入孔15から離す。そして、ステップS11に進む。ステップS11では、制御装置9は、保圧フェーズB即ち合成樹脂Iの金型10,11内への射出が終了してから所定の時間が経過すると、金型部7の移動機構12に他方の金型11を一方の金型10から離させる。こうして、ステップS11では、制御装置9は、成形品としてのコネクタハウジング3が冷却固化又は硬化した後、一対の金型10,11を互いに離す即ち金型10,11を開ける。そして、ステップS12に進む。
ステップS12では、作業員が、金型10,11間のキャビティ13の成形品としてのコネクタハウジング3を取り出す。そして、作業員は、取り出した成形品としてのコネクタハウジング3を表示装置、ブザーやランプなどの表示に基づいて、良品と不良品とに分別する。そして、ステップS1に戻り、次の射出成形のサイクルに移行する。このように、射出成形機1は、前述したステップS1からステップS12を繰り返して、成形品としてのコネクタハウジング3を所定の個数成形(製造)する。
本実施形態によれば、所定の速度でスクリュー25を開口26に近づいて金型10,11内に合成樹脂Iを射出する間即ち射出充填フェーズA中のモータ34のトルクを時間で積分して得られる第1の値Cと、モータ34の出力軸38を所定のトルクで回転する間即ち保圧フェーズB中のスクリュー25の移動距離Dとに基づいて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定する。このため、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を正確に判定できる。
良品と不良品の境即ち良否の境としての第1の値Cと移動距離Dとの第1の関係としての第1の境界Gに基づいて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定する。このため、成形品としてのコネクタハウジング3の良否をより正確に判定できる。
保圧フェーズB中のスクリュー25の移動距離Dと、保圧フェーズB中の金型10,11内の圧力を時間で積分して得られる第2の値Eとに基づいて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定する。このため、成形品としてのコネクタハウジング3の良否をより確実に判定できる。
良品と不良品の境即ち良否の境としての移動距離Dと第2の値Eとの第2の関係としての第2の境界Hに基づいて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定する。このため、成形品としてのコネクタハウジング3の良否をより一層確実に判定できる。
前述した実施形態では、予め求めた第1の境界Gと第2の境界Hなどを用いて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定している。しかしながら、本発明では、前記射出充填フェーズAと保圧フェーズBにおける可塑化された成形材料としての合成樹脂Iの流動性(粘性ともいい、成形材料としての合成樹脂Iの流れ易さを示している)の応じて、前記第1の境界Gと第2の境界Hとを補正し、この補正した第1の境界Gと第2の境界Hと用いて、成形品としてのコネクタハウジング3の良否を判定しても良い。
例えば、第1の境界Gでは、流動性が高くなると即ち成形材料としての合成樹脂Iが流れ易くなると、例えば、図9中の二点鎖線で示すように矢印K1方向に第1の境界Gを移動するのが望ましい。流動性が低くなると即ち成形材料としての合成樹脂Iが流れにくくなると、例えば、図9中の一点鎖線で示すように矢印K2方向に第1の境界Gを移動するのが望ましい。
また、第2の境界Hでは、流動性が高くなると即ち成形材料としての合成樹脂Iが流れ易くなると、例えば、図10中の二点鎖線で示すように矢印K3方向に第2の境界Hを移動するのが望ましい。流動性が低くなると即ち成形材料としての合成樹脂Iが流れにくくなると、例えば、図10中の一点鎖線で示すように矢印K4方向に第2の境界Hを移動するのが望ましい。
前述した実施形態では、成形品としてコネクタハウジング3を成形している。しかしながら、本発明では、例えば、自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する電気接続箱のケースや、前述したワイヤハーネスを構成するハーネス用プロテクタ及び配線用クリップなどを成形しても良い。要するに、本発明では、射出成形で成形できるものであれば、如何なるものを成形しても良い。
また、前述した実施形態では、成形材料として合成樹脂を用いている。しかしながら、本発明では、成形材料として金属などを用いてもよい。さらに、本発明では、前述した実施形態に示された射出成形機1に限定されることなく、如何なる射出成形機にも適用することができる。例えば、前述した実施形態では、押圧部材としてスクリュー25を用いたが、本発明では、押圧部材として周知のピストンやプランジャを用いても良く、検出手段としての圧力センサ20として、歪みゲージ以外のセンサを用いても良いとともに、駆動源として周知の如何なる種類の電動機を用いても良い。また、本発明では、前述した圧力センサ20などをキャビティ13内に設けて、該圧力センサ20で直接キャビティ13内の圧力を検出しても良い。
さらに、前述した実施形態では、ステップS7及びステップS8の成形品としてのコネクタハウジング3の良否の判定を、ステップS9からステップS11と平行に行っている。しかしながら、本発明では、ステップS7及びステップS8の成形品としてのコネクタハウジング3の良否の判定を、成形品としてのコネクタハウジング3の成形後でれば、如何なる時に行っても良い。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。