以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る基板処理方法は、例えば、図7に示される基板処理装置100又は図8に示される基板処理装置200を用いて行うことができる。
これら基板処理装置100、200は、基板に対し各種処理(後述)を施すための処理ユニット(後述)を必要に応じて選択的に備えることが可能となっている。
これら基板処理装置100、200に備えられる処理ユニットの候補は、例えば、図9に示すように、簡易露光処理ユニット17、加熱処理ユニット18、温度調整処理ユニット19、現像処理ユニット20、薬液処理ユニット21、ガス雰囲気処理ユニット22及びアッシング処理ユニット23の7種類である。
図9に示す処理ユニットのうち、簡易露光処理ユニット17は、基板上に形成された有機膜パターンに対し露光処理を施すためのユニットであり、基板の所望範囲(基板全面又は一部。例えば、基板面積の1/10以上の範囲)に含まれる有機膜パターンに対する露光が可能に構成されている。簡易露光処理ユニット17による露光は、基板の所望範囲に対する一括した露光であっても良いし、或いは、基板の所望範囲内で露光スポットを走査させることにより該範囲内を隈無く露光させるのであっても良い。簡易露光処理ユニット17において露光に使用する光は、紫外線光(UV光)、蛍光、自然光或いはその他の光である。
加熱処理ユニット18は、基板に対して加熱処理(ベーキング)を施すためのものであり、その加熱温度は、例えば、80℃乃至180℃、或いは、50℃乃至150℃の範囲で調節することが可能となっている。加熱処理ユニット18は、例えば、基板を略水平状態に保持するステージと、このステージが内部に配されたチャンバーと、を備える。基板を加熱する時間は任意の時間を設定することができる。
温度調整処理ユニット19は、基板の温度制御を行うためのものであり、その調温範囲は、例えば、10℃乃至50℃、或いは、10℃乃至80℃となっている。この温度調整処理ユニット19は、例えば、基板を略水平状態に保持するステージと、このステージが内部に配されたチャンバーと、を備える。
薬液処理ユニット21は、基板に対し薬液処理を行うためのものである。
この薬液処理ユニット21は、例えば、図10に示すように、薬液を蓄える薬液タンク301と、内部に基板500が配されるチャンバー302と、を備えている。チャンバー302は、薬液タンク301より圧送される薬液を基板500上に供給するための可動ノズル303と、基板500を略水平状態で保持するステージ304と、該チャンバー302内より廃液及び排気を排出するための排出口305と、を備えている。
このような薬液処理ユニット21においては、薬液タンク301内に窒素ガスを圧送することにより、該薬液タンク301内の薬液を可動ノズル303を介して基板500上に供給することができる。なお、可動ノズル303は、例えば、水平方向に可動となっている。また、ステージ304は、例えば、その板状の本体部より起立する複数のピンにより基板500を下面側から点支持するように構成されている。
或いは、薬液処理ユニット21は、薬液を蒸気化して基板上に供給可能なドライ式のものであっても良い。
なお、薬液処理ユニット21で用いる薬液(薬液タンク301内に蓄えられる薬液)は、例えば、酸、有機溶剤、アルカリのうちの少なくとも何れか1つを含むものである。
現像処理ユニット20は、基板に対し現像処理(再現像処理)を行うためのものであり、例えば、薬液処理ユニット21の薬液タンク301内に蓄える薬液を現像液とし、それ以外は薬液処理ユニット21と同様に構成することもできる。
ガス雰囲気処理ユニット22は、基板に各種ガスを暴露させるガス雰囲気処理を行うことにより基板上の有機膜パターンを溶解させ変形させる溶解変形処理を行うためのユニットである。
ガス雰囲気処理ユニット22は、例えば、図11及び図12に示すように、バブリングによりガス(処理ガス)を生成するためのバブリング容器401と、内部に基板500が配されるチャンバー402と、を備えている。チャンバー402は、バブリング容器401からの処理ガスを該チャンバー402内に導入するためのガス導入口403と、該チャンバー402内よりガスを排気するための排気孔404と、基板500を略水平状態で保持するステージ405と、チャンバー402内並びにバブリング容器401を所望の温度に制御するための温度制御機構(図示略)と、を備えている。なお、より具体的には、例えば、互いに平面位置が異なる複数のガス導入口403と、ガス導入口403からのガスを拡散させてステージ405上の基板500側に供給するため多数の孔部が全面に分散配置されたガス吹出板406と、を備えるタイプ(図11)であっても良いし、或いは、1つのガス導入口403と、ガス導入口403からのガスを回転により攪拌する攪拌部材407と、を備えるタイプ(図12)であっても良い。
このようなガス雰囲気処理ユニット22においては、液体原料(例えば、有機溶剤)を蓄えたバブリング容器401内に窒素ガスを導入してバブリングを行い、バブリングにより生成したガス(処理ガス)をガス導入口403よりチャンバー内402に導入して、基板500上に供給する(基板にガスを暴露させる)ことができる。
アッシング処理ユニット23は、プラズマ放電処理(酸素、又は、酸素及びフッ素の雰囲気中で行う)、紫外線光などの波長の短い光エネルギーを用いた処理、及び、その光エネルギー或いは熱を用いたオゾン処理のうちの何れか、或いはその他の処理により、基板上の有機膜パターンのエッチングを行うユニットである。
また、図7に示すように、基板処理装置100は、基板(例えば、LCD基板或いは半導体ウェハ)を収納するためのカセットL1が載置されるカセットステーション1と、カセットL1と同様のカセットL2が載置されるカセットステーション2と、各種処理ユニットU1、U2、U3、U4、U5、U6、U7、U8及びU9が配置される処理ユニット配置区域3、4、5、6、7、8、9、10及び11と、各カセットステーション1、2及び各処理ユニットU1乃至U9の相互間での基板搬送を行う基板搬送ロボット(基板搬送機構)12と、この基板搬送ロボット12による基板搬送と各処理ユニットU1乃至U9で実行される処理とを各種の基板処理方法に応じて適宜に制御する制御機構24と、を備えている。
カセットL1及びL2のうち、例えば、カセットL1は、基板処理装置100による処理前の基板の収納に用いられ、カセットL2は、基板処理装置100による処理完了後の基板の収納に用いられる。
また、各種処理ユニット配置区域3乃至11に設置される各種処理ユニットU1乃至U9としては、図9に示す7種類の処理ユニットのうちの何れか1つずつを、用途プロセスに応じて選択可能となっている。
なお、用途プロセスにて必要とされる処理の種類或いは処理能力に応じては、選択される処理ユニットの数量も適宜に調節可能である。従って、処理ユニット配置区域3乃至11には、何れの処理ユニット17乃至23も選択・設置されない区域が含まれていても良い。
また、制御機構24は、各種用途プロセスに応じたプログラムを選択的に実行することにより、基板搬送ロボット12及び各処理ユニットU1乃至U9の動作制御を行う。
すなわち、制御機構24は、各種用途プロセスに応じた処理順序のデータに基づいて基板搬送ロボット12による基板搬送順序を制御し、各カセットステーション1、2及び各処理ユニットU1乃至U9からの基板取り出しや、それらへの基板収納、載置等を所定の順序通りに行わせる。
また、制御機構24は、各種用途プロセスに応じた処理条件データに基づいて各処理ユニットU1乃至U9による処理の実行制御を行う。
なお、図7に示す基板処理装置100は、該基板処理装置100が備える各処理ユニットによる処理順序を、用途に応じて変更可能に構成されている。
他方、図8に示す基板処理装置200は、該基板処理装置200が備える各処理ユニットによる処理順序が固定的となっている。
図8に示すように、基板処理装置200は、カセットL1が載置されるカセットステーション13と、カセットL2が載置されるカセットステーション16と、各種処理ユニットU1、U2、U3、U4、U5、U6及びU7が配置される各種処理ユニット配置区域3、4、5、6、7、8及び9と、カセットステーション13のカセットL1から処理ユニット配置区域3の処理ユニットU1へ基板を搬送する基板搬送ロボット14と、処理ユニット配置区域9の処理ユニットU7からカセットステーション16のカセットL2へ基板を搬送するための基板搬送ロボット15と、これら基板搬送ロボット14、15による基板搬送と各処理ユニットU1乃至U9間での基板搬送と各処理ユニットU1乃至U9で実行される処理とを各種の基板処理方法に応じて適宜に制御する制御機構24と、を備えている。
基板処理装置200では、各処理ユニットによる処理順序が固定的であり、上流側の処理ユニットから順に(図8の矢印A方向に)連続処理するように構成されている。
基板処理装置200も、各種処理ユニット配置区域3乃至9に設置される各種処理ユニットU1乃至U7として、図9に示す7種類の処理ユニットのうちの何れか1つずつを、用途プロセスに応じて選択可能となっている。また、用途プロセスにて必要とされる処理の種類或いは処理能力に応じては、選択される処理ユニットの数量も適宜に調節可能であり、処理ユニット配置区域3乃至9には、何れの処理ユニット17乃至23も選択・設置されない区域が含まれていても良い。
このように、本発明の実施形態に係る基板処理方法に用いて好適な基板処理装置100、200は、基板上に形成された有機膜パターンを加工する有機膜パターン加工処理を施すために、基板搬送機構(基板搬送ロボット)とカセット設置部(カセットステーション)の他に、上記7種類の処理ユニットのうちの適宜に選択された処理ユニットを一体的に備えて構成されている。
なお、基板処理装置100、200に設置する処理ユニットの数量をそれぞれ9個、7個とした例を図7、図8に示しているが、それらの数量は、用途プロセスの種類や処理能力、コストの観点により適宜に増減させた構成としても良い。
また、例えば、カセットL1及びL2の2つのカセットを用いる例を説明したが、必要な処理能力、コストの観点により、カセットの数量は適宜に増減させた構成としても良い。
また、基板処理装置100、200に備えられる処理ユニットとしては、上記の7種類の処理ユニットの他にも、例えば、微細パターン露光を伴う露光処理ユニット、エッチング(ドライ又はウェット)処理ユニット、レジスト塗布ユニット、および密着強化処理(密着強化剤処理等)、表面洗浄(ドライ洗浄:UV光、プラズマ使用等、ウェット洗浄:洗浄液使用等)処理ユニット等を追加することも可能であり、更に全体的な処理を効率的に行うことも可能である。
エッチング処理ユニットを備える場合、例えば、有機膜パターンをマスクとして下地膜(例えば基板表面)のパターン加工(下地膜加工処理)を行うことができる。
ここで、エッチング処理ユニットは、薬液処理ユニット21で用いる薬液として、下地膜のパターン加工が可能な薬液(すなわち酸を含むエッチング液、またはアルカリを含むエッチング液)を用いることにより、薬液処理ユニット21で代用することができる。
また、処理の均一化の目的のために、基板処理装置100、200は同一の処理ユニットを複数個備えるものとし、複数個備えられた同一の処理ユニットにより、それぞれ基板に同一の処理を施すこと、すなわち、同一の処理を流れ作業により複数回繰り返し行うことも好ましい。
更に、複数個備えられた同一の処理ユニットによる処理を、それぞれ基板の向きをその板面内において互いに異ならせて(例えば、反対向きにして)行うことも好ましい。この場合、基板処理装置100、200は、複数個備えられた同一の処理ユニットによる処理を、それぞれ基板の向きをその板面内において互いに異ならせて行う機能を有することが好ましく、このように構成することにより、基板の向きの変更を作業者の手に頼らずに自動的に行うことができる。
或いは、同一の処理ユニットは1つだけ備える場合に、その一の処理ユニットによる処理を、基板の向きをその板面内において互いに異ならせて複数回に分けて行うことも好ましい。この場合、少なくとも、相互に反対向きの複数方向にて、それぞれ基板に処理を行うことが、より好ましい。これらの場合、基板処理装置100、200は、少なくとも何れか1つの処理ユニットによる処理を、基板の向きをその板面内において互いに異ならせて複数回に分けて行う機能を有することが好ましい。
或いは、一の処理ユニットによる処理には、基板の板面において一方向への処理と、それとは異なる方向(例えば、反対方向)への処理と、が含まれることも好ましい。この場合、基板処理装置は、少なくとも何れか1つの処理ユニットによる処理として、基板の板面において一方向への処理と、それとは異なる方向への処理と、を行う機能を有することが好ましい。
次に、好適な実施形態の例(具体的な基板処理方法の例)について説明する。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態では、本発明の第一の基板処理方法を説明する。
第1の実施形態に係る基板処理方法は、例えば、(1)有機膜(主にレジスト膜)パターンをマスクとして下地膜(すなわち例えば基板自体)のエッチングを行う場合に、下地膜のエッチング形状をテーパー化(例えば、特許文献1参照)したり、或いは、エッチング寸法を微細化したり(有機膜パターンの面積拡大或いはコンタクト孔の微細化の結果としてのエッチング寸法微細化)する目的、(2)有機膜(主にレジスト膜)パターンをマスクとして下地膜のエッチングを行う場合に、溶解変形処理の前後で下地膜のエッチングを行う(溶解変形処理前、溶解変形処理後の有機膜パターンをマスクとして該有機膜パターンの下地膜をパターン加工する)ことで、下地膜のエッチング形状を2段階形状化したり、形状が相互に大きく異なる2種類のパターンに形成したり、分離パターンと結合パターン(例えば、特許文献1の図2及び図3参照;隣設された有機膜パターンを相互に一体化させる処理を含む)を形成したりする目的、(3)有機膜パターンが絶縁性の場合に、該有機膜パターンを回路パターンの絶縁膜となるように変形させる(基板上に形成された回路パターンを覆う絶縁膜となるように有機膜パターンを変形させる)目的などに用いられる。
すなわち、第1の実施形態に係る基板処理方法は、上記(1)乃至(3)の目的の各々において、有機膜パターンを加工する工程に関する。
図1は、第1の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理方法では、加熱処理(ステップS00)、薬液処理(ステップS1)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調整)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
溶解変形処理としてのガス雰囲気処理(ステップS3)の前に実施される加熱処理(ステップS00)は、この加熱処理の以前の工程において有機膜パターンに加えられた各種処理(例えば、露光、現像処理、ウェットまたはドライエッチングなど)により、有機膜パターンの内部又は下部に染み込んだ液体(例えば、水分、酸またはアルカリ溶液)を除去し、或いは、有機膜パターンと下地膜または基板との間の密着力が低下している場合に該密着力を回復させるために実施される。
加熱処理(ステップS00)を行うことにより、有機膜パターンの感光性その他の特性を初期状態に近いものとすることができるので、再加工、すなわち、再度の現像処理その他の処理により、感光性や有機膜の当初の性質等を回復することができる。このため、有機膜パターンの加工または再加工を行うことが容易になる。
加熱処理(ステップS00)は50乃至150℃の温度で行われる。但し、その後の再度の現像処理を考慮した場合、感光機能を維持できる140℃以下、特に、100乃至130℃の温度で加熱処理(ステップS00)を行うことが好ましい。
加熱処理(ステップS00)を行う時間は60乃至300秒間の範囲内において任意に設定される。
ステップS00の加熱処理は、所定の加熱温度(例えば、100℃乃至130℃)に保たれた加熱処理ユニット18のステージ上に基板を載置して所定時間(例えば、60秒乃至120秒)保持することにより行われる。
上記の薬液処理(ステップS1)により除去処理が構成され、ガス雰囲気処理(ステップS3)により溶解変形処理が構成されている。
ステップS1は、有機膜パターンの表面(表層部)の変質層の除去、又は、有機膜パターン表面上の堆積層の除去を目的とした薬液(酸性溶液、アルカリ性溶液、有機溶剤溶液等)処理であり、薬液処理ユニット21を用いて行われる。
なお、ステップS1の薬液処理により、変質層又は堆積層の除去とともに、有機膜パターンに覆われていない基板表面の濡れ性を改善することもできる。
また、薬液処理では、有機膜パターンの表層部の変質層のみ、又は、有機膜パターン表面上の堆積層のみを、選択的に除去できるように、その処理時間を設定したり、使用薬液を選択することが好ましい。
そして、このように変質層又は堆積層を除去する結果として、変質していない有機膜パターンを露出及び残存させたり、堆積層に覆われていた有機膜パターンを露出及び残存させたりすることができる。
ここで、除去処理(本実施形態の場合、薬液処理のみ)により除去すべき変質層は、有機膜パターンの表層部が、時間放置劣化、熱酸化、熱硬化、デポジション層(堆積層)の付着、酸系エッチング液の使用(ウェットエッチング液処理)、アッシング処理(O2アッシングなど)、その他ドライエッチングガスの使用(ドライエッチング処理)を要因として変質し、生成されるものが想定される。すなわち、これらの要因により、有機膜パターンは物理的、化学的ダメージを受けて変質化するのであるが、その変質化の程度や特性は、ウェットエッチング処理における使用薬液の種類、ドライエッチング処理の一種であるプラズマ処理における等方性・異方性の差、有機膜パターン上における堆積物の有無、ドライエッチング処理における使用ガスの種類など、各種の生成要因に応じて大きく異なるため、変質層の除去のし易さにも違いが生じる。
また、除去処理により除去すべき堆積層としては、ドライエッチング処理に伴い堆積した堆積層が想定される。この堆積層の特性も、ドライエッチング処理の一種であるプラズマ処理における等方性・異方性の差、ドライエッチング処理における使用ガスの種類などの生成要因に応じて大きく異なるため、堆積層の除去のし易さにも違いが生じる。
よって、薬液処理の時間の長さや、薬液処理で用いる薬液の種類は、変質層又は堆積層の除去し易さに応じて適宜に設定或いは選択する必要がある。
薬液処理で用いられる薬液としては、例えば、アルカリ性の薬品を含有した薬液、酸性の薬品を含有した薬液、有機溶剤を含有した薬品、有機溶剤とアミン系の材料とを含有した薬液、アルカリ性の薬品とアミン系の材料とを含有した薬液の何れかが用いられる。
ここで、アルカリ性の薬品は、例えば、アミン系の材料と水とを含有してなるものであることが挙げられ、有機溶剤は、例えば、アミン系の材料を含有してなるものであることが挙げられる。
更に、薬液処理で用いられる薬液は、防食剤を含有したものであっても良い。
アミン系の材料の具体例としては、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどが挙げられる。つまり、薬液は、アミン系の材料を含有する場合、これらの材料のうちの何れか1種を含有していても良いし、何れか複数種を含有していても良い。なお、薬液は、アミン系の材料を含有する場合、アミン系の材料を0.01から10Wt%(0.01重量%以上10重量%以下)の範囲で含有する水溶液であることが挙げられる。
ステップS2の温度調整処理は、ガス雰囲気処理(ステップ3)の前に予め基板の温度を安定化させる(事前温度安定化)ために行う。この温度調整処理による安定化温度は、例えば、10℃乃至50℃である。この温度調整処理は、ガス雰囲気処理の処理温度に保たれた温度調整処理ユニット19のステージ上に基板を載置し、基板温度が該処理温度に達するまで(例えば、3分乃至5分)行う。
なお、これら薬液処理及び温度調整処理は、それぞれ、後のガス雰囲気処理(ステップS3)において有機膜パターンにガスを浸透し易くさせ、該ガス雰囲気処理(ステップS3)の効率及び質を向上させる効果を奏する。
ステップS3のガス雰囲気処理では、ガス雰囲気処理ユニット22を用いて基板に対し各種ガス(例えば、有機溶剤を原料として生成する)を暴露することにより、基板上の有機膜パターンを溶解させ変形させる(溶解変形処理)。つまり、ガス雰囲気処理は、例えば、有機溶剤のガス雰囲気中で行う。
ここで、ガス雰囲気処理に用いて好適な有機溶剤を、上位概念としての有機溶剤と、それを具体化した下位概念の有機溶剤とに分けて、以下に示す。なお、Rはアルキル基又は置換アルキル基、Arはフェニル基又はフェニル基以外の芳香環を示すものとする。
上位概念としての有機溶剤:
・アルコール類(R−OH)
・アルコキシアルコール類
・エーテル類(R−O−R、Ar−O−R、Ar−O−Ar)
・エステル類
・ケトン類
・グリコール類
・アルキレングリコール類
・グリコールエーテル類
下位概念の有機溶剤:
・CH3OH、C2H5OH、CH3(CH2)XOH
・イソプロピルアルコール(IPA)
・エトキシエタノール
・メトキシアルコール
・長鎖アルキルエステル
・モノエタノールアミン(MEA)
・モノエチルアミン
・ジエチルアミン
・トリエチルアミン
・モノイソピルアミン
・ジイソピルアミン
・トリイソピルアミン
・モノブチルアミン
・ジブチルアミン
・トリブチルアミン
・ヒドロキシルアミン
・ジエチルエヒドロキシルアミン
・無水ジエチルエヒドロキシルアミン
・ピリジン
・ピコリン
・アセトン
・アセチルアセトン
・ジオキサン
・酢酸エチル
・酢酸ブチル
・トルエン
・メチルエチルケトン(MEK)
・ジエチルケトン
・ジメチルスルホキシド(DMSO)
・メチルイソブチルケトン(MIBK)
・ブチルカルビトール
・n−ブチルアセテート(nBA)
・ガンマーブチロラクトン
・エチルセロソルブアセテート(ECA)
・乳酸エチル
・ピルビン酸エチル
・2−ヘプタノン(MAK)
・3−メトキシブチルアセテート
・エチレングリコール
・プロピレングリコール
・ブチレングリコール
・エチレングリコールモノエチルエーテル
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル
・エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
・エチレングリコールモノメチルエーテル
・エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
・ポリエチレングリコール
・ポリプロレングリコール
・ポリブチレングリコール
・ポリエチレングリコールモノエチルエーテル
・ポリジエチレングリコールモノエチルエーテル
・ポリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
・ポリエチレングリコールモノメチルエーテル
・ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・ポリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル
・メチル−3−メトキシプロピオネート(MMP)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
・プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)
・プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)
・エチル−3−エトキシプロピオネート(FEP)
・ジプロピレングリコールモノエチルエーテル
・トリプロピレングリコールモノエチルエーテル
・ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル
・プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート
・3−メトキシプロピオン酸メチル
・3−エトキシプロピオン酸エチル
・N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
なお、有機溶剤を原料として生成したガスを用いてガス雰囲気処理(ステップS3)を行うのは、有機膜パターンが有機溶剤の浸透により溶解する場合である。例えば、有機膜パターンが水溶性、酸溶解性、アルカリ溶解性の場合は、水溶液、酸溶液或いはアルカリ溶液を原料として生成したガスを用いてガス雰囲気処理を行う場合も有り得る。
ステップS4の加熱(温度調整)処理では、所定の加熱温度(例えば80℃乃至180℃)に保たれた加熱処理ユニット18のステージ上に基板を載置して所定時間(例えば3分乃至5分)保持する。この加熱処理を行うことにより、ガス雰囲気処理にて暴露したガスにより、有機膜パターン内に浸透した暴露ガスを除去し、有機膜パターンと下地膜または基板との密着力を回復させ、あるいは、有機膜パターンをポストベークすることができる。更にまた、加熱温度をより高温にすれば、加熱処理による熱リフローの効果を複合的に利用することも可能である。
なお、現像処理及び薬液処理においては、最終工程として、水洗処理が行われ、処理液が洗い流される。
なお、このような第1の実施形態の場合に用いられる基板処理装置は、例えば、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも薬液処理ユニット21、温度調整処理ユニット19、ガス雰囲気処理ユニット22及び加熱処理ユニット18を備える基板処理装置100又は200である。
基板処理装置100の場合には、薬液処理ユニット21、温度調整処理ユニット19、ガス雰囲気処理ユニット22及び加熱処理ユニット18の配置は任意である。なお、加熱処理ユニット18は加熱処理(ステップS00)及び加熱(温度調整)処理(ステップS4)の双方において用いられることになる。
他方、基板処理装置200の場合には、第一番目の加熱処理ユニット18、薬液処理ユニット21、温度調整処理ユニット19、ガス雰囲気処理ユニット22及び第二番目の加熱処理ユニット18が、この順に、図8の矢印A方向において配置されている必要がある。なお、基板処理装置200の場合に各処理ユニットを処理順に配置する必要があるのは、以下に説明する各基板処理方法においても同様である。
以上のような第1の実施形態によれば、加熱処理(ステップS00)により有機膜パターン内部または下部の水分その他の溶液を除去し、あるいは、有機膜パターンと下地膜または基板との間の密着力を回復させ、さらに、薬液処理(ステップS1)により有機膜パターンの表面改質、有機膜パターンの表面の一部除去、或いは、基板表面の濡れ性改善を行った後で、溶解変形処理(ステップS3)を行うので、該溶解変形処理を制御性良く均一且つ効率的に行うことができ、上記した(1)乃至(3)の目的を好適に達成することができる。
ところで、ドライ処理方法であるアッシング処理は、大きく分けると2種類有る。
第一は、プラズマ処理以外(紫外線光などの波長の短い光エネルギーや、熱を用いたオゾン処理など)の処理である。プラズマ処理以外のアッシング処理は、対象物(ここでは、有機膜や下地膜等)へのダメージは小さいが、その処理速度は遅い。よって、プラズマ処理以外のアッシング処理は、有機膜パターンや下地膜の表面状態変化(濡れ性向上)に用いられる程度であり、有機膜表面の一部変質層の除去や、ドライ剥離のような高速な処理を必要とされる場合には、ほとんど用いられることがない。ただし、プラズマ処理以外のアッシング処理であっても、唯一、非常に高温な熱と共にオゾンガス処理するという手法がそのような高速な処理として用いられる場合があるが、その場合には、有機膜が熱硬化し、ウェット剥離できない程の大きな変質化、ダメージを残す問題があるため、これもあまり一般化していない。
第二は、プラズマ処理である。プラズマ処理には、更に2つの放電方法による場合がある。
その第一番目は、高圧、低パワー、等方性のプラズマ処理である。第二番目は、低圧、高パワー、異方性のプラズマ処理の場合である。これら第一番目及び第二番目のプラズマ処理は、どちらも、第一の「プラズマ処理以外のアッシング処理」よりも処理速度は速い。また、第一番目のプラズマ処理よりも第二番目のプラズマの処理の方が処理速度は速い。このように、プラズマ処理は、いずれも処理速度が速いため、有機膜パターンや下地膜の表面状態変化(濡れ性向上)は短時間の処理で行うことができるとともに、有機膜表面の一部変質層の除去や、ドライ剥離のような高速な処理にも適用される。しかしながら、プラズマ処理は、いずれも対象物へのダメージは、第一の場合よりも大きい。
特に有機膜表面の一部変質層の除去の目的において従来用いられるドライ処理としては、第一の処理(プラズマ処理以外の処理)は不充分である。また、第二のプラズマ処理のうち、第二番目の異方性のプラズマ処理は、当初の一部変質層は充分に除去することができるが、大きなダメージが残り有機膜の新たな変質層が大きく形成されることとなるため、この目的に用いることは無意味である。従って、第一番目の等方性のプラズマ処理が、この目的の場合には最も一般的に用いられる。
しかしながら、特に特許文献1に記載の有機膜パターンの加工処理を行う基板処理方法では、有機膜パターンに薬液(主に有機溶剤)を浸透させ変形させる処理(溶解変形処理)を均一化する目的で、その溶解変形処理前に有機膜パターン上の一部変質層を除去する場合において、第二番目の異方性のプラズマ処理はもちろん、第一番目の等方性のプラズマ処理を用いても、当初の有機膜の一部変質層の完全な除去と、そのプラズマ処理による新たなダメージに起因して有機膜に微小な変質層が形成され残存してしまうことと、を完全に防止することは困難である。
そして、このようにプラズマ処理により新たに形成され残存する有機膜の微小な変質層でさえも、溶解変形処理の均一性を阻害しているという問題点を、本発明者は見出した。
つまり、特許文献1の技術では、有機膜パターンに、プラズマ処理によるダメージと微小な変質層が残る結果として、溶解変形処理の均一性が不十分となるため、該溶解変形処理後に行われる下地膜加工で不良が発生してしまう可能性があった。
このように、従来(特許文献1)の場合にはアッシング処理により行っていた有機膜パターン表面の変質層又は堆積層の除去を、薬液処理すなわちウェット処理により行うので、有機膜パターン或いは基板に与えるダメージを極力抑制することができる。よって、その後の溶解変形処理や下地膜のエッチングにおいて、不良発生を低減することが可能となる。
なお、ステップS4の加熱(温度調整)処理は省略することも可能である。
また、ステップS00またはステップS4での加熱温度が、温度調整処理ユニット19により調温可能な温度範囲であれば、ステップS00またはステップS4の処理は温度調整処理ユニット19を用いて行うこともできる。以下、図1乃至図5の各図において、ステップS4と同様に括弧書きとなっているステップは、同様に省略可能であることを意味する。従って、以下に説明する各基板処理方法において、括弧書きとなっているステップに対応する処理ユニットは省略可能である。
また、ステップS4の後は、常温付近への温度調整処理(冷却)を行うことが好ましい。
なお、基板処理装置100の場合には、同一の処理を複数回行うような基板処理方法(例えば、加熱(温度調整)処理(ステップS4)を2回行うような基板処理方法)の場合にも、その処理用の処理ユニットは1つで良いが、基板処理装置200の場合には、同一の処理を複数回行うには、その回数分の同一処理ユニットが必要である。すなわち、基板処理装置200の場合、例えば、加熱(温度調整)処理(ステップS4)を2回行うには、加熱処理ユニット18が2つ必要である。このことは、以下に説明する各基板処理方法においても同様である。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態では、本発明の第二の基板処理方法を説明する。
第2の実施形態に係る基板処理方法は、第1の実施形態に係る基板処理方法と同様の目的(上記(1)乃至(3)の目的)に用いられる。つまり、第2の実施形態に係る基板処理方法は、上記(1)乃至(3)の目的の各々において、有機膜パターンを加工する工程に関する。
図2は、第2の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、第2の実施形態に係る基板処理方法では、加熱処理(ステップS00)、アッシング処理(ステップS7)、薬液処理(ステップS1)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調整)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
第2の実施形態では、アッシング処理及び薬液処理により除去処理が構成されている。
第2の実施形態では、第1の実施形態に係る基板処理方法の薬液処理(ステップS1)の前に、更にアッシング処理(ステップS7)を追加している。このステップS7のアッシング処理は、アッシング処理ユニット23を用いて行われる。
すなわち、アッシング処理は、プラズマ放電処理(酸素、又は、酸素及びフッ素の雰囲気中で行う)、紫外線光などの波長の短い光エネルギーを用いた処理、及び、その光エネルギー或いは熱を用いたオゾン処理のうちの何れか、或いはその他の処理により、基板上の有機膜パターンをエッチングする処理である。
第2の実施形態では、ガス雰囲気処理(溶解変形処理)(ステップS3)の前処理として有機膜パターン表面の変質層又は堆積層を除去する処理を、第1の実施形態のように全てウェット処理である薬液処理により行うのではなく、前処理においてもアッシング処理を適用し、そのアッシング処理によって、変質層の中でも特に表層部のみを除去するようにしている。
ステップS7のアッシング処理に続くステップS1では、アッシング処理後も残留する変質層を、ウェット処理である薬液処理により除去する。つまり、ステップS7とステップS1とを組み合わせてこの順に行うことにより、有機膜パターンの表面の変質層を全て除去するようにしている。
アッシング処理(ステップS7)の前に行われる加熱処理(ステップS00)、薬液処理(ステップS1)の後に行われるステップS2、ステップS3、ステップS4については、第1の実施形態と同様であり、各処理を安定化させるために、事前に基板温度を適正な処理温度に調整する温度調整処理(主に冷却)や、溶解変形処理後の有機膜パターンのベーキングのために、加熱処理を追加したものである。
以上のような第2の実施形態によれば、有機膜パターン表面の変質層又は堆積層を除去する除去処理では、有機膜パターンに対するアッシング処理と、薬液処理と、をこの順に行うが、アッシング処理は、有機膜パターン表面の変質層又は堆積層の中でも特に表層部のみの除去に利用するのに留めているため、従来例のアッシング処理の場合と比べて、その処理時間を短縮でき、該アッシング処理によるダメージを大幅に低減することができる。
更に、薬液処理のみでは除去できないような強固な変質層又は堆積層が存在する場合にも、薬液処理の前のアッシング処理により、その変質層又は堆積層を容易に除去することができる。
また、第2の実施形態のステップS1で用いる薬液としては、第1の実施形態のステップS1で用いる薬液と比べて、有機膜パターンの浸食度の少ないものを適用したり、第2の実施形態のステップS1の処理時間を第1の実施形態のステップS1よりも短縮したりすることができる。
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態では、本発明の第三の基板処理方法を説明する。
第3の実施形態に係る基板処理方法は、基板上の有機膜パターンが主として感光性有機膜である場合に適用される方法であり、薬液処理に用いられる薬液として、少なくとも有機膜パターンの現像機能をもつ薬液(現像機能液)を用いる点の他は、つまり、薬液処理に用いる薬液の種類が異なる他は、第1及び第2の実施形態と同様の方法である。
ここで、現像機能液としては、例えば、主成分としてのTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を0.1から10.0Wt%の範囲で含有するアルカリ水溶液、又は、NaOH(水酸化ナトリウム)やCaOH(水酸化カルシウム)などの無機アルカリ水溶液がある。
なお、第3の実施形態においては、最初に有機膜パターンを形成する際の初期露光の後、現像処理を行うまでの間は、基板を無露光(無感光)状態に保っておくことが好ましく、このように無露光状態に保つことにより、現像処理の効果を一定化させることができる。
基板を無露光状態に保つためには、各工程が無露光状態になるように管理したり、或いは、基板処理装置の構成を、基板を無露光状態に保てるような構成にすると良い。
図3(a)は、第3の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図3(a)に示すように、第3の実施形態に係る基板処理方法では、加熱処理(ステップS00)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
このうち現像処理により除去処理が構成されている。
ステップS5の現像処理は、現像処理ユニット20を用いて、有機膜パターンを現像機能液により現像する処理であり、図1におけるステップS1と同様の効果を奏する。
よって、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
なお、第3の実施形態の場合に用いられる基板処理装置は、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18、現像処理ユニット20、温度調整処理ユニット19及びガス雰囲気処理ユニット22を備える基板処理装置100又は200である。温度調節処理(ステップS2)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)を省略しない場合には、加熱処理ユニット18において加熱処理(ステップS00)、温度調節処理(ステップS2)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)が実施される。
また、上記の第3の実施形態においては、現像処理の前にアッシング処理を追加で行い、これらアッシング処理及び現像処理により除去処理を行うようにしても良い。
〔第4の実施形態〕
第4の実施形態では、本発明の第四の基板処理方法を説明する。
第4の実施形態に係る基板処理方法では、第3の実施形態に係る基板処理方法において、加熱処理と現像処理との間に、有機膜パターンを感光させる露光処理を追加して行う。
ここで、加熱処理と現像処理との間に行う露光処理は、基板の所望範囲(全面の場合もある)に含まれる有機膜パターンに対し露光処理を施す処理(つまり、例えば、微細パターン露光などとは異なる露光処理)であり、以下では「簡易露光処理」と呼ぶ。この簡易露光処理は、簡易露光処理ユニット17を用いて行う。簡易露光処理にて露光する光は、紫外線光(UV光)、蛍光、自然光或いはその他の光である。この簡易露光処理では、基板の所望範囲(基板全面又は一部、例えば、基板面積の1/10以上の範囲)に含まれる有機膜パターンに対する露光を行う。なお、簡易露光処理での露光は、基板の所望範囲に対する一括した露光であっても良いし、或いは、基板の所望範囲内で露光スポットを走査させることにより該範囲内を隈無く露光させるのであっても良い。
なお、第4の実施形態においては、最初に有機膜パターンを形成する際の初期露光の後、現像処理を行うまでの間は、基板を無露光(無感光)状態に保っておくことが好ましく、このように無露光状態に保つことにより、現像処理の効果を一定化させたり、簡易露光処理での露光量の均一化を図ったりすることができる。基板を無露光状態に保つためには、各工程が無露光状態になるように管理したり、或いは、無露光状態に保てるように基板処理装置を構成したりすると良い。
ここで、簡易露光処理は、例えば、以下の何れかの位置付けで行うことが挙げられる。
1つ目は、簡易露光処理以前では無感光状態を保たれた基板上の有機膜パターンに対して露光する場合である。
2つ目は、簡易露光処理以前にある程度露光されてしまった場合(紫外線光、UV光、蛍光、自然光により露光され、又は、その光の中で長時間放置された場合)や露光量が不明な場合(露光が不均一な場合や無管理状態の場合)に、露光量を基板全面で実質的に均一化するために基板全面を充分露光したり、或いは、基板全面への露光を念のために追加する場合である。
<第4の実施形態の具体例1>
図3(b)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例1を示すフローチャートである。
図3(b)に示すように、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例1では、加熱処理(ステップS00)、簡易露光処理(ステップS6)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調整)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
このうち簡易露光処理及び現像処理により除去処理が構成されている。
図3(b)の基板処理方法は、図3(a)の基板処理方法における加熱処理(ステップS00)と現像処理(ステップS5)との間に簡易露光処理(ステップS6)を追加で行うようにした基板処理方法であり、有機膜パターンが感光性の場合に、ステップS5の現像処理を一層効果的に行うための基板処理方法である。
ステップS6の簡易露光処理は、基板の所望範囲(全面の場合もある)に含まれる有機膜パターンに対し露光処理を施す処理(つまり、例えば、微細パターン露光などとは異なる露光処理)であり、簡易露光処理ユニット17を用いて行う。露光する光は、紫外線光(UV光)、蛍光、自然光或いはその他の光である。
なお、具体例1の場合に用いられる基板処理装置は、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18、簡易露光処理ユニット17、現像処理ユニット20、温度調整処理ユニット19及びガス雰囲気処理ユニット22を備える基板処理装置100又は200である。温度調節処理(ステップS2)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)を省略しない場合には、加熱処理ユニット18において加熱処理(ステップS00)、温度調節処理(ステップS2)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)が実施される。
<第4の実施形態の具体例2>
図3(c)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例2を示すフローチャートである。
図3(c)に示すように、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例2では、加熱処理(ステップS00)、アッシング処理(ステップS7)、簡易露光処理(ステップS6)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
このうちアッシング処理、簡易露光処理及び現像処理により除去処理が構成されている。
図3(c)の基板処理方法は、図3(b)の基板処理方法における加熱処理(ステップS00)と簡易露光処理(ステップS6)との間に、アッシング処理ユニット23によるアッシング処理(ステップS7)を追加で行うようにした基板処理方法である。
第4の実施形態の具体例2では、ガス雰囲気処理(溶解変形処理)の前処理として有機膜パターン表面の変質層又は堆積層を除去する処理を、具体例1のように全てウェット処理である現像処理により行うのではなく、前処理においてもアッシング処理を適用し、そのアッシング処理(ステップS7)によって、変質層の中でも特に表層部のみを除去するようにしている。
ステップS7のアッシング処理の後で行われるステップS5では、アッシング処理後も残留する変質層を、ウェット処理である現像処理により除去する。
第4の実施形態の具体例2は、その他の点では具体例1と同様である。
具体例2によれば、現像処理(ステップS5)の前にステップS7のアッシング処理を行うので、感光性有機膜パターンの表面が図3(c)の基板処理方法以前のエッチング処理で硬化、変質している場合に、その変質層の除去を一層効果的に行うことができる。つまり、このようなアッシング処理は、エッチングによる有機膜パターンの硬化、変質が強固な場合に適用することが好ましい。
なお、具体例2の場合には、アッシング処理を行うが、このアッシング処理の時間の長さは従来(特許文献1)の場合よりも短縮できる。なぜなら、ステップS5の現像処理を行うからである。
具体例2の場合に用いられる基板処理装置は、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18、アッシング処理ユニット23、簡易露光処理ユニット17、現像処理ユニット20、温度調整処理ユニット19及びガス雰囲気処理ユニット22を備える基板処理装置100又は200である。温度調節処理(ステップS2)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)を省略しない場合には、加熱処理ユニット18において加熱処理(ステップS00)、温度調節処理(ステップS2)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)が実施される。
<第4の実施形態の具体例3>
図3(d)は、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例3を示すフローチャートである。
図3(d)に示すように、第4の実施形態に係る基板処理方法の具体例3では、加熱処理(ステップS00)、簡易露光処理(ステップS6)、アッシング処理(ステップS7)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
すなわち、具体例3の基板処理方法は、具体例2(図3(c))の基板処理方法におけるアッシング処理(ステップS7)と簡易露光処理(ステップS6)との順序を入れ替えた基板処理方法である。この場合にも、具体例2の場合と同様の効果が得られる。
図3(d)の基板処理方法は、特に、ステップS6の露光処理時に感光性有機膜パターンの変質、硬化が進む場合には、具体例2の場合よりも好適に用いられる。
なお、具体例3の場合に用いられる基板処理装置は、具体例2の場合と同様である。
以上の第4の実施形態においては、露光処理を簡易露光処理としたが、これは、コスト、工程能力、装置のユニット組み込みの観点から、標準的な処理として示したものであるが、この例に限らず、通常の微細パターン露光を行う露光処理を行うようにしても良い。
また、上記の第1乃至第4の各実施形態の処理、すなわち図1乃至図3に示される各具体例の処理は、上記の(1)、(2)、(3)の目的に限らず、(4)有機膜パターンの平坦化(例えば、特開2003−21827号公報参照)にも同様に適用することができる。なお、この場合、基板の所望範囲に形成される有機膜を「有機膜パターン」と捉えることができる。
また、図1乃至図3に示される各具体例の処理を、上記(1)、(2)の目的に適用する場合には、各処理の後、或いは前後の両方にて、下地膜加工(エッチング)を施すと良い。すなわち、溶解変形処理による変形前の有機膜パターンをマスクとして該有機膜パターンの下地膜(つまり、例えば基板)をパターン加工する下地膜加工処理や、溶解変形処理による変形後の有機膜パターンをマスクとして該有機膜パターンの下地膜(つまり、例えば基板)をパターン加工する下地膜加工処理を行うと良い。
上述の第4の実施形態の具体例1乃至3においては、有機膜パターン加工処理における第一番目の処理として加熱処理(ステップS00)を実施したが、加熱処理(ステップS00)の実施の順序はこれには限定されない。
例えば、第4の実施形態の具体例1においては、図4(b)に示すように、加熱処理(ステップS00)を簡易露光処理(ステップS6)と現像処理(ステップS5)との間で実施することも可能である。
同様に、第4の実施形態の具体例2においては、図4(c)に示すように、加熱処理(ステップS00)をアッシング処理(ステップS7)と簡易露光処理(ステップS6)との間で実施することも可能である。
第4の実施形態の具体例3においても、図4(d)に示すように、加熱処理(ステップS00)を簡易露光処理(ステップS6)とアッシング処理(ステップS7)との間で実施することも可能である。
さらには、第4の実施形態の具体例3においては、加熱処理(ステップS00)をアッシング処理(ステップS7)と現像処理(ステップS5)との間で実施することも可能である。
〔第5の実施形態〕
第5の実施形態では、本発明の第五の基板処理方法を説明する。
第5の実施形態に係る基板処理方法では、第3、第4の実施形態に係る基板処理方法において、加熱処理の後であって、かつ、現像処理の前に、更に薬液処理を追加して行う。
ここで、現像処理の前の薬液処理では、現像処理で用いる現像機能液以外の薬液を用いる。
<第5の実施形態の具体例1>
図5(a)は、第5の実施形態に係る基板処理方法の具体例1を示すフローチャートである。
図5(a)に示すように、第5の実施形態に係る基板処理方法の具体例1では、加熱処理(ステップS00)、薬液処理(ステップS1)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
このうち薬液処理及び現像処理により除去処理が構成されている。
なお、薬液処理(ステップS1)は、現像機能液以外の薬液を用いて行う処理(現像処理以外の薬液処理)である。
このように、図5(a)の基板処理方法は、図3(a)の基板処理方法における現像処理(ステップS5)前に薬液処理(ステップS1)を追加で行うようにした基板処理方法である。
つまり、図5(a)の基板処理方法は、図3(a)の基板処理方法を改善する方法であり、ステップS1の薬液処理は、有機膜パターンの表面の変質層又は堆積層において、現像処理では除去できないような強固な一部分(表層部)を除去するために行う。なお、この薬液処理は、第1の実施形態における薬液処理(酸性溶液、アルカリ性溶液、有機溶剤溶液等を用いた処理)と同様であり、薬液処理ユニット21を用いて行われる。
以降のステップは、第3の実施形態(図3(a))と同様である。
<第5の実施形態の具体例2>
図5(b)は、第5の実施形態に係る基板処理方法の具体例2を示すフローチャートである。
図5(b)に示すように、第5の実施形態に係る基板処理方法の具体例2では、加熱処理(ステップS00)、薬液処理(ステップS1)、簡易露光処理(ステップS6)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
このうち薬液処理、簡易露光処理及び現像処理により除去処理が構成されている。
なお、薬液処理(ステップS1)は、現像機能液以外の薬液を用いて行う処理(現像処理以外の薬液処理)である。
このように、図5(b)の基板処理方法は、図3(b)の基板処理方法における簡易露光処理(ステップS6)の前に薬液処理(ステップS1)を追加で行うようにした基板処理方法である。
つまり、図5(b)の基板処理方法は、図3(b)の基板処理方法を改善する方法であり、ステップS1の薬液処理は、有機膜パターンの表面の変質層又は堆積層において、現像処理では除去できないような強固な一部分(表層部)を除去するために行う。なお、この薬液処理は、第1の実施形態における薬液処理(酸性溶液、アルカリ性溶液、有機溶剤溶液等を用いた処理)と同様であり、薬液処理ユニット21を用いて行われる。
以降のステップは、第4の実施形態の具体例1(図3(b))と同様である。
<第5の実施形態の具体例3>
図5(c)は、第5の実施形態に係る基板処理方法の具体例3を示すフローチャートである。
図5(c)に示すように、第5の実施形態に係る基板処理方法の具体例3では、加熱処理(ステップS00)、薬液処理(ステップS1)、アッシング処理(ステップS7)、簡易露光処理(ステップS6)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調節)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
このうち薬液処理、アッシング処理、簡易露光処理及び現像処理により除去処理が構成されている。
なお、薬液処理(ステップS1)は、現像機能液以外の薬液を用いて行う処理(現像処理以外の薬液処理)である。
このように、図5(c)の基板処理方法は、図3(c)の基板処理方法におけるアッシング処理(ステップS7)の前に薬液処理(ステップS1)を追加で行うようにした基板処理方法である。
つまり、図5(c)の基板処理方法は、図3(c)の基板処理方法を改善する方法であり、ステップS1の薬液処理は、有機膜パターンの表面の変質層又は堆積層において、現像処理では除去できないような強固な一部分(表層部)を除去するために行う。なお、この薬液処理は、第1の実施形態における薬液処理(酸性溶液、アルカリ性溶液、有機溶剤溶液等を用いた処理)と同様であり、薬液処理ユニット21を用いて行われる。
以降のステップは、第4の実施形態の具体例2(図3(c))と同様である。
なお、以上の第5の実施形態における薬液処理(ステップS1)の順序は、図5(a)、図5(b)、図5(c)に示した順序に限らず、現像処理(ステップS5)の前であれば何れの順番であっても良い。また、図5(c)では、簡易露光処理(ステップS6)の前にアッシング処理(ステップS7)を行う例を示しているが、簡易露光処理(ステップS6)とアッシング処理(ステップS7)との順序を入れ替えて、簡易露光処理(ステップS6)の後にアッシング処理(ステップS7)を行うようにしても良い。
すなわち、例えば、加熱処理(ステップS00)、簡易露光処理(ステップS6)、薬液処理(ステップS1)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としても良い。
或いは、加熱処理(ステップS00)、アッシング処理(ステップS7)、簡易露光処理(ステップS6)、薬液処理(ステップS1)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としても良い。
或いは、加熱処理(ステップS00)、簡易露光処理(ステップS6)、アッシング処理(ステップS7)、薬液処理(ステップS1)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としても良い。
或いは、加熱処理(ステップS00)、アッシング処理(ステップS7)、薬液処理(ステップS1)、簡易露光処理(ステップS6)、現像処理(ステップS5)、温度調整処理(ステップS2)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としても良い。
以上のような第5の実施形態によれば、現像処理(ステップS5)の前に薬液処理(ステップS1)を行うので、有機膜パターンがエッチング処理により硬化、変質している場合に、該有機膜パターンの表層部の除去を第3の実施形態の場合よりも一層効果的に行うことができる。つまり、第5の実施形態は、有機膜パターンの硬化、変質がより一層強固な場合に適用することが好ましい。
なお、上記の第4及び第5の実施形態において、簡易露光処理(ステップS6)を省略することも可能である。すなわち、除去処理では、例えば、現像処理以外の薬液処理(ステップS1)と、現像処理(ステップS5)と、をこの順に行うようにしても良いし、或いは、除去処理では、アッシング処理(ステップS7)と、現像処理以外の薬液処理(ステップS1)と、現像処理(ステップS5)と、をこの順に行うようにしても良い。
このような簡易露光処理(ステップS6)の省略は、例えば、以下に説明するような2つの場合に行うことが挙げられる。
1つ目は、基板上に当初の有機膜パターンを形成して以後、有機膜パターン加工処理までの間に、工程内での別の露光、または室内、装置内の状態により、適当な量の感光がなされる場合である。その場合には、簡易露光処理(ステップS6)を省略しても、第4及び第5の実施形態とほぼ同じ効果が得られる。
2つ目は、基板上に当初の有機膜パターンを形成して以後、有機膜パターン加工処理までの間は、有機膜パターンを感光させない状態に保った後で、現像処理、又は、現像機能を持つ薬液による薬液処理を行うことにより、変質層又は堆積層を除去すると共に、当初の有機膜パターンを形成した時の有機膜パターンの外周部の回りこみ感光部である残存表面部分のみを除去し、有機膜パターンの中心部分の無感光で変質も起こしていない部分は残存させたい場合である。その場合には、基板上に当初の有機膜パターンを形成して以後、有機膜パターン加工処理までの間は、有機膜パターンを感光させない状態に保つことにより、その後の現像処理又は薬液処理によって変質層又は堆積層とともに、当初の有機膜パターンを形成した時の有機膜パターンの外周部の回りこみ感光部である残存表面部分のみが再度現像されることにより同時に除去されることになる。結果、有機膜パターンの中心部分の無感光で変質も起こしていない部分は好適に残存させることができる。
なお、以上の各実施形態においては、一の有機膜パターンにおいては、その全体の膜厚が均一である場合を前提とした説明を行ったが、有機膜パターン、すなわち、基板上に形成された当初の有機膜パターンは、少なくとも2段階以上の膜厚に形成された有機膜パターンであっても良い。
このように、有機膜パターンが2段階以上の膜厚を有する場合には、上記の現像処理(ステップS5)を行うことにより、有機膜パターンにおいて膜厚が薄い薄膜部を選択的に更に薄くしたり、或いは、有機膜パターンにおいて膜厚が薄い薄膜部を選択的に除去したりすることができる。
ここで、2段階以上の膜厚を有する有機膜パターンを形成するためには、該有機膜パターンを形成するための初期露光における露光量を、有機膜パターンの面内で2段階以上に制御すると良い。具体的には、例えば、初期露光において、2種類以上の透過光量のレチクルマスクを用いると良い。
このように、露光量を2段階以上に制御した後で現像処理(当初の有機膜パターンを形成するための現像処理であり、ステップS5の現像処理とは別)を行うことにより、露光量が多い又は少ない部分のみの有機膜が優先的に薄くなるので、2段階以上の膜厚を有する有機膜パターンを形成することができる。
ここで、初期露光による露光の履歴は、その後も残存するため、上記の現像処理(ステップS5)を行うことにより、有機膜パターンにおいて膜厚が薄い薄膜部を選択的に更に薄くしたり、或いは、有機膜パターンにおいて膜厚が薄い薄膜部を選択的に除去したりすることができる。
なお、ステップS5の現像処理で用いる現像機能液としては、当初の有機膜パターンを形成するための現像処理で用いた現像機能液がポジ用であれば、同じくポジ用の現像機能液を用い、当初の有機膜パターンを形成するための現像処理で用いた現像機能液がネガ用であれば、同じくネガ用の現像機能液を用いると良い。
このように、基板上に形成された当初の有機膜パターンが、少なくとも2段階以上の膜厚に形成された有機膜パターンである場合に、上記の現像処理(ステップS5)を行うことにより、有機膜パターンにおいて膜厚が薄い薄膜部を選択的に更に薄くしたり、或いは、有機膜パターンにおいて膜厚が薄い薄膜部を選択的に除去する場合には、特に、当初の有機膜パターンを形成する際の初期露光の後、現像処理を行うまでの間、基板を無露光(無感光)状態に保っておく方が(すなわち、基板上に当初の有機膜パターンを形成して以後、有機膜パターン加工処理までの間は、有機膜パターンを感光させない状態に保っておく方が)、2段階以上の膜厚を有する有機膜パターンにおいて、膜厚が薄い薄膜部を選択的に更に薄くしたり、或いは、有機膜パターンにおいて膜厚が薄い薄膜部を選択的に除去する場合に、よりその選択性を高く保つことができる。
これは、従来のこの種の2段階以上の膜厚を有する感光性有機膜パターンにおいて、膜厚が薄い薄膜部を選択的に更に薄くしたり、或いは、有機膜パターンにおいて膜厚が薄い薄膜部を選択的に除去する場合に、主にO2ガスを用いたドライエッチング、又はアッシング(異方性が主)により行っていた手法に比較し、(1)主に薬液(又は現像)処理によるウェット処理で行うことによる有機膜パターン、下地膜へのダメージ低減という効果に加えて、(2)有機膜パターンの感光性の有無による現像速度の差を利用した効果的で、選択性の高い処理(膜厚が薄い薄膜部の更に薄く、或いは、除去)が実現できる効果をもたらすためである。
上述の第5の実施形態の具体例1乃至3においては、有機膜パターン加工処理における第一番目の処理として加熱処理(ステップS00)を実施したが、加熱処理(ステップS00)の実施の順序はこれには限定されない。図4(b)、(c)及び(d)に示した順序と同様の順序とすることができる。
〔第6の実施形態〕
第6の実施形態では、本発明の第六の基板処理方法を説明する。
第3乃至第5の実施形態に係る基板処理方法においては、除去処理(薬液処理、アッシング処理、簡易露光処理または現像処理)を実施したが、第6の実施形態に係る基板処理方法においては、この除去処理を実施しない。
図6は、第6の実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、第6の実施形態に係る基板処理方法では、加熱処理(ステップS00)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調整)処理(ステップS4)をこの順に行い、これら一連の処理を有機膜パターン加工処理としている。
加熱処理(ステップS00)、ガス雰囲気処理(ステップS3)及び加熱(温度調整)処理(ステップS4)はそれぞれ上記の実施形態における各処理と同様の処理である。なお、加熱(温度調整)処理(ステップS4)は省略することができる。
本実施形態においては、除去処理を行わないため、変質層及び堆積層は除去されないが、溶解変形処理としてのガス雰囲気処理(ステップS3)の前に加熱処理(ステップS00)を行うことにより、この加熱処理の以前の工程において有機膜パターンに加えられた各種処理により、有機膜パターン内部又は下部に染み込んだ水分、酸またはアルカリ溶液を除去し、或いは、有機膜パターンと下地膜または基板との間の密着力が低下している場合に該密着力を回復することができる。この結果、有機膜パターンの感光性その他の特性を初期状態に近いものとすることができるので、感光性や有機膜の当初の性質等を回復することができる。このため、有機膜パターンの加工、再加工が容易になり、ガス雰囲気処理(ステップS3)による有機膜パターンの溶解・変形が容易になる。
なお、本実施形態において用いられる基板処理装置は、各種処理ユニットU1乃至U9又はU1乃至U7として、少なくとも加熱処理ユニット18及びガス雰囲気処理ユニット22を備える基板処理装置100又は200である。
次に、上記の各実施形態の除去処理の種類の選択に関する指針を説明する。
図14は、除去処理により除去すべき変質層の成因に応じた変質化の程度を示す図である。なお、図14においては、変質化の程度を、ウェット剥離の難易を基準としてレベル分けしている。
図14に示すように、有機膜表面の変質層の変質化の程度は、有機膜のウエットエッチング処理、ドライエッチング処理、更にドライエッチング処理のうちのプラズマ処理における等方性、異方性の差、有機膜上の堆積物の有無、ドライエッチング処理における使用ガスの種類などに応じて大きく異なる。つまり、これらの各種パラメータに応じて、有機膜表面の変質層の除去のし易さに違いがある。
薬液処理で用いる薬液としては、酸、アルカリ水溶液及び有機溶剤のうちの何れか1つ、又は、それらの混合液を用いる。
更に具体的な例として、アルカリ水溶液、又はアミン類の有機溶剤を混合した水溶液であって、少なくとも1種類のアミン類を0.05乃至10wt%(0.05重量%以上10重量%以下)の範囲で含有する薬液を用いる。
アミン類の典型例は、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどである。
但し、変質層の変質化の程度が比較的軽い場合、すなわち時間放置劣化(放置酸化)、酸系エッチング液、等方性O2アッシングなどの要因により形成された変質層の場合には、アミン類の濃度は、例えば、0.05乃至3wt%(0.05重量%以上3重量%以下)で良い。
ここで、図19は、使用する薬液中のアミン類の含有濃度と、有機膜の変質の有無に応じた除去レートと、の関係を示す図である。
図19に示すように、変質層を選択的に除去し、変質していない有機膜は残存させるためには、前記アミン類の有機溶剤を0.05乃至1.5wt%(0.05重量%以上1.5重量%以下)含有するような水溶液を用いて薬液処理を行うと良い。なお、前記アミン類の中でも、特に、ヒドロキシルアミン、ジエチルエヒドロキシルアミン、無水ジエチルエヒドロキシルアミン、ピリジン、ピコリンなどが最適である。また、添加する防食剤の典型例として、D−グルコース(C6H12O6)、キレート剤、酸化防止剤などがあり、それらを添加している場合もある。
更に、薬液処理では、上記のように薬液の種類を適宜に選択するほか、その処理時間の長さを適宜の値に設定することにより、変質層又は堆積層のみを選択的に除去し、変質していない有機膜パターンを露出及び残存させたり、堆積層に覆われていた有機膜パターンを露出及び残存させたりすることができる。
このような薬液処理を行うことにより、その後の溶解変形処理(例えば、ガス雰囲気処理)において、該溶解変形処理に用いられる有機溶剤が有機膜パターン内に浸透しやすくなるという効果が得られる。
実際には、有機膜パターンの表面の変質層を上記薬液で処理することにより、変質層に亀裂が入るか、変質層の一部又は全部が除去される。これにより、溶解変形処理(例えば、ガス雰囲気処理)において、有機パターン内への有機溶剤の浸透が変質層によって妨げられてしまうことを、回避することが可能となる。
ここで重要な点は、有機膜パターンにおいて変質していない部分は除去或いは剥離せずに残存させることと、変質層のみを選択的に除去するか或いは該変質層に亀裂を入れることにより有機膜パターンにおいて変質していない部分への有機溶剤の浸透を容易にすることであり、そのような作用を変質層に対して及ぼすことが可能な薬液を使用する必要がある。
また、例えば図2、図3(c)、図3(d)、図5(c)に示すように、アッシング処理は、有機膜パターンの表面の変質層又は堆積層が強固な場合、厚い場合、フッ素と化合した変質層などのより除去し難い変質層である場合に、薬液処理の前に行うと良い。このようにアッシング処理と薬液処理とを組み合わせて行うことにより、薬液処理のみでは変質層の除去が困難であるか又は除去に時間がかかるなどの問題点を解消することができる。
ここで、図15は変質層に対しO2アッシング(等方性プラズマ)処理のみを施した場合の変質層の変化を示し、図16は変質層に対し薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)のみを施した場合の変質層の変化を示し、図17は変質層に対しO2アッシング(等方性プラズマ)処理と薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)とを順に施した場合の変質層の変化を示している。なお、図15乃至図17においても、図14におけるのと同様に、変質化の程度を、ウェット剥離の難易を基準としてレベル分けしている。
図15乃至図17に示すように、何れの場合にも変質層の除去は可能であるが、図15に示すO2アッシング(等方性プラズマ)処理のみの場合と、図16に示す薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)のみの場合とでは、処理前の変質層の厚さや性質に応じて変質層の除去程度が異なる。
すなわち、O2アッシング(等方性プラズマ)処理は、図15に示すように、比較的、堆積物の有る変質層の除去に効果があるが、ダメージを残存させてしまう特徴があるため、堆積物の無い変質層に対して行った場合には、薬液処理のみの場合(図16)よりも変質層の残存の程度が大きい。
それに比較し、薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)は、図16に示すように、堆積物の有る変質層の除去に対しては効果が小さいが、ダメージを残存させない特徴があるため、堆積物の無い変質層に対して行った場合には、O2アッシング(等方性プラズマ)処理のみの場合(図15)よりも変質層の残存の程度が大きい。
そこで、O2アッシング(等方性プラズマ)処理と薬液処理(ヒドロキシルアミンを2%含有する水溶液を用いた薬液処理)とを順に施した場合を図17に示すが、図17の場合には、図15の場合と図16の場合との双方の長所を取り入れた方法であることが分かる。すなわち、図17の場合には、堆積物有りの場合にも、無しの場合にも、共に効果を発揮するとともに、ダメージの残存を抑制した理想的な態様で変質層を除去できることが分かる。
更に、溶解変形処理(例えばガス雰囲気処理)の均一性をより高めるには、有機パターンの下地膜の領域を表面処理し濡れ性を高めることも好ましい。下地膜の濡れ性を高める表面処理は、上記の各実施形態で説明したアッシング処理、すなわち、例えば、酸素ガスプラズマ(O2プラズマ)或いはUVオゾン処理により行うことが挙げられる。
酸素プラズマ処理は、例えば、O2流量300sccm、処理圧力100Pa、RFパワー1000Wのプラズマ中で、120秒間を行うことが挙げられる。
他方、UVオゾン処理は、100℃乃至200℃の基板温度範囲にてオゾンガス雰囲気中でUV光を照射することにより行うことが挙げられる。
下地膜の濡れ性を高めるその他の表面処理としては、各種プラズマ処理、各種プラズマの典型例としてのフッ素系ガスプラズマ(SF6ガスプラズマ、CF4ガスプラズマ、CHF3ガスプラズマ等)又はフッ素系ガスと酸素ガスとの混合プラズマ(SF6/O2プラズマ、CF4/O2プラズマ、CHF3/O2プラズマ等を含む)処理が挙げられる。
これら処理は有機パターンで覆われていない下地膜表面の濡れ性を改善する。従って、これらの処理を行うことによって、溶解変形処理(例えばガス雰囲気処理)により変形する有機パターンが下地膜表面をリフローし易くなる。
ところで、上記のように、各種プラズマ処理、酸素プラズマ処理、或いはUVオゾン処理等の前処理は、薬液処理と比べてダメージの残存を招き易い。そこで、各種プラズマ処理、酸素プラズマ処理、或いはUVオゾン処理等の前処理の後に更に薬液処理による有機膜の表面の変質層を処理又は除去することにより、下地膜の濡れ性を高めると共に有機膜パターンにダメージを残存させず有機パターン表面の変質層を除去できるので、均一な溶解変形処理を行うことができる。
図18は溶解変形処理(例えばガス雰囲気処理)の前処理としての除去処理の効果を、本発明の場合の除去処理を行った場合と、従来技術の場合の除去処理を行った場合とに分けて、それぞれ示す模式図である。
図18(a)は基板上31に有機膜パターン32が形成された状態を示す。
図18(b)は有機膜パターン32をマスクとして、エッチングにより下地膜(例えば、基板31の上層部31a)をパターン加工した状態を示す。
図18(c)は図18(b)における有機膜パターン32の拡大図である。図18(c)に示すように、有機膜パターン32の表層部には、例えば、先のエッチングに起因して、変質層32aが形成されている。従って、有機膜パターン32において、変質していない正常部32bは、変質層32aに覆われた状態となっている。
図18(d)は、本発明の場合の除去処理(例えば薬液処理のみ)を行った状態を示す。図18(d)に示すように、除去処理を行うことにより(この除去処理の前に加熱処理(ステップS00)が行われるが、図18においては、図示していない)、有機膜パターン32の表層部の変質層32は除去される。また、有機膜パターンにおけるダメージの残存は無い。
図18(e)は、図18(d)の除去処理に続いて溶解変形処理を行った状態を示す。図18(e)に示すように、溶解変形処理を行うことにより、有機膜パターン32を均一に変形させることができ、良好な溶解変形処理を行うことができる。
対して、図18(f)は、従来技術の場合の除去処理(アッシング処理のみ)を行った状態を示す。図18(f)に示すように、従来技術の除去処理を行った場合には、元々存在していた有機膜パターン32の表層部の変質層32は除去されるが、有機膜パターンにおけるダメージの残存が生じる。
図18(g)は、図18(f)の従来の除去処理に続いて溶解変形処理を行った状態を示す。図18(g)に示すように、先の除去処理によるダメージの残存程度に応じて、溶解変形処理による有機膜パターン32の変形が均一になることもある。しかし、ダメージの残存が大きい場合には、有機膜パターン32の変形が不均一になったり、或いは、有機膜パターン32が溶解しなかったりするので、良好な溶解変形処理を行うことが困難である。