JP2005158355A - Sofc用多孔質電極、その製造方法及びsofc並びに触媒担持用造孔材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極材料に触媒材料を担持して成るSOFC用多孔質電極。材料固有の空隙部と造孔材に起因する空隙部を有し、かかる造孔材に起因する空隙部内に、触媒材料を担持している。SOFC用多孔質電極を少なくとも1つ備えるSOFC。
SOFC用多孔質電極の製造方法である。触媒材料を担持した造孔材と、電極材料を混合して電極形成混合物を得、次いで、得られた混合物を成形・焼成する。
触媒材料と熱焼失カーボンを含有して成る触媒担持用造孔材。
【選択図】なし
Description
例えば、多孔質電極に触媒材料を担持して、高性能なSOFC用多孔質電極を得る方法としては、(1)酸素イオン伝導性又は混合伝導性を有する多孔質焼結体に、電子伝導性又は混合伝導性を有する触媒材料のスラリーを含浸させ、微細孔内に担持する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
なお、「混合伝導性を有する」とは、電子伝導性と酸素イオン伝導性を併せて有することである。
また、(2)酸素イオン伝導性を有する酸化物粉体を、電極触媒活性を有する金属のイオンを含有する溶液中に浸し、その後乾燥・加熱処理をして酸化物表面に金属を担持し、得られた金属担持酸化物粉体を成型・焼成する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
一方、固体高分子型燃料電池用電極を得る方法ではあるが、(3)炭素前駆体ポリマーと触媒材料を担持した熱焼失性ポリマーを熱溶融・紡糸・炭素化して微細孔内に触媒材料を担持した多孔質カーボンファイバーを得、このカーボンファイバーに固体高分子電解質を含む溶液を含浸させる方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
このような、従来のSOFC用多孔質電極を図面を用いて説明する。
図3は、従来のSOFC用多孔質電極の一例(サーメット型)を示す模式的説明図である。同図に示すように、SOFCは固体電解質基板20上に、電極材料(金属材料)1と電極材料(酸化物材料)3と触媒材料5から成るSOFC用多孔質電極10を備える。例えば、同図で示すE部位のように、細孔部が一部細くなっている又は入り組んだ部位には、触媒材料5が担持されにくい。
このような、従来のSOFC用多孔質電極を図面を用いて説明する。
図4は、従来のSOFC用多孔質電極の一例を示す模式的説明図である。同図に示すように、SOFCは固体電解質基板20上に、電極材料(酸化物材料)3と触媒材料5から成るSOFC用多孔質電極10を備える。例えば、同図で示すF部位のように、ガス拡散が起こりにくい部位にも触媒材料5が担持されるため、触媒材料5が積極的に使用されず、また、電極の電子伝導性を確保するために、担持する触媒材料5の使用量が増え、コストがかかるなどの問題があった。
また、微細孔内に形成される固体高分子電解質膜が薄い場合、膜の水平方向のイオン伝導距離が長いために、イオン伝導抵抗が大きくなり、触媒材料担持部分が有効に利用されず、一方でイオン伝導抵抗低減のためには、形成する電解質膜にある程度の厚さを持たせる必要があるが、その場合にはガス拡散が阻害されてしまうという問題があった。
更に、炭素前駆体ポリマーの残炭素率を15%以上、熱焼失性ポリマーの残炭素率を10%以下のポリマーに調整することにより、触媒を担持するカーボンファイバーの細孔を制御し得る。しかし、同じポリマーにおいて、一方は精度良くグラファイト化させ、他方は熱分解して消失させる機構であるため、焼成炉内の温度、雰囲気などの条件ばらつきを抑制し、品質を一定に保ち、歩留まり良く製造することは困難であった。
また、本発明のSOFCは、上記本発明のSOFC用多孔質電極を少なくとも1つ備えて成る。
更に、本発明のSOFC用多孔質電極の製造方法は、上記本発明のSOFC用多孔質電極を製造する方法であって、触媒材料を担持した造孔材と、電極材料を混合して電極形成混合物を得、次いで、得られた混合物を成型・焼成し、SOFC用多孔質電極を得る方法である。
更にまた、本発明の触媒担持用造孔材は、上記本発明のSOFC用多孔質電極の製造方法に用いる触媒担持用造孔材であって、触媒材料と熱焼失カーボンを含有して成る。
上述の如く、本発明のSOFC用多孔質電極は、電極材料に触媒材料を担持して成り、材料固有の空隙部と造孔材に起因する空隙部を有し、かかる造孔材に起因する空隙部内に、触媒材料を担持している。
ここで、詳しくは後述するが、造孔材に起因する空隙部は材料固有の空隙部と比較すると通常は大きく拡げられている部位である。
また、本発明において、「造孔材に起因する空隙部内」には、「造孔材に起因する空隙部の開口近傍」も含む。
図1は、本発明のSOFC用多孔質電極の一例を示す模式的説明図である。同図に示すように、固体電解質基板20上に電極材料(金属材料)1と電極材料(酸化物材料)3と触媒材料5から成るSOFC用多孔質電極10を備える。
本発明のSOFC用多孔質電極10は、例えば同図に示すA部位のように、造孔材に起因する空隙部内に触媒材料5が担持されている一方、例えばB部位のように、材料固有の空隙部内には触媒材料5が担持されていない。
なお、図示しないが、担持された触媒材料は、必ずしも1層であることに限られず、2層以上の積層構造を有していてもよい。
また、多孔質電極は、触媒材料を担持してSOFC用電極として使用することが可能であれば、特に限定されるのものではないが、代表的にはそれぞれ使用時に、電子伝導性を有する材料、酸素イオン伝導性を有する材料又は電子伝導性及び酸素イオン伝導性の両性質を併せ有する混合伝導性材料並びにこれらの任意の混合材料から成る電極を挙げることができる。
ここで「空隙部の断面最大径」とは、任意の切断面で観察される空隙部の最大径をいう。
上記範囲に調整することにより、ガス拡散性を保持しつつ、耐久性に優れたSOFCを提供することができる。
例えば、本発明のSOFC用多孔質電極を支持基板とする、いわゆる電極支持型の薄膜電解質型SOFCに用いる場合、造孔材に起因する空隙部の断面最大径が20μmを超えると、その上に薄膜電解質を形成した際に、欠陥が生じ易く好ましくない。
また、薄膜電解質の欠陥防止という観点からは10μm以下であることが更に好ましい。
一方、造孔材に起因する空隙部の断面最大径が1μm未満では、電極のガス拡散性を十分に確保できない可能性がある。
用いる金属材料としては、特に限定されるものではないが、代表的には、電極触媒活性を有するニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、銀(Ag)、クロム(Cr)を挙げることができる。
用いる酸化物材料としては、上述したような酸化物材料であれば、特に限定されるものではないが、代表的には、酸化ネオジム(Nd2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、イットリア(Y2O3)、酸化スカンジウム(Sc2O3)及び酸化ガドリニウム(Gd2O3)などを固溶した安定化ジルコニア、セリア(CeO2)含有固溶体、酸化ビスマス固溶体、LaGa固溶体ぺロブスカイト、ランタンコバルト含有酸化物、ランタンマンガン含有酸化物などを挙げることができる。
上述の如く、本発明のSOFCは、上記本発明のSOFC用多孔質電極を少なくとも1つ備える。SOFCの種類としては、特に限定されるものではないが、具体的には、電解質支持型や電極支持型SOFCなどを挙げることができる。
上述の如く、本発明のSOFC用多孔質電極の製造方法は、上記本発明のSOFC用多孔質電極を製造する方法であって、触媒材料を担持した造孔材と、電極材料を混合して電極形成混合物を得、次いで、得られた混合物を成型・焼成することによりSOFC用多孔質電極を得る方法である。
本発明の製造方法により、造孔材は、多孔質電極に残存しないよう除去され、造孔材に担持されていた触媒材料は、その造孔材に起因する空隙部に担持され、所望の多孔質電極を得ることができる。
ここで、造孔材は空隙部を形成して熱焼失する材料であれば、特に限定されるものではないが、代表的にはカーボンやポリマービーズなどを挙げることができる。
また、触媒材料の担持方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜用いることが可能であるが、代表的には、スプレーコート、スプレー熱分解、PVD、及び触媒材料を含む水溶液又はスラリーの造孔材への含浸などを挙げることができる。
一方、造孔材の粒径が10μmを超えると、部分的に連接した空隙部が大きくなり、その上に薄膜電解質が形成される場合には、薄膜電解質に破損が生じるおそれがある。また、電極基板としての強度が低下するために、電極基板自体が破損するおそれもある。
ここで、「電極形成混合物」は、電極材料と触媒材料と造孔材から成る混合物であり、造孔材の含有量もこれを基準とする。製造方法によっては、成形を容易にするため、溶媒や可塑剤や分散剤などを加える場合もあるが、基準は変わるものではない。
本発明のSOFC用多孔質電極が、電極支持型SOFCの電極基板となる場合、例えば、造孔材であるカーボンの含有量が5%未満では、多孔質電極のガス拡散性が十分に確保できない可能性があり、カーボンの含有量が20%を超えると、空隙部同士が連接して大きくなり、薄膜電解質に破損が生じる恐れがある。また、電極基板としての強度が低下するために、電極基板自体が破損するおそれもある。
このように、造孔材であるカーボンの平均粒径や含有量、更には混合の程度によってカーボン濃度分布を調整することなどによって、多孔質電極のガス拡散性を保持しつつ、欠陥が少ない薄膜電解質を形成可能、即ち耐久性に優れたSOFCを提供することができる。
上述の如く、上記本発明のSOFC用多孔質電極の製造方法に用いる触媒担持用造孔材であって、触媒材料と熱焼失カーボンを含有して成る。
焼結体などの焼成工程が必要な材料の製造に当たり、造孔を目的として添加される造孔材に触媒材料をあらかじめ担持することによって、ガス拡散流路により確実に触媒を担持することが可能となり、触媒の使用量を少なくすることができるため、コストを低減することができる。特に、Ptなどの高価な触媒を担持する際に有効である。
なお、8YSZは8mol%イットリウム添加安定化ジルコニア、LSCはストロンチウム複合ランタンコバルト酸化物、LSGMはストロンチウムマグネシウム複合ランタンガレート、SSCはストロンチウム複合サマリウムコバルト酸化物、SDCはサマリウム添加セリアを表す。
カーボン粒子(平均粒径:10μm)に、PtペーストにてPtを担持して、Pt担持カーボン粒子を得た。
燃料極材料粉NiO−8YSZ(NiO:8YSZ=6:4)に、得られたPt担持カーボン粒子を混合して、電極形成混合物を得た(カーボン含有量5%)。
電極形成混合物を用い、ドクターブレード法にて燃料極シートを形成した。得られた燃料極シートを直径39mmの円形に打ち抜き、1100℃で2時間焼成し、直径37mm、厚さ1mmの燃料極板(燃料極層)を得た。
更に、8YSZ電解質層上の直径20mmの範囲に室温でスパッタリング法にて厚さ1μmのLSC空気極層を形成し、図5に示すような、本例のSOFCを得た。
カーボン粒子(平均粒径:3μm)を、Ruを分散させたスラリーに混合・撹拌して、Ru担持カーボン粒子を得た。
得られたRu担持カーボン粒子をNiO−8YSZ燃料極材料粉と混合して(カーボン含有量5%)、ペースト状とした。
得られたペーストを直径30mm、厚さ500μmのLSGM電解質基板(電解質層)上の直径20mmの範囲に印刷法により塗布し、1300℃で2時間焼成して、厚さ20μmの燃料極層を形成した。
カーボン粒子(平均粒径:3μm)に、PtペーストにてPtを担持して、Pt担持カーボン粒子を得た。
得られたPt担持カーボン粒子をSSC空気極材料粉と混合して(カーボン含有5%)、ペースト状とした。
得られたペーストを燃料極を形成した側と逆側のLSGM電解質基板(電解質層)上の直径20mmの範囲に印刷法により塗布し、1100℃で2時間焼成して、厚さ20μmの空気極層を形成し、図6に示すような、本例のSOFCを得た。
カーボン粒子(平均粒径:5μm)をCeO2及びSm2O3をCe0.8Sm0.2O1.9となるように混合した硝酸水溶液に分散させ、SDC担持カーボン粒子を得た。
燃料極材料粉NiO−8YSZ(NiO:8YSZ=6:4)に、得られたSDC担持カーボン粒子を混合して、電極形成混合物を得た(カーボン含有量10%)。
電極形成混合物を用い、ドクターブレード法にて燃料極シートを形成した。得られた燃料極シートを直径39mmの円形に打ち抜き、1100℃で2時間焼成し、直径37mm、厚さ1mmの燃料極板(燃料極層)を得た。
得られた燃料極板を基板とし、基板上全面に印刷法により8YSZ電解質を塗布し、1400℃で5時間焼成して、厚さ10μmの電解質層を得た。
更に、8YSZ電解質層上の直径20mmの範囲に印刷法によりSSCを塗布し、1100℃で2時間焼成して、厚さ20μmの空気極層を形成し、図7に示すような、本例のSOFCを得た。
3 電極材料(酸化物材料)
5 触媒材料
10 多孔質電極
20 固体電解質
Claims (10)
- 電極材料に触媒材料を担持して成る固体酸化物型燃料電池用多孔質電極において、
材料固有の空隙部と造孔材に起因する空隙部を有し、
上記造孔材に起因する空隙部内に、上記触媒材料を担持していることを特徴とする固体酸化物型燃料電池用多孔質電極。 - 上記造孔材に起因する空隙部の断面最大径が1〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池用多孔質電極。
- 上記触媒材料が金属材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物型燃料電池用多孔質電極。
- 上記触媒材料が酸素イオン伝導性又は混合伝導性を有する酸化物材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物型燃料電池用多孔質電極。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の固体酸化物型燃料電池用多孔質電極を少なくとも1つ備えることを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の固体酸化物型燃料電池用多孔質電極を製造するに当たり、
触媒材料を担持した造孔材と、電極材料を混合して電極形成混合物を得、次いで、得られた混合物を成形・焼成することを特徴とする固体酸化物型燃料電池用多孔質電極の製造方法。 - 上記造孔材の平均粒径が3〜10μmであることを特徴とする請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池用多孔質電極の製造方法。
- 上記造孔材がカーボンであることを特徴とする請求項6又は7に記載の固体酸化物型燃料電池用多孔質電極の製造方法。
- 上記造孔材の含有量が、上記電極形成混合物の5〜20%であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つの項に記載の固体酸化物型燃料電池用多孔質電極の製造方法。
- 請求項6〜9のいずれか1つの項に記載の製造方法に用いる触媒担持用造孔材であって、
触媒材料と熱焼失カーボンを含有して成ることを特徴とする触媒担持用造孔材。
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- 2003-11-21 JP JP2003392737A patent/JP2005158355A/ja active Pending
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