JP2005156500A - 微小流路構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】2種以上の流体を微小流路に導入し、多相の層流状態を維持したまま、隣接する2種の流体間における溶媒抽出や化学反応を進行させ、かつ各々の流体が他の流体に実質的に混入しないで別々に所定の排出口より排出することができる微小流路構造体を提供する。
【解決の手段】流体を導入するための3以上の導入口及びそれらに連通する導入流路と、前記導入流路が合流する合流部と連通しかつ導入された流体を流すための微小流路と、前記微小流路に連通しかつ所定の流体を排出する排出流路及びそれらに連通する排出口と、を有した微小流路構造体であって、2種以上の流体により形成される境界近傍に沿って、流体進行方向に複数の不連続な仕切壁が形成され、各境界近傍に沿った不連続な仕切壁の流体進行方向に垂直な位置が隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向に実質的にずれている微小流路構造体を用いる。
【選択択図】なし

Description

本発明は、化学反応や液滴生成、分析などを行なう微小流路を有する微小流路構造体において、微小流路に導入した流体の混合や溶媒抽出、化学反応、分離等を行なうに好適な微小流路構造体に関する。
通常、相間移動触媒を用いた反応は、有機相に基質と相間移動触媒を溶解し、水相に水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリを反応開始剤として溶解し、有機相と水相の2相系を攪拌、懸濁させて反応を進行させる。この反応系の場合、反応開始剤であるアルカリが、生成物と反応しもとの基質に分解する逆反応も同時に進行してしまうため、通常、反応はある平衡状態で停止してしまうという問題があった。
上記問題の解決方法の一つとして、近年、相間移動触媒のみを有機相にも水相にも混和しない溶媒に溶かし、水相と有機相の中間に配置させ、第3の液相として存在させる反応プロセスが試みられている。上記の例では、図15に示すように相間移動触媒を溶解させた触媒相(28)を第3相として有機相(2)と水相(1)を直接接触させないように配置して反応を実施する。攪拌には、3つの相が完全に懸濁しないように、特殊な構造の攪拌器であるラモンドスターラー(29)を用いる。このようにすることで、有機相と水相を分離したまま両相に溶解している反応物を反応させることが可能となり、生成物が反応開始剤であるアルカリと直接接触しないようにすることで逆反応を抑制し、反応収率や選択率を高めること、反応速度を高めること、反応生成物を含む有機相を抜き出して新たに反応物を含む有機相を加えて反応を再び行う周期操作を行うことができること、が報告されている。(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、一般には、試験管やビーカー、反応釜といった反応容器では、各相の配置は各相の比重により決まってしまったり、親媒性により他相と自由混合してしまうため、第3相を有機相と水相の中間に位置させることは極めて難しい。また、各相が混合しないように攪拌させるための特殊なスターラーを設計して攪拌したり、振動により各相の界面を崩さないように攪拌を行う必要があるなどスケールアップによる実用化が非常に難しいという問題があった。
最近、数cm角のガラス基板上に長さが数cm程度で、幅と深さがサブμmから数百μmの微小流路を有する微小流路構造体を用い、流体を微小流路へ導入することにより化学反応を行う研究が注目されている。このような微小流路では、微小空間での短い分子間距離および大きな比界面積の効果による分子のすみやかな拡散により、特別な攪拌操作を行なわなくとも効率の良い化学反応を行なうことができることや、反応によって生じた目的化合物が反応相から抽出相へすばやく抽出、分離されることによって、引き続いて起こる副反応が抑えられることが示唆されている(例えば、非特許文献2参照)。微小流路とは一般に流路の幅が50〜300μm以下、流路の深さが10〜100μm以下の大きさの流路を意味する。一般的に、マイクロスケールの流路内ではレイノルズ数が1より小さいケースがほとんどであり、よほど流速を大きくしない限りは図1に示すような層流の状態となり、流体境界(3)が形成される。例えば本発明に用いられる図1に示すような流体導入口(9)がΨ字状になった微小流路(12)を用いた場合、3相の合流部(4)からの各相の配置は、各相の比重に左右されることなく容易に3相層流を形成し、安定した流体境界(3)を形成することができる。これは、一般的にマイクロスケールの流路内では重力の影響よりも表面張力の影響の方がはるかに大きいので、流路内を流れる流体におけるレイノルズ数が10以下あるいは1より小さくなり、よほど流速を大きくしない限りは層流の状態が保たれるためである(例えば、非特許文献3参照)。この現象は、一般的に混和しにくいトルエンやシクロヘキサンなどの有機相と水相の場合に限らず、試験管では自由混合により瞬時に混和してしまうようなメタノールやエタノールなどの有機相と水相の場合や、前述したトルエンやシクロヘキサンの有機相とメタノールやエタノールの有機相どうしも、数cm程度の長さを数μL/分〜数十μL/分の流速の範囲で送液すると、流体境界が形成される。ここで、流体境界は層流界面ということもある。
また一般的に、拡散時間は図1に示す微小流路の幅(8)の2乗に比例するので、微小流路の幅を小さくするほど反応液を能動的に混合しなくとも分子の拡散によって混合が進み、反応や抽出が起こりやすくなる。すなわち、このような微小流路を用いた場合、溶媒抽出や化学反応の進行は、主に流体境界(3)における隣接する流体間に含有している物質の濃度差から生じる拡散で進行し、一般に流体を供給する流速(以下、送液速度と称する)が遅いほど、あるいは流路長が長いほど、溶媒抽出や化学反応がより進行する。すなわち、隣接する流体同士の接触時間が長いほど溶媒抽出や化学反応がより進行するといわれている(例えば、非特許文献3参照)。
さらに、図2に示すように、微小流路(12)の流体排出口(10)もΨ字状にしておくことで、各相を分離することができるということが一般的に言われている。このように流体排出口で導入した流体を完全に分離して排出することは、微小流路内で流体が接触することによって生じる溶媒抽出や化学反応を微小流路の分岐部(5)において完全に停止させたり、一度微小流路に導入した流体を再利用する上でも非常に重要な機能である。
しかしながら、実際には流体境界(3)の位置は、送液ポンプの送液圧力の変動や、流体と微小流路内壁の親和性の違いなどにより非常に不安定に変動するため、微小流路内で図2に示すような流体境界(3)を安定して形成させ、各々の流体が他の流体に実質的に混入しないで排出させることは非常に困難であった。特に図2に示すように、微小流路内に二以上の流体境界が存在する場合は、2相層流の場合に比べてさらに流体境界が安定せず、微小流路の排出口において各々の流体の混合を実質的に防ぐには至っていなかった。ここで、『実質的に混入しない』あるいは『実質的に混入することなく』とは、前記微小流路の流路長において、各々の流体の混入率が10%未満であると定義する。
「次世代化学反応プロセス技術開発 多相系触媒反応プロセス技術の開発 平成13年度技術報告書」,(財)化学技術戦略機構, 2001年5月発行,13−43頁
H.Hisamoto et.al.(H.ひさもと ら著)「Fast and high conversion phase−transfer synthesis exploiting the liquid−liquid interface formed in a microchannel chip」, Chem.Commun., 2001年発行, 2662−2663頁 藤井、「集積型マイクロリアクターチップ」、ながれ20巻、2001年発行、99〜105頁
本発明の目的は、かかる従来の実状に鑑みて提案されたものであり、2種以上の流体を微小流路に導入し、多相の層流状態を維持したまま、隣接する2種の流体間における溶媒抽出や化学反応を進行させ、かつ各々の流体が他の流体に実質的に混入しないで別々に所定の排出口より排出することができる微小流路構造体を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するものとして、流体を導入するための3以上の導入口及びそれらに連通する導入流路と、前記導入流路が合流する合流部と連通しかつ導入された流体を流すための微小流路と、前記微小流路に連通しかつ所定の流体を排出する排出流路及びそれらに連通する排出口と、を有した微小流路構造体であって、2種以上の流体により形成される境界近傍に沿って、流体進行方向に複数の不連続な仕切壁が形成され、各境界近傍に沿った不連続な仕切壁の流体進行方向に垂直な位置が隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向に実質的にずれている微小流路構造体を用いることにより、上記の従来技術による課題を解決することができ、遂に本発明を完成するに至った。
なお、「2種以上の流体により形成される境界」という表現を、本発明では「層流界面」あるいは、「流体境界」という表現と同意語で使用している。
以下では本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、通常、水、有機溶媒等の媒体に目的とする反応物、あるいは抽出対象となる物質を溶解した2種以上の流体を微小流路構造体に形成されている微小流路に導入し、導入された流体を微小流路空間内で多相の層流を維持したまま送液することができる微小流路構造体である。
このため、本発明に用いる微小流路構造体には、流体を導入するための3以上の導入口及びそれらに連通する導入流路と、前記導入流路が合流する合流部と連通しかつ導入された流体を流すための微小流路と、前記微小流路に連通しかつ所定の流体を排出する排出流路及びそれらに連通する排出口と、を有した微小流路構造体であって、2種以上の流体により形成される流体境界近傍に沿って、流体進行方向に複数の不連続な仕切壁が形成され、各流体境界近傍に沿った不連続な仕切壁の流体進行方向に垂直な位置が隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向に実質的にずれていることを特徴とする微小流路構造体である必要がある。ここで「実質的にずれている」とは、仕切壁の流体進行方向の端の少なくとも一方の位置のずれが加工精度の範囲内以上の差であることを意味し、より具体的には、±2.5μm以上の位置のずれを意味する。また逆に、仕切壁の位置が「実質的に一致」するとは、仕切壁の流体進行方向の端の少なくとも一方の位置のずれが加工精度の範囲未満の差であることを意味し、より具体的には、±2.5μm未満の位置のずれを意味する
上記の微小流路とは、微小空間の特徴が現れる空間であれば特に流路の幅や、流路の深さは限定されないが、本発明では、幅500μm以下、深さ300μm以下のサイズの流路であり、好ましくは、流路の幅が50〜300μm、流路の深さが10〜100μmの大きさの流路を意味する。また、導入流路と排出流路の幅と深さは特に制限はないが、微小流路と同様の幅と深さであっても良い。また、導入口と排出口の大きさも特に制限はないが、一般的に直径約0.1mm〜数mm程度の大きさであれば良い。
このように、微小流路内に前記仕切壁を設けることにより、導入された2種以上の流体のうち、隣接する流体が各々実質的に混入することなく安定した多相の層流を維持したまま流れていく。さらに、所定の排出流路に各々の流体が互いに隣接する流体と実質的に混入することなく排出することを可能としている。
またこの仕切壁の高さは、流路の深さに対してあまり低いと本発明による効果を得ることができない。また、仕切壁の高さは流路の深さに対して20%以上の高さである事が好ましく、さらには隣接する流体が微小流路内で互いに実質的に混入しないようにするためには、その仕切壁の高さが流体が仕切壁を越えて隣接する他の流体の相へ移動することができない程度の高さが好ましく、さらには微小流路深さと実質的に等しいことがより好ましい。
以下、本発明の微小流路構造体について図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
本発明に示したような、微小流路内に流体進行方向に不連続な仕切壁を複数の流体境界の近傍に沿って複数形成させ、各境界近傍に沿った不連続な仕切壁の流体進行方向に垂直な位置を隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向にずらすことにより、導入された流体を微小流路空間内で多相の層流を維持したまま送液した場合、仕切壁をずらさない構造の微小流路と比較して各々流体の混入を飛躍的に減少させることが出来る。その原理を図3を用いて以下に説明する。
図3及び図4は、2流体が3相層流を形成した様子を示した図である。図3は仕切壁(13)がずれていない場合を示し、図4は仕切壁(13)がずれている場合を示す。
図3に示すように、仕切壁がずれていない場合は、主に送液ポンプに起因する流体の圧力変動等の原因により流体の界面1(6)の位置が変動すると隣接する流体の界面2(7)も影響をうけて変動してしまう。
一方、図4に示すように、仕切壁がずれている場合は、流体の界面1(6)の位置がたとえ変動したとしても、流体の界面2(7)の位置は仕切壁によって安定に保たれているため、変動は抑えられ、結果として安定した多相の層流を維持したまま、所定の排出流路に各々の流体が互いに隣接する流体との実質的に混入することなく排出することを可能としている。
本発明における微小流路の態様のいくつかを図5、図6に示した。なお本発明は、これらの態様に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更が可能であることは言うまでもない。図5に示すように、流体進行方向に垂直な仕切壁の位置が、隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向にずれており、かつ仕切壁の両端の流体進行方向に垂直な位置は実質的に一致し、さらに全ての仕切壁の流体進行方向の長さと、仕切壁同士の流体進行方向の間隔が実質的に等しい場合が基本的な態様であるが、図6に示すように仕切壁の流体進行方向の長さと、仕切壁同士の流体進行方向の間隔は隣接する境界近傍に沿った不連続な仕切壁同士で違っていてもよい。このようにすることで、隣接する流体の接触時間や比界面積を調整することが可能となり、抽出効果や反応効率を調整することができる。
ここで、微小流路の幅方向に対する仕切壁の位置は特に制限されず、送液する流量や流速、粘性などの溶液の性質に応じて変更することができる。当然、化学反応や溶媒抽出より隣接する流体の粘性が変化して流体境界の位置が流体進行方向に従って徐々に変化する場合でも、予め粘性の変化をシミュレーション等により計算し予測しておけば、予測した流体境界の近傍に沿って仕切壁を設ければ良い。逆に、仕切壁を流路の幅方向に対して中央付近に形成した微小流路に粘性が異なる流体を流した場合は、流体の粘性に逆比例した送液速度で流体を送液すれば流体境界を仕切壁付近に形成することができる。また、図7に示すように仕切壁の厚さ(14)は特に限定されないが、送液自体を妨げないように流路幅の3〜10%程度が好ましい。また、流体境界の近傍に沿って形成された流体進行方向における仕切壁と仕切壁の最短の間隔(25)の最小値は、仕切壁(13)が不連続であれば特に制限はないが、流路幅の1/(仕切壁で区切られた流体数)程度が好ましく、たとえば、3相層流の場合、仕切り壁で区切られた流体数は3となることから、流路幅150μmの微小流路であれば仕切壁と仕切壁の最短の間隔は約50[μm]程度が好ましい。
以上のような微小流路構造体を構成している微小流路を有する微小流路基板は、例えばガラスや石英、セラミック、シリコン、あるいは金属や樹脂等の基板材料を、機械加工やレーザー加工、エッチングなどにより直接加工することによって製作できる。また、基板材料がセラミックや樹脂の場合は、流路形状を有する金属等の鋳型を用いて成形することで製作することもできる。なお一般的に、前記微小流路基板は、流体導入口、流体排出口、および各微小流路の排出口に対応する位置に直径数mm程度の小穴を設けたカバー体と積層一体化させた微小流路構造体として使用する。カバー体と微小流路基板の接合方法としては、基板材料がセラミックスや金属の場合は、ハンダ付けや接着剤を用いたり、基板材料がガラスや石英、樹脂の場合は、百度〜千数百度の高温下で荷重をかけて熱接合させたり、基板材料がシリコンの場合は洗浄により表面を活性化させて常温で接合させるなどそれぞれの基板材料に適した接合方法が用いられる。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
本発明の微小流路構造体は、流体を導入するための3以上の導入口及びそれらに連通する導入流路と、前記導入流路が合流する合流部と連通しかつ導入された流体を流すための微小流路と、前記微小流路に連通しかつ所定の流体を排出する排出流路及びそれらに連通する排出口と、を有した微小流路構造体であって、2種以上の流体により形成される境界近傍に沿って、流体進行方向に複数の不連続な仕切壁が形成され、各境界近傍に沿った不連続な仕切壁の流体進行方向に垂直な位置が隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向に実質的にずれている微小流路構造体であり、このような微小流路構造体を用いることにより、2種以上の流体を微小流路に導入し、多相の層流状態を維持したまま、隣接する2種の流体間における溶媒抽出や化学反応を進行させ、かつ各々の流体が他の流体の実質的に混入することなく別々に所定の排出口より排出することができる。
また、本発明の微小流路構造体は、前述した仕切壁の少なくとも片側一端の流体進行方向に垂直な位置が実質的に一致していても良いし、前述した仕切壁の両端の流体進行方向に垂直な位置が実質的に一致していても良く、さらには、仕切壁の流体進行方向の長さと間隔が実質的に等しくてもよい。このようにすることで、隣接する流体の接触時間や比界面積を調整することが可能となり、抽出効果や反応効率を調整することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更が可能であることは言うまでもない。
図7〜図8に第1の実施例に用いた微小流路構造体の概念図を示した。微小流路(12)の形状は流体導入口側と流体排出口側がΨ字状に3本の微小流路に分岐しており、微小流路内には図8に示すように、微小流路の幅方向に対してほぼ3等分に、微小流路の流路深さ(11)に等しい高さの流体進行方向に沿った不連続な仕切壁(13)を形成した。不連続な仕切壁の流体進行方向に垂直な位置は、流体進行方向に実質的にずれており、かつ仕切壁の両端の流体進行方向に垂直な位置が実質的に一致しているよう配置した。製作した微小流路の幅(8)は150μm、流路深さ(11)は20μm(図7におけるA−A’断面を示す図5、B−B’断面を示す図10、に認められる)、長さ30mmである。流体進行方向に対する仕切壁と仕切壁の最短の間隔(16)及び仕切壁の流体進行方向の最長の長さ(17)は50μm、仕切壁の流路幅方向の厚さ(14)は約5μmである。微小流路は、70mm×38mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板に一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、3つの流体の導入口A(19)、導入口B(20)、導入口C(21)と3つの流体の排出口D(22)、排出口E(23)、排出口F(24)に相当する位置に、直径1.0mmの貫通した小穴を機械的加工手段により設けた同サイズのパイレックス(登録商標)基板をカバー体として熱融着により接合することで微小流路を密閉した。
この微小流路構造体に水とシクロヘキサンをそれぞれ、1μL/分〜50μL/分の間で等しい送液速度で送液した。なお、20℃における水の粘性は1.002[mPa・s]、シクロヘキサンの粘性は0.979[mPa・s]でありほぼ等しい。導入口A(19)から水を、導入口B(20)からシクロヘキサンを、導入口C(21)から水を上記条件で送液し、排出口D(22)から排出された水の量と混入したシクロヘキサンの量を、排出口E(23)から排出されたシクロヘキサンの量と混入した水の量を、排出口F(24)から排出された水の量と混入したシクロヘキサンの量を、それぞれメスシリンダーにて秤量して測定し、その結果を表1に示した。
Figure 2005156500
表1は、等速条件下で、各送液速度における混入率を、水相への有機相の混入率(%)、有機相への水相の混入率(%)として示したものであり、流速は3、5、8、10、20、50μL/分である。
この結果から、送液速度の範囲が少なくとも8〜50μL/分の範囲で混入率5%未満を実現した。
実施例1で使用した微小流路構造体にシクロヘキサンを8μL/分の固定した送液速度で送液し、それに対して水を3μL/分〜20μL/分の間で送液速度を変えて送液した。すなわち、シクロヘキサンに対する水の送液速度比が0.375〜2.5の間で、導入口A(19)から水を、導入口B(20)からシクロヘキサンを、導入口C(21)から水を上記条件で送液し、排出口D(22)から排出された水の量と混入したシクロヘキサンの量を、排出口E(23)から排出されたシクロヘキサンの量と混入した水の量を、排出口F(24)から排出された水の量と混入したシクロヘキサンの量を、それぞれメスシリンダーにて秤量して測定し、その結果を表2に示した。
Figure 2005156500
表2は、各送液速度比における混入率を、水相1への有機相の混入率(%)、有機相への水相1および水相2の混入率(%)、水相2への有機相の混入率(%)、として示したものであり送液速度比は0.375、0.625、1.000、1.250、2.500である。
この結果から、送液速度比の範囲が少なくとも0.625〜1.25の範囲で混入率10%未満を実現した。
図11〜図12に実施例に用いた微小流路構造体の概念図を示した。微小流路の形状は流体導入口側と流体排出口側がΨ字状に3本の微小流路に分岐しており、微小流路内には図12に示すように、微小流路の幅方向に対してほぼ3等分に、微小流路の流路深さ(11)に等しい高さの流体進行方向に沿った不連続な仕切壁(13)を形成した。不連続な仕切壁の流体進行方向に垂直な位置は、流体進行方向に実質的にずれておらず、仕切壁の両端の流体進行方向に垂直な位置が実質的に一致しているよう配置した。製作した微小流路の幅(8)は150μm、流路深さ(11)は20μm(図11におけるC−C’断面を示す図13、D−D’断面を示す図14、に認められる)、長さ30mmである。流体進行方向に対する仕切壁と仕切壁の最短の間隔(16)及び仕切壁の流体進行方向の最長の長さ(17)は50μm、仕切壁の流路幅方向の厚さ(14)は約5μmである。微小流路は、70mm×38mm×1mm(厚さ)のパイレックス(登録商標)基板に一般的なフォトリソグラフィーとウエットエッチングにより形成し、3つの流体の導入口A(19)、導入口B(20)、導入口C(21)と3つの流体の排出口D(22)、排出口E(23)、排出口F(24)に相当する位置に、直径1.0mmの貫通した小穴を機械的加工手段により設けた同サイズのパイレックス(登録商標)基板をカバー体として熱融着により接合することで微小流路を密閉した。
この微小流路構造体に水とシクロヘキサンをそれぞれ実施例1と同様にして5μL/分〜20μL/分の間で等しい送液速度で送液した。導入口A(19)から水を、導入口B(20)からシクロヘキサンを、導入口C(21)から水を上記条件で送液し、排出口D(22)から排出された水の量と混入したシクロヘキサンの量を、排出口E(23)から排出されたシクロヘキサンの量と混入した水の量を、排出口F(24)から排出された水の量と混入したシクロヘキサンの量を、それぞれメスシリンダーにて秤量して測定し、その結果を表1に示した。
その結果、水へのシクロヘキサンへの混入率、シクロヘキサンへの水への混入率、水のシクロヘキサンの混入率はどの送液速度比においても、15%以上となり非常に高い混入率となった。
また、この微小流路構造体に、実施例2と同様にして、シクロヘキサンを8μL/分の固定した送液速度で送液し、それに対して水を3μL/分〜20μL/分の間で送液速度を変えて送液した。すなわち、シクロヘキサンに対する水の送液速度比が0.375〜2.5の間で、導入口A(19)から水を、導入口B(20)からシクロヘキサンを、導入口C(21)から水を上記条件で送液し、排出口D(22)から排出された水の量と混入したシクロヘキサンの量を、排出口E(23)から排出されたシクロヘキサンの量と混入した水の量を、排出口F(24)から排出された水の量と混入したシクロヘキサンの量を、それぞれメスシリンダーにて秤量して測定し、その結果を表2に示した。その結果、水へのシクロヘキサンへの混入率、シクロヘキサンへの水の混入率はどの送液速度においても、15%以上となり非常に高い混入率となった。
流体導入口がΨ字状になった微小流路内における3相層流を示す概念図である。 流体導入口と流体排出口がΨ字状になった微小流路内における3相層流を示す概念図である。 2流体が3相層流を形成した様子を示した図であり、仕切壁がずれていない場合を示す。 2流体が3相層流を形成した様子を示した図であり、仕切壁がずれている場合を示す。 本発明における微小流路の態様の一つの概略平面図であり、仕切壁の流体進行方向に垂直な位置が隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向にずれており、かつ仕切壁の両端の流体進行方向に垂直な位置は実質的に一致し、さらに全ての仕切壁の流体進行方向の長さと、仕切壁同士の流体進行方向の間隔はほぼ等しい場合を示す。 本発明における微小流路の態様の一つの概略平面図であり、仕切壁の流体進行方向に垂直な位置が隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向にずれており、仕切壁の流体進行方向の長さと、仕切壁同士の流体進行方向の間隔が隣接する境界近傍に沿った不連続な仕切壁同士で違っている場合を示す。 実施例に使用した微小流路構造体の構成を示す。 実施例に使用した微小流路の内部構造の概念図である。 図7におけるAA’の断面図(拡大)である。 図7におけるBB’の断面図(拡大)である。 比較例に使用した微小流路構造体の構成を示す。 比較例に使用した微小流路の内部構造の概念図である。 図11におけるCC’の断面図(拡大)である。 図11におけるDD’の断面図(拡大)である。 有機相と水相を直接接触させないように、第3相である触媒相を有機相と水相の間に存在させて反応を実施する一例を示した図である。
符号の説明
1:水相
2:有機相
3:流体境界
4:合流部
5:分岐部
6:界面1
7:界面2
8:微小流路の幅
9:流体導入口
10:流体排出口
11:流路深さ
12:微小流路
13:仕切壁
14:仕切壁の厚さ
15:仕切壁の高さ
16:流体進行方向の仕切壁と仕切壁の最短間隔
17:流体進行方向の仕切壁の最長の長さ
18:流体進行方向
19:導入口A
20:導入口B
21:導入口C
22:排出口D
23:排出口E
24:排出口F
25:基板
26:カバー体
27:小穴
28:触媒相
29:ラモンドスターラー

Claims (4)

  1. 流体を導入するための3以上の導入口及びそれらに連通する導入流路と、前記導入流路が合流する合流部と連通しかつ導入された流体を流すための微小流路と、前記微小流路に連通しかつ所定の流体を排出する排出流路及びそれらに連通する排出口と、を有した微小流路構造体であって、2種以上の流体により形成される境界近傍に沿って、流体進行方向に複数の不連続な仕切壁が形成され、各境界近傍に沿った不連続な仕切壁の流体進行方向に垂直な位置が隣り合う仕切壁の位置と流体進行方向に実質的にずれていることを特徴とする微小流路構造体。
  2. 請求項1記載の微小流路構造体であって、仕切壁の少なくとも片側一端の流体進行方向に垂直な位置が実質的に一致していることを特徴とする微小流路構造体。
  3. 請求項1記載の微小流路構造体であって、仕切壁の両端の流体進行方向に垂直な位置が実質的に一致していることを特徴とする微小流路構造体。
  4. 請求項1から3いずれか記載の微小流路構造体であって、仕切壁の流体進行方向の長さと間隔が実質的に等しいことを特徴とする微小流路構造体。
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