JP2005155974A - 焼却灰の溶融前処理方法及びシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】焼却飛灰の飛散を低減できるとともに、焼却灰の溶融前処理を効率よく行うことができる焼却灰の溶融前処理方法及びシステムを提供する。
【解決手段】溶融前処理システム10において、焼却システム1で生じた焼却炉3内のボトムアッシュはボトムアッシュホッパー12に貯留され、集塵機5で回収された焼却ガス中のフライアッシュはフライアッシュホッパー13に貯留される。貯留されたボトムアッシュは分級機14及び破砕機16で分級・破砕することにより均一に細粒化される。細粒化されたボトムアッシュは乾燥機18で均一に乾燥されてから磁選機20で磁選され、混合機22でフライアッシュと混合されるとともに、配設された水分計32、コントローラ34、及び水分供給装置36により水分調整される。
【選択図】 図1
【解決手段】溶融前処理システム10において、焼却システム1で生じた焼却炉3内のボトムアッシュはボトムアッシュホッパー12に貯留され、集塵機5で回収された焼却ガス中のフライアッシュはフライアッシュホッパー13に貯留される。貯留されたボトムアッシュは分級機14及び破砕機16で分級・破砕することにより均一に細粒化される。細粒化されたボトムアッシュは乾燥機18で均一に乾燥されてから磁選機20で磁選され、混合機22でフライアッシュと混合されるとともに、配設された水分計32、コントローラ34、及び水分供給装置36により水分調整される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、焼却時に発生した焼却灰を溶融処理する前に、溶融し易くする焼却灰の溶融前処理方法に関する。
従来、都市ゴミや下水汚泥などの廃棄物は、通常、廃棄物焼却炉で焼却処分されるが、焼却の際に焼却灰が発生する。この焼却灰には有害物質が多く含まれているため、そのまま埋め立てを行なうと環境汚染されるという問題がある上、焼却灰を完全にリサイクル又は再資源化することができないために、埋め立てのための敷地を必要とする。
このことから、焼却灰の処理として、焼却灰をバーナーなどの熱を利用して溶融・スラグ化し、灰に含まれる重金属をスラグ内部に固定化するとともに、焼却過程で発生するダイオキシン類を加熱分解する溶融処理が一般的に行われている。これにより、焼却灰を減容化することができるとともに、溶融処理により生成されたスラグは、コンクリート骨材や道路用骨材として再利用することができる。
特許文献1には、テルミット剤を混練して溶融するテルミット型溶融方法が開示されており、かかるテルミット型溶融方法では、廃棄物、例えば焼却灰を破砕した後、乾燥し、その後にテルミット剤を混練する溶融前処理を行なってから溶融炉に供給することが記載されている。
焼却灰には、焼却炉の炉底より排出される塊状のボトムアッシュと焼却炉からの焼却ガスから回収されるダスト状のフライアッシュとがあるが、従来の溶融前処理方法はボトムアッシュとフライアッシュとを混在させた状態で溶融前処理を行なうのが通常である。また、焼却灰の中に鉄などの磁性金属類が含まれる場合には、破砕又は乾燥する前に磁選機による磁選を行なうことが通常である。
特開2001−317712号公報
しかしながら、従来の焼却灰の溶融前処理方法は、溶融前処理を行なう焼却灰の中にフライアッシュが混在しているため、乾燥時や溶融時に焼却灰が飛散して溶融されずに排出されてしまう。これにより、焼却灰を溶融するスラグ化率が低下するという問題がある。また、従来の乾燥機はロータリキルン型のものが使用されているが、現状の構造のものをそのまま使用すると、細粒ボトムアッシュは微粉化され易いので、乾燥機自体の改良も必要である。
また、ボトムアッシュは様々な大きさのものが混在しているので、そのまま破砕すると均一な破砕ができない上、破砕機を破損させるという問題もある。均一な破砕が行われないと、搬送の際に粗大なボトムアッシュが搬送機に咬み込まれて搬送機が損傷するなどの問題もある。また、従来の焼却灰の溶融前処理方法は磁選能力が短期間で低減してしまうという問題がある。
このように、従来の焼却灰の溶融前処理方法では各処理ごとに色々な不具合があるため、総合的な改良が望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、乾燥時や溶融時における焼却灰の飛散の問題、破砕機や搬送機の破損の問題、磁選能力が短期間で低下する問題などを総合的に解決することのできる焼却灰の溶融前処理方法及びシステムを提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、焼却炉の炉底より排出されるボトムアッシュと前記焼却炉からの焼却ガス中から回収されるフライアッシュとから成る焼却灰を、溶融炉で溶融する前に前処理する焼却灰の溶融前処理方法において、前記ボトムアッシュ中の粗大ボトムアッシュを分級と破砕を組み合わせて細粒化し、前記細粒化された細粒ボトムアッシュを乾燥した後で細粒ボトムアッシュ中の磁性金属類を磁選し、前記磁選後の細粒ボトムアッシュに前記フライアッシュを混合することにより、前記ボトムアッシュとフライアッシュのうちのボトムアッシュのみを前処理することを特徴とする。ここで磁性金属類とは、磁力により付着する金属類を言う。
焼却ガスから回収されるフライアッシュはダスト状の微細な焼却灰であり、殆ど金属類も含まれていないため、破砕・乾燥・磁選を行なう必要がないが、ボトムアッシュは様々な大きさがあり、大きいものでは300mm程度のものもあるので、溶融するためには細かくする必要がある。しかし、ボトムアッシュとフライアッシュとが混在した状態で溶融前処理を行ったのでは、乾燥時にフライアッシュが飛散したり、ボトムアッシュを均一に細粒化できないと破砕機や搬送機を損傷してしまうことがある。また、破砕・乾燥・磁選の順番によっては磁選能力が短期間で落ちてしまう。
そこで、請求項1によれば、ボトムアッシュとフライアッシュのうちのボトムアッシュのみを、分級と破砕を組み合わせて微細化することにより、様々な大きさのボトムアッシュを効率よく均一な細かさ、例えば20〜30mm程度の大きさに細粒化するようにした。このように、分級と破砕とを組み合わせることで、均一な細粒ボトムアッシュを得ることができるので、破砕機や搬送機を損傷してしまうことがない。また、次の乾燥において効率的で均一な乾燥を行なうことができるとともに、フライアッシュが混在しないので乾燥時の飛散を低減することができる。次に、乾燥・加湿により水分量を一定に調整しておいてからボトムアッシュを磁選する。この場合、水分調整された後の細粒ボトムアッシュの水分量は15%程度が好ましい。これにより、ボトムアッシュが磁選機の磁石に付着しにくくなるので、磁選能力を長期間維持できる。そして、最後に細粒ボトムアッシュにフライアッシュを混合する。
これにより、乾燥時における焼却灰の飛散を低減できるとともに、破砕機や搬送機の破損などを防止し、しかも磁選能力が長期間維持できるので、焼却灰の効率的な溶融前処理方法を行なうことができる。従って、従来における乾燥時や溶融時における焼却灰の飛散の問題、破砕機や搬送機の破損の問題、磁選能力が短期間で低下する問題などを総合的に解決することができる。
本発明の請求項2は請求項1において、前記ボトムアッシュにフライアッシュを混合した後に加湿することを特徴とする。このように、細粒ボトムアッシュにフライアッシュを混合した後で加湿して水分を高めておけば、溶融炉でバーナー火炎が吹きつけられても混合した後の焼却灰が飛散することもない。この場合、加湿量が多すぎると溶融時に溶融温度を低下させる要因になるので、溶融炉で焼却灰が飛散しない程度に加湿する。また、混合した後の焼却灰の水分は一定ではないので、一定になるように加湿することが重要である。
本発明の請求項3は前記目的を達成するために、焼却炉の炉底より排出されるボトムアッシュと前記焼却炉からの焼却ガスから集塵機により回収されるフライアッシュとから成る焼却灰を、溶融炉で溶融する前に前処理する焼却灰の溶融前処理システムにおいて、前記ボトムアッシュ中の粗大ボトムアッシュを分級する分級機と、前記分級された粗大ボトムアッシュを破砕して前記分級機に返送する破砕機と、前記分級と破砕の組み合わせによって細粒化された細粒ボトムアッシュを乾燥する乾燥機と、前記乾燥後に細粒ボトムアッシュ中の磁性金属類を磁選する磁選機と、前記磁選後の細粒ボトムアッシュに前記フライアッシュを混合するとともに、混合した混合灰に加湿する加湿手段を備えた混合機と、から成ることを特徴とする。
請求項3は、請求項1及び2を溶融前処理システムとして構成したものである。
請求項4は請求項3において、前記乾燥機は、軸芯を中心に回転する筒状の乾燥機本体と、前記乾燥機本体の内周面に前記軸芯に平行に複数設けられ、前記乾燥機本体内に供給された細粒ボトムアッシュを掻き上げるとともに、前記乾燥機本体内の高さが低く形成されたフィンと、前記乾燥機本体の軸芯に沿って配設され、乾燥エアを供給する通気管と、前記通気管に複数設けられ、前記中心軸側から前記内周面側に乾燥エアを吹き出して前記灰層を乾燥するとともに、該吹き出したエアにより前記灰層を前記内周面に押し付ける複数の吹出管と、を備えたことを特徴とする。
請求項4によれば、乾燥機本体に供給された細粒ボトムアッシュの灰層は、吹出管から吹き出される乾燥エア(熱風)により乾燥される。この場合、乾燥機本体の回転により、灰層はフィンにより掻き上げられるが、フィンの高さは灰層の層高よりも小さいので、掻き上げられた灰層のうちの底面部分は少しだけ掻き上げられて直ぐに重力で流下する。これにより、灰層は常時新しい表面が乾燥風に接するので、効率的な乾燥を行なうことができる。また、従来の乾燥機は、灰層を高く掻き上げることで細粒ボトムアッシュが落下する際に破砕されて微粉が形成され、この微粉が飛散する。しかし、本発明における乾燥機では、吹出管から吹き出したエアにより灰層を内周面に押し付けるようにした。これにより、灰層を掻き上げる際に細粒ボトムアッシュが高く舞い上がることがないので、微粉が形成されにくくなる。この場合、細粒ボトムアッシュは20〜30mm程度の大きさであるとともに吹出管は灰層内に挿入されていないので、細粒ボトムアッシュは乾燥エアにより舞い上がることはない。
請求項5は、請求項4の前記乾燥機は、前記フィンの高さと、前記吹出管の長さと、前記灰層の高さと、を調節可能であることを特徴とする。これは、フィンが細粒ボトムアッシュの灰層の層高に応じて層高よりも高さが小さくなり、かつ層高に応じて吹出管が灰層内に挿入されないように、フィンの高さ、吹出管の長さ、及び灰層の高さを調整できるようにしたものである。これにより、ボトムアッシュの大きさに応じた適切な乾燥を行なうことができる。
以上説明したように本発明に係る焼却灰の溶融前処理方法及びシステムによれば、ボトムアッシュのみを分級、破砕、乾燥、及び磁選してから、溶融する前段階でフライアッシュとボトムアッシュとを混合させることにより、乾燥時における焼却灰の飛散を低減できるとともに、破砕機や搬送機の破損などを防止し、しかも磁選能力が長期間維持できるので、焼却灰の効率的な溶融前処理方法を行なうことができる。
また、ボトムアッシュの灰層の層高よりも低いフィンと、灰層に接触しない吹付管とを備えた乾燥機を用いて乾燥することにより、微灰を飛散させずにボトムアッシュを均一に乾燥できる。
以下添付図面に従って本発明に係る焼却灰の溶融前処理方法及びシステムにおける好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の実施の形態である焼却灰の溶融前処理システム10の概略構成を示したブロック図であり、焼却システム1に隣接させた一例である。
焼却システム1では焼却炉3で廃棄物の焼却処理が行われ、焼却炉3から発生した焼却ガスは集塵機5で集塵されて煙突7を介して大気中へ排気される。
焼却処理時に発生した焼却灰は焼却炉3の炉底より排出されるボトムアッシュと、焼却ガス中に飛散するフライアッシュとから成り、ボトムアッシュは焼却炉3から回収されて溶融前処理システム10のボトムアッシュホッパー12に貯留される。一方、フライアッシュは集塵機5で回収されて溶融前処理システム10のフライアッシュホッパー13に貯留される。
分級機14は分級ホッパー28の上面に分級スクリーン30を傾斜して配置することにより形成され、ボトムアッシュホッパー12に貯留されたボトムアッシュの大きさの分級が行なわれる。分級スクリーン30の目は微細なボトムアッシュのみを通過させる大きさであり、例えば30mm程度に設定される。分級スクリーン30で分級された粗大なボトムアッシュは破砕機16へ搬送され、破砕粒度が均一な大きさ、例えば20〜30mm程度になるように粗大なボトムアッシュを破砕して分級機14へ返送される。一方、分級スクリーン30を通過して、分級ホッパー28に貯留された微細なボトムアッシュは定量的に乾燥機18へ搬送される。
図2は、本発明の実施の形態である溶融前処理システム10に設けられた乾燥機18の概略構成を示す透明斜視図である。
同図の如く、乾燥機18は、2台の支持台42,42と、円筒状の乾燥機本体44と、通気管46と、排気口48と、から構成される。
乾燥機本体44は各支持台42,42の各支持部材50,50…を介して回動自在に支持され、その一端にはボトムアッシュ入口52が配設されるとともに、もう一端には排気口48及びボトムアッシュ排出管54が配設される。ボトムアッシュ入口52には供給弁(図示せず)が設けられており、開閉により乾燥機本体44内へのボトムアッシュの供給量を調整する。ボトムアッシュ入口52に供給されたボトムアッシュは、ボトムアッシュ入口52下部に設けられた2軸スクリューコンベヤ53により乾燥機本体44へ供給される。また、一方の支持台42には回転モータ56が設置されており、回転モータ56の駆動によりチェーン58を介して乾燥機本体44が回転する。
乾燥機本体44の内周には、複数のフィン60,60…が一定間隔で軸心に対して平行に配設される。フィン60は、乾燥機本体44に固定された固定板(図示せず)と、固定板(図示せず)の片面に設置されたスライド板(図示せず)と、から構成される。フィン60は、固定板(図示せず)上でスライド板(図示せず)をスライドさせることにより、フィン60,60…を伸縮させて高さを調整することができる。なお、フィン60,60…の伸縮を固定板(図示せず)及びスライド板(図示せず)で行ったが、特に限定するものではなく、着脱自在な長さの異なるフィン60,60…を交換して設置するようにしてもよい。
通気管46は乾燥機本体44の軸心を貫通した状態で固定され、通気管46の下部には複数の吹出管62,62…が角度を違えて配列される。吹出管62は通気管46に固定された円筒状の吹出管本体(図示せず)と、吹出管本体(図示せず)の上面にスライド自在に設置されたスライド管(図示せず)とから構成され、スライド管(図示せず)をスライドさせることにより、吹出管62を伸縮させて長さを調整することができる。なお、吹出管の伸縮は吹出管本体(図示せず)及びスライド管(図示せず)で行ったが、特に限定するものではなく、着脱自在な長さの異なる吹出管62,62…を交換して設置するようにしてもよい。
乾燥機18において、分級機14から搬送されたボトムアッシュはボトムアッシュ入口52から一定量ずつ乾燥機本体44内へ供給され、フィン60,60…によって掻き上げられて攪拌されるとともに、乾燥エアが通気管46を介して乾燥機本体44内へ供給されて各吹出管62,62…からボトムアッシュに吹き付けられて、水分量が15%程度にまで乾燥される。こうして乾燥されたボトムアッシュは、ボトムアッシュ排出管54から排出されて、磁選機20へ搬送される。一方、吹き付けられた乾燥エアは排気口48から排気されて、別置の集塵機(図示せず)で微小なボトムアッシュを回収してから系外へ排気される。なお、集塵機(図示せず)で回収された微小なボトムアッシュはフライアッシュとしてフライアッシュホッパー13へ返送してもよいし、混合機22へ直接搬送してもよい。
磁選機20としては、乾燥されたボトムアッシュを搬送する搬送コンベア(図示せず)上に、マグネット付の回収用コンベア(図示せず)を設置した吊下式が使用される。これにより、ボトムアッシュは混在される鉄材や鉄くずなどが磁力により回収されて混合機22へ搬送される。
混合機22では磁選機20から搬送されたボトムアッシュと、フライアッシュホッパー13から搬送されたフライアッシュとを攪拌して混合され、溶融炉(図示せず)へ搬送される。また、混合機22には加湿手段である水分計32、コントローラ34、水分供給装置36が配設される。水分計32は混合機22内の出口近傍に設置され、混合された焼却灰の水分量を測定して、その測定値をコントローラ34へ送信する。コントローラ34は、その測定値に基づいて、水分供給装置36に設けられた供給弁36Aの開閉を制御する。水分供給装置36では、供給弁36Aの開閉により供給管36Bを介して混合機22内の焼却灰への加湿が行われる。
次に、上記の如く構成された本発明の実施の形態である焼却灰の溶融前処理システム10の作用について説明する。
焼却炉などで発生した焼却灰は、溶融炉で効率よく溶融させるとともに、溶融フライアッシュの発生を低減させるため、破砕・乾燥・磁選を行なう溶融前処理が必要とされる。
ボトムアッシュ及びフライアッシュを混合したまま溶融前処理を行なうと、破砕及び乾燥する際にフライアッシュが飛散してしまうため、フライアッシュを溶融する量が減少するとともに、フライアッシュがそのまま溶融フライアッシュとして排出されるため、溶融による焼却灰のスラグ化率が低下する。また、貯留される焼却灰は大きさが一定でないため、水分量に差が生じ易い。したがって、そのまま溶融前処理を行なうと、この水分量の差により溶融前処理に使用される各部材及び装置、特に磁選機20の磁石に焼却灰が付着し易いため、溶融前処理工程の各能力が低下する。また、フライアッシュは水分量が低く、かつ金属類も含まれていないので、破砕・乾燥・磁選を行なう必要がない。そこで、本発明の溶融前処理システム10では、焼却灰をボトムアッシュとフライアッシュとに別々の経路に分けてからボトムアッシュのみを破砕・乾燥・磁選するので、溶融前処理におけるフライアッシュの飛散を効果的に防止することができる。
また、ボトムアッシュは様々な大きさの塊が混在した状態であるため、そのまま破砕機16やボトムアッシュを搬送する各搬送機(図示せず)に投入すると、ボトムアッシュが詰まって破砕機16や搬送機(図示せず)を損傷してしまう可能性がある。そこで、破砕機16の前にボトムアッシュを大きさで分級する分級機14を設けて、分級スクリーン30で分級された粗大なボトムアッシュのみを破砕機16へ搬送するとともに、破砕機16で破砕されたボトムアッシュを再び分級機14へ返送する循環経路を形成することにより、ボトムアッシュを均一な大きさ、例えば20〜30mm程度に細粒化することができるので、ボトムアッシュの大きさの差による破砕機16や搬送機(図示せず)の負担を軽減できる。
こうして均一な大きさに細粒化されたボトムアッシュは乾燥機18に搬送され、乾燥機本体44内で回転しながらフィン60,60…で掻き上げられるとともに、通気管46及び吹出管62,62…により乾燥エアが乾燥機本体44の中央から下方に吹き付けられる。このとき、フィン60,60…の高さは、乾燥機本体44内に積層したボトムアッシュの灰層よりも低く設定されているため、掻き上げられた灰層のうち表面部分が直ぐに流下する。これにより、ボトムアッシュの攪拌における微灰の飛散を低減することができる。また、吹出管62,62…はボトムアッシュの灰層に挿入されない位置に設定されているため、乾燥エアの吹付けによる微灰の飛散を防止できるとともに、ボトムアッシュを乾燥機本体44の内周面に押し付けることができる。これにより、ボトムアッシュの破損及び飛散を低減しながら効率よく攪拌及び通気できるので、ボトムアッシュを効率のよく均一に乾燥することができる。さらに、フィン60,60…及び吹出管62,62…は伸縮できる構造であるため、ボトムアッシュの灰層の高さに応じてフィン60,60…及び吹出管62,62…を調整することにより、状況に応じた適切な乾燥を行なうことができる。
こうして乾燥されたボトムアッシュは磁選機20へ搬送されて磁力による選別が行われる。このとき、ボトムアッシュは乾燥機18により均一に乾燥されて一定の水分量に低下しているため、ボトムアッシュを付着させずに効率よく磁選を行なうことができる。
このように破砕・乾燥・磁選されたボトムアッシュは混合機22でフライアッシュと混合されて溶融炉へ搬送されるが、効率よく溶融処理させるためには加湿して所定の水分量に調整する必要がある。この加湿はどこで行なってもよいが、焼却灰自体は水分変動し易い上、破砕・乾燥・磁選の際にボトムアッシュの水分量に差があると各装置及び部材に付着して溶融前処理の効率が低下する。そこで、混合機22に水分計32、コントローラ34、及び水分供給装置36を設けて、大きさの差が小さい混合後の焼却灰を加湿することにより、焼却灰を均一に加湿して溶融に適した水分量に調整することができる。
なお、上述した溶融前処理システム10において、各部材及び装置の個数、形状、材質などは特に限定するものではない。本発明の焼却灰前処理システム10では、分離及び分級の手段として各スクリーン26,30を設けた分離機及び分級機14を用いたが、特に限定するものではない。効率よく分離及び分級できればエアを用いたものでもよい。また、磁選機20は吊下式を用いたが、特に限定するものではなく、用途に応じてドラム式や誘導形高磁力式を用いてもよい。
1…焼却システム、3…焼却炉、5…集塵機、7…煙突、10…焼却灰の溶融前処理システム、12…ボトムアッシュホッパー、13…フライアッシュホッパー、14…分級機、16…破砕機、18…乾燥機、20…磁選機、22…混合機、28…分級ホッパー、30…分級スクリーン、32…水分計、34…コントローラ、36…水分供給装置、36A…供給弁、36B…供給管、42…支持台、44…乾燥機本体、46…通気管、48…排気口、50…支持部材、52…ボトムアッシュ入口、53…2軸スクリューコンベヤ、54…ボトムアッシュ排出管、56…回転モータ、58…チェーン、60…フィン、62…吹出管
Claims (5)
- 焼却炉の炉底より排出されるボトムアッシュと前記焼却炉からの焼却ガス中から回収されるフライアッシュとから成る焼却灰を、溶融炉で溶融する前に前処理する焼却灰の溶融前処理方法において、
前記ボトムアッシュ中の粗大ボトムアッシュを分級と破砕を組み合わせて細粒化し、
前記細粒化された細粒ボトムアッシュを乾燥した後で細粒ボトムアッシュ中の磁性金属類を磁選し、
前記磁選後の細粒ボトムアッシュに前記フライアッシュを混合することにより、前記ボトムアッシュとフライアッシュのうちのボトムアッシュのみを前処理することを特徴とする焼却灰の溶融前処理方法。 - 前記ボトムアッシュにフライアッシュを混合した後に加湿することを特徴とする請求項1の焼却灰の溶融前処理方法。
- 焼却炉の炉底より排出されるボトムアッシュと前記焼却炉からの焼却ガスから集塵機により回収されるフライアッシュとから成る焼却灰を、溶融炉で溶融する前に前処理する焼却灰の溶融前処理システムにおいて、
前記ボトムアッシュ中の粗大ボトムアッシュを分級する分級機と、
前記分級された粗大ボトムアッシュを破砕して前記分級機に返送する破砕機と、
前記分級と破砕の組み合わせによって細粒化された細粒ボトムアッシュを乾燥する乾燥機と、
前記乾燥後に細粒ボトムアッシュ中の磁性金属類を磁選する磁選機と、
前記磁選後の細粒ボトムアッシュに前記フライアッシュを混合するとともに、混合した混合灰に加湿する加湿手段を備えた混合機と、から成ることを特徴とする焼却灰の溶融前処理システム。 - 前記乾燥機は、
軸芯を中心に回転する筒状の乾燥機本体と、
前記乾燥機本体の内周面に前記軸芯に平行に複数設けられ、前記乾燥機本体内に供給された細粒ボトムアッシュを掻き上げるとともに、前記乾燥機本体内の高さが低く形成されたフィンと、
前記乾燥機本体の軸芯に沿って配設され、乾燥エアを供給する通気管と、
前記通気管に複数設けられ、前記中心軸側から前記内周面側に乾燥エアを吹き出して前記灰層を乾燥するとともに、該吹き出したエアにより前記灰層を前記内周面に押し付ける複数の吹出管と、を備えたことを特徴とする請求項3の焼却灰の溶融前処理システム。 - 前記乾燥機は、前記フィンの高さと、前記吹出管の長さと、前記灰層の高さと、を調節可能であることを特徴とする請求項4の焼却灰の溶融前処理システム。
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2003
- 2003-11-21 JP JP2003392662A patent/JP2005155974A/ja active Pending
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