JP2005155537A - 増圧式燃料噴射装置 - Google Patents

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一郎 阪田
Kiyomi Kawamura
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Yoshifumi Wakizaka
佳史 脇坂
Yoshihiro Hotta
義博 堀田
Kiyomi Nakakita
清己 中北
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Abstract

【課題】 蓄圧室内の燃料圧力をさらに加圧するための増圧ピストン機構を具備する増圧式燃料噴射装置において、増圧ピストン機構の増圧ピストンを往復運動させるために可変圧力室を介して蓄圧室から消費される燃料のエネルギを十分に回収する。
【解決手段】 増圧ピストン機構50は、増圧ピストン51と可変圧力室53とを有し、可変圧力室は、高圧ポンプP2と低圧ポンプP1との間の低圧経路10へ接続されている。それにより、増圧ピストンを往復運動させるために可変圧力室を介して蓄圧室から消費される燃料は低圧経路へ戻され、低圧ポンプの駆動エネルギを低下させて吐出圧力を下げても低圧経路内の所望フィード圧力を実現することができる。或いは、高圧ポンプの吸入側となる低圧経路内の燃料圧力を高めて高圧ポンプが所望圧力を吐出するための駆動エネルギを低減することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、増圧式燃料噴射装置に関する。
各気筒の燃料噴射弁へ高圧燃料を供給するための蓄圧室を具備する燃料噴射装置が公知である。このような燃料噴射装置によって比較的高圧での燃料噴射が可能となったが、ディーゼルエンジン等においては、さらに噴射圧を高める要求がある。そのために、蓄圧室を加圧するための高圧ポンプを大型化して燃料噴射装置全体にさらなる耐圧処置を施すこととなれば、かなりのコストアップが必要となる。
コストアップを最小限として燃料噴射圧力をさらに高圧化するために、増圧ピストン機構を設け、それにより蓄圧室内の燃料をさらに加圧して燃料噴射弁へ圧送することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような構成によれば、燃料噴射装置において、増圧ピストン機構の下流側だけにさらなる耐圧処置を施せば良い。
増圧ピストン機構において、増圧ピストンに加圧のための押し込み動作と加圧に備えての引き戻し動作との往復運動をさせることとなる。この往復運動に際して、増圧ピストンに接する可変圧力室内へ蓄圧室内の燃料を供給したり、可変圧力室から燃料を排出させたりすることが必要となる。一般的には、可変圧力室から排出される燃料は燃料タンク等へ戻され、こうして、増圧ピストンを一往復させる毎に可変圧力室を介して蓄圧室から燃料が消費される。これが頻繁に繰り返されるために、蓄圧室を所望圧力に維持するための高圧ポンプの仕事量が増大し、最終的には内燃機関の燃料消費率を悪化させる。
この問題を改善するために、増圧ピストン機構の可変圧力室を介して蓄圧室から消費される燃料のエネルギを流体モータにより回転力として回収して高圧ポンプの駆動をアシストするのに利用することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特表2002−539372号公報 特表平9−503272号公報
前述のように増圧ピストン機構を介して蓄圧室から消費される燃料のエネルギを回収しても、流体モータによってはエネルギの一部しか回収することができず、また、流体モータにおいては摩擦力等によるエネルギ消費もあるために、結果として、僅かなエネルギしか回収することができない。
従って、本発明の目的は、蓄圧室内の燃料圧力をさらに加圧するための増圧ピストン機構を具備する増圧式燃料噴射装置において、増圧ピストン機構の増圧ピストンを往復運動させるために可変圧力室を介して蓄圧室から消費される燃料のエネルギを十分に回収することである。
本発明による請求項1に記載の増圧式燃料噴射装置は、蓄圧室と、前記蓄圧室内を所望燃料圧力に維持するための高圧ポンプと、前記高圧ポンプへ燃料を供給するための低圧ポンプと、増圧ピストン機構とを具備し、前記増圧ピストン機構は、増圧ピストンと可変圧力室とを有し、前記蓄圧室内の燃料をさらに加圧して燃料噴射弁へ圧送するために前記増圧ピストンを往復運動させ、前記増圧ピストンを往復運動させるために前記可変圧力室を介して前記蓄圧室から燃料を消費するものであり、前記可変圧力室は、前記高圧ポンプと前記低圧ポンプとの間の低圧経路へ接続されていることを特徴とする。
また、本発明による請求項2に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項1に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記可変圧力室は、容積室を介して前記低圧経路へ接続されていることを特徴とする。
また、本発明による請求項3に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項1又は2に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記可変圧力室は、前記可変圧力室から前記低圧経路への燃料流れのみを許容する逆止弁を介して前記低圧経路へ接続されていることを特徴とする。
また、本発明による請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項1又は2に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記増圧ピストン機構は、前記増圧ピストンを加圧側に移動させる時に前記蓄圧室から前記可変圧力室へ供給された燃料を前記可変圧力室から排出させるものであり、前記可変圧力室は、制御弁を介して前記低圧経路に接続されていることを特徴とする。
また、本発明による請求項5に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項1から4のいずれか一項に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記低圧経路を所望フィード圧力に維持する圧力維持手段を具備することを特徴とする。
また、本発明による請求項6に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項5に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記圧力維持手段は、前記低圧ポンプの吐出圧制御手段であることを特徴とする。
また、本発明による請求項7に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項5に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記圧力維持手段は、前記低圧経路に接続されたリリーフ弁であることを特徴とする。
また、本発明による請求項8に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記制御弁は弁体を有し、前記弁体は開弁力が閉弁力より大きくなる時に開弁力と閉弁力との差に応じた開口面積で開弁されて前記低圧経路への燃料の排出を可能とし、前記開弁力及び前記閉弁力の少なくとも一方は可変とされることを特徴とする。
また、本発明による請求項9に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項8に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記開弁力及び前記閉弁力の少なくとも一方を二段階に可変とすることを特徴とする。
また、本発明による請求項10に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項8に記載の増圧式燃料噴射装置において、ガバナ油圧力を前記弁体へ開弁方向に作用させ、前記開弁力が可変とされることを特徴とする。
また、本発明による請求項11に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項8又は9に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記可変圧力室から排出された燃料圧力以外の燃料圧力を可変として前記弁体に作用させ、前記開弁力及び前記閉弁力の少なくとも一方が可変とされることを特徴とする。
また、本発明による請求項12に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項8又は9に記載の増圧式燃料噴射装置において、電磁力を可変として前記弁体に作用させ、前記開弁力及び前記閉弁力の少なくとも一方が可変とされることを特徴とする。
また、本発明による請求項13に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記制御弁は弁体を有し、前記弁体はデューティ制御されて前記低圧経路への燃料の排出を可能とするものであることを特徴とする。
また、本発明による請求項14に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記制御弁は弁体を有し、前記弁体はピエゾ素子又は超磁歪素子によって所望の開口面積で開弁されて前記低圧経路への燃料の排出を可能とするものであることを特徴とする。
また、本発明による請求項15に記載の増圧式燃料噴射装置は、請求項1から14のいずれか一項に記載の増圧式燃料噴射装置において、前記低圧経路には機関排気系へ燃料を噴射するための燃料噴射弁が接続されることを特徴とする。
本発明による請求項1に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、増圧ピストン機構の増圧ピストンを往復運動させるために可変圧力室を介して蓄圧室から消費される燃料は、可変圧力室が高圧ポンプと低圧ポンプとの間の低圧経路へ接続されているために、この低圧経路へ戻される。それにより、低圧ポンプの駆動エネルギを低下させて吐出圧力を下げても低圧経路内を所望フィード圧力にすることができ、又は、高圧ポンプの吸入側となる低圧経路内の燃料圧力を高めて高圧ポンプが所望圧力を吐出するための駆動エネルギを低減することができ、いずれにしても、可変圧力室を介して蓄圧室から消費される燃料の圧力を回転力等に変換せずにそのまま低圧ポンプ又は高圧ポンプの駆動エネルギの低減に利用可能である。こうして、この燃料のエネルギを十分に回収することができ、その結果として、内燃機関の燃料消費率の悪化を十分に改善することが可能となる。
また、本発明による請求項2に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項1に記載の増圧式燃料噴射装置において、可変圧力室は、容積室を介して低圧経路へ接続されているために、蓄圧室から消費される燃料は容積室により圧力脈動が抑制されて低圧経路へ戻され、低圧経路の圧力変動が抑制される。それにより、高圧ポンプの吸入側の圧力変動が抑制されることとなり、所望圧力を吐出するための高圧ポンプの制御が複雑化することはない。
また、本発明による請求項3に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項1又は2に記載の増圧式燃料噴射装置において、可変圧力室は、可変圧力室から低圧経路への燃料流れのみを許容する逆止弁を介して低圧経路へ接続されているために、低圧経路から可変圧力室の下流側への燃料の逆流は防止され、低圧経路内における圧力変動を抑制することができる。
また、本発明による請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項1又は2に記載の増圧式燃料噴射装置において、増圧ピストン機構は、増圧ピストンを加圧側に移動させる時に蓄圧室から可変圧力室へ供給された燃料を可変圧力室から排出させるものであるために、制御弁によって可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量を制御することにより、増圧ピストンの加圧側への移動速度を制御して増圧ピストンによる燃料噴射弁への加圧燃料の圧送パターンを変化させることができる。それにより、機関運転状態に応じた所望の燃料噴射率パターンが実現可能となる。
また、本発明による請求項5に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項1から4のいずれか一項に記載の増圧式燃料噴射装置において、可変圧力室から低圧経路へ燃料が排出された際にも、圧力維持手段によって低圧経路が所望フィード圧力に維持されるために、高圧ポンプの吸入側の圧力変動は殆どなく、所望圧力を吐出するための高圧ポンプの制御が複雑化することはない。
また、本発明による請求項6に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項5に記載の増圧式燃料噴射装置において、圧力維持手段は、低圧ポンプの吐出圧制御手段とされ、可変圧力室から低圧経路へ燃料が排出された際には、低圧ポンプの駆動エネルギを少なくして低圧ポンプの吐出圧が下げられる。
また、本発明による請求項7に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項5に記載の増圧式燃料噴射装置において、圧力維持手段は、低圧経路に接続されたリリーフ弁とされ、可変圧力室から低圧経路へ燃料が排出された際には、必要に応じてリリーフ弁が開弁され、低圧経路を簡単に所望フィード圧に維持することができる。
また、本発明による請求項8に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置において、制御弁は弁体を有し、弁体は、開弁力が閉弁力より大きくなる時に開弁力と閉弁力との差に応じた開口面積で開弁されて低圧経路への燃料の排出を可能とし、開弁力及び閉弁力の少なくとも一方は可変とされているために、弁体の開口面積を変化させて可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量の制御が可能となる。こうして、増圧ピストンの加圧側への移動速度を制御して増圧ピストンによる燃料噴射弁への加圧燃料の圧送パターンを変化させ、機関運転状態に応じた所望の燃料噴射率パターンが実現可能となる。
また、本発明による請求項9に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項8に記載の増圧式燃料噴射装置において、弁体の開弁力及び閉弁力の少なくとも一方は二段階に可変とされる。このように開弁力及び閉弁力の少なくとも一方を二段階に変化させるのは容易であり、それでも、弁体の開口面積は二段階に変化させられ、可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量の二段階の制御が可能である。こうして、増圧ピストンの加圧側への移動速度も二段階に制御され、増圧ピストンによる燃料噴射弁への加圧燃料の二つの圧送パターンによって、機関運転状態に応じた二つの燃料噴射率パターンが実現可能となる。
また、本発明による請求項10に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項8に記載の増圧式燃料噴射装置において、ガバナ油圧力を弁体へ開弁方向に作用させ、弁体の開弁力を可変としている。ガバナ油圧は、機関回転数に比例して高まるものであるために、機関回転数が高い時には弁体の開口面積が自動的に大きくなり、可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量が多くなる。こうして、増圧ピストンの加圧側への移動速度を速くさせ、燃料噴射弁へは主に燃料噴射初期において増圧ピストンから加圧燃料が圧送され、機関高回転時に適して特に燃料噴射初期の噴射率を高めることができる。一方、機関回転数が低い時には弁体の開口面積が自動的に小さくなり、可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量が少なくなる。こうして、増圧ピストンの加圧側への移動速度を遅くし、噴射初期には低噴射率で噴射後期には高噴射率となるデルタ形の機関低回転時に適した噴射率パターンを実現することができる。
また、本発明による請求項11に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項8又は9に記載の増圧式燃料噴射装置において、可変圧力室から排出された燃料圧力以外の燃料圧力を可変として弁体に作用させ、弁体の開弁力及び閉弁力の少なくとも一方を可変としている。それにより、弁体の開口面積を変化させて可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量が制御可能となり、増圧ピストンの加圧側への移動速度を制御して増圧ピストンによる燃料噴射弁への加圧燃料の圧送パターンを変化させ、機関運転状態に応じた所望の燃料噴射率パターンが実現可能となる。
また、本発明による請求項12に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項8又は9に記載の増圧式燃料噴射装置において、電磁力を可変として弁体に作用させ、弁体の開弁力及び閉弁力の少なくとも一方を可変としている。それにより、弁体の開口面積を変化させて可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量が制御可能となり、増圧ピストンの加圧側への移動速度を制御して増圧ピストンによる燃料噴射弁への加圧燃料の圧送パターンを変化させ、機関運転状態に応じた所望の燃料噴射率パターンが実現可能となる。
また、本発明による請求項13に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置において、制御弁の弁体はディーティ制御により開弁されて低圧経路への燃料の排出を可能とするものであるために、ディーティ制御によって可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量の制御が可能となる。こうして、増圧ピストンの加圧側への移動速度を制御して増圧ピストンによる燃料噴射弁への加圧燃料の圧送パターンを変化させ、機関運転状態に応じた所望の燃料噴射率パターンが実現可能となる。
また、本発明による請求項14に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置において、制御弁の弁体はピエゾ素子又は超磁歪素子によって所望の開口面積で開弁されて低圧経路への燃料の排出を可能とするものであるために、弁体の開口面積を変化させて可変圧力室から低圧経路へ排出される燃料流量の制御が可能となる。こうして、増圧ピストンの加圧側への移動速度を制御して増圧ピストンによる燃料噴射弁への加圧燃料の圧送パターンを変化させ、機関運転状態に応じた所望の燃料噴射率パターンが実現可能となる。
また、本発明による請求項15に記載の増圧式燃料噴射装置によれば、請求項1から14のいずれか一項に記載の増圧式燃料噴射装置において、低圧経路には機関排気系へ燃料を噴射するための燃料噴射弁が接続されている。この燃料噴射弁は、排気後処理用の燃料添加に使用され、低圧で燃料を噴射するものである。本増圧式燃料噴射装置では、可変圧力室から低圧経路へ排出された燃料をその圧力を利用してそのまま噴射するために、燃料添加用の燃料噴射弁に専用のポンプを設ける必要がない。こうして、可変圧力室から低圧経路へ排出された燃料の圧力を回転力等に変換せずにそのまま機関排気系へ燃料を噴射するのに利用することができ、可変圧力室から排出された燃料のエネルギを十分に回収することができる。
図1は本発明による増圧式燃料噴射装置の第一実施形態を示す燃料圧系統図である。同図において、1は気筒内へ直接的に燃料を噴射するための燃料噴射弁である。燃料噴射弁1において、高圧燃料通路1a内にはニードル弁1bが配置され、また、先端の燃料溜1cに連通するように噴孔1dが形成されている。ニードル弁1bが開弁されて、高圧燃料通路1aと燃料溜1cとが連通すれば、高圧燃料通路1a内の燃料が噴孔1dを介して噴射される。一方、ニードル弁1bが閉弁されて、ニードル弁1bの先端部により高圧燃料通路1aと燃料溜1cとが遮断されれば、噴孔1dを介しての燃料噴射は停止される。ニードル弁1bの基端側には制御室1eが形成され、制御室1e内にはニードル弁1bを閉弁方向に付勢するバネ1fが配置されている。
2は複数気筒又は全気筒の燃料噴射弁1に共通の蓄圧室であり、高圧ポンプP2によって所望燃料圧力に維持される。蓄圧室2と各燃料噴射弁1の高圧燃料通路1aとは、燃料供給経路3によって連通されている。また、燃料供給経路3は、各燃料噴射弁1の制御室1eへも絞り4を介して連通している。
蓄圧室2から高圧燃料通路1aへ供給された燃料圧力はニードル弁1bを開弁方向に付勢し、また、蓄圧室2から制御室1eへ供給された燃料圧力はニードル弁1bを閉弁方向に付勢する。電磁式等の放出弁5を開弁して制御室1e内の燃料を燃料タンク11へ放出すれば、制御室1e内の燃料圧力による閉弁力が低下し、ニードル弁1bは、高圧燃料通路1a内の燃料圧力による開弁力によって、バネ1fの付勢力に逆らって開弁される。また、放出弁5を閉弁すると、燃料供給経路3から絞り4を介して供給される燃料によって制御室1e内の燃料圧力による閉弁力が高まり、バネ1fの付勢力を合わせて高圧燃料通路1a内の燃料圧力による開弁力を上回った時にニードル弁1bは閉弁される。
本増圧式燃料噴射装置において、燃料噴射弁1のニードル弁の開閉方式を、このような燃料圧力を利用するものではなく、例えば、ピエゾ式又は電磁式のアクチュエータを利用するものとしても良い。
蓄圧室2は、高圧ポンプP2により所望燃料圧力として比較的高圧に維持され、それにより、燃料噴射弁1から比較的高圧の燃料を噴射することはできるが、過給技術の発達により気筒内へは多量の吸気供給が可能となり、ディーゼルエンジンにおいては、さらに多量の燃料を短時間で気筒内へ供給可能とすることが要求されている。そのために、噴孔径を大きくしたのでは、噴射燃料の粒径が大きくなってスモークの発生要因となる。
それにより、燃料噴射圧を高めて多量の燃料を短時間で気筒内へ噴射することが望まれている。本実施形態は、コストアップを最小限として燃料噴射圧を高めるために、増圧ピストン機構50が設けられている。増圧ピストン機構50によって蓄圧室2の燃料をさらに加圧して主に燃料噴射弁1の高圧燃料通路1aへ供給することにより、燃料噴射圧力を高めることが可能となり、増圧ピストン機構50によって加圧された燃料圧力が作用する燃料噴射装置の一部だけに耐圧処理を施せば良い。
増圧ピストン機構50において、52は加圧室であり、ここで、蓄圧室2から供給された燃料は増圧ピストン51の小径部51bにより圧縮して加圧される。燃料供給経路3には、増圧ピストン機構50により加圧された燃料が蓄圧室2へ逆流するのを防止するための逆止弁6が配置され、この逆止弁6の下流側において、増圧ピストン機構50の加圧室52、燃料噴射弁1の高圧燃料通路1a、及び、燃料噴射弁1の制御室1eが燃料供給経路3へ接続されている。
増圧ピストン51の小径部51bは加圧室52内を摺動すると共に、増圧ピストン51の大径部51aは可変圧力室53内を摺動する。可変圧力室53は、燃料供給経路3における逆止弁6の上流側に増圧制御弁7を介して接続されている。こうして、加圧室52内が蓄圧室2からの燃料で満たされている時に、増圧制御弁7を開弁して可変圧力室53へ蓄圧室2内の燃料を供給すると、大径部51aと小径部51bとには同じ燃料圧力が作用するが、受圧面積差によって、増圧ピストン51は加圧室52の容積を減少させる方向に移動し、加圧室52において受圧面積比に応じた燃料の加圧が実現される。
増圧ピストン機構50は、各燃料噴射弁1に対として設けられ、対応する燃料噴射弁1の燃料噴射期間中又は燃料噴射開始直前に高圧燃料通路1aへ加圧燃料を圧送することにより、燃料噴射弁1での機関運転状態に応じた所望の燃料噴射率パターンを実現可能とする。すなわち、燃料噴射弁1での燃料噴射毎に燃料圧送が必要であり、このためには、増圧ピストン機構50において、燃料圧送直後に次回の燃料圧送に備えて加圧室52内へ蓄圧室2内の燃料を取り入れなければならない。
本実施形態において、可変圧力室53には絞り8を介して排出経路9が接続されており、増圧制御弁7を閉弁することによって、可変圧力室53からは絞り8を介して燃料が排出される一方となり、増圧ピストン51の大径部51aに作用する燃料圧力が所定圧力まで低下すると、小径部51bには燃料供給経路3を介して蓄圧室2内の燃料圧力が作用し、また、加圧室52内には戻しバネ55も設けられているために、増圧ピストン51は可変圧力室53の容積を減少させる方向、すなわち、加圧室52の容積を増加させる方向に移動し、加圧室52内は蓄圧室2からの燃料によって満たされる。
ところで、本増圧ピストン機構50において、加圧室52と可変圧力室53との間には中間室54が形成される。この中間室54は常に大気圧が作用するようにしてあり、大気へ開放させるか又は燃料タンクと連通させて大気圧の燃料により満たされている。それにより、増圧ピストン50の大径部51aには、常に、増圧ピストン51の加圧室52の容積を増加させる方向へ大気圧が作用している。
ところで、増圧ピストン51を加圧室52の容積を増加させる方向へ移動させる時に可変圧力室53から排出される燃料は、蓄圧室2から供給された高圧燃料であるために、これを単に燃料タンクへ戻すこととなれば、高圧ポンプP2は、この増圧ピストン機構50において蓄圧室2から消費した燃料分の仕事が増加する。高圧ポンプP2は、一般的に機関駆動式であり、このための駆動エネルギの増大は、内燃機関の燃料消費率を悪化させる。
本実施形態では、可変圧力室53からの排出経路9を、高圧ポンプP2と低圧ポンプP1との間の低圧経路10へ接続している。低圧ポンプP1は、高圧ポンプP2の吸入側が負圧とならないように、燃料タンク11内の燃料を大気圧より高い所望フィード圧力に加圧して低圧経路10へ吐出するものであり、低圧経路10には、低圧ポンプP1への燃料の逆流を防止するための逆止弁12を配置することが好ましい。低圧経路10に逆止弁12が設けられる場合には、排出経路9は、逆止弁12より下流側に接続されることとなる。
こうして、可変圧力室53内の燃料は、低圧経路10へ戻されるために、低圧ポンプP1の駆動エネルギを低下させて吐出圧力を下げても低圧経路10内を所望フィード圧力にすることができ、又は、低圧経路10内の燃料圧力を高めて高圧ポンプが所望圧力を吐出するための駆動エネルギを低減することができ、いずれにしても、可変圧力室53を介して蓄圧室2から消費される燃料の圧力を回転力等に変換せずにそのまま低圧ポンプ又は高圧ポンプの駆動エネルギの低減に利用可能である。
こうして、可変圧力室53を介して蓄圧室2から消費される燃料のエネルギを十分に回収することができ、その結果として、内燃機関の燃料消費率の悪化を十分に改善することが可能となる。
本実施形態において、排出経路9は、比較的大きな容積を有する容積室13を介して低圧経路10へ接続されている。それにより、可変圧力室53から排出された燃料は、容積室13によって圧力脈動が低減されて低圧経路10へ戻されるために、低圧経路10内の圧力変動を抑制することができる。もし、高圧ポンプP2の吸入側が圧力変動していると、高圧ポンプP2によって所望圧力の燃料を吐出させるためには、この圧力変動を考慮して高圧ポンプの吐出を複雑に制御しなければならない。しかしながら、本実施形態においては、容積室13によって、低圧経路10の圧力変動、すなわち、高圧ポンプP2の吸入側の圧力変動が抑制され、このような高圧ポンプP2の吐出制御が複雑化することはない。
また、本実施形態において、排出経路9の容積室13の下流側には、可変圧力室53から低圧経路10への燃料流れのみを許容する逆止弁14が配置されている。この逆止弁14によって低圧経路10から排出通路9への燃料の逆流は防止され、低圧経路10内の燃料圧力が逆流により低下することはなく、これによっても低圧経路10内の燃料圧力が大きく上下動することは防止される。
ところで、機関排気系にNOX吸蔵還元触媒装置又はパティキュレートフィルタ装置が配置されている場合において、これら装置内をNOXの還元又はSOXの被毒回復のために、又は、昇温のために、リッチ空燃比とすることが必要となることがある。このために、機関排気系に燃料噴射弁15が設けられる場合には、図1に点線で示すように、燃料噴射弁15を低圧経路10へ接続して、可変圧力室53から排出された燃料圧力を利用して機関排気系へ燃料を噴射するようにしても良い。それにより、機関排気系の燃料噴射装置15により噴射される燃料を加圧するための加圧機構は必要なく、また、機関排気系への燃料噴射によって低下した低圧経路10内の燃料圧力を高めるために低圧ポンプP1の駆動エネルギが増大することは抑制される。
図2は本発明による増圧式燃料噴射装置の第二実施形態を示す燃料圧系統図である。第一実施形態と同じ部材は同じ参照番号を付しており、説明を省略する。本実施形態の増圧ピストン機構50’は、第一実施形態の増圧ピストン機構50との間に以下の違いを有している。本増圧ピストン機構50’において、前述の可変圧力室53に対応する室は、燃料供給経路3の逆止弁6の上流側に常に接続された単なる圧力室53’であり、前述の中間室54に対応する室が可変圧力室54’となっている。この可変圧力室54’は、絞り16を介して燃料供給経路3の逆止弁6の上流側に接続されている。
増圧ピストン51の大径部51aには圧力室53’を介して蓄圧室2内の燃料圧力が常に作用し、それにより、増圧ピストン51には加圧室52の容積を減少させる方向へ常に一定の押圧力が作用している。一方、小径部51bには加圧室52を介して蓄圧室2内の燃料圧力が作用しており、さらに、可変圧力室54’内の燃料圧力が絞り16を介して蓄圧室2から供給される燃料によって蓄圧室2内の燃料圧力と同じになれば、これらの燃料圧力に伴って発生する増圧ピストン51を加圧室52の容積を増加させる方向への押圧力は、圧力室53’の押圧力を相殺する。それにより、増圧ピストン51は、加圧室52内に配置された戻しバネ55によって、加圧室52の容積を増大する方向に移動し、加圧室52内は蓄圧室2から供給された燃料によって満たされる。
また、可変圧力室54’には、増圧制御弁17を有する排出経路9’が接続されており、この増圧制御弁17を開弁して排出経路9’を介して可変圧力室54’内の燃料を排出すると、可変圧力室54’内の燃料圧力の低下に伴って増圧ピストン51を加圧室52の容積を増加させる方向への押圧力は減少する。それにより、増圧ピストン51を加圧室52の容積を減少する方向への押圧力を相殺することはできなくなり、増圧ピストン51は加圧室52の容積を減少させる方向に移動し、加圧室52において燃料の加圧が実現される。
このように、本増圧ピストン機構50’においては、増圧ピストン51によって加圧室52内の燃料を加圧する際に、可変圧力室54’から燃料が排出される。この燃料は、排出経路9’によって低圧経路10へ戻され、前述同様に十分にエネルギ回収される。
また、第一実施形態と同様に、排出経路9’には、容積室13が設けられ、低圧経路10内の圧力変動を抑制することができ、容積室13の下流側に逆止弁を設ければ、さらに、低圧経路10内の圧力変動を抑制することができる。
ところで、機関高回転時には、燃料噴射初期の噴射率を高めることが好ましく、また、機関低回転時には、燃料噴射後期の噴射率を高めることが好ましい。このように機関運転状態によって、噴射率パターンを変化させるためには、増圧ピストン51の加圧方向への移動速度を変化させることが必要となる。すなわち、燃料噴射開始直前又はそれと同時に増圧ピストン51を高速で加圧方向に移動させれば、燃料噴射初期に増圧ピストン機構50’から燃料噴射弁1へ加圧燃料が急激に圧送され、燃料噴射初期の噴射圧を高めることができる。また、燃料噴射開始と同時又はその直後に増圧ピストン51を低速で加圧方向に移動させれば、噴射初期には低噴射率で噴射後期には高噴射率となるデルタ形の噴射率パターンを実現することができる。
増圧制御弁17によって、可変圧力室54’からの燃料の排出流量を制御することにより、増圧ピストン51の加圧方向への移動速度を、例えば前述のように変化させることができる。例えば、増圧制御弁17の開口面積を変化させて可変圧力室54’からの燃料の排出流量を制御する場合において、この排出流量は増圧制御弁17の下流側の燃料圧力にも影響されるために、この下流側の燃料圧力を一定としていないと、増圧制御弁17の開口面積制御が非常に複雑となる。
本実施形態において、低圧経路10の逆止弁として、設定圧力で開弁して排出経路9’から低圧経路10への燃料流れのみを許容する圧力制御弁18が設けられており、それにより、排出経路9’の増圧制御弁17の下流側は設定圧力に維持され、増圧制御弁17の開口面積制御が複雑化することはない。もちろん、増圧制御弁17が単なる開閉弁であって、特に、可変圧力室54’からの燃料の排出流量を制御しない場合においても、増圧制御弁17の下流側の燃料圧力が一定となっていないと、増圧ピストン51の加圧方向への移動速度がバラツクこととなる。前述の圧力制御弁18は、この移動速度のバラツキも抑制することができる。
前述したように、低圧経路10内の燃料圧力は、高圧ポンプP2の吐出制御を複雑化させないように、所望フィード圧力に維持することが好ましく、このために、可変圧力室54’から燃料が戻された時の低圧経路10内の燃料圧力を監視し、この燃料圧力に基づき低圧ポンプP1の吐出制御を実施するようにしても良いが、本実施形態においては、所望フィード圧力で開弁するリリーフ弁19を低圧経路10の逆止弁12の下流側に接続し、低圧経路10が所望フィード圧力より高くなった時には燃料を燃料タンク11へ戻すようにしている。それにより、低圧経路10を低圧ポンプP1の吐出制御なしに所望フィード圧力に維持することができる。
この場合において、低圧ポンプP1の吐出圧力を所望フィード圧力としたのでは、可変圧力室54’から排出された燃料の圧力を全く回収することができなくなるために、低圧ポンプP1の吐出圧力は所望フィード圧力より低く設定することが好ましい。もちろん、第一実施形態において、このようなリリーフ弁19を低圧経路10へ接続させるようにしても良い。
ところで、増圧制御弁17を単なる開閉弁とし、圧力制御弁18において開口面積を制御することにより、可変圧力室54’からの排出される燃料流量を制御して燃料噴射率パターンを変化させることも可能である。図3には、このための圧力制御弁として使用される制御弁180が示されている。制御弁180は、一方で増圧制御弁17へ他方で低圧経路10へ通じる燃料通路180aを有し、弁体180bの先端部180cによって燃料通路180aを閉鎖可能となっている。先端部180cは、例えば、円錐形状を有し、弁体180bの開弁に際して、リフト量に比例した燃料通路180aの開口面積が実現されるようになっている。
弁体180bの基端部180dは、先端部180cに比較して大きな直径を有し、バネ180eによる付勢力に伴う閉弁力が作用している。また、弁体180bの基端部180dには、中間室180fに提供されるガバナ油圧に基づく開弁力が作用するようになっている。
バネ180eによる閉弁力は、例えば、増圧制御弁17の開弁時に可変圧力室54’の燃料圧力により弁体180bの先端部180cに作用する開弁力とほぼ等しくされる。それにより、増圧制御弁17の開弁時において、弁体180は、ガバナ油圧による開弁力の大きさに比例したリフト量で開弁される。ガバナ油圧は、機関回転数に比例して高まるものであるために、ガバナ油圧に基づく開弁力も機関回転数に比例して可変とされる。
それにより、機関回転数が高い時にはガバナ油圧に基づく開弁力が大きくなり、弁体180bは大きくリフトして開弁され、燃料通路180aの開口面積は自動的に大きくなる。こうして、可変圧力室54’から低圧経路10へ排出される燃料流量が多くなり、増圧ピストン51の加圧側への移動速度を速くさせるために、燃料噴射弁1へは主に燃料噴射初期において増圧ピストンから加圧燃料が圧送され、機関高回転時に適して特に燃料噴射初期の噴射率を高めることができる。
一方、機関回転数が低い時にはガバナ油圧に基づく開弁力が小さくなり、弁体180bは小さくリフトして開弁され、燃料通路180aの開口面積は自動的に小さくなる。こうして、可変圧力室54’から低圧経路10へ排出される燃料流量が少なくなり、増圧ピストン51の加圧側への移動速度を遅くさせるために、噴射初期には低噴射率で噴射後期には高噴射率となる機関低回転時に適したデルタ形の噴射率パターンを実現することができる。
図4には、圧力制御弁として使用されるもう一つの制御弁181が示されている。図3の制御弁180との違いについて以下に説明する。本制御弁181において、基端部181dにはバネ181eの付勢力に伴う開弁力が作用している。また、基端側空間181hには燃圧提供通路181iを介して低圧経路10の燃料が供給され、制御弁181の基端部181dには、基端側空間181h内の燃料圧力に伴う閉弁力が作用するようになっている。
基端側空間181hは、絞りを有する通路181jによって燃料タンク11へ通じており、基端側空間181h内の燃料圧力は、電磁弁181gを介して燃圧提供通路181iから流入する燃料流量と通路181jを介して燃料タンクへ流出する燃料流量との差に応じて変化する。電磁弁181gは通電電流を制御して開口面積を変化させることができ、それにより、燃圧提供通路181iから基端側空間181hへの燃料流量を制御することができる。こうして、基端側空間181h内の燃料圧力は可変とされ、すなわち、燃料圧力に伴う閉弁力も可変とされる。
電磁弁181gが閉弁されて基端側空間181h内の燃料圧力が大気圧である時に、弁体181bはバネ181eによる開弁力によって最大リフト量で開弁される。また、電磁弁181gを開弁して開口面積を大きくするほど、基端側空間181h内の燃料圧力が高くなり、それに伴って、弁体181bに作用する閉弁力が大きくなる。こうして、電磁弁181gへの通電制御によって弁体181bの開弁力と閉弁力との差を変化させ、弁体181bのリフト量を制御することができる。
それにより、可変圧力室54’から低圧経路10へ排出される燃料流量を変化させ、増圧ピストン51の加圧側への移動速度を無段階に制御することができ、機関運転状態に適した所望の燃料噴射率パターンを実現することができる。基端側空間181hへ供給する燃料は、低圧経路10内の燃料に限定されることなく、可変圧力室54’内の燃料以外、例えば、蓄圧室2内の燃料としても良い。
本制御弁181において、電磁弁181gの制御を無通電と所定電流通電(例えば、電磁弁を最大にリフトさせる最大電流通電)の二段階とすれば、電磁弁181gの開口面積は二段階に制御され、それに伴って、弁体181bのリフト量が二段階に制御される。こうして、燃圧提供通路181iから基端側空間181hへの燃料流量を二段階に制御することができる。それにより、このような簡単な電磁弁181gの制御によって、燃料噴射率パターンを二段階に制御することができる。弁体181bのリフト量を二段階に規制するためのストッパを設けることにより、電磁弁181gの二段階の通電制御において、弁体181bを確実に対応するリフト量とすることができる。
本制御弁181において、低圧経路の燃料圧力は、基端側空間181hから弁体181bへ閉弁方向に作用させるようにしたが、これに代えて、中間室181fから弁体181bへ開弁方向に作用させるようにしても良い。この場合において、バネ181eは、基端側空間181hに配置されて弁体181bへ閉弁方向に作用させることとなる。
この場合には、電磁弁181gが閉弁されて中間室181f内の燃料圧力が大気圧である時に、弁体181bはバネ181eによる閉弁力によって閉弁される。また、電磁弁181gを制御して中間室181f内の燃料圧力を大気圧より高くすると、弁体181bに作用する開弁力が大きくなって弁体181bは開弁される。電磁弁181gへの通電制御によって弁体181bの開弁力と閉弁力との差が変化し、弁体181bのリフト量を制御することができる。
図5には、圧力制御弁として使用されるもう一つの制御弁182が示されている。図4の制御弁181との違いについて以下に説明する。本制御弁182において、弁体182bの基端部182dには、バネ182eによる閉弁力が作用すると共に、ソレノイドSにより発生する磁気吸引力が開弁力として作用している。この磁気吸引力はソレノイドSへの通電制御によって無段階に可変とされる。
バネ182eによる閉弁力は、例えば、増圧制御弁17の開弁時に可変圧力室54’の燃料圧力により弁体182bの先端部180cに作用する開弁力とほぼ等しくされる。それにより、増圧制御弁17の開弁時において、弁体182は、ソレノイドSの磁気吸引力の大きさに比例したリフト量で開弁される。
こうして、可変圧力室54’から低圧経路10へ排出される燃料流量を変化させ、増圧ピストン51の加圧側への移動速度を無段階に制御することができ、機関運転状態に適した所望の燃料噴射率パターンを実現することができる。
本制御弁182は、ソレノイドSの磁気吸引力を変化させて弁体182のリフト量を制御するものであるが、弁体をピエゾ素子又は超磁歪素子等によって開閉させる構成とし、それにより、弁体のリフト量を変化させて可変圧力室54’から低圧経路10へ排出される燃料流量を変化させるようにしても良い。
また、ソレノイドSによって弁体の開閉をデューティ制御することにより可変圧力室54’から低圧経路10へ排出される燃料流量を変化させるようにしても良い。この場合においては、特に、弁体のリフト量に応じて開口面積が変化するような構成は必要ない。
本発明による増圧式燃料噴射装置の第一実施形態を示す燃料圧系統図である。 本発明による増圧式燃料噴射装置の第二実施形態を示す燃料圧系統図である。 第二実施形態において、圧力制御弁として使用可能な制御弁を示す概略断面図である。 第二実施形態において、圧力制御弁として使用可能なもう一つの制御弁を示す概略断面図である。 第二実施形態において、圧力制御弁として使用可能なさらにもう一つの制御弁を示す概略断面図である。
符号の説明
1…燃料噴射弁
2…蓄圧室
3…燃料供給経路
7,17…増圧制御弁
9…排出経路
10…低圧経路
11…燃料タンク
13…容積室
14…逆止弁
15…機関排気系の燃料噴射弁
18…圧力制御弁
19…リリーフ弁
50,50’…増圧ピストン機構
51…増圧ピストン
52…加圧室
53,54’…可変圧力室
180,181,182…制御弁
180b,181b,182b…弁体
180f…中間室
181g…電磁弁
181h…基端側空間
P1…低圧ポンプ
P2…高圧ポンプ
S…ソレノイド

Claims (15)

  1. 蓄圧室と、前記蓄圧室内を所望燃料圧力に維持するための高圧ポンプと、前記高圧ポンプへ燃料を供給するための低圧ポンプと、増圧ピストン機構とを具備し、前記増圧ピストン機構は、増圧ピストンと可変圧力室とを有し、前記蓄圧室内の燃料をさらに加圧して燃料噴射弁へ圧送するために前記増圧ピストンを往復運動させ、前記増圧ピストンを往復運動させるために前記可変圧力室を介して前記蓄圧室から燃料を消費するものであり、前記可変圧力室は、前記高圧ポンプと前記低圧ポンプとの間の低圧経路へ接続されていることを特徴とする増圧式燃料噴射装置。
  2. 前記可変圧力室は、容積室を介して前記低圧経路へ接続されていることを特徴とする請求項1に記載の増圧式燃料噴射装置。
  3. 前記可変圧力室は、前記可変圧力室から前記低圧経路への燃料流れのみを許容する逆止弁を介して前記低圧経路へ接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の増圧式燃料噴射装置。
  4. 前記増圧ピストン機構は、前記増圧ピストンを加圧側に移動させる時に前記蓄圧室から前記可変圧力室へ供給された燃料を前記可変圧力室から排出させるものであり、前記可変圧力室は、制御弁を介して前記低圧経路に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の増圧式燃料噴射装置。
  5. 前記低圧経路を所望フィード圧力に維持する圧力維持手段を具備することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の増圧式燃料噴射装置。
  6. 前記圧力維持手段は、前記低圧ポンプの吐出圧制御手段であることを特徴とする請求項5に記載の増圧式燃料噴射装置。
  7. 前記圧力維持手段は、前記低圧経路に接続されたリリーフ弁であることを特徴とする請求項5に記載の増圧式燃料噴射装置。
  8. 前記制御弁は弁体を有し、前記弁体は開弁力が閉弁力より大きくなる時に開弁力と閉弁力との差に応じた開口面積で開弁されて前記低圧経路への燃料の排出を可能とし、前記開弁力及び前記閉弁力の少なくとも一方は可変とされることを特徴とする請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置。
  9. 前記開弁力及び前記閉弁力の少なくとも一方を二段階に可変とすることを特徴とする請求項8に記載の増圧式燃料噴射装置。
  10. ガバナ油圧力を前記弁体へ開弁方向に作用させ、前記開弁力が可変とされることを特徴とする請求項8に記載の増圧式燃料噴射装置。
  11. 前記可変圧力室から排出された燃料圧力以外の燃料圧力を可変として前記弁体に作用させ、前記開弁力及び前記閉弁力の少なくとも一方が可変とされることを特徴とする請求項8又は9に記載の増圧式燃料噴射装置。
  12. 電磁力を可変として前記弁体に作用させ、前記開弁力及び前記閉弁力の少なくとも一方が可変とされることを特徴とする請求項8又は9に記載の増圧式燃料噴射装置。
  13. 前記制御弁は弁体を有し、前記弁体はデューティ制御されて前記低圧経路への燃料の排出を可能とするものであることを特徴とする請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置。
  14. 前記制御弁は弁体を有し、前記弁体はピエゾ素子又は超磁歪素子によって所望の開口面積で開弁されて前記低圧経路への燃料の排出を可能とするものであることを特徴とする請求項4に記載の増圧式燃料噴射装置。
  15. 前記低圧経路には機関排気系へ燃料を噴射するための燃料噴射弁が接続されることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の増圧式燃料噴射装置。
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