JP2005154798A - 硬質相形成用合金粉末およびそれを用いた鉄系混合粉末、ならびに耐摩耗性焼結合金の製造方法および耐摩耗性焼結合金 - Google Patents

硬質相形成用合金粉末およびそれを用いた鉄系混合粉末、ならびに耐摩耗性焼結合金の製造方法および耐摩耗性焼結合金 Download PDF

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Abstract

【課題】CNGエンジンやヘビーデューティーディーゼルエンジン等の高負荷エンジン環境において優れた高温耐摩耗性を発揮するバルブシート材用の焼結合金に用いる硬質相形成用合金粉末を提供する。
【解決手段】全体組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%であり、残部がCoおよび不可避的不純物である硬質相形成用合金粉末、及び、前記合金粉末を重量比で5〜40%を鉄合金基地用粉末に添加した耐磨耗性焼結合金用鉄系混合粉末。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車エンジンのバルブシート材に用いられる耐摩耗性焼結合金およびその製造方法等に係り、とくにCNGエンジン、ヘビーデューティディーゼルエンジン等の高負荷エンジンのバルブシートに用いて好適な焼結合金の開発技術に関する。
近年、自動車エンジンは高性能化により作動条件が一段と厳しくなっており、エンジンに用いられるバルブシートにおいても、従来に増して厳しい使用環境条件に耐えることが必要となってきている。たとえば、タクシー用の自動車に多く搭載されるLPGエンジンにおいては、バルブおよびバルブシートの摺接面が乾燥状態で使用されるため、ガソリンエンジンのバルブシートに比べ摩耗が早い。また、高有鉛ガソリンエンジンのようにスラッジが付着するような環境では、バルブシートに対する面圧が高い場合、あるいはディーゼルエンジンのように高温・高圧縮比の場合に、スラッジにより摩耗が促進される。このような厳しい環境で使用される場合には、耐摩耗性が良いことに併せ、へたり現象を生じないような高い強度が要求される。
一方、バルブシートが摩耗してもバルブの位置とバルブ駆動タイミングとを自動調節できるラッシュアジャスタ装置を備えた動弁機構も実用化されているが、バルブシートの摩耗によるエンジン寿命の問題が解決されているとは言えず、耐摩耗性に優れたバルブシート用材料の開発が望まれている。また、近年では、高性能化を目指すだけではなく、経済性を重視した安価な自動車の開発も重要視されつつあり、したがってこれからのバルブシート用焼結合金としては、上記ラッシュアジャスタ装置のような付加的な機構を必要としない高温耐摩耗性、高強度を有するものであることが求められるようになってきている。
このようなバルブシート用焼結合金としては、Fe−Co系とFe−Cr系との斑状基地中にCo−Mo−Si系硬質粒子を分散させた技術が開示されている(特許文献1参照)。また、Fe−Co系基地中にCo−Mo−Si系硬質粒子を分散させた技術も開示されている(特許文献2参照)。そして、Fe−Co系にNiを添加した基地中にCo−Mo−Si系硬質粒子を分散させた技術も開示されている(特許文献3参照)。さらに、Co−Mo−Si系硬質粒子を分散させたFe基合金も開示されている。
これらの特許文献1〜4に記載されている合金中の硬質粒子は、Mo量が40質量%以下のものであるが、この硬質粒子を含む焼結合金は相当の高温耐摩耗性、高強度を有するものである。しかしながら、近年においては、さらに、高温耐摩耗性、高強度を有する焼結合金が望まれている。そこで、これらの改良発明として、質量比で、Si:1.0〜12%、Mo:20〜50%、Mn:0.5〜5.0%、および残部がFe、Ni、Coのうち少なくとも1種と不可避的不純物よりなる耐摩耗性硬質相形成用合金粉末が開示されている(特許文献5参照)。
特公昭59−037343号公報 特公平05−055593号公報 特公平07−098985号公報 特開平02−163351号公報 特開2002−356704号公報
このように、時代の要請に従い、より耐摩耗性に優れたバルブシート材として好適な焼結合金が提案されてきた。しかしながら、近年実用化されてきているCNGエンジンや、高出力用のヘビーデューティーディーゼルエンジン等のエンジンにおいては、金属接触に伴うバルブシート材への負荷が一層高いため、そのような環境下でも高い耐摩耗性を発揮する材料の開発が望まれている。
本発明はこのような事情を背景としてなされたものであって、とくにCNGエンジンやヘビーデューティーディーゼルエンジン等の高負荷エンジン環境において優れた高温耐摩耗性を発揮するバルブシート材用の耐摩耗性焼結合金およびその製造方法等を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記従前の技術的背景を受けて金属接触が発生する環境下での摩耗状態を解析したところ、金属接触が発生する環境下での摩耗は、硬質粒子以外の基地部分が基点となって塑性流動、凝着が発生することが原因であることを突き止めた。そこで、その対策として、Moの含有量を多くしてMo珪化物量を増大させ、摩耗の基点を減少させることができるとの知見を得た。また、Moの含有量を多くして一体化したMo珪化物を析出させることで、硬質粒子のピン止め効果を増大させることができるとの知見も得た。本発明者らは、これらの知見により、塑性流動、凝着の発生を最小限に止められることができることから、耐摩耗性を大幅に改善できるとの結論に達した。
具体的には、上記特許文献5に記載された基地より残部としてCoを採用するとともにMnを排除することで、粉末の硬さを高めることなくMo量を増すことにより、析出するMo珪化物を多くすると同時に一体化させて析出させることが本発明の骨子である。また、Si量についても必要なMo珪化物を生成する必要量に止めて最適化を行うことで、粉末の硬さを低減し、Mo添加量の増大を可能とすることも重要である。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
よって、本発明は上記対策に基づきなされたもので、本発明に係る硬質相形成用合金粉末は、全体組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%であり、残部がCoおよび不可避的不純物であることを特徴としている。
また、本発明に係る耐摩耗性焼結合金用の鉄系混合粉末は、鉄合金基地用粉末に、上記の硬質相形成用合金粉末を質量比で5〜40%添加したことを特徴としている。
さらに、本発明に係る耐摩耗性焼結合金の製造方法は、上記の耐摩耗性焼結合金用の鉄系混合粉末を用意し、所定の形状に圧粉成形した圧粉体を、非酸化性雰囲気中にて1000〜1200℃で焼結することを特徴としている。また、このように製造された耐摩耗性焼結合金は、全体組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%であり、残部がCoおよび不可避的不純物からなり、鉄合金基地中に、Mo珪化物を主とする析出物が一体化して析出したCo基硬質相が質量比で5〜40%分散していることを特徴としている。
本発明によれば、硬質粒子の分散量を従来技術に比して増加することにより、摩耗の基点を減少させることができ、また、硬質粒子を一体化して析出させて硬質粒子のピン止め効果も増大させることができるため、塑性流動、凝着の発生を最小限に止められることができる。このため、硬質粒子の耐摩耗性を一層向上させて、高負荷エンジン環境において優れた高温耐摩耗性を発揮する耐摩耗性焼結合金を提供することができる。
以下、本発明の硬質相形成用合金粉末およびそれを用いた鉄系混合粉末、ならびに耐摩耗性焼結合金の製造方法および耐摩耗性焼結合金の作用について、図面を参照しながら数値限定の根拠とともに説明する。
(1)硬質相形成用合金粉末
本発明の硬質相形成用合金粉末は、Coを基材とし、主に焼結時にFe基地へ拡散し、Fe基地を強化するとともに、硬質粒子の固着性の向上に寄与し、さらに、硬質相とその周辺の耐熱性を向上させる効果を有する。また、Coの一部はMo、SiとともにMo−Co珪化物を形成し、耐摩耗性を高める効果も有する。以下に、硬質相形成用合金粉末の各成分組成の数値限定の根拠について説明する。
Mo:Moは主にSiと結合して、耐摩耗性、潤滑性に優れたMo珪化物を形成し、焼結合金の耐摩耗性の向上に寄与する。また、一部はCoも取り込みCo−Mo−Cr−Si合金により形成されるMo珪化物析出型の硬質粒子となる。Mo含有量が48質量%未満の場合にはMo珪化物が一体化して析出せず、従来のような粒状のMo珪合物がCo基硬質相中に分散する形態となり、耐摩耗性が従来程度に止まる。逆にMo含有量が60質量%を超えると、Mnを排除した分および後述するSiの減量分、Mo増量の効果がより大きくなり、粉末の硬さが高くなって成形時の圧縮性を損ねる。また、形成される硬質相が脆くなるため、衝撃によって一部が欠けてしまい、研摩粉の作用によって耐摩耗性が逆に低下する。よって、Mo含有量は48〜60質量%とした。
Cr:Crは、硬質相のCo基地の強化に寄与する。また、Fe基地へ拡散して、Fe基地の耐摩耗性向上にも寄与する。Cr含有量が3質量%に満たないとこれらの効果が乏しい。逆に、Cr含有量が12質量%を超えると、粉末の酸素量が多くなって粉末表面に酸化被膜が形成されて焼結の進行を阻害するとともに、酸化被膜により粉末が硬くなるため圧縮性の低下が生じる。このため、焼結合金の強度が低下し、耐摩耗性の低下を招くことから、Cr含有量の上限値は12質量%とした。以上により、Cr含有量は3〜12質量%とした。
Si:Siは主にMoと反応して、耐摩耗性、潤滑性に優れたMo珪化物を形成し、焼結合金の耐摩耗性の向上に寄与する。Si含有量が1質量%未満の場合には、十分なMo珪化物が得られないため、十分な耐摩耗性向上効果が得られない。一方、Si含有量が過大であると、Moと反応しないで基地に拡散するSiが増える。SiはFe基地を硬くするが、同時に脆くもする。このため、ある程度のSiの基地への拡散は、硬質相の基地への固着の点で有効である。しかしながら、過大なSiの拡散は、Fe基地の耐摩耗性を低下させ、相手攻撃性を増加させることとなるので、好ましくない。ここで、Moと反応しないSi量を低減すれば、その分粉末の硬さを増加させずに適切なMo量を与えることができる。よって、Mo量と反応しないで基地に拡散するSiが増え始める5質量%をSi含有量の上限とした。以上により、Si含有量は1〜5質量%とした。
(2)鉄系混合粉末
本発明の鉄系混合粉末は、鉄合金基地用粉末に、上記の硬質相形成用合金粉末を質量比で5〜40%添加したものである。ここで、硬質相形成用粉末の添加量は多いほど耐摩耗性が良好となる。しかしながら、鉄系混合粉末全体に対して添加量が5質量%未満では耐摩耗性向上の効果が乏しい。また逆に、添加量が40質量%を超えると、混合粉末の圧縮性が低くなって焼結後の密度や強度が低くなり、耐摩耗性も低下する。よって、硬質相形成用合金粉末の添加量は、鉄系混合粉末全体に対して5〜40質量%とした。
(3)耐摩耗性焼結合金の製造方法および耐摩耗性焼結合金
本発明の耐摩耗性焼結合金の製造方法は、全体組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%、ならびに残部:Coおよび不可避的不純物からなる硬質相形成用合金粉末を、鉄合金基地用粉末に質量比で5〜40%添加した鉄系混合粉末を用意し、所定の形状に圧粉成形した圧粉体を、非酸化性雰囲気中にて1000〜1200℃で焼結することを特徴としている。
ここで、上記耐摩耗性焼結合金の製造方法における焼結温度の限定理由について説明する。鉄合金基地用粉末の組成および金属組織については、特に問われず、上記特許文献1〜3等のFe合金基地を用いることができる。すなわち、これらの従来技術で使用されたCo基硬質相を本願発明のCo基硬質相で置き換えるだけで耐摩耗性を向上させることができる。ただし、上記焼結温度が1000℃未満では焼結が不十分となり満足できる耐摩耗性を得ることができない。逆に焼結温度が1200℃を超えると硬質相が溶融、消失し、またMo珪化物が一体化して析出するに必要な各成分が基地へ拡散流出し、Mo珪化物が粒状となって析出する。よって、焼結温度は1000〜1200℃とした。
上記の製造方法によれば、全体組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%であり、残部がCoおよび不可避的不純物からなり、鉄合金基地中に、Mo珪化物を主とする析出物が一体化して析出したCo基硬質相が質量比で5〜40%分散した耐摩耗性焼結合金が得られる。この耐摩耗性焼結合金では、図1に示すように、基地中に、主としてMo珪化物よりなる硬質粒子が一体となって析出しており、その内部および周囲にCoが拡散してなる拡散相(白色相)が析出する硬質相が分散している。この硬質相は、硬質で、かつ相手材であるバルブとの親和性が低いMo珪化物により耐摩耗性を一層向上させるとともに、Mo珪化物よりなる硬質粒子が一体となって析出していることから、金属接触が発生する環境下であっても、基地のピン止め効果により基地の塑性流動や凝着による摩耗を防止する。これに対し、図2は、従来の耐摩耗性焼結合金を示す模式図である。この耐摩耗性焼結合金では、基地中に、主としてMo珪化物よりなる硬質相を核としてその周囲をCoが拡散してなる拡散相(白色相)が取り囲む硬質相が分散している。この硬質相は、硬質ではあるが、Mo珪化物よりなる硬質粒子が一体となって析出していないことから、基地のピン止め効果が弱く、基地の塑性流動や凝着による摩耗を十分に防止することができない。
[硬質相形成用合金粉末の組成の影響]
基地成形用合金粉末として上記文献2に開示されたFe−6.5Co−1.5Mo−Ni合金粉末を用意し、表1に示す組成の硬質相形成用合金粉末を25質量%と、黒鉛粉末1.1質量%と成形潤滑剤(ステアリン酸亜鉛0.8質量%)とを添加、混合し、混合粉末を成形圧力650MPaでφ30×φ20×h10のリングに成形した。
Figure 2005154798
次に、これら成形体を、アンモニア分解ガス雰囲気中で1180℃で60分間焼結し、試料01〜16を作製した。以上の試料について、簡易摩耗試験を行った結果を表1に併記する。
なお、簡易摩耗試験は、高温下で叩きと摺動の入力がかかる状態で行った。具体的には、上記リング状試験片を、内径面に45°のテーパ面を有するバルブシート形状に加工し、焼結合金をアルミ合金製ハウジングに圧入嵌合した。そして、SUH−36素材で作製した外形面に一部45°のテーパ面を有する円盤形状の相手材(バルブ)を、モーター駆動による偏心カムの回転によって上下ピストン運動させることにより、焼結合金と相手材とのテーパ面同士を繰り返し衝突させた。すなわち、バルブの動作は、モータ駆動によって回転する偏心カムによってバルブシートから離れる開放動作と、バルブスプリングによるバルブシートへの着座動作とを繰り返し、上下ピストン運動が実現される。なお、この試験では、相手材をバーナーで加熱して焼結合金が300℃となるように温度設定し、簡易摩耗試験叩き回数を2800回/分、繰り返し時間を15時間とした。このようにして試験後のバルブシートの摩耗量およびバルブの摩耗量を測定して評価を行った。
以下、図3〜図5を参照して試験結果を考察する。なお、図3〜図5中の点線は、試料16(従来例)の摩耗量レベル(バルブシートとバルブとの合計摩耗量)を示すものである。
(摩耗量と硬質相形成用合金粉末中のMo量との関係)
図3に示すように、硬質相形成用合金粉末中のMo量が48〜60質量%の範囲である焼結合金(試料番号02〜05)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Mo量が48〜60質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号01,06)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっており、バルブの摩耗量も比較的高い。したがって、硬質相形成用合金粉末中のMo量が48〜60質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
(摩耗量と硬質相形成用合金粉末中のCr量との関係)
図4に示すように、硬質相形成用合金粉末中のCr量が3〜12質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,08〜10)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Cr量が3〜12質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号07,11)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、硬質相形成用合金粉末中のCr量が3〜12質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
(摩耗量と硬質相形成用合金粉末中のSi量との関係)
図5に示すように、硬質相形成用合金粉末中のSi量が1〜5質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,13,14)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、Si量が1〜5質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号12,15)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、硬質相形成用合金粉末中のSi量が1〜5質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
[硬質相形成用合金粉末の添加量の影響]
基地成形用合金粉末として上記文献2に開示されたFe−6.5Co−1.5Mo−Ni合金粉末を用意するとともに、実施例1の試料03で用いた硬質相形成用合金粉末を用意し、硬質相形成用合金粉末の添加量を表2に示す量に設定して、実施例1と同じ条件でφ30×φ20×h10のリングに成形した。
Figure 2005154798
次に、これら成形体を、アンモニア分解ガス雰囲気中で1180℃で60分間焼結し、試料17〜23を作製した。以上の試料について、簡易摩耗試験を行った結果を表2に併記する。
以下、図6を参照して試験結果を考察する。なお、図6中の点線は、試料16(従来例)の摩耗量レベル(バルブシートとバルブとの合計摩耗量)を示すものである。
(摩耗量と硬質相形成用合金粉末の添加量との関係)
図6に示すように、混合粉末全体の質量に対する硬質相形成用合金粉末の添加量が5〜40質量%の範囲である焼結合金(試料番号03,18〜22)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、硬質相形成用合金粉末の添加量が5〜40質量%の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号17,23)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、混合粉末全体の質量に対する硬質相形成用合金粉末の添加量が5〜40質量%の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
[焼結温度の影響]
基地成形用合金粉末として上記文献2に開示されたFe−6.5Co−1.5Mo−Ni合金粉末を用意するとともに、実施例1の試料03で用いた硬質相形成用合金粉末を用意し、焼結温度を表3に示す温度に設定して、実施例1と同じ条件でφ30×φ20×h10のリングに成形した。
Figure 2005154798
次に、これら成形体を、アンモニア分解ガス雰囲気中で60分間焼結し、試料24〜28を作製した。以上の試料について、簡易摩耗試験を行った結果を表3に併記する。
以下、図7を参照して試験結果を考察する。なお、図7中の点線は、試料16(従来例)の摩耗量レベル(バルブシートとバルブとの合計摩耗量)を示すものである。
(摩耗量と焼結温度との関係)
図7に示すように、焼結温度が1000〜1200℃の範囲である焼結合金(試料番号3,25〜27)は、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、焼結温度が1000〜1200℃の範囲を逸脱している焼結合金(試料番号24,28)は、とくにバルブシートの摩耗量が顕著に高くなっている。したがって、焼結温度が1000〜1200℃の範囲であれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
[硬質相の影響]
基地形成用合金粉末として、特許文献1に開示のFe−3Cr−0.3Mo−0.3V合金粉末と、Fe−6.5Co−1.5Mo−1.5Ni合金粉末とを単独で用意するか、またはこれらの合金粉末を1:1の割合で混合した混合粉末を用意した。また、硬質相形成用合金粉末として、本発明のCo−50Mo−10Cr−3Si合金と、従来のFe−3Cr−0.3Mo−0.3V合金とをそれぞれ用意した。そして、硬質相形用成合金粉末25質量%と黒鉛粉末1.1質量%を表4に示す割合の基地形成用粉末に添加して実施例1と同じ条件でφ30×φ20×h10のリングに成形した。
Figure 2005154798
次に、これら成形体を、アンモニア分解ガス雰囲気中で1180℃にて60分間焼結し、試料03,16,29〜32を作製した。以上の試料について、簡易摩耗試験を行った結果を表4に併記する。
以下、図8参照して試験結果を考察する。
(摩耗量と硬質相との関係)
図8に示すように、いずれの基地形成用合金粉末を使用した場合であっても、本発明の硬質相形用成合金粉末を使用した場合(試料番号03,29,30)は、従来の硬質相形成用合金粉末を使用した場合(試料番号16,31,32)よりも、バルブシートおよびバルブの摩耗量が安定して低くなっており、良好な耐摩耗性を示すことが判る。したがって、本発明の硬質相形成用合金粉末を使用すれば、優れた耐摩耗性が実現されることが確認された。
本発明の焼結合金の活用例としては、耐摩耗性を向上させたことにより、自動車エンジンの高性能化により作動条件が近年一段と厳しくなっているバルブシートに適用することができる。
本発明の第1の耐摩耗性焼結合金の金属組織を表す模式図である。 従来の耐摩耗性焼結合金の金属組織を表す模式図である。 摩耗量と硬質相形成用合金粉末中のMo量との関係を示すグラフである。 摩耗量と硬質相形成用合金粉末中のCr量との関係を示すグラフである。 摩耗量と硬質相形成用合金粉末中のSi量との関係を示すグラフである。 摩耗量と硬質相形成用合金粉末の添加量との関係を示すグラフである。 摩耗量と焼結温度との関係を示すグラフである。 摩耗量と硬質相との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 全体組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%であり、残部がCoおよび不可避的不純物であることを特徴とする硬質相形成用合金粉末。
  2. 鉄合金基地用粉末に、請求項1に記載の硬質相形成用合金粉末を質量比で5〜40%添加したことを特徴とする耐摩耗性焼結合金用の鉄系混合粉末。
  3. 請求項2に記載の耐摩耗性焼結合金用の鉄系混合粉末を用意し、所定の形状に圧粉成形した圧粉体を、非酸化性雰囲気中にて1000〜1200℃で焼結することを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  4. 全体組成が、質量比で、Mo:48〜60%、Cr:3〜12%、Si:1〜5%であり、残部がCoおよび不可避的不純物からなり、鉄合金基地中に、Mo珪化物を主とする析出物が一体化して析出したCo基硬質相が質量比で5〜40%分散していることを特徴とする耐摩耗性焼結合金。
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