JP2005154792A - 導電性とばね特性を改善した通電部品用マルテンサイト含有高Cr鋼板およびその製造法 - Google Patents

導電性とばね特性を改善した通電部品用マルテンサイト含有高Cr鋼板およびその製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性とばね特性を同時に改善した通電部品用高Cr鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含み、好ましくはC+N:0.1%以下,Mn:2.0%以下,Si:2.0%以下,Ti:0(無添加)〜0.5%,Nb:0(無添加)〜0.5%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織であり、粒径300nm以下好ましくは粒径1〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有する導電性とばね特性を改善した通電部品用高Cr鋼板。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気接点材料などの通電部品に使用する高Cr鋼板であって、特に導電性とばね特性を同時に改善したマルテンサイト含有鋼板、およびその製造法に関する。
従来、電気接点材料には電気伝導性(導電性)の観点から主として銅合金が使用されている。しかし、電気接点には耐食性やばね特性が良好であることも望まれ、そのような高性能な銅合金を選択するには必然的に材料コストが高くなる。
耐食性が良好で比較的安価な材料としてフェライト系ステンレス鋼等の高Cr鋼がある。強度面でも銅合金よりコストメリットが大きい。しかし、鉄合金である以上、導電性の面では銅合金に及ばない。このため、高Cr鋼を用いて銅合金部品と代替可能な導電性を確保するには、部品の断面積を大きくすることで対処せざるを得ない。これは部品や装置の小型・軽量化のニーズに逆行することになり、高Cr鋼を用いた通電部品の普及を阻む要因となっている。
電気接点材料としては接触相手との間に生じる「接触抵抗」を小さくすることもトータルの導電性を向上させるうえで有効である。そのような観点から、下記特許文献1には接触抵抗を低減したステンレス鋼板が開示されている。これは、Cuを1.0%以上含有するステンレス鋼板にCuリッチ相を析出させた後、「光輝焼鈍」または「大気焼鈍+電解酸洗」を行って不動態皮膜または最表層にCuを濃化させるものである。
一方、抗菌性を付与する目的でステンレス鋼にCuを添加し、Cuリッチ相を析出させたものが下記特許文献2〜4に記載されている。しかし、導電性を改善する手段やばね特性を向上させる手段については教示がない。
特開2001−89865号公報 特開平9−170053号公報 特開平10−273758号公報 特開平11−279744号公報
特許文献1の技術によれば、ステンレス鋼部品の接触抵抗を低減する効果は大きい。しかし、基材自体の導電性はあまり大きく変化しない。このため、銅合金部品の代替材として使用するには依然として部品の断面積を大きくする必要があり、小型・軽量化という面での優位性は薄い。一方、電気接点部品においては「ばね特性」が良好であることも重要であるが、導電性とばね特性の両方を高めた材料を使用するには高価な「ばね用銅合金」を選択せざるを得ない。
本発明は、比較的安価なCr系ステンレス鋼をベースとした高Cr鋼において、基材自体の導電性を大幅に向上させるとともに、ばね特性をも向上させ、電気接点をはじめとする種々の通電部品に適用できる高性能な鋼材を提供することを目的とする。
発明者らは耐食性の良好な高Cr鋼材の導電性を向上させるために種々検討を重ねてきた。その結果、Cuを含有するものにおいて、Cuを主体とする析出物の粒径をある特定範囲にコントロールしてマトリクス中に分散させたとき、「導電性」が顕著に向上することを見出した。
一方、微細なCu系析出物を分散させれば析出強化現象により「ばね特性」も同時に改善できるのではないかと期待された。しかしながら、「導電性」は向上しても、「ばね特性」の安定的な改善を図ることはできなかった。そこで発明者らは更に詳細な研究を進めた。その結果、鋼板の金属組織を50体積%以上のマルテンサイト相を含む「フェライト相+マルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織とし、そのマルテンサイト相中に微細なCuリッチ相を分散させたとき、「導電性」と「ばね特性」を同時に改善し得ることを見出した。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
上記目的は、質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含む化学組成を有し、鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織であり、粒径300nm以下のCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有し、電気抵抗率が60μΩ・cm以下、ばね限界値が500N/mm2以上である導電性とばね特性を改善した通電部品用高Cr鋼板によって達成される。
「Cuリッチ相」は、Cuを80原子%以上含む第2相であり、いわゆるε−Cu相と呼ばれるものが代表例として挙げられる。「粒径」は、粒子の最大径を意味する。例えば棒状の析出物の場合は長さが粒径となる。「ばね限界値」は、幅10mm,長さ200mmの短冊状試験片を用いてJIS H 3130に準じた試験を行い、永久たわみ量が0.1mmとなるときの応力値である。
また、質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含む化学組成を有し、鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織であり、粒径1〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有する導電性とばね特性を改善した通電部品用高Cr鋼板を提供する。
この場合、質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含み、C+N:0.1%以下,Mn:2.0%以下,Si:2.0%以下,Ti:0(無添加)〜0.5%,Nb:0(無添加)〜0.5%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有するものが採用でき、特にTi:0.5%以下およびNb:0.5%以下のうち1種または2種を含み、下記(1)式を満たすものが採用できる。
7(C+N)≦Ti+Nb≦7(C+N)+0.3 ……(1)
ここで、「鋼板のマトリクスが『フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相』の複相組織である」とは、鋼板の金属組織において、Cuリッチ相以外の部分(素地)が実質的に「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織からなることを意味する。ただし、上記「50体積%以上」はCuリッチ相を含んだ金属組織における体積%をいう。「実質的に」とは、概ね3体積%以下の範囲でその他の相(例えば析出物や介在物)の混在が許容されることを意味する。
同様に「鋼板のマトリクスがマルテンサイト単相組織である」とは、鋼板の金属組織において、Cuリッチ相以外の部分(素地)が実質的にマルテンサイト相からなることを意味する。「実質的に」は上記と同様の意味である。
また上記において「粒径1〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した」とは、それらの相中に観察されるCuリッチ相析出粒子の粒径の平均値が1〜20nmの範囲にあることを意味する。ただし、粒径が300nmを超えるCuリッチ相が混在する場合は、それらを除いたCuリッチ相析出粒子の粒径の平均値が1〜20nmの範囲にあることを意味する。(1)式の元素記号の箇所には質量%で表された当該元素の含有量が代入される。
また本発明では、粒径1〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が分散した上記の組織状態を有するものにおいて、電気抵抗率が60μΩ・cm以下のもの、あるいは更にばね限界値が500N/mm2以上であるものを提供する。
特に優れた性能を呈するものとして、粒径5〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有し、電気抵抗率が60μΩ・cm以下、且つばね限界値が600N/mm2以上である鋼板を提供する。
ここで、「粒径5〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散し」とは、それらの相中に観察されるCuリッチ相析出粒子の粒径の平均値が5〜20nmの範囲にあることを意味する。ただし、粒径が300nmを超えるCuリッチ相が混在する場合は、それらを除いたCuリッチ相析出粒子の粒径の平均値が5〜20nmの範囲にあることを意味する。
また本発明では、粒径1〜20nmあるいは5〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が分散した上記組織状態を有するものにおいて、特に、少なくともマルテンサイト相中おいて、転位がCuリッチ相析出粒子にピン止めされている組織状態を有するものを提供する。
さらに本発明では、鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織となるように組織調整された鋼板に対して、下記(2)式で定義されるA値が13.0〜20.0、好ましくは15.0〜20.0となる条件で時効処理を施すことを特徴とする導電性とばね特性を改善した通電部品用高Cr鋼板の製造法を提供する。
A=T(20+logt)×10-3 ……(2)
ただし、Tは絶対温度で表した時効温度(K)、tは時効時間(hr)である。
本発明によれば、高Cr鋼板において基材の「導電性」と「ばね特性」を同時に向上させることが可能になった。本発明の鋼板を通電部品に用いると、「導電性」の向上によって、従来の鋼素材では実現が困難であった通電部品の小型・軽量化のニーズに応えることができる。「ばね特性」の向上によって、特に電気接点等の用途においては部品性能の向上に寄与できる。また、この材料はCr系ステンレス鋼をベースとした組成を有するため、耐食性にも優れる。したがって本発明は、通電部品として用いられている高耐食性銅合金やばね用銅合金の代替が可能な安価な鋼材を提供するものであり、そのコストメリットは大きい。
本発明ではCr:9.0〜20.0質量%,Cu:1.0〜15.0質量%を含有する高Cr鋼を対象とする。特にCr系ステンレス鋼の組成を基本としてCuを含有させたものが好適である。
Crは鋼の耐食性を改善するために必須の元素である。ただし、過剰の添加は導電性を低下させ、製造性を劣化させるので20質量%以下に制限される。
Cuは鋼材の「導電性向上」および「ばね特性向上」のために添加する。1.0質量%未満では後述の時効析出による導電性およびばね特性の向上効果が十分に発揮されない。一方、Cu含有量が増すと熱間加工性および耐食性が低下してくる。種々検討の結果、Cu含有量が15.0質量%以下であれば工業的に鋼板の製造は可能であり、耐食性劣化も一般的な電気接点材料としてはさほど問題にならないことがわかった。ただし、熱延鋼板の歩留り低下等を考慮すると、8.0質量%以下の範囲でCuを含有させることが望ましい。
Cuを含有する高Cr鋼においてCuリッチ相をマトリクス中に分散させた材料は既に存在する(特許文献1〜4)。しかしながら、析出物の量ではなく、粒径に着目し、Cuリッチ相を粒径が300nm以下あるいは1〜20nmの範囲になるようにコントロールして分散させた通電部品用鋼材は知られていない。ここで、個々の粒子の粒径は最大径によって表される。最近の透過型電子顕微鏡観察手段を用いると粒径1nm程度の極めて微細な析出物の存在を確かめることができる。個々の微細粒子の粒径を定量的に表示することは難しいが、平均粒径が1〜20nmあるいは5〜20nmの範囲にあるかどうかを判別することは十分可能である。
発明者らの研究の結果、粒径1〜500nmのCuリッチ相を高Cr鋼板の組織中に分散させたとき、導電性の向上効果が認められた。特にその析出物の粒径を5〜20nmにコントロールしたとき、導電性は顕著に向上することが判った。更に、未固溶のCuリッチ相(例えば粒径2000nm以上)が微細粒径のCuリッチ相(例えば粒径1〜20nm)と共存する場合には、導電性向上効果は一層大きくなる傾向が見られた。これらの現象が生じる理由は現時点で明らかではない。
ところが、「ばね特性」の向上をも意図した場合、Cuリッチ相の粒径を導電性が向上する上記範囲にコントロールするだけでは不十分であることが明らかになった。詳細な検討の結果、まずCuリッチ相の粒径は300nm以下にコントロールしなければ「ばね特性」の向上は難しいことがわかった。そして、マルテンサイト相が少なくとも50体積%以上を占めるマトリクス中にCuリッチ相の析出粒子を分散させたとき、「導電性」の向上効果を有しながら「ばね特性」をも向上させることが可能になることを突き止めた。このような組織状態によって、電気抵抗率が60μΩ・cm以下、且つばね限界値500N/mm2以上の特性が実現される。
この組織状態をCuリッチ相の析出形態などによって明確に特定することは必ずしも容易ではない。しかし、例えば1〜20nmの微細なCuリッチ相を析出・分散させることにより「導電性」と「ばね特性」を顕著に向上させた試料について、子細な電子顕微鏡観察を行ったところ、マルテンサイト相中において、転位がCuリッチ相の析出粒子にピン止めされた特徴的な形態を呈していることがわかった。その観察例を図1に示す。
図1の透過型電子顕微鏡写真は、後述表3の発明例No.25の試料においてマルテンサイト相の部分を観察した例である。Cuリッチ相の析出粒子(白く見える粒子,場所によっては黒く見える)が、転位(黒く見える線状部分,場所によっては白く見える)に沿って存在している箇所を確認することができる。これは、マルテンサイト変態に伴う格子歪みによって導入された可動転位がCuリッチ相析出粒子によって固着されている状態であると考えられ、この組織状態がばね特性の向上に寄与していると推察される。
Cuリッチ相の平均粒径が5〜20nmの範囲にあるとき、ばね特性の向上効果は最も大きい。この場合、電気抵抗率を60μΩ・cm以下に維持しながら、ばね限界値を600N/mm2以上のレベルに向上できる。
Cuリッチ相の粒径が20nmを超えて大きくなると析出物数が減少するため、ピン止めされた転位の数は著しく減少する。ただ、この場合でも、50体積%以上のマルテンサイト相を生成させた後に時効処理を施したときには、ばね限界値は明らかに向上する。この組織状態を析出物や転位の様子によって特定することは難しいが、析出物が比較的小さく、数が多い場合は、析出物周囲の歪み場が大きくなり転位の動きが拘束されるのではないかと推測される。
このような「導電性」と「ばね特性」を同時に改善した高Cr鋼板は以下のようにして製造できる。
まず、Cr:9.0〜20.0質量%,Cu:1.0〜15.0質量%を含む鋼の熱延鋼板あるいは冷延鋼板を用意し、これを、少なくともAc1点以上の温度に加熱した後、急冷(例えば水流に曝すなど)して、50体積%以上のマルテンサイト相を含む組織を得る。残部は基本的にフェライト相であるが、マルテンサイト単相組織としてもよい。この種の鋼のAc1点は概ね900〜950℃の範囲にあるが、上記加熱温度は1000℃を超える高温とすることが好ましい。1000℃以下の場合、組成によってはマルテンサイト量を十分に確保することが難しくなる。1020〜1100℃の範囲に加熱するのが特に好ましい。加熱時間は均熱30秒〜2分が好ましい。
次いで、50体積%以上のマルテンサイト相を含む状態で、時効処理に供する。この場合、下記(2)式で定義されるA値が13.0〜20.0となる条件で時効処理を行うと、Cuリッチ相の粒径を1〜20nmにコントロールすることができる。
A=T(20+logt)×10-3 ……(2)
ここで、Tは絶対温度で表した時効温度(K)、tは時効時間(hr)である。
特に、A値が15.0〜20.0となる条件で行うとCuリッチ相の粒径を5〜20nmにコントロールすることができ、ばね特性の向上効果が非常に大きい。
時効処理の後、フッ酸−硝酸、硫酸−硝酸等の混酸で酸洗することにより、表面接触抵抗を改善することができる。
本発明の対象鋼としては、下記[1]の化学組成の鋼を採用することが好ましい。下記[2]の化学組成の鋼が一層好ましい。
[1] 質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含み、C+N:0.1%以下,Mn:2.0%以下,Si:2.0%以下,Ti:0(無添加)〜0.5%,Nb:0(無添加)〜0.5%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成。
[2] 質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含み、C+N:0.1%以下,Mn:2.0%以下,Si:2.0%以下であり、Ti:0.5%以下およびNb:0.5%以下のうち1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、且つ下記(1)式を満たす化学組成。
7(C+N)≦Ti+Nb≦7(C+N)+0.3 ……(1)
この範囲でTi,Nbを含有させたとき、製造性の改善効果が大きい。
[1]または[2]の各元素の他、Mo:3.0%以下,Ni:3.0%以下,Al:5.0%以下,V:2.0%以下,W:2.0%以下,Zr:1.0%以下,REM:0.1%以下の範囲でこれらの元素を必要に応じて1種または2種以上含有させてもよい。
表1に示す高Cr鋼を真空溶解炉で溶製し、熱間圧延にて板厚3mmの熱延板(鋼帯)とし、1050℃で10分加熱する熱処理を行い、冷間圧延を行って板厚1mmの冷延鋼板とした。次いで1050℃で均熱1分加熱したのち水流に曝して冷却した。次に、表2,表3に示す条件で時効処理を施した。
時効処理後(時効処理を施さなかったものは冷間圧延後)の鋼板について、マルテンサイト量,電気抵抗率,Cuリッチ相の粒径,接触抵抗,ばね限界値を求めた。
電気抵抗率は、幅3mm×長さ100mmの試験片を用いて4端子法(JIS C 2525)にて測定した。
Cuリッチ相の粒径は、透過型電子顕微鏡観察により、マルテンサイト相中に観察されるCuリッチ相の粒径の範囲を目視で判定することにより求めた。例えば粒径が5〜20nmと表示されるものは、観察される測定可能な粒子の粒径が5〜20nmの範囲にあることを意味する。粒径の平均値を具体的な数値で表示することは難しいが、例えば粒径が5〜20nmと表示されるものでは、平均粒径が5〜20nmの範囲内にあることは確かである。フェライト相が混在する試料については、フェライト相中に観察されるCuリッチ相の粒径も上記のようにして求めたが、マルテンサイト相中のものとほぼ同じ粒径範囲であった。なお、析出粒子がCuリッチ相であることは、電子顕微鏡に付属のEDX装置にて同定できる。
接触抵抗は、図2に示す構成の装置を用いて、純金製の線材で作った接触子を試料表面に100gの荷重で押しつけたときの接触抵抗を、4端子法にて測定して求めた。接触荷重はバネをねじることによって発生する回転トルクを利用して調整される。この装置では、荷重のON/OFFに連動したステージの走査によって接触位置を自動的に変えることができるようになっている。
ばね限界値は、幅10mm,長さ200mmの短冊状試験片を用いてJIS H 3130に準じた試験を行って求めた。永久たわみ量が0.1mmとなるときの応力値をばね限界値とした。
これらの結果を表2,表3に示す。
本発明例は、50体積%以上のマルテンサイト相を含む組織状態とした後に時効処理を施したものである。時効後においてもマルテンサイト量はほとんど同じである。マルテンサイト量が100%と表示されるものは鋼板のマトリクスがマルテンサイト単相組織である。それ以外のものは、鋼板のマトリクスがフェライト相+マルテンサイト相の複相組織である。いずれの本発明例も粒径300nm以下のCuリッチ相がマトリクス中に分散し、電気抵抗率60μΩ・cm以下の優れた導電性と、ばね限界値500N/mm2以上の優れたばね特性を呈していた。また、接触抵抗も10mΩ以下と低かった。このうちNo.38以外は前記(3)式で定義するA値が13.0〜20.0となる条件で時効処理を施したものである。これらは粒径1〜20nmのCuリッチ相がマトリクス中に分散し、且つ図1に例示したようにマルテンサイト相中で転位がCuリッチ相の析出粒子にピン止めされた組織状態を呈していた。特に、A値が15.0〜20.0となる条件で時効処理を行ったもの(No.21,22,24〜26,28〜30,32〜37)は、Cuリッチ相の平均粒径が5〜20nmの範囲にあり、ばね限界値600N/mm2以上という非常に優れたばね特性を呈した。
これに対し、比較例No.1〜3は鋼のCu含有量が少なすぎたためCuリッチ相が析出せず、導電性,接触抵抗,ばね特性に劣った。No.4,6はA値が低すぎる条件で時効処理したためCuリッチ相の析出がなく、導電性,ばね特性に劣った。No.5,7,8はA値が高すぎる条件で時効処理したためCuリッチ相が粗大化しすぎ、ばね特性に劣った。No.11,12は時効処理を行わなかったためCuリッチ相の析出がなく、導電性,ばね特性に劣った。No.9,10はCu含有量が高いので最終焼鈍後に粗大なCuリッチ相が生成したが、その後時効処理しなかったため粗大なCuリッチ相が残り、ばね特性が悪かった。
本発明例の鋼板において、マルテンサイト相中で転位がCuリッチ相の析出粒子にピン止めされている組織状態を示した透過型電子顕微鏡写真。 接触抵抗を測定する装置の構成を示した図。

Claims (10)

  1. 質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含む化学組成を有し、鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織であり、粒径300nm以下のCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有し、電気抵抗率が60μΩ・cm以下、ばね限界値が500N/mm2以上である導電性とばね特性を改善した通電部品用高Cr鋼板。
  2. 質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含む化学組成を有し、鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織であり、粒径1〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有する導電性とばね特性を改善した通電部品用高Cr鋼板。
  3. 質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含み、C+N:0.1%以下,Mn:2.0%以下,Si:2.0%以下,Ti:0(無添加)〜0.5%,Nb:0(無添加)〜0.5%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織であり、粒径1〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有する導電性とばね特性を改善した通電部品用高Cr鋼板。
  4. 質量%で、Cr:9.0〜20.0%,Cu:1.0〜15.0%を含み、C+N:0.1%以下,Mn:2.0%以下,Si:2.0%以下であり、Ti:0.5%以下およびNb:0.5%以下のうち1種または2種を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、且つ下記(1)式を満たす化学組成を有し、鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織であり、粒径1〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有する導電性とばね特性を改善した通電部品用高Cr鋼板。
    7(C+N)≦Ti+Nb≦7(C+N)+0.3 ……(1)
  5. 電気抵抗率が60μΩ・cm以下である請求項2〜4に記載の鋼板。
  6. 電気抵抗率が60μΩ・cm以下、ばね限界値が500N/mm2以上である請求項2〜4に記載の鋼板。
  7. 粒径5〜20nmのCuリッチ相の析出粒子が前記マトリクスを構成する相中に分散した組織状態を有し、電気抵抗率が60μΩ・cm以下、且つばね限界値が600N/mm2以上である請求項2〜4に記載の鋼板。
  8. 少なくともマルテンサイト相中おいて、転位がCuリッチ相析出粒子にピン止めされている組織状態を有する請求項2〜7に記載の鋼板。
  9. 鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織となるように組織調整された鋼板に対して、下記(2)式で定義されるA値が13.0〜20.0となる条件で時効処理を施す請求項6に記載の鋼板の製造法。
    A=T(20+logt)×10-3 ……(2)
    ただし、Tは絶対温度で表した時効温度(K)、tは時効時間(hr)である。
  10. 鋼板のマトリクスが「フェライト相+50体積%以上のマルテンサイト相」の複相組織またはマルテンサイト単相組織となるように組織調整された鋼板に対して、下記(2)式で定義されるA値が15.0〜20.0となる条件で時効処理を施す請求項7に記載の鋼板の製造法。
    A=T(20+logt)×10-3 ……(2)
    ただし、Tは絶対温度で表した時効温度(K)、tは時効時間(hr)である。
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