JP2005153605A - ランフラットタイヤ用の支持体及びその製造方法、並びにランフラットタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 十分な軽量化及び高い耐久性が実現され、かつ所定の形状に精度良く成形されたシェル部材を有する支持体を実現する。
【解決手段】 シェルの製造時には、アルミ管54及び補強リング74を金型56A,56B内に設置し、アルミ管54及び補強リング74内にコイル58をそれぞれ挿入し、コイル58に電流を通電することによって生じる電磁気力でアルミ管54及び補強リング74をそれぞれ膨出させて成形面62に沿って塑性変形させると共に、補強リング74をシェルにおける凸部のピーク付近に対応する部分に圧接接合して他の部分よりも肉厚化された補強部を形成する。これにより、アルミ管を素材として割れ、折曲がり等を生じさせることなく、所望の形状に精度良く肉厚化された補強部を有するシェルを成形できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、タイヤパンク時に、パンク状態のまま相当の距離を走行し得るように空気入りタイヤの内部に配設される環状のランフラットタイヤ用の支持体及びその製造方法並びに、このランフラットタイヤ用の支持体を用いたランフラットタイヤに関する。
例えば、特許文献1には、空気入りタイヤでランフラット走行が可能、即ち、パンクしてタイヤ内圧が略0気圧(ゲージ圧)になっても、ある程度の距離を安定して走行(ランフラット走行)が可能なタイヤ(以下、「ランフラットタイヤ」と言う。)として、タイヤの空気室内におけるリムの部分に、例えば、高張力鋼、ステンレス鋼等の金属材料からなるランフラットタイヤ用の支持体(以下、単に「支持体」という。)を取り付けたもの(中子タイプ)が開示されている。
また、この種のランフラットタイヤに用いられる支持体としては、円筒状のシェルと、このシェルの両端部にそれぞれ加硫接着されたゴム製の脚部とを備えたものがあり、シェルとしては、リムに取り付けられるタイヤの径方向断面において2個の凸部を有する形状(二山形状)のものが知られている。このようなシェルは、例えば、高張力鋼等からなる金属円筒を成形素材とし、この金属円筒に対するヘラ絞り加工、ロールフォーミング加工、ハイドロフォーム加工等の塑性加工を含む工程を経て製造される。
上記のようなシェルは、十分な強度を確保するために、実用的には多くの場合、高張力鋼やステンレスを素材として成形されるが、これらを素材とした場合には支持体の重量が重くなり、車両の操安性や燃費が低下するという不都合があった。
これらの不都合を解消するために、軽量なアルミ合金等を素材としてシェルを製造することが試みられている。この場合、一般的に、支持体を十分に高強度なものにするためには、例えば、熱処理により高強度が得られるJIS呼称5000番台、6000番台及び7000番台のアルミ合金を選択することが好ましい。しかし、これらのアルミ合金からなる成形素材(以下、「アルミ材」という。)は伸びが小さく、従来から行なわれているハイドロフォーム成形やロールフォーミング加工では、材料に割れが生じる等の欠陥が生じ易く安定的に支持体を製造することが難しい。
特に、ハイドロフォーム成形では加工(塑性変形)時間が2秒程度かかるため、加工対象であるアルミ材は、その特性により変形時に加工硬化が進み、伸びが小さくなり、アルミ材から成形された支持体(シェル)に割れが発生するいう不都合があった。
上記不都合を解消するため、本出願の発明者等は、アルミ合金を素材とする電磁成形(電磁拡管成形)によるシェル製造についての研究及び開発を進めてきた。この電磁成形によれば、アルミ材を極めて短い時間(通常、0.1秒以内)で所望の形状に加工できるので、アルミ材を超塑性変形の領域で変形させてシェルを成形することが可能になり、塑性変形量が大きい部分にも加工硬化の影響により割れや折曲がりが発生することを効果的に防止できる。
特開平10−297226号公報
しかし、電磁成形によりシェルを成形した場合には、変形量が大きい凸部の頂部付近が引き延ばされて、その肉厚が他の部分よりも薄くなる。このシェルの凸部は、ランフラット走行時に路面からの荷重が集中する部分の一つであり、このシェルをランフラット走行に用いた場合には、路面からの衝撃により凸部の頂部付近に微小な凹みやクラックが生じるおそれがある。このような微小な凹みやクラックは、直ちにランフラット走行の安全性や走行性を低下させるものではないが、電磁成形により成形されたシェルの耐久性を向上できないことの原因になっている。
本発明の目的は、上記事実を考慮し、十分な軽量化及び高い耐久性を確保しつつ、所定の形状に精度良く成形されたシェル部材を有するランフラットタイヤ用の支持体及び、このようなシェル部材を備えたランフラットタイヤ用の支持体の製造方法、並びに前記ランフラットタイヤ用の支持体を用いた空気入りランフラットタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るランフラットタイヤ用の支持体は、空気入りタイヤの内部に配設され、該空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体であって、径方向断面において径方向外側にそれぞれ突出する少なくとも2個の凸部が形成されると共に、前記凸部の頂部付近に全周に亘って肉厚化された補強部が設けられ、リムの外周側に装着される環状のシェル部材を有し、前記シェル部材は、アルミ合金からなる円筒状のアルミ管及び該アルミ管における前記頂部に対応する部分に重ね合わされたアルミ合金からなる補強リングをそれぞれ電磁成形により前記シェル部材に対応する形状へ塑性変形させると共に、電磁成形により生じた衝撃的な加圧力により補強リングをアルミ管に圧着して前記補強部を形成し、成形されたことを特徴とする。
上記請求項1に係るランフラットタイヤ用の支持体では、少なくとも2個の凸部を有するシェル部材が、アルミ合金からなる円筒状のアルミ管及び、このアルミ管における頂部に対応する部分に重ね合わされたアルミ合金からなる補強リングをそれぞれ電磁成形によりシェル部材に対応する形状へ塑性変形させると共に、電磁成形により生じた衝撃的な加圧力により補強リングをアルミ管に圧着してシェル部材における補強部を形成し、成形されたことにより、肉厚が略一定とされたアルミ管のみを素材として電磁成形によりシェル部材を成形した場合には、変形量(延伸量)が大きく肉厚が他の部分よりも薄くなる凸部の頂部付近に、補強リングが全周に亘り固着されて補強部が形成されるので、走行時の入力荷重等に応じてシェル部材における凸部の頂部付近の肉厚を増加して、その強度を大幅に高めることができる。
この結果、電磁成形により成形されたシェル部材を用いたランフラットタイヤによりランフラットタイヤ走行を行った場合でも、シェル部材における凸部の頂部付近に路面からの衝撃等の荷重により走行に悪影響を与えるような凹みやクラックが生じることを長時間に亘って防止できるので、安定的かつ安全にランフラット走行を行える距離を飛躍的に延長できるようになる。
また請求項2に係るランフラットタイヤ用の支持体は、請求項1記載のランフラットタイヤ用の支持体において、前記シェル部材は、Al−Mg系アルミ合金、Al−Mg−Si系アルミ合金及びAl−Zn系アルミ合金の何れかを素材として成形されたことを特徴とする。
上記請求項2に係るランフラットタイヤ用の支持体では、Al−Mg系アルミ合金(例えば、JIS呼称5000番台)、Al−Mg−Si系アルミ合金(例えば、JIS呼称6000番台)及びAl−Zn系アルミ合金(例えば、JIS呼称7000番台)の何れかを素材としてシェル部材を成形し、このシェル部材に対して必要に応じて所定の熱処理を施すことによって、十分な強度を有するシェル部材を製造できる。
また請求項3に係るランフラットタイヤ用の支持体は、請求項1又は2記載のランフラットタイヤ用の支持体において、前記シェル部材の凸部の最大外径Aと、2個の前記凸部の間に形成された凹部の最小外径Bの比率B/Aが0.60〜0.95であることを特徴とする。
上記請求項3に係るランフラットタイヤ用の支持体の作用について説明する。すなわち、ランフラット走行時に、空気入りタイヤのトレッド部が路面からの荷重を受けた場合、トレッド部が幅方向に沿って内周側へ膨らむように変形し、トレッド部の中央付近が2個の凸部間(凹部内)へ入り込むような現象が生じる。このとき、シェル部材における凸部の最大外径Aと2個の凸部の間に形成された凹部の最小外径Bとの比率B/Aを0.6〜0.95にしておくことにより、トレッド部を介して路面からの荷重を受けたシェル部材には2個の凸部にそれぞれ幅方向外側への分力が作用し、この分力によりシェル部材には幅方向外側へ広がるように弾性変形が生じる。この結果、ランフラット走行時には、支持体における両端部(脚部)からリムへの圧接力が増加し、支持体のリムへの連結強度が高くなるので、支持体がリムに対してズレたり、リムから脱落することを効果的に防止できる。
また、本発明の請求項4に係るランフラットタイヤ用の支持体は、請求項1乃至3の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体において、前記補強部の肉厚をTR、肉厚が略一定とされたアルミ管のみを素材として電磁成形された仮想シェル部材の肉厚の平均値をTAとすると、前記補強部の肉厚TRを、TAよりも厚く、かつ(3×TA)よりも薄く設定したことを特徴とする。
上記請求項4に係るランフラットタイヤ用の支持体では、シェル部材におけける補強部の肉厚TRをTAよりも厚くすることにより、凸部の頂部付近を補強部の肉厚化の効果により強度増加でき、さらにシェル部材におけける補強部の肉厚TRを(3×TA)よりも薄くすることにより、補強部の肉厚化によって生じる重量増加と強度増加とのバランスを適正化することができるので、シェル部材の重量増加を抑制しつつ、ランフラット走行時におけるシェル部材の耐久性を向上できる。
また、本発明の請求項5に係るランフラットタイヤ用の支持体は、請求項1乃至4の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体において、前記シェル部材に、直径が0.5mm〜10.0mmとされた空気流通用の孔部を形成したことを特徴とする。
また請求項6に係るランフラットタイヤ用の支持体の製造方法は、請求項1乃至5の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体を製造するための製造方法であって、アルミ合金からなる円筒状のアルミ管を成形治具内に設置すると共に、該アルミ管における前記頂部に対応する部分の外周側又は内周側に補強リングを重ね合わせる第1の工程と、前記成形治具内に設置されたアルミ管及び補強リングの内周側にコイルを挿入し、該コイルに電流を通電して電磁気力をアルミ管及び補強リングに作用させ、これらのアルミ管及び補強リングを前記シェル部材に対応する形状に塑性変形させると共に、補強リングをアルミ管に圧着する第2の工程と、を有することを特徴とする。
上記請求項6に係るランフラットタイヤ用の支持体の製造方法の作用について説明する。すなわち、請求項5に係るランフラットタイヤ用の支持体の製造方法では、アルミ管及び補強リングをそれぞれ成形治具内に設置し、アルミ管及び補強リング内にコイルを挿入し、コイルに電流を通電することによって生じる電磁気力でアルミ管及び補強リングを膨出変形(電磁成形)させて、少なくとも2個の凸部を有するシェル部材を成形している。このように電磁成形でシェル部材を成形しているため、ハイドロフォーム加工等の他の加工方法と比較して成形時間が非常に短く(通常、0.1秒以下)、塑性変形時の加工硬化によって変形が阻害されるおそれがなくなる。すなわち、加工硬化の影響を受けることなく素材を変形できる超塑性変形の領域でアルミ管及び補強リングの変形が進行するので、割れ、折曲がり等を生じさせることなく、所望の形状にシェル部材を成形することができる。
また、アルミ管のみを素材として上記のような電磁成形により径方向外側へ突出する凸部を有するシェル部材を成形した場合には、変形量が大きい凸部の頂部付近が引き延ばされて、その肉厚が他の部分よりも薄くなる。このシェル部材の凸部の頂部付近は、ランフラット走行時に路面からの荷重が集中する部分であり、このシェルをランフラット走行に用いた場合には、路面からの荷重により凸部の頂部付近に凹みやクラックが生じるおそれがある。
そこで、アルミ管における頂部付近に対応する部分の外周側又は内周側に補強リングを重ね合わせた後、コイルに電流を通電して電磁気力をアルミ管及び補強リングに作用させ、これらのアルミ管及び補強リングを前記シェル部材に対応する形状に塑性変形させると共に、補強リングをアルミ管に圧着することにより、シェル部材の頂部付近には肉厚化された補強部が全周に亘って形成されるので、シェル部材における凸部の頂部付近の曲げ強度、座屈強度等の耐荷重強度を大幅に増加でき、路面からの衝撃等の荷重により凸部の頂部付近に割れ、凹み等の損傷が発生することを効果的に防止できる。
また請求項7に係るランフラットタイヤ用の支持体の製造方法は、請求項1乃至5の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体を製造するための製造方法であって、アルミ合金からなる円筒状のアルミ管を成形治具内に設置する第1の工程と、前記成形治具内に設置されたアルミ管の内周側に挿入されたコイルに電流を通電して衝撃的な加圧力をアルミ管に作用させ、該アルミ管を前記シェル部材の一部に対応する形状に塑性変形させる第2の工程と、前記成形治具内で前記シェル部材の一部に対応する形状に塑性変形したアルミ管における前記頂部付近に対応する部分の内周側に補強リングを重ね合わせる第3の工程と、前記シェル部材の内周側に重ね合わされた補強リングの内周側に挿入されたコイルに電流を通電して電磁気力を補強リングに作用させ、該補強リングを前記シェル部材の残りの一部に対応する形状に塑性変形させると共に、該補強リングを前記アルミ管に圧着する第4の工程と、を有することを特徴とする。
上記請求項7に係るランフラットタイヤ用の支持体の製造方法によれば、既に説明した請求項6に係るランフラットタイヤ用の支持体の製造方法と共通の作用及び効果が得られる。但し、請求項7に係るランフラットタイヤ用の支持体の製造方法では、電磁成形によりアルミ管をシェル部材の一部に対応する形状に塑性変形させた後、このアルミ管の内周側に重ね合わされた補強リングを電磁成形してシェル部材の残りの一部に対応する形状に塑性変形させると共に、この補強リングをアルミ管に圧着するので、アルミ管及び補強リングを同時に電磁成形する場合と比較し、小さい電磁気力により補強部を有するシェル部材を成形できるようになる。
また請求項8に係るランフラットタイヤは、一対のビードコア間にわたってトロイド状に形成されたカーカスと、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配置されてタイヤサイド部を構成するサイドゴム層と、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置されてトレッド部を構成するトレッドゴム層とを有し、リムに装着される空気入りタイヤと、前記空気入りタイヤの内側に配設され、前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられる請求項1乃至5の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体と、を有することを特徴とする。
上記請求項8に係る空気入りランフラットタイヤの作用について説明する。すなわち、空気入りタイヤの内圧低下時には、タイヤ空気室内に配設された支持体がサイドゴム層に替わってトレッド部を支持することによって、ランフラット走行が可能となる。
この際、支持体のシェル部材がアルミ合金から電磁成形によって成形され、さらに凸部の頂部付近に補強部が形成されているので、シェル部材が軽量化されるとと共に所定の形状に精度良く成形され、しかも凸部の頂部付近の強度が十分に高いものになっている。したがって、このランフラットタイヤを装着した車両の操安性や燃費の向上を実現することができ、かつ安定的かつ安全にランフラット走行を行える距離を延長できる。
以上説明したように、本発明に係る支持体によれば、十分な軽量化及び高い耐久性が実現され、かつ所定の形状に精度良く成形されたシェル部材を有する支持体を実現できる。
また、本発明に係る支持体の製造方法によれば、シェル部材を十分に軽量化すると共に、シェル部材に高い耐久性を与えることができ、しかもシェル部材を所定の形状に精度良く成形できる。
また、本発明のランフラットタイヤによれば、空気入りタイヤ内に配設される支持体におけるシェル部材が十分に軽量化されると共に、高い耐久性を備えており、しかも所定の形状に精度良く成形されているので、燃費や操安性を向上できる。
以下、本発明の実施形態に係るランフラットタイヤ用の支持体及びその製造方法並びに、この支持体を用いたランフラットタイヤについて図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る支持体および支持体の製造方法、並びに空気入りランフラットタイヤについて図1〜図4を参照して説明する。
ここで、ランフラットタイヤ10とは、図1に示されるように、リム12に空気入りタイヤ14とランフラットタイヤ用の支持体(以下、単に「支持体」という。)16を組み付けたものをいう。リム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。
ここで、標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版規定のリムであり、標準空気圧とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の最大負荷能力に対応する空気圧であり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、内圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(又は、”Approved Rim" 、”Recommended Rim")のことである。
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book "であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual"である。
空気入りタイヤ14は、図1に示されるように、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する複数(本実施形態では2枚)のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを有する。
空気入りタイヤ14の内部に配設される支持体16は全体として円環状に形成されており、図1に示されるような断面形状を有している。この支持体16には、アルミ合金製のシェル26と、シェル26の両端部それぞれに加硫成形されたゴム製の脚部28とを有する。一対の脚部28は、空気入りタイヤ14の内側に配設された支持体16を空気入りタイヤ14のリムへ組み付ける際に、それぞれリム12に組み付けられるものである。
図1に示されるように、シェル26には、径方向外側に凸となる凸部30A、30Bと、その間に形成された径方向内側に凸となる凹部30Cが形成され、さらに凸部30A、30Bの幅方向(X方向)外側に凸部30A、30Bから内周側へそれぞれ延出するサイド部30D、30Eが形成されている。サイド部30D、30Eの径方向内側の端部(リム側端部)には、略タイヤ回転軸方向に沿って外側へ延出するフランジ部30F、30Gが形成されている。またシェル26には、凸部30A,30Bにおける最も外周側に位置するピークPA,PB付近にそれぞれ補強部32A,32Bが形成されている。この補強部32A,32Bは、シェル26における他の部分よりも肉厚となっており、凸部30A,30Bの全周に亘って設けられている。補強部32A,32Bは、それぞれ凸部30A,30BのピークPA,PBを中心とし幅方向に沿って略対称的な形状を備えている。
なお、シェル26のフランジ部30F、30Gには、それぞれ肉厚方向へ貫通する通孔(図示省略)を周方向に沿って略等ピッチで複数個ずつ穿設するようにしても良い。これにより、フランジ部30F,30Gにおける脚部28との接着部の表面積を増加させると共に、通孔内に充填されたゴム材料によりアンカー効果が生じるので、脚部28とフランジ部30F,30Gとの連結強度を大幅に増加できる。
またシェル26は、強度を確保しつつ軽量化を達成するために、熱処理により高強度が得られるAl−Mg系アルミ合金(例えば、JIS呼称5000番台)、Al−Mg−Si系アルミ合金(例えば、JIS呼称6000番台)及びAl−Zn系アルミ合金(例えば、JIS呼称7000番台)の何れかを素材として形成することが望ましい。これら以外のアルミ合金(例えば、JIS呼称1100、3003)からシェル26を成形した場合には、その強度が低くく、所定の強度を確保するためにシェル26の肉厚が増加せざるを得ず、高張力鋼等を使用した場合よりも重量が増加してしまう場合があるためである。
また、シェル26は、後述するようにアルミ合金からなる薄肉円筒状のアルミ管及び補強リングを電磁成形(電磁拡管成形)することによって製造したものである。この電磁成形によれば、ハイドロフォーム等の他の加工方法と比較してシェル26の成形時間を極めて短いもの(通常、0.1秒以内)にできるので、アルミ合金の塑性変形に伴う加工硬化の影響を被ることなく、所定の形状に精度良く形成できるからである。
従って、所定のアルミ合金から電磁成形されたシェル26を含む支持体16が配設されたランフラットタイヤ10は、所定の強度が確保されると共に軽量化されるため、当該ランフラットタイヤ10を装着した車両の操安性や燃費が向上する。
続いて、本実施形態に係る支持体16の製造方法について説明する。
先ず、支持体16のシェル26を電磁成形する成形装置について説明する。図3に示されるように、成形装置50は、幅方向に沿って分割可能とされた金型52A、52Bと、分割された金型52A、52Bに後述する円筒状のアルミ管54がセットされた場合にアルミ管54を所定位置に保持する保持部材56A、56Bと、アルミ管54の内部に挿入されるコイル58とコイル58に電流を通電するための電気回路60とを備えている。この電気回路60は、所謂、衝撃大電流発生回路の等価回路として構成されており、加工に必要な電磁気力がコンデンサ70に貯えられるエネルギ(E=1/2CV2)により制御する構成となっている。
金型52A、52Bには、内周側にシェル26の形状に対応する成形面62が形成されると共に、成形面62の所定位置には成形面62から外部に連通する排気用孔部64が複数形成されている。ここで、金型52A,52Bの成形面62には、シェル26における2個の凸部30A,30Bに対応する断面半円状の凹面部62A,62Bがそれぞれ半周に亘って形成されている。
また、電気回路60は、スイッチ68、コンデンサ70及び抵抗72を備え、コンデンサ70に予め電荷をチャージしておき、スイッチ68をつなぐことによって高圧電流を瞬間的に流す構成である。
この成形装置50を用いて以下のようにしてシェル26を成形する。
先ず、成形装置50の金型52A、52Bを分割し、それらの成形面62における一対の凹面部62A,62B内にそれぞれ補強リング74を挿入した後、円筒状のアルミ管54を分割された金型52A、52Bの間に挿入する。なお、アルミ管54の下端は、保持部材56Bによって支持されている。この状態で、図4(A)に示されるように、コイル58をアルミ管54の内周側に挿入する。ここで、アルミ管54及び補強リング74は、何れも、Al−Mg系アルミ合金(例えば、JIS呼称5000番台)、Al−Mg−Si系アルミ合金(例えば、JIS呼称6000番台)及びAl−Zn系アルミ合金(例えば、JIS呼称7000番台)の何れかにより成形されている。
続いて、図4(B)に示されるように、成形装置50の保持部材56Aをスライドさせてアルミ管54の上端を押さえることにより、アルミ管54の上下端を位置決めするする。この状態で、成形装置50の回路60によってコイル58に電流を通電することによって、アルミ管54には誘導電流が流れると同時に、アルミ管54はフレミングの左手の法則に従った脈状の力(電磁気力)を受ける。この電磁気力は、アルミ管54及び補強リング74を外周側へ膨出変形させるように作用する。この電磁気力の作用によって瞬時(通常、0.1秒以下)にアルミ管54及び補強リング74が成形面62に押し付けられ、それぞれが成形面62に沿って塑性変形し、図4(C)に示されるように所定の形状に成形される。
上記のような電磁成形による塑性変形と同時に、アルミ管54におけるピークPA,PB付近に対応する部分と2個の補強リング74との間に衝撃的な加圧力が加えられる。これにより、2個の補強リング74の内周面とアルミ管54の外周面とが接した界面では金属原子が相互に拡散する現象が生じ、2個の補強リング74がそれぞれアルミ管54におけるピークPA,PB付近に対応する部分に圧接接合され、2個の補強リング74がアルミ管54と実質的に一体化され、アルミ管54における凸部30A,30BのピークPA,PB付近に対応する部分にそれぞれ肉厚化された補強部32A,32Bを形成する。
また、上記のような電磁成形によるアルミ管54及び補強リング74の塑性変形時には、アルミ管54と金型52A、52Bの成形面62の間に介在する空気は、アルミ管54の変形が瞬時であるため両者の隙間から外部に排出されることは困難であるが、金型52A、52Bに形成された排気用孔部64から外部にスムーズに排出される。したがって、電磁成形時にアルミ管54と成形面62との間に空気が残留してシェル26の成形が阻害されることを回避できる。さらに、このように得られたシェル26は、アルミ管54及び補強リング74を素材として電磁成形で瞬時にシェル26が成形完了するため、アルミ合金に通常の塑性変形に伴う加工硬化が生ずる前に変形が完了する。したがって、当該アルミ合金の成形性が向上して所定の形状に精度良く成形することができる。
本実施形態に係る支持体16において、従来のランフラットタイヤ用の支持体と異なるのは、図9に示されるように、シェル26における凸部30A,30BのピークPA,PB付近にそれぞれ肉厚化された補強部32A,32Bが設けられている点である。
このように、シェル26における凸部30A,30Bにそれぞれ補強部32A,32Bを設けるのは、次の理由による。すなわち、支持体16のシェル26として2個の凸部30A,30Bが形成されたものを用い、この支持体16を空気入りタイヤ10の内部に配設し、この空気入りタイヤ10でランフラット走行した場合には、凸部30A,30Bがそれぞれトレッドと当接しつつランフラット走行が行われる。したがって、凸部30A,30Bを2個設けることにより、路面からの荷重が2点へ分散してシェル26に作用するので、ランフラット走行時におけるシェル26の1点への荷重集中を避けてシェル26に対する荷重負荷を軽減できる。
但し、ランフラット走行時には、シェル26における最も外周側に位置するピークPA,PB付近に走行時に路面からの荷重が集中することから、シェル26ではピークPA,PB付近が割れや凹み等の損傷が発生し易い部分となり、このピークPA,PBの強度がシェル26の耐久性に大きな影響を与える。
一方、電磁成形(電磁拡管成形)により凸部30A,30Bを有するシェル26をアルミ管54のみから成形した場合には、変形量が大きい凸部30A,30BのピークPA,PB付近が幅方向及び周方向へ引き延ばされて、その肉厚が他の部分よりも薄くなる。
そこで、本実施形態のシェル26には、図1及び図2に示されるように、凸部30A,30BのピークPA,PB付近に周方向に沿って全周に亘って延在する補強部32A,32Bがそれぞれ設けられている。これにより、シェル26における凸部30A,30BのピークPA,PB付近における曲げ強度、座屈強度等の耐荷重強度を十分に向上できるので、路面からの衝撃等の荷重により凸部30A,30BのピークPA,PB付近に割れ、凹み等の損傷が発生することを効果的に防止できる。
ここで、シェル26における凸部30A,30Bでは、それぞれピークPA,PBから幅方向に沿って左右10mm幅以上の領域(全幅で20mm以上の領域)が補強部32A,32Bとされている。これは、ランフラット走行時に路面からの荷重の大部分がピークPA,PBから幅方向に沿って左右10mm幅の領域内に入力することを考慮したものである。
またシェル26は、その肉厚が電磁成形時の加工量(変形量)に応じて厚い部分と薄い部分とが形成されるが7mm以下となるように設定される。これは、シェル26の肉厚を7mm以上とすると、高張力鋼等の他の素材から成形した場合よりも重量が増加することがあり、軽量化のためにアルミ合金を素材とする意義が無くなるためである。
またシェル26における補強部32A,32Bの肉厚TR(図1参照)は、次のようにして設定される。肉厚が一定とされたアルミ管54のみを素材として電磁成形された仮想シェルの肉厚の平均値をTAとすると、補強部32A,32Bの肉厚TRは、TAよりも厚く、かつ(2×TA)よりも薄くなるように設定される。このようにシェル26におけける補強部32A,32Bの肉厚TRをTAよりも厚くすることにより、凸部30A,30BのピークPA,PB付近を補強部の肉厚化の効果により強度増加でき、さらにシェル26におけける補強部32A,32Bの肉厚TRを(3×TA)よりも薄くすることにより、補強部32A,32Bの肉厚化によって生じる重量増加と強度増加とのバランスを適正化することができるので、シェル26の重量増加を抑制しつつ、ランフラット走行時におけるシェル26の耐久性を向上できる。
また本実施形態に係る支持体16のシェル26では、シェル26の凸部30A、30Bの最大外径(直径)Aと、凹部30Cの最小外径(直径)Bとの比(B/A)を、0.60〜0.95の範囲に設定されている。これにより、本実施形態に係る空気入りタイヤ14を用いたランフラット走行時に、空気入りタイヤ14のトレッド部24が路面からの荷重を受けた場合、トレッド部24が幅方向に沿って内周側へ膨らむように変形し、トレッド部24の中央付近が2個の凸部30A,30B間(凹部30C内)へ入り込むような現象が生じる。このとき、シェル26の凸部30A、30Bの最大外径(直径)Aと、凹部30Cの最小外径(直径)Bとの比(B/A)が、0.60〜0.95の範囲に設定されていれば、トレッド部24を介して路面からの荷重を受けたシェル26には2個の凸部30A,30Bにそれぞれ幅方向外側への分力が作用し、この分力により支持体16には幅方向外側へ広がるように弾性変形が生じる。この結果、ランフラット走行時には、支持体16における一対の脚部28のリム12への圧接力が増加し、支持体16のリムへの連結強度が高くなるので、支持体16がリム12に対して幅方向又は周方向へズレたり、リム12から脱落することを確実に防止できる。
また、以上説明した本実施形態に係るランフラットタイヤ用の支持体16の製造方法では、アルミ管54及び補強リング74を金型56A,56B内に設置し、アルミ管54及び補強リング74内にコイル58をそれぞれ挿入し、コイル58に電流を通電することによって生じる電磁気力でアルミ管54及び補強リング74を膨出変形(電磁成形)させて、2個の凸部30A,30Bを有するシェル26を成形している。このように電磁成形でシェル26を成形しているため、ハイドロフォーム加工等の他の加工方法と比較して成形時間が非常に短く(通常、0.1秒以下)、塑性変形時の加工硬化によって変形が阻害されるおそれがなくなる。すなわち、加工硬化の影響を受けることなく素材を変形できる超塑性変形の領域でアルミ管54及び補強リング74の変形が進行するので、割れ、折曲がり等を生じさせることなく、所望の形状に精度良くシェル26を成形することができる。
また、アルミ管54のみを素材として上記のような電磁成形により径方向外側へ突出する凸部を有するシェル部材を成形した場合には、変形量が大きい凸部の頂部付近が引き延ばされて、その肉厚が他の部分よりも薄くなる。このシェル部材の凸部の頂部付近は、ランフラット走行時に路面からの荷重が集中する部分であり、このシェルをランフラット走行に用いた場合には、路面からの荷重により凸部の頂部付近に凹みやクラックが生じるおそれがある。
そこで、本実施形態に係る支持体の製造方法では、アルミ管54における頂部付近に対応する部分の外周側に補強リング74を重ね合わせた後、コイルに電流を通電して電磁気力をアルミ管54及び補強リング74に作用させ、これらのアルミ管54及び補強リング74をシェル26に対応する形状に塑性変形させると共に、補強リング74をアルミ管54に圧着することにより、シェル26のピークPA,PB付近に肉厚化された補強部32A,32Bを全周に亘って形成している。これにより、シェル26における凸部30A,30BのピークPA,PB付近の曲げ強度、座屈強度等の耐荷重強度を大幅に増加でき、路面からの衝撃等の荷重により凸部30A,30BのピークPA,PB付近に割れ、凹み等の損傷が発生することを効果的に防止できる。
なお、本実施形態に係るシェル26には、図5に示されるように、空気入りタイヤ10内で空気を流通させるための孔部64を穿設するようにしても良い。この孔部78は、凸部30A,30Bにおける補強部32A,32Bの周辺部に形成され、周方向へは略一定のピッチで配列されるように直線状又は千鳥状に配置される。
このように、シェル26に孔部78を形成するのは、主として次の理由による。すなわち、図5に示されるように、空気入りタイヤ14の内部の空気室は、支持体16によって径方向外側の空気室34Aと径方向内側の空気室34Bに分割される。したがって、孔部78が存在しない場合には、トレッド部24を介して路面から伝わる衝撃の緩衝作用を果たす空気室の空気量が空気室34Aの分だけとなり、車両の乗り心地が低下する。また、支持体16のない(通常の)空気入りタイヤでは走行時に温度上昇した空気室の空気が金属製のリム12と接触することによって冷却され、所定の温度範囲内に制御される。しかし、空気入りタイヤ14の内側に支持体16が配設されたランフラットタイヤ10では、径方向外側の空気室34Aの空気はリム12と接触しないため良好に冷却されず、当該空気の温度上昇によってタイヤの寿命が低下するおそれがあった。
しかしながら、シェル26に孔部78が形成されることによって、空気室34Aと空気室34Bが連通され、上記緩衝作用と冷却作用が良好に作用する。
また、このような孔部78の直径は、0.5mm〜10.0mmの範囲で設定することが好ましく、0.5mm〜4.0mmの範囲内で設定することがより好ましい。これは、孔部の直径32を0.5mm以上とすることによって、空気室34Aと空気室34Bの空気の流通性を確保して上述の作用を良好にすると共に、10.0mm以下とすることによって孔部の形成によるシェル26の強度不足を回避したものである。
上記のような孔部78を形成するには、例えば、図6に示されるように、金型52A、52Bの成形面62上の排気用孔部64が開口している位置に、パイプ状に形成されると共に、その先端部が刃先とされ内周側に孔部64に連通するベント孔が設けられた打抜刃66を取り付けておき、この金型52A,52B内へアルミ管54及び補強リング74を挿入し、シェル26の電磁成形を行なう。
この際、電磁成形によって成形面62に突き当てられるアルミ管54を、成形面62に配置された打抜刃66の刃先が突き破り(パンチングを行ない)、シェル26に孔部78を形成することができる。すなわち、シェル26の成形と孔部78の形成を同時に行なうことができ、支持体16の製造効率が向上する。
なお、本実施形態では、アルミ管54からシェル26を電磁成形する際に、孔部64を同時にシェル26に穿設しているが、この孔部78については、アルミ管54及び補強リング74からシェル26を電磁成形した後、パンチング加工、ドリル加工、レーザ加工等によりシェル26に穿設するようにしても良く、また所定の部位に予め孔部78が穿設されたアルミ管54を素材としてシェル26を電磁成形するようにしても良い。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る支持体及び支持体の製造方法について図7〜図11を参照して説明する。なお、第1実施形態と共通の部分には同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
第2の実施形態に係る支持体116において、第1の実施形態と異なるのは、図7及び図8に示されるように、シェル126における補強部132A,132Bがアルミ管54の外周面に補強リング74が圧着されて形成されている点である。すなわち、第1の実施形態に係るシェル26では、その補強部32A,32Bがアルミ管54の外周面に補強リング74が圧着されて外周側に突出するように形成されているが、第1の実施形態に係るシェル126では、その補強部132A,132Bがアルミ管54の内周面に補強リング174が圧着されて内周側に突出するように形成されている。この点以外については、第2の実施形態に係るシェル126の構成は、第1の実施形態に係るシェル26と共通化されており、シェル126自体の肉厚及び補強部132A,132Bの肉厚についても、基本的に第1の実施形態に係るシェル26の肉厚及び補強部32A,32Bの肉厚TRと同一に設定されている。
続いて、本実施形態に係る支持体116の製造方法について説明する。
先ず、支持体116のシェル126を電磁成形する成形装置について説明する。図9に示されるように、本実施形態に係るシェル126は、第1の実施形態に係るシェル26と共通の構造を有する成形装置50により成形可能とされている。
成形装置50を用いて以下のようにしてシェル126を成形する。
先ず、成形装置50の金型52A、52Bを分割し、これらの金型52A,52B間に円筒状のアルミ管54を挿入する。なお、アルミ管54の下端は、保持部材56Bによって支持されている。この状態で、図9(A)に示されるように、コイル58をアルミ管54の内部に挿入する。ここで、アルミ管は、Al−Mg系アルミ合金(例えば、JIS呼称5000番台)、Al−Mg−Si系アルミ合金(例えば、JIS呼称6000番台)及びAl−Zn系アルミ合金(例えば、JIS呼称7000番台)の何れかにより成形されている。
続いて、図9(B)に示されるように、成形装置50の保持部材56Aをスライドさせてアルミ管54の上端を押さえることにより、アルミ管54の上下端を位置決めするする。この状態で、成形装置50の回路60(図3参照)によってコイル58に電流を通電することによって、アルミ管54には誘導電流が流れると同時に、アルミ管54はフレミングの左手の法則に従った脈状の力(電磁気力)を受ける。この電磁気力は、アルミ管54を外周側へ膨出変形させるように作用する。この電磁気力の作用によって瞬時(通常、0.1秒以下)にアルミ管54が成形面62に押し付けられ、成形面62に沿って塑性変形し、図9(B)に示されるようにシェル126の形状に対応する所定の形状に成形される。
アルミ管54に対する電磁成形の完了後に、コイル58を一旦金型52A,52B内から引き抜いた後、2個の補強リング174を金型52A,52Bにおける凹面部62A,62B内へ挿入し、図9(C)に示されるように、2個の補強リング174をアルミ管54における凸部30A,30BのピークPA,PB付近に対応する部分に内周側から重ね合わせる。この状態で、コイル58をアルミ管54及び補強リング174の内周側に再び挿入する。ここで、補強リング174も、アルミ管54と同様に、Al−Mg系アルミ合金(例えば、JIS呼称5000番台)、Al−Mg−Si系アルミ合金(例えば、JIS呼称6000番台)及びAl−Zn系アルミ合金(例えば、JIS呼称7000番台)の何れかにより成形されている。
続いて、成形装置50の回路60(図3参照)によってコイル58に電流を通電することによって、2個の補強リング174には、それぞれ誘導電流が流れると同時に、補強リング174はフレミングの左手の法則に従った脈状の力(電磁気力)を受ける。この電磁気力は、補強リング174を外周側へ膨出変形させるように作用する。この電磁気力の作用によって瞬時(通常、0.1秒以下)に補強リング174が、シェル126に対応する形状に成形されているアルミ管54の内周面に押し付けられ、アルミ管54における凸部30A,30BのピークPA,PB付近に対応する部分に沿って塑性変形し、図10(D)に示されるようにシェル126における補強部132A,132Bの形状に対応する所定の形状に成形される。この電磁成形と同時に、アルミ管54と2個の補強リング174との間に衝撃的な加圧力が加えられる。これにより、2個の補強リング174の外周面とアルミ管54の内周面とが接した界面では金属原子が相互に拡散する現象が生じ、2個の補強リング174がそれぞれアルミ管54におけるピークPA,PB付近に対応する部分に内周側から圧接接合され、2個の補強リング174がアルミ管54と実質的に一体化され、アルミ管54における凸部30A,30BのピークPA,PB付近に対応する部分にそれぞれ肉厚化された補強部32A,32Bが形成され、シェル126が成形完了する。
本実施形態に係るシェル126を用いた支持体116によっても、シェル26における凸部30A,30BのピークPA,PB付近に補強部132A,132Bを形成することにより、第1の実施形態に係る支持体16と同様に、ピークPA,PB付近の曲げ強度、座屈強度等の耐荷重強度を十分に向上できるので、路面からの衝撃等の荷重により凸部30A,30BのピークPA,PB付近に割れ、凹み等の損傷が発生することを効果的に防止できる、という効果を得られる。
また、以上説明した本実施形態に係るランフラットタイヤ用の支持体116の製造方法によれば、第1の実施形態に係るシェル26の製造方法と比較し、電磁成形によりアルミ管54をシェル126の一部に対応する形状に塑性変形させた後、このアルミ管54の内周側に重ね合わされた補強リング174を電磁成形してシェル126の残りの一部に対応する形状に塑性変形させると共に、補強リング174をアルミ管54に圧着するので、アルミ管54及び補強リング174を同時に電磁成形する場合と比較し、小さい電磁気力により補強部132A,132Bを有するシェル126を成形できるようになる。
なお、本実施形態の支持体116のシェル126にも、第1実施形態のシェル26と同様に、空気入りタイヤ10内で空気を流通させるための孔部を穿設しても良い。このような孔部は、第1の実施形態と同様に、アルミ管54を素材とする電磁成形時に金型の成形面に形成された突起物の刃によりパンチングして穿設しても良く、また電磁成形完了後に、パンチング、ドリル加工、レーザ加工等によりシェル126に孔部を穿設するようにしても良い。
上記第1及び第2の実施形態に係る支持体及びその製造方法の作用を確認するために、以下に示す実施例に係る支持体(以下、単に実施例という。)と比較例に係る支持体(以下、単に比較例という。)の比較試験(評価試験)を行った。
比較例では、JIS6061のアルミ合金(Al−Mg−Si系アルミ合金)からなるアルミ管(直径400mm、高さ200mm、厚さ2.5mm)を、成形素材としてシェルを電磁成形し、このシェルに対して焼入れ処理及びT6処理を施した後に、ゴム製の脚部を加硫接着することにより支持体を製造した。この比較例のシェルでは、フランジ部の先端付近が最も肉厚が厚い肉厚部(厚さ=約2.5mm)となり、2個の凸部のピーク付近が最も肉厚が薄い薄肉部(厚さ=約1.7mm)となった。
一方、実施例では、JIS6061のアルミ合金(Al−Mg−Si系アルミ合金)からなるアルミ管(直径400mm、高さ200mm、厚さ2.5mm)及び補強リング(厚さ1.0mm、幅20mm)を、成形素材としてシェルを電磁成形し、このシェルに対して焼入れ処理及びT6処理を施した後に、ゴム製の脚部を加硫接着することにより支持体を製造した。この実施例のシェルでは、2個の凸部のピーク付近にそれぞれ補強リングが固着されて補強部が形成されており、この補強部及びフランジ部の先端付近がそれぞれ最も肉厚が厚い肉厚部(厚さ=約2.5mm)となった。
比較試験の結果を下記表1に示す。
Figure 2005153605
本発明の第1の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 図1に示されるシェルの部分斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る支持体の成形装置の構成を示す側面断面図である。 (A)、(B)及び(C)は、本発明の第1実施形態に係るシェルの製造工程を説明するめの説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図であり、シェルに孔部を形成した場合を示している。 本発明の第1の実施形態に係る支持体の成形装置の構成を示す側面断面図であり、成形面に打抜刃を設置した場合を示している。 本発明の第2の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。 図7に示されるシェルの部分斜視図である。 (A)、(B)及び(C)は、本発明の第2実施形態に係るシェルの製造工程を説明するめの説明図である。 (D)は本発明の第2実施形態に係るシェルの製造工程を説明するめの説明図である。
符号の説明
10 ランフラットタイヤ
12 リム
14 空気入りタイヤ
16 支持体
18 ビード部
20 カーカス
24 トレッド部
26 シェル(シェル部材)
28 脚部
32A,32B 補強部
50 成形装置
52A,52B 金型(成形治具)
54 アルミ管
58 コイル
62 成形面
74 補強リング
116 支持体
126 シェル(シェル部材)
174 補強リング
132A,132B 補強部

Claims (8)

  1. 空気入りタイヤの内部に配設され、該空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体であって、
    径方向断面において径方向外側にそれぞれ突出する少なくとも2個の凸部が形成されると共に、前記凸部の頂部付近に全周に亘って肉厚化された補強部が設けられ、リムの外周側に装着される環状のシェル部材を有し、
    前記シェル部材は、アルミ合金からなる円筒状のアルミ管及び、該アルミ管における前記頂部に対応する部分に重ね合わされたアルミ合金からなる補強リングをそれぞれ電磁成形により前記シェル部材に対応する形状へ塑性変形させると共に、電磁成形により生じた加圧力により補強リングをアルミ管に圧着して前記補強部を形成し、成形されたことを特徴とするランフラットタイヤ用の支持体。
  2. 前記シェル部材は、Al−Mg系アルミ合金、Al−Mg−Si系アルミ合金及びAl−Zn系アルミ合金の何れかを素材として成形されたことを特徴とする請求項1記載のランフラットタイヤ用の支持体。
  3. 前記シェル部材の凸部の最大外径Aと、2個の前記凸部の間に形成された凹部の最小外径Bの比率B/Aが0.60〜0.95であることを特徴とする請求項1又は2記載のランフラットタイヤ用の支持体。
  4. 前記補強部の肉厚をTR、肉厚が略一定とされたアルミ管のみを素材として電磁成形された仮想シェル部材の肉厚の平均値をTAとすると、
    前記補強部の肉厚TRを、TAよりも厚く、かつ(3×TA)よりも薄く設定したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体。
  5. 前記シェル部材に、直径が0.5mm〜10.0mmとされた空気流通用の孔部を形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体を製造するための製造方法であって、
    アルミ合金からなる円筒状のアルミ管を成形治具内に設置すると共に、該アルミ管における前記頂部付近に対応する部分の外周側又は内周側に補強リングを重ね合わせる第1の工程と、
    前記成形治具内に設置されたアルミ管及び補強リングの内周側にコイルを挿入し、該コイルに電流を通電して電磁気力をアルミ管及び補強リングに作用させ、これらのアルミ管及び補強リングを前記シェル部材に対応する形状に塑性変形させると共に、補強リングをアルミ管に圧着する第2の工程と、
    を有することを特徴とするランフラットタイヤ用の支持体の製造方法。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体を製造するための製造方法であって、
    アルミ合金からなる円筒状のアルミ管を成形治具内に設置する第1の工程と、
    前記成形治具内に設置されたアルミ管の内周側に挿入されたコイルに電流を通電して衝撃的な加圧力をアルミ管に作用させ、該アルミ管を前記シェル部材の一部に対応する形状に塑性変形させる第2の工程と、
    前記成形治具内で前記シェル部材の一部に対応する形状に塑性変形したアルミ管における前記頂部付近に対応する部分の内周側に補強リングを重ね合わせる第3の工程と、
    前記シェル部材の内周側に重ね合わされた補強リングの内周側に挿入されたコイルに電流を通電して電磁気力を補強リングに作用させ、該補強リングを前記シェル部材の残りの一部に対応する形状に塑性変形させると共に、該補強リングを前記アルミ管に圧着する第4の工程と、
    を有することを特徴とするランフラットタイヤ用の支持体の製造方法。
  8. 一対のビードコア間にわたってトロイド状に形成されたカーカスと、
    前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配置されてタイヤサイド部を構成するサイドゴム層と、
    前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置されてトレッド部を構成するトレッドゴム層とを有し、リムに装着される空気入りタイヤと、
    前記空気入りタイヤの内側に配設され、前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられる請求項1乃至5の何れか1項記載のランフラットタイヤ用の支持体と、
    を有することを特徴とするランフラットタイヤ。
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