JP2005153393A - 液滴吐出装置、電気光学装置、液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法および電子機器 - Google Patents

液滴吐出装置、電気光学装置、液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 インクジェット法を用いて、高精細に液滴を塗布できる液滴吐出装置、液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置および電子機器を提供する。
【解決手段】 直線上にピッチd1で配置された複数のノズル27a,27bからなるノズル(穴)列が複数列設けられているインクジェットヘッド22aを有し、ノズル列同士は、平行に配置され、ピッチd1の値を該ノズル列の列数で割った値のノズル列ズレ値d2だけノズル列方向にずれて配置され、複数のインクジェットヘッド22a,22bが一組のヘッドAとして保持され、一組のヘッドAの各インクジェットヘッド22a,22bのノズル列が平行に保持され、各インクジェットヘッド22a,22bがヘッドズレ値d3だけノズル列方向にずれて保持され、ヘッドズレ値d3はノズル列ズレ値d2を一組のヘッドAの数で割った値である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液滴吐出装置、電気光学装置、液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法および電子機器に関するものである。
近年、携帯電話機、携帯型コンピュータなどといった電子機器の表示部に液晶装置、エレクトロルミネッセンス装置(以下EL(electoroluminescence)装置という)などといった電気光学装置である表示装置が広く用いられている。また、最近では、表示装置によってフルカラー表示することが多くなっている。従来、カラーフィルタのR、G、Bなどの各色のフィルタエレメントをパターニングする場合、又はEL装置のR、G、Bなどの各色の画素ピクセルをパターニングする場合、フォトリソグラフィー法を用いることが知られている。しかしながら、このフォトリソグラフィー法を用いる場合には、工程が複雑であること、および、各色の材料あるいはフォトレジストなどを多量に消費することなどにより、製造コストが高くなるなどといった問題がある。
この問題を解決するために、インクジェット法によってフィルタエレメント材料およびEL発光材料などの液滴をドット状に吐出することにより、画素パターンなどをなすドット状配列のフィラメントおよびEL発光層などを形成する方法が提案されている。インクジェット法を実行する液滴吐出装置としては、1つのヘッドに、複数のインクジェットノズルの孔(以下、単にノズルという)を直線上に所定間隔(ピッチ)で配置したノズル列を有するものがある。また、ノズル列の方向がヘッドの走査方向に対して斜めとなるようにヘッドの向きを設定している液滴吐出装置が考え出されている。このようにすると、ノズル間のピッチを狭めることなく、各液滴間の吐出位置を狭くすることができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−159786号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている液滴吐出装置では、異なる画素ピッチを持った複数種類の基板に液状体を塗布するとき、走査時のヘッドの向き、すなわち走査方向に対するノズル列の方向を調整する必要がある。このため、特許文献1記載の液滴吐出装置は、そのヘッドの向き合わせるためのヘッド保持機構が必要となり、汎用性が低く、ヘッド調整のための手間が必要になるという問題点があった。
また、上記特許文献1記載の液滴吐出装置における1つのヘッドに2列のノズル列を平行に設け、各ノズル列をノズル間ピッチの半分(1/2ピッチ)だけずらして保持することにより、ノズル間ピッチを狭めずに、各液滴間の吐出位置(着弾位置)を狭くしようとする考えがある。しかし、このようにすると、走査時において、一方のノズル列にある各ノズルの軌跡が他方のノズル列にある各ノズルの軌跡に重なってしまい、各液滴間の吐出位置は狭くならない。すなわち、一方のノズル列が無駄となってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、インクジェット法を用いて液状体を塗布するものであって、高精細に液滴を塗布することができる液滴吐出装置、液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法、並びに、これらによって製造された電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、高精細に液滴を塗布することができ、かつ、簡便に液滴吐出機構を製造することができる液滴吐出装置、液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法、並びに、これらによって製造された電気光学装置および電子機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の液滴吐出装置は、直線上に所定ピッチで配置された複数のノズルからなるノズル(穴)列が複数列設けられているヘッドを有し、前記ノズル列同士は、互いに平行に配置されているとともに、前記所定ピッチの値を該ノズル列の列数で割った値であるノズル列ズレ値だけノズル列方向にずれて配置されており、複数の前記ヘッドを一組として保持するヘッド保持手段を有し、前記ヘッド保持手段は、前記一組のヘッドにおける各ヘッドの前記ノズル列が互いに平行になるように該各ヘッドを保持するとともに、該各ヘッド相互が所定のヘッドズレ値だけ前記ノズル列方向にずれているように該各ヘッドを保持しており、前記ヘッドズレ値は、前記ノズル列ズレ値を前記一組のヘッドの数で割った値であることを特徴とする。
本発明によれば、ヘッド保持手段が複数のヘッド(インクジェットヘッド)についてヘッドズレ値だけノズル列方向にずらして保持しているので、ノズルのピッチ(間隔)を狭めずに、各液滴の吐出位置を狭めることができ、吐出精細度を向上させることができる。例えば、ノズルの間隔である前記所定ピッチを1ピッチとして、ノズル列を2列として、2つのヘッドを前記一組のヘッドとする。すると、ノズル列ズレ値は1/2ピッチとなり、ヘッドズレ値は1/4ピッチとなる。そして、ヘッド保持手段をノズル列方向に対して直角方向に移動させると、各ヘッドの各ノズルの位置がなす軌跡は相互に平行線となりその間隔は1/4ピッチとなる。そこで、各ヘッドのノズルの間隔が1ピッチでありながら、複数のヘッドのノズル全体としては各ノズルから1/4ピッチで液滴を吐出することができ、吐出精細度を向上させることができる。
ここで、1つのヘッドにおいてノズルの間隔であるノズルピッチを狭める加工は困難な加工となる。一方、複数のヘッドを微小位置だけずらして保持するという構造は比較的容易に製造することができる。そこで、本発明によれば、簡易に製造することができながら吐出精細度が高い液滴吐出装置を提供することができる。
また本発明の液滴吐出装置は、走査方向に対してヘッドのノズル列の方向をほぼ直角に交わるように配置すればよく、そのヘッドのノズル列の方向を走査方向に対して斜めに傾ける必要がない。したがって、本発明の液滴吐出装置は、各種形状の塗布領域に対してヘッドの角度を調整することなく対応することができ、取扱い易く汎用性の高いものとすることができる。また、1つのヘッドに複数のノズル列を設け、そのヘッドのノズル列の方向を走査方向に対して斜めに傾けて走査すると、ある傾け角度によっては一方のノズル列のノズル軌跡が他方のノズル列のノズル軌跡に重なってしまい、吐出された液滴のピッチは狭くならない。またそれ以外の角度においては、一方のノズル列のノズル軌跡が他方のノズル列のノズル軌跡とずれてしまい、一方のノズル列が無駄になってしまう。本発明によれば、各ヘッドを微小にずらして保持しているので、無駄となるノズル列が無くなり、高精細に液状体を描画することができる。
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ヘッド保持手段又は吐出対象基板を、前記ノズル列方向に対してほぼ直角に交差する方向に移動させる走査手段を有することが好ましい。
本発明によれば、走査手段によって各ヘッド又は吐出対象基板が走査されると、その走査方向と各ヘッドのノズル列の方向とが直角に交わることとなる。すると、各ヘッドの各ノズルの位置が吐出対象基板面に対してなす軌跡は相互に平行線となり、その間隔はノズルピッチをノズル列数で割った値(ノズルズレ値)を、さらにヘッドの数で割った値(ヘッドズレ値)となる。したがって、各ノズルがなす上記軌跡の間隔はノズルピッチよりも大幅に小さくなるので、本発明の液滴吐出装置は、ノズルピッチを狭める構成とすることなく、高精細に液状体を塗布することができる。
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ヘッド保持手段が前記一組のヘッドを複数組保持していることが好ましい。
本発明によれば、例えば複数組のヘッドを平行に並べてヘッド保持手段が保持することにより、ヘッド保持手段又は吐出対象基板の1回の走査で塗布される描画面積を拡大することができる。
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ヘッド保持手段が、前記複数組のヘッドそれぞれのノズル列同士が互いに平行となるように、該複数組のヘッドを保持していることが好ましい。
本発明によれば、各組のヘッドがなす液滴吐出間隔を所定の一定値に合わせることができ、複数組のヘッド全体により、一定の塗布ピッチ(各ノズルから吐出された液滴の着弾位置の間隔)で高精細に液状体を塗布することができる。
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ヘッド保持手段が、直線上に所定間隔で配置された前記一組のヘッドの列が複数列となるように、前記複数組のヘッドを保持しているとともに、前記走査手段が前記ヘッド保持手段又は吐出対象基板を移動させたときに、前記吐出対象基板に対する各ヘッドのノズルの位置がなす複数の軌跡が、互いに同一間隔の平行線となるように、該複数組のヘッドを保持していることが好ましい。
例えば、各ヘッドの外縁部が大きく、各ヘッドを1本の直線上に配置した場合に、あるヘッドの右端ノズルと、その右隣のヘッドの左端ノズルとの間隔が1ピッチ以上となる場合がある。本発明によれば、直線上に所定間隔で配置された一組のヘッドの列が複数列となるように配置しているので、上記のように各ヘッドの外縁部が大きくても、複数組のヘッド全体の塗布ピッチを一定にすることができる。したがって、本発明によれば、1回の走査で塗布される描画面積を拡大でき、かつ、一定の塗布ピッチで高精細に塗布することができる。
また、本発明の液滴吐出装置は、前記一つのヘッドにおいて、隣り合うノズルから吐出された液滴同士が前記吐出対象基板に着弾した後に、該着弾した液滴同士の一部が重なるように、少なくとも前記所定ピッチが設定されていることが好ましい。
本発明によれば、高精細な塗布ピッチとすることができ、隣り合うノズルによってほぼ同時に吐出されて着弾した液滴の一部同士が重なるように塗布することができる。このようにして1つの塗布領域に対して複数の液滴をほぼ同時に着弾させると、各着弾した液滴(液状体)が隣に着弾した液滴(液状体)に引き寄せられて、所望位置に正確に液状体を塗布できないという現象を回避でき、塗布領域全体について均一膜厚となるように偏りなく塗布することができる。すなわち、従来のように、1つの塗布領域に対して、第1液滴を着弾させ、その次の走査で第2液滴を着弾させて、第1液滴の一部と第2液滴の一部とが重なるようにすると、第2液滴は第1液滴に引き寄せられてしまう。これにより、膜厚および膜形状に偏りが生じてしまい、塗布位置が変動してしまうことともなる。本発明によれば、このような現象を回避することができ、正確にかつ高精細に、所望の塗布領域に対して所望の膜厚で液状体を塗布することができる。従来、上記現象を回避するために第1液滴が固形化した後に第2液滴を塗布する手法、すなわち、1つの塗布領域について複数回ヘッドを走査させる手法があった。本発明によれば、その走査回数を大幅に低減させることができ、迅速に高精細でかつ精密な塗布をすることができる。
本発明の電気光学装置は、前記液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、有機EL装置、プラズマディスプレイ装置、液晶装置などの電気光学装置を前記液滴吐出装置を用いて製造することにより、高精細で高品質な画像を表示することができる電気光学装置を安価に提供することができる。例えば、有機EL装置の構成要素となる発光材料および正孔輸送材料、並びにカラーフィルタなどを高精細な画素パターンをなすように塗布することができる。
また、本発明の電子機器は、前記電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、高精細で高品質な画像を表示することができる電子機器を安価に提供することができる。
上記目的を達成するために、本発明の液滴吐出方法は、前記液滴吐出装置を用いて、吐出対象基板に液滴を吐出することを特徴とする。
本発明によれば、高精細に液状体を塗布することができるので、微小な画素領域などの所望領域内の全体に、精密に液状体を塗布することができる。
また、本発明の液滴吐出方法は、1つの塗布領域に対して、複数の前記ノズルからほぼ同時に液滴を吐出させる処理を有することが好ましい。
本発明によれば、高精細に液状体を塗布することができるので、画素などの微小な1つの塗布領域に対して同時に複数の液滴を吐出することができ、迅速に、高精細でかつ精密な塗布をすることができる。
また、本発明の液滴吐出方法は、前記同時に液滴を吐出させる処理について、同時に吐出された複数の液滴が前記塗布領域に着弾した後に、隣り合う液滴同士の一部が重なるように行うことが好ましい。
本発明によれば、着弾して隣り合う液滴の一部同士が重なっても、ある液滴が隣の液滴に引き寄せられ、塗布領域が偏る、又は、膜厚が偏よるという現象を回避することができる。すなわち、時間差をもって隣り合う液滴の一部が重なると、後に塗布された液滴が先に塗布された液滴の方に引き寄せられてしまう。本発明はこの現象を回避することができる。したがって本発明によれば、迅速に、高精細でかつ精密な塗布をすることができる。
また、本発明の液滴吐出方法は、前記吐出対象基板に液滴を吐出するときに、前記ヘッド保持手段又は吐出対象基板の移動軌跡が前記ノズル列方向に対してほぼ直角に交差するように、該ヘッド保持手段又は吐出対象基板を走査させることが好ましい。
本発明によれば、ヘッドの走査方向とノズル列の方向とが直角に交わることとなるので、その走査により、各ヘッドの各ノズル位置がなす軌跡は相互に平行線となる。そして、各平行線の間隔は、ノズルピッチよりも大幅に小さくなる。したがって、本発明によればノズルピッチの狭いヘッドを用いることなく、高精細に液状体を塗布することができる。
また、本発明の液滴吐出方法は、塗布領域が長手形状(長方形状)である場合において、前記塗布領域の短軸方向と前記ノズル列の方向とがほぼ直角に交差するように、前記ヘッド保持手段又は吐出対象基板を走査させて、前記同時に液滴を吐出させる処理をすることが好ましい。
本発明によれば、塗布領域の長軸方向とノズル列方向とを一致するように、ヘッドなどを走査させるので、その塗布領域に対して、複数のノズルにより複数の液滴を1回走査で同時に着弾させることができる。そこで、本発明によれば、長方形状の画素領域などについて、迅速に、高精細かつ均一に液状体を塗布することができる。
本発明の電気光学装置の製造方法は、前記液滴吐出方法を用いて電気光学装置を製造することを特徴とする。
本発明によれば、高精細で高品質な画像を表示することができる電気光学装置を迅速にかつ簡便に製造することができる。
以下、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置、液滴吐出方法、電気光学装置の製造方法、並びに、これらによって製造された電気光学装置および電子機器について、図面を参照して説明する。
(液滴吐出装置の全体構成)
図5は本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の全体構成を示す斜視図である。図6は図5に示す液滴吐出装置16の主要部についての拡大斜視図である。液滴吐出装置16は、ヘッドユニット26と、ヘッド位置制御装置17と、基板位置制御装置18と、主走査駆動装置19と、副走査駆動装置21と、基板供給装置23と、コントロール装置24とを有する。ヘッドユニット26は、本発明の主要部の一つであり、例えばプリンタなどで用いられるインクジェットヘッド22を備えている。
ヘッド位置制御装置17は、インクジェットヘッド22の位置を制御するものである。基板位置制御装置18は、マザー基板12の位置を制御するものである。主走査駆動装置19は、インクジェットヘッド22をマザー基板12に対して主走査移動させる主走査駆動手段となるものである。副走査駆動装置21は、インクジェットヘッド22をマザー基板12に対して副走査移動させる副走査駆動手段となるものである。基板供給装置23は、マザー基板12を液滴吐出装置16内の所定の作業位置へ供給するものである。コントロール装置24は、液滴吐出装置16の全般の制御を司るものである。ヘッド位置制御装置17、基板位置制御装置18、主走査駆動装置19および副走査駆動装置21の各装置は、ベース9の上に設置される。また、それらの各装置は必要に応じてカバー14によって覆われる。
インクジェットヘッド22は、例えば、図7に示す内部構造を有する。図7は、インクジェットヘッド22の内部構造を示す図であり、図7(a)はインクジェットヘッド22の一部破断斜視図であり、図7(b)は図7(a)のJ−J線の断面図である。具体的には、インクジェットヘッド22は、例えばステンレス製のノズルプレート29と、それに対向する振動板31と、それらを互いに接合する複数の仕切部材32とを有する。ノズルプレート29と振動板31との間には、仕切部材32によって複数のインク室33と液溜り34とが形成される。複数のインク室33と液溜り34とは通路38を介して互いに連通している。
振動板31の適所にはインク供給孔36が形成され、このインク供給孔36にインク供給装置37が接続される。このインク供給装置37は、例えばカラーフィルタにおけるR、G、Bのうちの1色、例えばR色のフィルタエレメント材料Mをインク供給孔36へ供給する。供給されたフィルタエレメント材料Mは、液溜り34に充満し、さらに通路38を通ってインク室33に充満する。
ノズルプレート29には、インク室33からフィルタエレメント材料Mをジェット状に噴射するための孔であるノズル27が設けられている。また、振動板31のインク室33を形成する面の裏面には、このインク室33に対応させてインク加圧体39が取り付けられている。このインク加圧体39は、図7(b)に示すように、圧電素子41ならびにこれを挟持する一対の電極42aおよび42bを有する。圧電素子41は電極42aおよび42bへの通電によって矢印Cで示す外側へ突出するように撓み変形し、これによりインク室33の容積が増大する。すると、増大した容積分に相当するフィルタエレメント材料Mが液溜り34から通路38を通ってインク室33へ流入する。
次いで、圧電素子41への通電を解除すると、この圧電素子41と振動板31とは共に元の形状へ戻る。これにより、インク室33も元の容積に戻るため、インク室33の内部にあるフィルタエレメント材料Mの圧力が上昇し、ノズル27からマザー基板12(図6参照)へ向けてフィルタエレメント材料Mが液滴8となって噴出する。なお、ノズル27の周辺部には、液滴8の飛行曲がりやノズル27の孔詰まりなどを防止するために、例えばNi−テトラフルオロエチレン共析メッキ層からなる撥インク層43が設けられる。
また、ノズル27は、例えば、インク室33毎に設けられており、一定間隔で配置されたノズル列を形成している。この複数のノズル27の配置については、後で詳細に説明する。
図6において、ヘッド位置制御装置17は、インクジェットヘッド22を面内回転させるαモータ44と、インクジェットヘッド22を副走査方向Yと平行な軸線回りに揺動回転させるβモータ46と、インクジェットヘッド22を主走査方向と平行な軸線回りに揺動回転させるγモータ47と、そしてインクジェットヘッド22を上下方向へ平行移動させるZモータ48とを有する。
基板位置制御装置18は、図5および図6に示すように、マザー基板12を載せるテーブル49と、そのテーブル49を矢印θのように面内回転させるθモータ51とを有する。また、主走査駆動装置19は、図6に示すように、主走査方向Xへ延びるXガイドレール52と、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したXスライダ53とを有する。Xスライダ53は内蔵するリニアモータが作動するときにXガイドレール52に沿って主走査方向へ平行移動する。
また、副走査駆動装置21は、図6に示すように、副走査方向Yへ延びるYガイドレール54と、パルス駆動されるリニアモータを内蔵したYスライダ56とを有する。Yスライダ56は内蔵するリニアモータが作動するときにYガイドレール54に沿って副走査方向Yへ平行移動する。
Xスライダ53およびYスライダ56内においてパルス駆動されるリニアモータは、該モータに供給するパルス信号によって出力軸の回転角度制御を精細に行うことができる。従って、そのリニアモータは、Xスライダ53に支持されたインクジェットヘッド22の主走査方向X上の位置およびテーブル49の副走査方向Y上の位置などを高精細に制御できる。なお、インクジェットヘッド22およびテーブル49の位置制御は、パルスモータを用いた位置制御に限られず、サーボモータを用いたフィードバック制御、その他任意の制御方法によって実現することもできる。
基板供給装置23は、図5に示すように、マザー基板12を収容する基板収容部57と、マザー基板12を搬送するロボット58とを有する。ロボット58は、床、地面などといった設置面に置かれる基台59と、基台59に対して昇降移動する昇降軸61と、昇降軸61を中心として回転する第1アーム62と、第1アーム62に対して回転する第2アーム63と、第2アーム63の先端下面に設けられた吸着パッド64とを有する。吸着パッド64は空気吸引などによってマザー基板12を吸着できる。
また、図5に示すように、主走査駆動装置19によって駆動されて主走査移動するインクジェットヘッド22の軌跡下であって副走査駆動装置21の一方の脇位置に、キャッピング装置76およびクリーニング装置77が配設される。また、他方の脇位置に電子天秤78が配設される。クリーニング装置77はインクジェットヘッド22を洗浄するための装置である。電子天秤78はインクジェットヘッド22内の個々のノズル27(図7など参照)から吐出されるインクの液滴8の重量をノズル毎に測定する機器である。そして、キャッピング装置76はインクジェットヘッド22が待機状態にあるときにノズル27の乾燥を防止するための装置である。
インクジェットヘッド22の近傍には、そのインクジェットヘッド22と一体に移動する関係でヘッド用カメラ81が配設される。また、ベース9上に設けた支持装置(図示せず)に支持された基板用カメラ82がマザー基板12を撮影できる位置に配設される。
図5に示すコントロール装置24は、プロセッサを収容したコンピュータ本体部66と、入力装置67としてのキーボードと、表示装置としてのCRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ68とを有する。上記プロセッサは、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、各種情報を記憶するメモリすなわち情報記憶媒体とを有する。
図5に示したヘッド位置制御装置17、基板位置制御装置18、主走査駆動装置19、副走査駆動装置21、およびインクジェットヘッド22内の圧電素子41(図7(b)参照)を駆動するヘッド駆動回路72の各機器は、入出力インターフェースおよびバスを介してCPUに接続される。また、基板供給装置23、入力装置67、CRTディスプレイ68、電子天秤78、クリーニング装置77およびキャッピング装置76の各機器も、入出力インターフェースおよびバスを介してCPUに接続される。そのCPUは、上記情報記憶媒体であるメモリ内に記憶されたプログラムソフトに従って、マザー基板12に表面の所定位置に吐出物であるインク(液状体)、例えばフィルタエレメント材料13を吐出するための制御を行うものである。
(ヘッドユニットの第1実施形態)
次に、上記構成の液滴吐出装置16におけるヘッドユニット26の第1実施形態について、図1を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の特徴の一つであるヘッドユニット26の主要構成要素をなすインクジェットヘッド(ヘッド)22a,22bを示す底面図である。図1においては、2つのインクジェットヘッド22a,22bを示している。インクジェット22aとインクジェットヘッド22bとは同一の構成をしている。そこで、まずインクジェットヘッド22aについて説明する。
インクジェットヘッド22aは、直線上に所定ピッチ(所定間隔)で配置された複数のノズル27a,27b…からなる第1ノズル列と、同様に、直線上に所定ピッチで配置された複数のノズル27A,27B…からなる第2ノズル列とを有している。第1ノズル列が配置されている直線と第2ノズル列が配置されている直線とは、平行に配置されている。第1および第2ノズル列におけるノズルの数は、例えば、それぞれ180個とする。そして、第1および第2ノズル列におけるピッチ(ノズル間距離)d1は、例えば、ともに141μmとする。各ノズル27a,27b,27A,27B…の孔径は例えば28μmとする。
第1ノズル列と第2ノズル列とでは、各ノズルの配置がノズル列方向に1/2ピッチd2だけ、すなわち141÷2=約70μmだけ、ずれている。このずれ値を「ノズル列ズレ値d2」という。このようにすると、ノズル列方向の座標(すなわちx軸y軸平面におけるx軸座標)だけ考えると、第1ノズル列のノズル(例えばノズル27a)とその隣のノズル(例えばノズル27b)との真ん中に第2ノズル列のノズル(例えばノズル27A)が配置されることとなる。
インクジェットヘッド22bは、上記構成のインクジェット22aと同一構成となっており、第1ノズル列27a’,27b’…と、第2ノズル列27A’,27B’…とを有している。そして、インクジェットヘッド22aとインクジェットヘッド22bとは、それぞれのノズル列が互いに平行となるように配置されている。さらに、インクジェットヘッド22aとインクジェットヘッド22bとは、ノズル列方向にずれて配置されている。このずれ値である「ヘッドズレ値d3」は、上記ノズル列ズレ値d2を2で割った値、すなわちd3=70÷2=35μmとする。
このようにすると、ノズル列方向の位置すなわちx軸座標だけ考えると、インクジェットヘッド22aにおける第1ノズル列のノズル(例えばノズル27a)とその隣の第2ノズル列のノズル(例えばノズル27A)との真ん中に、インクジェットヘッド22bのノズル(例えばノズル27a’)が配置されることとなる。このように配置された2つのインクジェットヘッド22a,22bは、一組のヘッドAを構成している。この一組のヘッドAをなすインクジェットヘッド22a,22bは、ヘッド保持手段(後述)によって上記配置で保持されている。
このような構成の一組のヘッドAによれば、x軸座標だけ考えると、各ノズルがノズル27a,27a’,27A,27A’,27b,27b’,27B,27B’…の順で、35μm間隔で配置されていることとなる。したがって、一組のヘッドAは、ノズルのピッチ(141μm)を狭めずに、各液滴の吐出位置を35μm間隔に狭めることができ、吐出精細度(描画精細度)を向上させることができる。
上記構成では、1つのインクジェットヘッド22aに設けるノズル列を2列としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つのインクジェットヘッド22aに3列以上のノズル列を設けてもよい。このように1つのインクジェットヘッド22aに3列以上のノズル列を設けた場合、上記の「ノズル列ズレ値d2」は、ピッチ(ノズル間距離)d1を1つのインクジェットヘッド22aのノズル列の数で割った値とする。
また、上記構成では、2つのインクジェットヘッド22a,22bで一組のヘッドAを構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3個以上のインクジェットヘッドで一組のヘッドAを構成してもよい。この場合、上記の「ヘッドズレ値d3」は、「ノズル列ズレ値d2」を一組のヘッドAをなすインクジェットヘッドの数で割った値とする。
これらのようにすれば、ノズル27a,27b…間の距離であるノズルのピッチを狭めることなく、さらに各液滴の吐出位置を35μm間隔(またはもっと狭く)に狭めることができ、吐出精細度(描画精細度)をさらに向上させることができる。ここで、インクジェットヘッド22は図7および上述に示すような構造となることなどにより、ノズルピッチd1を141μmよりも狭くすることは製造上困難である。一方、図1に示すように、複数のインクジェットヘッド22a,22bを所望位置に精密に配置することは比較的容易である。そこで、図1に示す一組のヘッドAによれば、簡易に製造することができながら描画精細度が高い液滴吐出装置を提供することができる。
また、一組のヘッドAの走査方向は、インクジェットヘッド22a,22bのノズル列方向と直角に交わる方向であることが好ましい。すなわち、図1ではノズル列方向がx軸方向であるので、走査方向はy軸方向であることが好ましい。したがって、本実施形態の液滴吐出装置は、各種形状の塗布領域に対して一組のヘッドAの角度を調整することなく対応することができ、取扱い易く汎用性の高いものとすることができる。
(ヘッドユニットの第2実施形態)
次に、上記構成の液滴吐出装置16におけるヘッドユニット26の第2実施形態について、図2を参照して詳細に説明する。図2は、ヘッドユニット26の第2実施形態を示す底面図である。図1に示す実施形態では一組のヘッドAが一つのヘッドユニット26を構成している。図2に示す実施形態では、一組のヘッドAを複数組用いて一つのヘッドユニット26を構成している。すなわち、本実施形態では、ヘッド保持手段1が一組のヘッドAを複数組保持している。ここで、複数組のヘッドAのそれぞれは、ノズル列方向が互いに平行となるように配置されている。
また、ヘッド保持手段1は、直線上に所定間隔で配置された一組のヘッドAの列が複数列となるように、複数組のヘッドAを保持しているとともに、各ヘッドAのノズルのx軸座標が重ならないように各ヘッドAを保持している。例えば、図2に示すように、走査方向を矢印Sの方向(y軸方向)として、ノズル列の方向をx軸方向とする。この場合に、マザー基板12に対する各インクジェットヘッドのノズルの位置がなす複数の軌跡が、y軸に平行であって、互いに同一間隔の平行線となるように、ヘッド保持手段1は複数組のヘッドを保持している。
本実施形態のヘッドユニット26によれば、描画精細度を高めながら、1回の走査で塗布される描画面積を拡大することができる。また、例えば各インクジェットヘッド22a,22b外縁部が大きく、各インクジェットヘッドを1本の直線上に配置した場合に、あるインクジェットヘッドの右端ノズルと、その右隣のインクジェットヘッドの左端ノズルとの間隔が1ピッチ以上となる場合がある。本実施形態によれば、直線上に所定間隔で配置された一組のヘッドAの列が複数列となるように配置しているので、上記のように各インクジェットヘッドの外縁部が大きくても、複数組のヘッドA全体の塗布ピッチを高精細に一定にすることができる。したがって、本実施形態によれば、各インクジェットヘッド22a,22bの外縁部形状によらず、1回の走査で塗布できる描画面積を拡大でき、かつ、一定の塗布ピッチで高精細に塗布できる液滴吐出装置を提供することができる。
(液滴吐出方法の第1実施形態)
次に、図1又は図2に示すヘッドユニット26を用いた液滴吐出方法の第1実施形態について、図3を参照して説明する。図3は、液滴吐出方法の第1実施形態を示す模式平面図である。インクジェットヘッド22a,22bからなる一組のヘッドAは、ノズル列方向をx軸方向としながら、走査方向を矢印Sに示すようにy軸方向としている。そして、吐出対象基板であるマザー基板12の塗布領域100は、長方形でありその短軸と走査方向とが直交していることが好ましい。1つの塗布領域100としては、例えば1つの画素領域が該当する。
そして、インクジェットヘッド22a,22bは走査されながら隣り合うノズルから吐出された液滴(例えば液滴10a,10b,10c,10d,10e)同士が塗布領域100内に着弾した後に、その着弾した液滴同士の一部が重なるように、吐出されることが好ましい。すなわち、このように吐出されるように、インクジェットヘッド22a,22bのピッチ(ノズル間距離)d1などが設定されていることが好ましい。
このようにすれば、1つの塗布領域100の中に複数の液滴10a,10b,10c,10d,10eをほぼ同時に着弾させることができ、各液滴10a,10b,10c,10d,10eの一部が同時に重なるように塗布することができる。したがって、後に着弾した液滴が隣の先に着弾した液滴に引き寄せられて、所望位置に正確に液状体を塗布できないという現象を回避でき、塗布領域全体について均一な膜厚となるように偏りなく液状体を塗布することができる。
すなわち、上記特許文献1に記載されている従来の液滴吐出装置の液滴吐出方法では、図12に示すようにインクジェットヘッド22’のノズル列の方向が矢印Sの示す走査方向に対して斜めになっていた。これにより、ノズル列の方向が走査方向に対して斜めなので、液滴10a’,10b’,10c’,10d’,10e’を同時に塗布領域100に着弾させることができない。そこで、インクジェットヘッド22’から吐出された液滴は、塗布領域100に対して、液滴10a’,10b’,10c’,10d’,10e’の順番で着弾させることとなる。すると、液滴10b’は液滴10a’に引き寄せられ、液滴10c’は液滴10b’に引き寄せられ、液滴10d’は液滴10c’に引き寄せられ、液滴10e’は液滴10d’に引き寄せられる。これにより、膜厚および膜形状に偏りが生じてしまい、塗布位置が変動してしまうことともなる。
本実施形態によれば、塗布領域100の中に複数の液滴10a,10b,10c,10d,10eを同時に着弾させることができるので、上記偏りなどが生じる現象を回避でき正確にかつ高精細に、所望の塗布領域に対して所望の膜厚で液状体を塗布することができる。
また、上記の引き寄せられる現象を回避するためには、図13に示すように、各液滴がつながらないように先ず第1走査で第1液滴10xを塗布領域100に着弾させ、その後の第2走査において、第2液滴10yを第1液滴10xの間に着弾させる方法がある。しかし、この方法では、1つの塗布領域100に対して複数回インクジェットヘッド22’を走査しなければならず、時間かかかるという問題点があった。本実施形態によれば、1つの塗布領域100に対して1回の走査で塗布が完了でき、走査回数を大幅に低減させることができ、迅速に高精細でかつ精密な塗布をすることができる。
(液滴吐出方法の第2実施形態)
次に、図1又は図2に示すヘッドユニット26を用いた液滴吐出方法の第2実施形態について、図4を参照して説明する。図4は、液滴吐出方法の第2実施形態を示す模式平面図である。本実施形態の塗布領域101は、例えば100μm×800μmの長方形状であり、大型サイズの画素領域などが該当する。
図1又は図2に示すヘッドユニット26は、上記実施形態と同様に、ノズル列方向をx軸方向としながら、y軸方向を走査方向として液滴を塗布領域101に着弾させる。塗布領域101は図3に示す塗布領域100に比べて大きいので、1回の走査で塗布領域101の全体に液滴を塗布することはできない。そこで、まず第1回目の走査において複数の液滴10Aを塗布する。すなわち、第1回目の走査では、複数の液滴10Aが直線上につながるように第1列の液滴10Aを吐出するとともに、第1列の液滴10Aとは所定間隔をもたせて、複数の液滴10Aが直線上につながるように第2列の液滴10Aを吐出する。ここで、第1列の液滴10Aと第2列の液滴10Aとの間隔は、1つの液滴が着弾してなす塗布領域の直径よりも小さくする。
その後、第2回目の走査において、複数の液滴10Bが直線上につながるように列形状に液滴10Bを吐出する。ここで、各液滴10Bは、第1列の液滴10Aと第2列の液滴10Aとの中間に吐出され、その一部が第1列の液滴10Aおよび第2列の液滴10Aと重なるように吐出される。すると、第2回目の走査で吐出された液滴10Bは第1列の液滴10Aおよび第2列の液滴10Aの両方に引き寄せられ、結局、その液滴10Bが片寄ることとはならない。
これらにより、本実施形態の液滴吐出方法によれば、塗布領域101が大きい場合であっても、高精細に、かつ、塗布領域全体について均一な膜厚となるように偏りなく液状体を塗布することができる。
一方、図12に示す従来の液滴吐出装置の液滴吐出方法では、大きな塗布領域101の全体について均一な膜厚となるようにするには、本実施形態よりも走査回数を多くしなければならない。この理由について図14を参照して説明する。
上記特許文献1に記載されている従来の液滴吐出装置は、図12に示すように走査方向に対してノズル列方向が斜めに交わるようにインクジェットヘッド22’の向きを調整している。これにより、1つの塗布領域101に同時に着弾させうる液滴数が本実施形態の液滴吐出装置よりも少なくなる。そこで、従来の液滴吐出装置は、図14に示すように、走査回数を多くして液滴を塗布する。
具体的には、第1走査において複数の第1液滴10A’を2列に着弾させる。複数の第1液滴10A’はそれぞれ時間差をもって着弾するので、上記偏りなどが生じる現象を回避するために、各第1液滴10A’はつながらないように間隔をもった位置に塗布される。その後、第2走査において複数の第2液滴10B’を2列に着弾させる。ここでも各第2液滴10B’はつながらないように間隔をもった位置に塗布される。その後、第3走査において複数の第3液滴10C’を1列に着弾させる。ここでも各第3液滴10C’はつながらないように間隔をもった位置に塗布される。その後、第4走査において複数の第4液滴10D’を1列に着弾させる。ここでも各第4液滴10D’はつながらないように間隔をもった位置に塗布される。これらにより、塗布領域101の全体について液状体が塗布されるが、その全体の塗布には4回の走査が必要となってしまう。
本実施形態の液滴吐出方法によれば、塗布領域101の全体に対して、上述のように2回の走査で液状体を偏りなく塗布することができる。したがって、本実施形態の液滴吐出方法によれば、迅速に、かつ、塗布領域全体について均一な膜厚となるように偏りなく液状体を塗布することができる。
(電気光学装置)
次に、上記実施形態の液滴吐出装置又は液滴吐出方法を用いて製造される電気光学装置の一例について、図8から図10を参照して説明する。本実施形態では、電気光学装置の一例としてEL装置を挙げて説明する。図8は、本発明の実施形態に係るEL装置の製造工程を示す主要断面図である。
図8(d)に示すように、EL装置201は、透明基板204上に画素電極202を形成し、各画素電極202間にバンク205を矢印G方向から見て格子状に形成する。それらの格子状凹部の中に、正孔注入層220を形成し、矢印G方向から見てストライプ配列などといった所定の配列となるようにR色発光層203R、G色発光層203GおよびB色発光層203Bを各格子状凹部の中に形成する。さらに、それらの上に対向電極213を形成することによってEL装置201が形成される。
上記画素電極202をTFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)素子などといった2端子型のアクティブ素子によって駆動する場合には、上記対向電極213は矢印G方向から見てストライプ状に形成される。また、画素電極202をTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)などといった3端子型のアクティブ素子によって駆動する場合には、上記対向電極213は単一な面電極として形成される。
各画素電極202と各対向電極213とによって挟まれる領域が1つの絵素ピクセルとなり、R、G、B3色の絵素ピクセルが1つのユニットとなって1つの画素を形成する。各絵素ピクセルを流れる電流を制御することにより、複数の絵素ピクセルのうちの希望するものを選択的に発光させ、これにより、矢印H方向に希望するフルカラー像を表示することができる。
上記EL装置201は、例えば、次に示す製造方法によって製造される。すなわち、図8(a)のように、透明基板204の表面にTFD素子又はTFT素子といった能動素子を形成し、さらに画素電極202を形成する。形成方法としては、例えばフォトリソグラフィー法、真空蒸着法、スパッタリング法、パイロゾル法などを用いることができる。画素電極202の材料としてはITO(Indium-Tin Oxide)、酸化スズ、酸化インジウムと酸化亜鉛との複合酸化物などを用いることができる。
次に、図8(a)に示すように、隔壁すなわちバンク205を周知のパターンニング手法、例えばフォトリソグラフィー法を用いて形成し、このバンク205によって各透明な画素電極202の間を埋める。これにより、コントラストの向上、発光材料の混色の防止、画素と画素との間からの光漏れなどを防止することができる。バンク205の材料としては、EL発光材料の溶媒に対して耐久性を有するものであれば特に限定されないが、フロロカーボンガスプラズマ処理によりテフロン(登録商標)化できること、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミドなどといった有機材料が好ましい。
次に、機能性液状体としての正孔注入層用インクを塗布する直前に、透明基板204に酸素ガスとフロロカーボンガスプラズマの連続プラズマ処理を行う。これにより、ポリイミド表面は撥水化され、ITO表面は親水化され、液滴を微細にパターニングするための基板側の濡れ性の制御ができる。プラズマを発生する装置としては、真空中でプラズマを発生する装置でも、大気中でプラズマを発生する装置でも同様に用いることができる。
次に、図8(a)に示すように、正孔注入層用インクを図1又は図2に示す液滴吐出装置16のインクジェットヘッド22(22a,22b)から吐出し、各画素電極202の上にパターニング塗布を行う。具体的なインクジェットヘッド22の制御方法および液滴吐出方法は、図1、図2、図3および図4に示した方法のいずれかの方法が用いられる。その塗布後、真空(1torr)中、室温、20分という条件で溶媒を除去する。この後、大気中、200℃(ホットプレート上)、10分の熱処理により、発光層用インクと相溶しない正孔注入層220を形成する。上記条件では、膜厚は40nmであった。
次に、図8(b)に示すように、各フィルタエレメント形成領域内の正孔注入層220の上に液滴吐出手法を用いて機能性液状体であるEL発光材料としてのR発光層用インクおよび機能性液状体であるEL発光材料としてのG発光層用インクを塗布する。ここでも、各発光層用インクは、図1又は図2に示す液滴吐出装置16のインクジェットヘッド22(22a,22b)から吐出させる。インクジェットヘッド22の制御方法は図1から図4に示した方法のいずれかの方法が用いられる。このインクジェット方式によれば、微細なパターニングを高精細に、簡便にかつ短時間に行うことができる。また、インク組成物の固形分濃度および吐出量を変えることにより膜厚を変えることが可能である。
発光層用インクの塗布後、真空(1torr)中、室温、20分などという条件で溶媒を除去する(工程P58)。続けて、窒素雰囲気中、150℃、4時間の熱処理により共役化させてR色発光層203RおよびG色発光層203Gを形成する。上記条件により、膜厚は50nmであった。熱処理により共役化した発光層は溶媒に不溶である。
なお、発光層を形成する前に正孔注入層220に酸素ガスとフロロカーボンガスプラズマの連続プラズマ処理を行ってもよい。これにより、正孔注入層220上にフッ素化物層が形成され、イオン化ポテンシャルが高くなることにより正孔注入効率が増し、発光効率の高いEL装置を提供できる。
次に、図8(c)に示すように、機能性液状体であるEL発光材料としてのB色発光層203Bを各絵素ピクセル内のR色発光層203R、G色発光層203Gおよび正孔注入層220の上に重ねて形成する。これにより、R、G、Bの3原色を形成するのみならず、R色発光層203RおよびG色発光層203Gとバンク205との段差を埋めて平坦化することができる。これにより、上下電極間のショートを確実に防ぐことができる。B色発光層203Bの膜厚を調整することで、B色発光層203BはR色発光層203RおよびG色発光層203Gとの積層構造において、電子注入輸送層として作用してB色には発光しない。
以上のようなB色発光層203Bの形成方法としては、例えば湿式法として一般的なスピンコート法を採用することもできるし、あるいは、R色発光層203RおよびG色発光層203Gの形成法と同様のインクジェット法を採用することもできる。
その後、図8(d)に示すように、対向電極213を形成することにより、目標とするEL装置201が製造される。対向電極213はそれが面電極である場合には、例えば、Mg、Ag、Al、Liなどを材料として、蒸着法、スパッタ法などといった成膜法を用いて形成できる。また、対向電極213がストライプ状電極である場合には、成膜された電極層をフォトリソグラフィー法などといったパターニング手法を用いて形成できる。
以上に説明したEL装置201の製造方法によれば、インクジェットヘッド22として図1又は図2に示すインクジェットヘッド22a,22bからなる一組のヘッドAを用いており、また図3又は図4に示す液滴吐出方法を用いているので、図8における各絵素ピクセル内の正孔注入層220およびR、G、B各色発光層203R,203G,203Bなどを、複数の液滴により高精細に描画することができる。ここで、複数の液滴は所望の塗布領域に同時に着弾するので、着弾した各液滴が他の液滴に引き寄せられることがなく、塗布領域全体に均一な膜厚を形成することができる。これらにより、EL装置201の発光面の発光分布特性を平面的に均一にすることができる。このことは、図8(d)のEL装置201において、色むらのない鮮明なカラー表示が得られるということである。また、本実施形態のEL装置の製造方法によれば、従来よりも少ない走査回数でEL装置201について薄膜形成を完了させることができるので、迅速にかつ低コストで高性能なEL装置を提供することができる。
また、本実施形態のEL装置の製造方法では、液滴吐出装置16を用いることにより、インクジェットヘッド22を用いたインク吐出によってR、G、Bの各色絵素ピクセルを形成するので、フォトリソグラフィー法を用いる方法のような複雑な工程を経る必要もなく、またインクなどの材料を浪費することもない。
次に、本実施形態のEL装置の回路構成について図9および図10を参照して説明する。図9は、図8に示す製造方法で製造されたEL装置を構成要素とした表示装置の一部を示す回路図である。図10は図9に示す表示装置における画素領域の平面構造を示す拡大平面図である。
図9において、表示装置501はEL装置であるEL表示素子を用いたアクティブマトリックス型の表示装置である。この表示装置501は、基板である透明の表示基板502上に、複数の走査線503と、これら走査線503に対して交差する方向に延びる複数の信号線504と、これら信号線504に並列に延びる複数の共通給電線505とがそれぞれ配線された構成を有している。そして、走査線503と信号線504との各交点には、画素領域501Aが設けられている。
信号線504に対しては、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを有したデータ側駆動回路507が設けられている。また、走査線503に対しては、シフトレジスタおよびレベルシフタを有した走査側駆動回路508が設けられている。そして、画素領域501Aのそれぞれには、走査線503を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング薄膜トランジスタ509と、このスイッチング薄膜トランジスタ509を介して信号線504から供給される画像信号を蓄積して保持する蓄積容量capと、この蓄積容量capによって保持された画像信号がゲート電極に供給されるカレント薄膜トランジスタ510と、このカレント薄膜トランジスタ510を介して共通給電線505に電気的に接続したときに共通給電線505から駆動電流が流れ込む画素電極511と、この画素電極511および反射電極512間に挟み込まれる発光素子513とが設けられている。
この構成により、走査線503が駆動されてスイッチング薄膜トランジスタ509がオンすると、その時の信号線504の電位が蓄積容量capに保持される。この蓄積容量capの状態に応じて、カレント薄膜トランジスタ510のオン・オフ状態が決まる。そして、カレント薄膜トランジスタ510のチャネルを介して、共通給電線505から画素電極511に電流が流れ、さらに発光素子513を通じて反射電極512に電流が流れる。このことにより、発光素子513は、これを流れる電流量に応じて発光する。
ここで、画素領域501Aは、反射電極512および発光素子513を取り除いた状態の表示装置501の拡大平面図である図10に示すように、平面状態が長方形の画素電極511の4辺が、信号線504、共通給電線505、走査線503および図示しない他の画素電極511用の走査線503によって囲まれた配置となっている。
このような構成の表示装置501は、図1又は図2に示すインクジェットヘッド22a,22bからなる一組のヘッドAを用いて製造されており、また図3又は図4に示す液滴吐出方法を用いて製造されている。そこで、発光素子513、画素電極511及び反射電極512などについて、膜厚を均一にすることができ、高精細に形成することができる。したがって、表示装置501は、発光面の発光分布特性を平面的に均一にすることができ、色むらのない鮮明なカラー表示を得ることができる。
(電子機器)
次に、上記実施形態の電気光学装置を備えた電子機器について説明する。
図11(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図11(a)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は電気光学装置である上記表示装置501からなる表示部を示している。図11(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図11(b)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は電気光学装置である上記表示装置501からなる表示部を示している。図11(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図11(c)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は電気光学装置である上記表示装置501からなる表示部を示している。
図11に示す電子機器は、図1又は図2に示すインクジェットヘッド22a,22bからなる一組のヘッドAを用いて製造されているので、高精細で高品質な画像を表示することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態では電気光学装置の一例としてEL装置を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、プラズマディスプレイ装置、液晶装置などの各種電気光学装置に本発明を適用でき、カラーフィルタの着色材料の塗布などに本発明を適用することもできる。
本発明の実施形態に係るヘッドユニットの底面図である。 本発明の他の実施形態に係るヘッドユニットの底面図である。 本発明の実施形態に係る液滴吐出方法を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る液滴吐出方法を示す図である。 本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の全体構成を示す斜視図である。 同上の液滴吐出装置の主要部についての拡大斜視図である。 同上の液滴吐出装置のインクジェットヘッドの内部構造を示す図である。 本発明の実施形態に係る電気光学装置の製造工程を示す主要断面図である。 同上の電気光学装置を構成要素とした表示装置の一部を示す回路図である。 同上表示装置の画素領域の平面構造を示す拡大平面図である。 同上の表示装置を備えた電子機器を示す斜視図である。 従来の液滴吐出装置による液滴吐出方法を示す図である。 従来の液滴吐出装置による他の液滴吐出方法を示す図である。 従来の液滴吐出装置による他の液滴吐出方法を示す図である。
符号の説明
1…ヘッド保持手段、10a,10b,10c,10d,10e,10A,10B,…液滴、12…マザー基板、16…液滴吐出装置、17…ヘッド位置制御装置、18…基板位置制御装置、19…主走査駆動装置、21…副走査駆動装置、22,22a,22b…インクジェットヘッド、23…基板供給装置、24…コントロール装置、26…ヘッドユニット、27,27a,27b,27A,27B,27a’,27b’,27A’,27B’…ノズル、100,101…塗布領域、A…一組のヘッド、d1…ピッチ(ノズル間距離)、d2…ノズル列ズレ値、d3…ヘッドズレ値

Claims (14)

  1. 直線上に所定ピッチで配置された複数のノズルからなるノズル列が複数列設けられているヘッドを有し、
    前記ノズル列同士は、互いに平行に配置されているとともに、前記所定ピッチの値を該ノズル列の列数で割った値であるノズル列ズレ値だけノズル列方向にずれて配置されており、
    複数の前記ヘッドを一組として保持するヘッド保持手段を有し、
    前記ヘッド保持手段は、前記一組のヘッドにおける各ヘッドの前記ノズル列が互いに平行になるように該各ヘッドを保持するとともに、該各ヘッド相互が所定のヘッドズレ値だけ前記ノズル列方向にずれているように該各ヘッドを保持しており、
    前記ヘッドズレ値は、前記ノズル列ズレ値を前記一組のヘッドの数で割った値であることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記ヘッド保持手段又は吐出対象基板を、前記ノズル列方向に対してほぼ直角に交差する方向に移動させる走査手段を有することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記ヘッド保持手段は、前記一組のヘッドを複数組保持していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記ヘッド保持手段は、前記複数組のヘッドそれぞれのノズル列同士が互いに平行となるように、該複数組のヘッドを保持していることを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記ヘッド保持手段は、
    直線上に所定間隔で配置された前記一組のヘッドの列が複数列となるように、前記複数組のヘッドを保持しているとともに、
    前記走査手段が前記ヘッド保持手段又は吐出対象基板を移動させたときに、前記吐出対象基板に対する各ヘッドのノズルの位置がなす複数の軌跡が、互いに同一間隔の平行線となるように、該複数組のヘッドを保持していることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記一つのヘッドにおいて、隣り合うノズルから吐出された液滴同士が前記吐出対象基板に着弾した後に、該着弾した液滴同士の一部が重なるように、少なくとも前記所定ピッチが設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする電気光学装置。
  8. 請求項7に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
  9. 請求項1から6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置を用いて、吐出対象基板に液滴を吐出することを特徴とする液滴吐出方法。
  10. 1つの塗布領域に対して、複数の前記ノズルからほぼ同時に液滴を吐出させる処理を有することを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出方法。
  11. 前記同時に液滴を吐出させる処理は、同時に吐出された複数の液滴が前記塗布領域に着弾した後に、隣り合う液滴同士の一部が重なるように行うことを特徴とする請求項10に記載の液滴吐出方法。
  12. 前記吐出対象基板に液滴を吐出するときに、前記ヘッド保持手段又は吐出対象基板の移動軌跡が前記ノズル列方向に対してほぼ直角に交差するように、該ヘッド保持手段又は吐出対象基板を走査させることを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の液滴吐出方法。
  13. 塗布領域が長手形状である場合において、
    前記塗布領域の短軸方向と前記ノズル列の方向とがほぼ直角に交差するように、前記ヘッド保持手段又は吐出対象基板を走査させて、前記同時に液滴を吐出させる処理をすることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の液滴吐出方法。
  14. 請求項9から13のいずれか一項に記載の液滴吐出方法を用いて電気光学装置を製造することを特徴とする電気光学装置の製造方法。

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