JP2005152916A - 金属板の冷間圧接方法 - Google Patents

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常義 藤井
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Abstract

【課題】 ボルトやリベットを用いることなく、機械的・電気的に十分な接続が行なえる金属板の冷間圧接方法を提供する。
【解決手段】 一対の金属板30を重ねて重複箇所を形成し、この重複箇所を一対のダイス10,20で押圧して両金属板30を接合する金属板30の冷間圧接方法である。このダイスの少なくとも一方は突部12を有し、この突部12の高さを金属板30の合計厚さの50〜95%として圧接を行なう。このような条件にて冷間圧接を行うことで、通常、金属板表面に形成されている酸化膜を十分に微細な破片に圧壊して、その破片を接合箇所で広い間隔に分散させることにより、酸化膜のない金属同士を原子間結合させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、金属板の冷間圧接方法に関するものである。
従来より、銅線などの接続に冷間圧接方法が利用されている。この方法には、例えばフレーム上で対向して配置される一対のVブロックと、これらVブロックの間に組み込まれた4つのダイス片とを有する装置が用いられる(例えば特許文献1)。これらのダイス片は、集合してダイス孔を構成し、その孔に接続する一対の線材が突き合わせた状態に挿入される。Vブロックを互いに近接する方向に押圧すると、ダイスで保持された線材の端部が強力に圧接され、両線材を構成する金属が原子間で接合されることにより、線材を接続することができる。このような冷間圧接方法は、線材に電気や熱を加える必要が全くなく、かつ圧縮スリーブや半田など、線材以外の接続材料も必要としない。また、得られた接続部の強度も線材を構成する金属と同等以上の強度を有する。
特開平8−164436号公報
しかし、従来利用されている冷間圧接技術は、主として線材の突合せ圧接であり、板材の重ね合わせ圧接については、単に金属板を重ね合わせてダイスで圧接すれば接合できることが知られている程度にすぎない。そのため、より確実に強固な接合を行う技術の提案が望まれていた。
従って、本発明の主目的は、機械的に十分な接合強度を有し、電気的にも接合箇所で抵抗の増大が生じないように良好な接合が行なえる金属板の冷間圧接方法を提供することにある。
本発明は、板材を冷間圧接方法で圧接するのに好適な条件を規定することで上記の目的を達成する。
すなわち、本発明金属板の冷間圧接方法は、複数の金属板を重ねて重複箇所を形成し、この重複箇所を一対のダイスで押圧して、これら金属板を接合する金属板の冷間圧接方法である。このダイスの少なくとも一方は突部を有し、この突部の高さを金属板の合計厚さの50〜95%として圧接を行うことを特徴とする。
このような条件にて冷間圧接を行うことで、十分に金属板を圧縮して高い接合強度を有する冷間圧接を行なうことができる。また、通常、金属板表面に形成されている酸化膜を十分に微細な破片に圧壊して、その破片を接合箇所で広い間隔に分散させることにより、酸化膜のない金属同士を原子間結合させることができる。そのため、酸化膜が実質的に接合面に介在されず、接合箇所の電気抵抗の増加がほとんど見られない接合を行なうことができる。
以下、本発明圧接方法を詳しく説明する。
(被圧接材)
<金属板の材質>
冷間圧接により接合可能な金属であれば特に限定されない。代表的には、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金から選択された同種または異種の金属同士で接合が可能である。通常、同種金属の方が圧接時に均等に変形されるため、異種金属の場合に比べて接合しやすい。
また、上記金属を基材として、メッキを施した金属板を用いてもよい。このメッキはNiメッキが好ましい。特に、光沢を有するNiメッキの場合、理由はわからないが無光沢のNiメッキの場合に比べて高い接合強度が得られる。
<金属板の表面処理>
金属板には表面処理を施したものでもよい。表面処理の代表例としては、研磨が挙げられる。この研磨により金属板表面の異物除去および酸化膜除去が行なえる。研磨の具体例としてはワイヤバフ掛けがある。特に、人手によるバフ掛けではなく、モータによりワイヤバフを駆動させてバフ掛けすることが好適である。手動ではなく電動によりワイヤバフをかけると、金属板表面に縮緬状の研磨模様が現われる研磨面を容易に得ることができる。
その他、脱脂処理も挙げられる。この脱脂は、例えばアルコールで金属板をぬぐうことにより行なえば良い。ただし、アルコールで脱脂を行う場合、このアルコール自体が何らかの形で金属板表面に残存していることがある。その場合、残存したアルコールが圧接性を低下させることが予想される。その際、バフ掛けにより縮緬状の表面を有する金属板を用いれば、残存したアルコールをも除去してより高い接合強度を得ることができる。特に、金属板の脱脂を行なうことなくバフ掛けを行なえば、脱脂工程を省略でき、一層好ましい。
このバフ掛けに用いるワイヤ径は0.1〜0.5mm程度が好ましい。この径のワイヤでバフ掛けを行なえば、縮緬状の研磨模様の金属板を容易に得ることができる。
このバフ掛けしてからの金属板の接合は、バフ掛け後、5分以内に行なうことが好ましい。バフ掛けされた金属板表面には活性化された面が露出され、直ちに酸化がはじまる。そのため、この酸化によって酸化膜が形成されても、圧接に支障がでない程度の酸化膜であるうちに圧接を行なえば、より強度の高い接合を行なうことができる。
<金属板の厚み>
金属板の厚みは圧接可能である限り特に限定されない。本発明の圧接方法は、例えば合計厚みが0.4〜6.0mm程度の金属板の圧接に利用される。特に、合計厚みが1.5mm以下の金属板において良好な圧接を行なうことができる。また、合計厚みが0.1mm以下の箔も圧接することが可能である。このような箔の圧接には、後述する波型のダイスが適する。
<金属板の硬度>
金属板の硬度は、ある程度低いもの同士の方が塑性変形しやすく接続しやすい。圧接する各金属板の硬度が異なる場合、硬度差は小さい方が均等に変形できて良い。通常、銅(銅合金)とアルミニウム(アルミニウム合金)との硬度差程度は圧接する上で十分許容される範囲内である。
(圧接ダイス)
<ダイスの形状と組合せ>
冷間圧接は一対のダイスで被圧接材を挟み、強く押圧することにより行う。このダイスには、部分的に突部を有するダイスと平面ダイスの組合せ、部分的に突部を有するダイス同士の組合せ、波型のダイスと平面ダイスの組合せが考えられる。
部分的に突部を有するダイスと平面ダイスの組合せが最も実用的に利用可能である。この組合せで圧接された金属板は、突部のあるダイスで押圧された金属板表面に深いくぼみが、平面ダイスで押圧された金属板裏面には何らのくぼみも有しない形に圧接される。突部の数は、単数でも複数でもよい。通常、6個以下程度で実用的に利用できる。
両ダイス共に突部を有するダイスとし、この突部同士を対向させて金属板を押圧しても良い。この組合せによる圧接は、比較的厚みのある金属板同士を接合する場合に好適である。例えば、被圧接材の合計厚みが5mm以上の場合に効果的な圧接を行なうことができる。この場合、押圧された金属板の表裏に深いくぼみが形成された形に圧接される。
一方、波型ダイスは、突部を多数に分割することで多数の小さな突起が形成されているダイスに相当する。この小さな突起も本発明に言う突部に含まれる。波型ダイスを用いた圧接は、薄い金属板や金属箔の圧接に好適である。多数の微小な突起により押圧されることにより、各突起の間に被圧接材がめり込む「噛み込み効果」が得られ、薄い被圧接材であっても良好に接合することができる。
<突部高さ>
突部の高さは被圧接材の合計厚さの50〜95%程度が好ましい。この高さを有するダイスで押圧すれば、被圧接材に対して冷間圧接するのに好ましい圧力を付与しやすく、より確実な接合を行なうことができる。この突部の高さと被圧接材の厚さとの比率の下限または上限は、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%の中から選択されるいずれかでもよい。
<突部圧接面形状>
突部を有するダイスの場合、突部の圧接面形状、つまり突部表面のうちダイスの押圧方向に対して直交する面の形状には円形または小判型が挙げられる。円形の圧接面の場合、被圧接材は突部の周囲に均等に大きく変形される。そのため、金属板の重複箇所の面積が十分あり、重複箇所のうち突部で圧接されない箇所の面積に余裕がある場合、円形の圧接面を有するダイスを用いることが向いている。小判型の圧接面の場合、そのアスペクト比(小判型圧接面の長径/短径)は1.5〜2.6程度が望ましい。このような小判型のダイスは、長径方向と短径方向とで被圧接材の変形範囲が異なるため、重複箇所のうち突部で圧接されない箇所の面積に余裕がない場合でも有効な圧接が可能である。この小判型には楕円型も含まれる。また、波型ダイスの場合、微細な各突起の圧接面形状は、角が円弧状に形成された矩形などが利用される。
<平行度>
突部を有するダイスと平面ダイスの組合せ場合、突部の圧接面と平面ダイス圧接面との平行度は、7.5mm当たり20μm以下とすることが好ましい。この平行度を下回ると、特に合計厚さが1mm以下の被圧接材の場合に接合の可否のばらつきおよび接合強度のばらつきが大きくなる。
<突部側面の傾斜角度>
突部を有するダイスは、平面状の基底部と、この基底部から突出する突部とから構成される。その突部は、押圧時の圧縮荷重に耐えられるよう、圧接面から基底部に向かって末広がりに構成することが好ましい。そのため、突部の頂角、つまり、突部側面(周面)の延長上に形成される頂点の角度は一定の角度を持って形成される。この頂角は、7〜40°程度が好ましい。より好ましくは7〜20°、特に好ましくは7〜15°である。このような傾斜角度を有するダイスを用いることで、次の効果を奏することができる。
(1)圧接時の押圧力でダイスが変形することを抑制できる。
(2)圧接時に突部による被圧接材の変形を容易にし、確実に強度の高い接合を行うことができる。
この頂角は、言い換えれば、圧接面に直交する線と、突部側面の輪郭線との角度で表すこともできる。この場合、両線の角度は3.5〜20°が好ましい。
<突部の角部の形状>
突部の圧接面と突部の側面とで形成される角部には、半径0.1mm以上0.5mm以下の円弧面を形成することが好ましい。この円弧面を形成することで、突部で金属板を押圧した際、押圧した金属を突部の脇に適度に逃がし、より確実な接合を可能にする。この下限値未満では、押圧した金属を突部の脇に適度に逃がして円滑に変形させることが難しい上、角部が鋭利なため突部が欠損しやすい。逆に、この上限値を超えると、押圧力のうち圧接面に直交する分力が小さくなり、十分に金属板を圧縮することができない場合がある。より好ましい角部の半径は0.3mm以下である。
<ダイスの突部配列>
小判型の突部を有するダイスの場合、ダイス圧接面の長径を直線上に揃える配置と、ダイス圧接面の短径を直線上に揃える配置とが考えられる。長径方向には圧接時の被圧接材の伸び(変形)が小さく、短径方向には圧接時の伸び(変形)が大きい。そのため、被圧接材の重複部周縁に近接した箇所を圧接する場合、その周縁に突部の短径方向が沿うようにダイスの配列を決定することが好適である。
<突部の隣接間隔>
圧接を行う場合、被圧接材の変形影響範囲を考慮してダイスの突部あるいは微小な突起の間隔を決定し、適切な突部(突起)間隔のダイスで圧接を行なう。突部の隣接間隔は、ダイス圧接面の長径が直線上に揃うように小判型の突部を並列する場合、長径の2〜4倍程度が好ましい。ダイス圧接面の短径が直線上に揃うように小判型の突部を並列する場合、短径の8〜12倍程度が好適である。この隣接間隔とは、隣接する突部圧接面の中心間距離のことをいう。上記の規定範囲の下限未満では、各突部による圧接箇所周辺の変形が隣接する突部の圧接箇所周辺の変形に重なり合って被接合材に無用の変形が生じることがある。逆に上限を超えると、隣接する突部間における金属板のうち、特に上側の金属板(突部を有するダイスで押圧される金属板)が上方に湾曲変形して、下側の金属板との間に隙間が形成されることがある。突部の圧接面形状が円形の場合は、その直径の3〜4倍程度の隣接間隔とすることが好ましい。
(圧接条件)
<ダイス圧接箇所の長さ比率>
小判型の突部を有するダイスを用いる場合、金属板の重複箇所の長さに対する圧接箇所の長さ方向距離の比率は70%以下が望ましい。一方、金属板の重複箇所の幅に対する圧接箇所の幅方向距離の比率は40%以下が好ましい。この範囲の圧接を行うことで、圧接箇所が金属板の重複箇所の外縁に接近しすぎることがなく、圧接時に金属板に割れが生じることを抑制できる。
<圧接位置>
金属板の重複箇所の外縁から規定幅以上内側の領域をダイスで押圧することが好ましい。ここでの規定幅とは最も薄い金属板の厚みの2倍とする。金属板の重複箇所の外縁付近をダイスで押圧すると、金属板の外縁が変形して外側に膨出し、極端な場合には外縁に割れを生じることがある。種々の厚みの金属板を用いて圧接を行い、金属板外縁の変形を抑制できる押圧領域を検討した結果、金属板の重複箇所の外縁から最も薄い金属板の厚みの2倍以上内側をダイスで押圧すればよいことがわかった。このダイスでの押圧領域の限定は、金属板の合計厚みが1mm以上の場合に特に有効である。金属板の合計厚みが1mm未満の場合は、より外縁に近い領域をダイスで押圧できる場合がある。
<押圧方向>
突部を有するダイスと平面ダイスで厚さが異なる金属板を接合する場合、厚い金属板側に突部を有するダイスを配することが望ましい。厚みの異なる金属板のうち薄い金属板側から突部を有するダイスで押圧すると、薄い金属板は厚い金属板側に沈み込むように変形し、薄い金属板の厚みを小さく圧縮することができないため、両金属板を十分に接合できないことがある。特に、被圧接材の厚さに極端な差があれば薄い金属板が破断することも考えられる。そのため、厚さが異なる金属板の接合時、突部を有するダイスは厚い金属板側に配することが好ましい。
突部を有するダイスと平面ダイスで伸びの異なる金属板を接合する場合、伸びの大きい金属板側に突部を有するダイスを配することが好ましい。同じ材質の2枚の金属板を重ね、これら金属板の上方に突部を有するダイスを、下方に平面ダイスを配置して圧接すると、下側の金属板(平面ダイスと接する金属板)が大きく伸ばされ上側の金属板よりも平面方向に大きく広がることがわかった。このことから、伸びの異なる金属板を圧接する場合、突部を有するダイスで伸びの大きい金属板を押圧し、平面ダイスで伸びの小さい金属板を押圧すれば、両金属板の圧接界面における伸びの差を緩和でき、一層確実かつ強固に金属板の接合を行なうことができる。また、一般に伸びの大きい材料は硬度が低い場合が多く、その場合は、硬度が異なる金属板を接合する際、低硬度の金属板を、突部を有するダイスで押圧することが好ましいといえる。例えばアルミニウム板と銅板とを接合する場合、アルミニウム板が突部を有するダイスで押圧されることになる。
<面圧>
圧接には、通常、58839〜78453N(6000〜8000kgf)の押圧力を有するプレスが用いられる。その場合、面圧(押圧力/ダイスの接地面積)は980MPa(100kgf/mm2)以上とすることにより圧接が可能と考えられる。ダイスを圧縮し切った際、通常はダイス突部の圧接面のみならず、基底部も被圧接材を押圧するため、ダイスの接地面積は圧接面と基底部の面積の合計面積とする。
このように、本発明冷間圧接方法によれば、板材を冷間圧接するのに適切な条件を規定することで、確実に信頼性の高い接続を行うことができる。また、冷間圧接によれば、金属板同士が原子間結合して接合されるため、接続スリーブや半田あるいはボルトやナット、リベットなどを使用する必要がなく、板材の接続における部品点数を減らすことができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
<実施例>
図1は本発明方法に用いるダイスを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。このダイス10は、平板上の基底部11に突部12が形成されたものである。この突部12は、先端の圧接面が小判型に形成され、先端に向かってテーパー状に形成されている。このようなダイス10と平面ダイス20(図2)とを組み合わせて金属板の圧接を行う。
図2は本発明圧接方法の説明図で、(A)は圧接前のダイスと金属板を、(B)は圧接後のダイスと金属板とを示す。圧接する場合、まず金属板30の一部を重ねて重複箇所を形成する。下ダイスとなる平面ダイス20の上に前記金属板の重複箇所を載せ、その重複箇所の上部に上ダイスとなる突部12を有するダイス10を配する。
図示しないプレス装置を用いて前記上側のダイス10を平面ダイス20側に押圧し、金属板30を挟み込む。この押圧により、突部12が上方の金属板30にめり込んでくぼみを形成する。さらに突部12の押圧が進むと、下方の金属板30にもくぼみを形成する。前記くぼみが形成された箇所、つまり突部12の圧接面で押圧された箇所の金属板同士が接合される。
<圧接試験>
上記のダイスや突部圧接面が円形のダイスを用いて、圧接を行ってみた。圧接時のプレス荷重は68646N(7000kgf)である。ダイスの条件を表1に、金属板の条件を表2に示す。
表1における「数」は突部の数を、「間隔」は突部短径、長径または半径方向の中心間距離を、「高さ」は基底部から突部圧接面までの高さを、頂角は突部側面の延長面上に形成される頂点の角度を示す。図1(A)の角度θは頂角を示している。また、突部圧接面と平面ダイスとの平行度はいずれも7.5mm当たり20μm以下であった。
表2において、材質の「上下」は、重ねた2枚の金属板の配置を示し、「上」が突部を有する上ダイスに対向した金属板を、「下」が平面ダイスに面した金属板を示している。「Niメッキ」は表中に記載の各材質の基材上にNiメッキを施したことを示している。「表面処理」の「バフ」は直径0.3mmのワイヤバフを用いて脱脂することなく金属板表面の研磨を行ったことを示し、「電動」はモータによりワイヤバフを回転させた場合、「ハンド」は手動にて研磨を行った場合を示している。「電動」によるワイヤバフでは、金属板の表面に縮緬状の模様が認められ、「ハンド」によるワイヤバフでは縮緬状の模様は認められなかった。なお、Niメッキを施した場合の「バフ」は、このメッキ層上に行っている。「電動」におけるワイヤバフの回転数は2000rpmである。「脱脂」は金属板表面をアルコールにより脱脂したことを示している。脱脂またはバフ掛けを行なった金属板は、各表面処理より約3分で圧接作業を行なった。
<試験例1>
上記のダイスと金属板のうち表3に示す組合せで圧接試験を行なった。この試験は、ダイスと金属板との各組合せで10回ずつ圧接を行い、良好な接合が得られた比率(良好な接合回数/10)で評価を行なった。良好な接合か否かは、接合後の2枚の金属板を引き剥がして、次の基準により判定した。
良好:(1)上側の金属板が下側の金属板上に接合して小判型または円形に残存し、他の部分は小判型(円形)の残存面から破断して剥離した場合。
(2)前記破断が生じることなく接合箇所が剥離したが、剥離面を観察した際、互いの金属板に相手側金属板素材の微細な破断片が付着していた場合。
不良:上記破断が生じず接合箇所が剥離し、かつ剥離面を観察した際、互いの金属板に相手側金属板素材の微細な破断片が付着していない場合。
表3から明らかなように、銅とアルミニウムの同種同士、異種同士の組み合わせであっても良好な接合が可能である。また、突部の高さが金属板の合計厚みに対して50%以上95%以下であれば良好な接合が可能であることがわかる。
さらに、このNo.1-3については、接合箇所をTEM:(Transmission Electron Microscope)で撮影して観察した。その顕微鏡写真を図3〜図5に示す。図3は10000倍、図4は50000倍、図5は700000倍での写真であり、いずれも写真の左側がCu、右側がAlを示している。このうち、図3、図4の写真から明らかなように、アルミニウムと銅との界面には、酸化物の介在が認められない。また、図5の写真から明らかなように、CuとAlが結晶格子レベルで結合していることがわかる。
<試験例2>
次に、種々の表面処理を行なった金属板を用いて圧接を行ない、試験例1と同様に接合状態を評価した。ダイスと金属板の組合せと試験結果を表4に示す。ここで、脱脂またはバフ掛けを行なった金属板は、各表面処理より約3分で圧接作業を行なった。
この表から明らかなように、ハンドでバフ掛けを行なったNo.2-4、脱脂を行なったNo.2-5は、良好な接合が得られる確率が若干低かったが、他の表面処理では全て良好な接合が得られることが確認された。
<試験例3>
次に、電動でバフ掛けを行なってから圧接するまでの時間を変えて圧接を行ない、試験例1と同様に接合状態を評価した。ダイスと金属板の組合せと試験結果を表5に示す。表5における時間間隔は、バフ掛けを行なってから圧接するまでの時間(分)を示している。
この表から明らかなように、バフ掛けを行なってから圧接するまでの時間を5分以内とすれば、酸化膜の形成程度がわずかなうちに圧接が行なえ、確実かつ強固な接合が行えることがわかる。
<試験例4>
次に、突部圧接面のアスペクト比の異なるダイスを用いて圧接を行い、試験例1と同様に接合状態を評価した。ダイスと金属板の組合せと試験結果を表6に示す。表6において、ダイスA2、A3はアスペクト比以外がダイスA1と共通のもの、ダイスB2、B3はアスペクト比以外がダイスB1と共通のものである。
この表から明らかなように、アスペクト比が1.5〜2.6の小判型圧接面を有するダイスで確実に良好な接合が得られることが確認できた。
<試験例5>
次に、突部の頂角の異なるダイスを用いて圧接を行い、試験例1と同様に接合状態を評価した。ダイスと金属板の組合せと試験結果を表7に示す。表7おいて、ダイスA4〜A6は頂角以外がダイスA1と共通のもの、ダイスB4は頂角以外がダイスB1と共通のものである。
この表から明らかなように、頂角が7〜40°の場合に確実に良好な接合ができていることがわかる。
<試験例6>
次に、突部の圧接面と側面とで構成される角部を円弧面に形成し、その円弧面の半径が異なるダイスを用いて圧接を行い、試験例1と同様に接合状態を評価した。ダイスと金属板の組合せと試験結果を表8に示す。表8において、ダイスA7、A8は角部半径以外がダイスA1と共通のもの、ダイスB5、B6は角部半径以外がダイスB1と共通のものである。
この表から明らかなように、角部の半径が0.1〜0.5mmの場合に確実に良好な接合ができていることがわかる。
<試験例7>
次に、突部を有するダイスと対面する金属板の材質と厚さを変えて圧接を行い、試験例1と同様に接合状態を評価した。ダイスと金属板の組合せと試験結果を表9に示す。
No.7-1とNo.7-2の比較から明らかなように、伸びの大きいAlを、突部を有するダイスで押圧する方がより確実に圧接できることがわかる。また、No.7-3とNo.7-4の比較から明らかなように、厚い金属板を、突部を有するダイスで押圧する方がより確実に圧接できることがわかる。
<試験例8>
次に、上記の突部を有するダイスを用いて圧接を行った際、圧接箇所周辺のどの範囲に圧接に伴う変形の影響が及ぶかを調べてみた。用いたダイスは表1のB1で長径方向の突部の中心間隔を約20mmとしたもの、金属板は表2の金属板3である。図6は圧接した金属板において、変形の及ぶ範囲を示した模式説明図である。
この図において、並列された一対のダイス10は、長径が6.5mm、短径が2.5mmの小判型圧接面を有する。このようなダイス10で金属板を圧接した場合、ダイス周辺の金属板表面には、深いしわが生じる内周領域40と、圧接時の伸びの影響が及ぶ外周領域50とが形成される。いずれの領域も、ダイス10の短径方向へ大きく広がり、長径方向には広がりが小さくなっていることがわかる。これら各領域のサイズを測定したところ、内周領域40は直径約11mmのほぼ円形の領域で、外周領域50は長径方向の幅が約20mm、短径方向の長さが約30mmであった。従って、隣接するダイスは、少なくとも内周領域40の外側に位置することが必要であり、より好ましくは外周領域50の境界部近、あるいは外周領域50の外側に位置させればよいことがわかる。特に、金属板の外縁部に近接した箇所を押圧する場合、ダイス中心から外周領域の短径あるいは長径方向の外縁までの距離に相当する長さ分、金属板の外縁よりも内側を押圧すればよいことがわかる。なお、この外周領域の短径または長径を大きく超える突部間隔で同様の圧接を行なうと、隣接する突部間における金属板のうち、特に上側の金属板(突部を有するダイスで押圧される金属板)が上方に湾曲変形して、下側の金属板との間に隙間が形成されることがある。
これらの結果をより整理すれば、次のことが判明した。
(1)圧接面の長径が直線上に揃うように複数の突部が並列されている場合、これら突部の隣接間隔が圧接面の長径の2〜4倍であることが好ましい。
(2)圧接面の短径が直線上に揃うように複数の突部が並列されている場合、これら突部の隣接間隔が圧接面の短径の8〜12倍であることが好ましい。
(3)金属板の重複箇所の外縁から規定幅以上内側の領域をダイスで押圧する。ただし、規定幅は最も薄い金属板の厚みの2倍とする。より好ましくは最も薄い金属板の厚みの4倍、さらには最も薄い金属板の厚みの8倍を規定幅とする。
以上説明したように、本発明冷間圧接方法によれば、板材を冷間圧接するのに適切な条件を規定することで、確実に信頼性の高い接続を行なうことができる。また、冷間圧接によれば、接続スリーブ、半田、ボルトやナットなどを使用する必要がなく、板材の接続における部品点数を減らすことができる。従って、あらゆる板材の圧接、特に電気部品の接続に好適に利用することができる。
本発明方法に用いるダイスを示し、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は平面図である。 本発明圧接方法の説明図で、(A)は圧接前のダイスと金属板を、(B)は圧接後のダイスと金属板とを示す。 圧接した金属板の接合箇所を示す10000倍での顕微鏡写真である。 圧接した金属板の接合箇所を示す50000倍での顕微鏡写真である。 圧接した金属板の接合箇所を示す700000倍での顕微鏡写真である。 圧接した金属板において、変形の及ぶ範囲を示した模式説明図である。
符号の説明
10 ダイス 11 基底部 12 突部
20 平面ダイス 30 金属板
40 内周領域 50 外周領域

Claims (12)

  1. 複数の金属板を重ねて重複箇所を形成し、この重複箇所を一対のダイスで押圧してこれら金属板を接合する金属板の冷間圧接方法であって、
    前記ダイスの少なくとも一方は突部を有し、
    この突部の高さを金属板の合計厚さの50〜95%として圧接を行うことを特徴とする金属板の冷間圧接方法。
  2. 突部の圧接面が小判型で、その圧接面のアスペクト比が1.5〜2.6であることを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧接方法。
  3. 突部の圧接面が小判型で、この圧接面の長径が直線上に揃うように複数の突部が並列され、
    これら突部の隣接間隔が圧接面の長径の2〜4倍であることを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧接方法。
  4. 突部の圧接面が小判型で、この圧接面の短径が直線上に揃うように複数の突部が並列され、
    これら突部の隣接間隔が圧接面の短径の8〜12倍であることを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧接方法。
  5. 金属板の重複箇所の外縁から規定幅以上内側の領域をダイスで押圧することを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧接方法。
    ただし、規定幅は最も薄い金属板の厚みの2倍とする。
  6. 突部側面の頂角が7〜40°であることを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧接方法。
  7. 突部圧接面と突部側面とで形成される角部に、半径0.1mm以上0.5mm以下の円弧面を形成したことを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧接方法。
  8. 圧接の前処理として、金属板の表面に縮緬状の模様が現われる程度に研磨を施すことを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧接方法。
  9. 研磨がワイヤバフ掛けであることを特徴とする請求項8に記載の金属板の冷間圧接方法。
  10. 金属板に脱脂を行なうことなくワイヤバフを施すことを特徴とする請求項9に記載の金属板の冷間圧接方法。
  11. ワイヤバフのワイヤ径が0.1〜0.5mmであることを特徴とする請求項9に記載の金属板の冷間圧接方法。
  12. 金属板にワイヤバフを施してから5分以内にダイスで金属板を接合することを特徴とする請求項9に記載の金属板の冷間圧接方法。
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