JP2005152295A - 中空糸膜型血液浄化器 - Google Patents

中空糸膜型血液浄化器 Download PDF

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Abstract

【課題】 中空糸膜型血液浄化器において、逆ろ過抑制による安全性の確保と低分子タンパク質の除去性能の向上という相反する特性を兼ね備える高性能血液透析膜を得る。
【解決手段】 紡糸した中空糸膜を巻き取る工程において、巻き取る際の中空糸膜を2本以下の状態にして巻き取られた中空糸膜をケースに装填し、端部を樹脂にて固定し、樹脂の一部を切断除去することにより中空糸膜型血液浄化器を作製するる工程を有する製造方法により製造された中空糸膜を用いた6分割した際の各部位に存在する中空糸膜のミオグロビンの透過性能であるクリアランス性能が、分割しない血液浄化器全体のクリアランス性能の±10%以内となる均一性を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、効率的な物質交換特性を有する血液浄化器を提供するものである。特に、血液浄化療法における逆濾過などの危険性を抑制し、かつ血液透析治療における血漿中の低分子タンパク質領域の分子量物質の安定な分離特性を得ることを可能とするものである。さらに血液浄化器を製造する際の生産性の向上を図ることもできる。
腎不全治療等における血液浄化療法では、血液中の尿毒素、老廃物を除去する目的でセルロース、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン等の重合体を用いた透析膜や限外濾過膜を分離材として用いた血液透析器あるいは血液透析濾過器等のモジュールが広く用いられている。特に中空糸膜を分離材として用いたモジュールは、体外循環血液量の低減、血中の物質除去効率の高さ、さらにモジュール生産時の生産性等の利点から透析器分野では主要な分離膜の形態となっている。
中空糸膜を用いたモジュールは、通常中空糸膜中空部に血液を流し、中空糸膜外側に透析液を向流で流し、血液から透析液への拡散に基づく物質移動により尿素、クレアチニンなどの低分子物質を血中から除くことをその主眼としている。さらに、長期透析患者の増加に伴い、手根管症候群等の長期透析合併症が注目されるに至り、近年では、透析による除去対象物質は、尿素、クレアチニン等の低分子物質のみでなく、中分子量(分子量数千)から高分子量の物質(分子量1〜2万の低分子タンパク質)にまで拡大し、これらの物質をも除去対象とすることが血液浄化膜に要求されている。こういった治療に用いられる膜は、ハイパフォーマンス膜(以下、HPM)と呼ばれ、従来の透析膜より膜の孔径を拡大することにより、より大きな物質である低分子タンパク質領域の除去を可能にしている。
HPMによる、物質除去は、主体となる拡散による物質移動に加え、ろ過による物質移動も有していることが知られている。中空糸膜型血液透析器は、中空糸膜の中空部を流通する血液から中空糸膜外側を流通する透析液への尿毒性物質の除去を行なうものであるが、この操作においては透析装置の限外ろ過コントロール機構により一定量のろ過(除水)を行ないながら実施される。すなわち、透析器全体では、血液と透析液の間での膜間圧力差によりろ過を起こさせる。しかしながら、透析器の操作原理上、膜の外側に流通する透析液から血液への逆ろ過、逆拡散と呼ばれる物質移動が起きることが知られている。これは、透析器の有する形状に起因するところが大きい。透析器は円筒パイプに中空糸膜を筒の長手方向に配置させて充填させた構造をもち、膜の分離をこの長さ方向全体に渡って起こさせるものである。この場合、中空糸膜の長さ方向に対しては、膜間圧力差の分布や処理液体の濃度分布が変化し、血液の入口部と出口部では、拡散やろ過の挙動が膜の内外で逆になる現象が起きているのである。
このような拡散による物質除去に加えて、期待効果として積極的に正ろ過による物資除去効果も取り入れた中空糸膜型血液浄化器においては、逆ろ過現象は、正ろ過での除去効果付与と表裏一体の関係である。すなわち、逆ろ過は、ろ過効果での物質除去の反対給付として避けられないものである。この場合、治療の安全性の点で注意しなければならない点がある。透析液中に存在する物質が生体に侵入することが原因となる様々な透析治療の問題点が指摘されている。その代表的なものは、透析液中のエンドトキシンによる透析治療に伴う炎症反応である。また、透析に伴う貧血についても透析液からの造血阻害因子の侵入が想定されるに至っている。従って、安全かつ効率の良い血液浄化器による治療を目指すには、極度の逆ろ過を引き起こすことなく、安定した物質除去効果を持つ血液透析器を使用することが有効である。
中空糸膜型血液浄化器の設計において、ろ過(正、逆いずれも)を誘起する要因は、(1)中空糸膜内径(内径低減でろ過が増加)、(2)血液浄化器の中空糸膜有効長さ(長さの延長でろ過が増大)、(3)中空糸膜充填率(充填率の増加でろ過が増大)の3点が主なものである。これらの要因に起因して、中空糸膜型血液浄化器のろ過は、通常の血液透析治療の操作で生じることになる。各々の効果の寄与について、峰島らの理論的な解析例が示されている。(例えば、非特許文献1参照)。以下、この解析例から導かれる特性について考察する。
人工臓器 28(1)127−133(1999)
中空糸膜内径は血液を所定流量(通常200ml/min)流す際の安定操作圧、血液への溶血、あるいは治療後の返血性などの問題から、内径の低減はいくつかの安全性の観点からは必ずしも選択されるものではなく、また逆ろ過低減のために内径を大きくすると、中空糸膜を通過する血液の線速低下による透析除去効率低下、およびプライミングボリュームの増加による体外循環血液量の増加があり、現在の中空糸膜型透析器の標準である200μm付近が最適と考えられる。
また、逆ろ過低減の観点から中空糸膜有効長を短くすることが考えられるが、血液浄化を行なう中空糸膜の面積を十分に得るには、中空糸膜の糸本数を多くした透析器を作成する必要があり、透析器の生産性には不向きである。また糸本数が増えると、透析器中の中空糸膜1本1本に血液、透析液を均一に分配流通させることが難しくなり、除去効率の低下をもたらす。これらのことは、前述文献の理論解析の結果からも示されている。
中空糸膜の充填率については、充填率が高くなってくると大きくろ過量が増大する傾向にある。従って、高い充填率に中空糸膜の集合状態を持っていかなければ、極度の逆ろ過の弊害は避けることができる。
中空糸膜型血液浄化器は、円筒状ケースに中空糸膜を数千から2万本程度を平行に充填した構造を有し、これら1本1本に透析液が均一に流れることによって理想に近い透析操作を行う。現在の血液透析器は、医療に用いるディスポーザブルのデバイスとして、膜を介した2つの液体間の透析による物質交換には非常に有効な構造となっている。しかし、この構造からくる避けられない急所が存在するのは前述のとおりである。従来の観点では、これらの問題点は透析器全体の特性を見たものであったが、中空糸膜外側を流通する透析液の液圧分布は、透析液の中空糸膜間隙への分配量、中空糸膜の充填状態により偏った分布を持つ。透析液の流れが早い部分では透析効率は増すが、圧上昇による前述のろ過の効果も増幅される、また中空糸膜の充填状態の高い部分も同様の結果となる。すなわち、より安全性を向上させるには、中空糸膜の長さ方向の積算として現れる評価値だけでは不充分であり、断面の部分部分での流動状態を把握し改善することが必要である。
かように透析器内部では、透析液の更新の度合いと中空糸膜にかかる正ろ過圧、逆ろ過圧の様々な分布により物質移動が行なわれる。これを実測または数値的に見積もることは極めて難しい。しかしながら、これらの変化は、中空糸膜の入り出の物質収支から算出されるクリアランス値として現れることになる。特に、ろ過による除去性の影響が大きい低分子タンパク質では、顕著に現れる。従って本願出願人は、低分子タンパクの除去性の透析器内に存在する膜間での分布を小さくすることが、性能の確保と逆ろ過を抑えた安全性を両立する中空糸膜型血液浄化器となるとの結論に達した。
一方、中空糸膜型血液浄化器は、透析による物質移動を主眼としたデバイスでは致命的となる偏流と呼ばれる欠陥を引き起こす可能性も存在する。ここで偏流とは、一部の中空糸膜に十分な透析液が流れないようなデッドスペースを生じたり、あるいは透析液の入り出口を結ぶ一部ないし数カ所のみをショートパスして透析液が流れるような現象である。このような場合、前述の透析液が一部の中空糸膜近傍では、十分に更新されず、透析効率が極端に低下し、デバイス全体での性能低下が著しい。
かかる問題に対し、従来の透析器での偏流回避手段として、ストレートな中空糸膜では、充填率を高める、中空糸膜束にスペーサーを挿入したりスペーサーを巻くといった本質的に充填率を高める処理を実施したり、中空糸膜に捲縮を持たせる、透析器を製造する際に通風により中空糸膜を分散させるといった、透析器ハウジング内にできるだけ嵩高く充填する技術が実用化されている。当然、充填率を高めた場合は前述の逆濾過の危険性が増すことに繋がる。従って、捲縮を持たせるという方法は、比較的、偏流の影響を低減させ、かつ過剰なろ過を起こさせない点で有効と言える。この技術としては、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2001−309974号公報
しかしながら、捲縮糸を挿入した中空糸膜型血液浄化器は、捲縮部の位相の一致が多く、また中空糸膜の集合状態での偏り、すなわち、円筒形透析器の鉛直断面において、中空糸膜の固まりがパッチ状に存在するような形態を取り易い。この場合、透析液の流れは際立った不均一状態にはならず、透析器全体としては性能発現が可能となっている。しかし、小領域単位で見た場合は、必ずしも均一な性能を発現しているとは言えず、同時にろ過への影響も不均一となっており満足のいくものではない。
これらの良否は、透析器中の中空糸膜を端部において固定している透析器端面の中空糸膜の分布状態の解析から見積もることが可能である。中空糸膜が、端面において均一に分散していることにより、上記の効果を得ることが出来ていると推定する。例えば、特許文献2には、端面における中空糸膜の分布の分離特性への観点として、端面において中空糸膜束として占める割合、偏りを改良する方法が示されている。しかしながら、この先行技術では、中空糸膜束の内部の中空糸膜分布についての考慮が無く、本願発明の目的とする特性を獲得できるものではない。
特開2003−159325号公報
また近年の中空糸膜型血液浄化器においては、特許文献3、特許文献4に開示されているような、ろ過現象を積極的に利用したデバイス設計が行なわれている。これらの透析器は、低分子タンパク質の除去をろ過効果により高めることを主眼に発明されている。しかし、これらの設計では、逆ろ過を起させることを性能発現の機構として取り入れているため、前述の逆ろ過における安全性については極めて不利な設計となっている。従って、血液浄化用のデバイスとして、臨床における安全性の課題は、満足できるものではない。
特開2002−143298号公報 特開2000−70359号公報
中空糸膜束において、束の中での存在部位での性能のバラツキの低減を目的とした技術としては、特許文献5または特許文献6が開示されている。しかしながら、これらの技術は、中空糸膜束中に存在している個々の中空糸膜自身の透過性能、すなわち個々の中空糸膜の細孔径のバラツキ低減を目的としており、一般的なマイクロ波による乾燥における、水分含有物集積体の乾燥挙動の問題点を解決するための技術である。特にこの場合は、束の外周部と中心部の乾燥挙動の違いに由来することから、外周、中心の2分割のみでのバラツキを問題としている。これに対し本願発明は、中空糸膜束を血液透析器として組み上げた際の透析器内に存在する中空糸膜における物質移動特性のバラツキ低減を目的としており、個々の中空糸膜の細孔径に由来するバラツキを問題にしているのではなく、中空糸膜の置かれる物質移動に関わる環境に着目しており、本願発明の効果は、到底これら先行技術により達成されるものではない。また、血液透析器における中空糸膜の外側部への灌流、および血液透析器の形状の問題から、バラツキを評価する場合も外周、中心の2領域のみの均一性では満足できるものではない。
特開2003−175320号公報 特開2003−245529号公報
本発明は、上記従来技術の課題を背景に、逆ろ過等による血液浄化治療の安全性の低下に関する改善と偏流を起こさない高度な性能特性の安定発現を両立させる課題に対してこれを解決しようとするものである。
本願発明者らは、上記課題を解決するために、中空糸膜型血液浄化器において円筒状の断面部位におけるミオグロビンの透過性能が均一となる中空糸膜型血液浄化器の発明に至った。すなわち、逆ろ過によるろ過が、円筒状透析器の断面において局所的に高くなることがなく安全性に優れ、かつ偏流が無く透析器に充填された中空糸膜の全体が十分な除去機能を達成できる中空糸膜型血液浄化器を提供する製造方法を見出し、本発明をなすに至った。
本発明の血液浄化器は、端面において円形固定位置を6分割した際の各部位に存在する中空糸膜のミオグロビンの透過性能であるクリアランス性能が、分割しない血液浄化器全体のクリアランス性能の±10%以内となる均一性を有するため、逆ろ過により透析液に含まれる不純物(特にエンドトキシンなど)、血中老廃物が血液に逆戻りすることを抑制することができ、血液浄化治療における、高い安全性と尿毒物質除去性能を発揮可能な中空糸膜型血液透析器を提供することができる。
本発明において選択分離膜の素材は、特に限定されるものではなく、再生セルロース、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、あるいは各種ポリマーブレンドなどが挙げられるが、血液浄化器としての製膜性、生体適合性の点からセルロースアセテート、ポリスルホン系ポリマーあるいはこれらポリマーと親水性高分子のブレンド膜が好適に使用できる。
本発明の中空糸膜の製法は特に限定されるものではないが、以下の工程により製膜されたものが好適に用いられる。
・中空糸膜形成ポリマーを溶媒に溶解させた溶液を紡糸原液とする。
・中空糸膜成型時、ポリマー溶液を2重管口金部より吐出し、同時に中空形成材として芯液またはガスを吐出させ、空中部を走行後、ポリマー溶液を凝固液に浸漬させ凝固させる乾湿式紡糸工程により形成する。
・ポリマーの凝固により形成された中空糸膜を水洗等により洗浄、脱溶媒を行なう。この後、必要に応じ乾燥等の処理を行う。
・中空糸膜をボビン、あるいはドラム、カセ等に巻き取る。この際、ドラムあるいはカセに巻き取る場合は、透析器に充填される糸本数に応じて巻き取り本数を制御する。
中空糸膜への捲縮の付与は、上記の洗浄、脱溶媒を経た後、乾燥の前後いずれでも構わないが、以下の2種類の方法で付与することができる。(1)機械的に中空糸膜を所定のピッチ間のギヤまたはロッドに挟み込む工程を通す方法、(2)中空糸膜を所定の綾角を有するようにボビンに巻取る方法。いずれの方法も適当なテンション制御、あるいは熱処理により捲縮度を調整し得る。
中空糸膜型透析器の製造法は特に限定されるものではないが、以下の工程により好適に製造される。
・巻き取られた中空糸膜を、ボビンの場合は、カセに所定の本数を巻き、また中空糸膜の製造工程においてドラム、カセに所定数巻き取ったものはその束のまま、透析器に適した所定長に切断し、中空糸膜束(バンドル)を得る。
・バンドルは、必要に応じ乾燥等の処理を行ない、透析器のパイプ状ケースに装填される。
・ケースに装填後の中空糸膜は、パイプケースの両端をウレタン樹脂で封止固定され、樹脂部の適当な位置の切断により中空部が開口される。
上記の方法により、本願発明の「中空糸膜がパイプの長手方向にほぼ水平に配置され、両端面においてケース胴周と中空糸膜束を封止材にてほぼ同心円形に固定し、かつ両端面における中空糸膜の中空部が開口しており、該開口部より中空糸膜内部へ血液を流通させ、また中空糸膜を隔てた外面部および該ケースと封止材とからなる空間に液体を流すための2つの流路をケース側面に有し、該流路より中空糸膜外面に液体を流通させることにより、中空糸膜の内から外への物質移動を行う中空糸膜型血液浄化器」が製造される。
中空糸膜の紡糸においては、数十から数百のノズルを有する多錘紡糸を行なうのが、生産性の点から採用される。この多錘紡糸における問題点の解決により、安全で高性能の血液浄化器を容易に作成できる手段として、上記に示した中空糸膜の製造工程における、中空糸膜の巻取り工程について鋭意検討した結果、本願発明に至った。
通常、多錘の中空糸膜紡糸にて、巻取りを行なう際には、複数の中空糸膜を集合状態(合糸と呼ぶ)にして巻き取る。合糸にすることで、糸の走行が安定し、合糸全体としての糸強度が出るため巻取りのテンションコントロールなども容易となる。仮に巻取りを1本単位で行なうとすると、巻取り機やカセ枠などが、膨大な数が必要となり、機械設備に関わるコストや生産性が極めて悪くなる。かような問題から、通常は合糸による巻取りが必要不可欠となっている。
前述の中空糸膜をボビン、カセまたはドラムに巻き取る際に、中空糸膜を巻取り部に導入する場合は、トラバース機構が用いられる。トラバースは、ボビン巻きにおいては、ボビンの巻き幅に応じて反復移動し、綾巻きにするための糸の先導機能を有する。また、カセやドラム巻きにおいては、カセ枠やドラム枠への先導機能を有する。この場合は、必ずしも可動とならない場合もある。このようにトラバース部は、中空糸膜がその部分を接触しながら走行し、中空糸膜を所定の巻き位置にもっていく機能を有する。
本願発明者らは、トラバースの糸道の制御に着目し、この機構を改良し、テンション制御等は合糸としての走行を保持しつつ、実質的に中空糸膜1本での巻取り機構を発明した。以下に本巻取り機構の説明を行なう。重要となるのは、トラバースの前工程、トラバース工程の2つの工程となる。第1のトラバース前工程では、トラバース部まで中空糸膜は単糸で走行させる、この過程において中空糸膜は、各糸の糸道を分けるための走行中空糸膜間の間隔(走行ガイド間隔)をもたせるガイドを有する工程を走行さる。これは通常は走行させるローラーの構造上、横に一列に並んだ走行をとる。第2にトラバース部において、糸を巻き取るため、その巻取り方法に応じて中空糸膜は収束される。このトラバースの糸の走行部(トラバースガイド)において、糸は合糸化されテンション制御下で巻取り機に巻かれる。
本願発明では、この合糸化の工程において、中空糸膜間に間隙を生じるようなトラバースガイドを用いる事により、実質的に単糸状態で中空糸膜を巻き取る方法を発明した。従来は、合糸巻取りのために用いられるトラバースガイドは、一つの谷部、スリットまたは円を有するものであった。これに対して、本願発明では、複数谷部、スリットまたは波型を有する円の形状からなるトラバースガイドを用い、かつトラバースガイドの各谷部またはスリット間の間隔が、前記の走行ガイド間隔の1/2以下、好ましくは1/3以下となるような構造を持たせた。これにより、走行中空糸膜を収束させながらも、単糸としての走行状態、巻取り状態を維持させることに成功した。また、トラバースガイドの谷部は、必ずしも糸1本に付き1つが必要ではなく、ガイドの谷をV字型ではなく、箱型に設計することで、一つのガイドの谷に2本の走行糸を通じても、谷部で2つに分かれ単糸での走行を維持でき、より簡単なガイド構造や細工での製造が可能である。
上記の製造法による実質的に単糸で巻き取った中空糸膜束を用いて製造した血液浄化用透析器は、驚くべき事に、本願発明の目的とする、低分子タンパクの除去性の透析器内に存在する膜間での分布を均一化できる特性を有することが明らかとなった。その理由は、各中空糸膜が分離された状態で巻き取られることにより、それぞれに付与された捲縮が、近辺に存在する別の中空糸膜と異なった位相状態で存在するため、単に透析器パイプ内に中空糸膜が均一に分布されるのみならず、各々が干渉しあい、各中空糸膜の外側面が形成する透析液流動部の間隔(導水径)の均一性をもたらしたためと考える。
特に、中空糸膜透析器の端部における中空糸膜の分布形態が、均一性の良否を判定する要素となる。これは、前記した中空糸膜型透析器の製造工程において、中空糸膜束(バンドル)を透析器パイプに挿入することによりされることから、バンドルでの各中空糸膜の分散をそのまま、ウレタンでの固定部として反映するためである。
ウレタン端面での中空糸膜の分布の評価は、端面を鉛直より観察し、特定の中空糸膜に対して、それに近接する複数の中空糸膜の分布を距離との関数として見た際に、存在確率が最も高くなる最短位置(距離)が、中空糸膜の充填率から想定される平均的な距離に対して、ある範囲内に存在していることにより見積もることができる。本発明では、端面の中空糸膜の円形固定位置の最外周に位置する中空糸膜を結んだほぼ真円形からなる円の面積と中空糸膜の占める面積の比である端面充填率(R)、端面に固定された任意の中空糸膜の中心から近接の中空糸膜の中心への距離を存在確率分布曲線で表した時の最近接中空糸膜の存在確率の最も高くなる距離(A)、中空糸膜の平均外径(B)としたとき、A×R/Bが0.75以上1.00以下としている。この値が、上記範囲に無い場合は、中空糸膜間隔が、非常に密になってる場所と疎になっている場所が共存することにより、分布はブロードであり、かつ上記数値が低くなるか、もしくは高くなる。すなわち、上記A×R/B値が、0.75から1.00の範囲に有る場合は、中空糸膜の存在の偏りやバラツキが少ないことを示す。A×R/B値が0.75を下回るような場合は、中空糸膜の存在状態が密状態と疎状態が各々ある程度の固まりとして存在することを意味し、このような場合は、クリアランス性能のバラツキが大きくなることがある。またA×R/B値が1.00を超えると中空糸膜の存在状態が非常にランダムに密疎が存在し分布がブロードとなる場合も、同様にクリアランス性能のバラツキが大きくなる可能性がある。より好ましくは、0.80から1.00の範囲である。
透析器における、低分子タンパク質の除去効率の分布の測定は、透析器の血液側の流通液の出口部を、多分割し各々のポイントから採取される処理液に対して、その濃度(Cout)を測定し、処理液の入口濃度(Cin)より、それらの値を用いて下記式に示すクリアランスを算出する事により各分割点での物質移動の状態を見積もることができる。クリアランスは、ダイライザー性能評価基準(日本人工臓器学会、昭和57年9月)に従って、血液流量200ml/min、透析液流量500ml/minで実施し、正味のろ過は0ml/minでコントロールし実施される。血液側に通液する低分子タンパク質溶液としては、ミオグロビン溶液を用いる。本願発明においては、中空糸膜のミオグロビンクリアランスが10ml/min以上が好ましい。これは、低分子タンパク質の除去に伴う臨床効果を得るための膜性能として必要特性となる。より高性能の除去性能を得、かつ本願発明の目的である安全性のリスク低減が効果的に発揮されることから、より好ましくは20ml/min以上、さらに好ましくは30ml/min以上である。また、過剰に高いクリアランス性能は、膜の孔径が大きくなり、流れの分布制御をしても通常の流れ部でも逆ろ過の影響が大きくなりうるため、クリアランスは100ml/min以下が好ましく、90ml/min以下がより好ましく、80ml/min以下がさらに好ましい。なお、偏流抑制、逆ろ過抑制の効果はクリアランス性能に最もよく表れ、また、低分子量物質よりも高分子量物質に対してより顕著であることから、本願発明においてはミオグロビン(分子量17,000、ストークス半径1.95Å)を用いて効果の確認を行った。
クリアランス(ml/min) = Cin / Cout ×200
透析器の端面における分割は、図1に示すように、透析液の入口部を上部基準にして、円形断面の中央部を中空糸膜束外円半径の半分の半径となる同心円を上下分割、外周部を45度角度で4分割した、計6分割とした。本願発明では、これら6分割した際の各部位に存在する中空糸膜のミオグロビンの透過性能であるクリアランス性能が、分割しない血液浄化器全体のクリアランス性能の±10%以内となる均一性を有することとしている。全体値よりも分割部におけるクリアランスが10%以上高い場合は、その部分において逆ろ過が誘起されていると考えられる、また低くなっている場合は、偏流等による物質交換能の低下が示唆される。本願における分割評価は、透析液の流入部を中心として、上下での流れ差異影響が最も大きくなり、左右の分布は、ある程度均等分配されやすいため、図1に示す分割での評価が最適である。また本願発明では、中空糸膜1本の物質移動を扱うのではなく、処理液体の協同領域の影響を見る。このため分割数は、各部の中空糸膜が数千本単位からなる1/6の膜面積部での集合状態での測定が妥当である。
本発明において、中空糸膜の充填率は40〜65vol%が好ましい。本発明でいう充填率とは、中空糸膜型血液浄化器のケース鉛直断面における中空糸膜束の外周が形成する中空糸膜束面積に対する中空糸膜外周基準の鉛直断面積の総和の比である。充填率が高すぎると逆ろ過量が増大するため、透析使用時、エンドトキシンや造血阻害因子が透析液側から血液中に流入する可能性がある。したがって、中空糸膜の充填率は63vol%以下がより好ましく、60vol%以下がさらに好ましく、58vol%以下がよりさらに好ましい。また、中空糸膜の充填率が低すぎると透析液の偏流が発生し、逆ろ過の影響よりも偏流の影響による前述した6分割部でのクリアランスのバラツキが大きくなることがある。したがって、該充填率は42vol%以上がより好ましく、44vol%以上がさらに好ましく、46vol%以上がよりさらに好ましい。
本発明において、中空糸膜の内径は170μm以上230μm以下であることが好ましい。内径が、170μmより小さくなると血液通液時の圧力損失により極度のろ過を生じることがある。したがって、中空糸膜内径は180μm以上がより好ましく、190μm以上がさらに好ましい。また、中空糸膜内径が230μm以上になると、血液の線速度低下による除去効率低下、プライミングボリュームの増加による体外循環血液量の増加による患者への負担が大きくなる可能性がある。したがって、中空糸膜内径は220μm以下がより好ましく、210μm以下がさらに好ましい。
本発明において、血液浄化器内の中空糸膜の有効長は100mm以上300mm以下であることが好ましい。有効長の増加は、中空糸膜内部の流通時の圧力損失増加を起こし、ろ過を著しく高めてしまう。したがって、有効長は270mm以下がより好ましく、250mm以下がさらに好ましい。また、有効長が短いと、有効膜面積の確保のために中空糸膜本数を増加させる必要があり、各中空糸膜への血液の均等分配が難しくなるとか、透析器を作製する際のケースへの充填法等の生産上の技術課題も大きくなる可能性がある。したがって、中空糸膜の有効長は、より好ましくは150mm以上、さらに好ましくは180mm以上である。
以下、本発明をさらに具体的に説明するために実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例、比較例中のミオグロビンのクリアランス測定、端面での中空糸膜存在状態評価法については、以下の記載の方法に従った。
(ミオグロビンクリアランスの測定)
透析器の血液側の流通液は、円形端面中心部に流入口のあるヘッダーを取りつけ、出口部を分割板を用いて、図1に示すような多分割を行なう。試験液は、0.1g/lの濃度で透析液(キンダリー液2号を35倍希釈)に溶解したミオグロビン(sigma M−0630)溶液を用いた。血液(ミオグロビン溶液)入口流量200ml/min、分割部の全てから回収される出口流量200ml/min、透析液(ミオグロビン溶解液と同一組成)流量500ml/minの条件にて透析操作を実施する。流通開始5分後に、処理液の入口液、分割部からの出口液または全体の混合液をサンプリングし、入口濃度(Cin)、出口濃度(Cout)を紫外吸収による定量法から算出した。これらの値と下記式により、各々の分割部のクリアランス、全体のクリアランスを算出した。
クリアランス(ml/min) = Cin / Cout ×200
(中空糸の内径、外径、膜厚の測定)
中空糸断面のサンプルは以下のようにして得ることができる。中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ2〜3mmの穴に中空糸膜が抜け落ちない程度に適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットする。得られた中空糸膜断面サンプル、投影機Nikon−12Aを用いて中空糸膜断面の短径、長径を測定した。中空糸膜断面1個につき2方向の短径、長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とし、膜厚は(外径−内径)/2で算出した。10断面について同様に測定を行い、平均値を外径(B)、内径、膜厚とした。
(端面充填率の測定)
透析器端面に存在する中空糸膜束の最も外周に位置する場所が形成する円が成す径を、ノギスを用いて5点測定する。この時、糸が極端に円周部より外れているようなものは除く。この平均値を用いて、中空糸膜束面積を算出する。上記で求めた中空糸膜外径(B)を用いて中空糸膜外面基準の断面積を算出する。これに端面束中に含有される糸本数を乗じ、中空糸膜束中に占める中空糸膜部面積を求め、上記の中空糸膜束面積に対する中空糸膜部面積の割合を端面充填率(R)として求める。
中空糸膜部面積=π×{(B)/2}2×中空糸膜本数
端面充填率(vol%)=中空糸膜部面積/中空糸膜束面積
(最近接中空糸膜の存在分布評価)
最近接中空糸膜の存在分布評価は、以下の方法による。一連の操作は、画像処理装置(Image-Pro-Plus、Media Cybernetics,Inc製)およびコンピューター上で実施される。糸本数約10000本からなる透析器の端面の観察像を無作為に各視野中に約200個程度の中空糸膜が含まれるようにほぼ正四角形の20視野を撮る。各視野中の中央付近の30個の中空糸膜について、各々の中空糸膜の重心点から周囲に存在する別の中空糸膜の重心点までの距離を求める。この操作を全視野に対して実施し、任意の中空糸膜に対する別の中空糸膜の存在確率分布を示す分布曲線を作成する。この際、20μmの幅で刻んだヒストグラムから分布状態を評価した。これにより、任意の中空糸膜の最近接中空糸膜の存在確率が最も高くなる距離(A)を求めた。
(実施例1)
紡糸原液として、セルローストリアセテート(ダイセル化学社製)17.5重量%、N−メチル−ピロリドン57.75重量%、トリエチレングリコール24.75%を180℃にて溶解したものを用いた。これを2重管口金の外周部より吐出し、芯液として流動パラフィンを吐出し、乾湿式紡糸により、中空糸膜を作成した。中空糸膜は、ノズル直下の空中走行後、凝固、水洗、グリセリン処理、乾燥を行なった。この間、中空糸膜は、4本が平行に走行させる多錘での紡糸を実施し、全ての工程は、1本づつをガイドにより分けて走行させた。ガイドにより分けられた中空糸膜の間隔は、10mmであった。
この後、4本の中空糸膜を、横に4つの谷部を配置し中心間隔4mmを有するセラミック製トラバースガイドの1本づつを通した後、4本の中空糸膜を1本のボビンに巻き取った。この後、巻き取ったボビンを捲縮付与工程として80℃のエアー下で20時間放置した。得られた中空糸膜は、内径199μm、膜厚15μmであった。また、中空糸膜には捲縮が形成されていた。その後ボビンから2点カセ巻き機により中空糸膜をカセに巻取り、中空糸膜バンドルを作成した。この時、透析器のサイズに応じて糸巻き数を設定し所望の膜面積、充填率の透析器を得る。バンドルは、所定長に切断後、遠心により中空部の流動パラフィンを除去し、血液透析器の円筒容器に挿入した後、ウレタン樹脂により端部の遠心接着を実施し、ウレタン樹脂の固化後、余分な樹脂を切断し、中空糸膜型血液透析器に組み立てた。この後、再度中空部の流動パラフィンをヘキサンにて洗浄した。透析器の膜面積は1.5m2、充填率は48%、有効長は225mmである。
得られた試験品のミオグロビンのクリアランス(ml/min)を5本の透析器で測定した。測定結果を表1に示す。また、透析器端面の、端面充填率Rは0.53、中空糸膜の平均外径Bは229μm、最近接距離Aは、420μmであり、A×R/Bは0.97となった。
Figure 2005152295
(実施例2)
紡糸原液として、ポリエーテルスルホン(住化ケムテックス社製スミカエクセル4800P)18重量%、ポリビニルピロリドン(BASF社製K90)4重量%、ジメチルアセトアミド74重量%、水4重量%の混合溶解液を用いた。これを2重管口金の外周部より吐出し、芯液としてジメチルアセトアミド45重量%、水55重量%の溶液を吐出し、乾湿式紡糸により、中空糸膜を作成した。中空糸膜は、ノズル直下の空中走行後、凝固、水洗を行なった後、ギヤ式の捲縮付与装置を通過させた。この間、中空糸膜は、12本を平行に走行させる多錘での紡糸を実施し、全ての工程は、1本づつをガイドにより分けて走行させた。ガイドにより分けられた中空糸膜の間隔は、10mmである。
この後、12本の中空糸膜を縦方向に配置させ、スリットの中心間隔5mmを有する櫛形トラバースガイドを通して、1枠のカセに巻き取った。この時、透析器のサイズに応じた所望の糸巻き本数とする。巻き取ったカセは、フィルムに包み、所定の長さに切断後、洗浄、乾燥を実施した。中空糸膜は、内径200μm、膜厚30μmであった。また、中空糸膜には捲縮が形成されていた。バンドルは、血液透析器の円筒容器に挿入した後、ウレタン樹脂により端部の遠心接着を実施し、ウレタン樹脂の固化後、余分な樹脂を切断し、中空糸膜型血液透析器に組み立てた。透析器の膜面積は1.5m2、充填率は59%、有効長は235mmである。
得られた試験品のミオグロビンのクリアランス(ml/min)を5本の透析器で測定した。測定結果を表2に示す。また、透析器端面の、端面充填率Rは0.62、中空糸膜の平均外径Bは260μm、最近接距離Aは342μmであり、A×R/Bは0.82となった。
Figure 2005152295
(比較例1)
中空糸膜の製造工程として、トラバースへの導入直前までは(実施例1)と同一工程により中空糸膜を製造した。この後、トラバースに対して、4本の中空糸膜を合糸し、一つの谷部を有するトラバースガイドを通して、1本のボビンに巻き取った。この後、巻き取ったボビンを捲縮付与工程として80℃のエアー下で20時間放置した。得られた中空糸膜は、内径199μm、膜厚15μmであった。また、中空糸膜には捲縮が形成されていた。その後実施例1と同様に、中空糸膜型血液透析器に組み立てた。透析器の膜面積は1.5m2、充填率は48%、有効長は225mmである。
得られた試験品のミオグロビンのクリアランス(ml/min)を5本の透析器で測定した。測定結果を表3に示す。4本の中空糸膜を合糸でボビンに捲いたため中空糸膜同士の捲縮の位相がずれず、よって透析液の偏流が発生し均一なクリアランス性能が得られなかったものと思われる。また、透析器端面の、端面充填率Rは0.53、中空糸膜の平均外径Bは229μm、最近接距離Aは295μmであり、A×R/Bは0.68となった。
Figure 2005152295
(比較例2)
中空糸膜の製造工程として、トラバースへの導入直前までは実施例2と同一工程により中空糸膜を製造した。この後、12本の中空糸膜を合糸し、単一の7mmのスリット幅を有するトラバースガイドを通して、1枠のカセに巻き取った。この時、透析器のサイズに応じた所望の糸巻き本数とする。巻き取ったカセは、フィルムに包み、所定の長さに切断後、洗浄、乾燥を実施した。中空糸膜は、内径200μm、膜厚30μmであった。また、中空糸膜には捲縮が形成されていた。バンドルは、血液透析器の円筒容器に挿入した後、ウレタン樹脂により端部の遠心接着を実施し、ウレタン樹脂の固化後、余分な樹脂を切断し、中空糸膜型血液透析器に組み立てた。透析器の膜面積は1.5m2、充填率は59%、有効長は235mmである。
得られた試験品のミオグロビンのクリアランス(ml/min)を5本の透析器で測定した。測定結果を表4に示す。表に示すように、均一なクリアランス性能が観察されなかった。透析器端面の端面充填率Rは0.63、中空糸膜の平均外径Bは260μm、最近接距離Aは292μmであり、A×R/Bは0.71となった。
Figure 2005152295
本発明の血液浄化器は、逆ろ過により透析液に含まれる不純物(エンドトキシンや造血阻害因子など)、血中老廃物が血液に逆戻りすることを抑制することができるため、高い安全性と尿毒物質除去性能を両立できる。したがって、血液透析や血液透析ろ過、血液ろ過などに好適に用いることができ、産業の発展に寄与することが大である。
円筒型透析器の端面を鉛直位置から見た図であり、透析器の血液出口6分割の分割位置を示す。
符号の説明
1:透析液流入部

Claims (11)

  1. 中空糸膜を円形パイプ状のケースに装填し、該中空糸膜がパイプの長手方向にほぼ水平に配置され、両端面においてケース胴周と中空糸膜束を封止材にてほぼ同心円形に固定し、かつ両端面において中空糸膜の中空部が開口しており、該開口部より中空糸膜内部へ血液を流通させ、また中空糸膜を隔てた外面部および該ケースと封止材とからなる空間に液体を流すための2つの流路をケース側面に有し、該流路より中空糸膜外面に液体を流通させることにより、中空糸膜の内から外への物質移動を行う中空糸膜型血液浄化器において、中空糸膜の端面において円形固定位置を6分割した際の各部位に存在する中空糸膜のミオグロビンの透過性能であるクリアランス性能が、分割しない血液浄化器全体のクリアランス性能の±10%以内となる均一性を有することを特徴とする中空糸膜型血液浄化器。
  2. 中空糸膜型血液浄化器の膜面積1.5m2における血液浄化器全体のミオグロビンクリアランスが、10ml/min以上であることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜型血液浄化器。
  3. 中空糸膜型血液浄化器のケース鉛直断面における中空糸膜束の外周が形成する中空糸膜束面積に対する中空糸膜外周基準の鉛直断面積の総和の比である充填率が、40%以上65%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜型血液浄化器。
  4. 中空糸膜型血液浄化器に用いられる中空糸膜の、平均内径が、170μm以上230μm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  5. 中空糸膜型血液浄化器に用いられる中空糸膜の有効長が、100mm以上300mm以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  6. 中空糸膜型血液浄化器を構成する中空糸膜が捲縮を持つことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  7. 中空糸膜の製造過程における、紡糸した中空糸膜を巻き取る工程において、巻き取る際の中空糸膜を実質的に2本以下の集合状態にして巻き取る工程を有する製造方法により製造された中空糸膜を用いたことを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  8. 中空糸膜の製造過程における、紡糸した中空糸膜を巻き取る工程において、ボビンに巻き取る工程を有する中空糸膜を用いたことを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  9. 中空糸膜の製造過程における、紡糸した中空糸膜を巻き取る工程において、カセに巻き取る工程を有する中空糸膜を用いたことを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の中空糸膜型血液浄化器。
  10. 中空糸膜を円形パイプ状のケースに装填し、中空糸膜はパイプの長手方向にほぼ水平に配置され、両端面においてケースと中空糸膜を封止材にてほぼ同心円形に固定し、かつ両端面における中空糸膜の中空部が開口しており、該開口部より中空糸膜内部へ血液を流通させ、中空糸膜を隔てた外面部に該ケースと封止材とからなる空間に液体を流すための2つの流路をケース側面に有し、該流路より中空糸膜外面に液体を流通させ、中空糸膜の内外での物質移動を行う中空糸膜型血液浄化器において、該血液浄化器端面の中空糸膜の円形固定位置の最外周に位置する中空糸膜を結んだほぼ真円形からなる円の面積と中空糸膜の占める面積の比である端面充填率(R)、端面に固定された任意の中空糸膜の中心から近接の中空糸膜の中心への距離を存在確率分布曲線で表した時の最近接中空糸膜の存在確率の最も高くなる距離(A)、中空糸膜の平均外径(B)としたとき、A×R/Bが0.75以上1.00以下となることを特徴とする中空糸膜型血液浄化器。
  11. 中空糸膜型血液浄化器を構成する中空糸膜が捲縮を持つことを特徴とする請求項10に記載の中空糸膜型血液浄化器。
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