JP2005152095A - カテーテルシステム、目標物の破砕および回収方法、および破砕した目標物を回収するためのチューブ - Google Patents

カテーテルシステム、目標物の破砕および回収方法、および破砕した目標物を回収するためのチューブ Download PDF

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Abstract

【課題】 人体に対する負担を増大することなく、液体ジェット流により破砕した血栓を回収することができるカテーテルを提供する。
【解決手段】 本発明のカテーテル1は、レーザー発振器2からのレーザー光が導光される光ファイバー3が内部に挿通され、当該光ファイバー3の先端部から照射されるレーザー光を吸収する所定の液体Wが充填されたチューブ10を有し、光ファイバー3の先端部から照射されたレーザー光により液体Wに液体ジェット流Jを生じさせチューブ10の先端部から噴射するようにしたカテーテル1において、チューブ10内で該液体ジェット流Jとは反対向きの流れを発生させ、液体ジェット流Jにより破砕した血栓をチューブ10先端から吸引することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、血管を閉塞する血栓等を破砕し除去するカテーテルシステム、目標物の破砕および回収方法、および破砕した目標物を回収するためのチューブに関する。
近年、人の血管が閉塞される血栓症の治療を行なう手段として、レーザー光により液体ジェットを発生させ、破砕する方法が行なわれている。この治療法は、血栓溶解剤を大量に投与する必要がなくなるため重篤な副作用を招くおそれがなくなり、早期血流再開が可能なことから、血栓症の治療として大いに期待されている。特に、脳組織は、6時間以上虚血状態が続くと、それに伴う神経症状の回復は困難とされているが、発症後数時間で血流再開できると、極めて治療効果の高いものとなる。
下記特許文献1及び非特許文献1では、カテーテル内に挿入した光ファイバーに、レーザー発振器からのレーザーをパルス導光し、当該カテーテル内に充填された生理食塩水を急激に加熱し、液体ジェット流を発生させ、この液体ジェット流の力により血栓(目標物)を破砕し除去するものが記載されている。
このようなカテーテルでは、血栓を破砕できても、回収はできない。回収されなかった血栓は、血管内を流れるので、途中で引っ掛って、新たな血栓の発生要因となる虞がある。
治療の安全性をより高めるために、カテーテルとは別個に、血栓を吸引するためのチューブ等を設けて、血栓を回収することが考えられる。しかし、カテーテルとチューブとを別々に血管に挿入するとなると、人体に与える負担は増大する。血管を突き破る確率も高くなる。
特開2003−111766号公報(段落番号[0014][0015]、図1参照) 日レ医誌第22巻第3号(2001)(第217頁参照)
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、人体に対する負担を増大することなく、液体ジェット流により破砕した血栓を回収することができるカテーテルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るカテーテルは、レーザー発振器からのレーザー光が導光される光ファイバーが内部に挿通され、当該光ファイバーの先端部から照射されるレーザー光を吸収する所定の液体が充填されたチューブを有し、前記光ファイバーの先端部から照射されたレーザー光により前記液体に液体ジェット流を生じさせ前記チューブの先端部から噴射するようにしたカテーテルにおいて、前記チューブ内で該液体ジェット流とは反対向きの流れを発生させ、前記液体ジェット流により破砕した目標物を前記チューブ先端から吸引することを特徴とする。
本発明のカテーテルでは、液体ジェット流とは反対向きの流れを発生させるので、この流れに乗って目標物がチューブを通って回収される。したがって、一本のチューブにより目標物を破砕する機能と回収する機能とをそれぞれ達成できる。これらの機能が一つのチューブに統合されているので、目標物を回収するために別個のチューブを設ける場合に比べて、カテーテルの径を小さくでき、人体への負担が少ない。
チューブを内包する親カテーテルを設けると、該親カテーテルからチューブ内に輸液を供給できる。これにより、チューブの先端からの吸引を続けても、チューブ内に吸引された血液等の体液が希釈される。このため、光ファイバーからのレーザーエネルギーがチューブ内に流れ込んだ血液に照射されて血液成分が炭化し、炭化物がファイバー先端に付着して、レーザーエネルギーの照射ができなくなることを防止できる。
チューブから親カテーテルへの流出を禁止する逆止弁を設ければ、レーザー照射により発生したバブルが親カテーテルに流出せず、液体ジェット流の威力が低減されない。
チューブに形成する開口部を、光ファイバーの先端よりもチューブの先端側に形成すれば、吸引された目標物や血液が光ファイバーのレーザー光にさらされる前に、輸液がこれらに混合する。輸液が混合すると、血液濃度が希釈化され、高濃度の血液が光ファイバーのレーザー光にさらされない。したがって、血液が炭化して光ファイバー先端に付着することがない。これにより、以降の破砕機能および吸引機能を低下させずに維持できる。
また、本発明の目標物の破砕および回収方法では、同一のチューブにより、ジェット流を噴出させ、ジェット流で破砕した目標物を吸引できる。一つのチューブで目標物の破砕および回収ができるので、目標物を回収するために別個のチューブを設ける場合に比べて、チューブ全体を小さくできる。
また、本発明のチューブは、液体ジェット流発生のために必要な液体が供給される通路と、破砕した目標物を回収するための通路とを有するので、ジェット流の発生用のチューブと目標物の回収用の通路とを別々に設ける場合に比べて、全体構成を小さくできる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態全体を示す概略図、図2は液体ジェット流発生時の図1のA部拡大断面図である。
図1に示すカテーテルシステムは、例えば、人の血管が閉塞される血栓症の治療を行なうカテーテル1である。このカテーテル1は、概して、レーザー発振器2からのレーザー光が導光される光ファイバー3が挿通され、かつ術者が操作する手元操作部4と、この手元操作部4に連結され、かつ内部に前記光ファイバー3が挿通されたチューブ10と、チューブ10が挿通された親カテーテル20とを有している。
レーザー発振器2は、公知のものであるため説明は省略する。手元操作部4は、レーザー発振器2からのレーザー光が導光される前記光ファイバー3が内部に挿通され、該光ファイバー3を位置固定的に保持するY字型の保持部材5と、チューブ10の基端に取り付けられたハブ6と、Yコネクタ7と、親カテーテル20の基端に取り付けられたハブ8とから構成され、これらが直列的に連結されている。
保持部材5は、ハブ6に着脱自在に取り付けられており、光ファイバ3が挿通されるファイバー通路部5cと開口部5aが交差するように設けられている。チューブ10は、上述の通り、内部に光ファイバー3が挿通され、Yコネクタ7およびハブ8の内部を通り、親カテーテル20を通って、先端に伸延している。開口部5aは、ポンプ5bに接続されており、後述のように、チューブ10内に充填する液体Wの供給口の役割と、血栓や血液を含む液体Wの吸引口の役割を果たす。ファイバー通路部5cの先端部は、ハブ6に着脱自在に取り付け可能となっている。
Yコネクタ7は、ハブ8に着脱可能に取り付けられている。ハブ8の先端には、親カテーテル20の基端部が取付けられている。また、Yコネクタ7には、注入部7aが設けられている。注入部7aは、親カテーテル20内部に連通されており、後述する輸液Rの供給口の役割を果たす。Yコネクタ7は、親カテーテル(ガイディングカテーテル)の基端に取り付けて使用される公知のものであり、内部に筒状の弾性体および弾性体の圧縮部材を有しており、弾性体が圧縮変形されてYコネクタ7ないを挿通するチューブ10を液密に固定する。
ハブ6内を通った光ファイバー3と液体Wは、先端部に取付けられたチューブ10内に導入される。このチューブ10は、細く曲がりくねった血管であっても容易に挿入できるように、全体的には細くて柔軟であるが、強度も有するものである。
このような柔軟で強度も有する材料としては、例えば、1層のHDPE(High Density Polyethylene)あるいは2層のLLDPE(Linear Low Density Polyethylene)がある。ただし,これのみでなく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂等の各種樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴムも使用できる。
液体Wは、レーザ光のエネルギを吸収することにより気化し得る生理食塩水等に少量の血栓溶解剤が加えられたものであり、レーザ光のエネルギを吸収することにより一部が気化する。
チューブ10は、先端部近傍に、光ファイバー3の先端部からレーザー光を照射するレーザー照射部11が設けられているので、ハブ6と連結される基端部からこのレーザー照射部11までは、操作性の面から比較的剛性を有する基部剛性部10aとされ、レーザー照射部11から先端部までは、体内挿入時に血管内面の傷付きを防止するために柔軟に形成された柔軟先端部10bとされている。チューブ10は、その先端から基端まで伸びるルーメンを有し、このルーメンに光ファイバー3が挿通されるとともに、後述するように破砕した目標物を回収する通路として機能する。
なお、このような基部剛性部10aを形成するには、補強線材を入れるなどの手段があるが、弾性の高い金属材料、例えば、ステンレスあるいは超弾性合金(例えば、Ni−Ti合金)等により構成されたコイル状部材(図示せず)を内面に設けることにより形成することが好ましい。
親カテーテル20は、手元操作部4の先端から、レーザー照射部11まで延び、内部にチューブ10が挿通されている。
親カテーテル20の基端側には、シリンジポンプ7cによりリンゲル液や生理食塩水などのような輸液を注入する注入部7aが設けられている。注入部7aは、チューブ10と親カテーテル20との隙間に、後述する輸液を供給する。該隙間は、親カテーテル20の先端まで続き、後述するチューブ10の側面(チューブ壁面)に設けられた開口部10cからチューブ10内部に連通している。すなわち、親カテーテル20は、開口部10cによりチューブ10内部と連通している。
親カテーテル20は、チューブ10と同様に、細く曲がりくねった血管であっても容易に挿入できるように、全体的には細くて柔軟であるが、強度も有するものである。したがって、親カテーテル20の材料も、上記チューブ10に用いられるものを使用できる。しかしこれに限定されず、公知の親カテーテルをそのまま用いることができる。
前記レーザー照射部11は、チューブ10内であれば、どこにあっても良いが、本実施形態では、図2に示すように、チューブ10の基部剛性部10aの先端部分、つまり、基部剛性部10aと柔軟先端部10bとの間に設けられている。
レーザー照射部11は、チューブ10の内面に補強部材12が設けられている。レーザー照射部11は、カテーテル1内に充填された液体Wに吸収されやすい波長のレーザーを、光ファイバー3の先端からパルス的に照射し、液体Wを急激に加熱して、気泡(バブルB)を発生させ、液体ジェット流Jを噴射する部分である。したがって、光ファイバー3の先端近傍に対応するチューブ10の内面は、高温と、バブルBの急激な発生による加圧力が作用することになる。
このため、本実施形態のレーザー照射部11は、チューブ10の内面に補強部材12を設け、高温と加圧力が比較的柔軟なチューブ10に直接作用しないようにしている。
ここに、補強部材12とは、チューブ10の内面に取付けることができるものであればどのようなものであってもよいが、図示実施形態のものでは、金属製スリーブ12aをチューブ10の内面に圧着している。
この金属製スリーブ12aとしては、光ファイバー3の先端から照射されるレーザー光の熱に耐え得る程度の高融点を有する材料、例えば、ステンレス、タングステン、ニッケル、インコネル等を使用することが好ましく、また、これら材料は、バブルBの発生に伴って生じる衝撃的な加圧力にも対抗できることからも、より好ましいものである。
さらに、この金属製スリーブ12aに、X線不透過性材料(例えば金、銀、白金、タングステン、パラジウムまたはそれらの合金等)を、いわゆるマーカーとして設け、生体内でのカテーテル1のレーザーファイバ挿入位置をX線照射により確認できるようにしてもよい。
この金属製スリーブ12aには、先端に段部13と突部14が形成されている。この段部13は、光ファイバー3をチューブ10内に挿入するときのストッパーとして機能するもので、チューブ10内に挿入する光ファイバー3の照射位置を確認でき、実用的効果が高く、術者にとって利便性の高いものである。また、突部14は前記柔軟先端部10bの連結部として使用する。
チューブ10には開口部10cが、金属製スリーブ12aには開口部12bが設けられている。開口部10cの近傍にマーカーを設けると、親カテーテル1の先端よりも基端側に開口部10cを確実に位置させることができる。開口部10cは、液体Wをチューブ10内に充填する通路として機能する。
チューブ10と金属製スリーブ12aとの間には、逆止弁15が挟まれて設けられている。逆止弁15は、光ファイバー3先端からの発熱に耐え得るように、耐熱性を有する薄膜で形成されている。逆止弁15は、ポリ塩化ビニリデン等からなる樹脂製フィルムで形成されることが好ましい。逆止弁15は、親カテーテル20からチューブ10内への流入を許容し、逆方向の流入を防止する。したがって、親カテーテル20とチューブ10との間を流れてきた輸液Rは、チューブ10に流入するだけで、逆流することはない。
次に、本実施形態の作用を説明する。
図3は、吸引時の図1のA部拡大断面図である。
まず、術者は、カテーテル1を血管内に挿入する前に、注入部5aよりチューブ10内に液体Wを充満しておき、チューブ10内に気泡が残らないようにしておく。一方、親カテーテル20を通常のカテーテル操作に従い血管内に挿入し、輸液Rをシリンジポンプ7cによって親カテーテル20内に常時供給する。
そして、術者は、ハブ6の基端開口よりガイドワイヤ(図示せず)をチューブ10内に挿入し、通常のカテーテル操作と同様、ガイドワイヤを先行させつつ、ガイドワイヤに沿わせてカテーテル1を血管内に挿入する。この挿入時には、X線照射を行い、生体内での金属製スリーブ12aの位置をX線不透過性であるマーカーあるいはチューブ1の先端に設けたマーカー(図示せず)により確認しつつ行なうことが好ましい。このとき、輸液Rのチューブ10内への流入を確実にするために、開口部10cを親カテーテル20の先端よりも基端側に位置させる。
術者は、カテーテル1が血管内所定位置に到達したあと、ガイドワイヤをチューブ10から除去し、ハブ6に保持部材5を接続し、光ファイバー3をチューブ10を通って先端が金属製スリーブ12aの段部13に当接するまで挿入する。
そのあと、術者は、レーザー発振器2を動作させる。パルスレーザー光が光ファイバー3を通り、液体Wに照射される。
この照射は、金属製スリーブ12a内で行なわれる。液体Wは、パルスレーザー光により急激に加熱され、バブルBが間欠的に発生し、これにより補強部材12内の液体Wが急激に金属製スリーブ12aの出口を通って流出し、いわゆる液体ジェット流Jとなって柔軟先端部10bから間欠的に噴射される。ここで、逆止弁15により親カテーテル20側への流出が制限されているので、バブルBが開口部10cおよび開口部12bから親カテーテル20側に流出することはない。したがって、液体ジェット流の威力が低減されない。
同時に、術者は、ポンプ5bによって注入部5aから液体Wを吸引しつつ、一方で、注入部6aから輸液Rを注入する。すると、図3に示すように、液体ジェット流Jとは反対向きの流れが発生し、液体ジェット流Jにより破砕された血栓が血液と共にチューブ10先端から吸引される。この吸引は、主に、液体ジェット流Jが発生していないとき、すなわち液体ジェット流Jの発生と次の発生との間に実行される。
このように、本実施形態のカテーテル1では、一本のチューブ10により目標物を破砕する機能と回収する機能とをそれぞれ達成できる。これらの機能が一つのチューブ10に統合されているので、目標物を回収するために別個にチューブを設ける場合に比べて、カテーテルの径を小さくでき、人体への負担が少ない。
吸引された血液は、開口部10cからチューブ10内に流入される輸液Rにより希釈される。ここで、開口部10cおよび12bは、光ファイバー3の先端よりも、チューブ10の先端部側に形成されることが好ましい。これにより、吸引された血栓や血液は、光ファイバー3のレーザー光にさらされる前に、確実に輸液Rにより希釈される。高濃度の血液が光ファイバー3のレーザー光にさらされないので、血液が炭化して光ファイバー3先端に付着することがない。結果として、以降の破砕機能および吸引機能を低下させることなく維持できる。
また、光ファイバー3の先端に対応するチューブ10の内面には、高温と、バブルBの急激な発生による加圧力が作用することになるが、本実施形態では、ここに金属製スリーブ12aが設けられているので、前記高温がチューブ10を直接加熱したり、バブルBの急激な発生による加圧力がチューブ10に直接作用することはない。
この結果、チューブ10内で発生したバブルBは、殆どが液体Wを押し出す力として作用し、液体ジェット流Jが前方の血栓に向かって噴射される。この液体ジェット流は、強力に血栓に衝突し、血栓溶解剤の補助もあるが、これを破砕し、血液の再還流を開始させることになる。
なお、上記第1実施形態では、輸液Rが1箇所からチューブ10内に流入するものとして説明したが、これに限定されない。複数箇所から輸液Rが流入してもよい。この場合、開口部10cおよび12bを複数設ける。
次に、第2実施形態〜第5実施形態により、補強部材12の変形例を示す。
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態を示すチューブの断面図である。なお、前記図1〜3と共通する部材には同一符号を付し、説明は省略する。
第1実施形態の補強部材12は、光ファイバー3から照射されるレーザー光を反射する反射層16が金属製スリーブ12aの内面に形成されている。このような反射層16を形成すれば、照射されたレーザー光が不必要に周囲に拡散することを防止し、レーザー光の利用効率を高め、結果的に液体ジェットの力を高めることもできる。
この反射層16は、金属製スリーブ12aの内面処理により形成するが、内面処理法としては、例えば、DLC(Diamond Like Carbon)、メッキによるコーティング、鏡面処理などが好ましい。なお、反射層16により輸液Rのチューブ10への流入が妨げられないように、反射層16にも開口部を設ける必要がある。
また、マーカーなどを使用すれば、レーザー照射位置も容易に分かるので、段部13や突部14も形成することなく、直管のチューブ10を使用しても良い。
<第3実施形態>
図5は、本発明の第3実施形態を示すチューブの断面図である。
前記第2実施形態の金属製スリーブ12aは、断面円筒状の直管であるが、当該金属製スリーブ12aは、必ずしも断面円筒状の直管のみでなく、先細りもテーパ状としてもよく、また、断面が矩形、楕円形等のような異形管であってもよい。
このようなテーパ状にすると、液体ジェット流Jが金属製スリーブ12aにより更に流速が高められ、より強烈に血栓に向かって噴射され、血栓に衝突し、これを破砕し、血液の再還流を開始させることができる。また、異形管であって同様な結果を得ることができる。
<第4実施形態>
図6は、本発明の第4実施形態を示すチューブの断面図である。
前記実施形態の補強部材12は、チューブ10の内面に金属製スリーブ12aを設けたものであるが、この補強部材12は、光ファイバー3が発する熱に耐え得る高融点でかつ所定の剛性を有するものであればよいので、本実施形態では、チューブ10の内面に直接保護膜層12cを形成することにより前記補強部材12としている。
この保護膜層12cとしては、チューブ10の内面に直接処理を施すことにより形成する。この内面処理法としては、前記反射層16と同様、例えば、DLC、メッキによるコーティング、鏡面処理などが好ましい。反射層16の形成の際には、逆止弁15をチューブ10との間に挟み込まれるように、チューブ10に逆止弁15を接着しておく。これにより、逆止弁15がしっかりとチューブ10および反射層16間に保持される。
<第5実施形態>
図7は、本発明の第5実施形態を示すチューブの断面図である。
前記実施形態の補強部材12は、チューブ10の内面に薄い肉厚tのスリーブ12aあるいは保護膜層12cを設けたものであるが、このような補強部材12では、チューブ10の柔軟性が部分的ではあるが阻害されることになるので、本実施形態では、コイル状部材12dにより補強部材12を構成している。
コイル状部材12dの具体例としては、直径あるいは厚さが0.001〜0.5mmのステンレス鋼、ピアノ線等が中空のコイル状に形成されたものである。X線造影マーカーとして機能するように、X線不透過性材料またはこのような材料を一部に有するものにより構成してもよい。また、前記光ファイバー3の先端部が当るストッパーとして機能するように、コイル部材12dの先端若しくは一部のコイルを減径して減径部17を形成してもよい。
さらに、比較的剛性のあるチューブ10とし、操作性を高めるには、前記基部剛性部10aのチューブ10内に前記コイル状部材12dを設けてもよい。つまり、手元操作部4からレーザー照射部11までのチューブ10全体に前記コイル状部材12dを設けてもよい。このような構成した本実施形態のカテーテル1は、治療時に、手元操作部4やチューブ10等に軸直角方向変位や、捩り等が加えられても、手元操作部4からレーザー照射部11までチューブ10内にコイル部材12dが設けられているので、外力に対する強度があり、カテーテル1の折れ曲がりや破損が防止乃至抑制され、チューブ10のキンクや破損等も生じることはない。
<第6実施形態>
図8は本発明の第6実施形態を示すチューブ先端の断面図、図9は図8の9−9断面図、図10は手元操作部の断面図である。
上記第1〜第5実施形態では、親カテーテル20内に、チューブ10を挿通させて、親カテーテル20内を2層構造として、液体Wの通路と輸液の通路とを別々に設けていた。第6実施形態では、親カテーテル20にチューブ10を挿通させるのではなく、チューブ内に予め2つの経路を形成しておき、一方の経路で液体Wを供給しつつ、他方の経路から血栓を吸引する。
図8および図9を参照すると、第6実施形態のチューブ10’は、内部に通路R1と通路R2とが形成されている。通路R1には、光ファイバー3が挿通されており、通路R2にはガイドワイヤGWが挿通されている。ガイドワイヤGWは、チューブ10’先端が血管内所定位置に到達するまで用いられる。その後、ガイドワイヤGWは、チューブ10’の経路R2から除去される。
光ファイバー3により、ジェット流Jが前方の血栓に向かって噴射される際、通路R1には液体Wが供給され、絶えず、光ファイバー3の先端に液体Wが供給される。また、通路R2では、後述するポンプPによる吸引が行われ、血栓等が回収される。液体Wの供給と、血栓の回収のための吸引は、手元操作部4の操作により行われる。手元操作部5の構成は図10に示す通りである。
図10に示すように、図1に示すYコネクタ7の代わりに、継ぎ部材9が設けられている。継ぎ部材9は、Y字アダプタ5と、チューブ10’とを接続する。継ぎ部材9内には、2本の筒状のチューブ90、91が設けられている。
チューブ90は、Y字アダプタ5とチューブ10’の経路R1とを密に接続する。これにより、Y字アダプタ5の開口部5aから液体Wが供給されると、液体Wが漏れることなく、チューブ90を通過して、通路R1に流入される。流入された液体Wは、通路R1を通って、チューブ10’の先端に進む。
チューブ91は、吸引口92とチューブ10’の経路R2とを密に接続する。吸引口92は、ガイドワイヤGWをチューブ10’内に挿入するための入り口の役割を果たす。また、吸引口92は、ガイドワイヤGWを除去した後に、ポンプPと接続され、血栓等の排出口の役割を果たす。チューブ91が吸引口92と経路R2とを密に接続するので、吸引した血栓等は途中で漏れることなく、吸引口92外部のポンプPに吸引される。
このように、一本のチューブ10’内に、液体W供給用の通路と、ジェット流とは反対向きの流れを許容して血栓等を回収するための通路とを形成できる。したがって、本実施形態のカテーテルでは、一本のチューブ10’により目標物を破砕する機能と回収する機能とをそれぞれ達成できる。これらの機能が一つのチューブ10’に統合されているので、目標物を回収するために別個にチューブを設ける場合に比べて、カテーテルの径を小さくでき、人体への負担が少ない。
本発明は、上述した種々の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、前記カテーテルは、補強部材12をチューブの先端に設けたものであるが、手元操作部近傍に設けても良く、また、血栓の破砕のみに使用するものでのみでなく、他のもの、例えば、レーザーメスなどとしても使用することができる。
本発明は、カテーテル内に充填された液体に吸収されやすい波長のレーザーを、光ファイバーの先端からパルス的に照射し、液体を急激に加熱して、バブルを発生させ、これにより生じた液体ジェット流により血栓を破砕し、かつ破砕した血栓を吸引する治療器具として利用できる。
本発明の第1実施形態全体を示す概略正面図である。 液体ジェット流発生時の図1のA部拡大断面図である。 吸引時の図1のA部拡大断面図である。 本発明の第2実施形態を示すチューブの断面図である。 本発明の第3実施形態を示すチューブの断面図である。 本発明の第4実施形態を示すチューブの断面図である。 本発明の第5実施形態を示すチューブの断面図である。 本発明の第6実施形態を示すチューブ先端の断面図である。 図8の9−9断面図である。 手元操作部の断面図である。
符号の説明
1…カテーテル、
2…レーザー発振器、
3…光ファイバー、
4…手元操作部、
5…保持部材、
7…Yコネクタ、
10…チューブ、
10a…基部剛性部、
10b…柔軟先端部、
10c…開口部、
12…補強部材、
12a…金属製スリーブ、
12b…開口部、
12c…保護膜層、
12d…コイル状部材、
13…段部(ストッパー)、
15…逆止弁、
16…反射層、
17…減径部、
20…親カテーテル、
B…バブル、
J…液体ジェット流、
R…輸液、
W…液体。

Claims (7)

  1. レーザー発振器からのレーザー光が導光される光ファイバーが内部に挿通され、当該光ファイバーの先端部から照射されるレーザー光を吸収する所定の液体が充填されるチューブを有し、前記光ファイバーの先端部から照射されたレーザー光により前記液体に液体ジェット流を生じさせ前記チューブの先端部から噴射するようにしたカテーテルシステムにおいて、
    前記チューブ内で該液体ジェット流とは反対向きの流れを発生させ、前記液体ジェット流により破砕した目標物を前記チューブ先端から吸引することを特徴とするカテーテルシステム。
  2. 前記チューブが挿通され、該チューブの側面の一部に設けられた開口部により該チューブ内部と連通される親カテーテルをさらに有し、
    前記親カテーテルには基端側から輸液が供給され、該輸液は前記親カテーテルの先端側で前記開口部から前記チューブ内に流入されることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルシステム。
  3. 前記開口部には、前記チューブから前記親カテーテルへの流出を禁止する逆止弁が設けられることを特徴とする請求項2に記載のカテーテルシステム。
  4. 前記開口部は、前記光ファイバーの先端よりも、前記チューブの先端部側に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のカテーテルシステム。
  5. レーザー発振器からのレーザー光が導光される光ファイバーが内部に挿通されるチューブ内に、前記レーザー光を吸収する所定の液体を充填するステップと、
    前記光ファイバーから前記液体にレーザー光を照射し、前記液体に液体ジェット流を生じさせ、前記チューブの先端部から噴出するステップと、
    前記チューブ内で前記ジェット流と反対向きの流れを発生させ、前記液体ジェット流により破砕した目標物を前記チューブ先端から吸引するステップと、
    を含むことを特徴とする目標物の破砕および回収方法。
  6. 前記チューブが挿通される親カテーテルの基端側から輸液を供給し、該親カテーテルの先端側もしくは近傍で、前記チューブの側面の一部に設けられた開口部から前記輸液を流入させるステップをさらに有することを特徴とする請求項5に記載の目標物の破砕および回収方法。
  7. レーザー発振器からのレーザー光が導光される光ファイバーが内部に挿通され、該レーザー光を吸収する所定の液体が充填され、前記光ファイバーの先端部から照射されたレーザー光により前記液体に液体ジェット流を生じさせて先端部から噴射して目標物を破砕し、破砕した目標物を回収する用途に用いられるチューブであって、
    前記液体が供給される通路と、
    前記液体ジェット流とは反対向きの流れを許容し、前記破砕した目標物を回収するための通路と、
    を有するチューブ。
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