JP2005151182A - デジタル情報坦体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数の画像オブジェクトを構成要素として備え、2個以上の画像オブジェクトによって構成されるクラスター情報坦体を含み、構成要素となる当該2個以上の画像オブジェクトの相対的関係にビットデータが対応付けられてなるデジタル情報坦体を用いた。そして、前記クラスター情報坦体は、構成要素となる当該2個以上の画像オブジェクトがクラスター情報坦体を構成するか否かの判定条件を対応付けた。
【選択図】 図1
Description
具体的には、画像オブジェクトが結合してなるクラスター情報坦体を文書の視認可能な他の内容物(文字、画像、背景など)に対してブレンドさせること、部分的走査などの画像認識手段によってデジタル情報坦体にアクセスすること、印刷された文書と電子文書とを継ぎ目無く統合すること、及び文書上において位置情報を知るための方法や文書の記載内容と相互的な処理をするための方法を提供することに関する。
ドットコード
印刷時に発生する汚れなど表示上のノイズや汚れをいう。ドットによってデジタル情報坦体が構成される場合にはこの影響が顕著であり、画像オブジェクトを配置する格子を定義して除去することが一般的である。
デジタル情報坦体の表示時や読込時に、画像オブジェクトが理想的形状からずれて表示されたり、認識されたりすることで発生する。具体的には、表示時においては印刷の送り速度のばらつきなどが、読込時においてはスキャナーの走査速度のばらつき、カメラのチルトなどが原因となる。2次元コードなど特に複数の画像オブジェクトで構成される場合にこの影響が顕著となる。
また、表示歪み以外に、画像オブジェクトの色にビットデータを符号化する場合には、理想的な色からのずれ、即ち色差も同様に誤認識のもととなる。
例えば、文書を上下逆転させた状態でデジタル情報坦体を読込んだ場合に、上下逆転であることに気付かないまま復号化すると、誤った情報が生成される。対称性が高い画像オブジェクトの場合には特に問題となる。
認識範囲に部分的に認識困難な画像オブジェクトがあった場合に、認識範囲内の画像オブジェクト全体が復号化不能となったり、誤認識されたりする可能性がある。所定範囲の複数の画像オブジェクトからなる一群から一の情報を得る場合に特に問題となる。
したがって、大容量の情報を容易に表示可能であり、復号化にあっては誤認識の可能性が少なく、かつ高速で処理されやすいデジタル情報坦体が求められている。
そこで、本願ではこれらの問題を解決するデジタル情報坦体やこれを取り扱う方法やシステムなどを提供することを目的とする。
ここで、デジタル情報坦体とはビットデータが符号化されてなる画像オブジェクトの集合体であって、画像オブジェクトとは、画像ピクセルの集合体で構成されるものである。
また、相対的関係とは、形状や色の異同、最長主直径比など複数の画像オブジェクトの形態の関係や重心間距離、相対角度など複数の画像オブジェクトの配置の関係をいう。
上記のごとく、相対的関係としては多くの関係を規定することが可能であるから、一つのクラスター情報坦体には、構成画像オブジェクトごとにビットデータを対応づけるよりも多くのビットデータを対応づけることが実現される。すなわち、一つのクラスター情報坦体で多くの情報を表示することが実現される。このため、デジタル情報坦体の構成画像オブジェクト量が少なくなり、画像の表示密度を下げることが実現される。従って、ゴーストドットなどの影響が少なくなり、認識されにくく、表示が容易で、認識速度が速いデジタル情報坦体が実現される。
また、一つのクラスター情報坦体で多くの情報を表示できるということは少ない画像表示領域に多くの情報が表示されうることを意味する。このため、デジタル情報坦体が位置情報を示す場合には、位置の分解能が高くなる。
さらに、クラスター構造の画像認識に関する既存技術に基づく形態抽出技術を用いて一般的な画像処理が可能である。このため、画像処理速度が高く、誤認識が発生しにくい。従って、高密度表示が可能となり、大容量化にも対応したデジタル情報坦体が実現される。
係るデジタル情報坦体は、ビットデータが対応付けられていない相対的関係を任意とされることで、異なる形態を有しながら同一のビットデータを表示するクラスター情報坦体が生成される。このため、表示形態に高い自由度が得られる。従って、表示歪みが発生しにくく、表示しやすい形態を選択することが実現され、或いはゴーストドットと区別しやすく認識されやすい形態を選択することが実現される。さらに、デジタル情報坦体を既存の文書表示内に混在させるときには、その存在が目立たない形態を選択することも実現される。
係るデジタル情報坦体は、異なるクラスター情報坦体が画像オブジェクトのいくつかを共有する。このため、クラスター情報坦体が高密度に表示される。従って、大容量化に対応したデジタル情報坦体が実現される。
ここで、判定を行う処理全体をクラスター関数と称する。
係るデジタル情報坦体では、復号化によってビットデータを生成する前にデジタル情報坦体を構成する各画像オブジェクトについて復号化の対象であるか否かが特定される。このため、ゴーストドットを識別しやすく、誤認識が発生しにくい。また、同一のクラスター情報坦体の判定に異なる判定条件を設定可能である。このため、表示態様ごとに異なったクラスター関数を設定することが実現される。具体的には、例えば印刷物に適したクラスター関数や電子表示に適したクラスター関数などを設定することが実現される。このように、表示態様ごとに最適のクラスター関数を設定することで、誤認識の発生がさらに抑制される。
係るデジタル情報坦体は、一つのクラスター情報坦体に多くのビットデータが対応付けることが実現される。このため、デジタル情報坦体の構成画像オブジェクト量が少なくなり、画像の表示密度を下げることが実現される。従って、ゴーストドットなどの影響が少なくなり、誤認識されにくく、表示が容易で、認識速度が速いデジタル情報坦体が実現される。
さらに、クラスター情報坦体であることを判定する段階で相対関係が所定の関係であることが確認されているので、特に誤認識が発生しにくいデジタル情報坦体が実現される。
ゴーストドットは前述のように、他の画像オブジェクトと特定の相対配置を有する可能性は低い。このため、係るデジタル情報坦体のごとくクラスター情報坦体の相対配置に情報が含まれている場合には、その情報の生成の過程でゴーストドットであることが容易に識別される。従って、誤認識が起こりにくいデジタル情報坦体が提供される。
また、クラスター情報坦体が保持するビットデータが相対配置にも付与されている場合には、情報のダブルチェックとなるので、誤認識が特に起こりにくいデジタル情報坦体が提供される。
さらに、クラスター情報坦体が保持するビットデータとは異なる情報が付与されている場合には、単位表示面積当たりの情報量が増加することとなるので、高密度表示可能となり大容量化に対応したデジタル情報坦体が提供される。
その上、クラスター情報坦体と相対配置とを組み合わせて一の情報を符号化する場合には、複数のクラスター情報坦体が保持するビットデータを統合して一の情報とすることも可能となるので、大容量化に対応したデジタル情報坦体が提供される。また、複数の復号化プロセスを組み合わせて一の情報を生成させることになるので情報の秘匿性が向上したデジタル情報坦体となる。
係るクラスター情報坦体では、一の情報のもととなるビットデータはクラスター情報坦体が有し、その統合規則に関する情報を相対配置が有しているので、デジタル情報坦体の表示できる情報量は非常に多い。従って、大容量化に対応したデジタル情報坦体が実現される。なお、クラスター情報坦体等の復号化における最小単位の一群であって、所定の統合規則によって一の情報を構築することが可能なものを論理ブロックと称する。
係るクラスター情報坦体では、相対配置を認識するだけで座標軸や方位の帰属が実現される。このため、クラスター情報坦体に座標軸や方位に関する情報を対応づける必要がなく、クラスター情報坦体が符号化可能な情報量が相対的に増加する。従って、大容量化に対応したデジタル情報坦体が実現される。
また、クラスター情報坦体自体は対称性が高くても座標軸や方位を容易に認識可能となる。クラスター情報坦体の対称性が高い方が一般的には表示容易性が高く、クラスター情報坦体としては誤認識されにくい。このため、クラスター情報坦体自体の対称性は高いものを用い、座標軸や方位の情報は相対配置に付与すれば、誤認識されにくいデジタル情報坦体が実現される。
座標軸を誤認識すると正しい情報が得られることは極めて困難となる。このため、座標軸の認識は誤認識を避けるために特に重要である。係るクラスター情報坦体では、配置間隔を認識するだけで座標軸が容易に帰属されるので、特に誤認識されにくいデジタル情報坦体が実現される。
係るデジタル情報坦体が一次元配列の場合には、残りのd−e個のクラスター情報坦体によって形成される配列方向に対するずれ方向を常に一定とすることで、順方向の配列か逆方向の配列かを判定することが実現される。
また、係るデジタル情報坦体が二次元配列の場合には、残りのd−e個のクラスター情報坦体によって形成される配列方向を一方の座標軸と一致させ、ずれ方向によってその座標軸の正方向がいずれかであるかを判定可能とすることで、他方の座標軸についても一義的に認識することが実現される。
このように、ずれ方向を適切に設定することで、個々のクラスター情報坦体を復号化する前に配置間隔から座標軸や方位が容易に帰属される。このため、誤認識されにくいデジタル情報坦体が実現される。
ここで、単位情報坦体はクラスター情報坦体または画像オブジェクトである。また、論理ブロックとは単位情報坦体の一群であって、所定の統合規則によって一の情報を構築することが可能なものであり、一般には、単位情報坦体が行列状に配置されたものをいう。なお、論理ブロックを構成する個々の単位情報坦体が復号化されてなるビットデータの一群も論理ブロックと称する場合もある。
本発明に係る論理ブロックではこれを構成する単位情報坦体の置換が許容されるので、論理ブロックの形状が随時変化しうる。この点で従来の論理ブロックとは異なるため、仮想ブロックとも称する。従って、以降の説明では論理ブロックとは、従来の論理ブロックと仮想ブロックとを含む意味で用いられる場合もある。
上記のように仮想ブロックの形状が変化可能なため、デジタル情報坦体の認識の対象範囲である認識範囲が入力装置の移動に合わせて移動した場合にも、置換を繰り返しながら適宜新たな仮想ブロックを形成して、認識範囲の移動に追従することが実現される。従って、認識範囲の移動に伴って一時的に認識不可能となる事態が発生しにくく、誤認識されにくいデジタル情報坦体が実現される。
また、認識範囲内の画像オブジェクトの一部が認識不能でなってもこれを回避して仮想ブロックを形成することも実現される。このため、画像の認識段階で必ずしも良好といえない場合でも、所定の情報が実現される。従って、係る仮想ブロックを構成可能なデジタル情報坦体は外乱に強く、誤認識されにくい。
係るデジタル情報坦体では、一の情報の構成に関与しない単位情報坦体を冗長化坦体として用いることが実現される。このため、仮想ブロック内の単位情報坦体の一部が認識不能となっても冗長化坦体で補完できる場合がある、また、仮想ブロック内のこの冗長化坦体数は表示態様に合わせて設定してもよい。具体的には、低dpiの一般プリンターなどで作成されたデジタル情報坦体では誤認識の可能性が高いので冗長化坦体数を多く設定し、これに対し、高品質印刷機などで作成されたデジタル情報坦体では誤認識の可能性が低いので冗長化坦体数を少なく設定する。なお、冗長化坦体数が多くなると誤認識を回避しやすいが、仮想ブロックの構成要素数が増えるので一の情報を得るための処理負荷が増大する。
係るデジタル情報坦体では、仮想ブロックを認識することで位置情報を得ることが実現され、さらに、認識範囲が微小移動しても適切な位置情報が継続的に提供されることが実現される。
v(i,j) = bm
v(i+1,j) = bm+1
を満たし、ビット行列Vの他方の配列軸(j軸)に隣接する二の行列要素v(i,j)、v(i,j+1)は、配列要素bmのj軸側のずれ量をaとして、
v(i,j) = bm
v(i,j+1) = bm+a
を満たし、j軸側のずれ量aは2以上の整数であることを特徴とする。
係るデジタル情報坦体を復号化して得られるビット行列Vは、どの配列要素を起点にしても、主走査方向の配列数をa個とする論理ブロックの構成要素を統合して得られるビット配列は参照用ビット配列の部分配列をなす。このため、任意の場所を始点にして論理ブロックを形成することが実現され、良好に認識されなかった行列要素を回避して論理ブロックを構築可能である。従って、一部の認識不能が認識範囲全体の認識を困難とすることが回避され、結果的に認識速度が向上し、誤認識の可能性も低下する。
係る統合で参照用ビット配列Bの部分配列と同一のビット配列を形成する仮想ブロックを構成可能なデジタル情報坦体は、任意の場所を始点として仮想ブロックを構成することが実現される。このため、従来の論理ブロックに比べてブロックを構成するか否かの判定が迅速に行われるため認識速度が高く、誤認識が発生しにくいデジタル情報坦体が実現される。
また、i軸側の配列長をaとすることで、形成される仮想ブロックは行列形状をなしうる。行列形状であることから認識が容易となる。従って誤認識が発生しにくいデジタル情報坦体が実現される。
こうして構築される論理ブロックは、構成要素を統合して得られる配列を参照用ビット配列Bと比較することで、一のオフセット値が得られる。論理ブロックがデジタル情報坦体のどの部分であるかを規定する位置情報としてこのオフセット値を使用すれば、認識範囲にある論理ブロックに係る画像を認識することで、現在の認識範囲の位置情報を得ることが容易に実現される。
こうして新たに構築される仮想ブロックは、その形状が置換によって変化しうる。このため、認識される画像オブジェクトのうちで認識困難なものを回避しながら仮想ブロックを形成することが実現される。従って、係る構成を備えるデジタル情報坦体は誤認識が発生しにくい。
また、上記課題を解決するために提供される本願第19の発明に係るデジタル情報坦体は、本願第15から17のいずれかの発明に係るデジタル情報坦体であって、ビット配列の最後を構成する行列要素を論理ブロック(仮想ブロック)から除外し、その配列の一番目を構成する行列要素の主走査方向反対側に隣接する行列要素を補完して、新たな論理ブロック(仮想ブロック)を構築可能とされる。
こうして構築される仮想ブロックはいずれもその形状が変化しうる。このため、認識される画像オブジェクトのうちで認識困難なものを回避しながら仮想ブロックを形成することが実現される。従って、係る構成を備えるデジタル情報坦体は誤認識が発生しにくい。
また、本願第21の発明に係る表示装置は、本願第1から19のいずれかの発明に係るデジタル情報坦体が表示されたものである。この表示装置とは、液晶表示素子やCRT、EL表示素子、デジタルペーパーなどの表示素子によってデジタル情報坦体を表示するための装置をいう。
また、本願第22の発明に係る記録媒体は、本願第1から19のいずれかの発明に係るデジタル情報坦体の表示データが記録されたものである。この表示データとは、表示媒体や表示装置に所定のデジタル情報坦体を表示するためのデータが記憶媒体に保存可能とされたものである。また、この記録媒体とはFDやハードディスク、磁気テープなどの磁気記録媒体や、CDやDVDなどの光記録媒体や、MOなどの光磁気記録媒体などを意味する。
変換手段で変換されてなるビットデータに対応する2個以上の画像オブジェクトとこれらの相対的関係とを特定し、その特定された内容に基づいて2個以上の画像オブジェクトからなるクラスター情報坦体の画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
係るシステムにより、クラスター情報坦体を含み、誤認識を発生しにくいデジタル情報坦体が出力装置にから出力されることが実現される。
係るシステムによれば、複数のクラスター情報坦体はそれらの相対位置からビット配列を形成できるように出力装置から出力される。このため、複数のクラスター情報坦体の相対配置を認識することで、一個当たりのクラスター情報坦体が表示可能な最大データ量よりもデータサイズが大きなデータを復号化情報として生成することが実現される。
係る処理装置によれば、処理部が記憶部と適宜データのやりとりをすることで、入力データを表示するクラスター情報坦体を形成することが実現される。
係る方法を実行することで、クラスター情報坦体を含み、誤認識を発生しにくいデジタル情報坦体が出力装置にから出力されることが実現される。
係る方法を実行することで、複数のクラスター情報坦体はそれらの相対位置からビット配列を形成できるように出力装置から出力される。このため、複数のクラスター情報坦体の相対配置を認識することで、一個当たりのクラスター情報坦体が表示可能な最大データ量よりもデータサイズが大きなデータを復号化情報として生成することが実現される。
係る方法を実行することで、処理部が記憶部と適宜データのやりとりをすることで、入力データを表示するクラスター情報坦体を形成することが実現される。
係るシステムにより、入力装置から入力されたクラスター情報坦体を含むデジタル情報坦体は処理装置において誤認識の発生の可能性を抑えつつ復号化等の処理がなされ、その処理の結果として誤情報を含む可能性が低い復号化情報が生成され、その復号化情報は出力装置から出力されることが実現される。
係るシステムによれば、複数のクラスター情報坦体に分散保持される一の情報が生成される。このため、一個のクラスター情報坦体が表示可能な最大データ量よりもデータ量が大きなデータをデジタル情報坦体に表示させておくことが実現される。
なお、相対配置に基づいてビットデータを統合する方法は予め設定されていてもよいが、本システムによる復号化情報の生成過程で最適な統合方法が決定されてもよい。
係る判定条件を採用することで、他の画像オブジェクトとの相対的関係を有すことなく混在するゴーストドットが効果的に排除される。従って、誤認識が発生しにくいシステムが実現される。
複数の画像オブジェクトの相対的関係にビットデータが対応づけられていることで、誤認識により構成要素としてゴーストドットを含むクラスター情報坦体があっても、ビットデータが復号化される可能性が低くなる。従って、誤った復号化情報が生成されにくい。また、一つのクラスター情報坦体に多くのビットデータを対応づけることが実現されるので、デジタル情報坦体の表示密度向上や大容量化が実現される。
ここでいう表示状態とは表示歪みや色ずれなどをいい、この表示状態が理想的な表示状態とずれる理由には、デジタル情報坦体の出力装置における処理上の理由(例えばプリンターの走査ずれ)や、入力装置における入力状態上の理由(例えばカメラのチルト角が大きい)、入力装置における処理上の理由(例えばコントラストが低く色差がない)などがある。
係るシステムでは、複数の画像オブジェクトによるクラスター情報坦体として理想的な表示状態からのずれを評価する。このため、画像オブジェクト単位で評価する場合に比べて多くの評価項目を設定することが可能であり評価精度が向上する。また、表示面積が広いことも評価精度の向上に効果的であり、これは評価対象が表示歪みの場合に顕著である。さらに、クラスター情報坦体を構成するか否かを判定するための判定条件(クラスター関数)と同一の内容を評価対象とすれば、判定条件の充足度合いを定量化することでずれの評価結果として用いることができ、高い評価精度が実現される。
また係るシステムでは、ずれの評価結果が悪い場合にはクラスター情報坦体を復号化の対象としないことも実現される。クラスター情報坦体を構成するか否かの判定、即ちクラスター関数においてクラスター情報坦体を構成すると判定されたものであっても、誤認識を生ずる恐れが高いためである。このため、誤認識が特に発生しにくいシステムが実現される。
係る方法を採用することで、入力装置から入力されたクラスター情報坦体を含むデジタル情報坦体は処理装置において誤認識の発生の可能性を抑えつつ復号化等の処理がなされ、その処理の結果として誤情報を含む可能性が低い復号化情報が生成され、その復号化情報は出力装置から出力されることが実現される。
係る方法を採用することで、複数のクラスター情報坦体に分散保持される一の情報が生成される。このため、一個のクラスター情報坦体が表示可能な最大データ量よりもデータ量が大きなデータをデジタル情報坦体に表示させておくことが実現される。
なお、相対配置に基づいてビットデータを統合する方法は予め設定されていてもよいが、本システムによる復号化情報の生成過程で最適な統合方法が決定されてもよい。
係る判定条件を採用することで、他の画像オブジェクトとの相対的関係を有すことなく混在するゴーストドットが効果的に排除される。従って、誤認識が発生しにくいシステムが実現される。
複数の画像オブジェクトの相対的関係にビットデータが対応づけられていることで、誤認識により構成要素としてゴーストドットを含むクラスター情報坦体があっても、ビットデータが復号化される可能性が低くなる。従って、誤った復号化情報が生成されにくい。また、一つのクラスター情報坦体に多くのビットデータを対応づけることが実現されるので、デジタル情報坦体の表示密度向上や大容量化が実現される。
係る方法では、複数の画像オブジェクトによるクラスター情報坦体として理想的な表示状態からのずれを評価する。このため、画像オブジェクト単位で評価する場合に比べて多くの評価項目を設定することが可能であり評価精度が向上する。また、表示面積が広いことも評価精度の向上に効果的であり、これは評価対象が表示歪みの場合に顕著である。さらに、クラスター情報坦体を構成するか否かを判定するための判定条件(クラスター関数)と同一の内容を評価対象とすれば、判定条件の充足度合いを定量化することでずれの評価結果として用いることができ、高い評価精度が実現される。
また係る方法では、ずれの評価結果が悪い場合にはクラスター情報坦体を復号化の対象としないことも実現される。クラスター情報坦体を構成するか否かの判定、即ちクラスター関数においてクラスター情報坦体を構成すると判定されたものであっても、誤認識を生ずる恐れが高いためである。このため、誤認識が特に発生しにくい方法が実現される。
図1に示されるような一つのドットと一つの線分とからなるクラスター情報坦体及び図2に示されるようなクラスター関数について考える。
各画像オブジェクトはごく一般的な画像処理方法を用いて認識され、オブジェクトの主直径と重心とが計算される。主直径が同一の場合にはその画像オブジェクトは円、即ちドットであり、主直径に充分な差がある場合には線分であると認識される。
定義として、ここでは一つのクラスター情報坦体には二つの異なる画像オブジェクト、即ちドットと線分だけが含まれるとする。従って、入力されたobj1、obj2のそれぞれについて主直径を計算すると(ステップS301)、それぞれドットであるか線分であるかを決定することができる。
そこで、次にクラスター情報坦体を構成するか否かの処理に係る2つの画像オブジェクトが同種である(ドットとドット、或いは線分と線分)か否かを判定する(ステップS302)。
ステップS302で同種であると判定した場合には、これらの画像オブジェクトはクラスター情報坦体を構成しないものとクラスター関数によって判定され、偽値が出力される。
この測定値は、現在の判定処理に係るクラスター情報坦体が、クラスター化定義による理想的なクラスター情報坦体にどの程度近いかを定量的に示すものである。図1に示されるクラスター情報坦体を例にすれば、一つのクラスター情報坦体に含まれるドットにおける主直径のうち最長のもの(最長主直径)Pと線分における主直径のうち最長のものSとの比は1/3に近くなくてはならないという具合である。ドットと線分との最長主直径比が1からずれて1/3に近づく場合には、P/S−1/3の数値は零に近づく。また、ドットと線分との重心間距離DはS/2より小さくなくてはならないというように条件設定をしてもよい。このとき、ドットと線分とが適切な位置に相互に配置されている場合には、D−S/2の数値は零に近づく。この2つの表現式を組み合わせ、それぞれの測定値の絶対値の総和を表示歪みの測定値として、クラスター情報坦体を構成するか否かの判定に用いればよい。具体的には測定値が所定のしきい値よりも小さいことを条件としてクラスター情報坦体を構成すると判定する。なお、ここでは理解を容易にするために、表示歪みの計算方法として極めて簡単なものを示したが、本願発明は上記の内容に限られるものではなく、他の方法を用いて歪み計算を用いてもよい。得られた表示歪みの測定値は、後述するように、デジタル情報坦体の復号化においても用いられる。
次に、クラスター情報坦体に属する線分がX軸上に配置されるようにクラスター情報坦体に対して画像の回転処理を施す。
続いて、クラスター情報坦体に属するドットについて、線分の重心を原点とする座標系での座標を確認する。ドットのX座標値とY座標値とが同一の場合には「1」であると復号化され、X座標値とY座標値とが異なる場合には「0」であると復号化される。
なお、上記のクラスター情報坦体の変換処理を実質的に行わず、座標の確認作業を行うのみで復号化処理を行ってもよく、この場合には、認識システムが低コストで実現される。
図4は、参照用ビット配列とその参照用ビット配列を適宜オフセットして得られる配列長4の部分配列を10進法に変換した数値とオフセット値との関係を概念的に示す図である。
ここでは理解のしやすさを優先して、図4に示すような配列長が15しかない参照用ビット配列を用いて説明を行う。
図4に示される15個のビットからなる参照用ビット配列を任意の連続する4ビットを部分配列として選択すると、「0000」以外の15個の部分配列が得られる。オフセット0の場合は部分配列が「0001」であり、10進法では「1」となる。同様に、オフセット1では部分配列が「0011」であり、10進法で「3」、オフセット2では部分配列が「0111」であり、10進法で「7」となる。なお、この参照用ビット配列は循環型であるから、15番目のビットの次のビットは配列の最初に戻る。実際、配列の最初の3つ分、即ち「000」を配列の終端に付加することで、13番目から15番目のビットを始点とする部分配列が得られる。例えば、オフセット14では部分配列は「1000」となり、10進法で「8」となる。
ここで注目すべきは、参照用ビット配列から選択された15個の部分配列には重複する配列がないことである。このため、配列長15の参照用ビット配列の第1ビットからのオフセット値によって、座標数15の位置情報を符号化することができる。
まず、参照用ビット配列から部分配列を取り出すための初期のオフセット値として「0」を設定する(ステップS320)。続いて、そのオフセット値を始点とする配列長4の部分配列を生成する(ステップS321)。
その部分配列が処理に係る配列長4のビット配列と同一であるか否かの判定を行い(ステップS322)、同一であると判定した場合には、そのオフセット値を出力して図5に係る処理を終了する。
一方、同一でないと判定した場合には、オフセット値を「1」増加し(ステップS323)、増加後のオフセット値が14より小であるか否かを判定する(ステップS324)。小であると判定した場合には、ステップS321へと移行して部分配列の生成以降の処理を実行する。
これに対し、ステップS324で14より小ではないと判定した場合には、いずれのオフセット値を始点とする部分配列とも処理に係るビット配列は同一でないことを意味する。従って、エラー値(例えば−1)を出力して図5に係る処理を終了する。
以下に更に具体的に例示する。デジタル情報坦体の所定範囲を画像認識したときに、4つの連続するクラスター情報坦体が認識されれば、これらを復号化して得られるビット配列から位置情報が得られる。例えばビット配列が「1101」であれば、10進法での数値は「13」であるからオフセット値は「5」となり、認識範囲の座標は「5」であることが認識される。なお、ここで示したビット長のビット配列は例示であり、任意のビット長のビット配列に本願に係る方法は装置依存性なく適用可能である。
図6は一次元の配列を用いて二次元を表現する一例を示す図である。
図7は図6の表現方法を用い、図1及び図4に係る規則で符号化されたデジタル情報坦体の一例を示す図である。
例えば、図6に示されるような方法で全面に番号付けすることで、二次元上の全ての位置は特定される。図6における左上の三角形の領域を実際に符号化した例が図7に示されている。なお、図7では、便宜上、三角形の領域を右45°だけ回転させている。
図8は図1及び図4に係る規則で符号化されたデジタル情報坦体がX軸正方向に配置されてなる一次元配列をY軸負方向に複数配置したものを示す図である。
図9は図8のデジタル情報坦体に、図1及び図4に係る規則で符号化されたデジタル情報坦体がY軸負方向に配置されてなる一次元配列をX軸正方向に複数配置したものを示す図である。
このデジタル情報坦体では、2種類のコードを独立に復号化することで、表面上のどの位置をも規定することが可能となる。例えば、水平方向に長い長方形で囲まれた4つのクラスター情報坦体を復号化してなるビット配列は「0111」であり、このオフセット値「2」はX座標値を示している。同様に、垂直方向に長い長方形で囲まれた4つのクラスター情報坦体を復号化してなるビット配列は「0011」であり、このオフセット値「1」はY座標値を示している。ここで、ビット配列の方位(どちらが正方向であるか)がひとたび認識されれば、X、Yの2本の座標軸の正方向の関係から、それぞれの軸の帰属は容易に行われる。
図10は2ビット分の情報を有することができるクラスター情報坦体の一例を示す図である。
図11は図10に示されるクラスター情報坦体を図4の規則に基づいて2次元的に配置してなるデジタル情報坦体の一例を示す図である。
その一方で、Y軸方向のオフセット値はY軸方向の座標値を示すものとしては使用できない点に留意されたい。
このため、Y座標値を得るためには、先の水平方向の4つの連続するクラスター情報坦体の一番目のクラスター情報坦体を先頭として、垂直方向に4つ連続するクラスター情報坦体を選択し、これらを復号化してなるビットデータを統合して2つのビット配列を得る。この場合には、X軸方向の場合と反対に、Y軸方向のみから座標値に対応するビット配列が得られる。具体的には、図11に示されるように、Y軸方向に「1111」が得られ、Y座標値として「3」が得られる。
図17に示されるデジタル情報坦体では、構成する各画像オブジェクトの重心間距離は一定であり、どの2つの画像オブジェクトがクラスター情報坦体をなすかは一見しては不明である。ところが、クラスター情報坦体をなすか否かの判定に2つの画像オブジェクトの距離を用いるのではなく、画像オブジェクトの方位によって決定されるオブジェクト種類を用いることで、判定を容易に行うことが可能となる。実際、2つの画像オブジェクトの最近接距離を用いて判定する場合には、左上端の画像オブジェクトを1行1列とした場合の1行2列の画像オブジェクト17−2とその右隣の画像オブジェクト17−3との最近接距離がしきい値より小さいと判定され、これらの画像オブジェクトが一つのクラスター情報坦体をなすと判定されるであろう。しかしながら、画像オブジェクト種類で判定することで、これらの画像オブジェクトは分離され、それぞれに隣接する同種類の画像オブジェクトとクラスター情報坦体をなすと判定される。具体的には、画像オブジェクト17−1と画像オブジェクト17−2とで示される斜めの線分による画像オブジェクトが一つのクラスター情報坦体をなし、画像オブジェクト17−3と画像オブジェクト17−4とで示される縦或いは横の線分による画像オブジェクトが一つのクラスター情報坦体をなす。
図18はクラスター情報坦体を構成する画像オブジェクトをその大きさだけで相互に異なるものとした一例を示す図である。
図18に示されるデジタル情報坦体は、大小2種類の大きさのドット形状の画像オブジェクトで構成されるクラスター情報坦体が配置されてなる。ドットの大きさとドット間距離のしきい値とに基づくクラスター関数は、図18の18−1,18−2,18−3などに示されるような2つの大きなドットと1つの小さなドットからなるクラスター情報坦体を定義する。1つのクラスター情報坦体の認識においては、まず、認識された画像から2つのドットを順次サンプリングする。サンプリングされた2つのドットが小さいドットSと大きいドットL1とであると判定されると、これらは1つのクラスター情報坦体に属するものと判定する。次に、クラスター関数は、第一パラメータとして認識された小さいドットSについて、第二パラメータとしての認識された大きいドットL1とは異なる画像オブジェクトとの間でクラスター情報坦体を構成するか否かの判定を行う。その判定の結果としてクラスター関数が真値を出力した場合には、判定に係るドットは第2の大きなドットL2であると認識され、L1,S,L2で一つのクラスター情報坦体を構成するものと判定される。
まず、大きなドットL1及びL2の重心を結ぶ線分を規定する。
次に、小さなドットSの座標が計算され、線分より上方にあるか、ほぼ線分上にあるか、或いは線分より下方にあるかを判定する。線分より上方にある場合には図19における1,2,3の何れかであることとなり、ほぼ線分上にある場合には4,5の何れか、線分より下方にある場合には6,7,8の何れかであることとなる。
続いて、大きなドットL1と小さなドットSとの距離|L1S|及び大きなドットL2と小さなドットSとの距離|L2S|が計算され、これらが比較されて、小さなドットSがどの列にあるかを判定する。
実際、図18に示されるデジタル情報坦体は、図21に示されるクラスター情報坦体によって構成されており、図18では図21に示される2種類のクラスター情報坦体が水平軸方向と垂直軸方向とに別々に用いられている。このため、軸の帰属が容易に行われる。水平軸方向のクラスター情報坦体18−1及び18−2の小さなドットSは図21における(b)の配置構成に基づいて配置されている。その一方で、垂直軸方向のクラスター情報坦体18−3の小さなドットSは図21における(a)の配置構成に基づいて配置されている。
なお、図19から図21では、水平軸方向に配置されるクラスター情報坦体についてのみ示したが、図18のクラスター情報坦体18−3に示されるような垂直軸方向のクラスター情報坦体における符号化も、座標軸が異なるだけで図19から図21に示される符号化と同様である。
図22は1から4個のドットで構成されるクラスター情報坦体の一例を示す図である。
この例では、クラスター情報坦体を復号化すると、構成ドット数に対応して0から3の数値が得られ、クラスター情報坦体としては2ビットの情報を有している。この場合には、構成ドット数に基づいてのみ情報の復号化が行われるので、表示形式として異なっていても同一のビットデータ(ビット数)を示すクラスター情報坦体が存在しうる。その例が図22に示されている。図22において列方向に示されるいくつかのクラスター情報坦体は、表示形式が異なるもののドット数が同一であるから、復号化したときに同一のビット数を示す。これらのクラスター情報坦体で必要とされるのは、同一のクラスター情報坦体内に複数のドットが配置されるときにはそれぞれのドットの重心間距離が予め規定されるしきい値よりも小さいことであり、クラスター情報坦体としての形状や大きさには何の制約もない。
なお、ラスター型の文書表示に対応するために、図22に示される各クラスター情報坦体では、構成するドットオブジェクトが等間隔の格子上に配置されている。その結果として、クラスター情報坦体22−1とクラスター情報坦体22−2とはドットの重心間距離を比較することで互いに区別される。
図23はクラスター情報坦体の形状にビットデータが符号化されてなるクラスター情報坦体の一例を示す図である。
例えば、図23に示されるように、3個のドットを配置してなる形状が直線状であるか否かによって2つのグループに分類してもよい。図23に示されるクラスター情報坦体は、ドット数が1,2,3個であり、構成ドットオブジェクト数とクラスター情報坦体としての形状とに基づいて復号化が行われる。特に、ドットオブジェクト数が3個の場合には、その3個のドットを結ぶ線が直線状である場合には復号化されて得られる数値が「2」であり、直線状でない場合には「3」であると復号化される。ここで、形状に基づいて判定をしているにもかかわらず、図22に示されるクラスター情報坦体と同様に、外見上異なっていても同一の情報を有するクラスター情報坦体が得られることに留意されたい。
このような場合には、クラスター情報坦体の相対配置に座標軸や方位に関する情報を付与することが望ましい。具体的には、予め格子間隔が規定されるある種の仮想的な格子上にクラスター情報坦体を配置しておいてもよい。このクラスター情報坦体の配置間隔、即ち仮想的な格子の格子間隔は、クラスター情報坦体を構成する画像オブジェクトの典型的な重心間距離よりも大きく設定される。また、行方向の間隔と列方向の間隔とは異なる定義に基づいて設定され、行と列とが容易に識別できるようにされてもよい。行及び列の配置間隔の設定を適切に行えば、復号化処理の過程で認識された画像に幾何的な変形が行われても、行と列とは容易に識別される。その一例が図24に示されている。図24はクラスター情報坦体の配置間隔に座標軸を特定するための情報が含まれているデジタル情報坦体の一例を示す図である。図24では、垂直方向と水平方向とで異なった格子間隔、すなわち垂直方向格子間隔>水平方向格子間隔が適用されている。
例えば、図24に示される画像が認識されたとき、画像処理において、近傍に少なくとも一つのドットがあるドットはクラスター情報坦体を構成する可能性があるので真のドットとして分類される。これに対し、近傍にドットが存在しないドットはゴーストドットであると分類される。
もちろん、一つのゴーストドットがクラスター情報坦体を構成するドットの近傍に偶然存在する場合もありうる。ところが、この場合にはクラスター情報坦体を構成する画像オブジェクトは3個となる。これに対し、図24に示されるデジタル情報坦体では、3個のドットでクラスター情報坦体が構成されることはない。このため、そのゴーストドットを含むドットがクラスター情報坦体を構成すると認識されることはない。しかも、クラスター関数はクラスター情報坦体を構成するドットの相互の関係を規定するので、クラスタリング関数によって3個のドットから2個の真のドットが選択されてゴーストドットが排除され、適切なクラスター情報坦体が認識されることも充分にあり得る。
なお、クラスター情報坦体を構成する真のドット間隔を狭め、クラスター情報坦体同士の間隔を増やすことで、画像処理においてゴーストドットを見つけだす可能性は高まる。
いくつかの従来技術では複数の画像オブジェクトから復号化されたビットデータを統合して論理ブロックを形成することが開示されている。論理ブロックは、画像オブジェクト自体が有しうるよりも多くの情報を有しうる点で有効である。例えば、画像オブジェクト単体では0と1としか示さない場合でも、これが10個統合されてなる論理ブロックでは、上記の参照用ビット配列を用いて位置情報を形成する場合には、210−1(=1023)箇所の位置を特定することができる。
本願発明で導入する仮想ブロックとは、復号化における最小単位(単一の画像オブジェクトでもよいし、前述のクラスター情報坦体でもよく、「単位情報坦体」とも称する。)が復号化されてなるビットデータの複数を仮想的なレベルでブロック化してなるものである。仮想ブロックの概念を導入することで、論理ブロック間における重なり合いが許容され、冗長性のレベルの制御が可能とされ、さらに画像を誤認識したときの回復が可能とされる。
なお、位置認識に必要な仮想ブロックのサイズは以下のようにして選択される。まず、デジタル情報坦体が表示される文書の大きさとクラスター情報坦体の大きさとから、位置認識に必要な座標数が決定される。次に、その座標数とクラスター情報坦体が有しうる情報量とから位置認識をするために必要とされるクラスター情報坦体の個数、即ちビット配列長が決定される。続いて、クラスター情報坦体の表示配列間隔を考慮することで、仮想ブロックのサイズが決定される。
図25では6行8列のデジタル情報坦体が一例として示されている。ただし、図25においては構成要素であるクラスター情報坦体を直接表示するのではなく、クラスター情報坦体を復号化してなるビットデータからX軸方向の座標を特定するためのビット数値とY軸方向を特定するためのビット数値とを求め、それぞれが参照用ビット配列のどの配列要素に相当するかを示す表示となっている。
その表示が上段/下段でXm/Ynとなっている場合について説明すると、該当する位置に配置されたクラスター情報坦体から得られたX軸方向のためのビット数値は、参照用ビット配列をmオフセットして得られるビット数値(換言すれば参照用ビットのm+1番目の配列要素をなすビット数値)と同一であることを示している。また、Y軸方向のためのビット数値は、参照用ビット配列をnオフセットして得られるビット数値と同一であることを示している。
従って、図25に係るクラスター情報坦体は、(X軸方向のためのビット数値、Y軸方向のためのビット数値)=(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,1)の4通りの区別できる情報を有する必要があり、故に最低2ビットが符号化しうるものであることが必要である。
なお、図25においてクラスター情報坦体を直接表示しないのは理解を容易にするためである。
X軸方向のビット数値については、仮想ブロックの左上端を始点とし、X軸正方向を主走査方向、Y軸負方向を副走査方向として順次X軸方向のビット数値を統合することで、配列長12のビット配列を形成する。
一方、Y軸方向のビット数値については、仮想ブロックの左上端を始点とし、Y軸負方向を主走査方向、X軸正方向を副走査方向として同様に配列長12のビット配列を形成する。
例えば、図25において破線で示される仮想ブロック25−1から得られるX軸方向のビット配列は、参照用ビット配列からオフセット「0」で得られる配列長12の部分配列をなし、Y軸方向のビット配列も参照用ビット配列からオフセット「0」で得られる配列長12の部分配列をなす。また、実線で示される仮想ブロック25−2においては、X軸方向のビット配列はオフセット「1」の部分配列であり、Y軸方向のビット配列はオフセット「3」の部分配列である。
vx=b(4*p+q) (式1)
vy=b(p+3*q) (式2)
vx=b(r*p+q) (式3)
vy=b(p+c*q) (式4)
主走査方向をi軸正方向、副走査方向をj軸正方向とした場合に、主走査方向(i軸正方向)に隣接する2つのビット数値v(i,j)、v(i+1,j)は、以下の式5,6を満たす。
v(i,j) = bm (式5)
v(i+1,j) = bm+1 (式6)
一方、副走査方向(j軸正方向)に隣接する2つのビット数値v(i,j)、v(i,j+1)は、論理ブロックの主走査方向の配列長さをaとして、以下の式7,8を満たす。
v(i,j) = bm (式7)
v(i,j+1) = bm+a (式8)
X軸方向のビット数値vxに適用するためには、ビット配列形成のための主走査方向がX軸正方向、副走査方向がY軸負方向であるから、i軸正方向をX軸正方向とし、j軸正方向をY軸負方向とすればよい。また、Y軸方向のビット数値vyに適用するためにはi軸正方向をY軸負方向とし、j軸正方向をX軸正方向とすればよい。
図26は、形状自由度が与えられた仮想ブロックの一例を示す図である。
仮想ブロックの定義を簡略化して、「X軸方向のビット数値とY軸方向のビット数値との少なくとも一方によって所定の配列長12のビット配列が形成可能な一群」すると、図26において太線で囲まれた12個の要素からなる4つの領域、即ち26−1から26−4はいずれも仮想ブロックとなる。
図26(a)において太実線で囲まれる一群26−1、26−2は、左上端を始点とし、X軸方向のビット数値をX軸正方向を主走査方向、Y軸負方向を副走査方向として統合すると、得られるビット配列はそれぞれX16からX27、X2からX13となってオフセット値は連続する。このため、いずれも参照用ビット配列の部分配列をなし、仮想ブロックとなる。
また、図26(b)における太実線で囲まれる一群26−3、26−4についてはY軸方向のビット数値を統合してビット配列を形成すると、それぞれY0からY11、Y13からY24となる。これらはいずれも参照用ビット配列の部分配列をなすから、一群26−3、26−4も仮想ブロックとなる。
このように一方の座標軸方向のビット配列が仮想ブロックから得られた場合には、より配列長が長い他の参照用ビット配列を用いて位置情報を生成するためにそのビット配列を用いてもよい。すなわち、複数の参照用ビット配列を用いて位置情報を生成するようにしてもよい。
図27はデジタル情報坦体が復号化されてなるビット行列の一例に仮想ブロックと認識範囲とが表示された図である。
図28はデジタル情報坦体が復号化されてなるビット行列の一例に仮想ブロックと認識範囲と互いに置換可能な行列要素とが表示された図である。
ここで、X軸方向に関する仮想ブロックを完成させるためにはX6又はX18を示すクラスター情報坦体が補完されるとよい。そこで、本発明では、図28(a)に示されるように、X18Y21によって補完して仮想ブロックを再構築することが許容される。同様に、Y軸方向の仮想ブロックを完成させるためには、図28(a)に示されるように、X21Y19が用いられる。
これらの場合には仮想ブロックの形状はもはや3行4列の正方形ではないことに留意されたい。仮想ブロックにとってブロック形状は任意であるから、認識範囲に含まれるクラスター情報坦体に合わせて適切な形状を選択することが可能となる。このため、認識範囲として必要とされる範囲はブロック形状が固定された従来技術による論理ブロックを採用する場合に比べて狭くなり、認識範囲に含まれるクラスター情報坦体数を少なく設定することが実現される。従って、位置認識に要する画像処理が短時間で済むこととなる。
また、認識範囲の移動方向によっては、仮想ブロックの角部にあたるクラスター情報坦体のうち、始点を構成するもの以外のクラスター情報坦体が認識困難となる場合がある。X軸方向のビット配列を形成するにあたってこのように認識困難となった場合における対応が図28(a)に示されている。太線で示される仮想ブロックにおいて、右上端のX9Y16が認識できなくなった場合には、左下方向のX9Y5をX9Y16のかわりに用いて仮想ブロックを構築すればよい。新たに構築された仮想ブロックでは、左上端を始点としてX軸正方向を主走査方向、Y軸負方向を副走査方向とするこれまでの統合方法でX6からX17の連続するビット配列が形成される。同様に、右下端のX17Y18が認識困難な場合には左上方向のX5Y4を、左下端のX14Y9の場合には右上方向のX14Y20を用いればX6からX17の連続するビット配列が形成される。
Y軸方向のビット配列についても全く同様であり、図28(b)に太実線で示される仮想ブロックにおける置換の対応関係が示されている。
図29は対称性の高いクラスター情報坦体が用いられていて、クラスター情報坦体間隔に方向依存性がないデジタル情報坦体の一例を示した図である。
図29に示されるようなデジタル情報坦体の場合には、仮想ブロックを復号化してビット配列を得ても、X軸方向及びY軸方向の帰属を行うことは不可能である。係る曖昧さを解決するために、まず、認識された方位不明の仮想ブロックについて、所定の方法でクラスター情報坦体配列を得る。次に、その配列を復号化してなるビット配列から位置情報を得るために必要な予め規定された長さのビット配列を取り出し、位置情報を得る。その手順は図5に示すごとくであり、ビット配列が参照用ビット配列の部分配列を構成する場合のオフセット値が位置を示す情報として得られる。続いて、位置情報を得るために用いたビット配列以外の冗長化データをも含むクラスター情報坦体配列全体からなるビット配列が、参照用ビット配列における部分配列を構成するか否かを確認する。部分配列を構成しない場合とは、仮想ブロックの方位認識が不適切であり、得られたビット配列は本来のビット配列が反転したものであるが、その反転してなるビット配列が偶然参照用ビット配列の部分配列を構成していたものであることを意味している。そこで、このような場合には、仮想ブロックから得られたビット配列を逆転して同じ確認作業を行う。つまり、位置情報を得るために必要最小限の配列長よりも長いビット配列を用いて参照用ビット配列との比較を行うことで、方位認識が不適切なために得られる反転ビット配列から誤ったオフセット値を導き出して位置認識しまうことを回避しているのである。
図30は本願発明に係る仮想ブロックの別の一例を示す図である。
図30に示されるように、点線で示される仮想ブロック30−1と実線で示される仮想ブロック30−2とは、X軸方向のビット配列は全く同一であり、従って、これらは同一のX座標値を与える。このことから、それぞれの仮想ブロックの左上端のクラスター情報坦体をつなぐ線分はY軸に略平行であると認識される。同様に、実線で示される仮想ブロック30−2と破線で示される仮想ブロック30−3とのそれぞれの左上端のクラスター情報坦体をつなぐ線分はX軸に略平行であると認識される。よって、図30に示される2つの線分は、ここで一例として説明してきたクラスター情報坦体の配列によって得られる初期的な座標系を視覚化したものといえる。復号化によって得られた座標(X,Y)と対応する行列配置(R,C)、即ち文書上の座標との関係は、式1及び2に基づくことで以下のように求められる。
R=(3*X−Y)/11 (式9)
C=(4*Y−X)/11 (式10)
R=(c*X−Y)/(c*r−1) (式11)
C=(r*Y−X)/(c*r−1) (式12)
図31から明らかなように、全ての行について、4つごとに下方にずらされたクラスター情報坦体が配置されている。しかしながら、表示媒体などの特定の模様などが発生せず、より均一的な分布とするために、下方にずらされたクラスター情報坦体の列は奇数行(円で囲まれたもの)と偶数行(四角形で囲まれたもの)とで異なっている。
次に、その4つのクラスター情報坦体から一つのクラスター情報坦体を除いてなる4種類のサブセットを作る。
続いて、それぞれのサブセットについて構成する3個のクラスター情報坦体についての直線近似を行い、その近似において誤差値が最小となるサブセットを選定する。
最後に、その選定されたサブセットを構成しない一のクラスター情報坦体、即ち下方にずれたクラスター情報坦体の重心を、そのサブセットの近似直線から引く。
この引き算の結果が正である場合には、その近似直線はX軸方向を示しており、左から右の方向が正の方向であると判定される。
これに対し、引き算の結果が負である場合には、その近似直線はX軸方向を示しているが反転した状態で認識していると判定され、画像について180°の回転を行って軸の方向を反転させる必要があるが導かれる。
或いは、引き算の結果が0に近い場合には、4つのクラスター情報坦体がほぼ直線上にあることになり、この場合には、その近似直線はY軸方向を示しているものと判定されるので、この近似直線に直交する方向でクラスター情報坦体の認識を行って同様の処理を行い、X軸方向についての方位確認を行う。
デジタル情報坦体生成システム11は、最終的に出力されるデジタル情報坦体が有すべき情報を入力するための入力装置101と、入力装置101に入力された情報を有するデジタル情報坦体を生成し、出力装置103がそのデジタル情報坦体を出力できるようにそのデータ形式を変換する処理を行う処理装置102と、その変換されたデータに基づいてデジタル情報坦体に係る情報を出力する出力装置103とを備える。また、各装置間は通信ケーブルや無線などの通信手段によって少なくとも一方向への情報伝達が可能とされている。
図33はデジタル情報坦体生成システム11の動作の一例を概念的に示すフローチャートである。
図34はデジタル情報坦体生成システム11の動作を説明するための概念図である。
25個の要素(セル)を有しているにも係わらず、ビット配列長として13(ビット値0〜12)だけしか必要でないことに注意していただきたい。必要なビット配列長は13であるから、図4に示したような15の配列長を有するビット配列を安全に用いることができる。
デジタル情報坦体が印刷された紙状媒体で、任意の2x2ブロックを選択する。各ブロック(要素)に書かれているクラスター情報坦体を読み込み、図10に従ってビット配列を生成する。得られるビット配列は、X座標とY座標に関してそれぞれ得ることが出来る。例えばX座標に関しては、1110であり、Y座標に関しては、1101という様である。但し、X座標に関しては、左上、右上、左下、右下の順で読み、Y座標に関しては左上、左下、右上、右下の順で読む。
デジタル情報坦体復号化システム21は、所定の媒体上に表示されたデジタル情報坦体を入力する入力装置201と、入力装置201に入力された画像からデジタル情報坦体を復号化してデジタル情報坦体が有している情報を生成し、出力装置203がその情報を出力できるようにそのデータ形式を変換する処理を行う処理装置202と、その変換されたデータに基づいてデジタル情報坦体が有している情報を出力する出力装置203とを備える。また、各装置間は通信ケーブルや無線などの通信手段によって少なくとも一方向への情報伝達が可能とされている。
図36(1)〜(3)は、デジタル情報坦体復号化システム21の動作の前半の一例を概念的に示したフローチャートである。
ここで、位置座標を格納するには、座標系に関する情報が必要とされる。この座標系の情報が、画像オブジェクトを認識するステップS204の段階で認識可能とされる場合にはこれを用い、その情報が得られない場合には、画像データの座標系をそのまま用いる。
ここで、画像データは継続的に入力装置201から出力されており、処理装置202が必要に応じて出入力部202aを介して読込む制御であっても構わない。このような制御ではステップS202は不要である。また、ステップS207を実行した場合には、この処理で設定した画像読込条件が次の画像読込に反映されるようにすればよい。また、ステップS207を所定の回数、例えば10回連続して実行した場合には、エラー信号をシステムの操作者に通知してもよい。
それらの画像オブジェクトを記憶部202cの所定の記憶領域から順次読み込んで、クラスター情報坦体を構成するか否かの判定を行う。即ちクラスター関数を適用する(ステップS210)。その判定処理の一例は図2に示したとおりである。
ここで、クラスター情報坦体の位置座標を格納するには、座標系に関する情報が必要とされる。この情報がクラスター関数を適用するステップS210の段階で認識可能とされる場合にはこれを用い、得られない場合には画像データの座標系をそのまま用いる。例えば、図24や図31に示されるようなクラスター情報坦体の配置に座標の情報が含まれている場合には、複数のクラスター情報坦体についてそれらの重心座標等が得られることで座標系の情報が得られる。
処理に係る画像オブジェクトがゴーストドットの場合には、ステップS211でクラスター情報坦体を構成するものと判定される可能性は低い。このため、その画像オブジェクトはクラスター情報坦体の構成要素となることなくステップS213で排除される可能性が高い。
そこで、クラスター関数を適用するステップ210の実行は必要ないとみなし、クラスター情報坦体のデータをプールしている記憶領域に格納されるクラスター情報坦体全てについて表示歪み値の評価を行う(図36(3)、ステップS215)。
なお、ここでは表示歪みのみを評価対象として説明したが、色差などを評価対象としてもよい。
一方、データ数が不足していると判定した場合には、以降の処理を行うことができないので、画像入力条件を調整した後(ステップS218)、ステップS201へと移行する。ステップS218も、ステップS207と同様に、連続画像入力方式に対応してもよいし、複数回連続して不適切な画像入力である場合にエラー信号を出すようにしてもよい。
図37はデジタル情報坦体復号化システム21の動作の後半の一例を概念的に示したフローチャートである。
ステップS232における復号化の一例を以下に示す。まず、クラスター情報坦体の構成要素である複数の画像オブジェクトの相対的関係とビットデータとの対応関係に係る対応関係データを予め記憶部202cに格納しておく。ステップS232では、記憶部202cにおけるクラスター情報坦体のデータをプールしている記憶領域から一つのクラスター情報坦体のデータを読み込み、記憶部202cに格納されている対応関係データと参照することでそのクラスター情報坦体がどのビットデータに対応しているかを判定し、判定の結果得られたビットデータを復号化の結果とする。この処理をクラスター情報坦体のデータをプールしている記憶領域に格納される全てのクラスター情報坦体についてこの処理を行う。
ここで、復号化の結果としてデジタル情報坦体としての座標系の情報が得られる場合にはその情報を用いて座標系の調整を適宜行い、必要に応じて復号化を再度行う。一方、座標系の情報が得られない場合には画像データの座標系をそのまま用いる。復号化の過程で座標系の情報が得られる例としては、図1に示されるようなクラスター情報坦体が挙げられる。線分の最長主直径からX軸についての情報が得られ、線分とドットとの相対位置の関係からX軸の正方向についての情報が得られる。X軸の方位が明らかになると、Y軸及びその正方向が明らかになる。こうして座標系に関する情報が得られる。
ビット行列の配置における座標系については、これまでの処理でデジタル情報坦体としての座標系が明らかになっている場合はその座標系を、明らかになっていない場合には画像データの座標系を用いる。
ここで、画像認識上の問題などで行列の一部の要素に該当するビット数値が得られない場合は、その旨の情報を要素に付与して行列を構築する。これは、以降の論理ブロック構築における便宜上の処理である。
このような処理で得られたビット行列の例を図38(a)および図39(a)に示す。なお、図39(a)において、復号化によってビット数値が得られていない行列要素はエラー値である「x」で示してある。
図38(a)および図39(a)に示されるビット行列から上記の選択規則に従って論理ブロックを選択した例をそれぞれ図38(b)、図39(b)に示す
この論理ブロックからのビット配列形成は、予め定めた形成規則に基づいて行われる。例えば、その規則が、「図38(a)に示されるビット行列について水平方向右向きを主走査方向、垂直方向下向きを副走査方向とを定めて論理ブロックを統合する」である場合には、これに従って得られるビット配列は図38(c)のようになる。
図38(b)より得られるビット配列は「011110111001」であり、これは参照用ビット配列「000000000001111011100111111…」の第11番目からの「011110111001」に一致する。従って、10進法の値は1977であり、オフセット値は「10」となる。その数値から紙状媒体上の位置情報が計算されて、紙状媒体に対応するように表示される液晶画面203a上の所定の位置に「10」が表示された状態を一例として図38(d)に示す。
なお、得られたオフセットが別の情報を意味するものであってもよいし、或いは得られたビット配列が参照用ビット配列を必要とすることなく情報を示してもよい。
図39(b)においてビット数値が定められていない1行0列の行列要素が0行3列の行列要素の右隣にある論理ブロック外要素(即ち0行4列の行列要素)と置換可能なように各要素が配置されているので、図39(c)に示すような新たな論理ブロックを構築することができる。先に示したビット配列の形成規則を新たな論理ブロックに適用して得られるビット配列における5番目の要素は0行4列の行列要素をなすビット数値となり、これは1行0列の行列要素をなすビット数値と同一であるから、結果的に、置換後の論理ブロックから得られるビット配列は置換前のビット配列と同一となるためである。こうして構築されるビット数値の集合体は、従来の行列状配置の論理ブロックとは概念的に異なるものなので、仮想ブロックと称する。
ここで、上記のビット配列形成方法において論理ブロックの再選択を行う一例を説明する。図39(a)において、0行4列の行列要素もビット数値を有していない場合を想定していただきたい。この場合には図39(c)のような0行0列の行列要素を始点とする仮想ブロックを形成することもできない。そこで、論理ブロックの始点を0行0列から順次移動させて3行4列の論理ブロックが形成されるか否かの検討を行う。まず、0行1列の行列要素は0行4列の行列要素が上記のごとくビット数値を有していないので、これを始点にしては論理ブロックを構築できない。1行0列の行列要素は自らビット数値を有していないので、やはりこれを始点にしては論理ブロックを構築できない。しかし、1行1列の行列要素はこれを始点にして論理ブロックを構築できる。従って、1行1列の行列要素を起点とする論理ブロックに基づいてビット配列が形成される。図39(d)に示した例では、ビット配列として「011100111111」が得られ、参照用ビット配列「000000000001111011100111111…」の第16番目からの「011100111111」に一致する。従って、10進法の値は1855であり、オフセット値は「15」となる。
また、ステップS247とステップS249との間に、読込画像を対象とした回転処理可能性の判定処理を追加してもよい。回転処理を行うことが可能であると判定した場合には所定の回転処理を読込画像に行ったらステップS204に移行して、回転して得られる読込画像に対して画像オブジェクトの認識以降の処理を行うようにしてもよい。
また、デジタル情報坦体はその表示態様の多様性により既存の視覚情報、例えば文字や写真の表示に目立たずに溶け込むように表示することができる。このため、印刷された文書上の写真に表示認識装置を近接させるとその写真の説明をコンピュータが行うなど、印刷文書とその文書に関連する文書外情報とを適切に結び付けることができる。
101:入力装置
102:処理装置
102a:出入力部
102b:処理部
102c:記憶部
103:出力装置
111:紙状媒体
112:紙状媒体
21:デジタル情報坦体復号化システム
201:入力装置
202:処理装置
202a:出入力部
202b:処理部
202c:記憶部
203:出力装置
Claims (42)
- 複数の画像オブジェクトを構成要素として備え、
2個以上の画像オブジェクトによって構成されるクラスター情報坦体を含み、
当該クラスター情報坦体は、構成要素となる当該2個以上の画像オブジェクトの相対的関係にビットデータが対応付けられてなる
ことを特徴とするデジタル情報坦体。 - 前記クラスター情報
坦体を構成する複数の画像オブジェクトの相対的関係のうち、ビットデータが対応付けられていない相対的関係は任意に構成可能とされる請求項1記載のデジタル情報坦体。 - 一の前記クラスター情報坦体の構成要素をなす画像オブジェクトのうち少なくとも一つは、他の前記クラスター情報坦体の構成要素をなす請求項1又は2記載のデジタル情報坦体。
- 複数の画像オブジェクトを構成要素として備え、
2個以上の画像オブジェクトによって構成されるクラスター情報坦体を含み、
当該クラスター情報坦体は、構成要素となる当該2個以上の画像オブジェクトの相対的関係にそれらの画像オブジェクトがクラスター情報坦体を構成するか否かの判定条件が対応付けられ、
当該クラスター情報坦体を単位としてビットデータが対応づけられてなる
ことを特徴とするデジタル情報坦体。 - 前記判定されてなるクラスター情報坦体は、構成要素である複数の画像オブジェクトの相対的関係にビットデータが対応付けられてなる請求項4記載のデジタル情報坦体。
- 前記クラスター情報坦体の相対配置に所定の情報が付与されてなる請求項1から5のいずれかに記載のデジタル情報坦体。
- 前記相対配置に付与される情報は、
複数の前記クラスター情報坦体に対応づけられたビットデータを統合して一の情報を生成するための統合規則に係る情報である請求項6記載のデジタル情報坦体。 - 前記クラスター情報坦体の相対配置が前記クラスター情報坦体配列の座標軸及び方位の少なくとも一方に係る情報を付与されてなる請求項6又は7記載のデジタル情報坦体。
- 2次元に配置される前記クラスター情報坦体の配置間隔が座標軸ごとに設定されてなる請求項8記載のデジタル情報坦体。
- 連続して配置されるd個(ただしd≧4)の前記クラスター情報坦体のうち、e<d/2の条件を満たすe個のクラスター情報坦体は、残りのd−e個のクラスター情報坦体によって形成される配列方向に対して直交する方向にずれて配置され、座標軸に係る情報が当該配列方向に、方位に係る情報が当該ずれに付与されてなる請求項8又は9に記載のデジタル情報坦体。
- デジタル情報坦体からビットデータを復号化する際の最小単位である単位情報坦体が複数統合されてなる論理ブロックの構成が可能であり、
当該論理ブロックはその構成要素のいくつかが統合されてなる配列に一の情報が付与されてなり、
前記論理ブロックの構成要素の少なくとも一つは、当該論理ブロックに隣接する前記単位情報坦体と置換されて新たな論理ブロックの構成が可能であることを特徴とするデジタル情報坦体。 - 前記論理ブロックは、前記一の情報が付与される配列の要素数よりも多数の前記単位情報坦体で構成されてなる請求項11記載のデジタル情報坦体。
- 前記一の情報は、前記論理ブロックのいずれかの構成要素の配置座標を特定可能な情報である請求項11又は12に記載のデジタル情報坦体。
- 予め規定される配列長nの参照用ビット配列Bの配列要素bm(m=0〜n−1)を行列状に配置してなるビット行列Vを含み、このビット行列Vにビットデータが対応付けられてなり、
前記ビット行列Vの二の配列軸の一方(i軸)に隣接する二の行列要素v(i,j)、v(i+1,j)は
v(i,j) = bm
v(i+1,j) = bm+1
を満たし、
前記ビット行列Vの他方の配列軸(j軸)に隣接する二の行列要素v(i,j)、v(i,j+1)は、配列要素bmの前記j軸側のずれ量をaとして、
v(i,j) = bm
v(i,j+1) = bm+a
を満たし、前記j軸側のずれ量aは2以上の整数であることを特徴とするデジタル情報坦体。 - 前記ビット行列Vのいずれか一の行列要素v(i,j)を始点とし、前記i軸側の配列長を前記ずれ量aとする前記ビット行列Vの部分行列である論理ブロックについて、
前記i軸の正方向を主走査方向とし、前記j軸の正方向を副走査方向として当該論理ブロックの構成要素のいくつかを統合することで、前記参照用ビット配列Bの部分配列と同一のビット配列が形成可能である請求項14記載のデジタル情報坦体。 - 前記参照用ビット配列Bは、任意のオフセットで得られる所定の長さの部分配列が互いに他と異なるように構成される請求項15に記載のデジタル情報坦体。
- 前記論理ブロックを構成する主走査方向配列の末端をなす行列要素v(i,j)を、
行列要素v(i-a,j+1)、v(i+a,j-1)のいずれかが前記論理ブロックに隣接することを条件に、
当該いずれかの行列要素と置換して新たな前記論理ブロックが構成可能である請求項15又は16記載のデジタル情報坦体。 - 前記ビット配列の一番目を構成する行列要素を前記論理ブロックから除外し、当該配列の最後を構成する行列要素の主走査方向側に隣接する行列要素を補完して、新たな前記論理ブロックの構築が可能である請求項15から17のいずれかに記載のデジタル情報坦体。
- 前記ビット配列の最後を構成する行列要素を前記論理ブロックから除外し、当該配列の一番目を構成する行列要素の主走査方向反対側に隣接する行列要素を補完して、新たな前記論理ブロックの構築が可能である請求項15から17のいずれかに記載のデジタル情報坦体。
- 請求項1から19のいずれかに記載のデジタル情報坦体が表示された表示媒体。
- 請求項1から19のいずれかに記載のデジタル情報坦体が表示された表示装置。
- 請求項1から19のいずれかに記載のデジタル情報坦体の表示データが記録された記録媒体。
- データ入力のための入力装置と、入力されたデータを処理して複数の画像オブジェクトから構成されるデジタル情報坦体に係るデータを生成する処理装置と、生成した前記デジタル情報坦体に係るデータを出力する出力装置とを備え、
前記処理装置は、
前記入力されたデータをビットデータに変換する変換手段と、
前記変換手段で変換されてなるビットデータに対応する2個以上の画像オブジェクトとこれらの相対的関係とを特定し、当該特定された内容に基づいて前記2個以上の画像オブジェクトからなるクラスター情報坦体の画像データを生成する生成手段とを具備することを特徴とするデジタル情報坦体の作成システム。 - 一個当たりの前記クラスター情報坦体が表示可能な最大データ量よりも前記変換手段で得られるビットデータのデータ量が多い場合には、当該変換手段では、変換後のビットデータを、前記最大データ量以下のデータサイズのビットデータを要素とするビット配列へと変換し、
前記生成手段では、当該ビット配列の各要素となるビットデータに対応して複数の前記クラスター情報坦体の画像データを生成するとともに、前記ビット配列の配列関係に対応して当該複数の画像データの表示位置を決定する請求項23記載のデジタル情報坦体の作成システム。 - 前記処理装置は、前記入力装置及び前記出力装置とデータ信号のやりとりをする出入力部と、当該出入力部から入力されるデータを処理する処理部と、当該処理部がデータ処理をするために必要なデータを記憶する記憶部とを備え、
前記記憶部は、前記クラスター情報坦体の画像データと、当該クラスター情報坦体と前記ビットデータとの対応関係に係る対応関係データとを有し、
前記生成手段は、
前記変換手段で変換されてなるビットデータに対応する前記クラスター情報坦体を前記記憶部に格納された前記対応関係データに基づいて選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記クラスター情報坦体に対応する画像データを前記記憶部から読込む読込手段と、
前記読込手段により読込まれた前記クラスター情報坦体の画像データの表示位置を決定する決定手段とを具備する請求項23又は24記載のデジタル情報坦体の作成システム。 - データ入力のための入力装置に入力されたデータに応じて、複数の画像オブジェクトからなるデジタル情報坦体に係るデータを生成して出力装置へと出力する処理装置が実行するデジタル情報坦体の作成方法であって、
前記入力されたデータをビットデータに変換する変換ステップと、
前記変換ステップで変換されたビットデータに対応する2個以上の画オブジェクトとこれらの相対的関係とを特定し、当該特定された内容に基づいて前記2個以上の画像オブジェクトからなるクラスター情報坦体の画像データを生成する生成ステップとを具備することを特徴とするデジタル情報坦体の作成方法。 - 一個当たりの前記クラスター情報坦体が表示可能な最大データ量よりも前記変換ステップで得られるビットデータのデータ量が多い場合には、当該変換ステップでは、変換後のビットデータを、前記最大データ量以下のデータサイズのビットデータを要素とするビット配列へと変換し、
前記生成ステップでは、当該ビット配列の各要素となるビットデータに対応して複数の前記クラスター情報坦体の画像データを生成するとともに、前記ビット配列の配列関係に対応して当該複数の画像データの表示位置を決定する請求項26記載のデジタル情報坦体の作成方法。 - 前記処理装置は、前記入力装置及び前記出力装置とデータ信号のやりとりをする出入力部と、当該出入力部から入力されるデータを処理する処理部と、当該処理部がデータ処理をするために必要なデータを記憶する記憶部とを備え、
前記記憶部は、前記クラスター情報坦体の画像データと、当該クラスター情報坦体と前記ビットデータとの対応関係に係る対応関係データとを有し、
前記生成ステップは、
前記変換ステップで変換されたビットデータに対応する前記クラスター情報坦体を前記記憶部に格納された前記対応関係データに基づいて選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択された前記クラスター情報坦体に対応する画像データを前記記憶部から読込む読込ステップと、
前記読込ステップにより読込まれた前記クラスター情報坦体の画像データの表示位置を決定する決定ステップとを有する請求項26又は27記載のデジタル情報坦体の作成方法。 - 複数の画像オブジェクトからなるデジタル情報坦体を入力するための入力装置と、入力された前記デジタル情報坦体が保持する復号化情報を生成する処理を行う処理装置と、当該復号化情報を出力する出力装置とを備え、
前記処理装置は、
前記入力装置から入力された前記デジタル情報坦体を複数の画像オブジェクトとして認識する認識手段と、
当該複数の画像オブジェクトの一が他の画像オブジェクトのいずれかと一群をなしてクラスター情報坦体を構成するか否かを判定するクラスター判定手段と、
前記クラスター情報坦体を構成すると判定されたことを条件として、その判定されてなるクラスター情報坦体からビットデータを復号化し、当該ビットデータに基づいて復号化情報を生成する復号化情報生成手段とを具備することを特徴とするデジタル情報坦体の復号化情報生成システム。 - 前記クラスター判定手段によって判定されてなるクラスター情報坦体が複数ある場合には、
前記復号化情報生成手段では、
当該複数のクラスター情報坦体を復号化して複数のビットデータを生成し、前記複数のクラスター情報坦体の相対配置に基づいて当該複数のビットデータのいくつかを統合してビット配列を形成し、当該ビット配列から一の情報を復号化情報として生成する請求項29記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成システム。 - 前記処理装置は、データ処理を司る処理部と前記処理部によるデータ処理に必要なデータを記憶する記憶部とを有し、
前記クラスター判定手段では、複数の画像オブジェクトの相対的関係を判定条件とし、その判定条件は前記記憶部に格納されている請求項29又は30記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成システム。 - 前記クラスター情報坦体は、その構成要素である複数の画像オブジェクトの相対的関係にビットデータが対応付けられており、
前記記憶部は、前記相対的関係とビットデータとの対応関係に係る対応関係データを有し、
前記復号化情報生成手段は、前記記憶部に格納されている前記対応関係データに基づいて前記クラスター情報坦体からビットデータを復号化する復号化手段を含む請求項31記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成システム。 - 前記クラスター判定手段によって判定されてなるクラスター情報坦体を構成する複数の画像オブジェクトの表示状態が当該クラスター情報坦体の理想的な表示状態からどの程度ずれているかを評価し、当該評価の結果に基づいて前記復号化情報生成手段で復号化するか否かを判定する表示状態判定手段を具備する請求項29から32のいずれかに記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成システム。
- 複数の画像オブジェクトからなるデジタル情報坦体を入力装置に入力し、当該入力された前記デジタル情報坦体を処理してなる復号化情報を生成し、当該復号化情報を出力する処理装置が実行するデジタル情報坦体の復号化情報生成方法であって、
前記処理装置は、
前記入力装置から入力された前記デジタル情報坦体を複数の画像オブジェクトとして認識する認識ステップと、
前記認識ステップにより認識された複数の画像オブジェクトの一が他の画像オブジェクトのいずれかと一群をなしてクラスター情報坦体を構成するか否かを判定するクラスター判定ステップと、
前記クラスター判定ステップによりクラスター情報坦体を構成すると判定されたことを条件として、その判定されてなるクラスター情報坦体からビットデータを復号化し、当該ビットデータに基づいて復号化情報を生成する復号化情報生成ステップとを具備することを特徴とするデジタル情報坦体の復号化情報生成方法。 - 前記クラスター判定ステップによって判定されてなるクラスター情報坦体が複数ある場合には、
前記復号化情報生成ステップでは、
当該複数のクラスター情報坦体を復号化して複数のビットデータを生成し、前記複数のクラスター情報坦体の相対配置に基づいて当該複数のビットデータのいくつかを統合してビット配列を形成し、当該ビット配列から一の情報を復号化情報として生成する請求項34記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成方法。 - 前記処理装置はデータ処理を司る処理部と前記処理部によるデータ処理に必要なデータを記憶する記憶部とを有し、
前記クラスター判定ステップでは、複数の画像オブジェクトの相対的関係を判定条件とし、その判定条件は前記記憶部に格納されている請求項34又は35記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成方法。 - 前記クラスター情報坦体は、その構成要素である複数の画像オブジェクトの相対的関係にビットデータが対応づけられており、
前記記憶部は、前記相対的関係とビットデータとの対応関係に係る対応関係データを有し、
前記復号化情報生成ステップは、前記記憶部に格納されている前記対応関係データに基づいて前記クラスター情報坦体からビットデータを復号化する復号化ステップを含む請求項36記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成方法。 - 前記クラスター判定ステップによって判定されてなるクラスター情報坦体を構成する複数の画像オブジェクトの表示状態が当該クラスター情報坦体の理想的な表示状態からどの程度ずれているかを評価し、当該評価の結果に基づいて前記復号化情報生成手段で復号化するか否かを判定する表示状態判定ステップを具備する請求項34から37のいずれかに記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成方法。
- 請求項26から28のいずれかに記載のデジタル情報坦体の作成方法をコンピュータに実行させるプログラム。
- 請求項34から38のいずれかに記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成方法をコンピュータに実行させるプログラム。
- 請求項26から28のいずれかに記載のデジタル情報坦体の作成方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
- 請求項34から38のいずれかに記載のデジタル情報坦体の復号化情報生成方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
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